JP6259732B2 - シートベルト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、前端側にウェビングが支持される伸縮部材をシート前側へ延ばすことによってウェビングを引出しやすくするシートベルト装置に関する。
伸縮部材がモータの駆動力によってシート上方へ延出されると共に、更に、伸縮部材の上端が更にシート前側へ傾動されるベルトリーチャを備えたシートベルト装置がある(一例として、下記特許文献1を参照)。このようなシートベルト装置では、伸縮部材が伸縮される際にシートに着座した乗員の身体によってシート幅方向中央側から押圧されると、モータと伸縮部材との間のギヤが通常よりも強く噛合うことがあり、その結果、モータの負荷が増加する可能性がある。
特許第4394468号公報
本発明は、上記事実を考慮して、伸縮部材に荷重が付与されても駆動手段の負荷の増加を防止又は抑制できるシートベルト装置を得ることが目的である。
請求項1に記載のシートベルト装置は、車両用のシートの上下方向に延びる乗員拘束用のウェビングと、ハウジングと、前記ハウジングの内側に設けられ、駆動手段からの駆動力が伝達されることによって長手方向に伸縮可能に形成されて前記ウェビングが先端側に係合されると共に、長手方向に対して交差する方向からの荷重によって前記ハウジングの内側で前記ハウジングに保持された回動の支点を中心に前記ハウジングに対して回動可能な伸縮部材と、前記伸縮部材の回動に追従して弾性変形され、弾性変形状態で前記駆動手段の駆動力を前記伸縮部材に伝達可能な駆動力伝達部材と、を備えている。
請求項1に記載のシートベルト装置では、伸縮部材が乗員や物によって伸縮部材の長手方向に対して交差する方向から押圧されると、乗員や物からの荷重によって伸縮部材が回動される。このため、伸縮部材に荷重が付与されても、伸縮部材は円滑に伸縮できる。さらに、このように伸縮部材が回動されると、これに追従して駆動力伝達部材が弾性変形され、この状態でも、駆動手段の駆動力は、駆動力伝達部材によって伸縮部材に伝達され、これによって、伸縮部材が伸縮される。このため、伸縮部材に荷重が付与された状態で駆動手段が駆動された際の駆動手段の負荷の増加を防止又は軽減できる。
また、本シートベルト装置では、伸縮部材の回動の支点が伸縮部材に設定される。このため、伸縮部材以外の部位に回動の支点が設定されて、この回動の支点に設けられた回動軸を伸縮部材に機械的に連結する構成に比べて装置全体がコンパクトになる。
請求項に記載のシートベルト装置は、請求項に記載のシートベルト装置において、前記回動の支点は、前記伸縮部材の基端側に設定されている。
請求項に記載のシートベルト装置では、伸縮部材の基端側に回動の支点が設定されるため、伸縮部材の先端側の回動量に対する伸縮部材の回動角度を小さくできる。これによって、伸縮部材の回動に応じた駆動力伝達部材の弾性変形を小さくでき、その結果、伸縮部材の回動状態で駆動手段の駆動力を円滑に伸縮部材に伝達できる。
請求項に記載のシートベルト装置は、車両用のシートの上下方向に延びる乗員拘束用のウェビングと、駆動手段からの駆動力が伝達されることによって長手方向に伸縮可能に形成されて前記ウェビングが先端側に係合されると共に、長手方向に対して交差する方向からの荷重によって回動可能とされると共に前記荷重によって撓曲可能とされた伸縮部材と、前記伸縮部材の回動及び撓曲に追従して弾性変形され、弾性変形状態で前記駆動手段の駆動力を前記伸縮部材に伝達可能な駆動力伝達部材と、を備えている。
請求項に記載のシートベルト装置では、伸縮部材が乗員や物によって伸縮部材の長手方向に対して交差する方向から押圧されると、乗員や物からの荷重によって伸縮部材が回動される。このため、伸縮部材に荷重が付与されても、伸縮部材は円滑に伸縮できる。さらに、このように伸縮部材が回動されると、これに追従して駆動力伝達部材が弾性変形され、この状態でも、駆動手段の駆動力は、駆動力伝達部材によって伸縮部材に伝達され、これによって、伸縮部材が伸縮される。このため、伸縮部材に荷重が付与された状態で駆動手段が駆動された際の駆動手段の負荷の増加を防止又は軽減できる。
しかも、伸縮部材は荷重を受けることによって回動できるのみならず撓曲も可能である。このため、伸縮部材が荷重によって撓曲されることによって荷重による伸縮部材の回動を小さくできる。このため、伸縮部材の回動に応じた駆動力伝達部材の弾性変形を小さくでき、その結果、伸縮部材の回動状態で駆動手段の駆動力を円滑に伸縮部材に伝達できる。
以上説明したように、本発明に係るシートベルト装置では、伸縮部材に荷重が付与された場合に駆動手段への負荷を軽減できる。
(A)は第1の本実施の形態に係るシートベルト装置のリーチャ装置の伸縮部材が延出された状態を示す平断面図であり(B)は伸縮部材が荷重によって伸縮部材が回動された状態を(A)に対応する平断面図である。 図1に示されるリーチャ装置を中心に示す側断面図である。 第1の実施の形態に係るシートベルト装置のウェビング巻取装置及びリーチャ装置とその周辺の構成を示す斜視図である。 リーチャ装置の伸縮部材が延出された状態を示す図3に対応する斜視図である。 第1の実施の形態に係るシートベルト装置及びこれが適用されたシートの正面図である。 乗員の身体にウェビングが装着された状態を示す図5に対応する正面図である。 駆動手段の制御ブロック図である。 (A)は第2の実施の形態に係るシートベルト装置のリーチャ装置の伸縮部材の前端側を示す平面図であり、(B)は伸縮部材が荷重によって撓んだ状態を示す平面図である。 第3の実施の形態に係るシートベルト装置のリーチャ装置の伸縮部材の後端側を示す側断面図である。
次に、本発明の各実施の形態を図1から図9に基づいて説明する。なお、各図において矢印FRはシート12の前側を示し、矢印LHはシート12に着座した乗員28から見て左側を示し、矢印UPはシート12の上側を示す。なお、以下の各実施の形態を説明するに際して、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
<第1の実施の形態の構成>
図3に示されるように、第1の実施の形態に係るシートベルト装置10は、車両の後部座席のベンチタイプのシート12における着座位置に対応して設けられている。なお、本実施の形態では、シートベルト装置10がシート12の右側の着座位置に対応しているものとして説明する。シートベルト装置10は、ウェビング巻取装置14を備えている。ウェビング巻取装置14はシート12のシートバック16の後側で車体に固定されるフレーム18を備えている。
フレーム18はシート12の左右方向に対向する一対の側板20を備えており、一対の側板20の間にはスプール(図示省略)がシート12の左右方向を軸方向とする軸周りに回転可能に設けられている。スプールには乗員装着用のウェビング22の長手方向基端部が係止されており、スプールがウェビング巻取方向に回転されることによってウェビング22がスプールの外周部に巻取られて格納される。また、ウェビング巻取装置14は、スプールをウェビング巻取方向に付勢するぜんまいばね、車両緊急時にスプールのウェビング引出方向の回転を阻止するロック機構、車両緊急時にスプールを強制的にウェビング巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構等が設けられている。
ウェビング22は、フレーム18の上板24に形成されたスリット26を貫通してフレーム18の上側に引出されている。さらに、ウェビング22は、シート12における乗員28の着座位置の右側でシートバック16の上側を通り、更に、図6に示されるように、シートバック16の前面に沿ってシート12の下側へ引出されている。ウェビング22の先端側は、シート12の側方(右側)を通り、シート12のシートクッション30の下側で車体に固定されたアンカプレート32に連結されている。また、ウェビング22の中間部にはタング34がウェビング22の長手方向に移動可能に設けられている。具体的には、タング34にはスリットが形成されており、ウェビング22がタング34のスリットを貫通している。
シート12における乗員28の着座位置の左側にはバックル36が設けられている。バックル36は、シートクッション30を上下に貫通するスリットに設けられ、バックル36の下端はシートクッション30の下側で車体に固定されている。図8に示されるように、乗員28の身体にウェビング22が掛回された状態でタング34がバックル36に挿入されることによって乗員28の身体にウェビング22が装着される。
一方、図3に示されるように、シート12のシートバック16の上部にはリーチャ装置40が設けられている。図2に示されるように、リーチャ装置40はハウジング42を備えており、ハウジング42の内側におけるシートバック16よりも上側には、伸縮部材としてのテレスコピック機構44が設けられている。テレスコピック機構44は円筒部材46、48及びロッド50を備えている。
円筒部材46、48及びロッド50の軸方向はシート12の前後方向に沿っている。円筒部材46はハウジング42内に形成された配置部71の支持台73上に設けられており、円筒部材46の内側には円筒部材48がシート12の前方へ移動可能に収容されている。円筒部材48の内側にはロッド50がシート12の前方へ移動可能に収容されている。ロッド50は可撓性を有する棒状に形成されており、図1(B)に示されるように、ロッド50は側方からの荷重を受けることによって弾性的に撓曲できる。このロッド50の前端にはリーチャヘッド52が固定されている。図2に示されるように、リーチャヘッド52における円筒部材46、48及びロッド50よりも上側には、シート12の前後方向に貫通した貫通孔54が形成されている。貫通孔54にはウェビング22が貫通されており、図5に示されるように、ウェビング22はリーチャヘッド52よりも前側でシートバック16の前面に沿って下側へ延びている。
図2に示されるように、テレスコピック機構44の下側には駆動手段としてのモータ56が設けられており、モータ56の側方にはギヤボックス58が設けられている。ギヤボックス58には駆動力伝機構を構成する減速ギヤ列が収容されており、モータ56の出力軸はギヤボックス58内の減速ギヤ列の入力ギヤに連結されている。また、リーチャ装置40はギヤボックス58内の減速ギヤ列と共に駆動力伝達機構を構成するピニオンギヤ60を備えている。ピニオンギヤ60はギヤボックス58内の減速ギヤ列の出力ギヤに連結されている。図1(A)に示されるように、モータ56の駆動力が減速ギヤ列を介してピニオンギヤ60に伝わることによって、ピニオンギヤ60が送出方向(図1(A)の矢印B方向)又は引戻方向(図1(A)の矢印C方向)へ回転される。
図7に示されるように、モータ56は、制御装置62を介して車両に搭載されたバッテリー64に電気的に接続されている。制御装置62は、シート12の右側のドアの開閉に伴いON、OFFされるカーテシスイッチ66に電気的に接続されていると共に、バックル36に設けられたバックルスイッチ68に電気的に接続されている。車両のドアの開放と、その後のドアの閉止に応じたカーテシスイッチ66のON、OFFが制御装置62に入力されると、モータ56は制御装置62によって駆動され、これによって、ピニオンギヤ60が送出方向へ回転される。これに対して、タング34がバックル36に挿入されたことをバックルスイッチ68が検出すると、モータ56は制御装置62によって駆動され、これによって、ピニオンギヤ60が引戻方向へ回転される。
また、図1及び図2に示されるように、リーチャ装置40は、駆動力伝達部材としてギヤボックス58内の減速ギヤ列やピニオンギヤ60と共に駆動力伝達機構を構成するフレキシブルラック70を備えている。フレキシブルラック70は、合成樹脂材によって撓曲可能な長尺状に形成されており、フレキシブルラック70の長手方向先端は、ロッド50の基端に固定されている。また、図1に示されるように、フレキシブルラック70の幅方向一側の側面にはラック歯が形成されており、フレキシブルラック70のラック歯はピニオンギヤ60に噛合っている。
モータ56から出力された正転駆動力によってピニオンギヤ60が送出方向(図1(A)の矢印B方向)へ回転されると、ロッド50がフレキシブルラック70によってシート12の前側へ押圧されて移動される。ロッド50が円筒部材48の先端から一定長さ延出されると、次いで、円筒部材48が円筒部材46の先端からシート12の前側へ延出される。これに対して、ピニオンギヤ60が引戻方向(図1(A)の矢印C方向)へ回転されると、ロッド50がフレキシブルラック70によってシート12の後側へ引張られる。これによって、ロッド50が円筒部材48の内側へ収容されて、円筒部材48が円筒部材46の内側へ収容される。
さらに、図2に示されるように、リーチャ装置40はリール72を備えている。リール72はギヤボックス58内の減速ギヤ列のギヤに連結されており、モータ56の駆動力によって引出方向(図2の矢印D方向)又は巻取方向(図2の矢印E方向)へ回転される。モータ56の駆動力によってピニオンギヤ60が送出方向へ回転されると、リール72は引出方向へ回転され、モータ56の駆動力によってピニオンギヤ60が引戻方向へ回転されると、リール72は巻取方向へ回転される。
一方、図2に示されるように、テレスコピック機構44の円筒部材46の基端部近傍には回動の支点としての一対の回動軸74が形成されている。これらの回動軸74は、軸方向がシート12の上下方向に沿っている。一方の回動軸74は円筒部材46から上方へ突出形成されており、ハウジング42の上壁76に形成された孔部78に回動可能に挿入されている。これに対して、他方の回動軸74は円筒部材46から下方へ突出形成されており、支持台73に形成された孔部80に回動可能に挿入されている。これによって、円筒部材46は回動軸74周りに左右に回動できる。
また、図1に示されるように、支持台73上の円筒部材46の左側にはストッパ82が形成されている。ストッパ82は回動軸74よりも前側に形成されており、円筒部材46はストッパ82に当接されることによって、それ以上左側へ回動されることが阻止される。これに対して、支持台73上の円筒部材46の右側には復帰手段の一例であるリターンスプリング84が設けられている。リターンスプリング84は、一端が右側の係止壁86に係止されていると共に、他端が付勢力で円筒部材46に圧接している。
<第1の実施の形態の作用、効果>
乗員28が乗車するために、車両のドアが開閉されて、乗員28がシート12に着座すると、ドアの開閉に伴うカーテシスイッチ66のON、OFFが制御装置62に入力される。これによって、モータ56が制御装置62によって駆動されると、モータ56の駆動力によってピニオンギヤ60が送出方向へ回転されると共に、リール72が引出方向へ回転される。これによって、フレキシブルラック70の先端側がシート12の前側へ移動されると、テレスコピック機構44のロッド50が円筒部材48に対してシート12の前側へ移動される。
ロッド50が円筒部材48の先端から一定長さ延出されると、次いで、円筒部材48が円筒部材46の先端からシート12の前側へ延出される。このようにして、ロッド50や円筒部材48がシート12の前側へ延出されたテレスコピック機構44の延出状態では、ロッド50の先端に固定されたリーチャヘッド52がシートバック16の上端よりもシート12の前側へ移動される。
リーチャヘッド52の貫通孔54にはウェビング22がシート12の後側から貫通されて、シートバック16に沿ってシート12の下側へ延びている。このため、図4に示されるように、リーチャヘッド52がシートバック16の上端よりもシート12の前側へ移動されることによって、シートバック16の上端側ではウェビング22がシートバック16よりもシート12の前側へ移動される。これによって、シート12に着座した乗員28はウェビング22を装着するためにタング34を容易に掴むことができる。
次に、タング34がバックル36に挿入され、これがバックルスイッチ68によって検出されると、モータ56が制御装置62によって逆転駆動される。これによって、ピニオンギヤ60が引戻方向へ回転されると共に、リール72が巻取方向へ回転される。これによって、フレキシブルラック70の先端側がシート12の後側へ移動されると、テレスコピック機構44のロッド50がフレキシブルラック70によってシート12の後側へ引張られて円筒部材48内に収納されて円筒部材48が円筒部材46に収納される。このようにして、リーチャヘッド52がロッド50や円筒部材48と共に元の位置に戻ると、図6に示されるように、ウェビング22が乗員28の身体にフィットするように装着される。
ここで、例えば、ロッド50が円筒部材48から延出された状態で、ロッド50や円筒部材48が乗員28によって左側から押圧されると、図1(A)に示されるように、ロッド50には左側からの荷重Fが付与される。これによって、ロッド50及び円筒部材46、48全体が円筒部材46に形成された回動軸74を中心に右側(図1(B)の矢印G方向)へ回動される。このため、この状態で円筒部材48が円筒部材46から延出されていない状態であれば、円筒部材48は円筒部材46から円滑に延出できる。また、円筒部材48が円筒部材46から延出された状態であれば、円筒部材48は円筒部材46内へ円滑に収容される。
また、この状態では、フレキシブルラック70における円筒部材46の基端部の近傍部分で適宜に弾性的に撓曲されて、テレスコピック機構44の回動に追従される。このため、ロッド50及び円筒部材46、48が回動された状態でモータ56が駆動されても、フレキシブルラック70の先端側は円滑にその長手方向に移動でき、その結果、テレスコピック機構44は円滑に伸縮される。これによって、ロッド50に荷重Fが付与された際の、モータ56の負荷の増加を防止又は軽減できる。また、このように、乗員28の身体がロッド50に当たるとテレスコピック機構44が回動されるので、テレスコピック機構44から乗員28の身体への反力を軽減でき、テレスコピック機構44から乗員28への負荷の増加を防止又は軽減でき、その結果、乗員28に与える不快感等を軽減できる。
また、円筒部材48から延出されたロッド50に荷重Fが付与されると、ロッド50自身が図1(B)の矢印H方向へ弾性的に撓曲される。このため、回動軸74を中心とするロッド50及び円筒部材46、48が回動角度は、ロッド50の撓曲分だけ小さくなる。その結果、円筒部材46の基端部近傍におけるフレキシブルラック70の撓曲が小さくなる。これによって、フレキシブルラック70の先端側は更に円滑にその長手方向に移動でき、その結果、テレスコピック機構44は更に円滑に伸縮できる。
さらに、本実施の形態では、延出状態のテレスコピック機構44が円筒部材46の基端側の回動軸74を中心に回動される。このため、円筒部材46の基端側はロッド50の先端側に比べてシート12の左右方向の移動量が少ない。これによって、円筒部材46の基端部近傍でフレキシブルラック70の変形量を小さくできる。また、回動軸74が円筒部材46の基端側に設けられているため、ロッド50の左右方向の移動量に対してテレスコピック機構44の回動角度を小さくできる。このため、円筒部材46の基端部近傍におけるフレキシブルラック70の撓曲を更に小さくでき、これによって、フレキシブルラック70の先端側は更に円滑にその長手方向に移動でき、その結果、テレスコピック機構44は更に円滑に伸縮できる。しかも、円筒部材48に対するロッド50の伸縮途中や、円筒部材46に対する円筒部材48の伸縮途中であっても、ロッド50及び円筒部材46、48全体が回動軸74を中心に回動できる。
さらに、ロッド50への荷重Fの付与が解消されると、円筒部材46がストッパ82に当接するまでテレスコピック機構44がリターンスプリング84の付勢力によって回動される。これによって、テレスコピック機構44を容易に元の状態に戻すことができる。
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、テレスコピック機構44のロッド50が円筒状のロッド後部50Aと、円筒状のロッド前部50Bとによって構成されている。ロッド後部50Aの前端部には弾性連結部材としてのコイルばね92の後端部が挿入されており、コイルばね92の後端部はロッド後部50Aの内側で接着剤や溶接等の接合手段によってロッド後部50Aに固定されている。
コイルばね92の前端部はロッド前部50Bの内側に挿入されており、ロッド前部50Bの内側で接着剤や溶接等の接合手段によってロッド後部50Aに固定されている。コイルばね92は、少なくとも、ロッド前部50Bの質量及びリーチャヘッド52の質量で弾性変形しない程度の曲げ剛性を有しており、このため、ロッド前部50Bに軸直交方向からの荷重が作用しない状態では、ロッド後部50Aとロッド前部50Bとが直線上に並ぶ。
本実施の形態では、ロッド50が円筒部材48(図8では図示省略)から延出された状態で、ロッド50のロッド前部50Bが乗員28によって左側から押圧されると、図8(A)に示されるように、ロッド前部50Bには左側からの荷重Fが付与される。この荷重Fによって、コイルばね92が右側へ弾性変形されて、ロッド前部50Bがロッド後部50Aに対して右側(図8の矢印H方向)へ回動される。このため、ロッド前部50Bから乗員28の身体への反力を軽減でき、ロッド前部50Bから乗員28への負荷の増加を防止又は軽減でき、その結果、乗員28に与える不快感等を軽減できる。
また、このような荷重Fが解消されると、コイルばね92が弾性的に復元されて元の状態に戻り、ロッド後部50Aとロッド前部50Bとが直線上に並ぶ。これによって、ロッド50を円筒部材48内へ円滑に収納できる。
なお、本実施の形態では、ロッド50がロッド後部50Aとロッド前部50Bとに2分割されて、ロッド後部50Aとロッド前部50Bとが弾性連結部材としてのコイルばね92によって連結された構成であった。しかしながら、ロッド50が3以上に分割されて、分割された各々が弾性連結部材によって連結される構成であってもよい。さらには、例えば、ロッド50全体がコイルばねによって構成されてもよい。
<第3の実施の形態>
次に第3の実施の形態について説明する。
図9に示されるように、本実施の形態では、ハウジング42(図9では図示省略)内に形成された配置部71の支持台73と、テレスコピック機構44の円筒部材46とがボールジョイント102によって連結されている。ボールジョイント102は、ボールスタッド104を備えている。ボールスタッド104は円錐台形状のベース部106を備えており、ベース部106が配置部71の支持台73に固定されている。ベース部106の上端には、回動の支点としての球形状のボール部108が形成されている。
一方、ボールジョイント102はソケット110を備えている。ソケット110は円筒部材46の下側で円筒部材46の後端部に固定されている。ソケット110は、ボールスタッド104のボール部108を上方から覆うようにボール部108に球面接触している。これによって、本実施の形態では、テレスコピック機構44がボールスタッド104のボール部108を中心に、左右方向のみならず、上下方向にも回動可能とされている。
このため、例えば、ロッド50が円筒部材48(図9では図示省略)から延出された状態で、ロッド50のロッド前部50Bが乗員28によって左下側から押圧されると、テレスコピック機構44は、ボールスタッド104のボール部108を中心に右上方へ回動される。このように、本実施の形態では、円筒部材46、48やロッド50が受ける荷重の方向に適した向きへテレスコピック機構44が回動できる。このため、ロッド50から乗員28の身体への反力を効果的に軽減でき、ロッド50から乗員28への負荷の増加を効果的に防止又は軽減でき、その結果、乗員28に与える不快感等を効果的に軽減できる。
このように、テレスコピック機構44の回動方向は、シート12の左右方向に限定されることなく、シート12の上下方向であってもよい。また、テレスコピック機構44の延出方向がシート12の斜め前上側等の場合には、テレスコピック機構44の回動方向がシート12の前後方向であってもよい。
また、本実施の形態は、車両の後部座席としてのシート12用のシートベルト装置10に本発明を適用した。しかしながら、運転席や助手席等の他の座席に本発明を適用してもよい。
さらに、本実施の形態では、リール72とピニオンギヤ60とが同じモータ56の駆動力で回転する構成であった。しかしながら、例えば、リール72が渦巻きばね等の付勢手段の付勢力によって巻取方向へ付勢され、モータ56の駆動力で回転するピニオンギヤ60が付勢手段の付勢力に抗してフレキシブルラック70をリール72から引出す構成としてもよい。すなわち、ピニオンギヤ60を回転させるためのモータ56の駆動力とは別の駆動力でリール72を回転させる構成としてもよい。
また、本実施の形態では、フレキシブルラック70の基端側はリール72に巻取られる構成であったが、リール72等のフレキシブルラック70の基端側を巻取る巻取手段や、フレキシブルラック70の基端側を格納する格納手段を設けない構成としてもよい。
さらに、本実施の形態では、フレキシブルラック70の先端がロッド50の基端に固定されて、ロッド50がフレキシブルラック70によって円筒部材48に対してシート12の前後方向へ移動される構成であった。しかしながら、例えば、ワイヤの先端をロッド50の基端に固定して、モータ56の駆動力によってワイヤの先端側をシート12の前後方向に移動させることによってロッド50がシート12の前後方向へ移動される構成としてもよく、ロッド50を円筒部材48に対して移動させるための構成はフレキシブルラック70に限定されるものではない。
10 シートベルト装置
12 シート
22 ウェビング
28 乗員
44 テレスコピック機構(伸縮部材)
56 モータ(駆動手段)
70 フレキシブルラック(駆動力伝達部材)
74 回動軸(回動の支点)
108 ボール部(回動の支点)

Claims (3)

  1. 車両用のシートの上下方向に延びる乗員拘束用のウェビングと、
    ハウジングと、
    前記ハウジングの内側に設けられ、駆動手段からの駆動力が伝達されることによって長手方向に伸縮可能に形成されて前記ウェビングが先端側に係合されると共に、長手方向に対して交差する方向からの荷重によって前記ハウジングの内側で前記ハウジングに保持された回動の支点を中心に前記ハウジングに対して回動可能な伸縮部材と、
    前記伸縮部材の回動に追従して弾性変形され、弾性変形状態で前記駆動手段の駆動力を前記伸縮部材に伝達可能な駆動力伝達部材と、
    を備えるシートベルト装置。
  2. 前記回動の支点は、前記伸縮部材の基端側に設定された請求項に記載のシートベルト装置。
  3. 車両用のシートの上下方向に延びる乗員拘束用のウェビングと、
    駆動手段からの駆動力が伝達されることによって長手方向に伸縮可能に形成されて前記ウェビングが先端側に係合されると共に、長手方向に対して交差する方向からの荷重によって回動可能とされると共に前記荷重によって撓曲可能とされた伸縮部材と、
    前記伸縮部材の回動及び撓曲に追従して弾性変形され、弾性変形状態で前記駆動手段の駆動力を前記伸縮部材に伝達可能な駆動力伝達部材と、
    を備えるシートベルト装置。
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