JPH09314382A - Ni基合金溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

Ni基合金溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH09314382A
JPH09314382A JP13526696A JP13526696A JPH09314382A JP H09314382 A JPH09314382 A JP H09314382A JP 13526696 A JP13526696 A JP 13526696A JP 13526696 A JP13526696 A JP 13526696A JP H09314382 A JPH09314382 A JP H09314382A
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JP
Japan
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weight
wire
flux
less
welding
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Application number
JP13526696A
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English (en)
Inventor
Akino Kouzuki
映野 上月
Yoshizo Hashimoto
芳造 橋本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】耐割れ性が優れ、溶接作業性を向上させるNi
基合金溶接用フラックス入りワイヤ。 【解決手段】Ni又はNi基合金の金属外皮内にフラッ
クスが充填され、ワイヤ全重量に対するフラックス充填
率が10−30重量%で、ワイヤ全重量に対して金属成
分換算値(重量%)で、C:0.01−0.15、S
i:0.1−2.0、Mn:0.2−8.0、Cr:
0.5−22.0、Mo:0.01−22.0、Fe:
10以下、Nb:5以下及びW:5以下を含み、Pが
0.010以下、Sが0.010以下、Bが0.003
0以下で(10×[Si]+2×[Nb]+400×
[P]+600×[S]+2000×[B])/(15
×[C]+2×[Mn]+[Mo])が2.0以下。
(式中[Si]等は重量%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はNi基合金の溶接に使用
され、スラグの剥離性等の溶接作業性が良好であると共
に、優れた耐割れ性を有する溶接金属を得ることができ
るNi基合金溶接用フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】Ni基合金を溶接したときに得られる溶
接金属は、完全オーステナイト組織であることから、高
温割れが発生しやすいことは公知である。従って、従来
より、Ni基合金を溶接する場合においては、耐割れ性
を確保するために、被覆アーク溶接及びソリッドワイヤ
によるガスシールドアーク溶接が使用されており、これ
らの溶接方法よりも耐割れ性が劣るフラックス入りワイ
ヤを使用した溶接は、殆ど実施されていない。
【0003】しかしながら、近時、Ni基合金に対する
溶接の分野においても、他の分野と同様に、熟練溶接者
が不足すると共に省力化が要求されているため、Ni基
合金溶接用のフラックス入りワイヤの開発が要望されて
いる。
【0004】そこで、Ni基合金溶接用のフラックス入
りワイヤとして、例えば、フラックス中の酸化チタン、
酸化アルミニウム、酸化珪素、Na化合物、K化合物、
Li化合物、金属弗化物、Ti、金属成分及びスラグ成
分等を調整することにより、スパッタの低減、スラグの
被包性及び剥離性等の溶接作業性並びに溶接金属の機械
的性能の向上を図ったフラックス入りワイヤが開示され
ている(特開平4−266495号公報)。また、上記
化学成分の調整の他に、Fe及びMn酸化物の含有量を
調整することにより、同様に、これらの性能を改良した
フラックス入りワイヤも開示されている(特開平6−1
98488号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の公報において開示されたNi基合金溶接用フラ
ックス入りワイヤにおいては、これを使用して得られる
溶接金属の耐割れ性が不十分であり、溶接金属に発生す
る割れを十分に防止することはできないという問題点が
ある。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、耐割れ性が優れた溶接金属を得ることがで
き、好ましくは、溶接作業性をより一層向上させること
ができるNi基合金溶接用フラックス入りワイヤを提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るNi基合金
溶接用フラックス入りワイヤは、Ni又はNi基合金か
らなる金属外皮内にフラックスが充填されているフラッ
クス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対する前記フ
ラックス充填率が10乃至30重量%であり、前記金属
外皮及びフラックス中にワイヤ全重量に対して、金属成
分換算値で、C:0.01乃至0.15重量%、Si:
0.1乃至2.0重量%、Mn:0.2乃至8.0重量
%、Cr:0.5乃至22.0重量%、Mo:0.01
乃至22.0重量%、Fe:10重量%以下、Nb:5
重量%以下及びW:5重量%以下を含有し、不可避的不
純物としてのPが0.010重量%以下、Sが0.01
0重量%以下、Bが0.0030重量%以下に規制され
ており、Si、Nb、P、S、B、C、Mn及びMoの
含有量を重量%で、夫々、[Si]、[Nb]、
[P]、[S]、[B]、[C]、[Mn]及び[M
o]としたときに、数式(Ic=(10×[Si]+2
×[Nb]+400×[P]+600×[S]+200
0×[B])/(15×[C]+2×[Mn]+[M
o]))により算出されるIcが2.0以下であること
を特徴とする。
【0008】また、前記フラックスは、ワイヤ全重量に
対して、TiO2:0.1乃至6.0重量%、SiO2
0.1乃至4.0重量%、ZrO2:0.1乃至6.0
重量%及び金属フッ化物(F換算値):0.05乃至
3.0重量%を含有することが好ましい。
【0009】
【作用】本願発明者等が前記課題を解決するために鋭意
実験研究を重ねた結果、ワイヤ中のC、Mn及びMoは
耐割れ性を向上させる効果を有する成分であり、Si、
P、S、Nb及びBはいずれも耐割れ性を低下させる成
分であるということを見い出した。更に、これらの成分
の含有量から、耐割れ性のパラメータとなる耐割れ性指
数Icを算出する数式を見い出した。即ち、耐割れ性指
数Icが所望の範囲内であるフラックス入りワイヤは、
耐割れ性が優れており、十分実用化することができるも
のとなる。
【0010】本発明においては、ワイヤの外皮としてN
i又はNi基合金を使用するものであり、外皮の形状と
しては、フープ状及びパイプ状のものがある。なお、N
i基合金には、Ni−Cr、Ni−Cr−Mo及びNi
−Mo等がある。
【0011】以下、本発明におけるフラックス入りワイ
ヤについて、更に説明する。先ず、ワイヤ全重量に対す
るフラックス充填率の限定理由について説明する。
【0012】フラックス充填率:10乃至30重量% 外皮中に充填されるフラックスの充填率が、ワイヤ全重
量に対して10重量%未満であると、アークが不安定と
なり、スラグがビードを十分包被することができなくな
る。一方、フラックス充填率が30重量%を超えると、
ワイヤ製造時における伸線が困難になる。従って、ワイ
ヤ全重量に対するフラックス充填率は10乃至30重量
%とする。
【0013】次に、本発明におけるフラックス入りワイ
ヤ全重量に対する含有成分の組成限定理由について説明
する。
【0014】C:0.01乃至0.15重量% Cは溶接金属の強度を確保し、耐割れ性を向上させるこ
とができる成分である。このC源としては、黒鉛、Cを
含有するFe−Cr、Cを含有するFe−Mn及び金属
炭酸塩等があり、本発明においては、これらをC量に換
算した値として規定する。フラックス入りワイヤ中のC
がワイヤ全重量に対して0.01重量%未満であると、
耐割れ性を確保することができない。一方、Cが0.1
5重量%を超えると、耐食性及び耐衝撃性が低下する。
従って、ワイヤ全重量に対するCは0.01乃至0.1
5重量%とする。
【0015】Si:0.1乃至2.0重量% Siは溶接金属の母材へのなじみ性を良好にすることが
できる成分である。このSi源としては、Fe−Si、
希土類元素Ca−Si、珪灰石、長石及びマイカ等の酸
化物、並びに硅弗化カリ及び硅弗化ソーダ等の弗化物等
があり、本発明においては、これらをSi量に換算した
値として規定する。フラックス入りワイヤ中のSiがワ
イヤ全重量に対して0.1重量%未満であると、溶接金
属の母材へのなじみ性を良好にする効果を得ることがで
きない。一方、Siが2.0重量%を超えると、溶接金
属の延性が著しく低下する。従って、ワイヤ全重量に対
するSiは0.1乃至2.0重量%とする。
【0016】Mn:0.2乃至8.0重量% Mnは溶接金属の延性を確保する効果を有する成分であ
る。このMn源としては、金属Mn、Fe−Mn、Mn
2及びMnCO3等があり、本発明においては、これら
をMn量に換算した値として規定する。フラックス入り
ワイヤ中のMnがワイヤ全重量に対して0.2重量%未
満であると、溶接金属の延性を確保することができな
い。一方、Mnが8.0重量%を超えると、スラグの剥
離性が低下する。従って、ワイヤ全重量に対するMnは
0.2乃至8.0重量%とする。
【0017】Cr:0.5乃至22.0重量% Crは溶接金属の耐食性及び強度を向上させることがで
きる成分である。このCr源としては、金属Cr、Fe
−Cr及びCr23等があり、本発明においては、これ
らをCr量に換算した値として規定する。フラックス入
りワイヤ中のCrがワイヤ全重量に対して0.5重量%
未満であると、溶接金属の耐食性及び強度を向上させる
効果を得ることができない。一方、Crが22.0重量
%を超えると、スラグの剥離性が低下する。従って、ワ
イヤ全重量に対するCrは0.5乃至22.0重量%と
する。
【0018】Mo:0.01乃至22.0重量% Moは溶接金属の耐食性及び強度を向上させることがで
きる成分である。このMo源としては、金属Mo及びF
e−Mo等があり、本発明においては、これらをMo量
に換算した値として規定する。フラックス入りワイヤ中
のMoがワイヤ全重量に対して0.01重量%未満であ
ると、溶接金属の耐食性及び強度を向上させる効果を得
ることができない。一方、Moが22.0重量%を超え
ると、スラグの剥離性が低下する。従って、ワイヤ全重
量に対するMoは0.01乃至22.0重量%とする。
【0019】Fe:10重量%以下 Feは溶接金属の延性を確保するために添加する成分で
ある。このFe源としては、金属Fe、Fe−Si、F
e−Mn、Fe−Cr、Fe−Mo、Fe−Nb及びF
e−Ti等があり、本発明においては、これらをFe量
に換算した値として規定する。フラックス入りワイヤ中
のFeがワイヤ全重量に対して10重量%を超えると、
必要な強度を得ることができない。従って、Feはワイ
ヤ全重量に対して10重量%以下添加するものとする。
【0020】Nb:5重量%以下 Nbは溶接金属の耐食性及び強度を向上させることがで
きる成分である。このNb源としては、金属Nb及びF
e−Nb等があり、本発明においては、これらをNb量
に換算した値として規定する。フラックス入りワイヤ中
のNbがワイヤ全重量に対して5重量%を超えると、ス
ラグの剥離性が低下する。従って、Nbはワイヤ全重量
に対して5重量%以下添加するものとする。
【0021】W:5重量%以下 Wは溶接金属の強度を向上させることができる成分であ
る。このW源としては、金属W、Fe−W及びW−C等
があり、本発明においては、これらをW量に換算した値
として規定する。フラックス入りワイヤ中のWがワイヤ
全重量に対して5重量%を超えると、スラグの剥離性が
低下する。従って、Wはワイヤ全重量に対して5重量%
以下添加するものとする。
【0022】P:0.010重量%以下、S:0.01
0重量%以下 P及びSは不可避的不純物としてフラックス入りワイヤ
中に存在する。フラックス入りワイヤ中のP及びSが、
夫々、ワイヤ全重量に対して0.010重量%を超える
と、溶接金属の耐割れ性が著しく低下する。従って、ワ
イヤ全重量に対するPは0.010重量%以下、Sは
0.010重量%以下に規制する。
【0023】B:0.0030重量%以下 Bは不可避的不純物としてフラックス入りワイヤ中に存
在する。フラックス入りワイヤ中のBがワイヤ全重量に
対して0.0030重量%を超えると、溶接金属の耐割
れ性が著しく低下する。従って、ワイヤ全重量に対する
Bは0.0030重量%以下に規制する。
【0024】耐割れ性指数Ic:2.0以下 溶接金属中の化学成分は耐割れ性を低下させる成分S
i、Nb、P、S及びBと、耐割れ性を向上させる成分
C、Mn及びMoとに区分される。オーステナイト生成
元素であるNiのNiマトリックスにおいて、フェライ
ト生成元素であるMo、Si及びNbはネットワークを
形成し、この場合、Si及びNbはNiとの間に低融点
化合物を形成するので、高温割れが発生する原因とな
る。また、P、S及びBはいずれも結晶粒界にNiとの
低融点化合物を形成するので、耐割れ性を低下させる。
【0025】一方、CはNiマトリクスにおいて結晶粒
界を強化することにより耐割れ性を向上させ、Mnは、
Niと低融点化合物を形成して耐割れ性を低下させる成
分であるSと結合することにより、Sを無害化する。ま
た、MoはSi及びNbの悪影響を消失させて、ネット
ワークを強化することにより耐割れ性を向上させる。従
って、本願発明者等はSi、Nb、P、S、B、C、M
n及びMoの含有量を重量%で、夫々、[Si]、[N
b]、[P]、[S]、[B]、[C]、[Mn]及び
[Mo]としたときに、数式(Ic=(10×[Si]
+2×[Nb]+400×[P]+600×[S]+2
000×[B])/(15×[C]+2×[Mn]+
[Mo]))により算出される耐割れ性指数Icと溶接
金属の割れとの関係を調査した。
【0026】図1は横軸に耐割れ性指数をとり、縦軸に
割れ率をとって、溶接金属の割れとワイヤの耐割れ性指
数との関係を示すグラフ図である。図1に示すように、
耐割れ性指数Icが2.0を超えると、溶接割れが著し
く増加する。従って、特定成分の含有量から算出される
耐割れ性指数Icは2.0以下とする。なお、この耐割
れ性指数Icは1.5以下であることが望ましい。
【0027】TiO2:0.1乃至6.0重量% TiO2はアークを安定化するために添加することがで
きる成分である。このTiO2源としてはFe−Ti、
ルチール、チタン酸カルシウム及びイルミナイト等があ
り、本発明においては、これらの金属成分及び非金属成
分をTiO2量に換算した値として規定する。フラック
ス入りワイヤ中のTiO2がワイヤ全重量に対して0.
1重量%未満であると、アークを安定にする効果を得る
ことができない。一方、TiO2が6.0重量%を超え
ると、スラグの量が多くなり、スラグ巻きの原因とな
る。従って、ワイヤ全重量に対するTiO2は0.1乃
至6.0重量%とすることが望ましい。
【0028】SiO2:0.1乃至4.0重量% SiO2はスラグの粘性を調整して被包性を良好にする
ために添加することができる成分である。このSiO2
源としては珪灰石、長石及びマイカ等があり、本発明に
おいては、これらの非金属成分をSiO2量に換算した
値として規定する。フラックス入りワイヤ中のSiO2
がワイヤ全重量に対して0.1重量%未満であると、ス
ラグの粘性を調整する効果が小さくなる。一方、SiO
2が4.0重量%を超えると、スパッタが多発し、スラ
グの剥離性が低下する。従って、ワイヤ全重量に対する
SiO2は0.1乃至4.0重量%とすることが望まし
い。
【0029】ZrO2:0.1乃至6.0重量% ZrO2はアークを安定化するために添加することがで
きる成分である。このZrO2源としてはジルコンサン
ド及びジルコンフラワー等があり、本発明においては、
これらの非金属成分をZrO2量に換算した値として規
定する。フラックス入りワイヤ中のZrO2がワイヤ全
重量に対して0.1重量%未満であると、アークを安定
にする効果を得ることができない。一方、ZrO2
6.0重量%を超えると、スパッタが多発する。従っ
て、ワイヤ全重量に対するZrO2は0.1乃至6.0
重量%とすることが望ましい。
【0030】金属フッ化物(F換算値):0.05乃至
3.0重量% 金属フッ化物はアークを安定化させ、スラグの流動性を
得るために添加することができる成分である。この金属
フッ化物としてはNaF、KF、LiF、CaF2、N
3AlF6及びK2SiF6等があり、本発明において
は、これらをF量に換算した値として規定する。フラッ
クス入りワイヤ中の金属フッ化物がF換算値でワイヤ全
重量に対して0.05重量%未満であると、アークを安
定にする効果を得ることができない。一方、金属フッ化
物がF換算値で3.0重量%を超えると、スパッタが多
発する。従って、ワイヤ全重量に対する金属フッ化物は
F換算値で0.05乃至3.0重量%とすることが望ま
しい。
【0031】
【実施例】以下、本発明に係るNi基合金溶接用フラッ
クス入りワイヤの実施例についてその比較例と比較して
具体的に説明する。
【0032】先ず、下記表1及び2に示す化学成分を有
する金属外皮に種々の化学成分を有するフラックスを充
填し、伸線した後、通電加熱によりワイヤ全重量に対す
る水分量を調製することによりフラックス入りワイヤを
作製した。これらのフラックス入りワイヤ中の化学成分
を下記表3乃至11に示す。但し、表中において、−は
添加していないことを示す。本実施例においては、厚さ
が0.4mm、幅が9mmであるフープを使用して金属
外皮とし、伸線によりワイヤの直径を1.2mmにした
後、水分量を400ppm以下となるようにした。
【0033】次いで、このフラックス入りワイヤを使用
して、JIS Z 3225に準じて溶接し、溶接作業
性を評価した。また、形成された溶接金属からJIS
Z3111のA1号引張試験片及び4号衝撃試験片を採
取して、溶接金属の機械的性能を評価すると共に、JI
S G 0765に準じて腐食試験を実施することによ
り耐食性を評価した。更に、JIS Z 3155に準
じて溶接割れ試験用の溶接金属を形成し、その表面につ
いて液体浸透探傷試験を実施することにより割れを検出
して、割れ率を算出した。但し、割れ率(%)は((割
れの合計長さ)/(ビード長さ))×100により算出
した。
【0034】図2は溶接割れ試験用の溶接母材の開先形
状を示す模式的断面図である。図2に示すように、2枚
の溶接母材1は、夫々の端面上部に傾斜した切欠き1a
が形成されていて、これらを対向させ、若干離間して配
置することにより溶接母材1間にV形状の開先部2が形
成されている。本実施例においては、溶接母材1の板厚
を20mm、ルート部1bのルート長さを10mm、ル
ート間隔を2mmとし、開先角度を60°として開先部
に溶接金属3を形成した。
【0035】溶接作業性及び溶接金属の機械的性能を評
価するための溶接条件並びに溶接割れ試験のための溶接
条件を下記表12に示し、それらの評価結果を下記表1
3乃至18に示す。なお、耐食性及び溶接作業性の欄に
おいては、◎は優れていること、○は良好であることを
示し、×は不良であることを示している。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
【表11】
【0047】
【表12】
【0048】
【表13】
【0049】
【表14】
【0050】
【表15】
【0051】
【表16】
【0052】
【表17】
【0053】
【表18】
【0054】上記表3乃至11及び13乃至18に示す
ように、ワイヤ中の全ての含有成分が本発明の範囲内で
ある実施例No.1乃至13については、機械的性能、
耐割れ性、耐食性及び溶接作業性が優れたものとなっ
た。特に、実施例No.1乃至6は請求項2を満足する
ものであるので、溶接作業性が優れたものとなった。
【0055】一方、比較例No.14はフラックス充填
率が本発明範囲の上限を超えているので伸線することが
できず、比較例No.15はフラックス充填率が本発明
範囲の下限未満であるのでアークが安定せず、溶接金属
を形成することができなかった。比較例No.16はワ
イヤ中のC含有量が本発明範囲の下限未満であるので、
溶接金属の強度が不十分となり、比較例No.17はワ
イヤ中のC含有量が本発明範囲の上限を超えているの
で、耐食性及び耐衝撃性が低下した。比較例No.18
はワイヤ中のSi含有量が本発明の下限未満であるの
で、溶接金属の母材へのなじみ性が劣り、比較例No.
19はSi含有量が本発明範囲の上限を超えているの
で、溶接金属の延性が不十分となった。
【0056】また、比較例No.20はワイヤ中のMn
含有量が本発明範囲の下限未満であるので、溶接金属の
延性が不十分となり、比較例No.21はMn含有量が
本発明範囲の上限を超えているので、スラグの剥離性が
低下した。比較例No.22、23及び24について
は、ワイヤ中のP、S又はBが本発明範囲の上限を超え
ているので、溶接金属の耐割れ性が低下した。比較例N
o.25はワイヤ中のCrが本発明範囲の下限未満であ
るので、溶接金属の耐食性及び強度を十分に得ることが
できず、比較例No.26、27、30及び31は、ワ
イヤ中のCr、Mo、Nb又はWが本発明範囲の上限を
超えているので、スラグの剥離性が低下し、スラグ巻き
が発生した。
【0057】更に、比較例No.28はワイヤ中のMo
が本発明範囲の下限未満であるので、溶接金属の耐食性
が低下した。比較例No.29はワイヤ中のFeが本発
明範囲の上限を超えているので、溶接金属の強度が低下
した。比較例No.32乃至35は耐割れ性指数Icが
本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属の耐割れ
性が低下した。また、比較例No.33乃至35はワイ
ヤ中のTiO2、SiO2又はZrO2が本発明の好まし
い範囲を外れているので、実施例No.1乃至6と比較
して溶接作業性が低下した。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
フラックス入りワイヤのフラックス充填率、化学組成及
び耐割れ性指数を適切に調整しているので、耐割れ性が
優れた溶接金属を得ることができる。また、フラックス
中のSiO2、TiO2、ZrO2及びF含有量を調整す
ると、溶接作業性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に耐割れ性指数をとり、縦軸に割れ率をと
って、溶接金属の割れとワイヤの耐割れ性指数との関係
を示すグラフ図である。
【図2】溶接割れ試験用の溶接母材の開先形状を示す模
式的断面図である。
【符号の説明】
1;溶接母材 2;開先部 3;溶接金属

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni又はNi基合金からなる金属外皮内
    にフラックスが充填されているフラックス入りワイヤに
    おいて、ワイヤ全重量に対する前記フラックス充填率が
    10乃至30重量%であり、前記金属外皮及びフラック
    ス中にワイヤ全重量に対して、金属成分換算値で、C:
    0.01乃至0.15重量%、Si:0.1乃至2.0
    重量%、Mn:0.2乃至8.0重量%、Cr:0.5
    乃至22.0重量%、Mo:0.01乃至22.0重量
    %、Fe:10重量%以下、Nb:5重量%以下及び
    W:5重量%以下を含有し、不可避的不純物としてのP
    が0.010重量%以下、Sが0.010重量%以下、
    Bが0.0030重量%以下に規制されており、Si、
    Nb、P、S、B、C、Mn及びMoの含有量を重量%
    で、夫々、[Si]、[Nb]、[P]、[S]、
    [B]、[C]、[Mn]及び[Mo]としたときに、
    数式(Ic=(10×[Si]+2×[Nb]+400
    ×[P]+600×[S]+2000×[B])/(1
    5×[C]+2×[Mn]+[Mo]))により算出さ
    れるIcが2.0以下であることを特徴とするNi基合
    金溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記フラックスは、ワイヤ全重量に対し
    て、TiO2:0.1乃至6.0重量%、SiO2:0.
    1乃至4.0重量%、ZrO2:0.1乃至6.0重量
    %及び金属フッ化物(F換算値):0.05乃至3.0
    重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載のN
    i基合金溶接用フラックス入りワイヤ。
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