JP2015212418A - 高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は上記問題点を解消することにより、成形加工品を製造するのに供するための素材、例えば圧造を含む成形加工を適切な条件で行なえば、成形加工後に熱処理を施さなくても非磁性を確保することができ、しかも高耐力を備えた成形品を製造することができる素材としての、高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、発明者らは、結晶粒の微細化が加工誘起変態の抑制につながるという知見を得た。結晶粒の微細化はオーステナイトを安定にし、加工誘起変態を抑制するからである。その際の結晶粒径は1μmが目安である。ただ、結晶粒径が等軸でなくても、伸長粒でもオーステナイトの安定化には有効である。結晶粒径に相当する指標として、粒界密度がある。粒界密度の測定方法は、電子線後方散乱回折、いわゆるEBSD法であり、方位差角5度以上の粒界の測定部位の面積における長さ比、Sv=粒界長さ/面積で表すことができる。計量形態学的には、d=2/Svとして、相当等軸粒径に置き換えることができる。d≦1μmに相当するSv≧2 (1/μm)であれば、オーステナイトは安定になり、加工誘起変態の抑制効果をもつ。
1)丸形状(直径D)から丸形状(直径d)に加工する時:{(D2−d2)/D2}×100 (%)
2)丸形状(直径D)から平形状(厚さt)に加工する時:{(D−t)/D}×100 (%)
3)平形状(厚さT)から丸形状(直径d)に加工する時:{(T−d)/T}×100 (%)
4)平形状(厚さT)から平形状(厚さt)に加工する時:{(T−t)/T}×100 (%)
以上のように加工前後のC方向断面の形状により、加工率の定義を異なるものとした。その理由は、加工前後のC方向断面の形状に依存して、特に、最初の素材のC方向断面に対する加工方向により、材料に導入されるひずみが異なるので、これらにできるだけ共通的且つ適切なひずみの指標とした。
第1発明は、非磁性オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における耐力が高水準のもの、具体的には室温における0.2%耐力が0.80GPa以上であって、透磁率が1.02未満である高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材(鋼材とは、本明細書では鋼線、棒鋼又は薄帯鋼を指す)を提供する。
第2発明は、上記第1発明の鋼材において、更に、5度以上の方位差角の粒界密度が、2μm/μm2以上であることが付加された特性を有する高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼を提供する。
第3発明は、非磁性オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が0.80GPa以上であって、200〜400℃における最大応力が、室温における0.2%耐力の95%以下であり、透磁率が1.02未満である高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材を提供する。
第4発明は、上記第3発明の鋼材において、更に、5度以上の方位差角の粒界密度が、2μm/μm2以上であることが付加された特性を有する高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼を提供する。
このように規定した上で、圧造性の向上を考慮してCuを上限値として4.00質量%までの添加を許容した場合(下記の第5発明の場合。Cuは0質量%であってもよい)、及び耐食性及び一層の強度向上を考慮してMoの上限を3.00質量%まで許容し、下限を0.10質量%とした場合(下記の第6発明の場合)を好ましい成分系の規定条件とした。
C:0.005〜0.08質量%、
Si:0.15〜1.00質量%、
Mn:0.30〜2.00質量%、
P :0.035質量%以下、
S :0.015質量%以下、
solAl:0.005〜0.040質量%、
Ni:8.00〜10.50質量%、
Cr:18.00〜20.00質量%、及び
Cu:4.00質量%以下(0質量%を含む)を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることに特徴を有するものである。
C:0.005〜0.08質量%、
Si:0.15〜1.00質量%、
Mn:0.30〜2.00質量%、
P :0.035質量%以下、
S :0.015質量%以下、
solAl:0.005〜0.040質量%、
Ni:10.00〜14.00質量%、
Cr:16.00〜20.00質量%、及び
Mo:0.10〜3.00質量%を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることに特徴を有するものである。
(1)化学成分組成
本願発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材の化学成分組成の範囲は、SUS304系成分組成を基本とし、次の要件を満たすことを優先して決定した。
オーステナイト系ステンレス鋼は本質的に耐力が低いので、常温における0.2%耐力が0.80GPa以上を確保することを必須の要件とし、本発明のステンレス鋼材の成形加工方法として、圧造、せん断、打ち抜き等を考慮した。
一方、オーステナイト生成元素の内でも高価な合金元素、特にNiを過度に少なくした場合には、比較的小さな加工度であっても加工誘起マルテンサイトが生成して磁性を帯びる傾向を示すので、これは避ける必要がある。但し、加工度が極めて大きい場合にも対応可能とするために、高価合金元素を所定の範囲内で添加してもよいとした。また、本発明の鋼材を加工して成形品とする場合に、加工特性を高める元素や、強度確保に効果を発揮する元素の添加を許容する成分系も採用した。
Cは強力なオーステナイト生成元素であり、強度向上に効果的な元素であるが、多量に含まれると固溶強化によってオーステナイト相が硬質化し加工性が低下する。そこで、C含有量の下限を0.005質量%に、上限を0.08質量%に設定した。
Siは溶製時に脱酸剤として添加される元素であるが、多くなるにつれ耐食性や冷間加工性の低下を招く。そこで、Alとの複合脱酸作用として効果が発揮される0.15%を下限とし、耐食性や冷間加工性を確保する上で1.0%を上限とした。
Mnはオーステナイト生成元素であり、非磁性のオーステナイト組織を生成する元素であり、透磁率を低く保つためにも重要な元素である。しかし過度に添加すると耐食性の低下や加工性を損ねる原因となる。そこで、下限を0.30質量%に、上限を2.00質量%に制限する。
Pは粒界に偏析し、粒界腐食感受性を高める他、靱性の低下を招く。P含有量は低い方が望ましいが、必要以上の低減はコストの上昇を招く。従って、P含有量は0.035質量%以下が望ましい。更に望ましくは0.030質量%以下である。
SはMnと反応してサルファイドを生成し、これが鋼中に多く存在すると機械的強度の低下や熱間加工性を低下させる。従って、Sの含有量は0.015質量%以下が望ましい。更に望ましくは0.010質量%以下である。
Alは鋼材における酸化物系非金属介在物の清浄性を確保して鋼材の材質特性を確保するために、溶製時に添加することが必要な脱酸元素である。上記清浄性が劣化するとAl2O3系介在物により鋼材の表面清浄を劣化させ、塑性加工時の割れ発生の起点となる。
Al2O3系介在物の量は、主として溶製工程で溶鋼から浮上分離する程度により決まるが、Alの含有量の分析値が全Al含有量ではAl2O3をも含めた値となるから、Al2O3を除いたAl含有量で規定すべきである。即ち、全Al含有量ではなく、酸に可溶であるsolAlの含有量とする。そして、溶製時における十分な脱酸反応とAl2O3系介在物の十分な浮上分離との両立を満たすために、下限値を0.005質量%とし、上限値を0.040質量%とした。
NiはMnと同様、オーステナイト生成元素であり、非磁性のオーステナイト組織を生成する元素であり、透磁率を低く保つためにも重要な元素である。そのためには8.00質量%以上が必要である。Niは、含有量の増加に従って磁性化及びδフェライト相生成を抑制する作用が大きくなる。しかし、高価な元素であるため、過剰量のNi添加は鋼材コストを上昇させる原因ともなる。この観点から、Ni含有量は8.00〜10.50質量%以下に設定する。一方、大加工率の歪みを加えても非磁性を確保し、一層の高強度を確保するためには十分に添加することが望まれる。そこで、このような場合については、Ni含有量を10.00〜14.00質量%とした。
Crは耐食性を向上させるために、ステンレス鋼に必要な元素であり、18.00質量%以上含有させることが望ましい。但し、Moのような耐食性向上元素を添加する場合には、Cr含有量を適宜減らしてもよい。Moを2.00質量%以上含有させる場合には、Cr含有量の下限を、16.00質量%としてよい。
また、Cr含有量の増加に応じて加工性が向上し、加工後の磁性化も抑制される。しかし、過剰量のCr添加は、材質を硬質化することにより加工性を却って低下させる。そこで、Cr含有量の上限を20.00質量%に設定した。
Cuは加工後の磁性化を抑え、δフェライト相の生成を抑えるために有効であり、また、耐食性の向上にも有効である。そのためには、0.15質量%以上が望ましいが、コスト削減から0質量%であってもよい。更に、Cuは特に圧造性の向上にも効果がある。一方、Cu含有量が過剰になると、δフェライト相生成の傾向を示し、非磁性化に不利となる。そこで、望ましくは、Cu含有量を0.15〜4.00質量%がよい。また、本発明鋼材の成形加工方法によってはCuを含有させることは、必須とはしない。
Moは耐食性の向上に効果があり、この観点からMo含有量は0.10質量%以上、更には0.50質量%以上が望ましい。また強度を一層向上させるのに効果がある。しかし、Moを過剰に添加するとδフェライトの生成により磁性が発現し、また圧縮変形抵抗を上昇させる原因となる。更に、Moは高価な合金元素ではあるが、特に、一層の強度向上を望む場合を考慮して、上限を3.00質量%とした。しかし、本発明鋼材の用途として、上記効果を特には希望しない場合は、必ずしも添加する必要はない。
また、オーステナイトの安定性の指標であるMd30が−100℃以上の成分系に対し、本発明は有効性を発揮する。一方、200℃以上で加工した場合加工誘起変態は、素材の化学成分組成によっても影響を受ける。これに関しては、従来、素材に0.30の真ひずみを与えたとき、その材料の50%がマルテンサイトとなる温度としてMd30を規定している。例えば、Md30(℃)=413−462(C+N)−9.2(Si)−8.1(Mn)−13.7(Cr)−9.5(Ni)−18.5(Mo)が挙げられる。但し、成分元素は質量%である。この指標Md30(℃)は上記特殊な条件に限定されたときの
加工誘起マルテンサイト変態が50%という特定の結果に過ぎないと考えることもできる。従って、多種多様な加工条件に対して、非磁性を維持するための化学成分組成を一義的に特定することは不可能である。本発明者は、今回、化学成分組成にも留意しつつ、本明細書に記載したいくつかの重要な知見を得ることにより、本発明を完成したのである。
本発明鋼材の製造条件について述べる。上述した化学成分組成を有するスタート材を準備する。スタート材が具備すべき必須条件は、化学成分組成が上記であること以外に、非磁性であること、及び機械的性質がJIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)において固溶化熱処理状態での規定値である耐力が175MPa以上且つ引張強さが480MPa以上であることである。従って、スタート材は市販されている非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線又は非磁性オーステナイト系ステンレス鋼帯の中から選定することができる。スタート材の形状・寸法は第7発明〜第12発明の製造方法における圧延加工温度及び加工率並びに圧延加工ないしは伸線加工を満たすことを条件として、所望する本発明鋼材の形状・寸法を考慮して決定すればよい。
但し、加工率(%)の定義は、次の通りとした。
(1)断面形状を丸形状(直径D)から丸形状(直径d)に圧延する時:{(D2−d2)/D2}×100 (%)
(2)断面形状を丸形状(直径D)から平形状(厚さt)に圧延する時:{(D−t)/D}×100 (%)
(3)断面形状を平形状(厚さT)から丸形状(直径d)に圧延する時:{(T−d)/T}×100 (%)
(4)断面形状を平形状(厚さT)から平形状(厚さt)に圧延する時:{(T−t)/T}×100 (%)
スタート材の寸法と仕上げ鋼材の寸法との関係により、加工率を大きくする必要がある場合には、スタート材を高温度域の温間圧延により加工し、次に低温度域の温間圧延により更に加工する製造方法(第11〜12発明)により目的を達成することができる。
オーバル形状孔型内の高さをA1とし、スタート材の鋼線の直径をD1とすると、A1/D1≦0.65を満たす条件で圧延する。材料の断面は偏平形状となる。2パス目は鉛直な角形状孔型ロールで圧延する。従って、圧下方向は偏平形状断面の長辺方向を圧下する、即ち、スタート材の1パス目の圧下方向に対して直角な方向から圧下することになる。このとき、角形状孔型内の水平長さをA2とし、1パス目で圧延された材料の長辺長さをD2とすると、A2/D2≦0.65を満たす条件で圧延する。
上記温間圧延後における材料の長さ方向に直角断面(C方向断面)での顕微鏡組織観察によれば、平均結晶粒径は2μm程度以下の微細な残留オーステナイトとなっている。この結晶粒径は、次に、150〜350℃未満の低温度域での温間圧延により、更に微細化される。
本願発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材の材質特性を下記の通り規定する理由について以下に述べる。
(3−1)透磁率が1.02未満であること
電子機器部品は種々の磁気発生を誘導するための装置を備えているために、シャフト材などは磁性を持たないものが求められており、こうした部品には透磁率が1.010以下であることが必須条件とされている。磁性の有無を評価する手段として透磁率の測定がある。一般的に透磁率が1.010以下であれば、磁性を持たない(非磁性)。
非磁性が求められる成形品としては、ねじ類、ボルト類、ナット類、ねじ付き軸類がある。しかしながらこれらの成形品でも用途によっては実用上全く問題ない程度の磁性であればよい場合も考慮して、本発明においては透磁率を1.02未満と規定した。
本発明ステンレス鋼材を加工して得られる成形品としては、ねじ類、ボルト類、ナット類、ねじ付き軸類があり、成形加工方法として、非磁性を維持するために、温間における加工が望ましい。加工後に非磁性化のための焼鈍処理を省略するためである。これらの成形品の加工方法としては温間圧造や温間切削があり、得られた成形体を組み合わせた成形品が挙げられる。これらの成形品が所定の電子機器部品として使用されている状態における強度が十分に大きいことが必要である。ここでは強度の指標として、常温における0.2%耐力を採用し、これが0.80GPa程度以上を必要とする高強度部品に適用するためである。上記成形品の室温における0.2%耐力を精度よく直接測定する方法は不可能であることが多いので、本発明鋼材により造られた成形品においては、成形品の適切な位置におけるビッカース硬さ試験を代替試験方法として評価してもよい。
本発明鋼材は温間圧造や切削等により成形加工される場合の条件としては、当該成形加工により成形体が磁性をおびることなく、非磁性が確保されることが望ましい。非磁性化のための熱処理を施せば、強度低下を招くと同時にコスト面でも不利となるからである。
そこで、本発明鋼材は種々の水準での試験により、適切な加工条件を確認すれば、非磁性を確保することができる。その際、加工温度は、150〜500℃の範囲とするのが妥当である。その際、成形加工で使用する金型や工具の寿命を延ばすことは工業上重要であり、この加工温度範囲における最大応力が過剰に大きいと不利となる。実施例2で得られた本発明鋼材を常温(23℃)、100℃、200℃、300℃、400℃及び500℃の各温度での引張試験で得られた最大応力の結果(後述する表5及び図5に記載した)を考慮して、本発明鋼材の200〜500℃の温度範囲における最大応力が、室温における0.2%耐力の95%以下であることが望ましいとした。
<実施例1>本発明の実施例1の鋼材として、鋼線を下記の圧延加工により得た。
〔素材〕
表1に示す化学成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であって、JIS G4309 SUS304−W1(軟質1号)の線径6.0mmのコイル状鋼線を、本発明の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験用の素材として用いた。
この素材の応力−ひずみ曲線を図1に示す。これによれば、素材の0.2%耐力は300MPaで、引張強さは630MPaである。またビッカース硬さ(HV)は139であった。
本発明鋼線の製造試験例として、上記線径6.0mmの鋼線(素材)に対して、450−550℃の温度範囲において、合計6パスで構成される溝ロール圧延を行ない、仕上がり直径が3.1mmのコイル状鋼線を得た。加熱は高周波誘導加熱による連続加熱法を用いた。この溝ロール圧延工程は、第1工程でオーバル孔型に次ぐスクウェア孔型、第2工程でオーバル孔型に次ぐスクウェア孔型(参考文献として、鳥塚ら:日本金属学会誌、72(2008)、571−580、Fig.1参照)、そして第3工程でオーバル孔型に次ぐラウンド孔型を用い、各工程においてコイルからコイルへの溝ロール圧延を行ない、合計3工程で6パスの圧延で構成した。図2に、第1工程から第3工程までの各工程における材料のC方向断面形状の変化状況を示す。この溝ロール圧延による素材から第3工程終了まで即ち本発明鋼線までの材料の加工率(溝ロール圧延の場合には、通称「C方向断面の面積減少率」に相当する)は、73.3%である。
なお、素材から第1工程→第2工程→第3工程と圧延することによって、0.2%耐力は、300(素材)→760→900→980MPa、 引張強さは、630(素材)→840→940→1060MPa、 ビッカース硬さは、139(素材)→313→316→351、絞りは、83(素材)→78→78→79%と高延性が保持されつつ高強度化していることが分かる。また、いずれの工程終了後においても、引張試験前のサンプルは磁石につくことがなく、非磁性であった。
本3工程圧延材を、超伝導量子干渉計(SQUID)を用いて、B―Hカーブを測定し、透磁率を求めた。その結果、透磁率は1.010であった。なお、素材の透磁率は、1.004であった。
以上の通り、実施例1においては、オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が980MPaであって、透磁率が1.02未満である非磁性の線径が3.1mmの鋼線が得られた。
以上より、実施例1で得られた本発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験は、本願の請求項1及び請求項5の要件を満たしており、同時に請求項7及び8の高温度域における温間加工の製造方法の要件を満たしている。
<比較例1>比較のため、素材から3.0mmまで冷間(23℃)伸線を行った材料に対し、同様の測定を行ったところ、透磁率は、2.839であった。
〔素材〕
表3に示す化学成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であって、JIS G4309 SUS304−W2(軟質2号)の線径6.0mmのコイル状鋼線を、本発明の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験用の素材として用いた。この素材の0.2%耐力は740MPaで、引張強さは940MPa、ビッカース硬さ(HV)は315、絞りは73.3%である。
上記線径6.0mmの鋼線(素材)に対して、550〜600℃の温度範囲において、合計6パスで構成される溝ロール圧延を行ない、仕上がり直径が3.1mmのコイル状鋼線を得た。この溝ロール圧延工程は、実施例1と同じであり、合計3工程で6パスの圧延で構成され、素材から第3工程終了まで即ち本発明鋼線までの材料の溝ロール圧延による加工率は、73.3%である。
こうして得られた直径3.1mmの本発明鋼線は磁石につくことはなく、非磁性であることが確認された。次に、この本発明鋼線(第3工程終了後の鋼線)の室温における引張試験を行なった。なお、第1及び第2工程終了後の鋼線についてもサンプルを採取し、磁石による磁性試験を行ない、次いで室温における引張試験を行なった。また、硬さ試験も行なった。引張試験の結果を図4及び表4に示す。表4にはビッカース硬さ試験結果も併記した。
以上の通り、実施例2においては、オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が1280MPaであって、透磁率が1.02未満とみなすことができる非磁性で線径が3.1mmの鋼線が得られた。
以上より、実施例2で得られた本発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験は、本願の請求項1及び請求項5の要件を満たしており、同時に請求項7及び8の高温度域における温間加工の製造方法の要件を満たしている。
次に、実施例2で得られた本発明の非磁性鋼線からサンプリングし、23℃、100℃、200℃、300℃、400℃及び500℃の各温度で引張試験をした。そして、引張試験後の試験片の破断部につき、磁石につくか否かの試験を行なった。これらの試験結果を、図5及び表5に示す。
また、200〜500℃の範囲における最大応力は1150MPaであり、常温(23℃)における0.2%耐力よりも小さく、その92.0%以下に収まっている。従って、200〜500℃の温度範囲において2次加工を施せば、成形加工で使用する金型や工具の寿命延長上からも望ましいと言える。
実施例3は、実施例1で用いた線径6.0mmのコイル状鋼線を素材として、圧延温度が200℃、300℃、400℃、500℃の各温度において、溝ロール圧延スケジュールを実施例1におけると同じく合計3工程6パスで構成される溝ロール圧延を行ない、仕上がり直径が3.1mmのコイル状鋼線を得た。その際、溝ロール圧延工程も実施例1と同じであり、第1工程から第3工程に至る素材のC方向断面形状は、圧延温度によらずに一定であって、図2と同様であった。また、素材から第3工程終了まで即ち本発明鋼線までの材料の加工率も実施例1と同じで73.3%である。実施例1との差は圧延温度だけである。
更に、(参考例3−1)として、100℃において上記と同じ試験を行なった。100℃における試験を参考例とした理由は、後記表7に示すように、フェライト分率が14.7%と、非磁性確保の観点から若干高めであるからである。
なお、実施例3における試験符号は、圧延温度が200℃の場合を実施例3−2と称し、300℃の場合を実施例3−3と称し、以下順にこれに準じて、500℃を実施例3−5と称する。
なお、実施例3においては、圧延材料の加熱を炉加熱によるバッチ加熱法を用いたので、在炉時間を各工程20分としたため、実施例1における高周波誘導加熱法に比べ、在炉時間が長い。そのため、実施例3では強度が実施例1の本発明鋼線(表2を参照)に比べて低めになっている(表6の実施例3−4〜3−5参照)。
〔素材〕
表1に示した化学成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であって、JIS G4309 SUS304−W1(軟質1号)の線径1.9mmのコイル状鋼線を、本発明の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス薄帯鋼の製造試験用の素材として用いた。この素材の0.2%耐力は300MPaで、引張強さは630MPaであり、またビッカース硬さ(HV)は139であり、実施例1で用いた素材の化学成分組成及び機械的性質と同じである。
本発明薄帯鋼の製造試験例として、上記線径1.9mmのコイル状鋼線(素材)を、実施例4では150℃に加熱し、平ロール圧延を行なって板厚0.46mm、幅5.15mmの板形状の薄帯鋼とした。圧延は1パスで行なったが、このときロール表面をバーナーで加熱することにより圧延時における材料からの接触抜熱を防止した。
本明細書における鋼線から薄帯鋼への加工率は、「課題を解決するための手段」の項において前述した通り、材料のC方向断面形状を、丸形状(直径D)から平形状(厚さt)に圧延する時の計算式:{(D−t)/D}×100 (%)に基づき、この平ロール圧延による加工率を計算すると、75.9%である。こうして得られた薄帯鋼は、磁石を近づけてもつくことはなく、非磁性であることを確認した。
上記試験結果に示すように、本発明薄帯鋼は、0.2%耐力が950MPa、引張強さが1050MPaと上昇していた。
以上より、実施例4で得られた本発明の非磁性薄帯鋼の製造試験は、本願の請求項1及び請求項5の本発明鋼材の要件を満たし、同時に請求項9の本発明の低温度域における温間加工の製造方法の要件をも満たしている。
〔素材〕
実施例4で用いた素材と同一のコイル状鋼線の一部を、比較例3の素材として用いた。即ち、表1に示した化学成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であって、JIS G4309 SUS304−W1(軟質1号)の線径1.9mmのコイル状鋼線であり、この素材の0.2%耐力は300MPaで、引張強さは630MPaである。
〔本発明範囲外の薄帯鋼の製造試験〕
本発明範囲外の薄帯鋼の製造試験例として、上記線径1.9mmのコイル状鋼線(素材)を素材とし、室温において平ロール圧延を行なった。圧延は実施例4と同様、1パスで行なった。線径1.9mmの鋼線を板厚0.51mm、幅4.30mmの板形状の薄帯鋼とした。この平ロール圧延による加工率は73.3%である。
こうして得られた薄帯鋼を、室温における引張試験と硬さ試験を行なった。引張試験の結果を図8に併記した。但し、引張試験片の形状は、幅=2.5mm、標点距離=17.5mmである。その結果、0.2%耐力は1210MPa、引張強さは1400MPa、ビッカース硬さは414と、高強度が得られた。しかし、引張試験前の試験片に磁石を近づけたところ、磁石につき、磁性を有していた。
〔本発明薄帯鋼の製造試験〕
表3に示した化学成分組成の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線を素材として溝ロールにより高温度域における温間加工を施し、得られた鋼線(この鋼線は下記の通り実施例2で得られた本発明鋼線と同じである)に対して更に、平ロールにより低温度域における温間加工を施すことにより、高強度非磁性オーステナイト系ステンレス薄帯鋼の製造試験を行なった。製造条件の詳細は次の通りである。
素材は実施例2で使用した素材と同じものであり、表3に示した化学成分組成のJIS G4309 SUS304−W2(軟質2号)(0.2%耐力は740MPaで、引張強さは940MPa)で、線径6.0mmのコイル状鋼線を450〜550℃の温度範囲において、前記図2に示した3工程の合計6パスで溝ロールにより加工率が74.2%の圧延を行ない、線径3.1mmのコイル状鋼線とした。鋼線の0.2%耐力は1280MPa、引張強さは1320MPa、ビッカース硬さは391であった。
次に、室温における引張試験を行なった。その結果を、図9に示す。但し、引張試験片の形状は、幅=2.5mm、標点距離=17.5mmである。その結果、0.2%耐力は1300MPa、引張強さは1540MPa、ビッカース硬さは490という高強度が得られた。 以上より、実施例5で得られた本発明の非磁性薄帯鋼の製造試験は、本願の請求項1及び請求項5の要件を満たし、同時に請求項11及び請求項12の高温度域における温間加工を行ない、更に低温度域における温間加工を行なう製造方法の要件を満たしている。
〔本発明の範囲外の薄帯鋼の製造試験〕
表3に示した化学成分組成の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線を素材として溝ロールにより高温度域における温間加工を施し、得られた鋼線(この鋼線は下記の通り、実施例2で得られた本発明鋼線と同じである)に対して、更に今度は平ロールにより冷間圧延を施して薄帯鋼の製造試験を行なった。製造条件の詳細は次の通りである。
素材は実施例2で使用した素材と同じであり、表3に示した化学成分組成のJIS G4309 SUS304−W2(軟質2号)(0.2%耐力は740MPaで、引張強さは940MPa)で、線径6.0mmのコイル状鋼線を450〜550℃の温度範囲において、前記図2に示した3工程の合計6パスで溝ロールにより加工率(RC)が74.2%の圧延を行ない、線径3.1mmのコイル状鋼線とした。鋼線の0.2%耐力は1280MPa、引張強さは1320MPa、ビッカース硬さは391であった。
次に、この線径3.1mmの鋼線を研削により線径を1.3mmまで減径した後に、冷間で、平ロールにより加工率が66.4%の1パス圧延を施して、板厚が0.44mmで幅3.01mmの板形状の薄帯鋼とした。
こうして得られた薄帯鋼は、磁石を近づけたところ、磁石につき、磁性を有していた。なお、途中での研削後の鋼線は、磁石を近づけてもつくことはなく、非磁性であった。
更に、室温における引張試験を行なった。但し、引張試験片の形状は、幅=2.5mm、標点距離=17.5mmである。その結果を、図9に併記した。その結果、0.2%耐力は1500MPa、引張強さは1708MPa、ビッカース硬さは512と、高強度は得られていたが、磁性を有していたので、本発明の範囲外である。
表8に、強度特性及び磁性について、前記実施例4と前記比較例3との比較、及び実施例5と比較例4との比較をまとめた。
〔本発明鋼線の製造試験〕
表1に示した化学成分組成の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線を素材として溝ロールにより高温度域における温間加工を施し、得られた鋼線(この鋼線は下記の通り実施例1で得られた本発明鋼線と同じである)に対して更に、伸線機により低温度域における温間伸線加工を施すことにより、高強度非磁性オーステナイト系ステンレス細線の製造試験を行なった。製造条件の詳細は次の通りである。
素材は実施例1で使用した素材と同じものであり、表1に示した化学成分組成のJIS G4309 SUS304−W1(軟質1号)0.2%耐力は300MPaで、引張強さは630MPa、RA83%で、線径6.0mmのコイル状鋼線を450〜550℃の温度範囲において、前記図2に示した3工程の合計6パスで溝ロールにより加工率が74.2%の圧延を行ない、線径3.1mmのコイル状鋼線とした。鋼線の0.2%耐力は980MPa、引張強さは1015MPa、RA79%ビッカース硬さは351であった。
こうして得られた細鋼線は、磁石を近づけてもつくことはなく、非磁性であった。なお、途中での研削後の鋼線も、磁石を近づけてもつくことはなく、非磁性であった。
また、室温における引張試験を行なった。その結果、0.2%耐力は1000MPa、引張強さは1135MPa、ビッカース硬さは356という高強度が得られ、しかも絞りは75%と高い値が得られた。結果を、図10に示す。WTが実施例6の応力−ひずみ曲線である。
比較例5の試験は上記実施例6の試験においては高温度域での温間溝ロール圧延の後、研削により2.0mmまで減径し、これを低温度域での温間伸線加工を行なったが、この低温度域での温間伸線加工の代わりに、室温での冷間伸線加工を行なった点において、上記実施例5とは異なる試験である。
比較例5における冷間伸線加工の条件は、上記2.0mmφのコイル状鋼線を、室温(18℃)において、伸線機ダイスにより加工率が18.0%の 1パス伸線を施して、線径が1.80mmの細鋼線とした。
〔本発明薄帯鋼の製造試験〕
表1に示したSUS304系の化学成分組成を有する非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線を素材として、高温度域において溝ロール圧延と平ロール圧延とにより薄帯鋼を製造する試験を行なった。製造条件は次の通りである。
第1発明は、化学成分組成が、
C :0.005〜0.08質量%
Si:0.15〜1.00質量%
Mn:0.30〜2.00質量%
P :0.035質量%以下
S :0.015質量%以下
solAl:0.005〜0.040質量%
Ni:10.00〜14.00質量%
Cr:16.00〜20.00質量%
Mo:0.10〜3.00質量%
を含有し、Cuを含有せず、残部がFe及び不可避不純物からなり、室温における耐力が高水準のもの、具体的には室温における0.2%耐力が0.80GPa以上であって、透磁率が1.02未満である高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材(鋼材とは、本明細書では鋼線、棒鋼又は薄帯鋼を指す)を提供する。
第2発明は、上記第1発明の鋼材において、更に、5度以上の方位差角の粒界密度が、2μm/μm2以上であることが付加された特性を有する高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼を提供する。
第3発明は、上記第1又は第2の発明の鋼材において、更に、200〜400℃における最大応力が、室温における0.2%耐力の95%以下である高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材を提供する。
このように規定した上で、耐食性及び一層の強度向上を考慮してMoの上限を3.00質量%まで許容し、下限を0.10質量%とした場合を好ましい成分系の規定条件とした。
本発明鋼材の製造条件について述べる。上述した化学成分組成を有するスタート材を準備する。スタート材が具備すべき必須条件は、化学成分組成が上記であること以外に、非磁性であること、及び機械的性質がJIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)において固溶化熱処理状態での規定値である耐力が175MPa以上且つ引張強さが480MPa以上であることである。従って、スタート材は市販されている非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線又は非磁性オーステナイト系ステンレス鋼帯の中から選定することができる。スタート材の形状・寸法は所定の圧延加工温度及び加工率並びに圧延加工ないしは伸線加工を満たすことを条件として、所望する本発明鋼材の形状・寸法を考慮して決定すればよい。
但し、加工率(%)の定義は、次の通りとした。
(1)断面形状を丸形状(直径D)から丸形状(直径d)に圧延する時:{(D2−d2)/D2}×100 (%)
(2)断面形状を丸形状(直径D)から平形状(厚さt)に圧延する時:{(D−t)/D}×100 (%)
(3)断面形状を平形状(厚さT)から丸形状(直径d)に圧延する時:{(T−d)/T}×100 (%)
(4)断面形状を平形状(厚さT)から平形状(厚さt)に圧延する時:{(T−t)/T}×100 (%)
スタート材の寸法と仕上げ鋼材の寸法との関係により、加工率を大きくする必要がある場合には、スタート材を高温度域の温間圧延により加工し、次に低温度域の温間圧延により更に加工する製造方法により目的を達成することができる。
なお、素材から第1工程→第2工程→第3工程と圧延することによって、0.2%耐力は、300(素材)→760→900→980MPa、 引張強さは、630(素材)→840→940→1060MPa、 ビッカース硬さは、139(素材)→313→316→351、絞りは、83(素材)→78→78→79%と高延性が保持されつつ高強度化していることが分かる。また、いずれの工程終了後においても、引張試験前のサンプルは磁石につくことがなく、非磁性であった。
本3工程圧延材を、超伝導量子干渉計(SQUID)を用いて、B―Hカーブを測定し、透磁率を求めた。その結果、透磁率は1.010であった。なお、素材の透磁率は、1.004であった。
以上の通り、実施例1においては、オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が980MPaであって、透磁率が1.02未満である非磁性の線径が3.1mmの鋼線が得られた。
以上より、実施例1で得られた本発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験は、高温度域における温間加工の製造方法の要件を満たしている。
<比較例1>比較のため、素材から3.0mmまで冷間(23℃)伸線を行った材料に対し、同様の測定を行ったところ、透磁率は、2.839であった。
以上より、実施例2で得られた本発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験は、高温度域における温間加工の製造方法の要件を満たしている。
以上の通り、実施例2においては、オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が1280MPaであって、透磁率が1.02未満とみなすことができる非磁性で線径が3.1mmの鋼線が得られた。
以上より、実施例2で得られた本発明の非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線の製造試験は、高温度域における温間加工の製造方法の要件を満たしている。
上記試験結果に示すように、本発明薄帯鋼は、0.2%耐力が950MPa、引張強さが1050MPaと上昇していた。
以上より、実施例4で得られた本発明の非磁性薄帯鋼の製造試験は、低温度域における温間加工の製造方法の要件をも満たしている。
次に、室温における引張試験を行なった。その結果を、図9に示す。但し、引張試験片の形状は、幅=2.5mm、標点距離=17.5mmである。その結果、0.2%耐力は1300MPa、引張強さは1540MPa、ビッカース硬さは490という高強度が得られた。
以上より、実施例5で得られた本発明の非磁性薄帯鋼の製造試験は、高温度域における温間加工を行ない、更に低温度域における温間加工を行なう製造方法の要件を満たしている。
Claims (6)
- オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が0.80GPa以上であって、透磁率が1.02未満であることを特徴とする高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼。
- 粒界密度において、5度以上の方位差角の粒界密度が、2μm/μm2以上であることを特徴とする請求項1に記載の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼。
- オーステナイト系ステンレス鋼であって、室温における0.2%耐力が0.80GPa以上で、200〜500℃における最大応力が、室温における0.2%耐力の95%以下であって、透磁率が1.02未満であることを特徴とする高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼。
- 粒界密度において、5度以上の方位差角の粒界密度が、2μm/μm2以上であることを特徴とする請求項3に記載の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼。
- 前記オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成は、
C :0.005〜0.08質量%
Si:0.15〜1.00質量%
Mn:0.30〜2.00質量%
P :0.035質量%以下
S :0.015質量%以下
solAl:0.005〜0.040質量%
Ni:8.00〜10.50質量%
Cr:18.00〜20.00質量%
Cu:0〜4.00質量%
を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼。 - 前記オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成は、
C :0.005〜0.08質量%
Si:0.15〜1.00質量%
Mn:0.30〜2.00質量%
P :0.035質量%以下
S :0.015質量%以下
solAl:0.005〜0.040質量%
Ni:10.00〜14.00質量%
Cr:16.00〜20.00質量%
Mo:0.10〜3.00質量%
を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼線、棒鋼又は薄帯鋼。
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