JP6257417B2 - 非磁性遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材及び鋼線 - Google Patents

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本発明は、遊技球用材料に関わり、優れた表面硬化性と非磁性を必要とする遊技球用のオーステナイト系ステンレス鋼線材及び鋼線に関するものである。
従来、遊技球には、Fe−C系を代表とする鋼が使用されてきた。しかし、Fe−C系の鋼は、耐食性が劣るため、ヘッダー加工により球成形されるステンレス鋼製の遊技球が、検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、Fe−C系や成分調整されていないステンレス鋼の遊技球は、着磁性を持つため、ノイズによる遊技機の誤作動やゴト等の不正が生じるため、封入式の遊技機が検討されている。そのときの遊技球として、非磁性のステンレス鋼(例えば、特許文献3参照)を使用した非磁性遊技球が検討されている(例えば、特許文献4参照)。
また、遊技球には、玉同士が衝突しても変化しないことや、摩耗防止のため、球が高硬度であることが求められ、遊技球に、クロムめっき、イオン窒化、CVDコーティング、無電解Niめっき等の表面硬化処理が施されてきた(例えば、特許文献5、6参照)。しかしながら、通常、加工されたままのステンレス鋼遊技球表面は、酸化皮膜を有するため、事前に前酸洗処理等が実施されており、表面硬化処理の効率化に問題があった。
一方、表面硬化処理の前酸洗処理を不要とするため、尿素を使用して窒化処理を施して、5〜25μm厚さの表面硬化層を効率良く、3〜10時間程度で得ること(例えば、特許文献7参照)、フッ素を使用して浸炭又は窒化処理等すること(例えば、特許文献8参照)が検討されている。
しかしながら、従来のステンレス鋼を利用して、浸炭や窒化処理等の従来の表面硬化処理により、遊技球を製造する場合、鍛造加工後に安定して非磁性が得られない、球成形時に加工割れが生じる、球成形後の表面硬化処理時間が長いといった問題がある。
特開平07−316748号公報 特開平08−218150号公報 特開2002−60838号公報 特開2013−42812号公報(特許第5300937号公報) 特開平09−209117号公報 特開平10−110269号公報 特開2013−112844号公報 特許第4358892号公報
本発明は、球加工性が良好で、尿素、前酸洗等の特殊処理を必要とせず、単時間の従来表面硬化プロセスで効率良く表面硬化層(例えば、25μm厚さで、750Hvの表面硬化層)を得ることが可能で、且つ、遊技球で非磁性が得られる素材として好適なオーステナイト系ステンレス鋼線材及び鋼線を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、オーステナイト系ステンレス鋼において、成分組成を種々検討した。その結果、S量を規制することで、球加工性を確保することができ、成分調整することで、オーステナイト組織の安定度を加工後も非磁性(着磁性無し)を安定的に保つことができ、更に、Si、Al、Cr、Bの含有量から計算される表面活性化指標やMn成分を調整することで、4時間以下(600℃付近)の窒化、浸炭や浸炭窒化等の一般の表面硬化処理で、Hv≧700、厚さ≧25μmの表面硬化層を効率的に得ることができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.15%以下、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.3〜20.0%、P:0.06%以下、S:0.01%以下、Ni:3.0〜30.0%、Cr:14.0〜20.0%、Cu:4.0%以下、Mo:4.0%以下、N:0.40%以下、Al:0.001〜1.0%、B:0.0050%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物で構成され、C+N:0.02〜0.50%であり、且つ、下記式(a)で表わされるオーステナイト組織の安定度の指標:Md30値が0以下、且つ、下記式(b)で表わされる不動態被膜の安定度の指標:FI値が2.5未満であることを特徴とする表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
−13.7Cr−29(Ni+Cu)−18.5Mo ・・・(a)
FI=3Si+20Al+Cr/50+100B ・・・(b)
ただし、C、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、Mo、Al、Bは、それぞれの元素の含有率(質量%)を示す。
(2)更に、質量%で、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、Ti:1.0%以下、W:1.0%以下、Ta:1.0%以下、Zr:1.0%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
(3)更に、質量%で、Co:2.0%以下を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
(4)更に、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、Hf:0.01%以下、REM:0.05%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼線材を用いて製造されたことを特徴とする表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線。
本発明のステンレス鋼線材又は鋼線は、遊技球への加工性に優れ、且つ、加工後も非磁性、耐食性を確保でき、窒化等の汎用の硬化処理で効率良く表面硬化することができる。そのため、耐食性と耐摩耗性(表面高硬度)に優れる非磁性の遊技球を安価・大量に提供することができる。
鋼材のFI値と表面硬化層厚さの関係を示す図である。
遊技球の用途では、球成形性、非磁性、球同士の衝突時の無変形特性や耐摩耗性が求められる。以下に、上記用途に使用される本発明のオーステナイト系ステンレス鋼線材又は鋼線の成分組成について説明する。なお、特に注記しない場合、「%」は「質量%」を意味する。
Cは、球同士が衝突しても変形しないために添加するが、0.15%を超えて添加するとCr炭化物が生成し、耐食性が劣化するばかりか、球成形時に加工割れが生じる。そのため、上限を0.15%にする。好ましい範囲は、0.05〜0.12%である。
Siは、脱酸のために0.05%以上添加する。しかしながら、1.0%を超えて添加すると球成形性が劣るばかりか、表面硬化処理時に表面が非活性化して、表面硬化処理時間が長くなる。そのため、上限を1.0%にする。好ましい範囲は、0.1〜0.5%である。
Mnは、球成形後のオーステナイトの安定度を高めて非磁性を得るために、また、球成形時の加工硬化を促進して表面硬化層の硬さを上昇させるために、0.3%以上添加する。しかしながら、20.0%を超えて添加すると、球成形性が劣化するばかりか、表面硬化処理時に表面が非活性化して、表面硬化処理時間が長くなる。そのため、上限を20.0%にする。好ましい範囲は、5.0〜15.0%である。
Pは、球成形性を確保するために0.06%以下にする。しかしながら、工業的にPをゼロにすることは困難なことから、好ましい範囲は、0.01〜0.045%である。
Sは、線材の熱間製造性及び球成形性を確保するために0.01%以下にする。しかしながら、工業的にSをゼロにすることは困難なことから、好ましい範囲は、0.0001〜0.006%である。
Niは、球成型後のオーステナイトの安定度を高めて非磁性を得るために3.0%以上添加する。しかしながら、30.0%を超えて添加すると非磁性が得られない。そのため上限を30.0%とする。好ましい範囲は、6.0%超10%未満である。
Crは、球成型後のオーステナイトの安定度を高めて非磁性を得ると共に、耐食性を確保するために14.0%以上添加する。しかしながら、20.0%を超えてCrを添加すると、フェライト組織が生成して非磁性が劣化するばかりか、FI値が増大し、表面硬化処理時に表面が非活性化して、表面硬化処理時間が長くなる。そのため、上限を20.0%にする。好ましい範囲は、15.0〜19.0%である。
Cuは、オーステナイトの加工硬化を押さえて球成形性を向上させ、且つ、球成形後のオーステナイトの安定度を高めて非磁性を得るために、必要に応じて添加する。しかしながら、4.0%を超えて添加すると、熱間加工性が劣化して、線材製造性が低下する。そのため、上限を4.0%にする。好ましい範囲は、0.2〜3.5%である。
Moは、製品の耐食性を向上させるために必要に応じて添加する。しかしながら、4.0%を超えて添加すると、球成形性が劣化する。そのため、上限を4.0%とする。好ましい範囲は、0.1〜1.5%である。
Nは、球同士が衝突しても変形しないために添加するが、0.40%を超えるとCr窒化物が生成し、耐食性が劣化するばかりか、球成形時に加工割れが生じる。そのため、上限を0.40%にする。好ましい範囲は、0.005〜0.35%である。更に好ましい範囲は、0.20〜0.35%である。
Alは、脱酸元素であり、また、Cuと同様にオーステナイトの加工硬化を抑制して、球成形性を確保するため重要な元素であり、0.001%以上添加する。しかしながら、1.0%を超えると、FI値が増大し、表面硬化処理時に表面が非活性化して、表面硬化処理時間が長くなる。そのため、上限を1.0%にする。好ましい範囲は、0.002〜0.15%である。
Bは、熱間製造性、靭性を高める有効な元素であるが、表面硬化処理時に表面にB系酸化皮膜を形成して表面非活性化して、表面硬化処理時間を長くする元素であるため、FI値と共に0.0050%以下に規制する。好ましくは、0.0035%以下、更に、好ましくは、0.0015%以下に規制する。
CとNは、球同士が衝突しても変形しないために、表面硬化処理を施す時、C、Nの吸着を促進する元素であるため、(C+N)を0.02%以上にする。しかしながら、0.50%を超えると球成形性が劣化し、球成形時に加工割れが生じる。そのため、上限を0.50%にする。好ましい範囲は、0.05〜0.40%である。
以上を、本発明が対象とするオーステナイト系ステンレス鋼線材又は鋼線の基本成分とし、残部および不可避的不純物よりなるものとして、必要に応じて以下の成分も含有できる。
Nb、V、Ti、W、Ta、Zrは、炭窒化物を形成して耐食性を向上するため、必要に応じて、1種又は2種以上を添加する。Nb、V、Ti、W、Ta、Zrの1種又は2種以上を含有する場合、各元素の含有量は、好ましくは0.01%以上、1.0%以下とする。これらの元素は、上限を超えて添加すると、粗大介在物が生成し、球成形性が劣化する。更に、好ましい各元素の含有量は、0.05〜0.6%である。
Coは、球製品の靭性を向上させるため、必要に応じて添加する。好ましくは、0.01%以上、2.0%以下である。上限を超えてCoを添加すると、添加効果が飽和し、球成形性が劣化する。
Ca、Mg、Hf、REMは、脱酸に有効な元素であり、必要に応じて添加するが、過度に添加すると、粗大脱酸生成物のため球成形性が劣化する。そのため、Caは0.01%以下、Mgは0.01%以下、Hfは0.01%以下、REMは0.05%以下に限定する。
これらの元素の含有量の好ましい下限値は、Caは0.0005%、Mgは0.0005%、Hfは0.0005%、REMは0.0005%であり、更に、含有量の好ましい範囲は、Caは0.001〜0.004%、Mgは0.0006〜0.0015%、Hfは0.001〜0.004%、REM:0.001〜0.01%である。
不可避的不純物とは、通常のステンレス鋼の製造で混入する元素である。例えば、Hは0.002%以下、Oは0.001〜0.01%、Snは0.1%以下、Pbは0.01%以下、Biは0.01%以下、Znは0.01%以下、Gaは0.01%以下、Geは0.01%以下、Seは0.01%以下、Inは0.01%以下、Sbは0.01%以下、Teは0.01%以下、Agは0.01%以下、原料や耐火物に含有される。
本発明では、オーステナイト系ステンレス鋼線材又は鋼線に含まれる各種成分の含有量を以上のように規制すると共に、球成形後の非磁性を確保するために、Md30値を制御し、所望の表面硬化層を得るために、FI値を制御する必要がある。
Md30値は、下記式で表わされる。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
−13.7Cr−29(Ni+Cu)−18.5Mo
ただし、C、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、Moは、それぞれの元素の含有率(質量%)を示す。
Md30値は、冷間加工後の加工誘起マルテンサイト量と成分の関係を調査して得られた指標であり、単相のオーステナイトに対して0.3の引張真歪を与えたときに、組織の50%がマルテンサイトに変態する温度を意味する指標である。
したがって、球成形後の非磁性を確保するために、Md30値を制御する必要がある。球成形後でも非磁性を示すためには、Md30値を0以下に制御する必要がある。そのため、Md30値を0以下に限定する。好ましくは、Md30値が−20以下である。更に好ましい範囲は、−40以下である。
FI値は、下記式で表わされる。
FI=3Si+20Al+Cr/50+100B
ただし、Si、Al、Cr、Bは、それぞれの元素の含有率(質量%)を示す。
FI値は、8%Ni−5.5%Mn−0.02%C−0.05%N−Cr、Si、Al、B変化系のオーステナイト系ステンレス鋼の600℃における低酸素分圧下(≦0.01atm)の浸炭ガス(COガス等)、窒化ガス(NHガス等)中でのガス炭窒化、プラズマ窒化(窒素ガス中)における炭窒化速度(表面硬化層の形成厚さ)を調査して得られた指標である。図1は、鋼材のFI値と表面硬化層厚さの関係を示す図であり、600℃−4時間の各種表面硬化処理での表面硬化層(Hv≧700)の厚さに及ぼす鋼材のFI値の影響を示す。
FI値が低いほど、鋼材の表面が活性化して、鋼材表面からの炭素や窒素の吸着・進入が容易になり、事前の酸洗処理や尿素等の特殊処理せずに表面硬化が促進される。約600℃付近の4時間以下の表面硬化処理(浸炭や窒化)で、Hv≧700、厚さ≧25μmの表面硬化層を得るには、FI値を2.5未満にする必要があることがわかる。そのため、FI値を2.5未満に限定する。安定して表面硬化層を得るための好ましい範囲は、2.0以下である。
ここで、本発明における表面硬化処理の効果を発現させるには、窒化や浸炭の温度範囲を500〜700℃とし、処理時間を1〜4時間とすることが好ましい。500℃未満、1時間未満では、表面硬化処理層の形成が不十分であり、4時間超では従来の遊技球用の表面硬化処理との優位性が小さくなる。また、700℃超では、表面硬化処理時に炭窒化物が形成し、製品の耐食性が劣化する。
なお、特許文献1、2に開示されている鋼は、本発明のFI値及びMd30値の両方を満足しておらず、これら特許文献に、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼球の非磁性と表面硬化性の両特性を具備する知見は開示されていない。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1、表2(表1の続き)に実施例で用いる鋼の組成を示す。
Figure 0006257417
Figure 0006257417
これらの組成の鋼は、ステンレス鋼の安価溶製プロセスであるAOD溶製を想定し、100kgの真空溶解炉にて溶解し、φ180mmの鋳片に鋳造し、その鋳片(ビレット)をφ8.0mmまで熱間の線材圧延を行い、1050℃で熱間圧延を終了し、その後、連続して1050℃で5分間の溶体化処理を行い、酸洗を行って線材とした。その後、φ7.5mmまで冷間伸線加工を施し、特許文献1、2に記載の如く、冷間鍛造後、バリ取りをして、研磨を施した。
その後、600℃−4時間で表2に示す表面硬化処理を施した。ガス窒化処理は、アンモニアガス中で実施し、プラズマ窒化、浸炭はプラズマ処理装置を使用して、窒化処理は、N:H(80%:20%)、浸炭処理は、CH:H:Ar(5:45:50)の混合ガスを用いて実施した。
そして、試作した遊技球について、球成形性、球の着磁性、表面硬化層を評価した。その評価結果を表3、表4(表3の続き)に併せて示す。
Figure 0006257417
Figure 0006257417
球成形性は、球への冷間鍛造時に加工割れが生じるか否かで評価し、加工割れを生じない場合を○、生じる場合を×として評価した。本発明の球成形性は○であった。
球の着磁性は、磁石で球を持ち上げることか可能か否かで評価した。着磁性が無く、磁石で球を持ち上げることができない場合を◎、着磁性を有するが、持ち上げることができない場合を○、持ち上げることができる場合を×として評価した。本発明の着磁性は○であった。
表面硬化層は、球を中心断面で埋め込み研磨し、表層からの硬さ分布をマイクロビッカース(Hv、10gf)にて測定し、Hv≧700の表面硬化層厚さを測定した。
本発明鋼により作製した球の表面硬化層厚さ(Hv≧700)は、4時間以下の表面硬化処理時間で25μm以上を示した。
一方、比較例No.1〜28では、成分、Md30、FI値が外れており、球成形性、非磁性、表面硬化性に劣っていた。
次に、表面硬化処理の温度と時間の影響を調査するため、鋼A、C、BCの前記研磨後の鋼球を用いて、前記表面硬化処理条件にて、処理温度と処理時間を変化させた。その後、表面硬化層を評価した。処理温度、処理時間及び評価結果を表5に示す。
Figure 0006257417
表面硬化処理温度が500〜700℃、処理時間が1〜4時間で本発明の鋼の効果が顕著になることがわかる。
本発明によれば、優れた表面硬化性と球成形性及び非磁性に優れる遊技球用のステンレス鋼線材、鋼線を製造・提供することができる。よって、本発明は、産業上極めて有用な発明である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.15%以下、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.3〜20.0%、
    P :0.06%以下、
    S :0.01%以下、
    Ni:3.0〜30.0%、
    Cr:14.0〜20.0%、
    Cu:4.0%以下、
    Mo:4.0%以下、
    N :0.40%以下、
    Al:0.001〜1.0%、
    B :0.0050%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物で構成され、C+N:0.02〜0.50%であり、且つ、下記式(a)で表わされるオーステナイト組織の安定度の指標:Md30値が0以下、且つ、下記式(b)で表わされる不動態被膜の安定度の指標:FI値が2.5未満である
    ことを特徴とする表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
    Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn
    −13.7Cr−29(Ni+Cu)−18.5Mo ・・・(a)
    FI=3Si+20Al+Cr/50+100B ・・・(b)
    ただし、C、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、Mo、Al、Bは、それぞれの元素の含有率(質量%)を示す。
  2. 更に、質量%で、
    Nb:1.0%以下、
    V :1.0%以下、
    Ti:1.0%以下、
    W :1.0%以下、
    Ta:1.0%以下、
    Zr:1.0%以下の1種又は2種以上を含有すること
    を特徴とする請求項1に記載の表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
  3. 更に、質量%で、
    Co:2.0%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
  4. 更に、質量%で、
    Ca:0.01%以下、
    Mg:0.01%以下、
    Hf:0.01%以下、
    REM:0.05%以下の1種又は2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線材を用いて製造されたことを特徴とする表面硬化性に優れた遊技球用オーステナイト系ステンレス鋼線。
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