JP6257548B2 - 産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙 - Google Patents
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Description
特許文献3のインクジェット記録用紙は、インク溶媒吸収遅延層によってコックリングを抑えることができるが、産業用インクジェット印刷機に対するインク吸収性を有する点やインク滴の濃度ムラを抑える点で不十分である。これは、インク溶媒吸収遅延層の存在によって、原紙の溶媒吸収力が活用できず、無定型シリカを有するインク受容層だけでインク吸収性を得るためと推察される。さらに、シリカなどの多孔質顔料を多用すると、塗工層の強度が低下するために商業印刷物としてはあまり好ましくない。
すなわち前記目的は、原紙と、前記原紙の少なくとも片面にカオリン、ラテックスおよびポリビニルアルコールを少なくとも含有する下層と、さらに原紙を基準として前記下層上に顔料およびバインダーを少なくとも含有するインク受容層を1層以上と、を有し、前記原紙が、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度15秒以上60秒以下、およびJIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度5g/m2以上20g/m2以下であることを特徴とする産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙によって達成される。
本発明の原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、DIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選択されるセルロースパルプを少なくとも1種と、必要に応じて填料、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤などの各種添加剤とを含有する紙料から、酸性、中性、アルカリ性の従来公知の方法で抄造された紙である。
本発明の塗工紙は、カオリン、ラテックスおよびポリビニルアルコールを少なくとも含有する。
カオリンは、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイトなどの1種以上から成る粘土鉱物である。ラテックスは、液中に樹脂が分散した樹脂組成物である。ポリビニルアルコールは、本明細書の記載においてポリビニルアルコール類の総称を意味し、各種ケン化度のポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコールおよび部分的に官能基が導入されたポリビニルアルコール、並びにこれらの各種重合度のポリビニルアルコールなどを含む。
本発明の塗工紙は、原紙を基準として下層上に顔料およびバインダーを少なくとも含有するインク受容層を1層以上有する。
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1.0質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2.0質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)を2.5g/m2、スチレン−アクリル酸共重合体の表面サイズ剤(ハリマ化成社製、ハーサイズLX530)を0.04g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に、原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。最終的に得られた原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は20秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は10g/m2であった。
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)10質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1.0質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)1.4質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)を2.5g/m2、スチレン−アクリル酸共重合体の表面サイズ剤(ハリマ化成社製、ハーサイズLX530)を0.04g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に、原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。最終的に得られた原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は15秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は20g/m2であった。
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)3質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1.0質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2.5質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたり酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)を2.5g/m2、スチレン−アクリル酸共重合体の表面サイズ剤(ハリマ化成社製、ハーサイズLX530)を0.04g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に、原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。最終的に得られた原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は40秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は5g/m2であった。
濾水度350mlcsfのLBKP70質量部と濾水度350mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP222HS)8質量部、酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)0.8質量部、硫酸バンド1.0質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(荒川化学工業社製、SPK903)1.4質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたりリン酸エステル化澱粉(日本食品化工社製、MS4600)を2.5g/m2、オレフィン樹脂の表面サイズ剤(荒川化学工業社製、ポリマロン477)を0.02g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に、原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。最終的に得られた原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は15秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は25g/m2であった。
濾水度450mlcsfのLBKP70質量部と濾水度450mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料としてタルク(兵庫クレー社製、兵庫タルク)8質量部、酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)0.6質量部、硫酸バンド1.0質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AD1602)1.2質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたりリン酸エステル化澱粉(日本食品化工社製、MS4600)を2.0g/m2、ワックスエマルションの表面サイズ剤(ハリマ化成社製、C300)を0.06g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は10秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は20g/m2であった。
濾水度350mlcsfのLBKP70質量部と濾水度350mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP222HS)1質量部、酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)0.8質量部、硫酸バンド1.0質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(荒川化学工業社製、SPK903)3.0質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたりリン酸エステル化澱粉(日本食品化工社製、MS4600)を2.5g/m2、オレフィン樹脂の表面サイズ剤(荒川化学工業社製、ポリマロン477)を0.06g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に、原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。最終的に得られた原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は50秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は3g/m2であった。
濾水度450mlcsfのLBKP70質量部と濾水度450mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料としてタルク(兵庫クレー社製、兵庫タルク)1質量部、酸化澱粉(日本食品化工社製、MS3800)0.6質量部、硫酸バンド1.0質量部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AD1602)3.0質量部を添加した紙料を、長網抄紙機で抄造した。得られた抄造紙に、サイズプレス装置で両面あたりリン酸エステル化澱粉(日本食品化工社製、MS4600)を2.0g/m2、ワックスエマルションの表面サイズ剤(ハリマ化成社製、C300)を0.02g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。最終的に、原紙の坪量が60g/m2および密度が0.75g/cm3になるように抄造条件等を調整した。最終的に得られた原紙の、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度は80秒、JIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度は5g/m2であった。
水に対して、カオリン(BASF社製、NUCLAY)、重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、エスカロン#1500)、ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA104A)およびラテックスとしてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBR)(旭化成ケミカルズ社製、EA094)またはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス(NBR)(日本ゼオン社製、NIPOL1571C2)を表1記載の質量部で混合して、下層塗工液を調製した。
水に対して、重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、エスカロン#1500)50質量部、カオリン(日成共益社製、ハイドラファイン90)50質量部およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(旭化成ケミカルズ社製、EA094)10質量部を混合して、インク受容層塗工液を調製した。
原紙の両面に、ブレードコーターを用いて下層塗工液を塗工し、塗工後熱風乾燥機で乾燥した。続いて下層上に、エアーナイフコーターを用いてインク受容層塗工液を塗工し、塗工後熱風乾燥機で乾燥した。原紙と下層塗工液との組み合わせ、および下層とインク受容層との塗工量については表に記載した。
各実施例および各比較例で得られた塗工紙に対して、ミヤコシ社製の産業用インクジェット印刷機MJP20Fによって、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色の10cm×40cmの各ベタ印刷部が30cm間隔でレイアウトされた評価画像を用いて、印刷速度150m/分で印刷を行った。印刷後、塗工紙に発生するコックリングの状態を下記の3段階により目視で評価した。本発明において、評価2または3であれば、塗工紙はコックリングを抑制できるものとする。
3:コックリングがほとんど認められず、良好である。
2:コックリングが僅かに認められるが、実用上問題無い程度である。
1:コックリングが認められ、実用上問題になる程度である。
各実施例および各比較例で得られた塗工紙に対して、ミヤコシ社製の産業用インクジェット印刷機MJP20Fによって、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色の4cm×4cm各ベタ印刷部がタテヨコ接してレイアウトされた評価画像を用いて、印刷速度150m/分で印刷を行った。印刷後の印刷機および印刷物の汚染具合を下記の3段階により目視で評価した。本発明において、評価2または3であれば、塗工紙は産業用インクジェット印刷機に対応するインク吸収性を有するものとする。
3:汚染がほとんど認められず、良好である。
2:汚染が僅かに認められるが、実用上問題無い程度である。
1:汚染が認められ、実用上問題になる程度である。
各実施例および各比較例で得られた塗工紙に対して、ミヤコシ社製の産業用インクジェット印刷機MJP20Fによって、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色の10cm×40cmの20濃度%網点画像が30cm間隔でレイアウトされた評価画像を用いて、印刷速度150m/分で印刷を行った。印刷後、塗工紙のマイクロスコープで観察し、インク滴の濃度ムラの状態を下記の3段階により目視で評価した。本発明において、評価2または3であれば、塗工紙はインク滴の濃度ムラを軽減するものとする。
3:インク滴の濃度ムラがほとんど認められず、良好である。
2:インク滴の濃度ムラが認められるが、実用上問題無い程度である。
1:インク滴の濃度ムラが認められ、実用上問題になる程度である。
Claims (2)
- 原紙と、前記原紙の少なくとも片面にカオリン、ラテックスおよびポリビニルアルコールを少なくとも含有する下層と、さらに原紙を基準として前記下層上に顔料およびバインダーを少なくとも含有するインク受容層を1層以上と、を有し、
前記下層の塗工量が片面あたり2g/m 2 以上10g/m 2 以下および前記インク受容層の塗工量が片面あたり4g/m 2 以上25g/m 2 以下であり、前記下層においてカオリンの含有量が下層中の白色顔料に対して60質量%以上であり、前記下層においてカオリン以外の白色顔料が重質炭酸カルシウムであり、
前記原紙が、JIS P 8122:2004に準拠して求められるステキヒトサイズ度15秒以上60秒以下、およびJIS P 8140:1998に準拠して求められる接触時間10秒間のコッブサイズ度5g/m2以上20g/m2以下であることを特徴とする産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。 - 前記下層中におけるラテックスとポリビニルアルコールとの質量比が、ラテックス:ポリビニルアルコール=40:60〜90:10である請求項1に記載の産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙。
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