JP6264907B2 - 有底筒状形状を有する射出成形品及び成形方法 - Google Patents
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Description
ところで、このような射出成形法において、オレフィン系樹脂に代表される結晶性樹脂を用いて成形を行った場合には、反りが発生し易いという問題がある。即ち、冷却固化時の結晶化による収縮が大きく、これが反りの原因となっている。このような反りの発生は、有底筒状形状の成形品の開口端部において顕著である。例えば、各種回路などを備えた電子機器は箱型形状の筐体に収容されて使用に供されるが、筐体内部への電子機器の収納や筐体自身を構造物へ嵌合する場合、上記のような反りの発生はかなり深刻な問題である。
かかる方法は、シェル金型とコア金型とから形成される金型キャビティ内に溶融樹脂を充填した後、射出充填のためのスクリューによる加圧を停止し、金型に付設された圧縮機構(該特許文献ではロッド)を稼働させ、金型キャビティ内に充填された溶融樹脂をゲート側に押し戻し、この後、該圧縮機構による加圧を停止し、再びスクリュー可動させ、保圧しながら冷却固化するというものであり、該圧縮機構による加圧と保圧(樹脂圧)による加圧とにより金型キャビティ内での樹脂の配向を消失させ、この結果、反りの発生を防止できるというものである。
事実、特許文献2及び3の成形方法では本特許の実施例に記載されるような薄肉かつL/tの大きな寸法の成形品では端部に配置したスライド部材を射出圧力によって動かす事が出来なかった。また、これら特許文献は、大型肉厚成形品についての空隙(ボイド)の発生を防止することを目的としており、反り防止を目的とするものではない。
つまり特許文献4の手法は、該特許文献にもあるようにプリフォームといわれる小型かつ比較的粘度が小さい樹脂の成形品に向いており、大型の成形品や繊維状充填剤を含有した比較的粘度が大きい樹脂の成形品を圧縮するためには推進力の大きな圧縮機構が必要となってくる。
この大きな推進力を持ち合わせていない射出成形機や金型では射出成形機や金型内へ圧縮機構を追加する必要がありコストの増加へつながる。
θ=tan−1[ω/(M/2)] (1)
式中、ωは反り量を示し、
Mは、前記開口端部での幅を示す、
で表される反り角度θが−1.5〜1.5度の範囲にあることを特徴とする射出成形品が得られる。
本発明の成形方法で得られる射出成形品においては、
(1)前記矩形状開口端部の肉厚をt及び該矩形状開口端部と底部との間隔をLとしたとき、L/tが20以上であること、
(2)前記結晶性熱可塑性樹脂溶融物が繊維状充填材を含有していること、
(3)前記結晶性熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂であること、
が好ましい。
前記金型キャビティは、コア型、シェル型及び前記開口端部の形状に対応する面を有するスライド部材とにより形成され、該スライド部材を後退下限で待機せしめた後に該金型キャビティ内が結晶性熱可塑性樹脂の溶融物で充満した後、保圧をかけながら該スライド部材のみを押し込んで該溶融物を圧縮することを特徴とする成形方法が提供される。
しかるに、本発明においては、前記式(1)で定義される開口端部での反り角度θが−1.5〜1.5度の範囲にあり、極めて小さく、上記のような不都合は有効に回避されている。
特に、本発明においては、矩形状開口端部の肉厚(t)と矩形状開口端部と底部との間隔(L)との比(L/t)が20以上と極めて大きく、反りが発生し易いような形状を有している場合、開口端部での反りを有効に防止することができる。
本発明の射出成形体の代表的な形態を示す図1を参照して、この射出成形体1は、有底筒状形状を有しており、その開放端部10の形状は矩形状となっている。
このような射出成形体1において、開放端部10の反対側の面は、閉じられた面(底部)となっている。
かかる射出成形体1の形態は、開放端部10の形状が矩形となっている有底筒状形状であればよく、例えば、図1の例では、各面がフラットな平面となっている箱型形状を有しているが、このような形態に限定されず、各面が曲面となっていたり、各面が傾斜していたり、或いは各面に段差が形成されているような形態であってもよい。
具体的に説明すると、図2を参照して、本発明の射出成形体では、開放端部10における下記式(1)で表される反り角度θが−1.5〜1.5度、特に−1.0〜1.0度の範囲にあり、反りが有効に抑制されている。
θ=tan−1[ω/(M/2)] (1)
式中、ωは反り量を示し、
Mは、前記開口端部での幅を示す。
本発明の射出成形体1では、反り角度θが極めて小さな範囲内にあり、上記のような不都合を有効に回避できることとなる。
結晶性熱可塑性樹脂とは、固体状態で結晶化した部分を有しているものであり、融点及び軟化点を有しており、さらに、DSC測定の昇温時において、結晶化による発熱ピークを示すという点で、融点を有しておらず、結晶化による発熱ピークも示さない非晶性樹脂とは異なっている。即ち、このような結晶性熱可塑性樹脂を用いて成形される射出成形体1では、射出成形に際しての冷却固化工程で熱収縮に加えて結晶化による収縮が生じるため、反りが発生し易い。しかるに、本発明の射出成形体は、このような結晶性熱可塑性樹脂により成形されていながら、反りが有効に抑制されており、反り角度θが前述した小さな範囲にある。
本発明において、好適に使用される結晶性熱可塑性樹脂は、高い結晶性を示すという観点から、オレフィン系樹脂及びポリエステル樹脂であり、中でもポリプロピレンが好適である。
しかるに、このような繊維状の充填材が配合されている場合でも開放端部10での反り角度θが小さな範囲にあり、反りの発生が有効に防止され、本発明の効果が有効に発揮される。
上述した開口端部10での反り角度θが小さな範囲内に抑制されている本発明の射出成形体は、図3に示すプロセスで成形される。
尚、図では示されていないが、スライド型21は、エジェクタ等の押圧部材によって押し込み可能となっている。このスライド型21の先端面が前述した射出成形体1の開口端部10に対応する面となっている。
また、シェル型23は、割型構造を有しており、分割可能な割型23a,23bにより形成され、その割面(突合せ面)はAで示されている。
さらに、コア型20及びシェル型23(割型23a)等は、熱交換器等により適切な温度に保持されている。
尚、図3(a)及び(b)において、目的とする射出成形体1に対応するキャビティ25の形態は、シェル23の割型23aによって形成されるキャビティ25の形態(即ち、キャビティ25の端部が割型23a,23bの割面Aに対応しているキャビティの形態)が目的とする射出成形体1に対応している。
このようにして、スライド型21による圧縮と保圧との両方を行いながら、最終的にスライド型21は、割面Aの位置まで押し込まれ、ここで停止する。即ち、このように圧縮と保圧とが行われて、最終的に目的とする射出成形体1に対応する大きさのキャビティ25が形成され、スライド型21が停止した状態で溶融樹脂は冷却固化されていき、最後にスライド型21の押圧を停止し、スライド型21を初期位置に後退させると同時に、割型23aと23bとを離し、得られた射出成形体1を取り出すことにより、成形が完了する。
即ち、前述した特許文献2〜3では、スライド型のような部材を備えた可動金型を使用して射出成形が行われているものの、充填とともにスライド部材を後退させ金型容積を広げており本発明で示されるような複雑な形状をした薄肉成形品ではスライド部材を後退させる圧力が足りないどころか、金型構成の長大化、複雑化につながってしまう。
また、圧縮停止後、型内の溶融樹脂30が適切な温度まで降温し、固化した段階で、型から成形体1を取り出せばよい。
尚、以下の実験例では、図1に示す箱型形状を有しており、且つ開口端部10での幅Mが76mm、開口端部10での縦寸法(高さ)が20mm、厚みtが1.5mm、及び奥行Lが76mmの成形品を射出成形した。
射出成形機としては、東芝機械エンジニアリング(株)製射出成形機EC−100SXを使用し、下記の成形条件を採用した。
射出充填時間(初期状態のキャビティ25が満杯になるまでの時間):1.7秒
保圧時間:8.0秒
保圧力:50MPa
冷却時間(保圧解除後、型から成形体を取り出すまでの時間):8.0秒
金型温度(コア型20、スライド型21及びシェル型23の温度):40℃
成形用樹脂として、ポリプロピレン(プライムポリマー(株)製MA3)を用意した。
上記の樹脂を用い、図3に示す成形金型(初期キャビティ容積が射出成形体1の1.0%)を使用して上記の条件で射出成形を行い、射出充填後、保圧を加えた下記の条件でスライド型21を前進させて圧縮を行った。
圧縮量(スライド型21の前進距離):2mm
圧縮力:30kN
尚、圧縮力は、エジェクタピンによる設定押込力である。また、圧縮速度は適宜設定した。
得られた成形体について、開口端部10での反り角度θを以下の方法により測定し、その結果を表1に示した。
反り量が正の場合(開口端部10の中央部が凹んだ形状)には、マイクロメータ(ミツトヨ社製MHN3−25MJB)を使用し、反り量が負の場合(開口端部10の中央部が突出した形状)には、コントレーサ(東京精密社製1600DH)を使用して反り量を測定し、開口端部10の幅Mから反り角度θを算出した。
成形用樹脂として、ガラス繊維強化ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製LR−23C)を用意した。
授記の成形用樹脂を使用し、下記の圧縮条件を採用した以外は実施例1と同様にして射出成形を行った。得られた成形体の反り角度θを測定し、その結果を表1に示す。
圧縮量(スライド型21の前進距離):2mm
圧縮力:30kN
初期状態のキャビティ25の容積を射出成形体1の容積に対応させ、スライド部材21の前進による圧縮を行わなかった以外は、実施例1と同様にして射出成形を行った。得られた成形体の反り角度θを測定し、その結果を表1に示す。
初期状態のキャビティ25の容積を射出成形体1の容積に対応させ、スライド部材21の前進による圧縮を行わなかった以外は、実施例2と同様にして射出成形を行った。得られた成形体の反り角度θを測定し、その結果を表1に示す。
実施例1(PP):−0.81度
実施例2(ガラス繊維強化PP):0.89度
比較例1(PP):2.66度
比較例2(ガラス繊維強化PP):1.62度
10:開口端部
θ:反り角度
ω:そり量
Claims (2)
- 金型キャビティ内に結晶性熱可塑性樹脂の溶融物を射出充填することにより、開口端部の形状が矩形状である有底筒状の射出成形品を成形する方法において、
前記金型キャビティは、コア型、シェル型及び前記開口端部の形状に対応する面を有するスライド部材とにより形成され、該スライド部材を後退下限にて待機せしめた後に該金型キャビティ内が結晶性熱可塑性樹脂の溶融物で充満した後、保圧をかけながら該スライド部材のみを押し込んで該溶融物を圧縮することを特徴とする成形方法。 - 前記結晶性熱可塑性樹脂の溶融物には、繊維状充填材が配合されている請求項1に記載の成形方法。
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