JP6266666B2 - 医薬組成物および血管新生に関係する眼疾患の治療方法 - Google Patents

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Description

本願は、2012年12月19日に出願された台湾特許出願第101148230に基づく優先権の利益を主張するものであり、その全内容は参考のため本願に援用される。
本発明は、医薬組成物と、血管新生に関係する眼疾患の治療方法に関するものである。
血管新生とは、既存の血管の近くに新たな血管が形成されるプロセスを意味する。通常の生理学的メカニズムの下では、創傷治癒や女性の月経周期など血管新生のためのシグナル変換刺激に対する応答のプロセスにおいて、制御された血管新生が起こり、おおよそ1〜2週間継続する。しかし、病的な血管新生は、通常の生理学的メカニズムにより制御されるものではない。血管新生の制御は、人体において非常に重要な恒常性の役割を担う。強力な血管新生作用の下では、糖尿病性網膜症や関節リウマチが引き起こされたり、腫瘍の悪化や転移が促進されるおそれがある。また、血管新生が過剰に抑制された場合には、出血、溢血、循環器疾患などに関係した疾患が引き起こされたり、凝固作用不全により患者の創傷治癒に影響が出ることもある。
現在、約19種の血管新生阻害剤が臨床的に使われており、これら薬剤は、様々な固形がん、老人性黄斑変性、脈絡膜新生血管、糖尿病性黄斑浮腫などに適用されている。血管新生は様々な疾患に関係するので、新たな血管新生阻害剤の開発は、現在においてもまた将来においても、非常に重要な研究動向や開発分野であるといえる。
本発明は、有効成分としてユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の抽出物を有効量含むことを特徴とする、血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物を提供する。
また、本発明は、血管新生に関係する眼疾患を治療するために、有効成分としてユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の抽出物を有効量投与することを含むことを特徴とする、血管新生に関係する眼疾患の治療方法を提供する。
さらに、本発明は、有効成分として式(I)で示されるリグナンを有効量含むことを特徴とする、血管新生に関係する眼疾患を治療するための医薬組成物を提供する。

[式中、R1は−Hまたは−OCH3を示し、R2は−Hまたは−OHを示し、R3は−H、−OHまたはβ−O−グルコシドを示し、R4は−Hまたは−OCH3を示す]
また、本発明は、血管新生に関係する眼疾患を治療するために、有効成分として式(I)で示されるリグナンを有効量投与することを特徴とする、血管新生に関係する眼疾患の治療方法を提供する。

[式中、R1は−Hまたは−OCH3を示し、R2は−Hまたは−OHを示し、R3は−H、−OHまたはβ−O−グルコシドを示し、R4は−Hまたは−OCH3を示す]
添付図面を参照しつつ、以下に示す態様により本発明を詳細に説明する。
本発明は、添付図面を参照しつつ、以下の詳細な説明や実施例を読むことによって、より十分に理解され得る。
図1は、本発明の一実施態様によって、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7を製造するためのプロセスを示す。 図2は、本発明の一実施態様によって、カラムクロマトグラフィおよび活性確認分析により分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の有効成分を単離精製するためのプロセスを示す。 図3Aは、本発明の一実施態様である化合物JC−5の1H NMRスペクトルである。 図3Bは、本発明の一実施態様である化合物JC−5の13C NMRスペクトルである。 図4は、本発明の一実施態様であるヤテインの構造を示す。 図5は、本発明の一実施態様として、JC−5、即ちヤテインの網目構造形成に対する阻害活性試験の結果を示す。 図6Aは、本発明の一実施態様である粗抽出物CBT−143−Sの高速液体クロマトグラフィーフィンガープリントを示す。 図6Bは、本発明の一実施態様である分割抽出物CBT−143−S−F6F7の高速液体クロマトグラフィーフィンガープリントを示す。 図6Cは、本発明の一実施態様であるヤテインの標準品の高速液体クロマトグラフィーフィンガープリントを示す。 図7は、本発明の一実施態様として、粗抽出物であるCBT−143−SによるHUVECの網目構造形成に対する阻害状態を示す。 図8は、本発明の一実施態様として、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7によるHUVECの網目構造形成に対する阻害状態を示す。 図9は、本発明の一実施態様として、粗抽出物であるCBT−143−Sの濃度と、HUVECの管形成との関係を示す。 図10は、本発明の一実施態様として、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の濃度と、HUVECの管形成との関係を示す。 図11は、本発明の一実施態様として、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の、HUVECの移動性に対する効果を示す。 図12は、本発明の一実施態様として、粗抽出物であるCBT−143−Sと分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の、SK−Hep−1細胞の移動性に対する効果を示す。 図13は、本発明の一実施態様として、粗抽出物であるCBT−143−Sと分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の、増殖因子により誘導されたin vivo血管新生に対する効果を示し、データは平均±標準偏差で表し、*は増殖因子処置群に対してp<0.05で有意差があることを示す。 図14は、本発明の一実施態様として、粗抽出物であるCBT−143−Sと分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の、コンディショナルメディウムにより誘導されたin vivo血管新生に対する効果を示し、データは平均±標準偏差で表し、*はコンディショナルメディウム処置群に対してp<0.05で有意差があることを示す。 図15は、本発明の一実施態様として、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7と粗抽出物であるCBT−143−Sの、生体における血管新生に対する効果を示し(1.25倍)、図15における1301との数字は、被検物質を含む濾紙を示す。 図16は、本発明の一実施態様として、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7と粗抽出物であるCBT−143−Sの、生体における血管新生に対する効果を示し(4倍および8倍)、図16における1401との数字は、被検物質を含む濾紙を示す。 図17は、本発明の一実施態様として、分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7と粗抽出物であるCBT−143−Sの、HUVEC細胞の細胞増殖に対する効果を示す。 図18Aは、本発明の一実施態様として、化合物JC−5のラット角膜血管新生に対する効果を示す。 図18Bは、本発明の一実施態様として、化合物JC−5のラット角膜血管新生に対する効果を示す。 図18Cは、本発明の一実施態様として、化合物JC−5のラット角膜血管新生に対する効果を示す。 図19Aは、本発明の一実施態様として、化合物JC−5の、レーザーで誘導された角膜血管新生に対する効果を示す。 図19Bは、本発明の一実施態様として、化合物JC−5の、レーザーで誘導された角膜血管新生に対する効果を示す。
以下では、本願発明の説明を目的として、記載された態様の十分な理解のために、具体的な詳細例を多く述べる。しかし、これら具体的な詳細例が無くても、1以上の態様を実施できることは明らかである。その他の例では、図を単純化するために、公知の構造や装置を概略的に示している。
本発明は、ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の抽出物を主要な有効成分として用い、血管新生阻害効果を示す血管新生阻害医薬組成物を提供する。
上記の血管新生阻害医薬組成物は、それに限定される物ではないが、血管新生を阻害するための活性成分として、ユニペルス キネンシスの抽出物を含む。ある態様では、本発明に係る血管新生阻害医薬組成物は、さらに薬学上許容される担体および/または塩を含むものであってもよい。
本発明において、ユニペルス キネンシスの抽出物を提供するために用いられるユニペルス キネンシスの例としては、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク(Juniperus chinensis var. Shimpaku)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ(Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス キネンシス(原種)(Juniperus chinensis L. var. chinensis (proto−variety))、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス タイワネンシス R.P.アダムス アンド C.F.シェ(Juniperus chinensis L. var. taiwanensis R.P.Adams&C.F.Hsieh)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス カイズカ ホルテンシス エクス エンドリヒャー(Juniperus chinensis L. var. kaizuka Hort. ex Endl.)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス ピラミダリス(カリエール)ホルテンシス エクス レーダー(Juniperus chinensis L. var. pyramidalis (Carr.) Hort. ex Rehd.)および/またはユニペルス キネンシス カルティバ フィッツェリアーナ グラウカ(Juniperus chinensis cv. Pfitzeriana Glauca)を挙げることができる。ある態様では、ユニペルス キネンシスの抽出物を提供するために用いられるユニペルス キネンシスは、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイである。
ユニペルス キネンシスの抽出物は、それらに限定されるものではないが、根、幹、枝、葉および/またはこれらの組合せから抽出されたものであってもよい。ある態様では、ユニペルス キネンシスの抽出物は、ユニペルス キネンシスの細枝および葉から抽出されたものであってもよい。
本発明では、ユニペルス キネンシスの抽出物を抽出するために用いられる溶媒としては、それらに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒;酢酸エチルなどのエステル系溶媒;ヘキサンなどの炭化水素系溶媒;またはジクロロメタンやジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒であってもよい。ある態様では、抽出溶媒はエタノールである。
ある態様では、本発明に係るユニペルス キネンシスの抽出物の成分は、血管新生阻害効果を有する少なくとも一つの指標成分であるヤテインを含むものであってもよい。別の態様では、本発明に係るユニペルス キネンシスの抽出物の成分は、少なくとも血管新生阻害効果を有するヤテインを含むものであってもよい。
ある態様では、ユニペルス キネンシスの抽出物はユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイから抽出されたものであってもよく、また、エタノールを用いて抽出されるものであってもよい。かかる態様では、上記ユニペルス キネンシス抽出物の成分は、少なくともヤテインを含むものであってもよい。他の態様では、ユニペルス キネンシスの抽出物は、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝および葉からエタノールを使って抽出することにより得られる。かかる態様では、上記ユニペルス キネンシス抽出物の成分は、少なくともヤテインを含むものであってよい。
本発明に係る血管新生阻害医薬組成物は、血管新生に関係する疾患を治療するために用いられる。血管新生に関係する疾患としては、それらに限定されるものではないが、血管新生に関係するものであり、当該疾患が、固形腫瘍、加齢性黄斑変性症、脈絡膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、悪性腫瘍、網膜静脈閉塞、毛細血管拡張症などを挙げることができる。
また、本発明は、主要な有効成分としてリグナンを用いる、血管新生を阻害するための医薬組成物を提供する。かかる血管新生阻害組成物は、それに限定されるものではないが、式(I)で表されるリグニンを有効量含むものであってもよい。

[式中、R1は−Hまたは−OCH3を示し、R2は−Hまたは−OHを示し、R3は−H、−OHまたはβ−O−グルコシドを示し、R4は−Hまたは−OCH3を示す]
ある態様では、前述した血管新生阻害組成物は、さらに薬学上許容される担体を含んでいてもよい。
ある態様では、それに限定されるものではないが、上記リグナンは、ヤテイン、5’−デスメトキシヤテイン(「ブルセヘルニン」ともいう)、7’,7’−ジヒドロキシブルセヘルニン、5’−メトキシヤテイン、ポドリゾールまたはポドリゾール 4’−O−β−D−グルコピラノシドであってもよい。ある例示的な態様では、上記リグナンはヤテインである。
上記の本発明に係る血管新生阻害組成物では、上記の薬学上許容される担体としては、それらに限定されるものではないが、医薬投与に適合する、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤、抗真菌剤および等張吸収遅延剤などを挙げることができる。本発明の医薬組成物は、従来技術を利用して、様々な投与形態のための剤形に製剤化することができる。
本発明に係る医薬組成物は、経口、吸入スプレーによる非経口、またはインプラントリザーバーを経由して投与することができる。非経口投与方法としては、点滴投与に加えて、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑液嚢内投与、胸骨下投与、くも膜下投与および病巣内投与を挙げることができる。
経口投与用組成物としては、それらに限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、エマルション製剤、並びに水性の懸濁液、分散液および溶液を挙げることができる。
また、本発明は、血管新生を阻害する方法も提供する。上記の血管新生阻害方法は、それに限定されるものではないが、患者の必要に応じて、血管新生を阻害するに有効な成分としてユニペルス キネンシスの抽出物の有効量を患者に投与する工程を含む。
患者、即ち本発明に係る血管新生阻害方法の適用対象としては、ヒトの他、ヒトを除く動物を挙げることができ、特にヒトを除く哺乳類を対象とする。
ユニペルス キネンシスの抽出物は、ユニペルス キネンシスから抽出され、ユニペルス キネンシスとしては、それらに限定されるものではないが、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス キネンシス(原種)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス タイワネンシス R.P.アダムス アンド C.F.シェ、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス カイズカ ホルテンシス エクス エンドリヒャー、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス ピラミダリス(カリエール)ホルテンシス エクス レーダーおよび/またはユニペルス キネンシス カルティバ フィッツェリアーナ グラウカを挙げることができる。ある実施態様では、上記ユニペルス キネンシスは、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイである。
本発明においては、ユニペルス キネンシスの抽出部位として、それらに限定されるものではないが、根、幹、枝、葉および/またはそれらの組合せを挙げることができる。ある実施態様では、ユニペルス キネンシスの前記抽出物は、ユニペルス キネンシスの細枝および葉から抽出される。
ユニペルス キネンシスの上記抽出物を抽出するために適した溶媒としては、それらに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;酢酸エチルなどのエステル溶媒;ヘキサンなどのアルカン溶媒;ジクロロメタンやジクロロエタンなどのハロアルカン溶媒を挙げることができる。ある実施態様では、抽出溶媒はエタノールである。
ある実施態様では、ユニペルス キネンシスの上記抽出物の成分としては、血管新生阻害効果を有するヤテインを挙げることができる。
ある実施態様では、ユニペルス キネンシスの抽出物は、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイから抽出され、抽出のためにエタノールを用いて得られる。ある実施態様では、ユニペルス キネンシスの上抽出物の成分は、少なくともヤテインを含むものであってよい。他の実施態様では、ユニペルス キネンシスの抽出物は、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝および葉からエタノールを使って抽出することにより得られる。かかる実施態様では、ユニペルス キネンシスの上記抽出物の成分は、少なくともヤテインを含む。
さらに、本発明は、別の血管新生阻害方法を提供する。当該血管新生阻害方法は、それに限定されるものではないが、患者の必要に応じて、血管新生を阻害するに有効な成分として、式(I)で表されるリグナンの抽出物の有効量を患者に投与する工程を含む。

[式中、R1は−Hまたは−OCH3を示し、R2は−Hまたは−OHを示し、R3は−H、−OHまたはβ−O−グルコシドを示し、R4は−Hまたは−OCH3を示す]
ある実施態様では、上記リグナンとしては、それらに限定されるものではないが、ヤテイン、5’−デスメトキシヤテイン(ブルセヘルニン)、7’,7’−ジヒドロキシブルセヘルニン、5’−メトキシヤテイン、ポドリゾールまたはポドリゾール 4’−O−β−D−グルコピラノシドを挙げることができる。ある実施態様では、当該リグナンはヤテインである。
また、当該方法でも、患者、即ち本発明に係る血管新生阻害方法の適用対象としては、ヒトの他、ヒトを除く動物を挙げることができ、特にヒトを除く哺乳類を対象とする。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
A. 本実施例では、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ(Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry)の活性成分につき実験し、また、測定を行った。
ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝と葉(約10g)を8〜10重量倍の水、エタノール、プロパノール、酢酸エチルまたはヘキサンに浸漬し、1時間加熱還流することにより抽出液を得た。次いで、濾紙を使って抽出液を濾過し、濃縮した。得られた残渣に純水を加え、超音波照射することにより懸濁液を得た。当該懸濁液を凍結乾燥した。
凍結乾燥により得られた粉末を適切な溶媒に溶解し、in vitroの抗血管新生試験に付した。細胞外マトリックス(ECM)または低増殖因子濃度マトリゲルにおけるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の網目構造形成に対する抽出物の阻害能を解析し、その管構造の形成レベルを統合し、定量化のための指標として用いた。結果を表1に示す。
表1は、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝および葉から異なる溶媒により抽出した抽出液の、指標成分の含有量と、ヒト臍帯静脈内皮細胞の網目構造形成に対する阻害能を示す。
上記結果により、水抽出物は網目構造(管構造)の形成を阻害することはできない一方で、他の溶媒による抽出物は全て内皮細胞の管構造形成を阻害することができることが示された。
B. 本実施例では、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイのエタノール抽出物の調製
1.粗抽出物(CBT−143−S)の抽出工程
上記結果にしたがって、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝および葉を抽出対象として選択し、抽出溶媒としてエタノールを選択した。得られた粗抽出物をCBT−143−Sと名付けた。その調製方法を以下に示す。
(1) ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝および葉(10g)を8〜10重量倍の95%エタノールに浸漬した。
(2) 上記工程(1)で浸漬した植物体から溶媒の沸点で1時間抽出した後、孔径:230メッシュの金属篩を使って濾過することにより、抽出液を得た。
(3) 上記工程(2)で得た抽出液を、濾紙(Type 5A,直径:9cm,孔径7μm,厚さ:0.22mm,東洋濾紙社製)を使って濾過した。
(4) 上記工程(3)で得た濾液をロータリーエバポレーターにより濃縮乾燥することにより、抽出凝固体を得た。
(5) 上記工程(4)で得た抽出凝固体を純水と混合し、超音波照射することにより懸濁液を得た。
(6) 上記工程(5)で得た懸濁液を、液体窒素を使って凍結乾燥した。
(7) 凍結乾燥後、得られたプロダクトを集めてCBT−143−Sとした。
2.分割抽出物の調製(CBT−143−S−F6F7)
粗抽出物の活性を高めるために、CBT−143−Sからの単離精製を行った。単離精製工程を以下に示す。当該分割抽出物の調製工程を図1に示す。
(1) CBT−143−S試料(30g)をドライパッキングにより固定化した。即ち、CBT−143−Sを適切な溶媒に溶解した後、2重量倍(60g)のシリカゲルを添加した。よく混合した後、ロータリーエバポレーターにより、シリカゲル上にCBT−143−Sを均一に固定化した(工程S1)。
(2) CBT−143−S試料の15重量倍のシリカゲルを含むカラムにより、CBT−143−S試料を単離工程に付した。即ち、シリカゲル(450g)を直径6cmのガラス製カラムに充填した。充填後、シリカゲルの高さは28cm、ドライパッキングマトリックスの高さは4.5cmであった(工程S2)。
(3) 当初の移動相としてアセトン:n−ヘキサン=1:2の混合溶媒(3300mL)を用い、溶出した。溶出液を20mL毎にチューブに集め、分割した(工程S3)(F1〜F7チューブ)。
(4) カラムをアセトンで洗浄した(工程S3’)(F8チューブ)。
(5) カラムをメタノールで洗浄した(工程S3’’)(F9チューブ)。
(6) 分割収集した溶出液を、順相薄層クロマトグラフィーで分析した。即ち、移動相としてアセトン:n−ヘキサン=2:3の混合溶媒を用い、分割収集した溶出液を展開した。展開後、分割収集した溶出液を、硫酸の10%酢酸エチル溶液を付けた後に105℃で加熱することにより染色した。得られた主な染色スポットのRf値を算出した。
(7) Rf値が0.35〜0.55の溶出液を集めた(工程S4)。
(8) 上記溶出液を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮乾燥することにより、分割抽出物凝固体を得た。
(9) 得られた分割抽出物凝固体を等量の純水に添加し、超音波照射により懸濁した後、液体窒素により凍結乾燥した。
(10) 凍結乾燥後、得られた凍結乾燥粉末をCBT−143−S−F6F7とした。
3.活性成分の単離、精製および同定
分割抽出物であるCBT−143−S−F6F7の活性成分を、カラムクロマトグラフィーと活性解析により単離精製した。調製工程を図2に示す。図2のとおり、CBT−143−S−F6F7を原料とし、条件P1により分割した後、活性を試験し、条件P’により濃縮乾燥した。それにより、JC−5活性成分を含むフラクションであるCBT−143−S−F6F7−A2が得られた。当該フラクションを条件P2で分割した後、活性を試験し、条件P’により濃縮乾燥することにより、JC−5活性成分を含むフラクションであるCBT−143−S−F6F7−B2が得られた。当該CBT−143−S−F6F7−B2フラクションを条件P3でさらに分割し、活性を試験し、条件P’により濃縮乾燥した後、条件P4により再結晶することにより、純粋なJC−5物質が得られた。条件P1〜P4と条件P’を以下に示す。
P1: フラッシュパフォーマンス液体クロマトグラフィー − FPLC
カラム: シリカゲルカラム(0.015〜0.040μm)(内径:2.0cm×長さ:30cm)
移動相: 酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1
流速: 5mL/分
フラクションコレクター: 10mL容チューブ
P2: フラッシュパフォーマンス液体クロマトグラフィー − FPLC
カラム: シリカゲルカラム(0.015〜0.040μm)(内径:2.0cm×長さ:30cm)
移動相: 酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1.5
流速: 5mL/分
フラクションコレクター: 10mL容チューブ
P3: フラッシュパフォーマンス液体クロマトグラフィー − FPLC
カラム: シリカゲルカラム(0.015〜0.040μm)(内径:1.5cm×長さ:30cm)
移動相: 酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1.5
流速: 5mL/分
フラクションコレクター: 10mL容チューブ
P4: メタノールを用いた再結晶
P’: 薄層クロマトグラフィー − TLC
薄層クロマトグラフィーアルミニウムシート(TLC Silica gel 60 F254,メルク社製)を長さ:5cm×幅:7cmにカットし、カットしたアルミニウムシートの下から1cmの箇所に、定量キャピラリーを用いて試料1μLを滴下した。サンプルをアルミニウムシートに滴下し、乾燥した後、当該アルミニウムシートを展開タンクに入れ、展開液として酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1の混合溶媒を用い、試料を4cmまで展開した。展開が完了し、アルミニウムシートを乾燥した後、着色剤(硫酸の10%酢酸エチル溶液)をアルミニウムシートへ均一に塗布し、105℃で5分間加熱した。着色工程後、JC−5を含む領域(Rf値:0.55〜0.61,黒点)を観察し、当該スポットを含む試料の一部を集め、濃縮乾燥した。
精製したJC−5を、核磁気共鳴分光(NMR)で同定した。結果を図3Aと図3Bに示す。図3Aは、化合物JC−5の1H NMRスペクトルであり、当該スペクトルには、化合物JC−5の構造に含まれる水素原子の数が示されている。水素原子が検出された位置(δ値)と積算値の割合により、JC−5の構造中には合計で24の水素原子が存在していることが推定された。図3Bは、化合物JC−5の13C NMRスペクトルであり、当該スペクトルには、化合物JC−5中には合計で22の炭素原子が存在していることが示されていた。
図3Aと図3Bから得られるデータを、文献(Ikeda,R.;Nagao,T.;Okabe,H.;Nakano,Y.;Matsunaga,H.;Katano,M.;Mori,M.,Chem.Pharm.Bull.,1998,46,871-874)に示されているヤテインに関する記載と比較した。データを表2にまとめる。上記結果を比較したところ、化合物JC−5はヤテインであると同定された。ヤテインの構造を図4に示す。
表2は、ヤテインの構造に含まれる水素原子と炭素原子の分布を示す。
さらに、マトリックスとしてマトリゲル(BD社製,Cat.No.356231)を用い、マトリックス上に網目構造を構築するヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の状態を観察することにより、HUVECの網目構造形成に対するJC−5(ヤテイン)の阻害能を分析した。分析の基準や条件を以下に示す。網目構造の合計長さは、NIS element image analysis software(ニコン社製,代理店:Lin Trading社,台湾)により算出した。薬剤を添加しない群で形成された網目構造の合計長さを100%とし、HUVECによる網目構造形成に対するJC−5の阻害状態を分析した。
上記の網目構造形成阻害能の分析結果により、管形成に対するヤテインの50%阻害濃度(IC50)は0.335μMであることが分かった(図5)。よって、ヤテインは活性成分であると決定された。
4. 粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)フィンガープリント
分析方法
試料調製: CBT−143−Sの粉末(10mg)とCBT−143−S−F6F7の粉末(10mg)をそれぞれ10mLの容量フラスコに入れた。次いで、95%エタノールを添加して各容量を10mLとし、当該フラスコに超音波を照射することにより粉末を完全に溶解した。
高速液体クロマトグラフィーの条件
クロマトグラフィーカラム: Cosmosil 5C18−MS−II 4.6×250
流速: 0.8mL/分
観測波長: 280nm
移動相: A:0.1% H3PO4; B:CH3CN; C:MeOH
グラディエント: A/B/C=65/25/10(60分間) → A/B/C=25/60/15(1分間) → A/B/C=65/25/10(9分間)
分析結果
図6Aと図6Bは、それぞれ粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の品質管理分析のための高速液体クロマトグラフィーグラフを示し、本願発明に係る抽出物の品質管理の基準として用いることができる。
精製したヤテイン(JC−5)の純品を管理基準として用いることにより、粗抽出物(CBT−143−S)および分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)のための高速液体クロマトグラフィー質的/量的分析方法を開発し、粗抽出物(CBT−143−S)および分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の高速液体クロマトグラフィーグラフを、ヤテインの管理基準の高速液体クロマトグラフィーフィンガープリント(図6C)とそれぞれ比較した。図6Aと図6Bにより、粗抽出物(CBT−143−S)および分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の高速液体クロマトグラフィーグラフには、両方ともJC−5活性成分のメインピークが存在していた。また、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイの細枝と葉から様々な溶媒により抽出された抽出物も分析した。それらのヤテイン含有量は、表1に示す。
5. 粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の活性のin vitro評価
(1) 血管チューブ形成の阻害
マトリックスとしてマトリゲル(BD社製,Cat.No.356231)を用い、マトリックス上に網目構造を構築するヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の状態を観察することにより、粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の阻害能を分析した。分析の基準や条件を以下に示す。網目構造の合計長さは、NIS element image analysis software(ニコン社製,代理店:Lin Trading社,台湾)により算出した。薬剤を添加しない群で形成された網目構造の合計長さを100%とし、HUVECによる網目構造形成に対する粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の阻害状態を分析した。
図7と図8に示される実験結果から、被検物質の濃度が高くなるほど、粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の管形成に対する阻害効果も高くなり、有意な用量依存的な効果が明らかとなった。
また、計算したところ、粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の管形成に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ0.221μg/mLと0.0123μg/mLであった(図9と図10)。かかる結果から、精製工程により、分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の活性は、粗抽出物(CBT−143−S)に比べて20.3倍になったことが明らかとなった。
(2) 血管内皮細胞の運動性の阻害試験(HUVEC移動アッセイ)
BDトランスウェルシステムを用い、HUVECを活性化する栄養の存在下、膜を透過して下方に移動するHUVECの状態を観察した。活性化のための血清を用いない群を陰性対照として用い、活性化のための血清を用いる群を陽性対照として用いて、細胞の移動の観察が容易になるようクリスタルバイオレットで細胞を染色し、内皮細胞の移動に対する抽出物の阻害作用を観察した。その結果、分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)が内皮細胞の移動に対する阻害活性を有することが明らかとなった。
(3) 肝細胞がん細胞の運動性の阻害試験(創傷治癒移動アッセイ)
高い運動性を示す肝細胞がん細胞株であるSK−Hep−1株を選択した。先ず、当該細胞株を6ウェルプレートに接種した。細胞がプレートに付着した後、その一部を分離してプレート上に線を形成した。24時間後と48時間後に当該線から細胞を分離し、洗浄した後、線上に移動した細胞の状態を観察した(図12)。得られた結果より、様々な濃度の粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)で処理することによって、細胞の移動が抑制されることが明らかとなった。
48時間後、観察を終了し、細胞の生存能力を測定するために、プレート中の細胞に対してMTTアッセイを直ぐに行った。細胞の生存能力と細胞の運動性を比較することにより、粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)が、SK−Hep−1株の運動性の阻害効果を有することを明らかにすることができた。
以上の試験結果により、SK−Hep−1株の移動に対する粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の阻害効果は、経時的に高まることが分かった。
6. 粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)のin vivo抗血管新生試験
BALB/cマウスにマトリゲルを皮下注射して埋設物を形成し、被検物質が、血管内皮細殖因子またはHep−3Bコンディショナルメディウム(CM)により誘導された血管新生に対する阻害能を有するか否か、試験を行った。
(1) マトリゲルプラグアッセイ
Engelbreth−Holm−Swarm(EHS)マウスの肉腫からマトリゲルを抽出した。当該マトリゲルは、細胞外マトリックスタンパク質を豊富に含み、また、血管の成長に必要な様々な因子も含む。室温および37℃の条件では、マトリゲルは固体ゲル状に重合することができ、血管内皮細胞の増殖にとりより好適な環境を提供することができる。
マトリゲルと、血管内皮細殖因子(FGFb+VEGF)またはHep−3Bコンディショナルメディウム(CM)を混合した後、被検物質を加えて混合した。
実験方法を以下に示す。
(a) 動物系統:雌性BALB/cマウス(BALB/cAnNCrlBltw,BioLasco Taiwan社から購入)6〜8週齢
(b) PBSと混合したマトリゲルで処理した群を陰性対照として用い、FGFb(500ng/ml)+VEGF(500ng/ml)またはHep−3Bコンディショナルメディウム(CM)と混合したマトリゲルで処理した群を陽性対照として用いた。血管内皮増殖因子を含むマトリゲルと被検物質を混合した後、BALB/cマウスへ皮下注射し、被検物質がマトリゲル中の血管新生を阻害できるか否か観察した。
(c) マトリゲル中の新生血管量を評価するために、マトリゲル中のヘモグロビン含量を、QuantiChromTM Hemoglobin Assay Kit(DIHB−250)で定量した。
BALB/cマウスに14日間皮下注射した後、マウスの皮下組織におけるマトリゲルプラグを取り出し、等量のディスパーゼを加えて混合し、37℃で16時間反応させることにより、細胞間物質ゲルを溶解した。次いで、反応混合物を14,000rpmで10分間遠心分離し、上清を別の微量遠心管に移した。50μLの上清と、ヘモグロビンアッセイキットに含まれている反応試薬200μLとを混合した。上清と当該試薬とを5分間反応させた後、400nmの光学濃度(O.D.)を測定した。下記式により、光学濃度(O.D.)の値を単位濃度に変換した。
((ODSample−ODBlank)/(ODCalibration−ODBlank))×100×n (mg/dL)
[式中、100は校正濃度を示し、nは希釈倍率を示す]
実験結果は、以下のとおりである。
(a) 増殖因子により誘導される血管新生のin vivo評価アッセイ
増殖因子により誘導される血管新生のin vivo評価アッセイにおいて、PBSでのみ処理した陰性対照群では、マウスの皮下組織に14日間埋め込まれたマトリゲルプラグのヘモグロビン濃度は、バックグラウンド値に近い17.68±11.64mg/dLであった。一方、FGFb(500ng/mL)+VEGF(500ng/mL)を添加した場合、マトリゲルプラグには有意な血管新生が見られ、ヘモグロビン濃度は52.64±26.18mg/dLに達した。ネクサバール(30mg/kg/day)を毎日経口投与された群では、ヘモグロビン濃度は27.09±5.88mg/dLと有意に低減された。粗抽出物(CBT−143−S)(100μg/mL)を投与された群では、ヘモグロビン濃度は27.92±9.62mg/dLであった。さらに、30μg/mLおよび100μg/mLの分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)で処理された群では、ヘモグロビン濃度はそれぞれ56.70±5.58mg/dLおよび25.08±9.59mg/dLとなった。
上記結果により、粗抽出物(CBT−143−S)(100μg/mL)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)は、より高用量で血管新生阻害能を示すことが明らかとなった(図13)。
(b) コンディショナルメディウムで誘導されたHep−3B肝細胞がん細胞の血管新生のin vivo評価アッセイ
コンディショナルメディウムで誘導されたHep−3B肝細胞がん細胞の血管新生のin vivo評価アッセイにおいて、PBSでのみ処理した陰性対照群では、マウスの皮下組織に14日間埋め込まれたマトリゲルプラグのヘモグロビン濃度は16.23±11.64mg/dLであった。一方、コンディショナルメディウムを添加した場合、マトリゲルプラグには有意な血管新生が見られ、ヘモグロビン濃度は52.61±13.14mg/dLに達した。ネクサバール(30mg/kg/day)を経口投与された群では、ヘモグロビン濃度は25.05±17.59mg/dLと有意に低減された。粗抽出物(CBT−143−S)(100μg/mL)を投与された群では、ヘモグロビン濃度は22.91±15.95mg/dLであった。さらに、30μg/mLおよび100μg/mLの分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)で処理された群では、ヘモグロビン濃度はそれぞれ51.49±8.97mg/dLおよび20.61±7.52mg/dLとなった。
上記結果により、粗抽出物(CBT−143−S)(100μg/mL)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)は、より高用量で血管新生阻害能を示すことが明らかとなった(図14)。
(2) in vivo抗血管新生実験(しょう尿膜(CAM)アッセイ)
濾紙に被検物質またはPBSを浸み込ませた後、ニワトリ胚のしょう尿膜(CAM)の上に置き、血管新生を観察した。
特定病原体除去(SPF)ホワイトレグホン種ニワトリのニワトリ胚を、37.3℃、相対湿度55〜60%のインキュベーター中に横方向に置いた。インキュベーションの4日目に、20G注射針を使って2.5mLのアルブミンを吸引し、胚上に擬似空気室を設けた。次いで、注射針穴と擬似空気室のオープニングを3M通気性テープで覆った。7日目に、被検物質をDMSOに溶解し、PBSで希釈した。PBS対照群を含んだ各群において、DMSOの最終濃度は1%とした。直径6mmの円形Advantec(登録商標)濾紙(東洋濾紙社製)を使い、希釈した被検物質を吸収した。吸収量は25μLであった。各被検物質は、胚当たり50,25および10μgの3投与量準備した。さらに、7日目に濾紙をしょう尿膜上に置き、9日目に、1.25×対物レンズを付けた解剖顕微鏡SZX16(オリンパス社製)を使って、しょう尿膜を撮影した。血管新生の状態を評価するために、濾紙を中心として、直径7,8,9および10mmの4つの同心円を写真上にマークした。4つの同心円の総外周は106.8mmであり、総外周は濾紙への近さを示す。同心円と交差する血管の量、即ち、血管濃度指標またはVDIは、裸眼で測定した。写真毎に、血管濃度指標を3名により測定し、その平均値を採用した。各被検物質処理群の血管濃度指標を、対照群と比較することにより、有意差の有無を求めた。4×および8×の対物レンズを用い、血管形態が異常な部位を観察して撮影した。
実験結果
表3と図15のとおり、胚あたり25μgの分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)と胚あたり50μgの粗抽出物(CBT−143−S)は、両方とも、しょう尿膜血管新生を有意に低減した。図15において、1301との数字は、被検物質を含む濾紙を示す。また、図16のとおり、分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の中程度投与群および高度投与群は、毛細血管の形態的変化を引き起こした。図16において、1401との数字は、被検物質を含む濾紙を示す。
表3は、in vivo抗血管新生実験(絨毛尿膜(CAM)アッセイ)の結果を示す。
7. 粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の正常細胞に対する毒性試験
粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の上記の阻害作用が毒性によるものか否か試験するために、粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)について、正常細胞であるPBMCに対する細胞生存アッセイとHUVECに対する増殖阻害アッセイを行った。比較対象として、市販の臨床薬であるソラフェニブを用いた。
(1) 正常細胞であるPBMCに対する毒性試験(アラマーブルー細胞生存アッセイ)
アラマーブルーは、通常、青色を示す植物色素である。当該色素は、細胞増殖により分解し、青色からピンク色に還元される。その結果、570nmでのO.D.が高まることが観察される。逆に、死細胞の方が多いと、測定される当該O.D.値はより低くなる。
1×105cells/wellのPBMC細胞を、96ウェルプレートでインキュベートし、様々な濃度(300,100,30,10,3および1μg/mL)の粗抽出物(CBT−143−S)や分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)などを、当該プレートに添加した。72時間インキュベートした後、当該プレートにアラマーブルーを添加し、37℃で24時間インキュベートした。次いで、ELISAリーダーを用い、570nm/600nmのO.D.値を測定した。その後、測定されたO.D.値を、以下の計算式に代入した。

λ1=570
λ2=600
(εOX)λ2=117,216(OXは酸化を示す)
(εOX)λ1=80,586
Aλ1=0.65 テストウェルで測定された吸光度
Aλ2=0.36 テストウェルで測定された吸光度
0λ2=0.78 陽性テストウェルで測定された吸光度
0λ1=0.19 陽性テストウェルで測定された吸光度
試験結果(表4)によれば、分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の濃度が30μg/mLであった場合には、PBMCの細胞生存率は50%よりも高かった。この結果は、分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)のIC50値が30μg/mLよりも高いことを示している。
表4は、正常細胞であるPBMCに対する粗抽出物(CBT−143−S)と分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の毒性試験結果を示す。
(2) HUVECに対する増殖阻害アッセイ
同様に、細胞の生存活性を評価するために、アラマーブルーアッセイを用いた。1×104cells/wellのHUVEC細胞を96ウェルプレートに接種した。様々な濃度(300,100,30,10,3および1μg/mL)の粗抽出物(CBT−143−S)および分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)試料などをプレートに添加し、細胞増殖が被検物質により影響を受けているか否か評価するために、0時間後および48時間後における吸光度を記録した。得られた結果によれば、粗抽出物(CBT−143−S)および分割抽出物(CBT−143−S−F6F7)の50%増殖阻害濃度(GI50)は、それぞれ0.52μg/mLおよび0.006μg/mLであった(図17)。以上のとおり、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ抽出物のHUVEC増殖に対する阻害活性は極めて明白である。
8. ラット角膜血管新生アッセイ
ヒドロンポリマー(ポリHEME)と被検物質またはDMSOからなるペレットを、ラットの角膜表面に移植し、その血管新生を観察した。
撹拌器を用い、37℃で一晩、ヒドロンポリマー(ポリHEME)を12w/v%の濃度で無水エタノールに溶解した後、ペレットの作製まで室温で保管した。角膜ポケットアッセイに用いた各ペレットは、ヒドロンポリマーとファクター−スクラルファート−PBSの50:50(vol/vol)混合物で構成されているキャスティングゲル3μL中、60ngのbFGF、または1μgのJC−5および20μgのスクラルファートを含むものであった。当該キャスティングゲルは、直ぐに、オートクレーブされて滅菌され、約2×2mmの孔径を有する20×20mmのナイロンメッシュ片上にピペットでとった。当該ペレットは、無菌状態の層流フード中、角膜手術の前日に調製した。次に、メッシュの繊維を除去し、2×2×0.4mm3の均一な大きさのものを選択して移植に用いた。全ての手順は、無菌状態で行った。かかるペレットは、生物活性が低減することなく、−20℃で数日凍結保存することができる。各群には、6つの眼球がある。雄性ラット(Sprague Dawley,National Laboratory Animal Center,Taiwanより購入)をケタミンで麻酔し、眼球を0.5%プロパラカインで局所麻酔した。手術用顕微鏡を用い、12時の位置に手術用ナイフで2.5mmの長さの中央基質内直線状角膜切開を行った。層状のマイクロポケットを、縁から2mmのところで切断した。上記ペレットを、当該ポケットの端まで置いた。感染を防ぎ、また、眼球表面の違和感を低減するために、抗生物質軟膏(エリスロマイシン)を手術した目に一度適用した。ペレットの移植から7日目と14日目に、ケタミンによりラットを麻酔した。眼球を露出させ、角膜と結膜の間の血管網からペレットまで広がった血管新生ゾーンの最大血管長さ(VL)を測定した。写真も撮影した。血管新生の連続的な円周ゾーン(CN)を、時計での時間で(即ち、30°は1時間に相当する)360°網線で測定した。
実験結果は、以下のとおりである。
徐放性ポリマーであるヒドロンに加えてPBSのみ、bFGFのみ、またはbFGFとJC−5を含むペレットを、ラットの角膜に移植した。PBSのみ含むペレット(全ての群において眼球数N=6)では、血管新生は誘導されなかった(図18A、18Bおよび18Cの「PBS」)。bFGFを60ng含むペレットでは、手術から7日目に血管新生が誘導された(図18A、18Bおよび18Cの「bFGF」)。移植を受けた角膜における60ngのbFGFによる血管新生応答は、7日目において、1μgのJC−5により阻害された(図18A、18Bおよび18Cの「bFGF+JC−5」)。ラット角膜ポケットアッセイのこれら結果により、JC−5は角膜の血管新生を阻害することが明らかにされた。
9. レーザー誘導脈絡膜血管新生(CNV)アッセイ
雄性ラット(ブラウンノルウェイラット,BioLASCO Co.(台湾)より購入)を用いた。ラットの眼球に、レーザー光凝固によりCNV病変を誘導した。簡潔にいえば、ラットを麻酔した後、その瞳孔を1%トロピカミドで拡張させた。18×24mm2の標準カバーガラスを、光凝固を適用するためのコンタクトレンズとして用いた。アルゴンレーザーを、スリットランプを通して照射した。レーザーのパラメーターは、以下のとおりに設定した。
スポットサイズ: 50μm
強度: 120mW
照射時間: 0.1秒間
臨床的には中央の気泡形成として認められる、ブルッフ膜の破壊を企てた。その際、網膜内または脈絡膜に出血が認められる場合と認められない場合とがあった。各眼底の主要な網膜血管の間に、4〜6の病変部位が形成された。レーザー処理の1日前に、実験動物の硝子体内の両側に、2μLのJC−5(1μg/眼球,N=6)または2μLの溶媒(DMSO,N=6)を注射した。14日後、管理を容易にするために、眼球に自己保持型眼検鏡をおいた。30ゲージ針を用い、眼球ごとに、2μLのJC−5または溶媒の硝子体内注射を行った。硝子体内注射に続いて、抗生物質点眼剤であるビガモックス(0.5%塩酸モキシフロキサシン)を局所投与した。デジタルイメージングシステムを用い、フルオレセイン血管造影により、レーザー誘導CNVを解析した。瞳孔の拡張とそれに続く2.5%フルオロセインナトリウム(Alcon,CITY,ドイツ)2.5mLの腹腔内注射の後、一般的な麻酔状態下でマウスを解析した。各実験においては、注射から1〜3分間後という初期段階の画像を撮影した。フルオロセイン漏出の定量的分析のため、フルオロセイン漏出領域をそれぞれImageJソフトウェア(NIH,米国)を用いて測定した。フルオロセイン漏出領域は、通常の網膜血管が全く観察されない過蛍光領域として測定した。
結果を以下に示す。
JC−5処理後、レーザー誘導CNVを解析するためのフルオレセイン血管造影法を使って、JC−5(1μg/μL DMSO溶液)の経時的な治療効果を評価した。JC−5で処理した眼球は、フルオレセント色素の取り込みとCNVの範囲がより小さかった(図19A)。また、JC−5処理ラットの7日目および14日目のCNV病変部位は、DMSOラットに比べて、有意に低減されていた(図19Aおよび図19B)。これら結果から、局所的なJC−5投与によって、実験的なCNVの重篤度が低減されることが明らかにされた。
当業者であれば、記載された態様に様々な修飾や変更を加えられることは明らかである。本願明細書や実施例は、単なる例示に過ぎないとされるべきであり、本願発明の真の範囲は特許請求の範囲やその等価物として解釈されるべきである。

Claims (18)

  1. 血管新生に関係する眼疾患を治療するための医薬組成物を製造するための方法であって、
    ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)から、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化水素系溶媒により抽出物を抽出する工程を含み、
    上記医薬組成物が、有効成分としてユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の上記抽出物を有効量含み、
    上記血管新生に関係する眼疾患が、加齢性黄斑変性症、脈絡膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症または網膜静脈閉塞であることを特徴とする、血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  2. 上記ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)が、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク(Juniperus chinensis var. Shimpaku)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ(Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス キネンシス(原種)(Juniperus chinensis L. var. chinensis(原種))、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス タイワネンシス R.P.アダムス アンド C.F.シェ(Juniperus chinensis L. var. taiwanensis R.P.Adams&C.F.Hsieh)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス カイズカ ホルテンシス エクス エンドリヒャー(Juniperus chinensis L. var. kaizuka Hort. ex Endl.)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス ピラミダリス(カリエール)ホルテンシス エクス レーダー(Juniperus chinensis L. var. pyramidalis (Carr.) Hort. ex Rehd.)および/またはユニペルス キネンシス カルティバ フィッツェリアーナ グラウカ(Juniperus chinensis cv. Pfitzeriana Glauca)である請求項1に記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  3. 上記抽出物が、ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の根、幹、枝、葉および/またはこれらの組合せから抽出されたものである請求項1または2に記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  4. 上記抽出物がヤテインを含む請求項1〜のいずれかに記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  5. 上記ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)がユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ(Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry)であり、且つ、上記抽出物がエタノールで抽出されたものである請求項1〜のいずれかに記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  6. 上記抽出物が、ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の細枝および/または葉からエタノールで抽出されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  7. 上記医薬組成物が、さらに、薬学上許容される担体を含む請求項1〜のいずれかに記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法
  8. 血管新生に関係する眼疾患を治療するための方法であって、
    上記血管新生に関係する眼疾患が、加齢性黄斑変性症、脈絡膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症または網膜静脈閉塞であり、
    請求項1〜7のいずれかに記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物の製造方法により、上記抽出物を製造する工程、および、
    有効成分としてユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)を含む上記抽出物を、ヒトを除く動物に有効量投与する工程を含むことを特徴とする方法。
  9. 上記ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)が、ユニペルス キネンシス ワリエタス シンパク(Juniperus chinensis var. Shimpaku)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ(Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス キネンシス(原種)(Juniperus chinensis L. var. chinensis(原種))、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス タイワネンシス R.P.アダムス アンド C.F.シェ(Juniperus chinensis L. var. taiwanensis R.P.Adams&C.F.Hsieh)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス カイズカ ホルテンシス エクス エンドリヒャー(Juniperus chinensis L. var. kaizuka Hort. ex Endl.)、ユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス ピラミダリス(カリエール)ホルテンシス エクス レーダー(Juniperus chinensis L. var. pyramidalis (Carr.) Hort. ex Rehd.)および/またはユニペルス キネンシス カルティバ フィッツェリアーナ グラウカ(Juniperus chinensis cv. Pfitzeriana Glauca)である請求項に記載の方法。
  10. 上記抽出物が、ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の根、幹、枝、葉および/またはこれらの組合せから抽出されたものである請求項またはに記載の方法。
  11. 上記抽出物がヤテインを含む請求項10のいずれかに記載の方法。
  12. 上記ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)がユニペルス キネンシス リンネ ワリエタス サルゲンティ ヘンリイ(Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry)であり、且つ、上記抽出物がエタノールで抽出されたものである請求項11のいずれかに記載の方法。
  13. 上記抽出物が、ユニペルス キネンシス(Juniperus chinensis)の細枝および/または葉からエタノールで抽出されたものである請求項12のいずれかに記載の方法。
  14. 血管新生に関係する眼疾患を治療するための医薬組成物であって、
    有効成分として式(I)で表されるリグナンを有効量含み、
    [式中、R1は−Hまたは−OCH3を示し、R2は−Hまたは−OHを示し、R3は−H、−OHまたはβ−O−グルコシドを示し、R4は−Hまたは−OCH3を示す]
    上記血管新生に関係する眼疾患が、加齢性黄斑変性症、脈絡膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症または網膜静脈閉塞であることを特徴とする、血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物。
  15. 上記リグナンが、ヤテイン、5’−デスメトキシヤテイン、7’,7’−ジヒドロキシブルセヘルニン、5’−メトキシヤテイン、ポドリゾールまたはポドリゾール 4’−O−β−D−グルコピラノシドである請求項14に記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物。
  16. さらに、薬学上許容される担体を含む請求項14または15に記載の血管新生に関係する眼疾患の治療用医薬組成物。
  17. 血管新生に関係する眼疾患を治療するための方法であって、
    上記血管新生に関係する眼疾患が、加齢性黄斑変性症、脈絡膜血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症または網膜静脈閉塞であり、
    有効成分として式(I)で表されるリグナンを、ヒトを除く動物に有効量投与する工程を含むことを特徴とする方法。
    [式中、R1は−Hまたは−OCH3を示し、R2は−Hまたは−OHを示し、R3は−H、−OHまたはβ−O−グルコシドを示し、R4は−Hまたは−OCH3を示す]
  18. 上記リグナンが、ヤテイン、5’−デスメトキシヤテイン、7’,7’−ジヒドロキシブルセヘルニン、5’−メトキシヤテイン、ポドリゾールまたはポドリゾール 4’−O−β−D−グルコピラノシドである請求項17に記載の方法。
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