JP6330489B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
つまり、上記のような理由により、キャップ式筆記具の本来の利点である、落下時にかかる衝撃に強く、先部材がリフィルの脱落防止になるという効果は得られていなかった。
参照符号1はキャップであり、片側が開口した形状をなすと共に、開口端から先端に向かい、徐々に縮径した形状をしている。また、キャップ1には前部嵌合時にペン先12が視認できるように窓部4が開けられている。さらに後述する先部材21に内蔵したリフィルと同色の着色を施すことで、前部嵌合時に外部から筆記色を視認することが出来る。また、この窓部4により、成形時にキャップ1の内面を形成するコアピンを抑えることができるため、安定した成形が可能となる。
そのキャップ1の外面にはクリップ8が備えられ、衣服のポケットや紙などを挟みこみ、固定することが出来る。そのクリップ8の根元部分には成形時のゲート9が設けられている。尚、ゲート9の材料が流入する角度によっては、クリップ8の表面に、射出成形時に金型内を通過する材料の先端部に存在する冷えた樹脂が直接流れ込むことでジェッティングが発生し、外観不良となりうる。そのため流動先端が直接クリップ8に向かわないよう、一度キャップ1の内面に衝突させてからクリップ8等に順次充填されていくことが望ましく、具体的にはゲート角度を後述する中キャップ位置決め用リブ10に向かうよう設定する。
キャップ1の材質については、一例として熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに言えばペン先12の保護の観点から、ポリカーボネートのような耐衝撃性が高い樹脂を用いるのが望ましいが、筆記時に吐出されるインキに含有されている有機溶剤などに対しての耐性の観点で材料選択を行ってもよい。また、樹脂の着色に関しても、マスターバッヂ着色や練り込み着色などを自由に選択できる。
さらにキャップ1の開口端から見て、嵌合リブ2よりも奥側に過挿入防止用ストッパー3が設けられている。その過挿入防止用ストッパー3は周状に8点設けられ、軸線方向に延設された形状である。即ち、アンダーカットにはならないため成形上の不具合も発生せず、さらに全周リブ形状等とは異なり、後部嵌合時に空気を圧縮しないという効果もある。なお、過挿入防止用ストッパー3に設ける個数や形状等は本実施例に限定されるものではなく、キャップ1の形状に合わせて自由に選択することが出来る。
キャップ1をペン先12側に挿着したとき(前部嵌合時)には、キャップ1の過挿入防止用ストッパー3の段部30が軸筒11の前部嵌合時接触部17と接触している。また、キャップ1を軸筒11の後部に挿着したとき(後部嵌合時)にも、キャップ1の過挿入防止用ストッパー3の段部30が軸筒11の後部嵌合時接触部18と接触している。なお、本実施例では過挿入防止用ストッパー3の段部30、即ち、後部嵌合時接触部17との当接部は粗面となっており、前部嵌合時接触部17も粗面となっているが、嵌合時接触部18は粗面ではなく、平滑面になっている。これは当接する部分の何れか一方の部材が粗面となっていることでキャップ1装着時の空回りを防止する目的であり、片方の部材のみが粗面であっても良いし、両方の部材がともに粗面であってもよい。
前記中キャップ5の形状は、キャップ1の前方嵌合時に後述する先部材21とわずかにクリアランスAを設けており、具体的には0.3mm程度に設定している。これは先部材21と軸筒11との嵌合幅B(本例では、軸筒11の雌ネジ20の一山の幅を指し、具体的には0.6mm程度)より少なくすることで、先部材21の外れを防止するためである。また、中キャップ5と先部材21とをキャップ1の嵌合時に接触させる位置関係にすると、長手方向の寸法にズレが生じた場合、即ち、長手方向に対して寸法状のばらつきが発生してしまうと、キャップ1が軸筒11に嵌合するよりも前に中キャップ5と先部材21との接触が発生し、最悪の場合、キャップ1が軸筒11と嵌合出来なくなってしまう。そのため、長手方向の寸法のズレを吸収できる程度にはクリアランスを設ける必要があるが、嵌合幅Bよりは少なく設けている。
前記軸筒11は有底形状をしており、内部にはペン先12を備えたリフィル13を内蔵している。
軸筒11の材質については、キャップ1と同様一例として熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに言えば、ポリカーボネートのような耐衝撃性が高い樹脂を用いるのが望ましい。また、軸筒11外面の一様部には印刷を施すことも出来、具体的には転写印刷やパッド印刷等を必要に応じて選択できる。
さらに、軸筒11の把持部14よりやや後方には、前部嵌合用リブ15が設けられている。前述したように、キャップ1に設けた嵌合リブ2が前記前部嵌合用リブ15を乗り越えることで嵌合される構造(嵌合構造)になっている。なお、前記嵌合構造は、キャップ1の嵌合リブ2と軸筒11の前部嵌合用リブ15による嵌合に限ったものではく、ネジによる螺合構造のような凹凸嵌合でもよく、また、キャップの内径とその内径より若干大きい軸筒の外径との圧入による嵌合などを選択しても良い。
また、軸筒11の後端部周辺には後部嵌合用リブ16が形成されている。しかし、キャップ1の嵌合の仕方は前方嵌合時と大きく異なり、後部嵌合時にはキャップ1の過挿入防止用ストッパー3の内側で挟み込む構造になっている。つまり、前述したような嵌合リブ2が後部嵌合用リブ16を乗り越える構成ではない。キャップ1の過挿入防止用ストッパー3は段部30に向かって徐々に拡径されているため、後部嵌合が進むにつれて徐々に嵌合力が大きくなっていく。やがて、過挿入防止用ストッパー3の段部30が、前述した後部嵌合時接触部18と接触し、キャップ1の長手方向の位置決めがされ、さらに、その位置でキャップ1が固定されている。
また、軸筒11の内面後端には、周状に複数個リフィル圧入用リブ19が設けられており、これにより、軸筒11の内部にリフィル13が、前記リフィル圧入用リブ19によって径方向で圧入関係となり、保持できるようになっている。なお、リフィル13内部後端に組み込まれているフロート29が保存中や使用中に脱落することを避けるため、リフィル圧入用リブ19に段差を設け、リフィル保持部27と、フロート脱落防止部28の2つに分割している。このフロート脱落防止部28の周状に複数個設けられているうちの1つはリブ高さを軸筒11の中心方向に向けて大きく設計されており、つまり、軸心への距離が小さくなるように設定している。これにより、フロート29はフロート脱落防止部28に接触するため、脱落しない。なお、フロート29の脱落防止効果がある形状は本実施例に限定されるものではなく、複数個設けたフロート脱落防止部28のすべてを上記のようにリブ高さを軸筒11の中心方向に向けて大きくしても良いし、当然、本実施例のように複数個のうちの一つだけでも効果を得ることが出来る。
さらに、軸筒11の内面の開口端31の周辺には、雌ネジ20が設けられている。これは、後述する先部材21と螺合させ、内蔵したリフィル13の脱落防止と、筆記時のペン先12のガタ防止を図るためである。なお、軸筒11と先部材21との接合はネジによる螺合構造に限ったものではないが、螺合構造のように凹凸嵌合であることが望ましく、例えば、凹部と凸部の圧入構造などを選択しても良い。
前記先部材21の外面後方には雄ネジ22が形成され、前述した軸筒11の雌ネジ20と螺合することで固定される。その先部材21の外面前方は、先端に向かって徐々に細くなるテーパー形状をしている。また、先部材21の先端に向かって縦溝23が形成されている。これは、軸筒11の内部に収容されているリフィル13を交換する際に、先部材21の脱着を簡単にするために設けてある。また、先部材21の外面中央部には、鍔部24が形成されており、軸筒11との螺合時のストッパーとして作用している。
さらに、先部材21の内面先端付近には周状に複数個ペン先ガタ防止リブ25が設けられている。軸筒11にリフィル13を収納し、先部材21を螺着すると、ペン先12と前記ペン先ガタ防止リブ25は若干の圧入状態になるか、若しくはクリアランスが非常に狭くなるため、筆記時のペン先のガタを抑制することが出来る。
前記キャップ32は第1の実施例とは異なり、窓部がなく異物混入もないため、中キャップも取り付けない構造になっている。また、キャップ32の内面には先部材外れ防止用リブ34が設けられている。この先部材外れ防止用リブ34は、先部材21の先端との軸方向クリアランスAが第1の実施例と同様に、わずかに空くように設計されている。具体的に説明すると、前記クリアランスAは、先部材21の嵌合幅Bよりも少なく設定されている。また、前記先部材外れ防止用リブ34は周状に4本成形されているが、本実施例に限定されるものではなく、数を増やしても良いし、全周リブにしてもよい。
本実施例においても、製品が下向きで落下した場合、軸筒11に内蔵しているリフィル13が、軸筒11との固定が外れて前方に移動し、先部材21に接触する可能性がある。その際、先部材21とキャップ32の内面の先部材外れ防止用リブ34は軸方向にわずかなクリアランスAしか持たないように設計されている。これより先部材21がリフィル13によって前方に押されても、先部材21の移動できる余地が非常に少なく、先部材21と軸筒11との固定を解除出来るだけの移動量が発生しない。つまり、第1の実施例と同様に、落下時の衝撃を受けても先部材21やリフィル13が脱落することがなく、安定してペン先の保護機能を保つことが出来る。
先部材37の外面後方には、先部材側嵌合リブ38が設けられている。これは軸筒36の内面の開口端周辺に設けた軸筒側嵌合リブ39を圧入距離Cの分だけ移動し乗り越えることで嵌合し、接合される。本実施例においては先部材側嵌合リブ38、軸筒側嵌合リブ39共に全周リブとしたが、どちらか一方を周状に複数個リブを設ける形状にしても良い。
前記キャップ35の内面は、前部嵌合時に先部材37の形状に沿うようになっており、前記実施例と同様に先部材37との間にはわずかなクリアランスAが設けられている。
本実施例においても、製品が下向きで落下した場合、軸筒36に内蔵しているリフィル13が、軸筒36との固定が外れて前方に移動し、先部材37に接触する可能性がある。その際、先部材37とキャップ35内面のクリアランスAは、わずかになるよう設計されている。これより先部材37がリフィル13によって前方に押されても、先部材37の移動できる余地が非常に少なく、先部材37と軸筒36との圧入固定を解除出来るだけの移動量、具体的には圧入距離C以上の移動量が発生しない。つまり、第1や第2の実施例と同様に、落下時の衝撃を受けても先部材37やリフィル13が脱落することがなく、安定してペン先の保護機能を保つことが出来る。
参照符号41はキャップであり、片側が開口した円筒形状をなすと共に、開口端から先端に向かい、徐々に縮径した形状をしている。そのキャップ41の外面にはクリップ42が備えられている。そのため、前記キャップの外面と前記クリップの間に、衣服のポケットや紙などを挟みこむことができる。よって、前記キャップを衣服のポケットや紙などに固定することが出来る。
前記キャップ41の材質は、一例として熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに言えばペン先61の保護の観点から、ポリカーボネートのような耐衝撃性が高い樹脂を用いるのが望ましいが、筆記時に吐出されるインキに含有されている有機溶剤などに対しての耐性の観点で材料選択を行ってもよい。また、樹脂の着色に関しても、マスターバッヂ着色や練り込み着色などを自由に選択できる。
さらに、キャップ41の開口端から見て嵌合リブ43よりも奥側には、延設リブ44が設けられている。前記延設リブ44は、周状に4点、各々90°で等間隔に設けられ、軸線方向に延設された形状を成している。即ち、アンダーカットにはならないため、成形上の不具合も発生せず、さらに全周リブ形状等とは異なり、後部嵌合時に空気を圧縮しないという効果もある。その前記延設リブ44は、嵌合リブ43に対して位相が45°ずれている(図24)。なお、前記延設リブ44の形状は本実施例に限定されないが、個数については前記嵌合リブ43と同数個設けることが望ましい。また、前記延設リブ44の軸線方向キャップ41開口部側の端面を段部5と呼称する。
さらに詳述すると、前記延設リブ44は、中間部からキャップの開口端から見て奥側に向かってテーパー状に縮径されてから軸線方向に対して水平に延設された形状を成している(テーパー状部分及び水平部分;47)。その前記延設リブ44のキャップ41の開口端側を過挿入防止用ストッパー46(接触部)と呼称し、中間部からキャップ41の開口端から見て奥側に向かってテーパー状に縮径されたテーパー状部分及び水平部分を先部材脱落防止リブ47と呼称する。
キャップ41をペン先61側に挿着したとき(前方嵌合時)には、キャップ41の過挿入防止用ストッパー46(接触部)の段部45が軸筒48の前部嵌合時接触部52(軸筒48の前端面)と接触している。また、キャップ41を軸筒48の後部に挿着したとき(後部嵌合時)にも、キャップ41の過挿入防止用ストッパー46(接触部)の段部45が軸筒48の後部嵌合時接触部53(軸筒48の12角形状部後端面)と接触している。なお、過挿入防止用ストッパー46の段部45、即ち、後部嵌合時接触部53との当接部を粗面とし、前部嵌合時接触部52も粗面としてもよい。また、嵌合時接触部53が粗面ではなく、平滑面としてもよい。これは当接する部分の何れか一方の部材が粗面となっていることでキャップ41装着時の空回りを防止する目的であり、片方の部材のみが粗面であっても良いし、両方の部材がともに粗面であってもよい。
軸筒48の材質については、キャップ41と同様一例として熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに言えば、ポリカーボネートのような耐衝撃性が高い樹脂を用いるのが望ましい。また、軸筒48外面の一部には印刷を施すことも出来、具体的には転写印刷やパッド印刷等を必要に応じて選択できる。
前記軸筒48の12角形状部であり外面前方部には、筆記時の把持部49が設けられている。その把持部49には滑り止めとして、指紋に合うような細かい溝が把持部を一周するように形成されており、この溝は鏡面となっている。なお、この把持部49は本実施例のように軸と一体であっても良いし、熱可塑性エラストマーやゴムなどを使用した別部材を装着しても良い。
さらに、軸筒48の把持部49より前方であって、円筒部後方には、環状に形成された凸部として前部嵌合用リブ50が設けられている。前述したように、キャップ41に設けた嵌合リブ43が前記前部嵌合用リブ50を乗り越えることで嵌合される構造(嵌合構造)になっている。その前記前部嵌合用リブ50の個数や形状は本実施例に限定されず、周状に複数のリブを設ける等、キャップ41や軸筒48の形態に合わせて自由に設計できる。
また、軸筒48の後端部周辺には後部嵌合用リブ51が形成されている。しかし、キャップ41の嵌合の仕方は前方嵌合時と大きく異なり、後部嵌合時にはキャップ41の過挿入防止用ストッパー46の内側で挟み込む構造になっている。つまり、前述したような嵌合リブ43が後部嵌合用リブ51を乗り越える構成ではない。キャップ41の過挿入防止用ストッパー46は前記延設リブ44の軸線方向キャップ41開口部側の端面に設けられた前記段部45に向かって徐々に拡径されているため、後部嵌合が進むにつれて徐々に嵌合力が大きくなっていく。やがて、過挿入防止用ストッパー46の段部45が、前述した後部嵌合時接触部53と接触し、キャップ41の長手方向の位置決めがされ、さらに、その位置でキャップ41が固定されている。
また、軸筒48の内面後端には、周状に複数個リフィル圧入用リブ55が形成されており、これにより、軸筒48の内部にリフィル60が、前記リフィル圧入用リブ55によって径方向で圧入関係となり、保持できるようになっている。なお、リフィル60内部後端に組み込まれているフロート69が保存中や使用中に脱落することを避けるため、リフィル圧入用リブ55に段差を設け、リフィル保持部56と、フロート脱落防止部57の2つに分割している。このフロート脱落防止部57の周状に複数個設けられているうちの1つはリブ高さを軸筒48の中心方向に向けて大きく設計されており、つまり、軸心への距離が小さくなるように設定している。これにより、フロート69はフロート脱落防止部57に接触するため、脱落しない。なお、フロート69の脱落防止効果がある形状は本実施例に限定されるものではなく、複数個設けたフロート脱落防止部57のすべてを上記のようにリブ高さを軸筒48の中心方向に向けて大きくしても良いし、当然、本実施例のように複数個のうちの一つだけでも効果を得ることが出来る。
さらに、軸筒48の内面の開口端58の周辺には、雌ネジ59が設けられている。これは、後述する先部材62と螺合させ、内蔵したリフィル60の脱落防止と、筆記時のペン先61のガタ防止を図るためである。なお、軸筒48と先部材62との接合はネジによる螺合構造に限ったものではないが、螺合構造のように凹凸嵌合であることが望ましく、例えば、凹部と凸部の圧入構造などを選択しても良い。
前記先部材62の外面後方には雄ネジ63が形成され、前述した軸筒48の雌ネジ59と螺合することで固定される。その先部材62の外面前方は、先端に向かって徐々に細くなるテーパー形状をしている。また、先部材62の先端に向かってその外周部には、放射状に縦溝64が形成されている。これは、軸筒48の内部に収容されているリフィル60を交換する際に、先部材62の脱着を簡単にするために設けてある。また、先部材62の外面中央部には、鍔部65が形成されており、軸筒48との螺合時のストッパーとして作用している。
さらに、先部材62の内面先端付近には周状に複数個ペン先ガタ防止リブ66が設けられている。これは軸筒48にリフィル60を収納し、先部材62を螺着すると、ペン先61と前記ペン先ガタ防止リブ66は若干の圧入状態になるか、若しくはクリアランスが非常に狭くなるため、筆記時のペン先のガタを抑制することが出来る。
例えば、前記延設リブ44が嵌合リブ43に対して同位相の位置関係であっても、前記キャップ41内面に設けられた先部材脱落防止リブ47とのクリアランスAは、先部材62と軸筒48との嵌合幅Bより少なくなっている為、落下時の衝撃を受けても先部材62やリフィル60が脱落することがない。
しかしながら、本実施例では前記延設リブ44は嵌合リブ43に対して位相を45°ずらした位置関係で構成しており、前記延設リブ44と嵌合リブ43の位置関係が同位相の場合と比較して前方嵌合時の前部嵌合用リブ50が嵌合リブ43に嵌合されることによる拡径の影響を先部材脱落防止リブ47が受けにくくなる。詳述すると、本実施例では、前方嵌合時において、キャップ41と軸筒48が嵌合した際に軸筒48に形成された前部嵌合用リブ50がキャップ41内部に等間隔に90°で4点形成された嵌合リブ43を乗り越えて嵌合、保持されることになる。よって、前方嵌合時にはキャップ41内部に等間隔に90°で4点形成された嵌合リブ43を基点とし、キャップ41の内径部が、その基点を頂点として断面が略四角形状に変形、拡径されることになる。つまり、前記嵌合リブ43が形成された4点の頂点部分が最も拡径されることになり、嵌合リブ43に対して位相が45°ずれた方向が最も拡径の影響を受け難いことになる。ここで、前述した前記延設リブ44は嵌合リブ43に対して位相を45°ずらした位置関係で構成している為、前方嵌合時にキャップ41内径部の拡径の影響を殆ど受けないことになる。そのため、前方嵌合時における先部材62と延設リブ44に形成された先部材脱落防止リブ47間のクリアランスAが、設計値に対して近似し、クリアランスAが嵌合幅B以上の移動量となり難くなる。それにより、より確実に先部材62やリフィル60の脱落を防止することができる。さらに、より確実に先部材62と先部材脱落防止リブ47間のクリアランスAを意図する大きさとすることができるため、安定した品質で製品の生産ができる。
また、本実施例においては、嵌合リブ43、及び延設リブ44は周状に4点、各々90°で等間隔に設けられており、各々位相が45°ずれているが、前述したように、各々のリブの個数、形状、位置関係については本実施例に限定されない。尚、好ましくは各々のリブが等間隔に3点以上あればよく、位置関係についても各々のリブ同士の間に形成されていれば良い。
前記インロー構造は一般的には箱型容器や、金型構造等で使用され、上蓋と底箱とで構成される前記箱型容器の場合には、上蓋の内部に挿入される壁部を底箱に設け、その上蓋と壁部からなるインロー部を設けることによって、上蓋と底箱のがたつきを抑えている。
一方、本実施例では先部材62と軸筒48とで前述のインロー構造を構成し、かつ、前記外周部67が前記軸筒48の前部嵌合用リブ50の頂点まであることで、インロー部の剛性が径方向に対して高いことを特徴としている。特に、前記軸筒48の前部嵌合用リブ50の頂点までインロー部がある為、インロー構造でない場合と比較すると前記キャップ41の前方嵌合時に前記軸筒48の前部嵌合用リブ50部が径方向に極めて変形し難い。これにより、例えば前部嵌合用リブ50が形成されている軸筒48が成形条件、設計条件、又は何等かの理由によって肉厚を薄くしなければならない時に、前部嵌合用リブ50部が径方向に変形し難いことで、キャップ41と軸筒48との嵌合力の管理がし易くなり、極端に嵌合力が弱くなったり、繰り返しの嵌合によるへたりが少なくなる。また、望ましくは前記キャップ41側の材質の剛性を軸筒48よりも弱いものを適宜選択する事で、前記効果は更に良化する。尚、本実施例は前記軸筒48と先部材62とを組み付けた際に、前記先部材62の外周部67の後端部が軸筒48の前部嵌合用リブ50の頂点が形成された内径部分まで到達する構成に限定されず、前記軸筒48と先部材62を組み付けた際に、軸筒48の前部嵌合用リブ50の頂点が形成された内径部分の一部、或いは全体に対して前記先部材62の外周部67が存在するような構成であれば良い。
本実施例は第4実施例同様の構成を成しているが、先部材70の形状が第4実施例とは異なる。また、本実施例においては、キャップ41に設けた嵌合リブ43が前部嵌合用リブ50を乗り越えることで嵌合される構造(乗り越え嵌合)になっている。なお、前記乗り越え嵌合は、前記キャップ41の前記嵌合リブ43と軸筒48の前前記部嵌合用リブ50による嵌合に限ったものではく、キャップの内径とその内径より若干大きい軸筒の外径との圧入による嵌合などを選択しても良い。以下具体的に説明すると、先部材70の外面前方は先端に向かって徐々に細くなるテーパー形状を成しており、前記先部材70の先端に向かって回転防止用の縦溝72が形成されている。前記縦溝72は、第4実施例の縦溝64と同様に軸筒48の内部に収容されているリフィル60を交換する際に、先部材70の脱着を簡単にするために設けてある。さらに、本実施例においては落下の衝撃によって先部材70と軸筒48の螺合が緩まないように構成されている。より具体的には、キャップをペン先側に挿着したとき(前部嵌合時)に、先部材70の回転防止用の縦溝72に対してキャップ41の先部材脱落防止リブ47が挿通されることで回転防止機能の役割を成している(図30、図31)。これによって先部材70は、回転方向への移動がキャップ41の先部材脱落防止リブ47によって制限されることになる。そのため、落下による衝撃を受けても軸筒48の雌ネジ59と先部材70の雄ネジ71の螺合が緩むことがなく、軸筒48からの先部材70の外れを防止することが出来る。万が一、前記螺合が緩んだ場合であっても、キャップ41の先金脱落防止リブ47と先部材70の縦溝72の底面73は、わずかにクリアランスAを設けており、先部材70と軸筒48との嵌合幅Bより少なくすることで、先部材70の外れを防止することが出来る。尚、本実施例ではキャップ41の凸部である先部材脱落防止リブ47が、凹部である先部材70の回転防止用の縦溝72に挿通された構成を成しているが、キャップ41側に凹部を設け、先部材70側に凸部を設けても同様の効果を得る事が出来る。また、落下による衝撃を受けた際に、軸筒48に対してキャップ41が回転する可能性もある為、前記軸筒48の外面とキャップ41の内面の構造を前記記載の先部材脱落防止リブ47と縦溝72の関係にしても良い(回転防止機能)。これにより、先部材70が軸筒48より脱落する可能性を更に低減させることが出来る為、製品を誤って落下させた場合にも、リフィルの脱落は発生せず、安定してペン先の保護に寄与させることができる。
なお、前記回転防止機能は、それぞれ等間隔に4つ形成された、前記先部材脱落防止リブ47と前記縦溝72によって構成されている。しかし、前記先部材脱落防止リブ47と前記縦溝72の数はこれに限らず、適宜設定することができる。また、その位置は等間隔に限らず、適宜設定することができる。
2 嵌合リブ
3 過挿入防止用ストッパー
4 窓部
5 中キャップ
6 中キャップ固定用リブ
7 圧入リブ
8 クリップ
9 ゲート
10 中キャップ位置決め用リブ
11 軸筒
12 ペン先
13 リフィル
14 把持部
15 前部嵌合用リブ
16 後部嵌合用リブ
17 前部嵌合時接触部
18 後部嵌合時接触部
19 リフィル圧入用リブ
20 雌ネジ
21 先部材
22 雄ネジ
23 縦溝
24 鍔部
25 ペン先ガタ防止リブ
26 穴部
27 リフィル保持部
28 フロート脱落防止部
29 フロート
30 段部
31 軸筒開口端
32 キャップ
33 嵌合リブ
34 先部材外れ防止用リブ
35 キャップ
36 軸筒
37 先部材
38 先部材側嵌合リブ
39 軸筒側嵌合リブ
41 キャップ
42 クリップ
43 嵌合リブ
44 延設リブ
45 段部
46 過挿入防止用ストッパー(接触部)
47 先部材脱落防止リブ
48 軸筒
49 把持部
50 前部嵌合用リブ
51 後部嵌合用リブ
52 前部嵌合時接触部
53 後部嵌合時接触部
54 軸筒穴部
55 リフィル圧入用リブ
56 リフィル保持部
57 フロート脱落防止部
58 開口端
59 雌ネジ
60 リフィル
61 ペン先
62 先部材
63 雄ネジ
64 縦溝
65 鍔部
66 ペン先ガタ防止リブ
67 外周部
68 円筒部
69 フロート
70 先部材
71 雄ネジ
72 縦溝
73 底面
A クリアランス
B 嵌合幅
C 圧入距離
Claims (5)
- 軸筒の内部にリフィルが挿着され、そのリフィルの脱落を防止する先部材が前記軸筒に対して着脱自在に取り付けられていると共に、前記リフィルの先端部を覆うキャップが取り付けられた筆記具であって、前記キャップを軸筒に対して嵌合構造により取り付けると共に、前記キャップをした状態における先部材の外面がキャップの内面に接触するまでの軸方向の距離を、前記先部材の軸筒に対する凹凸嵌合が解除出来る移動量よりも少なくした筆記具。
- 前記凹凸嵌合を雄ネジと雌ネジとの螺合によってなした請求項1記載の筆記具。
- 前記嵌合構造を、前記キャップの内面に設けた嵌合リブと前記軸筒に設けたリブによりなすと共に、前記キャップにはリブからなる接触部を設け、その接触部に前記キャップをした状態における前記先部材の外面が接触するまでの軸方向の距離を、前記先部材の軸筒に対する凹凸嵌合が解除出来る移動量よりも少なくし、また、前記嵌合リブを周状に等間隔に設けると共に、前記接触部を周状に等間隔に設け、前記嵌合リブと前記接触部との位相を異ならしめたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の筆記具。
- 前記先部材の軸筒に対する凹凸嵌合の完了時に、前記軸筒に設けたリブが形成された内径部分の一部又は全体に対しての長手方向の位置と略同位置に、前記先部材が存在していることを特徴とする請求項3に記載の筆記具。
- 前記キャップを軸筒に対して乗り越え嵌合により取り付けると共に、前記キャップの内面に凸部若しくは凹部を形成し、前記凸部若しくは前記凹部に挿通する凹部若しくは凸部を、前記軸筒の外面、若しくは前記先部材の外面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
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