JP2002060838A - 非磁性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

非磁性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法

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JP2002060838A JP2000248327A JP2000248327A JP2002060838A JP 2002060838 A JP2002060838 A JP 2002060838A JP 2000248327 A JP2000248327 A JP 2000248327A JP 2000248327 A JP2000248327 A JP 2000248327A JP 2002060838 A JP2002060838 A JP 2002060838A
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Tadanori Kida
忠伯 木田
Kaneaki Hamada
兼彰 濱田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成分調整、加工後の熱処理を施さなくても、
加工後に非磁性を確保できる極めて安価な非磁性オース
テナイト系ステンレス鋼を製造する方法を提供する。 【解決手段】 オーステナイト系ステンレス鋼であっ
て、かつ下記式からなるMd30値が、Md30(℃)
≧−100℃である鋼を用いて、60〜300℃の温間
加工を行い、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制する
ことを特徴とする非磁性オーステナイト系ステンレス鋼
の製造方法。ただし、Md30(℃)=551−462
(C+N)−9.2Si−8.1Mn−13.7Cr−
29(Ni+Cu)−18.5Mo−68Nb

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性オーステナ
イト系ステンレス鋼の温間加工方法に関し、特に温間加
工後も非磁性である非磁性オーステナイト系ステンレス
鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、オーステナイト系ステンレス鋼は
冷間加工すると加工誘起マルテンサイトが生成するた
め、加工後に透磁率が上昇し、磁性を帯びる。そのため
に、従来においては、Ni,Mnをはじめ各種オーステ
ナイト生成元素を増量添加調整して、冷間加工しても透
磁率が上昇しない成分系とする、例えば特開昭59−5
3343号公報のように、重量比にしてC:0.03%
以下、Si:0.50%以下、Mn:1.00〜3.0
0%、Ni:9.6〜10.6%、Cr:18〜19
%、N:0.06〜0.09%を含有し、残部Feなら
びに不純物元素からなり、かつNiバランスが−0.5
〜1.5であり、かつNi当量が25.0以上であるこ
とを特徴とする非磁性ステンレス鋼が開示されている。
【0003】一方、特開昭62−63615号公報のよ
うに、加工によって少なくとも部分的にマルテンサイト
相を生成するオーステナイト系ステンレス鋼に冷間加工
を施した後、400〜1000℃の温度範囲で低温焼鈍
処理を行うことにより、冷間加工で誘起される強磁性の
マルテンサイト相をオーステナイト相に逆変態させる非
磁性ステンレス鋼材の製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開昭59−53343号公報のように、成分を調整
する方法においては、Niなどの高価な元素を増量添加
するために、材料コストの上昇を招き、そのために特性
を劣化させずに透磁率が上昇しない成分系とすることは
難しいし、また、特開昭62−63615号公報の場合
のように、加工後に熱処理を施し、上昇した透磁率を下
げる方法もあるが、熱処理にかかる費用などによるコス
ト上昇等を招くという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述したような問題を解
消するべく、発明者らは鋭意開発を進めた結果、成分調
整、加工後の熱処理を施さなくても、非磁性を維持でき
る温間加工法によるオーステナイト系ステンレス鋼の製
造方法を提供するものである。その発明の要旨とすると
ころは、 (1)オーステナイト系ステンレス鋼であって、かつ下
記式からなるMd30値が、Md30(℃)≧−100
℃である鋼を用いて、60〜300℃の温間加工を行
い、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制することを特
徴とする非磁性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方
法。ただし、Md30(℃)=551−462(C+
N)−9.2Si−8.1Mn−13.7Cr−29
(Ni+Cu)−18.5Mo−68Nb (2)オーステナイト系ステンレス鋼がSUS303、
SUS304系であることを特徴とする前記(1)記載
の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法にあ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明においては、特に加工誘起マルテンサイト
の生成機構に着目し、加工時の温度を60〜300℃と
することにより、透磁率の上昇を抑制することが出来る
ことを見出したものである。本発明において、上記Md
30(℃)値=551−462(C+N)−9.2Si
−8.1Mn−13.7Cr−29(Ni+Cu)−1
8.5Mo−68Nbの関係式とするとき、そのMd3
0(℃)>−100℃とする。−100℃以下の鋼種で
は冷間加工による透磁率の上昇が顕著でない。
【0007】従って、冷間加工による透磁率が上昇する
Md30値の高いオーステナイト系ステンレス鋼に限定
するものである。また、加工時の温度を60〜300℃
としたのは、60℃以上での加工により透磁率の上昇を
抑制することが出来る。また、300℃を超える加工
は、加熱によるコスト上昇を招くからである。望ましく
は、70〜200℃である。なお、加工方法としては、
伸線、引抜き、圧延、鍛造のいずれでも良い。
【0008】本発明方法の対象となるオーステナイト系
ステンレス鋼は、SUS303、SUS304系のよう
な冷間加工を施すことにより、マルテンサイトが形成さ
れる鋼を意味し、透磁率の上昇を招く鋼種に限定した。
図1は冷間加工率と透磁率との関係を示す図である。こ
の図に示すように、加工による上昇する透磁率は温度の
関数とも言えるもので、Md30=−100℃、0℃、
40℃での透磁率において、Md30値が高いほど、冷
間加工したときの透磁率が上昇していることが判る。
【0009】
【実施例】以下、本発明について実施例によって具体的
に説明する。表1に示す成分組成の鋼を真空溶解炉にて
溶製した後、熱間にて棒鋼を製造し、その後、各条件に
て伸線を施した材料を各種試験に供した。試験は伸線加
工後の透磁率を測定した。その結果を表2に示す。表1
に示すように、鋼種AがMd30値が最も高く、鋼種
B,C,Dの順で低下していく。Md30値を低く抑え
るために、鋼種B,DはNiが高めになっている。
【0010】表2に示すように、従来の伸線(20℃)
方法である伸線率8%であっても、Md30の値の比較
的高い鋼種A,B,CであるNo.3、No.6、N
o.9の比較例の場合には透磁率が上昇している。しか
し、鋼種DはMd30値が低いため8%の伸線率ではN
o.12のように透磁率の上昇はない。伸線率の上昇に
伴い、各鋼種とも常温での伸線では透磁率の上昇が顕著
に見られ、伸線率40%ではMd30値の低い鋼種Dの
材料でも透磁率が上昇している。加工温度を70℃以上
とすると伸線率40%であっても、透磁率の上昇は抑え
られ非磁性を確保することが出来る。なお、この場合の
非磁性とは、本発明では透磁率1.02以下を示すもの
とした。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により特に成
分調整、加工後の熱処理を施さなくても、加工後に非磁
性を確保できる極めて安価な非磁性ステンレス鋼を製造
することが出来ることを可能にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷間加工率と透磁率との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼であっ
    て、かつ下記式からなるMd30値が、Md30(℃)
    ≧−100℃である鋼を用いて、60〜300℃の温間
    加工を行い、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制する
    ことを特徴とする非磁性オーステナイト系ステンレス鋼
    の製造方法。ただし、Md30(℃)=551−462
    (C+N)−9.2Si−8.1Mn−13.7Cr−
    29(Ni+Cu)−18.5Mo−68Nb
  2. 【請求項2】 オーステナイト系ステンレス鋼がSUS
    303、SUS304系であることを特徴とする請求項
    1記載の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方
    法。
JP2000248327A 2000-08-18 2000-08-18 非磁性オーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 Withdrawn JP2002060838A (ja)

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