JP6250475B2 - Ni基合金フラックス入りワイヤ - Google Patents
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Description
ここで、Ni基合金フラックス入りワイヤを用いたガスシールドアーク溶接においては、Ni基合金は溶接金属の融点が低いため、凝固したスラグとの界面にガスがトラップされやすく、溶接金属にピットが発生しやすいという問題がある。また、その他の性能についての改善も図られている。
特許文献1、2に記載のNi基合金フラックス入りワイヤでは、低融点酸化物であるMnO2の添加によりスラグ凝固温度が低下する。そのため、特許文献1、2に記載のNi基合金フラックス入りワイヤでは、立向姿勢や上向姿勢でのビード形状の改善に余地がある。
特許文献3に記載のNi基合金フラックス入りワイヤでも、MnOの添加量が高いことから、スラグ凝固温度が低下する。そのため、特許文献3に記載のNi基合金フラックス入りワイヤでは、立向姿勢や上向姿勢でのビード形状の改善に余地がある。
Ni基合金は融点が低いため、全姿勢溶接では溶融金属が垂れやすくなる特徴がある。そのため、全姿勢溶接で平坦なビード形状を得るためには、スラグの凝固温度を高くして、凝固したスラグで溶融金属が垂れないように抑えることが必要となる。スラグの凝固温度を高めるためには、スラグ形成剤において、高融点な酸化物の添加量を高めて、なるべく低融点な酸化物を添加しなければよい。このような考えにより、高融点なスラグ組成を維持しつつ、スラグ剥離も優れるスラグ組成を有するNi基合金フラックス入りワイヤを開発した。
本発明に係るNi基合金フラックス入りワイヤは、Ni基合金の外皮にフラックスが充填されたNi基合金フラックス入りワイヤであって、ワイヤ全質量あたり、Ni:52〜65質量%、Cr:18〜23質量%、Mo:7.0〜10.0質量%、Nb:3.0〜5.0質量%、を含有し、前記フラックス中に、ワイヤ全質量あたり、TiO2:4.0〜12.0質量%、SiO2:0.05〜0.60質量%、ZrO2:1.0〜4.0質量%、MnO2:0.3質量%以下、Al2O3:1.0質量%以下、を含有し、且つ、前記フラックス中に、ワイヤ全質量あたり、Na,K,Liのアルカリ金属化合物をアルカリ金属換算値で、合計0.1〜2.0質量%、フッ化物をフッ素換算値で0.1〜1.0質量%を含有し、前記に規定した全ての成分の合計が、ワイヤ全質量あたり、96質量%以上であることを特徴とする。
また、フラックス入りワイヤは、所定量のTiO2を添加することで、均一で被包性の良いスラグが形成され、アーク安定性が向上するとともに、スラグ融点が上がり、全姿勢溶接でのビード形状が平坦となる。また、所定量のSiO2を添加することで、スラグの粘性が高まり、スラグ被りが均一になることでスラグ剥離性が良好となる。また、所定量のZrO2を添加することで、スラグ凝固が早まり、立向姿勢および上向姿勢での平坦なビード形状がえられる。また、MnO2の添加量を規制することで、スラグ凝固温度の低下が抑制され、全姿勢溶接のビード形状の劣化が抑制される。また、Al2O3の添加量を規制することで、スラグ剥離の劣化が抑制される。
また、フラックス入りワイヤは、Na,K,Liのアルカリ金属化合物を所定量添加することで、アーク安定性が向上し、フッ化物を所定量添加することで、水分由来の気孔欠陥が低減される。
本発明のフラックス入りワイヤは、Ni基合金の外皮にフラックスが充填されたNi基合金フラックス入りワイヤである。そして、このフラックス入りワイヤは、全質量あたり、Ni、Cr、Mo、Nbを所定量含有し、フラックス中に、ワイヤ全質量あたり、TiO2、SiO2、ZrO2、MnO2、Al2O3を所定量含有し、且つ、フラックス中に、ワイヤ全質量あたり、Na,K,Liのアルカリ金属化合物をアルカリ金属換算値で所定量、フッ化物をフッ素換算値で所定量含有するものである。
以下、フラックス入りワイヤの成分限定理由について説明する。
Niはオーステナイト組織を安定化させるために添加する。Ni含有量が52質量%未満では、相対的に他の元素の含有量が増え組織が不安定となり、靭性が劣化する。一方、Ni含有量が65質量%を超えると、相対的にCr,Mo,Nbなどの添加量が低くなり、耐食性や強度が劣化する。したがって、フラックス入りワイヤにおけるNi含有量は、ワイヤ全質量あたり52〜65質量%とする。Ni含有量は、組織をより安定にさせる観点から、好ましくは55質量%以上、より好ましくは58質量%以上である。また、耐食性や強度をより向上させる観点から、好ましくは62質量%以下、より好ましくは61質量%以下である。
Crは溶接金属の強度および耐食性を向上させる効果がある。Cr含有量が18質量%未満では、耐食性が劣化する。一方、Cr含有量が23質量%を超えると、溶接金属の靱性が劣化する。したがって、フラックス入りワイヤにおけるCr含有量は、ワイヤ全質量あたり18〜23質量%とする。Cr含有量は、耐食性をより向上させる観点から、好ましくは19質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また、靱性をより向上させる観点から、好ましくは22質量%以下、より好ましくは21.5質量%以下である。
MoはCrと同じく、溶接金属の強度および耐食性を向上させる効果がある。Mo含有量が7.0質量%未満では、耐食性が劣化する。一方、Mo含有量が10.0質量%を超えると、溶接金属の靱性が劣化する。したがって、フラックス入りワイヤにおけるMo含有量は、ワイヤ全質量あたり7.0〜10.0質量%とする。Mo含有量は、耐食性をより向上させる観点から、好ましくは7.5質量%以上、より好ましくは8.0質量%以上である。また、靱性をより向上させる観点から、好ましくは9.0質量%以下、より好ましくは8.8質量%以下である。
Nbは固溶強化元素であり、溶接金属の強度を向上させる効果がある。Nb含有量が3.0質量%未満では、強度が劣化する。一方、Nb含有量が5.0質量%を超えると、溶接金属の靱性が劣化する。したがって、フラックス入りワイヤにおけるNb含有量は、ワイヤ全質量あたり3.0〜5.0質量%とする。Nb含有量は、強度をより向上させる観点から、好ましくは3.15質量%以上、より好ましくは3.3質量%以上である。また、靱性をより向上させる観点から、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.2質量%以下である。
TiO2はスラグ形成剤の主成分であり、均一で被包性の良いスラグを形成し、アーク安定性を向上させる効果がある。また、TiO2の添加はスラグ融点を上げて全姿勢溶接でのビード形状を平坦にさせる効果もある。TiO2含有量が4.0質量%未満では、上記の効果が得られない。一方、TiO2含有量が12.0質量%を超えると、フラックスが非常に溶けにくくなり、フラックス柱が溶け残り、スラグ巻の発生の原因となる。したがって、フラックス中のTiO2含有量は、ワイヤ全質量あたり4.0〜12.0質量%とする。TiO2含有量は、上記の効果をより向上させる観点から、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは5.5質量%以上である。また、フラックスをより溶けやすくする観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下である。
SiO2はスラグの粘性を高め、スラグ被りを均一にすることでスラグ剥離性を良好にする効果がある。SiO2含有量が0.05質量%未満では、上記効果が得られない。一方、SiO2含有量が0.60質量%を超えると、SiO2はTi等の強脱酸元素によって還元されるため、溶接金属中のSi増加を招き、溶接金属の靭性の劣化を招く。また、スラグ融点が低下し、全姿勢溶接でのビード形状が劣化する。したがって、フラックス中のSiO2含有量は、ワイヤ全質量あたり0.05〜0.60質量%とする。SiO2含有量は、上記の効果をより向上させる観点から、好ましくは0.20質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上である。また、靭性をより向上させる観点およびビード形状をより良好にする観点から、好ましくは0.55質量%以下、より好ましくは0.50質量%以下である。
ZrO2はスラグ凝固を早め、立向姿勢および上向姿勢での平坦なビード形状が得られる効果がある。ZrO2含有量が1.0質量%未満では、上記の効果が十分に得られない。一方、ZrO2含有量が4.0質量%を超えると、スラグ被包性の劣化を招き、スラグ剥離性が著しく劣化する。したがって、フラックス中のZrO2含有量は、ワイヤ全質量あたり1.0〜4.0質量%とする。ZrO2含有量は、上記の効果をより向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは1.8質量%以上である。また、スラグ剥離性をより向上させる観点から、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.8質量%以下である。
MnO2はスラグ凝固温度を低下させ、全姿勢溶接のビード形状を劣化させる。したがって、フラックス中のMnO2含有量は、ワイヤ全質量あたり0.3質量%以下とする。MnO2含有量は、ビード形状の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。なお、下限値は特に規定はないが、MnO2は含有しない方が好ましい。ただし、MnO2は不可避的に混入するため、実質的に0.001質量%が下限値となる。
Al2O3はスラグ剥離性の劣化を招く。したがって、フラックス中のAl2O3含有量は、ワイヤ全質量あたり1.0質量%以下とする。Al2O3含有量は、スラグ剥離性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下である。なお、下限値は特に規定はないが、Al2O3は含有しない方が好ましい。ただし、Al2O3は不可避的に混入するため、実質的に0.001質量%が下限値となる。
Na,K,Liなどのアルカリ金属はアーク安定性を向上させる効果がある。これらはフッ化物や複合酸化物として添加でき、アルカリ金属換算でNa,K,Liの合計を0.1〜2.0質量%含むようにする。Na,K,Liの合計が0.1質量%未満では、アーク安定性が劣化する。一方、2.0質量%を超えると、スラグ融点が低下し、全姿勢溶接でのビード形状が劣化する。したがって、フラックス中のNa,K,Liの合計は、ワイヤ全質量あたり0.1〜2.0質量%とする。Na,K,Liの合計は、アーク安定性をより向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。また、ビード形状をより良好にする観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下である。
フッ素は水分由来の気孔欠陥を低減する効果がある。フッ化物のフッ素換算値が0.1質量%未満では、気孔欠陥の低減効果が得られない。一方、フッ化物のフッ素換算値が1.0質量%を超えると、アーク安定性が劣化する。また、全姿勢溶接でのビード形状が劣化する。したがって、フラックス中のフッ化物のフッ素換算値は、ワイヤ全質量あたり0.1〜1.0質量%とする。フッ化物のフッ素換算値は、気孔欠陥の低減効果をより向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上である。また、アーク安定性およびビード形状をより良好にする観点から、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である。
なお、アルカリ金属化合物にはアルカリ金属フッ化物も含まれ、ここでの「フッ化物」にはアルカリ金属フッ化物も含まれる。すなわち、ここでの「フッ化物」は、NaF、KF、LiF以外のフッ化物も含むものである。
フラックス入りワイヤ全体としての成分の残部は、不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、C、Si、P、S、Cu、V、N等が挙げられる。
Caはスラグ融点を低下させ、全姿勢の溶接作業性を劣化させる。Caを低減することで、よりスラグ剥離が良く、全姿勢でより平坦なビード形状が得られやすい。したがって、Ca化合物の含有量は、ワイヤ全質量あたり、Ca換算値で0.5質量%以下とすることが好ましい。Ca化合物の含有量は、溶接作業性をより向上させる観点およびビード形状をより良好にする観点から、より好ましくは、Ca換算値で0.1質量%以下、さらに好ましくは、Ca換算値で0.05質量%以下である。なお、下限値は特に規定はないが、Ca化合物は含有しない方が好ましい。ただし、Caは不可避的に混入するため、実質的にCa換算値で0.001質量%が下限値となる。
Baはスラグ融点を低下させ、全姿勢の溶接作業性を劣化させる。Baを低減することで、よりスラグ剥離が良く、全姿勢でより平坦なビード形状が得られやすい。したがって、Ba化合物の含有量は、ワイヤ全質量あたり、Ba換算値で0.5質量%以下とすることが好ましい。Ba化合物の含有量は、溶接作業性をより向上させる観点およびビード形状をより良好にする観点から、より好ましくは、Ba換算値で0.1質量%以下、さらに好ましくは、Ba換算値で0.05質量%以下である。なお、下限値は特に規定はないが、Ba化合物は含有しない方が好ましい。ただし、Baは不可避的に混入するため、実質的にBa換算値で0.001質量%が下限値となる。
Biは溶接金属中に低融点酸化物として最終凝固域に偏析し、溶接金属の耐高温割れ性を劣化させる。したがって、Bi化合物の含有量は、ワイヤ全質量あたり、Bi換算値で0.01質量%以下とすることが好ましい。Bi化合物の含有量は、耐高温割れ性をより向上させる観点から、より好ましくは、Bi換算値で0.001質量%以下、さらに好ましくは、Bi換算値で0.0005質量%以下である。なお、下限値は特に規定はないが、Bi化合物は含有しない方が好ましい。ただし、Biは不可避的に混入するため、実質的にBi換算値で0.0001質量%が下限値となる。
スラグ形成剤として添加するTi,Zr,Si,Ca,Mn,Baのバランスを調整することで全姿勢での溶接作業性とスラグのなじみを両立することができる。これにより、より全姿勢で平坦なビード形状が得られ、スラグ剥離性もより良好となる。Ti,Zr,Si,Ca,Mn,Baの酸化物および炭酸塩についての酸化物換算値で、(TiO2+ZrO2)/(SiO2+CaO+MnO2+BaO)が5以上であれば、スラグ凝固が遅くならず、全姿勢での溶接作業性が向上する。一方、(TiO2+ZrO2)/(SiO2+CaO+MnO2+BaO)が50以下であれば、スラグのなじみが向上しやすく、スラグ剥離性について実用レベルをより維持しやすくなる。したがって、Ti,Zr,Si,Ca,Mn,Baの酸化物および炭酸塩についての酸化物換算値で、(TiO2+ZrO2)/(SiO2+CaO+MnO2+BaO)は、5〜50とすることが好ましい。(TiO2+ZrO2)/(SiO2+CaO+MnO2+BaO)は、溶接作業性をより向上させる観点から、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。また、スラグのなじみをより向上させやすくし、スラグ剥離性をさらに維持しやすくする観点から、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。
なお、ここでのTiO2、SiO2、ZrO2、MnO2は、前記説明したフラックス中のTiO2、SiO2、ZrO2、MnO2に加えて含有させるものではない。また、この式は、実験的に導き出したものである。
フラックス入りワイヤの製造方法としては、帯鋼の長さ方向にフラックスを散布してから包み込むように円形断面に成形し伸線する方法や、太径の鋼管にフラックスを充填して伸線する方法がある。しかしながら、いずれの方法でも本発明には影響しないため、いずれの方法で製造しても良い。さらにシームが有るものと無いものがあるが、これもいずれでも良い。
まず、下記表1に示す化学成分の外皮を用いて、下記表2に示すワイヤの化学成分を有するフラックス入りワイヤを試作した。ワイヤの化学成分は、全てワイヤ全質量に対する質量%である。フラックス入りワイヤの線径は1.2mmとし、フラックス率は17〜27質量%とした。
表中、本発明の範囲を満たさないものは、数値に下線を引いて示す。また、「Na+K+Li」はNa,K,Liのアルカリ金属化合物におけるアルカリ金属換算値の合計であり、F、Ca、Ba、Biは、それぞれ、これらの化合物の換算値である。また、式は、「(TiO2+ZrO2)/(SiO2+CaO+MnO2+BaO)」である。
溶接金属の耐欠陥性は、AWS A5.11のRT試験を行い評価した。
溶接金属の耐高温割れ性は、FISCO割れ試験を行い、溶接直後のビード表面に浸透探傷試験を実施して、割れ発生の有無を調査して評価した。
溶接金属の耐食性は、ASTM G48 C法を用いて評価した。
<アーク安定性>
アーク安定性については、スプレー移行となり、溶滴が小粒でスパッタの少ないものを極めて良好(◎)、スプレー移行に近い溶滴移行で、スパッタの比較的少ないものを良好(○)、グロビュラー移行となり、溶滴が大きく、多量のスパッタが発生するものを不良(×)とした。
スラグ剥離性については、スラグが自然剥離するものを極めて良好(◎)、軽くハンマーで叩くことで剥離するものを良好(○)、スラグがビード表面に焼付いて剥離しないものを不良(×)とした。
立向上進溶接姿勢でのビード形状については、AWS A5.34のすみ肉の判定基準を満たし、かつフラットなビード形状となるものを極めて良好(◎)、AWS A5.34のすみ肉の判定基準を満たすものを良好(○)、AWSA5.34の判定基準を満たさず、凸なビードとなるものを不良(×)とした。
引張強度は、690MPa以上が得られたものを良好(〇)、690MPa未満となるものを不良(×)とした。
靭性については、−196℃のシャルピー衝撃試験で評価した。吸収エネルギーが50J以上となるものを良好(○)、50J未満となるものを不良(×)とした。
耐欠陥性については、AWS A5.11のRT試験の合格基準を満たすものを良好(○)、AWS A5.11のRT試験の合格基準を満たさないものを不良(×)とした。
耐高温割れ性については、FISCO割れ試験で評価した。溶接電流200A、溶接速度40cpmで試験を行い、割れの発生しなかったものを良好(○)、割れが発生したものを不良(×)とした。
耐食性については、ASTM G48 C法において、CPT≧50℃となるものを良好(○)、CPT<50℃となるものを不良(×)とした。
これらの結果を表3に示す。
一方、本発明の範囲を満足しないNo.17〜35は、以下の結果となった。
Claims (3)
- Ni基合金の外皮にフラックスが充填されたNi基合金フラックス入りワイヤであって、
ワイヤ全質量あたり、
Ni:52〜65質量%、
Cr:18〜23質量%、
Mo:7.0〜10.0質量%、
Nb:3.0〜5.0質量%、
を含有し、
前記フラックス中に、ワイヤ全質量あたり、
TiO2:4.0〜12.0質量%、
SiO2:0.05〜0.60質量%、
ZrO2:1.0〜4.0質量%、
MnO2:0.3質量%以下、
Al2O3:1.0質量%以下、
を含有し、且つ、
前記フラックス中に、ワイヤ全質量あたり、
Na,K,Liのアルカリ金属化合物をアルカリ金属換算値で、合計0.1〜2.0質量%、フッ化物をフッ素換算値で0.1〜1.0質量%を含有し、
前記に規定した全ての成分の合計が、ワイヤ全質量あたり、96質量%以上であることを特徴とするNi基合金フラックス入りワイヤ。 - スラグ形成剤としてCa化合物、Ba化合物、および、Bi化合物を含有し、これらの化合物について、ワイヤ全質量あたり、それぞれ、Ca換算値で0.5質量%以下、Ba換算値で0.5質量%以下、Bi換算値で0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のNi基合金フラックス入りワイヤ。
- スラグ形成剤として酸化物および炭酸塩を含有し、前記酸化物および炭酸塩の中で、Ti,Zr,Si,Ca,Mn,Baの酸化物、および、Ti,Zr,Si,Ca,Mn,Baの炭酸塩について、酸化物換算値で、(TiO2+ZrO2)/(SiO2+CaO+MnO2+BaO):5〜50であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のNi基合金フラックス入りワイヤ。
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