JP6251971B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
一般的なキャップと軸筒との装着方法としては、リブの乗り越えによる嵌合構造が一般的である。キャップ内面に全周リブまたは周方向に複数個のリブを設け、対応する軸筒外面にも全周リブまたは周方向に複数個のリブを設ける。これにより、キャップ装着時にはお互いのリブが乗り越える際の適度な抵抗が得られ、さらに装着されたキャップは軸筒とキャップそれぞれのリブ同士が接触して抵抗が発生している為、不用意にキャップが外れてしまうことを防止する効果もある。
つまり、上記のような理由により、経時的に安定した空回り防止効果や、ガタつき防止効果は得られていなかった。
更に、上記構成に加えて、キャップの硬度を軸筒の硬度よりも高くすることによって、キャップ装着時には、硬度の高い粗面が、硬度の低い嵌合時接触部に食い付き、痕が形成されることによって、より経時的に安定した、ガタつきや空回り防止の効果を得ることができる。
参照符号1はキャップであり、片側が開口した形状をなすと共に、開口端から先端に向かい、徐々に縮径した形状をしている。また、キャップ1には前部嵌合時にペン先12が視認できるように窓部4が開けられている。さらに後述する先金21に内蔵したリフィルと同色の着色を施すことで、前部嵌合時に外部から筆記色を視認することが出来る。また、この窓部4により、成形時にキャップ1の内面を形成するコアピンを抑えることができるため、安定した成形が可能となる。
そのキャップ1の外面にはクリップ8が備えられ、衣服のポケットや紙などを挟みこみ、固定することが出来る。そのクリップ8の根元部分には成形時のゲート9が設けられている。尚、ゲート9の材料が流入する角度によっては、クリップ8の表面に流動先端の冷えた樹脂が直接流れ込むことでジェッティングが発生し、外観不良となりうる。そのため流動先端が直接クリップ8に向かわないよう、一度キャップ1の内面に衝突させてからクリップ8等に順次充填されていくことが望ましく、具体的にはゲート角度を後述する中キャップ位置決め用リブ10に向かうよう設定する。
キャップ1の材質については、一例として熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに言えばペン先12の保護の観点から、ポリカーボネートのような耐衝撃性が高い樹脂を用いるのが望ましいが、筆記時に吐出されるインキに含有されている有機溶剤などに対しての耐性の観点で材料選択を行ってもよい。また、樹脂の着色に関しても、マスターバッヂ着色や練り込み着色などを自由に選択できる。
さらにキャップ1の開口端から見て、嵌合リブ2よりも底部側に過挿入防止用ストッパー3が設けられている。また、その過挿入防止用ストッパー3は周状に8点設けられ、軸線方向に延設された形状である。即ち、アンダーカットにはならないため成形上の不具合も発生せず、さらに全周リブ形状等とは異なり、後部嵌合時に空気を圧縮しないという効果もある。なお、過挿入防止用ストッパー3の設ける個数や形状等は本実施例に限定されるものではなく、キャップ1の形状に合わせて自由に選択することが出来る。
前部嵌合時(キャップ1をペン先12側に挿着したとき)には、キャップ1の過挿入防止用ストッパー3の段部30(本発明の当接部に相当)が軸筒11の前部嵌合時接触部17と接触している。また、後部嵌合時(キャップ1を軸筒11の後部に挿着したとき)にも、キャップ1の過挿入防止用ストッパー3の段部30が軸筒11の後部嵌合時接触部18と接触している。なお、本実施例では過挿入防止用ストッパー3の段部30、即ち、後部嵌合時接触部17との当接部は粗面となっており、前部嵌合時接触部17も粗面となっているが、嵌合時接触部18は粗面ではなく、平滑面になっている。
なお、粗面とした部分の算術平均粗さRaは0.1〜20μm程度で設定されるが、本発明の効果が望める範囲と、成形時の金型への引っ掛かりなどの問題点を考えると、好ましくは0.3μm〜12μm程度が良い。
表面粗さはVK−8500(キーエンス社製、JIS B0601 1994)に準拠を用いて測定し、5点測定した平均値を使用している。尚、測定には20倍レンズを使用し、撮影した画像の中央部分を一辺が0.1mmの正方形で切り取って測定を行った。ただし、極端なウェルドやピンホールなどがある部分は除いて測定している。
前記軸筒11は有底形状をしており、内部にはペン先12を備えたリフィル13を内蔵している。なお、本実施例においてはボールペンのリフィルを想定しているが、修正液やマーキングインキ、化粧料などを直接軸筒内に内蔵する形式を採用しても良い。
軸筒11の材質については、キャップ1と同様一例として熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに言えば、ポリカーボネートのような耐衝撃性が高い樹脂を用いるのが望ましい。ただし前述したように、軸筒内にインキを直接内蔵するインキに含有されている場合は、インキ中の有機溶剤などに対しての耐性の観点で材料選択を行ってもよい。また、軸筒11外面の一様部には印刷を施すことも出来、具体的には転写印刷やパッド印刷等を必要に応じて選択できる。
さらに、軸筒11の把持部14よりやや後方には、前部嵌合用リブ15が設けられている。前述したように、キャップ1に設けた嵌合リブ2が前記前部嵌合用リブ15を乗り越えることで嵌合される構造になっている。
また、軸筒11の後端部周辺には後部嵌合用リブ16が形成されている。しかし、キャップ1の嵌合の仕方は前方嵌合時と大きく異なり、後部嵌合時にはキャップ1の過挿入防止用ストッパー3の内側で挟み込む構造になっている。つまり、前述したような嵌合リブ2が後部嵌合用リブ16を乗り越える構成ではない。キャップ1の過挿入防止用ストッパー3は段部30に向かって徐々に拡径されているため、後部嵌合が進むにつれて徐々に嵌合力が大きくなっていく。やがて、過挿入防止用ストッパー3の段部30が、前述した後部嵌合時接触部18と接触し、キャップ1の長手方向の位置決めがされ、さらにその位置でキャップ1が固定されている。
また、軸筒11の内面後端には、周状に複数個リフィル圧入用リブ19が設けられており、これにより軸筒11内部にリフィル13が圧入、保持できるようになっている。なお、リフィル13内部後端に組み込まれているフロート29が保存中や使用中に脱落することを避けるため、リフィル圧入用リブ19に段差を設け、リフィル保持部27と、フロート脱落防止部28の2つに分割している。このフロート脱落防止部28の周状に複数個設けられているうちの1つはリブ高さを軸筒11の中心方向に向けて大きく設計されており、つまり軸心への距離が小さくなるように設定している。これによりリフィル13がリフィル保持部27に圧入されていれば、フロート29はフロート脱落防止部28に接触するため、脱落しない。なお、フロート29の脱落防止効果がある形状は本実施例に限定されるものではなく、複数個設けたフロート脱落防止部28のすべてを上記のようにリブ高さを軸筒11の中心方向に向けて大きくしても良いし、当然、本実施例のように複数個のうちの一つだけでも効果を得ることが出来る。
さらに、軸筒11の内面の開口端31の周辺には、雌ネジ20が設けられている。これは、後述する先金21と螺合させ、内蔵したリフィル13の脱落防止と、筆記時のペン先20のガタ防止を図るためである。なお、軸筒11と先金21との接合はネジによる螺合構造に限ったものではなく、例えば、圧入構造等を選択しても良い。また、本実施例の形態に限ったものではなく、軸筒11と先金21を一体に成形し、軸筒後端側にリフィル脱落防止の機構を設けても良い。
前記先金21の外面後方には雄ネジ22が形成され、前述した軸筒11の雌ネジ20と螺合することで固定される。その先金21の外面前方は、先端に向かって徐々に細くなるテーパー形状をしている。また、先金21の先端に向かって縦溝23が形成されている。これは、軸筒11の内部に収容されているリフィル13を交換する際に、先金21の脱着を簡単にするために設けてある。また、先金21の外面中央部には、鍔部24が形成されており、軸筒11との螺合時のストッパーとして作用している。
さらに、先金21の内面先端付近には周状に複数個ペン先ガタ防止リブ25が設けられている。軸筒11にリフィル13を収納し、先金21を螺着すると、ペン先12と前記ペン先ガタ防止リブ25は若干の圧入状態になるか、もしくはクリアランスが非常に狭くなるため、筆記時のペン先ガタを抑制することが出来る。
また、硬度が低いほうの部材は弾性変形でなく、塑性変形しても良い。塑性変形する場合、最初の嵌合時に痕が形成され、その痕が維持されるため同様の効果が得られる。
2 嵌合リブ
3 過挿入防止用ストッパー
4 窓部
5 中キャップ
6 中キャップ固定用リブ
7 圧入リブ
8 クリップ
9 ゲート
10 中キャップ位置決め用リブ
11 軸筒
12 ペン先
13 リフィル
14 把持部
15 前部嵌合用リブ
16 後部嵌合用リブ
17 前部嵌合時接触部
18 後部嵌合時接触部
19 リフィル圧入用リブ
20 雌ネジ
21 先金
22 雄ネジ
23 縦溝
24 鍔部
25 ペン先ガタ防止リブ
26 穴部
27 リフィル保持部
28 フロート脱落防止部
29 フロート
30 段部(当接部)
31 軸筒開口端
32 キャップ底部
Claims (2)
- 軸筒の嵌合用リブと嵌合する嵌合リブを有するキャップを配置した筆記具であって、キャップ内面には、キャップ開口端側から見て嵌合リブよりも底部側にストッパーを設け、ストッパーによる内接円径を軸筒側面に設けた嵌合時接触部の外径よりも小さいものとし、かつ、ストッパーのキャップ開口端側端面を粗面とし、軸筒側面の嵌合時接触部の先端面が前記ストッパーのキャップ開口端側端面と面接触するようなした筆記具。
- 前記キャップの硬度を前記軸筒の硬度よりも高くした請求項1に記載の筆記具。
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