JP6247261B2 - イオン捕捉型質量分析計 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に飛行時間型質量分析計および荷電粒子を捕捉・分析するための静電捕
捉器の分野に関し、特に像検出とフーリエ解析を伴う静電捕捉型質量分析計および使用方
法に関する。
静電捕捉器(E−Trap)および多重経路飛行時間型(MP−TOF)質量分析計(
MS)には一つの共通の特徴がある。分析装置の静電場が、初期エネルギが小さく角度的
空間的に拡散したイオンパケットに等時性イオン運動を与えるように作られていることで
ある。2つの技術の違いはイオン運動の配置およびイオン質量電荷比(m/z)の測定方
法である。MP−TOF−MSでは、イオンパケットはパルス源から検出器まで所定の折
り畳まれたイオン経路をたどり、イオンm/zはイオン飛行時間(T)で決まり、T≒(
m/z)0.5である。E−Trap−MSでは、イオンは無限に捕捉され、イオン飛行
経路は固定していない。イオンm/zはイオン振動の周波数(F)で決まり、F≒(m/
z)―0.5である。イオン電荷検出器の信号はフーリエ変換(FT)で解析される。
これら2つの技術では以下のパラメータを両立させることは難しい:(a)GC−MS
、LC−IMS−MS、およびLC−MS−MSによる実験の速度に見合う最大秒100
スペクトルのスペクトル取得速度、(b)ESI(10+9イオン/秒)、EI(10
10イオン/秒)およびICP(10+11イオン/秒)など最新のイオン源のイオン束
に見合う10+9〜10+11イオン/秒のイオン荷電処理能力、および(c)高密度質
量スペクトルを明確に同定するための、100万分の1(ppm)未満の質量精度を提供
する100000程度の質量分解能。
TOF−MS:高分解能TOF−MSに寄与する重要な事前段階が、静電イオンミラー
の導入によって行われてきた。Mamyrin等(特許文献1、US4072862)は
秒レベルのエネルギ合焦時間を実現するために2段イオンミラーを提案しており、ここに
参照によって本明細書に組み入れる。Frey等(特許文献2、US4731532)は
ミラー入り口に減速レンズを備えてスペクトルイオンを合焦させ、格子上のイオン損失を
防ぐ無格子イオンミラーを用いており、ここに参照によって本明細書に組み入れる。無格
子イオンミラーの収差は、Wollnik等(非特許文献1、Rapid Comm. Mass Spectro
m., v.2 (1988) #5, 83-85)により加速レンズを組み込むことによって改善されてきて
おり、ここに参照によって本明細書に組み入れる。このことから、TOF−MSの分解能
はもはや分析装置の収差によってではなくパルス化されたイオン源に現れる初期拡散時間
によって制限を受けることが明らかになった。この初期拡散時間の影響を低減するために
、飛行経路を延長すべきである。
多重パスTOF−MS。MP−TOFの1種である多重反射MR−TOF−MSは、折
り畳んだW形のイオン経路を静電イオンミラーの間に配置して、装置を妥当な大きさに維
持している。格子で覆われた平行イオンミラーがShing-Shen Suによって説明されており
(非特許文献2、Int. J. Mass Spectrom. Ion Processes, v.88 (1989) 21 -28)、こ
こに参照によって本明細書に組み入れる。格子上のイオン損失を避けるため、Nazar
ov等(特許文献3、SU1725289)は無格子イオンミラーを提案しており、ここ
に参照によって本明細書に組み入れる。イオンドリフトを制御するため、Verench
ikov等(特許文献4、WO2005001878)は無静電場領域に一組の周期レン
ズを使用することを提案しており、ここに参照によって本明細書に組み入れる。別の型の
MP−TOFであるいわゆる多重周回TOF(MT−TOF)は、静電セクターを用いて
非特許文献3(Satoh等, J. Am. Soc. Mass Spectrom., v. 6 (2005) 1969-1975)に説
明された螺旋ループ(レーストラック=レーストラック)イオン軌道を形成しており、こ
こに参照によって本明細書に組み入れる。MR−TOFに比べると螺旋MT−TOFは光
学的収差に関して極めて優れており、エネルギがより小さく角度的空間的に拡散したイオ
ンパケットに対応できる。MP−TOF−MSの質量分解能は100000の範囲である
が、秒あたりの空間電荷処理能力は質量ピークあたり約10+6イオンと推定され、これ
に制約を受ける。
TOF検出器付きE−Trap−MS。静電捕捉器(E−Trap)におけるイオン捕
捉は飛行経路をさらに延長できる。特許文献5(GB2080021)および特許文献6
(US5017780)は共に、イオンパケットが同軸無格子ミラーの間で反射されるI
−経路MR−TOFを提案しており、ここに参照によって本明細書に組み入れる。静電セ
クターの間のイオン軌道を環状にすることはイシハラ等によって説明されており(特許文
献7、US6300625)、ここに参照によって本明細書に組み入れる。2つの実施例
では共に、イオンパケットはパルス化されて環状の軌跡上に注入され、初期設定の遅延を
過ぎたら、飛行時間型検出器上に放出される。スペクトルの重なりを避けるため、分析さ
れた質量範囲はサイクル数に逆比例して縮められる。これがTOF検出器付きE−Tra
pの一番の欠点である。
周波数検出器付きE−Trap−MS。質量範囲の制約を打開するため、経路静電捕捉
器(I−経路E−Trap)は像電流検出器を用いて、特許文献8(US6013913
A)、特許文献9(US5880466)、特許文献10(US6744042)、非特
許文献4(Zajfman等、Anal, Chem, v.72 (2000) 4041-4046)の説明のようにイオン振
動の周波数を検知しており、ここに参照によって本明細書に組み入れる。このような装置
はI−経路E−Trapまたはフーリエ変換(FT)I−経路E−Trapと呼ばれ、先
行技術(図1)の一部を成す。寸法が大きな分析装置ではあるが(ミラーキャップ間隔が
0.5〜1m)、イオンパケットが占める体積は最大1cm3程度に制限される。低振動
周波数(1000amuイオンで100kHz未満)および小体積の電荷能力(注入1回
当たり10+4イオン)の組合せが、対応可能なイオン束を大幅に制限し、そのためイオ
ンパケットの自己バンチングおよびピーク合体など、強い空間電荷効果につながる。
軌道E−Trap:特許文献11(US5886346)では、Makarovが像電
荷検出器(登録商標「Orbitrap(オービトラップ)」)による静電軌道捕捉器を提案して
おり、ここに参照によって本明細書に組み入れる。軌道捕捉器とは、双極線対数静電場に
よる円筒状の静電捕捉器(図2)である。パルス化されて注入されたイオンパケットは軸
電極の周りを回転して半径方向にあるイオンを閉じ込め、ほぼ理想的な調和軸方向静電場
内で振動する。静電場の種類および安定した軌道運動の要求事項がOrbitrapの特徴的長さ
と半径の関係を固定し、捕捉器の単一方向の実質的な延長を不可能にすることは本発明に
関連する。特許文献12(WO2009001909)では、Golikov等が、軌道
イオン運動および像電荷検出も組み込んだ3次元静電捕捉器(3D−E−Trap)を提
案しており、ここに参照によって本明細書に組み入れる。しかし、この捕捉器はOrbitrap
よりもさらに複雑である。解析により定義された静電場が3次元的に曲がった電極を3方
向全てで関連がある寸法で定義する。軌道捕捉器の線形静電場(二次ポテンシャル)は分
析装置の空間電荷能力を広げるが、それでも、いわゆるC捕捉器の能力およびイオンパケ
ットを小さな(1mm)開口からOrbitrap内へ注入しなければならないことによって、イ
オンパケットは3×10+6イオン/注入に制限され(非特許文献5、Makarov el al, J
ASMS, v.20, 2009, No.8, 1391-1396)、ここに参照によって本明細書に組み入れる。
軌道捕捉器は信号取得が遅く、m/z=1000で分解能100000のスペクトルを得
るのに1秒を要する。取得速度の遅さは電荷能力の制約と相まって、最も好ましくない場
合には負荷サイクルが0.3%に制限される。
したがって高分解能を得る試みの中で、先行技術のMP−TOFおよびE−Trapは
、質量分析装置の処理能力(すなわち、取得速度と電荷能力の組合せ)を10+6〜10
+7イオン/秒未満に制限し、これが有効な負荷サイクルを1%未満に制限する。E−T
rapのデータ取得速度は分解能100000において1秒あたり1スペクトルに制限さ
れる。
上記問題の点のうちの少なくとも1つを取り除くまたは軽減することが、本発明の少な
くとも一態様の目的である。
さらに、高分解能静電捕捉器の取得速度および負荷サイクルを改善して、最新のイオン
源の約10+9イオン/秒を越える強度に匹敵させ、取得速度を直列型質量分析法に求め
られる約50〜100スペクトル/秒まで高めながら、分解能を約100000に保持す
ることが本発明の少なくとも一態様の目的である。
本発明は、静電捕捉器を等時性イオン運動(図3)平面に局部的に直交する(あるいは
実質的に直交する)Z方向(あるいは実質的にZ方向に)に実質的に(かつ潜在的に無限
に)延長すれば、イオン周波数検知付き静電捕捉器(E−Trap)の空間電荷能力およ
び処理能力を実質的に改善することができることの理解と関連する。この延長は静電場構
造の再生につながり、Z軸に沿って(あるいは実質的にZ軸に沿って)同じイオン振動周
波数を維持する。これは、用いられる静電場構造および位相のせいでE−Trapの全て
の3寸法が関連する先行技術のI−経路E−Trapおよび軌道E−Trap(図1およ
び図2)とは異なる。
本発明は多種の新規な延長静電場(図4および図5に示す)を提案する。この延長静電
場は、3次元的に繰り返す部分(図5)により空間的に変調された二次元平面(P−2D
)静電場と二次元環状(T−2D)静電場とを含んで、これら静電場を多重化する。この
新規な静電場をTOF分析装置および開放E−Trap質量分析装置に使用してもよい。
E−Trap静電場を延長することによって、イオンパルス変換器の延長およびイオン
注入の新規な改良された方式(図12〜図18)を使用できるようになると同時に、新規
なRFおよび静電パルス変換器を使用できる。拡張された静電場によって捕捉領域間の質
量選択およびE−Trap内のMS−MS分析が可能になる。
また本発明はE−Trap内の分析を加速する方法を提案する。この方法は(E−Tr
apのX寸法に対し)短いイオンパケットを用い、振動毎にイオンパケットの一部を抽出
する像電荷検出器またはTOF検出器で多数のイオン振動の周波数を検出することによっ
て分析を加速する。多数のイオン要素の信号と多数の振動サイクルの信号との重なりは、
ピーク形状合わせ法(Wavelet−fit=ウェーブレットフィットと呼ぶ)または
高調波を用いながらフーリエ変換法で分析することによって判読でき、必要に応じてスペ
クトルの重なりの理論的分析または周波数スペクトルパターンの分析によって補完される
。あるいは、スペクトル取得は近似正弦曲線信号を形成する長いイオンパケットのフィル
タ対角化法(FDM)を用いて加速される。
延長静電場を使用すると空間体積が拡大し、同時に単一イオン振動あたりの短いイオン
経路が可能になり、一般的には静電イオン捕捉器のX寸法にほぼ等しい。高分解能は捕捉
静電場の等時性特性によって得られるが、負荷サイクル、新規なE−Trapの空間電荷
能力、および空間電荷処理能力は、以下の少なくとも1つまたはいずれかを組み合わせる
ことによって改良される。
・E−TrapをZ延長してイオンパケットが占める体積を大きくする、
・高振動周波数と高速データ取得を可能にする、一振動ごとの短いイオン経路、
・電荷能力と負荷サイクルを改善するパルス変換器のZ延長、
・新型改良パルス変換器の使用、
・像電流検出器の複数使用、
・飛行時間型検出器にイオン集合の小部分を抽出する新規な原理を用い、これによってさ
らに短いイオンパケットが使用可能になり、スペクトル取得を劇的に加速してE−Tra
pを高感度化する、
・E−Trap分析装置を多重化して、イオン流、イオン流の一部、あるいは短時間のイ
オン流を並行分析する、
・新規なE−Trap内の共鳴イオン選択およびMS−MS特性、
・短いイオンパケットにはスペクトル分析法を、または長いイオンパケットにはFDM法
を使用する。
本発明のE−Trapは先行技術の静電捕捉器およびTOF−MSの複数の制約事項を
克服する。制約事項には、質量分析装置およびパルス変換器の空間電荷能力限度、検出器
ダイナミックレンジ限度、およびパルス変換器の低い負荷サイクルなどがある。本発明は
、像電荷検出を用いるとき、スペクトル取得を50〜100スペクトル/秒あたりまで改
善し、TOF検出器を用いると最大500〜1000スペクトル/秒あたりまで改善し、
これによって新規なE−Trapはクロマトグラフ分離および直列質量分析法と互換性を
有する。
本発明の第1の態様によれば、提供される静電イオン捕捉器(E−Trap)質量分析
計は以下を備える。
(a)無静電場空間で隔てられた少なくとも2組の平行電極、
(b)上記2組の電極はX−Y平面内の二次元静電場をもつ体積を形成し、
(c)上記静電場の構造は、安定したイオン運動がいかなる軌道運動または横方向運動を
必要としないように、X−Y平面内の静電場間を通過するイオンの安定捕捉とX−Y平面
内の等時性反復イオン振動とを提供するように調整されており、
(d)上記電極は、全体に湾曲し局部的にX−Y平面に直交するZ方向に沿って延長し、
平面または環状の静電場領域を形成する。
好ましくは、単一イオン振動あたりのイオン経路に対する静電捕捉場のZ幅の比は、以
下の群の1つより大きい:(i)1、(ii)3、(iii)10、(iv)30、およ
び(v)100。最も好ましくは、この比は3〜30である。好ましくは、X−Y平面内
のイオン振動は全体に湾曲した基準イオン軌道Tに沿って等時性があり、単一振動あたり
の平均イオン経路で特徴付けられる。好ましくは、単一イオン振動あたりのイオンZ変位
に対する静電捕捉場のZ幅の比は、以下の群の1つより大きい:(i)10、(ii)3
0、(iii)100、(iv) 300、および(v)1000。X方向は、少なくと
も1点で等時性基準軌道Tと整列するように選ばれる。従って、単一イオン振動あたりの
イオン経路はE−TrapのX寸法と同程度である。好ましくは、Z方向およびT方向の
平均速度の比は、以下の群の1つより小さい:(i)0.001、(ii)0.003、
(iii)0.01、(iv)0.03、(v)0.1、(vi)0.3、(vii)1
、(viii)2、および(ix)3。最も好ましくは0.01未満である。
具体的な一群の態様では、捕捉器を、加速された振動周波数でデータを素早く取得する
ように設計してもよい。好ましくは、静電捕捉器の加速電圧は以下の群の1つより大きい
:(i)1kV、(ii)3kV、(iii)5kV、(iv)10kV、(v)20k
V、および(vi)30kV。最も好ましくは、加速電圧は5〜10kVである。さらに
好ましくは、単一振動あたりのイオン経路は以下の群の1つより小さい:(i)100c
m、(ii)50cm、(iii)30cm、(iv)20cm、(v)10cm、(v
i)5cm、および(vii)3cm。最も好ましくは、経路は10cm未満である。さ
らに好ましくは、静電捕捉場のY−幅に対する単一振動あたりのイオン経路の比は、以下
の群の1つより大きい:(i)1、(ii)3、(iii)10、(iv)30、および
(v)100。最も好ましい比は20〜30である。さらに好ましくは、上記パラメータ
はm/z=1000amuイオンのイオン振動の周波数Fが以下の群の1つより増えるよ
うに選ばれる:(i)0.1MHz、(ii) 0.3MHz、および(iii)1MH
z。最も好ましくは、Fは0.3〜1MHzである。
定義された捕捉静電場は、少なくともイオン運動領域内で純粋に二次元でも実質的に二
次元でもよく、あるいは独立または連結した繰り返しの三次元部を有してもよい。一群の
態様では、静電場は二次元でZ方向には依存せず、Z方向Ezに沿った静電場成分はゼロ
もしくは一定値またはZ方向に直線的に変化する。しかし態様の別の群では、電極組は実
質的に第三のZ方向に延長されて、Z方向に沿って三次元静電場部E(X、Y、Z)を周
期的に繰り返す。
上記二次元静電場の位相は、E−Trap電極の直線的または湾曲的延長によって形成
してもよい。一群の態様ではZ軸は直線であり、別の群ではZ軸は湾曲して環状の静電場
構造を形成する。好ましくは、単一振動のイオン経路に対する曲率半径Rの比は以下の群
の1つより大きい:(i)0.3、(ii)1、(iii)3、(iv)10、(v)3
0、および(vi)100。好ましくは、比R/Li>50×a2であり、aはX−X平
面内のイオン軌道とX軸との間の傾き角であり、ラジアンで表す。必要条件は分解能Re
s=3000,000に設定することであり、R≒(Res)−1/2に弱めてもよい。
さらに好ましくは、環状E−Trapはイオンの半径方向の変位のための少なくとも一つ
の電極を備える。さらに好ましくは、Z軸は一定の半径で湾曲して環状静電場領域を形成
し、湾曲面とX−Y平面との間の角度Φは以下の群の1つである:(i)0度、(ii)
90度、(iii)0<Φ<180度、(iv)Φは、捕捉器電極の数を最少にするよう
に捕捉器のX寸法に対する曲率半径の比に応じて選ばれる。
E−Trapの静電場は種々の電極組で形成してもよく、提示した実施例より広範な種
類を含んでもよい。好ましくは、電極組の形状は図4に示した形状の1つである。好まし
くは、電極組は以下の群の電極の組合せを備える:(i)イオンミラー、(ii)静電セ
クター、(iii)無静電場領域、(iv)イオンレンズ、(v)偏向器、および(vi
)静電セクターの特徴を有する湾曲イオンミラー。好ましくは、少なくとも2つの電極組
は平行または同軸である。好ましい種類のE−Trap電極にはイオンミラーを含む。理
由はイオンミラーが高次の空間合焦および飛行時間合焦をもたらすことがわかっているた
めである。好ましい一群の態様では、電極組は、イオンを第1のX方向に反射する少なく
とも1つのイオンミラーを備える。好ましくは、少なくとも1つのイオンミラーは、加速
電圧より少なくとも2倍大きな吸引電位がある少なくとも1つの電極を備える。さらに好
ましくは、少なくとも1つのイオンミラーは、電位が異なる少なくとも3つの平行電極を
有する。さらに好ましくは、少なくとも1つのイオンミラーは、電位が異なる少なくとも
4つの平行電極および加速レンズ電極を備えて、イオンエネルギに対して第1のX方向に
3次の飛行時間合焦をもたらす。一態様では、上記イオンミラーの少なくとも一部が静電
電位を第1のX方向に二次分布させる。一群の態様では、上記電極組は、無静電空間で隔
てられた少なくとも1つのイオンミラーおよび少なくとも1つの静電セクターを備える。
好ましくは、上記静電捕捉器はさらにZ方向に境界手段を備えて、開放二次元静電場内
で無限にイオンを捕捉する。境界手段は環状の閉鎖静電場内に自動的に現れる。本発明の
一番の関心事項は捕捉器の等時性を保持することである。好ましくは、Z方向のイオン境
界手段は以下の群の1つを備えるが、これに限定されない:(i)無静電場領域のZ境界
に遅延電位がある電極、(ii)電極組のZ寸法が不均一な電極であってZ境界でE−T
rap静電場を歪曲させるための電極、(iii)少なくとも1つの補助電極であって、
少なくとも1つの電極のスリットまたは電極組の電極間の少なくとも1つの間隙のスリッ
トを通って、補助静電場をZ方向に不均一に貫通するための電極、(iv)捕捉器のZ端
近傍でZ軸周りに曲げられた電極組の少なくとも1つの電極、(v)静電セクターのZ境
界にあるマツダ電極、および(vi)電気的に付勢されたミラーまたはセクター電極のZ
端にある分割部。好ましくは、Z方向の境界手段は、上記群の少なくとも2つのパルス再
発生手段の組合せを備えて、イオン周波数歪みを相互補償する。あるいは、捕捉静電場の
空間変調によってイオンパケットをZ方向に合焦させ、合焦強度を制限してイオン運動等
時性を望ましい程度に維持する。このような手段はイオンを複数のZ領域内に留めること
になる。
好ましくは、イオン振動の周波数を測定するための上記検出器は、像電荷検出器または
TOF検出器のどちらかを備えて一振動ごとにイオンパケットの一部を抽出する。好まし
くは、イオン振動の周波数を測定するための上記検出器は、イオンが一時的に合焦する平
面内に置かれ、E−Trapは複数の振動ごとのイオンの一時的な合焦の位置を再現する
ように調整される。好ましくは、イオンパケットのX長さは、E−TrapのX寸法に比
べて非常に短く調整される。
一群の態様では、イオン振動の周波数を測定するための上記検出器は、イオンパケット
によって誘起される像電流を検知するための少なくとも1つの電極を備える。好ましくは
、イオンパケット長さの一振動のイオン経路に対する比は、以下の群の1つより小さい:
(i)0.001、(ii)0.003、(iii)0.01、(iv)0.03、(v
)0.1、(vi)0.3、(v)0.5。さらに好ましくは、イオンパケットのX寸法
は、像電荷検出器のX長さおよびイオンパケットから像電荷検出器までのY距離の両方と
同等である。一態様では、像電荷電極はX方向またはZ方向のどちらかに整列した複数の
部分を備える。好ましくは、複数の部分は複数の単独の前置増幅器およびデータ取得チャ
ンネルに接続される。複数の電極検出器の具体的な配置は、以下の群のうちの少なくとも
1つの目的に最適化してもよい:(i)取得時間ごとの分析の分解能の向上、(ii)種
々のm/zイオン成分の個々の位相シフトがわかっている複数信号を加えることによる、
分析の信号対ノイズ比およびダイナミックレンジの強化、(iii)異なるチャンネル上
に狭帯域増幅器を使用することによる信号対ノイズ比の強化、(iv)検出器個々の静電
容量の低減、(v)複数信号の微分比較による寄生取得信号の補償、(vi)複数チャン
ネル内の信号間の変動に起因する複数のm/zイオン成分の信号の重複の解読の改善、(
vi)スペクトル解読に個々の信号間の位相シフトの有効活用、(vii)フーリエ解析
における共通周波数ラインの抽出、(viii)大きな寸法の検出器部分からの信号のフ
ーリエ変換による、短い検出器部分からの鋭い信号の解読支援、(ix)一時的なイオン
合焦位置の潜在的ずれの補償、(x)静電捕捉器の別々のZ領域間の分析の多重化、(x
i)イオン充填されたイオン捕捉器の均質性の測定、(xii)静電捕捉器の異なるZ領
域間の制御されたイオン通過の試験、および(xiii)Z境界における周波数ずれの制
御可能な補償のためのZ境界での周波数ずれの測定。好ましくは、別々のZ領域内の狭帯
域信号の検出およびスペクトル解読の改善のため、イオンはE−TrapのZ領域間でm
/z分離される。
別の群の態様では、イオン振動の周波数を測定するための上記検出器は、1振動ごとに
イオン集合の一部を抽出する飛行時間型検出器を備える。好ましくは、上記一部は以下の
群の1つである:(i)10〜100%、(ii)1〜10%、(iii)0.1〜1%
、(iv)0.01〜0.1%、(v)0.001〜0.01%、および(vi)0.0
01%未満。好ましくは、上記一部は、例えば、少なくとも1つの電位を調整することに
よって、またはE−Trapを囲む磁場を調整することによって、電子的に制御される。
好ましくは、さらに上記飛行時間型検出器は、イオン−電子変換面、およびそのように形
成された二次電子を飛行時間型検出器に引きつけるための手段を備え、上記変換面はイオ
ン経路のわずかな部分を占める。さらに好ましくは、上記イオン−電子変換面は以下の群
の1つを備える:(i)板、(ii)穿孔板、(iii)網、(iii)一組の平行電線
(iv)電線、(v)異なる静電電位をもつ網で覆われた板、(v)一組の双極電線。具
体的な一群の態様では、上記飛行時間型検出器は静電捕捉器の検出領域内に置かれ、検出
領域は、Z方向の調整式静電障壁によって主捕捉器の体積から分離される。
好ましくは、TOF検出器の寿命が改善される。好ましくは、TOF検出器は2つの増
幅段を備え、第1の増幅段は従来のCPまたはSEMでもよい。好ましくは、第2の増幅
段の寿命は以下の群の少なくとも1つの手段によって延長される:(i)ダイノード用に
純金属および無修正材料を使用する、(ii)信号を複数チャンネルに集めるために複数
のダイノードを使用する、(iii)像電荷信号を上位の増幅段で取り出す、(iv)高
速到達真空ランプによって増幅されている抑制電位を低位の増幅段から入力することによ
って、検出器の上位の増幅段を保護する、(v)二次電子を遅延させるための網をいくつ
かの上位増幅段で用い、低位増幅段からの増幅信号によって網に入力する、(vi)像電
荷検出器からの信号を用いて、ある閾値信号強度未満のTOF検出のトリガーをかける、
(vii)2番目の増幅段に、密閉PMT、PINダイオード、電子なだれダイオード、
ダイオードアレイのいずれかと組み合わせてシンチレータを用いる。
本発明は、新規なE−Trapに特に適したパルス変換器の複数の態様を提案する。一
態様では、上記静電捕捉器はさらに、E−Trapにイオンを注入するための高周波(R
F)パルス変換器を備え、パルス変換器は、Z方向に延長され、実質的にZ方向に直角に
イオンを放出するための手段を有する直線イオンガイドを備える。別の態様では、上記静
電捕捉器はさらに、連続イオンビームを(E−Trapへのイオン注入の前に)閉じ込め
るための静電パルス変換器を、静電イオン捕捉器または静電イオンガイドの形で備える。
好ましくは、イオンの振動方向に沿ったイオンパケットの長さは、単一振動の経路に比べ
て非常に短く調整される。
より一般的な態様では、上記静電捕捉器はパルス変換器をさらに備えてもよく、パルス
変換器は、微細な薄帯状の空間内にイオンを閉じ込める手段を有してもよく、薄帯状の空
間は実質的に一方向に延長されてもよい。好ましくは、薄帯状空間と静電捕捉器の間の距
離は、注入されたイオンのm/z範囲を拡張するために、単一振動あたりのイオン経路よ
り少なくとも3倍小さくてもよい。一態様では、上記パルス変換器は軸方向イオン放出用
の開口またはスリットをもつ線形RFイオン捕捉器を備えてもよい。そのため、好ましく
は、上記薄帯状領域は実質的にX方向に向けられていてもよい。別の態様では、上記パル
ス変換器の向きをZ方向に実質的に平行にして、この変換器と延長された静電捕捉型質量
分析装置とを整列させてもよい。
一群の態様では、上記パルス変換器は、1つの電極または電極間にあるスリットを通過
して半径方向にイオンを放出する線形高周波(RF)イオンガイドを備えてもよい。好ま
しくは、RFイオンガイドは、RFガイドへのイオン充填時間を制御するための回路とイ
オン注入手段を備えてもよい。好ましくは、上記線形RFガイドの気体状態は、以下の群
の組合せのいずれか1つを備えてもよい:(i)実質的に真空状態、(ii)イオン注入
前にパルス状の気体を注入し続いて排気することによって生成される一時的な気体状態、
および(iii)上流に追加された気体RFイオンガイド内でイオン抑制が発生する真空
状態。一群の態様では、同じRF変換器が、少なくとも2つの異なる排気段階の間に、上
記放射状RF場を歪めずに突出していてもよい。このとき、気体圧力は上流の実質的に気
体状態から下流の実質的に真空状態へ降下し、上記RF変換器領域間のイオン連通は、以
下の群の少なくとも1つまたはいずれかの組合せを備える:(i)気体と上記真空領域の
間のイオン交換が自由な連通、(ii)イオン放出の間に気体領域から真空領域へのイオ
ンの伝播が自由な連通、(iii)RF変換器の気体領域から真空領域へのパルス状イオ
ン注入が可能な連通、および(iv)RF変換器の真空領域から気体領域へイオンを戻せ
る連通。好ましくは、排気段階の間の気体負荷を減らすため、変換器は湾曲部分を備える
一群の態様では、上記線形RF変換器は、Z方向に捕捉手段を備えてもよく、捕捉手段
は以下の群の1つの手段を備えてもよい:(i)境界RF場を生成するための少なくとも
1つの境界電極、(ii)境界静電場を生成するための少なくとも1つの境界電極、(i
ii)変換器電極を貫通するRF場を生成するための少なくとも1つの補助電極、(iv
)変換器電極を貫通する補助静電場を生成するための少なくとも1つの補助電極、(v)
三次元的に歪められた放射状RF場を形成するように幾何学的に変更された変換器電極、
および(vi)DCバイアス電源に接続され分割された変換器電極。好ましくは、上記Z
捕捉手段はパルス電源に接続される。
別の態様では、上記パルス変換器は、低発散連続イオンビームを空間的に合焦させるお
よび閉じ込めるために、静電電位が空間的に交互に変わる一組の平行電極(静電イオンガ
イド)を備えてもよい。さらに別の態様では、パルス変換器は等化静電捕捉器を備えても
よく、この捕捉器は高速振動イオンを蓄積し、イオンの内容をパルスにして主分析E−T
rap内へ注入する。この態様によって、m/zに依存しない延長されたイオンパケット
の形成が可能になり、主振動周波数での正弦曲線に近い検出器信号の形成が可能になる。
本発明はまた、空間的に延長されたイオンパケットを新規なE−Trap内へ効果的に
注入するよう特別に調整された注入手段の複数の態様を提案する。一群の態様では、上記
イオン注入手段は、静電捕捉器の電極の電位をイオン注入の段階とイオン振動の段階との
間で切り替えるためのパルス電圧源を備えてもよい。好ましくは、上記イオン注入手段は
以下の群の少なくとも1つ以上を備えてもよい:(i)無静電場領域の注入窓、(ii)
静電捕捉器の電極間の間隙、(iii)静電捕捉器の外側電極のスリット、(iv)外側
イオンミラー電極のスリット、(v)セクター電極の少なくとも1つのスリット、(vi
)イオン注入用窓のある静電捕捉器の少なくとも1つの電極の電気的に分離された部分、
および(vii)イオン注入窓によってもたらされる静電場歪みを補償するための少なく
とも1つの補助電極。一群の態様では、上記イオン注入手段は以下の群の1つ以上の偏向
手段を備えてもよい:(i)イオン軌道の向きを変えるための湾曲した偏向器、(ii)
イオン軌道を誘導するための少なくとも1つの偏向器、および(iii)イオン軌道をず
らすための少なくとも1対の偏向器。好ましくは、上記群の少なくとも1つの偏向器はパ
ルス化される。一群の態様では、イオン充填またはイオンパケット形成段階中に上記パル
スイオン源または上記イオン変換器を接地電位付近に保ちながら上記イオン検出器を実質
的に接地電位に保つ目的のために、上記注入手段は以下の群の少なくとも1つ以上のエネ
ルギ調整手段を備えてもよい、(i)イオン放出前の上記パルス変換器の可調式浮遊状態
のための電源、(ii)パルスイオン源またはパルス変換器を出たイオンパケットを加速
するための電極組、および(iii)上記パルス変換器と上記静電捕捉器との間に配置さ
れた昇降電極であって、イオンパケットが昇降電極を通過する間はパルス化され浮遊状態
の昇降電極。
新規なE−Trap質量分析計は、クロマトグラフィ、直列質量分析法、および他の分
離法と互換性がある。好ましくは、E−Trapは静電捕捉器に先行してイオン分離手段
を備えてもよく、上記分離手段は以下の群の1つ以上を備えてもよい:(i)質量−電荷
分離器、(ii)移動度分離器、(iii)微分移動度分離器、および(iv)電荷分離
器。さらに好ましくは、上記質量分析計はさらに、以下の群の1つ以上の断片化手段を備
えてもよい:(i)衝突誘起解離セル、(ii)電子付着解離セル、(iii)陰イオン
付着解離セル、(iv)準安定原子による解離用セル、および(v)表面誘起解離用セル
。好ましくは、試料イオン化およびイオン分析の前に、上記E−Trap質量分析計は以
下の群の試料分離手段の1つを備えてもよい:(i)気体クロマトグラフ、(ii)液体
クロマトグラフ、(iii)キャピラリ電気泳動、および(iv)親和力分離装置。
本発明は新規なE−Trap内のMS−MS特性を提案する。一群の態様では、上記静
電捕捉器はさらに、X方向またはZ方向の静電捕捉器内にイオン振動の選択的共鳴励起手
段を備えてもよい。好ましくは、上記E−Trapはさらに、イオンがX方向に方向を変
える領域内にイオン断片化面を備えてもよい。さらに好ましくは、E−Trapはさらに
、断片イオンを静電捕捉器の分析部内へ戻すための偏向器を備えてもよい。
新規なE−Trapは静電捕捉器の電極組の多重化に適する。好ましくは、上記静電捕
捉器質量分析計は、電極組内でZ方向に延長された複数組のスリットをさらに備えて、捕
捉静電場のZ方向に延びる体積の配列を形成してもよい。このとき、各静電場体積は上記
組の上記電極間に整列された一組のスリットによって形成され、この配列は以下の群の1
つである:(i)直線的にずらして形成された配列、(ii)同軸多重配列、(iii)
回転多重配列、および(iv)図5Aおよび図5Bに示す配列。好ましくは、上記多重の
電極組は以下の群の1つに配置してもよいがこれらに限定されない:(i)整列、(ii
)積み重ね、(iii)同軸多重配列、(iv)回転多重配列、(v)電極の同じ組内に
複数の窓を作ることによって形成される配列、(vi)直線スロットおよび螺旋形状また
は蛇状形状またはスタジアム形状のいずれかの湾曲スロットから形成された接続配列、(
vii)同軸捕捉器の配列。好ましくは、上記多重化された電極組は連通状態にあるかま
たはイオンが上記多重化された電極組の静電場の間を通過するかのどちらかである。さら
に好ましくは、上記多重化されたE−Trapはさらに、複数の同時放出パルスイオン変
換器を備えてもよく、各変換器は上記静電捕捉器の個々の捕捉静電場と連通状態にあり、
上記複数の変換器は以下の群の1つのイオン源からのイオン流を受け取る:(i)上記複
数変換器間のイオン流の一部または時間片を連続的に多重化する単一イオン源、(ii)
上記複数の変換器の間の異なるm/z範囲をもつイオン流の一部を多重化する質量分析計
、(iii)異なる範囲のイオン移動度をもつイオン流の一部のイオンを多重化する移動
度分離器、(iv)それぞれがそれ自身のパルス変換器に入力する複数のイオン源、およ
び(v)上記複数変換器の少なくとも1つに較正イオン流を入力する独立イオン源。好ま
しくは、捕捉器の配列は同じ真空チャンバ内でもよく、同じ電源から電源供給されてもよ
い。好ましくは、平行してまたは連続的に充填された変換器は、その配列の複数のE−T
rap内へイオンパケットを同時または実質的に同時に注入して、電荷に敏感な検出器に
よるパルス取得を防止してもよい。
最も好ましい態様では、静電捕捉型質量分析計は以下を備えてもよい:(a)無静電場
領域によって分離され、X−Y平面内に実質的に二次元の静電場を形成する少なくとも2
つの平行イオンミラー、(b)上記イオンミラーはX方向のイオンを遅延させ、運動イオ
ンが捕捉されて反復振動するようにイオンを局所的に直交するY方向に永久に閉じ込める
、(c)m/z値範囲が広いイオンパケットを発生させるためのパルスイオン源またはパ
ルス変換器、(d)上記静電捕捉器内へ上記イオンパケットを注入するための手段、(e
)上記捕捉器内で複数のイオン振動の周波数を測定するための検出器、および(f)上記
ミラーは、X方向およびY方向の両方に局所的に直交する第3のZ方向に実質的に延長さ
れる。好ましくは、上記ミラーの少なくとも1つは、引力電位をもち空間レンズを形成す
る少なくとも1つの電極を備える少なくとも4つの電極を備えてもよい。そのため上記イ
オン振動は、イオンパケットの空間的、角度的、およびエネルギ的拡散の小偏差に対し、
交差項収差を含むテイラー展開の少なくとも二次までX方向の等時性があり、X方向のイ
オンエネルギに対しては少なくとも三次まで等時性がある。好ましくは、上記E−Tra
pはZ方向の境界手段を有する平面二次元捕捉器でもよく、またはE−Trapは二次元
環状に延長されてもよい。好ましくは、上記パルス変換器はZ方向に延長されたイオン薄
帯を蓄積し放出し、上記注入手段は実質的に延長されZ方向に実質的に整列される。好ま
しくは、上記変換器は、RFイオン閉じ込め、または静電ガイド、または静電捕捉器のい
ずれを用いてもよい。好ましくは、上記検出器は像電荷検出器または振動ごとにイオンの
一部を抽出する飛行時間型検出器でもよい。好ましくは、上記像電荷検出器は複数の部分
に分割されて高周波信号を形成してもよい。好ましくは、上記静電捕捉器はさらに、以下
の群の1つの方法によって振動周波数のスペクトルを回復させる手段を備えてもよい:(
i)ウェーブレットフィット、(ii)高調波を説明するフーリエ変換、(iii)FD
変換。
本発明の第2の態様によれば、以下の工程を含む質量分析の一方法が提供される。
(a)無静電場空間によって分割された少なくとも2つの平行静電場体積を形成し、
(b)上記静電場をX−Y平面に二次元配置し、
(c)上記静電場構造は、X−Y平面内の上記静電場間の等時性反復イオン振動と、X−
Y平面に直交方向のイオン速度が実質的にゼロのときの安定したX−Y平面内イオン捕捉
とを両方可能にし、
(d)イオンパケットを上記静電場に注入し、
(e)上記イオン振動の周波数を検出器で測定し、
(f)上記静電場は延長され、X−Y平面内の静電場分布がX−Y平面に局所的に直交す
るZ方向に沿って再現されて、平面または環状の静電場領域を形成する。
好ましくは、1000amuイオンの振動周波数は以下の群の1つより大きくてもよい
:(i)100kHz、(ii)200kHz、(iii)300kHz、(iii)5
00kHz、および(iv)1MHz。調整には、高加速電圧およびX寸法が小さい捕捉
器を使用する。このときZ寸法を大きいままにしてE−Trapの大きな空間電荷能力を
維持する。好ましくは、イオン振動方向に沿ったイオンパケットの長さは、一振動あたり
のイオン経路に比べて非常に短く調整される。好ましくは、本方法はさらに、イオンパケ
ットによって誘起される像電流信号を検出する工程を含んでもよく、以下の群の方法の1
つ以上によって上記信号を質量スペクトルに変換する工程を含む:(i)フーリエ解析、
(i)高調波の再現可能な分布を考慮するフーリエ解析、(ii)ウェーブレットフィッ
ト分析、(iii)フィルタ対角化法、および(iv)上記の組合せ。
一方法では、イオンはE−Trapの静電場内で捕捉され、別の方法では、注入された
イオンは上記E−Trap静電場をZ方向に通過する。一方法では、上記静電場は無静電
場空間によって分離されたイオンミラーの2つの静電場領域を備えてもよく、上記イオン
ミラー静電場は空間的合焦領域を備える。好ましくは、上記静電イオンミラーは引力電位
を有する少なくとも1つの電極をもち、上記ミラーは以下を同時に与えるように配置・調
整される:(i)運動イオンパケットの反復振動のためのX方向のイオン遅延、(ii)
横Y方向の運動イオンパケットの空間的合焦または閉じ込め、(iii)イオンパケット
の、空間的、角度的、およびエネルギ的拡散の小偏差に対するT方向の、少なくとも交差
項を含むテイラー展開の二次までの飛行時間合焦、(iv)イオンパケットのエネルギ拡
散に対するT方向の、テイラー展開の少なくとも三次まで飛行時間合焦。
好ましくは、イオンパケットを以下の群の1つの方法によってZ方向に合焦させてもよ
い:(i)上記捕捉静電場のZ方向空間変調によって三次元静電場部E(X、Y、Z)を
Z方向に沿って周期的に繰り返す、(ii)電極間を貫通するまたはスリットを通過する
周縁静電場を伴って静電場を歪曲する、および(iii)近似的無静電場領域内に空間的
合焦静電場を導入する。好ましくは、本方法はさらに、上記イオンミラーの上記静電場内
に貫通する周縁静電場を導入する工程を含み、上記周縁静電場は以下の群の少なくとも1
つの目的のためZ軸に沿って可変である:(i)上記静電捕捉器体積を部分に分離する、
(ii)上記ミラー静電場の機械的な誤整列を補償する、(iii)Z軸に沿ったイオン
分布を規制する、およびiv)Z境界でイオンを反発する。
好ましくは、本方法はさらに、イオンパケットを上記静電場へ注入する工程を含んでも
よく、注入するイオンの数を調整して注入イオン数を一定に保つ、または信号取得の間の
イオン源からのイオン注入時間を1回おきにする。
好ましくは、本方法はさらに、捕捉静電場内へイオンを注入する上記工程の前に、以下
の群の分離法の1つによってイオンを分離する工程を含んでもよい:(i)質量−電荷分
離、(ii)移動度分離、(iii)微分移動度分離、および(iv)電荷分離。好まし
くは、本方法はさらに、上記イオン分離工程の後かつ上記捕捉静電場内への上記イオン注
入工程の前にイオンを断片化する工程を含んでもよく、上記断片化の工程は以下の群の1
つの工程を含む:(i)衝突に誘起される解離、(ii)電子付着解離、(iii)陰イ
オン付着解離、(iv)準安定原子による解離、および(v)表面誘起解離。
好ましくは、本方法はさらに、捕捉静電場の配列を形成する工程を含んでもよく、複数
の捕捉静電場内で以下の群の並行質量分光分析の少なくとも1つの工程をさらに含んでも
よい:(i)短時間のイオン流の分析、(ii)直列質量分析計の断片化セルを通過した
短時間の単一イオン流の分析、(iii)分析の空間電荷能力を拡大するために単一イオ
ン流の複数部分の分析、(iv)同一イオン流の質量または移動度分離された部分の分析
、および(v)複数のイオン流の分析。好ましくは、本方法はさらに以下の群のイオン流
多重化の少なくとも1つの工程を含んでもよい:(i)単一の変換器から複数の捕捉静電
場内へのイオン連続注入、(ii)複数変換器の間にイオン流の一部または短時間のイオ
ン流を分布させ、上記複数変換器から複数捕捉静電場内へイオンを注入する、および(i
ii)イオン流の一部または短時間のイオン流を複数変換器に蓄積しイオンを複数捕捉静
電場内へ同期して注入する。本方法はさらに、イオンパケットを上記静電場内へ注入する
工程を含んでもよく、注入するイオンの数を調整して注入イオン数を一定に保持し、また
はイオン源からのイオン注入時間を1回おきに行う。
好ましくは、本方法はさらに、上記イオンのX方向またはZ方向振動の共鳴励起の工程
、およびイオン反射点の近くに配置された面でのイオン断片化の工程を含んでもよい。好
ましくは、本方法はさらに、以下の群の目的の1つのために、上記捕捉静電場を捕捉静電
場配列に多重化する工程を含んでもよい:(i)並行質量分光分析、(ii)個々の静電
場間で同一イオン流を多重化、(ii)上記捕捉静電場の空間電荷能力の拡大。一具体的
方法はさらに、X方向またはZ方向の上記イオン振動の共鳴励起の工程、およびイオン反
射点の近くに配置された面でのイオン断片化の工程を含んでもよい。
本発明の第3の態様によれば、以下を備える静電分析装置が提供される。
(a)X方向へイオンを反射するX−Y平面内のイオンミラーの二次元静電場を形成する
少なくとも1つの第1の電極組、
(b)X−Y平面内の二次元静電場を形成する少なくとも1つの第2の電極組、
(c)上記2つの電極組を分離する無静電場空間、
(d)上記電極組はX−Y平面内の等時性イオン振動を与えるように配置され、
(e)電極の組は共に、第3の局所的直交Z方向に沿って一定曲率半径Rで湾曲して電極
組内に環状静電場領域を形成し、
(f)一振動Lあたりのイオン経路、および平均イオン軌道とX軸との間のラジアンで測
定された傾き角αは、R>50×L×αの関係を満たすように選択される。
好ましくは、上記第1のミラー電極組内で、少なくとも1つの外側環状電極が、対向す
る内側環状電極と比べて高い反発電圧に接続されてもよい。一態様では、上記環状空間を
異なる曲率半径の部分で構成して以下の群の形状の1つを形成してもよい:(i)螺旋、
(ii)蛇形状、(iii)スタジアム形状。好ましくは、Z軸曲率面とX軸との間の角
度は以下の群の1つである:(i)0度、(ii)90度、(iii)任意の角度、およ
び(iv)電極の数を最少にするため、X寸法と分析装置の曲率半径との間の比率を具体
的な値にするように選択される角度。好ましくは、上記電極の組の形状を図4C〜図4H
に示す。好ましくは、少なくとも2つの電極組は分析装置の対称性のために全く同じもの
でもよい。好ましくは、上記第2の電極組は、以下の群の少なくとも1つのイオン光学組
立体を備えてもよい:(i)イオンミラー、(ii)静電セクター、(iii)イオンレ
ンズ、(iv)偏向器、および(v)静電セクターの特徴を有する湾曲イオンミラー。さ
らに好ましくは、上記第2の電極組は、上記群の少なくとも2つのイオン光学組立体の組
合せを備えてもよい。さらに好ましくは、上記分析装置はさらに、上記群の少なくとも1
つの追加イオン光学組立体を備えて、形状が以下の群の1つであるX−Y平面内の中心基
準イオン軌道を提供する:(i)O形状、(ii)C形状、(iii)S形状、(iv)
X形状、(v)V形状、(vi)W形状、(vii)UU形状、(viii)W形状、(
ix)Ω形状、(x)y形状、および(xi)8の字形状。一態様では、少なくとも1つ
のイオンミラーは電位が異なる少なくとも4つの平行電極を有してもよく、少なくとも1
つの電極は引力電位をもち、その引力電位は加速電圧より少なくとも2倍大きくて少なく
とも二次の収差係数で補償された等時性振動をもたらす。別の態様では、上記イオンミラ
ーの少なくとも一部は上記第1のX方向内に静電電位の二次分布を提供してもよく、上記
ミラーは空間的合焦レンズを備え、上記電極はさらに、Z軸を横切る半径方向にイオンを
偏向させるための手段を備えて軌道イオン運動を整える。
好ましくは、上記分析装置を以下の群の1つの技術を用いて構築してもよい:(i)ボ
ールベアリング様のセラミックボールによる金属製間隔環、(ii)積層板(plate sand
wich)の電気腐食またはレーザー切断、(iii)セラミックまたは半導体塊を機械加工
し、その後電極表面を金属化、(iv)電鋳法、(v)伝導性制御のために表面改質され
た半導体積層体の化学エッチングまたイオンビームによるエッチング、および(vi)セ
ラミック製プリント回路基板技術。好ましくは、採用される材料は熱膨張係数を小さくす
るように選ばれ、以下の群の1つの材料を含む:(i)セラミック、(ii)溶融石英、
(iii)アンバー、ジルコンのような金属、またはモリブデン合金およびタングステン
合金、および(iv)シリコン、炭化ホウ素のような半導体または熱膨張が無い複合半導
体化合物。好ましくは、上記分析装置領域を、平行に整列された電極内に同軸スリットを
作るまたは分析装置を積み重ねることによって多重化してもよい。好ましくは、上記分析
装置はさらに、分析装置の曲率に倣うようにZ方向に沿って延長および整列されたパルス
変換器を備えてもよく、上記変換器は、Z方向に直交する方向へのイオン放出のための手
段を有し、上記変換器は以下の群の1つを備える:(i)高周波イオンガイド、(ii)
高周波イオン捕捉器、(iii)静電イオンガイド、および(iv)イオン振動がX方向
である静電イオン捕捉器。
好ましくは、上記静電捕捉器は質量分析計の質量分析装置でもよく、上記静電分析装置
は以下の群の1つとして用いられる:(i)閉鎖静電捕捉器、(ii)開放静電捕捉器、
および(iii)TOF分析装置。
これに対応する質量分光分析の方法は以下の工程を含んでもよい。
(a)X方向のイオン反射のために、X−Y平面内に少なくとも1つの二次元静電場領域
を形成する、
(b)上記X−Y平面に少なくとも1つの第2の二次元静電場領域を形成する、
(c)上記2つの静電場領域を無静電場空間によって分離する、
(d)上記静電場を配置して上記X−Y平面内に等時性イオン振動を与える、
(e)第1および第2の静電場領域は共に、第3の局所直交Z方向に沿って一定曲率半径
Rで湾曲して環状静電場領域を形成し、
(f)一振動Lあたりのイオン経路、および平均イオン軌道とX軸との間のラジアンで測
定された傾き角αは、R>50×L×αの関係を満たすように選択される。
好ましくは、上記静電場を、以下の群の少なくとも1つのさらなる工程のために配置し
てもよい:(i)反復イオン振動のためのX方向のイオン反発、(ii)横Y方向の運動
イオンの空間的合焦または閉じ込め、(iii)X方向に直交するイオン偏向、(iv)
少なくとも3次のテイラー展開のためのイオンパケットのエネルギ的拡散に対しX方向の
飛行時間合焦、(v)Z方向の運動イオンの空間的イオン合焦または閉じ込め、および(
vi)軌道イオン運動のための半径方向偏向。好ましくは、上記2つの静電場領域の潜在
的非平行性を、補助電極の周縁静電場によって少なくとも部分的に補償してもよい(E−
wedge)。好ましくは、上記電極組の少なくとも1つは角度変調されて、三次元静電
場部E(X、Y、Z)をZ方向に沿って周期的に再生する。
本発明の第4の態様によれば、以下を備える静電質量分析計が提供される。
(a)少なくとも1つのイオン源、
(b)上記少なくとも1つのイオン源と連通するパルス化イオン注入手段、
(c)少なくとも1つのイオン検出器、
(d)一組の分析装置電極、
(e)上記分析装置電極に接続された一組の電源、
(f)上記電極組を収容する真空チャンバ、
(g)上記電極組内の、延長された体積の配列を形成する延長スリットの複数の組、
(h)上記電極間に整列された一組のスリットによって形成されている上記配列の各体積

(i)局所直交Z方向に拡張されたX−Y平面内の二次元静電場を形成する各体積、
(j)X−Y平面内の運動イオンの捕捉およびX−Y平面内にある平均イオン軌道に沿っ
た等時性イオン運動のために配置される各二次元静電場。
好ましくは、上記静電場体積を以下の群の1つのように整列してもよい:(i)直線静
電場の積み重ね、(ii)直線静電場の回転配列、(iii)螺旋形状、スタジアム形状
、または蛇形状の線に沿って折り畳まれた単一静電場領域、(iv)環状静電場の同軸配
列、および(v)独立した円筒静電場領域の配列。好ましくは、上記Z軸は直線で平面静
電場体積を形成してもよく、または円状に閉じて環状静電場体積を形成してもよい。好ま
しくは、上記静電場体積は以下の群の少なくとも1つの静電場種類を形成してもよい、(
i)イオンミラー、(ii)静電セクター、(iii)無静電場領域、(iv)第1の方
向のイオン反射および第2の直交方向のイオン偏向のためのイオンミラー。好ましくは、
上記静電場を、注入されたイオンパケットの初期の角度的、空間的、およびエネルギ的拡
散に対しテイラー展開の少なくとも1次まで等時性イオン振動を与えるように配置しても
よい。好ましくは、上記静電場を、少なくとも3次のテイラー展開のための注入されたイ
オン束の初期のエネルギ的拡散に対し等時性イオン振動を与えるように配置してもよい。
好ましくは、上記複数の静電場を以下の群の1つのように配置してもよい:(i)閉鎖静
電捕捉器、(ii)開放静電捕捉器、(iii)飛行時間型質量分析計。
好ましくは、上記パルス変換器は以下の群の1つを備えてもよい:(i)半径方向イオ
ン放出を備える高周波イオンガイド(ii)周期的静電レンズおよび半径方向イオン放出
を備える静電イオンガイド、および(iii)パルスイオンを質量分析計の上記静電場内
へ放出する静電イオン捕捉器。好ましくは、上記少なくとも1つのイオン検出器は以下の
群の1つを備えてもよい:(i)イオン振動の周波数を検知するための像電荷検出器、(
ii)X方向またはZ方向に揃えられた複数の像電荷検出器、および(iii)一イオン
振動ごとにイオンパケットの一部を抽出する飛行時間型検出器。好ましくは、上記電極は
小型で振動経路をおよそ10cm未満に維持し、上記電極組を以下の群の製造方法の1つ
によって製造してもよい:(i)積層板の電気腐食またはレーザー切断、(ii)セラミ
ックまたは半導体塊を機械加工し、その後電極表面の金属化、(iii)電鋳法(iv)
伝導性制御のために表面改質された半導体積層体の化学エッチングまたイオンビームによ
るエッチング、および(v)セラミック製プリント回路基板技術の使用。
これに対応する質量分析法の方法は以下の工程を含む:(a)X−Y平面内の安定した
イオン運動およびX−Y平面内の等時性イオン振動を可能にする二次元静電場をX−Y平
面内に形成し、(b)上記静電場を局所直交Z方向内に延長して平面または環状の静電場
体積を形成し、(c)上記静電場体積をZ方向に直交する方向に繰り返し、(d)イオン
パケットを上記静電場の複数の体積内へ注入し、(e)イオン振動の周波数または上記静
電場体積を通る飛行時間のどちらかを検出する。
好ましくは、静電場多重化の上記工程は以下の群の1つの工程を含んでもよい:(i)
直線静電場を積み重ねる、(ii)直線静電場の回転配列を形成する、(iii)単一静
電場領域を螺旋形状、スタジアム形状、または蛇形状の線に沿って折り畳む、(iv)環
状静電場の同軸配列を形成する、および(v)独立した円筒静電場体積の配列を形成する
。好ましくは、イオンパケット注入の上記工程は、単一パルスイオン源内でパルスイオン
を形成する工程および静電場の上記複数の体積内へ連続的にイオンを注入する工程を含ん
でもよい。このとき、パルス形成の間の周期は個々のイオン捕捉体積内の分析時間より短
い。代わりに、イオンパケット注入の上記工程は、複数のパルスイオン源内でパルスイオ
ンを形成する工程および静電場の上記複数の体積内へ並行してイオンを注入する工程を含
んでもよい。代わりに、イオンパケット注入の上記工程は、単一イオン源内でイオン流を
形成する工程、イオンパケットへ入る短時間の上記イオン流を、単一パルス変換器内でパ
ルス変換する工程、および上記短時間のイオンを静電場の上記複数の体積内へ連続的に注
入する工程を含んでもよい。
好ましくは、本方法はさらに、パルス変換の工程の前に質量−電荷分離または移動度分
離の工程を含んでもよい。一方法はさらに、イオン注入の工程の前にイオン断片化の工程
を含んでもよい。別の方法では、上記質量−電荷分離または移動度分離の工程は、イオン
捕捉の工程および捕捉されたイオン成分を時系列的に放出する工程を含んでもよい。
一方法では、上記イオン注入の工程は、単一イオン源内でイオン流を形成する工程、上
記イオン流を複数のパルス変換器の間で分割する工程、複数のパルス変換器内でイオンパ
ケットに入る上記イオン流部分をパルス変換する工程、および上記複数のパルス変換器か
ら上記複数の静電場体積にイオンを並行して注入する工程を含んでもよい。別の方法では
、上記イオン注入の工程は、複数のイオン源内でイオン流を形成する工程、複数のパルス
変換器内でイオンパケットに入る上記複数のイオン流をパルス変換する工程、および上記
複数のパルス変換器から上記複数の静電場体積にイオンを並行して注入する工程を含んで
もよい。別の方法では、少なくとも1つのイオン源は、質量分光分析の較正目的のために
、質量−電荷配分が既知でイオン束強度が既知のイオンを形成する。
本発明の5番目の態様によれば、以下を備えるイオン捕捉型質量分析計が提供される。
(a)電界または磁界内にイオン振動を起こし、振動周期がイオンの質量−電荷比によっ
て単調に決まるイオン捕捉型分析装置、
(b)上記分析装置は、少なくとも一次の空間的、角度的、およびエネルギ的拡散のイオ
ン集合に等時性イオン振動を与えるように配置され、
(c)イオンパケットを上記分析装置内へ注入するための手段、
(d)一振動ごとに一部のイオンを抽出し、少なくとも複数のイオンは未検出のまま残る
少なくとも1つの高速イオン検出器、
(e)上記信号からイオン振動周波数のスペクトルを再生するための手段。
好ましくは、本装置はさらに、一部のイオンパケットに暴露されるイオン−電子変換器
を備えてもよく、上記変換器からの二次電子はイオン振動に直交する方向の検出器上に抽
出される。好ましくは、上記変換器は以下の群の1つを備えてもよい:(i)板、(ii
)穿孔板、(iii)網、(iii)一組の平行電線、(iv)電線、(v)静電電位が
異なる網で覆われた板、(v)一組の双極電線。好ましくは、一振動ごとに抽出された上
記一部のイオンパケットは以下の群の1つでもよい:(i)100%未満、(ii)10
%未満、(iii)1%未満、(iv)0.1%未満、(v)0.01%未満。代わりに
、上記一部を、分光計の少なくとも1つの電位を調整するかまたは環境磁界を印加するか
どちらかによって電子的に制御してもよい。
好ましくは、上記検出器の空間的分解能は、単一振動あたりのイオン経路よりも少なく
ともN倍細かくてよく、係数Nは以下の群の1つである:(i)10を越える、(ii)
100を越える、(iii)1000を越える、(iv)10,000を越える、および
(v)100,000を越える。好ましくは、上記高速イオン検出器は、以下の群の構成
要素の少なくとも1つを備えてもよい:(i)マイクロチャンネルプレート、(ii)二
次電子増倍器、(iii)その後に高速光ダイオードによる光電増倍器が続くシンチレー
タ、および(iv)磁界内で高速振動している二次電子検出用の電磁気検出回路。好まし
くは、上記検出器を上記イオン捕捉型分析装置の検出領域内に配置してもよく、上記捕捉
器はさらに、イオン運動の共鳴励起による上記領域間の質量選択イオン伝達のための手段
を備える。好ましくは、本装置はさらに、イオン化手段、イオンパルス注入手段、および
周波数スペクトル再生手段を備えてもよい。好ましくは、上記イオン捕捉型分析装置は以
下の群の静電捕捉型分析装置の1つを含んでもよい:(i)閉鎖静電捕捉器、(ii)開
放静電捕捉器、(iii)軌道静電捕捉器、および(iii)一次的イオン捕捉を伴う多
重経路飛行時間型分析装置。さらに好ましくは、上記静電イオン捕捉器型分析装置は、以
下の群の電極組の少なくとも1つを備える:(i)イオンミラー、(ii)静電セクター
、(iii)無静電場領域、(iv)第1の方向にイオンを反射し、第2の直交方向にイ
オンを偏向させるためのイオンミラー。
一群の態様では、上記イオン捕捉型分析装置は以下の群の磁気イオン捕捉器の1つを備
えてもよい:(i)ICR磁気捕捉器、(ii)ペニング(Penning)捕捉器、(
iii)高周波障壁で拘束された磁界領域境界。さらに好ましくは、上記磁気イオン捕捉
器はさらに、磁力線に対しある角度傾けて取り付けられたイオン−電子変換器を備え、上
記高速検出器は、磁力線に沿って二次電子を検出するように配置される。態様の別の群で
は、上記イオン捕捉型分析装置は、高周波(RF)イオン捕捉器および高周波電位がゼロ
に揃ったイオン−電子変換器を備え、上記RFイオン捕捉器は以下の群の捕捉器の1つを
備える:(i)ポール(Paul)イオン捕捉器、(ii)線形RF四重極イオン捕捉器
、(iii)線形ポールイオン捕捉器または線形イオン捕捉器、(iv)線形RFイオン
捕捉器の配列。
好ましくは、上記質量分析計はさらに、上記変換器を通過した二次電子の空間的合焦の
ための静電レンズを備えてもよく、好ましくはさらに、以下の群の二次電子受信器の少な
くとも1つを備える:(i)マイクロチャンネルプレート、(ii)二次電子増倍器、(
iii)シンチレータ、(iv)PINダイオード、アバランシェ(Avalanche
)フォトダイオード、(v)上記の連続組み合わせ、および(vi)上記の配列。
これに対応する質量分析の方法は以下の工程を含んでもよい。
(a)電気分析場または磁気分析場を形成してイオンの質量−電荷比の単調関数である振
動周期をもつイオン振動を配列し、
(b)上記場内で、等時性イオン振動を、少なくとも一次のイオン集合の空間的、角度的
、およびエネルギ的拡散に配列し、
(c)イオンパケットを上記分析場内へ注入し、
(d)一振動ごとに一部のイオンを高速検出器上へ抽出し、
(e)上記検出器信号からのイオン振動周波数のスペクトルを再生する。好ましくは、本
方法はさらに、変換面を少なくとも一部の振動イオンに暴露する工程、および上記検出器
への二次電子を側面抽出する工程を備えてもよい。好ましくは、本方法はさらに、変換器
と検出器の間の二次電子の通路において、二次電子を空間的合焦させるおよび飛行時間合
焦させる工程を含んでもよい。
好ましくは、上記イオン注入の工程を、検出器面内に時間焦面を設けるように調整して
もよく、上記分析的場は、その後のイオン振動のための時間焦面の位置を再生するように
調整される。好ましくは、周波数スペクトルを再生する上記工程は以下の群の1つを含ん
でもよい:(i)フーリエ解析、(ii)再現可能な高次振動高調波分布を説明するフー
リエ解析、(iii)ウェーブレットフィット分析、(iv)フーリエ解析とウェーブレ
ットフィット分析の組合せ、(iv)高次高調波の理論的分析を組み合わせた分析用のフ
ィルタ対角化法、および(v)異なる振動周波数に対応する鋭い信号群の重なりの理論的
分析。好ましくは、イオン注入の上記工程を周期的に上記分析場内のイオン滞留時間より
短い時間で配置してもよい。好ましくは、上記検出は上記静電場の一部で発生してもよく
、イオンは質量を選択するやりかたで静電場の検出部内へ注入される。好ましくは、上記
イオンパケットを下位群内の上記分析静電場内へ連続的に注入してもよく、上記下位群は
以下の群の工程の1つによって形成されている:(i)イオンのm/zの順序による分離
、(ii)限定m/z範囲の選択、(iii)特定のm/z範囲の親イオンに対応する断
片イオンの選択、および(iv)イオン移動度の範囲の選択。
本発明の6番目の態様によれば、以下を備える質量分析計が提供される。
(a)イオンを発生するイオン源、
(b)上記イオンの少なくとも一部を受け取る気体高周波イオンガイド、
(c)高周波信号に接続された少なくとも1つの電極を有し、気体イオンガイドと連通状
態にあるパルス変換器、
(d)X−Y平面内に二次元静電場を形成し、上記静電場は局所的に直交し全体に湾曲し
た第3のZ方向に実質的に拡張されており、X−Y平面内の等時性イオン振動が可能であ
る静電分析装置、
(e)イオンパルスを上記変換器から上記静電分析装置へ、Z方向に実質的に延長された
イオンパケットの形で放出するための手段、
(f)上記パルスイオン変換器は上記全体に湾曲したZ方向に実質的に拡張され、上記延
長された静電分析装置に平行に整列され、
(g)上記パルス変換器は上記静電分析装置内の真空状態に相当する実質的な真空状態に
ある。
好ましくは、上記静電分析装置、上記変換器、および上記イオンパケットの上記Z方向
の実質的な延長は、XおよびYの両方向の対応する寸法に対して少なくとも10倍延長さ
れている。
好ましくは、本装置はさらに、以下の群の検出器の少なくとも1つを備えてもよい:(
i)イオン経路の出口部分におけるイオンパケットの破壊検出のためのマイクロチャンネ
ルプレートまたは二次電子増倍器のような飛行時間型検出器、(ii)一イオン振動ごと
に注入イオンの一部を抽出する飛行時間型検出器、(iii)二次電子を受け取るための
飛行時間型検出器と組み合わせ状態にあるイオン−電子変換器、(iv)像電流検出器。
好ましくは、上記静電分析装置は以下の群の分析装置の1つを備える:(i)閉鎖静電捕
捉器、(ii)開放静電捕捉器、(iii)軌道静電捕捉器、(iv)飛行時間型質量分
析装置。好ましくは、上記静電分析装置は以下の群の電極組の少なくとも1つを備える:
(i)イオンミラー、(ii)静電セクター、(iii)イオンの軌道運動のための半径
方向偏向を有するイオンミラー、(iv)無静電場領域、(v)空間的合焦レンズ、およ
び(vi)偏向器。好ましくは、上記イオンガイドおよび上記パルス変換器は、X−Y平
面に類似または等しい断面積を有してもよい。好ましくは、上記変換器は、単一イオンガ
イドが異なる排気の少なくとも1つの段階の間に突出することによって形成される上記気
体イオンガイドの真空励起でもよい。好ましくは、上記変換器はさらに、上記気体イオン
ガイドからの気体負荷を減少させるため、上流が湾曲した高周波部を備えてもよい。好ま
しくは、上記パルス変換器はさらに、パルス化された気体を上記パルス変換器内へ注入す
るための手段を備える。好ましくは、上記イオン注入手段は、上記変換器から上記静電分
析装置内へ直接の気体経路を遮断するための湾曲した伝達光学系を備えてもよい。
好ましくは、上記イオン注入用手段は、以下の群の注入手段の少なくとも1つを備えて
もよい:(i)分析装置の無静電場領域の注入窓、(ii)上記分析装置の電極間の間隙
、(iii)上記分析装置の電極のスリット、(iv)外側のイオンミラー電極のスリッ
ト、(v)少なくとも1つのセクター電極のスリット、(vi)イオン注入用窓がある上
記分析装置の少なくとも1つの電極の電気的に絶縁された部分、(vii)イオン注入窓
によって取り込まれる静電場歪みを補償するための少なくとも1つの補助電極、(vii
i)イオン軌道の向きを変えるための湾曲したパルス偏向器、(ix)イオン軌道を誘導
するための少なくとも1つのパルス偏向器、および(x)イオン軌道のパルス化された変
位のための少なくとも1対の偏向器。さらに好ましくは、イオン注入用の少なくとも1つ
の上記電極はパルス電源に接続されてもよい。
好ましくは、本装置はさらに、以下の群のエネルギ調整手段の1つを備えてもよい:(
i)イオン放出前に上記パルス変換器の浮遊状態を調整するための電源、(ii)パルス
イオン源またはパルス変換器を出たイオンパケットのパルス加速のための電極組、および
(iii)上記パルス変換器と上記静電捕捉器との間に配置され、イオンパケットがそれ
を通過する間パルス化され浮遊状態の昇降電極。
好ましくは、上記パルス変換器の内接半径は以下の群の1つより小さくてもよい:(i
)3mm、(ii)1mm、(iii)0.3mm、(iv)0.1mm。ここで上記高
周波静電場の周波数は内接半径に反比例して大きくなる。好ましくは、上記変換器は以下
の群の製造方法の1つによって製造してもよい:(i)積層板の電気腐食またはレーザー
切断、(ii)セラミックまたは半導体塊を機械加工し、その後電極表面の金属化、(i
ii)電鋳法、(iv)伝導性制御のために表面改質された半導体積層体の化学エッチン
グまたイオンビームによるエッチング、および(v)セラミック製プリント回路基板技術
の使用。
これに対応する質量分光分析の方法は以下の工程を含む。
(a)イオン源内でイオンを形成し、
(b)上記イオンの少なくとも一部を気体高周波イオンガイド内に通過させ、
(c)パルス変換器内で、上記気体高周波イオンガイドからのイオンの少なくとも一部を
受け取り、受け取ったイオンを高周波静電場によってX−Y平面内に閉じ込め、
(d)上記パルス変換器からのイオンを静電イオン分析装置の静電場内へ、Z方向に局所
的に直交する方向にパルス注入し、
(e)上記静電分析装置内でX−Y平面内に二次元静電場を形成し、上記静電場は全体に
湾曲し局所直交Z方向に実質的に拡張され、X−Y平面内の等時性イオン振動を可能にし

(f)上記パルスイオン変換器の高周波静電場体積は、上記全体に湾曲したZ方向内で実
質的に拡張され、上記延長された静電分析装置に平行に整列されており、
(g)上記パルス変換器の真空状態は、上記静電分析装置内の真空状態に実質的に相当す
る。
好ましくは、気体イオンガイドと上記真空パルス変換器との間のイオン連通は以下の群
の1つを備えてもよい:(i)イオンm/z組成の平衡を維持するための一定のイオン連
通を提供する、(ii)気体部分から真空部分へイオンをパルス注入する、および(ii
i)通過モード中にイオンを真空部分へ通過させる。好ましくは、本方法はさらに、RF
またはDC静電場のどちらかによって、上記パルス変換器のZ端での静的反発またはパル
ス化反発の工程を備える。好ましくは、パルス変換器の充填時間を、充填イオンが目標数
に到達するようにまたは2つの充填時間を切り替えるように制御してもよい。好ましくは
、注入イオンのm/z範囲を拡大するために、上記パルス変換器と上記分析装置静電場の
間の距離を一振動あたりのイオン経路より少なくとも3倍小さく保ってもよい。好ましく
は、注入されたイオンは上記分析装置静電場をZ方向に通過する。
好ましくは、上記閉じ込め高周波静電場を上記パルス変換器からのイオン放出の前に切
ってもよい。好ましくは、本方法はさらにイオン検出の工程を備えてもよく、上記イオン
注入工程におけるパルス化電場を調整して上記検出器のX−Z平面内で飛行時間型合焦さ
せ、静電分析装置の電場を調整して、その後のイオン振動時に上記検出器のX−Z平面内
で飛行時間型合焦を維持する。
具体的な一方法はさらに、以下の群の目的の1つのため、捕捉静電場の配列内に上記捕
捉静電場を多重化する工程を備えてもよい:(i)並行質量分光分析、(ii)別々の静
電場間で同一イオン流の多重化、および(iii)上記捕捉静電場の空間電荷能力の励起
本発明の種々の態様を単に説明目的の配置と共に、添付図面を参照して例示的に説明す
る。
像電荷検出器を備える先行技術の同軸I−経路E−Trapを示す図である。 双曲線対数場内の軌道イオン運動を伴う先行技術の軌道捕捉器を示す図である。 Z方向の原理的二次元E−Trap励起を説明する図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電捕捉器Z励起が可能な電極組の種々の型および位相を示す図である。 静電場多重化の種類を示す図である。 静電場多重化の種類を示す図である。 静電場多重化の種類を示す図である。 新規なE−Trapの一般的態様を示す図である。 例示的な一イオンミラーおよび例示的な一パルス変換器の寸法および電圧、ならびに注入されたイオンパケットのモデル化パラメータを示す図である。 境界手段の種々の態様およびその時間歪みを示す図である。 ウェーブレットフィット分析によって加速された像電荷検出の模擬実験結果を説明する図である。 像電荷検出器をZ方向およびX方向に分割する態様を示す図である。 イオン振動周波数を検知するためのイオン−電子変換面を備えるTOF検出器を用いる原理を説明する図である。 半径方向放出高周波イオンガイドで構築されたイオンパルス変換器の概略図である。 E−Trapの円筒型態様に適した湾曲パルス変換器の概略図である。 E−Trapの無静電場空間内に突出するパルス変換器の態様を示す図である。 パルス静電セクターを介したイオン注入の態様を示す図である。 パルス偏向器を介したイオン注入の態様を示す図である。 静電イオンガイドを介したイオン注入の態様を示す図である。 等化E−Trapで作られたパルス変換器の態様を示す図である。 E−Trapが円筒内へ湾曲し、E−Trap質量分析計がクロマトグラフおよびMS−MS分析用の第1のMSと結合されている最も好ましい態様を示す図である。 同一のE−Trap装置内のイオン選択、表面誘起断片化、および断片イオンの質量分析の原理を説明する図である。
図1を参照すると、先行技術である同軸E−Trap11(特許文献10、US6,7
44,042)は、無静電場領域14によって隔てられた2つの同軸イオンミラー12お
よび13、パルスイオン源17、前置増幅器およびADC16を備える像電流検出器15
、一組のパルス電源17およびミラー電極に図示のように接続されたDC18電源を備え
ており、ここに参照によって本明細書に組み入れる。ミラーキャップ間の間隔は400m
mであり、加速電圧は4kVである。
作動中は、イオン源17は4keVエネルギのイオンパケットを発生し、イオンパケッ
トはパルス化され、ミラー12電圧を一時的に低下させることによってイオンミラー間の
間隙に注入される。ミラー電圧を回復させた後、イオンパケットはイオンミラー間のZ軸
近傍を振動し、反復I−経路イオン軌道を形成する。イオンパケットは直径2mmに空間
的に合焦され、Z軸に沿って約30mmまで伸長される。言い換えると、イオンパケット
体積は100mmと推定される。振動しているイオンパケットは円筒型検出器電極18
上に像電流信号を誘起する。一般的な振動周波数は40amuイオン300kHzである
(本明細書で検討される1000amuイオンに対するF=60kHzに相当する)。信
号は約1秒の時間間隔で取得される。特許文献10(US6,744,042)は、10
4イオン/mmの電荷密度に相当するイオン数10+6のイオンパケットについて、空間
電荷自己バンチング効果をI−経路静電捕捉器の飛行時間特性を支配する重要因子である
と説明している。円筒型捕捉器の処理能力は10+6イオン/秒未満であり、10+9イオ
ン/秒以上を生成する強力な最新のイオン源を用いた場合、0.1%の非常に低い負荷サ
イクルに相当する。
図2を参照すると、先行技術の軌道静電捕捉器21(特許文献11、US5,886,3
46)は双曲線対数静電場を形成する2つの同軸電極22および23を備える。イオン(
矢印27で示す)は外部イオン源によって生成され、適度に延長された体積25内のC捕
捉器24内に貯えられ、小さな約1mm開口から軌道捕捉器21内へパルス注入され(非
参考文献6、Makarov et al JASMS 17 (2006) 977-982, ここに参照によって本明細
書に組み入れる)、傾斜したOrbitrap電位によって捕捉される。イオンパケットは、軸方
向放物線電位(直線静電場)内を振動しながら中央電極32の周りを回転し、螺旋軌跡を
形成する。非特許文献7(Anal. Chem. v.72 (2000) 1156-1 162)の説明のように、半
径方向運動を安定させるために接線方向と軸方向の振動周波数の比はTT/21/2を越
え、実際のOrbitrap軌跡では接線方向と軸方向の振動周波数の比は係数3を越え、ここに
参照によって本明細書に組み入れる。電荷に敏感な増幅器26は、電極23の2つの半分
23Aと23Bの間の電極間隙を横切るイオン通過によって誘導される種々の信号を検出
する。像電流信号のフーリエ変換によって振動周波数のスペクトルが得られ、次にこれが
質量スペクトルに変換される。
C捕捉器を備える軌道静電捕捉器(特許文献11、US5,886,346、ここに参
照によって本明細書に組み入れる)は、一イオン注入あたりの空間電荷能力が最大3×1
+6イオン/秒と大きい(非特許文献5、JASMS v.20, 2009, No.8, 1391 - 1396)。
電荷密度は10+4イオン/mmと推定される。(I−経路E−Trapに比べ)許容
範囲がさらに高い軌道捕捉器は電荷許容高調波電位およびさらに高い静電場強度によって
説明される。軌道捕捉器の下側は信号取得が遅く、100000分解能のスペクトルに対
し約1秒を要する。低速度のため、最大イオン束も3×10+6イオン/秒に制限され、
最新のイオン源よりもかなり小さい。
本発明は、E−Trapの空間電荷能力を、イオン振動面に全体に直交する方向にE−
Trapを延長することによって改良する。取得速度は、鋭いイオンパケットおよび種々
の波形分析方法を用いることによって加速される。
本発明の装置および方法
図3を参照すると、本発明の質量分析の方法は以下の工程を含む:(a)無静電場空間
によって分割された少なくとも2つの平行静電場体積を形成する、(b)X−Y平面内に
上記二次元静電場を配置する、(c)上記静電場構造によって、上記X−Y平面内の上記
静電場間の等時性反復イオン振動および上記X−Y平面に直交方向のイオン速度がほぼゼ
ロのときの上記X−Y平面内の安定したイオン捕捉を可能にし、(d)イオンパケットを
上記静電場内へ注入し、(e)上記イオン振動の周波数を検出器で測定し、(f)上記電
場は拡張され上記X−Y平面内の電場分布は上記X−Y平面に局所的に直交するZ方向に
沿って再生されて平面または環状静電場領域を形成する。
明確化のために記すと、安定したイオン振動に軌道運動が必要な軌道捕捉器とは反対に
、本明細書で用いる静電場ではイオン速度がゼロのときにZ方向の安定したイオン運動が
可能である。これはZ方向のイオン運動を除外しない。その場合、新規な延長静電場も振
動イオンを捕捉することになる。
参照番号30はX軸、Y軸、およびZ軸を示し、X−Y平面間にずれおよび回転があっ
ても、全体に湾曲したZ軸が局所的にX−Y平面に直交を保ち、X軸およびY軸は各X−
Y平面内で互いに直交を保つことを示す。参照番号30は再生された静電場領域を任意形
状の囲まれた暗領域で示し、静電場領域が平行を保ち局所X−Y平面に揃っていることを
示す。静電場分布E(X、Y)およびE(X、Y)は、全体に湾曲したZ軸に沿って
領域ごとに再生される。参照番号30は任意かつ全体に湾曲した基準イオン軌道Tも示し
、これは静電場領域間および無静電場領域を通る無限に安定した等時性イオン運動に相当
する。本明細書全体を通じて、X軸は一般に、軌跡T方向が少なくとも1点でX軸と一致
するように選ばれる。静電場励起は二次元静電場の単に直線励起ではなく、むしろ再生さ
れた静電場分布E(X、Y)およびE(X、Y)を伴い、故に基準軌跡Tに沿って再
生されたイオン運動を伴う対称なX−Y平面を有する周期的に反復する三次元静電場部分
でもよいことに注意が必要である。
静電場構造の再生により、周期的振動の特性の面ごとの再生が可能になる。これにより
、捕捉静電場全体で同一振動周波数を維持しながら捕捉体積を実質的に延長することが可
能になり、静電捕捉器の空間電荷能力および空間電荷処理能力を大きく改善する。
再び図3を参照すると、概略図のレベルで、静電捕捉器(E−Trap)質量分析計の
好ましい一態様31は、イオン源32、パルスイオン変換器33、イオン注入手段34、
無静電場領域37によって隔てられた2組の電極36から成るE−Trap35、E−T
rapのZ端でイオンをZ方向に拘束するための必要に応じて手段38、および像電流検
出用の電極として示されたイオン振動周波数を検知するための検出器40を備える。別の
態様では、上記手段は飛行時間型検出器を備える。必要に応じて、E−Trapはさらに
、電極36の間隔を貫通する補助静電場を有する補助電極39を備える。
作動中は、電極組は、イオン運動のX軸に沿った等時性を維持しながら、あるイオンエ
ネルギ範囲の運動イオンを無限に捕捉するように配置される。電極の静電場は、イオンパ
ケットの空間的合焦によってイオンをX軸に沿って反射し、Y方向に無限に空間的に閉じ
込める。Z境界手段38は、イオンを第3のZ方向に無限に閉じ込める。電極組36は、
移動Z方向に実質的に延長されて平面静電場E(X、Y)およびE(X、Y)を形成
する。その代わりに、静電場は、同一静電場部分を好ましくは連通状態のままZ軸に沿っ
て繰り返すことによって拡張される。種々の静電場位相を次に説明する。
さらに作動中は、外部のイオン源32は被分析化合物からイオンを発生する。パルス変
換器33はイオンを蓄積し、イオンパケットを、注入手段34を介して実質的にX軸に沿
ってE−Trap35内へ周期的に注入する。好ましくは、イオン変換器34もZ軸に沿
って延長されて、変換器の空間電荷能力が改善する。検出器40(ここでは像電流検出器
)は、X軸に沿ってイオン振動の周波数Fを検知し、式F≒(m/z)−0.5から信号が
質量スペクトルに変換される。
先行技術との差別化
新規なE−Trapは、先行技術のE−TrapおよびTOF−MSでは実現できない
以下の2つの新規な特徴を備える:(a)E−Trap体積の実質的な拡張、および(b
)パルス変換器の実質的な延長、すなわち、E−Trapの空間電荷能力および変換器の
負荷サイクルを向上させている。
新規なE−Trapは、先行技術のTOFおよびM−TOF−MSとは以下の点で異な
る。(a)検出の原理。新規なE−Trapは不定イオン振動の周波数を測定するが、先
行技術のTOFは決まった飛行経路の飛行時間を測定する。(b)イオンパケット寸法。
TOFは周期レンズを用いてイオンをZ方向に閉じ込めるが、新規なE−Trapではイ
オンがZ幅の大部分を占めることができ、空間電荷能力が改善する。さらに(c)本発明
の捕捉静電場の種類が多い。
新規なE−Trapは、その電場位相が先行技術の同軸I−経路E−Trapと異なる
。すなわち、新規な平面E−Trapは延長可能な平面状および環状の二次元静電場を用
いるが、先行技術のI−経路E−Trapは体積が制限された補助対称円筒静電場を用い
る。
新規なE−Trapは、以下の点で先行技術のレーストラック多重E−Trapと異な
る:(a)新規なE−Trapの空間電荷能力を改善するためにセクター静電場をZ方向
に拡張する、(b)複数の二次元静電場を用いて高次の空間的および飛行時間的合焦を可
能にする、および(c)先行技術のレーストラックE−Trapの多くに見られる飛行時
間原理に対する新規なE−Trapの周波数測定の原理。
新規なE−Trapは、以下の点で先行技術の軌道捕捉器と異なる。(a)静電場の種
類。新規なE−Trapはイオンミラーおよび静電セクターの静電場を用いるが、軌道捕
捉器は双曲線対数静電場を用いる。(b)静電場位相。新規なE−Trapは拡張可能な
二次元静電場を用いるが、双曲線対数静電場は全3方向がしっかり定義されている。(c
)軌道運動の役割。新規な捕捉器は軌道運動無しでイオンを捕捉できるが、軌道捕捉器で
は、軌道と軸方向平均速度の比が3を大きく越えなければイオンを半径方向に閉じ込める
ことができない。(d)イオン軌道の形状。新規な捕捉器では、軌道捕捉器では不可能な
ある面内の安定イオン軌道が可能。および(e)軌道捕捉器の現在の構成では、イオンパ
ケットを小さな1mmの開口から注入しなければならないため、パルス変換器の実質的な
励起は実現不可能である。
新規なE−Trapは、以下の点で、先行技術の三次元E−Trap(特許文献12、
WO2009/001909、ここに参照によって本明細書に組み入れる)と異なる。(
a)電場位相。新規なE−Trapは拡張可能な電場を用いるが、先行技術の三次元E−
Trapは三次元静電場を用いており、ある横方向に電場を無制限に延長できない。(b
)電場種類。本発明は拡張可能な平面静電場を提案するが、三次元捕捉器は特定の種類の
三次元静電場を用いる。(c)横方向運動およびイオン軌道の役割。新規なE−Trap
では、イオン軌道を平面内に整列できる、先行技術の三次元E−Trapでは、横方向の
イオン軌道を安定させるには軌道イオン運動が必要である。および(d)電極形状。新規
なE−Trapでは、実際的な直線状および環状の電極を使用できる、三次元E−Tra
pでは、三次元に湾曲した複雑な電極を必要とする。
本発明による新規な静電場構造および静電場位相を詳細に眺める。
拡張可能静電場の種類および位相
図4を参照すると、座標軸の一般的注釈が本明細書全体で以下の様に保たれている。
・X軸、Y軸、Z軸は局所的に直交する。
・TはX−Y平面内の等時性湾曲基準イオン軌道の方向である。
・X−Y平面は二次元静電場の平面、または部分三次元静電場の対称平面である。新規な
E−Trapでは、X−Y平面内の運動イオンの安定した捕捉が可能である。
・X方向は少なくとも1点でT方向と一致する。捕捉器X長さ=L。
・Y方向はXに局所的に直交する。捕捉器Y高さ=H。
・Z方向は局所的にX−Y平面に直交する。E−Trap静電場は直線Z方向または湾曲
Z方向に沿って拡張される。イオンパケットはZ方向に延長される。捕捉器Z幅=W。
下記の様に、座標軸を、互いに局所的に直交する性質を維持したまま回転させてもよい
。そうすることによって、X−Y平面およびX−Z平面はZ方向の曲率に従うように回転
する。
図4−Aを参照すると、あまり知られていない種類の静電場がある。この静電場は(a
)実質的に二次元であり、(b)等時性イオン運動を可能にする。この静電場は、イオン
軌道を輪にするように、無静電場空間49で分離された平行イオンミラー46で形成され
た捕捉器41、ならびに静電セクター47および無静電場領域49で形成された捕捉器4
2に用いられる。電気セクターの収差はイオンミラーの収差に比べて劣るが、それでも静
電セクターには、軌跡が折り畳まれて小型である、イオンを例えば窓476を介してパル
ス化部分475内へ注入させ易いという利点がある。本発明はさらに、分離されたイオン
ミラー46およびセクター47で作られた捕捉器43、ならびに静電セクターとイオンミ
ラーの両方の特徴を備える複合静電場48で作られた捕捉器44など、新規な組合せを提
案する。静電セクター57を含む全ての静電場は、T軸が曲がっている特徴があることに
注意が必要である。複合静電場には半径方向のイオン運動をさらに安定させることが期待
され、E−Trapの優れた等時性および高い空間電荷能力のために静電場の直線性を改
善することになる。
図4−Bを参照すると、イオンミラー電極およびセクター電極の種々の例示的形状が示
されている。図示したイオンミラー461は平行かつ等厚の電極から構成されているが、
例えば使用する電位数を下げる目的または優れた等時性を実現するために、任意形状のミ
ラーを態様462および463のような電極で構成してもよいことは当業者には理解され
る。セクター47はE−Trapの等時性特性を保持しながら、(態様471および47
2のように)広角の全回転角を備える複数の下位ユニットで構成してもよいことが理解さ
れる。また、単純さの理由から対称配列が好ましいものの、非対称二次元静電場を用いる
ことができ、X対称軸と不揃いの基準イオン軌道T用の等時性静電場特性を実現してもよ
いことが理解される。
図4−Cを参照すると、E−Trap41の実施例で、本発明は以下の静電場励起の種
々の方法を提案する。すなわち、411に見られようなZ軸の直線励起および態様412
に見られようなZ軸を円形に閉じることによる励起である。静電場のラプラスの方程式d
/dx+dE/dy=−dE/dzに従えば、Z方向の静電場E(x、y)を再
生するには、静電場Z成分のz微分dE/dzはゼロまたは定数でなければならず、こ
れはゼロE=0、定数E=定数、または直線E=定数×z静電場のいずれかに相当
する。一番単純なE=0の場合、この方程式によって、直線Z軸または一定湾曲Z軸に
沿った純粋二次元E(x、y)静電場の再生励起が可能になる。
図4−Dを参照すると、湾曲したZ軸面はX軸(すなわちT軸)に対し任意の角度Φで
傾いており、特別な位相の場合が態様415〜417のΦ=180度(0度)であり、態
様412のΦ=90度である。好ましくは、曲率半径Rを比較的大きくして湾曲の影響を
低減し、E−Trap体積を増やすべきである。さらに、いくつかの特別な形状は捕捉器
のX寸法に対するRの比が特定の場合に対応し、例えば態様413および414では、角
度Φおよび曲率半径Rの選択を調和させて、4つのイオンミラーの捕捉器よりも2つの円
形イオンミラーの捕捉器を配列している。態様413、414、および415には像検出
器50の寸法が小さいという利点がある。態様412、415、416、および417で
は、捕捉器を小さく包み環状電極を機械的に安定させることができる。
図4−Eを参照すると、態様421のZ軸の直線励起によって、または態様422のZ
軸を円状に閉じて球状セクター静電場にするもしくは態様423の角度Φ=0と態様42
4のΦ=90の環状にすることによって、セクター47で作られた静電捕捉器42を拡張す
ることもできる。相応しい電極構造が他の任意の各度Φで現れる。
図4−Eを参照すると、セクター47およびイオンミラー46でできた結合捕捉器43
を、種々の方法で、配置およびセクター回転角度に応じて構築することができる。例示的
図面では、イオン軌道をO、C、S、X、V、W、UU、VV、Ω、y、および8の字軌
跡形状などに配置しながら多くの構造を構築可能ではあるが、U型のイオン軌道を備える
新規な組み合わせはほとんど見当たらない。これらの結合捕捉器43では基準イオン軌道
のT軸は湾曲している。しかしこれは、態様432、433,および434のようにZ軸
を曲げることを妨げない。態様431は真っ直ぐなZ軸に対応する。態様432は、球状
セクターを形成する特定の曲率半径の円状Z軸に対応する。態様433および434は、
環状静電場を形成し曲率半径が大きい円状Z軸および角度Φ=90およびΦ=180(0
)の特定の場合に対応する。図4−Gを参照すると、V軌跡捕捉器の実施例436および
437上に、捕捉器43を同様に包んでいることが説明されている。
図4−Hを参照すると、複合捕捉器44の湾曲した実施例442が示されており、イオ
ンミラー48は静電セクターの機能も備える。すなわち、少なくともいくつかの内側環状
電極は、外側環状電極に対して電圧補正されている。イオン運動はT線で表され、X軸に
沿ったイオン振動および円状Z軸に沿った軌道運動から成る。半径方向イオン運動の安定
性は第1に二次元静電場の空間的合焦特性に支配されるものの、強い半径方向運動によっ
て遅延点近くの純粋に二次電位の領域を延長する可能性がある。既知の軌道捕捉器とは反
対に、提案される複合E−Trapではパラメータを自由に変更することができる。無静
電場空間の存在がイオン注入およびTOF検出器によるイオン検出を容易にする。
上記拡張可能な静電場を、等時性を損なわずまたはE−Trapの特性を空間的に制限
せずに、Z軸に沿って空間的に変調してもよい。そのような変調は以下によって実現して
もよい:(a)曲率半径のわずかな周期的変動、(b)捕捉器電極を曲げる、(c)補助
電極の周縁静電場を用いる、および(d)無静電場空間で空間的合焦レンズを用いる。そ
のような空間変調を、複数の領域内のイオンパケットの局在化に用いてもよい。
上記概要説明した方法に従いながら、等時性拡張E−Trapの他の具体的形状を発生
させてもよい。すなわち(a)無静電場領域によって間隔を空けた等時性イオンミラー、
静電セクターの組合せを用いる、(b)これら静電場を直線的に、または環状もしくは球
状に延長する、(c)曲率半径、および中心イオン軌道の局所平面と少なくとも1つの点
でT線と一致するX軸との間の傾き角を変化させる、(d)これら静電場の延長Z軸に沿
った空間変調、(e)これら捕捉器を必要に応じて多重化しながら、必要に応じて5つの
連通静電場部分を維持する、(f)軌道運動を必要に応じて用いる、および(g)多重化
された静電場の種々の空間的配向を用いる。複数の構造と位相の間で、以下に基づいて優
先度を決めることができる:(a)ミラーおよびセクターに見られるような既知の等時性
特性、(b)円筒静電場およびセクター静電場に見られるようなイオン捕捉器を小型に包
む、(c)セクターに見られるような簡便なイオン注入、(d)図4Gに見られるような
小型像電流検出器、(e)円状電極などの電極の機械的安定性、(f)広範囲の操作可能
なパラメータおよび調整し易さ、(g)ミラーで構築された円筒捕捉器および平面捕捉器
など、積み重ねの互換性、および(h)製造費用。
発明者が知る限り、E−Trapおよびパルス変換器の空間電荷能力を拡張する目的で
、周波数検出を備える静電捕捉器に拡張二次元形状は特に用いられていない。新規な種類
の静電場を閉鎖E−Trapおよび開放E−Trap、ならびにTOF分光計に用いても
よい。さまざまの新規な静電場は、静電場体積の小型折り畳み、簡便な電極作成、および
小容積の検出電極のような複数の利点をもたらす。これらの静電場はZ寸法に何ら基本的
な制約が無くZ方向に容易に拡張されるため、X寸法に対するZの比は数百に達する場合
がある。その結果、10+4〜10+5mm範囲のイオンパケット体積で、MHz範囲
の高いイオン振動周波数に達することができる。
図5を参照すると、静電場の空間的多重化および積み重ねの実施例が示されている。図
5−Aを参照すると、半径方向に多重化されたE−Trap51は、半径方向に整列され
た一組のスリットを切断することによって同軸電極の中に形成され、そのようにして複数
の連通E−Trap分析装置を形成している。半径方向に多重化されたE−Trapを巻
いてE−Trap52を環状に形成してもよい。好ましくは、多重化イオン変換器53は
、変換器の個々の電極上に別々のパルス振幅を選択することによって、イオンパケットを
各E−Trapのそれぞれの中に向けてもよい。図5−Bを参照すると、積み重ねられた
多重化分析装置54は、平行に整列された一組のスリットを切断することによって板54
2の層内に形成される。板542は同じ組の高安定電源544に取り付けられているが、
各E−Trapは個別の検出器およびデータ取得チャンネル545を有する。変換器54
6は、平行で独立した複数のチャンネルに分けられる。好ましくは、一般的イオン源は、
イオン流を白い矢印547で描いた支流に分割するための手段を有する。支流はイオン源
からの主流の時間分割流または比例分割流である。各分割流は、多重化されたパルス変換
器の個別チャンネル内に向けられる。平面構造または円状構造の多重化は、以下のような
捕捉器の製造技術を用いながら、超小型化と完全に両立できる。すなわち(i)微細加工
技術、(ii)電極腐食、(iii)電鋳法、(iv)レーザー切断、および(v)多層
プリント基板技術と同時に電極窓切断加工後の実行可能な金属化または表面改質を伴う導
体、半導体、および絶縁薄膜を含む種々の積層体を用いる。図5−Cを参照すると、複数
捕捉器の多重化を用いて、蛇形状55または螺旋56状のスリットをミラー板電極内に作
ることによって、単一E−Trapの体積を小型のパッケージ内でさらに拡張している。
E−Trap体積は、態様57にあるように複数の連通捕捉体積を含んでもよい。提案さ
れた新規な多重化静電分析装置を、開放捕捉器またはTOF−MSに似た他の種類の質量
分析計用に用いてもよい。積み重ねた捕捉器を用いる方法は別の部分で説明される。
複雑な図面および形状を避けるため、以下の説明では主に、図4−Cに示したイオンミ
ラーで構成された平面E−Trapおよび円状E−Trapを扱うことにする。
平面E−TRAP
図6を参照すると、本発明の好ましい一態様61は、イオン源62、パルス変換器63
、イオン注入手段64,無静電場領域67で隔てられた2つの平面平行静電イオンミラー
66を備える平面静電捕捉器(E−Trap)分析装置65、移動Z方向にイオンを拘束
するための手段68、補助電極69、および像電流検出用電極70を備える。必要に応じ
て、像電流検出器70は飛行時間型検出器70Tによって補償される。平面E−Trap
分析装置65は、空間電荷能力および空間的受容を上げ分析装置を増やすために、移動Z
方向に実質的に延長される。イオンミラーの高品質の空間的および飛行時間的合焦をもた
らすことが一番重要である。平面イオンミラーは少なくとも4つのミラー電極を含む。先
行技術のM−TOFでは、このようなミラーは、X−Y平面内へのイオンの無限閉じ込め
、イオンエネルギに対する三次の飛行時間型合焦、および交差項を含む空間的、角度的、
およびエネルギ的拡散に対する二次の飛行時間型合焦をもたらすことが知られている。
作動中は、外部イオン源62内に質量範囲が広いイオンが発生する。イオンはパルス変
換器63に入り、好ましい態様では、イオンはZ延長された変換器63内の捕捉によって
またはイオンのZ軸に沿ったゆっくりした通過によって蓄積される。イオンパケット(矢
印で示す)は、注入手段64の助けによって変換器63から平面のE−Trap65へ周
期的にパルス注入される。イオンパケットは実質的にX軸に沿って注入され、イオンミラ
ー66の間で振動を開始する。Z方向のイオンエネルギ拡散が適度であることから、個々
のイオンはZ方向にゆっくり移動する。X反射100回に一度、周期的に個々のイオンは
分析装置65のZ端に到達し、境界手段69によって滑らかに反射され、Z方向のゆっく
りした移動に戻る。
X方向に反射される度に、イオンは検出器電極70を通過し、像電流信号を誘起する。
イオンパケット長さはY方向の電極内部間隔相当に好ましく保持される。複数のイオン振
動の間に周期的像電流信号が記録され、フーリエ変換または下記の他の変換方法によって
分析されて振動周波数に関する情報を抽出する。周波数Fは、F≒(m/z)−0.5
らイオンm/z値に変換される。フーリエ解析の分解能は得られた振動周期分解能の数、
約N/3に比例する。しかし、静電捕捉器作動の好ましい態様では、さらに高速のスペク
トル取得が期待される。これは、イオンパケットX長さをE−TrapのY寸法相当に、
かつE−TrapX寸法に比べて短く(約1/20)保つことによって実現される可能性
がある。信号はより鋭くなり、必要な取得時間はイオンパケット相対長さに比例して短く
なることが期待される。TOF−MSと同様、分解能はR=Ta/2ΔTのように制限さ
れる。ここにTaは分析時間、ΔTはイオンパケット継続時間である。スペクトル解読を
単純にするため、個々のE−Trap部分内の分析されたイオンのm/z範囲を狭めるこ
とが好ましい。
平面E−TRAPの空間電荷能力
新規な静電捕捉器の向上した空間電荷能力および空間電荷処理能力は本発明の一番の目
標である。Z幅の拡張が、静電捕捉器およびパルス変換器の空間電荷能力を向上させる。
空間電荷能力および分析速度を推定するために、平面E−Trapの以下の例示的パラメ
ータを仮定する:Z幅はZ=1000mm(好ましくは、分析装置は直径300mmの環
状内に包まれる)、X長さはX=100mm、検出器のX寸法はXD=3mm、電極内部
間隙のY高さはY=5mm、および加速電圧UA=8kVである。イオンパケット高さを
YP=1mmおよび長さをXP=5mmと推定する。
これらの数値に対し、イオンパケットによって占められる体積はV=5,000mm
と推定することができ、I−経路E−Trapの100mmおよび軌道捕捉器の300
mmより大きい。一方、例示的静電捕捉器は、I−経路E−Trapに比べて10倍大
きい静電場強度をもたらし、これによって電荷密度をn=10+4イオン/mmまで
上げることができる。すなわち、新規なE−Trapの空間電荷能力は注入あたり5×1
+7イオンと推定され、SSC=V×n0=5×10+3(mm)×10+4(イオ
ン/mm)=5×10+7(イオン/注入)となる。
後述の中で、取得時間は20msと推定され、すなわち、取得速度は秒50スペクトル
である。新規な静電捕捉器の空間電荷処理能力は一質量成分あたり2×10+9イオン/
秒と推定され、最新の集中イオン源からのイオン束に匹敵する。
上記推定は比較的短い(5mm)イオンパケットを仮定して行われている。単に信号の
周波数を分析するのであれば、パケット高さを単一の反射経路に相当するようにすること
ができ、すなわち50mmである。そこで空間電荷能力は10倍大きくなり、注入あたり
5×10+8イオンに等しくなる。非特許文献8(Aizikov et al in JASMS 17 (2006)
836-843)がICR磁気−MSへの応用の中で説明しているフィルタ対角化法(FDM)
を用いることが提案される。E−Trapには明確に定義された初期位相の利点があり、
数十の因子によって分析を加速することが期待される。
高い処理能力の駆動はパルス変換器の空間電荷能力と釣り合わなければならない。パル
スイオン変換器の具体的な態様63(半径方向イオン放出を備える後述の線形RF変換器
)E−Trap質量分析装置の空間電荷能力に迫る。好ましくは、線形RF変換器の内接
直径は2〜6mmであり、変換器のZ長さは1000mmである。糸状イオンの一般的な
直径は0.7mmであり占有体積は約500mmである。糸状イオンの電位がkTe=
0.025Vを越えるときのみ空間電荷に乱れが現れる。このような閾値は注入あたり2
×10+7イオンに相当することを計算できる。イオン放出の推定反復速度が50Hzの
とき、パルス変換器の空間電荷処理能力は10+9イオン/秒であり、最新の集中イオン
源からのイオン束に設定された基準10+9i/sに匹敵する。一方、後述の模擬実験結
果から、RF変換器内の高い空間電荷電位(最大0.5eV)によって効果的なイオン注
入も可能になるだろうことが示唆される。
平面E−Trapの分解能
図7−Aを参照すると、本発明の有用性を評価するため、平面静電捕捉器のイオンミラ
ー71の具体的実施例の一つが平面直線高周波イオン変換器72と共に示されている。イ
オンミラー71は先行技術の平面M−TOFのイオンミラーに類似しているが、放電防止
のため、電極間隔が比較的広いことと電極窓が広い点が異なる。
本図は、選択された加速電圧Ua<x=−8kV用のイオンミラー71の寸法と電圧を
示す。電圧を相殺して無静電場空間を接地できるようにしてもよい。ミラーキャップ間の
距離73はL=100mmで、各イオンミラーには、5mmの四角窓がある4つの板およ
び3mmの窓がある1つの板(M4電極)を備える。ミラーキャップを介したイオン注入を
補助するため、外側の板74はイオン注入用のスリットを有し、外側の板74上の電位は
パルス化される。M4用の電極間隙付近の間隙は、13kVの電圧差に耐えるように3m
mまで増やされる。提示した実施例は等時性特性が強化されたイオンミラーを採用してい
る。イオンミラー静電場は、4つのミラー電極および引力電位が加速電圧よりも約2倍大
きいM4電極の空間的合焦領域を備える。X方向の電位分布を調整して、以下のイオン振
動特性の全てを提供する:(i)運動イオンパケットの反復振動のためのX方向のイオン
遅延、(ii)横Y方向の運動イオンパケットの空間的合焦、(iii)イオンパケット
の空間的、角度的、およびエネルギ的拡散の小偏差に対し、交差項を含む少なくとも二次
のテイラー展開までのX方向の飛行時間合焦、および(iv)イオンパケットのエネルギ
的拡散に対し、少なくとも三次のテイラー展開までのX方向の飛行時間合焦。
イオンパケットをZ方向に沿って均等分布するため、およびイオンミラーのわずかな機
械的整列誤差を補償するため、本発明は静電制御可能くさびの使用を提案する。底部電極
75内のスリットが、少なくとも1つの補助電極76によって作られる周縁静電場の適度
な侵入を可能にする。具体的な一態様では、補助電極76はミラーキャップに対して傾け
られて、直線Z依存周縁静電場を提供する。底部ミラーキャップと補助電極との間の電圧
差に応じて、静電場は静電捕捉器内に直線的に静電場のZ依存歪みを作って2つのミラー
キャップのわずかな非平行性を補償することになる。別の具体的な態様では、直線の補助
電極組がZ方向に沿って伸ばされる。必要に応じて、補助電極の電圧を時間通りにゆっく
り変化させてE−Trap体積内のイオンを混合する。静電くさびの他の有用性は複数部
分で後述される。
ミラー構造について実際的な検討を少しすべきである。機械的精度およびミラー平行性
はキャップ間距離Lの少なくとも10−4未満とすべきであり、この精度はL=100m
mで10ミクロンより良い。ミラー電極の薄さ(2〜2.5mm)を考慮すると、金属被
覆セラミックなどの剛体材料を用いるのが好ましい。精度および耐久性については、イオ
ンミラー塊の全体を、隔離溝および電極表面に金属被覆がある一対のセラミック板(また
は他の実施例では円筒)構造としてもよい。漂遊イオンによって増大する電荷を防止する
ため、溝部を被覆すべきである。また、ボールベアリング構造は1ミクロン未満の加工精
度のセラミックボールを収容してもよい。
E−TrapのX寸法を10cm未満さらには1cm未満にさらに縮小すると同時に、
Z寸法(例えば直径10〜30cm)を大きくすることも好ましい。機械的精度および電
気的安定性の要求事項を満たすため、このようなE−Trapを以下の群の技術の1つを
用いて構築してもよい:(i)積層板の電気腐食またはレーザー切断、(ii)セラミッ
クまたは半導体塊を機械加工し、その後電極表面を金属化、(iii)電鋳法、(iv)
伝導性制御のために表面改質された半導体積層体の化学エッチングまたイオンビームによ
るエッチング、および(v)セラミック製プリント回路基板技術。温度安定性の目的のた
め、採用される材料は熱膨張係数を小さくするように選ばれ、以下の群の1つの材料を含
む:(i)セラミック、(ii)溶融石英、(iii)アンバー、ジルコンのような金属
、またはモリブデン合金およびタングステン合金、および(iv)シリコン、炭化ホウ素
のような半導体または熱膨張が無い複合半導体化合物。
図4−Cに示す湾曲した窓を備えるより少ない電極を用いて、静電電位およびパルス電
位の数を減らすとともに相対的電極厚さを増やしてもよい。具体的な一態様では、捕捉器
の空間電荷能力を強化するために、イオンミラーのイオン回転領域を、放物線電位分布を
維持するように構築することができる。直線静電場の空間的非合焦特性を、強力なレンズ
(好ましくはミラーに組み込まれた)によって、および図4−Hに示すE−Trap44
2内の軌道運動によって補償することができる。
図7−Bおよび7−Cを参照すると、分解能の収差限界が、図7−Aに示した静電捕捉
器の注入されたイオンパケットのパラメータと共にモデル化されている。RF変換器72
内に蓄積されたイオン雲には温度エネルギがあると仮定する。したがってイオン束は図示
のように、0.2mm未満の薄帯内に閉じ込められ、放出パケットは角度的発散が0.2
度未満にしっかり合焦される。応答時間は図7−Bに示すように8〜10nsと推定され
、エネルギ拡散は50eVである。初期パラメータは第1の時間焦面内で測定される。5
0ms後のイオンパケットの推定時間幅はわずか20nsであり(図7−C)、したがっ
て分解能の収差限界は1,000,000を越える。このことから、現実的に実現可能な
分解能はむしろ以下のことによって制約を受けると考えられる:(a)イオンパケットの
継続時間、(b)Z境界手段が取り込む時間歪み、および(c)取得速度を制限するスペ
クトル変換方法の効率。
分解能はパケットの相対高さおよび検出器高さによって制約を受けると仮定すれば、以
下の推定に達する。8keV加速時の図7のE−Trapでは、1kDaイオンの速度は
40km/s、検出器によるイオン通過の周波数はF=400kHz、および一通過あた
りの飛行時間はT1=2.5usである。検出された(有効な)イオンパケット長さは2
0〜25倍短いことを考慮すると、長さ4〜5mm、1kDaイオンのパケット時間幅は
約0.1usである。次に、100,000質量分解能(200,000飛行時間分解能
に相当)のスペクトルの取得には20ms掛かることになり、先行技術の軌道捕捉器より
も約50倍高速である。より長時間の取得により、分解能を最大百万の収差限界まで改良
することができることも理解される。
境界手段
E−Trap位相によって境界手段を変えてもよい。
再び図4−Bを参照すると、円筒静電捕捉器用の境界手段の最も好ましい態様には、分
析装置自身を環状に包むことを含む。そのような環状捕捉器の例示的態様412〜417
、419、422〜424、432〜437、および442を図5に示す。模擬実験から
、等時性イオン運動および空間的イオン閉じ込めの歪みは、イオン捕捉器のX長さLに対
して曲がった分析装置の半径Rがかなり小さなときのみ発生することが示唆される。模擬
実験によれば、選択された分解能の閾値R=300,000に対し、イオン軌道のX軸に
対する傾き角=3度のときに比R/L>1/8、およびct=4度のときR/L>1/4
である。安定してイオンを捕捉し300,000を越える分解能を得るために、環状捕捉
器の曲率半径RとX長さL、および平均イオン軌道とX軸との間のラジアン単位の傾き角
の間の関係はR>50×L×αで表されることがわかった。分解能が小さいほど、最少
半径Rに対する要求事項は軽減する。さらに、E−Trapの空間電荷能力および空間電
荷処理能力を拡張するためには、X長さに対するRは1〜10を用いるのが好ましい。
再び図4−Aを参照すると、静電セクターで構築されたE−Trap 42用の境界手
段の好ましい態様は、無静電場領域のZ端の偏向器または先行技術の既知のマツダ板47
7のどちらかを備える。両方式ともZ境界でイオンを反発する。平面静電捕捉器411用
のZ境界手段は複数の例示的態様を備える。図8−Aを参照すると、境界手段の一態様は
、Z軸に対する弱い曲がり82がある少なくとも1つのイオンミラー電極を備える。金属
電極間に不揃いのセラミックスペーサを用いることによって弾性曲げを実現できる。境界
手段のさらに別の態様は、無静電場領域のZ端に取り付けられた別の電極83を備える。
図8−Bを参照すると、ミラーキャップ電極を分割し、さらなる遅延電位をZ端部104
に印加することによって、別の電子的曲げを実現できる。電子的端部曲げの別の態様は、
キャップスリットを通過する周縁静電場の補助を受ける。これらのどの手段も図8−Cに
示すようにZ端でイオン反射を引き起こすことになる。
Z端電極83による反発はZ端領域のイオン運動を減速させ、それによって正の時間ず
れを引き起こす。図8−Aおよび図8−Bの他の手段は負の時間ずれを発生させることか
ら、これらの手段と手段83とを組合せることによって、単一の端部反射あたりの時間ず
れの模擬実験結果を表す図8−Dに示すように、時間ずれを部分的に相互補償することが
可能になる。Z方向の平均イオンエネルギを適切に選ぶことによって、イオンパケット振
動周波数の平均時間ずれゼロに到達できることに注意が必要である。さらに、Z方向のイ
オンエネルギ拡散のせいでイオンパケットの時間的拡散が起こるが、振動周波数のずれは
発生しない。
図8−Dを参照すると、Z端領域におけるイオンパケットの時間的拡散を推定すること
ができる。傾き角が0.5〜1.5度の具体的に示した実施例では、一Z反射あたりの1
000amuイオンの時間的拡散は0.5ns未満にとどまる。ここで平均角度(Z方向
のエネルギ=3eV/電荷)が1度であると仮定すると、大型分析装置のZ幅W=100
0mmを考慮して、そのような端部偏向は500振動に1回だけ、すなわち1msごとに
1回起こる。Z反射時の時間的拡散は飛行時間の5×10−7より小さくなる。したがっ
て、αが約1度の緩やかな傾き角では、Z端偏向は、R=1,000,000までE−T
rapの分解能には影響しないことになる。
一態様では、E−Trap分析装置は境界手段を用いないため、イオンはZ方向に自由
に伝播することができる。この態様ではZ境界手段の電位収差が除去され、注入の間にイ
オンを消去可能であり、十分なイオン滞留時間が得られる。理由は、単にE−Trap分
析装置の十分なZ長さのためである。例として、計算した500回のミラー反射に対し、
飛行時間型検出器によって100,000を十分に越える分解能が可能になる。
像電流検出器を備える新規なE−TRAP
図9−Aを参照すると、検出手段91は、少なくとも1つの検出電極93および差動信
号増幅器95を備え、差動信号増幅器95は上記検出器電極93と周囲の電極94すなわ
ち接地との間の信号を拾う。飛び去るイオンパケット92は、検出器電極上に像電流信号
を誘起する。この信号は個々に増幅され、アナログ−デジタル変換器96によって記録さ
れ、好ましくは複数のコアを有するプロセッサ97内で質量スペクトルに変換される。一
態様では、短い検出電極がE−Trapの中央平面内に保持される。イオン注入手段およ
びE−Trapを調整し、第1の合焦平面およびその後の合焦平面が検出器平面と一致す
るようにする。別の態様では、長い抽出電極を選んで、信号を正弦波に近づける。代わり
に、一連の電極を用いて一イオン通過ごとに高周波数信号を形成する。
本発明は、短いイオンパケットに依存した以下の方法を提案する。すなわち(a)ウェ
ーブレットフィット変換。ここでは、信号を既知形状の反復信号によってモデル化し、周
波数を走査し、共鳴調和を決定する。(b)特別設計のウェーブレットによる生スペクト
ルの包み込み。さらに(c)単一m/z成分あたり複数の周波数ピークを与えるフーリエ
変換、次にピーク間分布が較正された複数の周波数ピークの包み込み、高次高調波による
アルゴリズムの分解能の改善である。分析速度の利得は、先にL/ΔX≒20と推定した
L/ΔXに到達できる可能性がある。代わりに、長い検出器を用い、ほぼ正弦波形を発生
させ、上記フィルタ対角化法(FDM、非特許文献8、Aizikov et al in JASMS, 17
(2006) 836-843、ここに参照によって本明細書に組み入れる)を適用することによって
、E−Trap内のデータ取得が加速される。
図9−Bを参照すると、ウェーブレットフィット変換の結果が説明されている。
波形は検出器93上で像信号としてモデル化される。各イオン成分についてイオンパケ
ット内にガウス空間分布を仮定すると同時に個々のイオンごとに誘起された電荷の既知の
逆正接関係を考慮すると、信号は飛行時間の1/20だけ拡散される。図9−Bは、任意
の質量1および1.00001の2つのイオン成分に対する信号形状の一部を示す。質量
が非常に近い(すなわち周波数)ため、イオン成分の生信号は10,000回振動の後に
のみ顕著に分かれる。図9−Cを参照すると、周波数スペクトルは10,000周期信号
から再生される。イオン成分は100,000質量分解能に相当する200,000飛行
時間分解能によって決定される。例示的信号では、ウェーブレットフィット分析によって
フーリエ解析よりも20倍高速の分析ができる。しかし、ウェーブレットフィット分析で
は付加的な周波数の前提が発生する。この前提は、追加の幅広検出器の信号のウェーブレ
ットフィット分析とフーリエ解析の組合せ、または重なりの理論的分析もしくは限定され
たm/z範囲を分析することによって除去可能である。提案された方法を、軌道捕捉器、
FTMS、および既存の非拡張E−Trapなど他の捕捉質量分析計に用いてもよい。
図9−Dを参照すると、信号対ノイズ比(SNR)が、分析された周期の数Nで改善され
る。初期の「生」スペクトルには、標準偏差(RSD)がイオン信号振幅よりも10倍大
きい(すなわちSNR=0.1)白色雑音が混在している。N=10,000振動のウェ
ーブレットフィット分析の後、SNRはSNR=10すなわち100倍=N0.5まで改
善する。その結果、分析の加速がSNRを低減することになる。検出信号は、イオン特性
に制約を受ける質量精度を低下させないことに注意が必要である。また、ダイナミックレ
ンジが捕捉器の空間電荷能力の制約を受ける場合には、秒あたりの分析のダイナミックレ
ンジは分析速度の平方根に比例して改善される場合があることに注意が必要である。
像電荷検出の詳細を考慮して、好ましくは信号取得には可変取得時間を伴う方法を取り
入れるべきである。長時間の取得はスペクトル分解能および感度を改善するが、分析の空
間電荷処理能力およびダイナミックレンジに制約を与える。Tが約1秒の長時間の取得を
選んで例示的E−Trapの収差限界に相当する最大1,000,000の分解能を得る
か、またはT<1msを選んでE−Trapの空間電荷処理能力を最大10+11イオン
/秒まで増やしてICPのような強力なイオン源にさらに適合させる。イオン信号強度お
よびスペクトル取得時間の調整または自動調整を伴う方法を、イオン注入に関する部分で
後述する。
図10を参照すると、具体的な一態様の中で、少なくとも1つの検出電極が、Z方向1
02および/またはX方向103のどちらかの方向の多数部分に分割されている。好まし
くは、各部分は個別の前置増幅器104または105によって検知され、必要に応じて個
別の取得チャンネルに接続されている。Z方向の検出器分割102によってチャンネルあ
たりの検出器静電容量を下げることができ、この方法によりデータシステムの帯域が向上
する。電極の分割は、その部分のZ幅に比例して個々の部分の静電容量を下げる。また、
複数のデータチャンネルによってデータを取得するとすれば、分割によってZ方向の静電
捕捉器のイオン充填の均質性を検出することも可能になる。分析装置形状の欠陥がわずか
であれば、捕捉されたイオンのZ局在化またはZ位置と関連した周波数ずれが現れる場合
がある。したがって、イオンをZ方向に再度分布させ、周波数ずれを補償するために一組
の補助電極106を用いることができる。代わりに、例えば、異なる分解能および取得時
間もしくは個々のチャンネルの感度が種々あるときのスペクトルの取得、または狭帯域増
幅器の使用など、多チャンネル検出のためにZ局在化を用いてもよい。具体的には、有利
な配置は、イオンが複数のZ領域の間に分布したときにそのm/z値に応じて現れる。し
たがって、比較的狭いm/z範囲の検出に各検出器を用い、これによって高次高調波の狭
帯域検出を可能にすると同時に、解読スペクトル内の人為的な(archifact)ピークを避
ける。一実施例として、(主振動周波数に対する)11番目の高調波の検出は9番目およ
び13番目の高調波の存在によって乱される。そのとき、13:9の許容周波数範囲はお
よそ2:1m/z範囲に相当する。補助電極(例えば図3の39)の使用あるいはZ方向
の静電場の空間的または角度的変調のどちらかによって、Z局在化を実現できる。一方法
はRFパルス変換器内のイオンの飛行時間型分離の工程を含み、E−Trapの複数のZ
領域へイオンを注入するときに、m/z配列に応じてZ軸に沿ったイオン分離を達成する
。別の方法は、イオン捕捉器内の質量分離、イオン移動度、またはTOF分析装置を含み
、複数の変換器内へ連続的にイオンを注入し、狭いm/z範囲に対応するように調整され
た狭帯域増幅器を備える多重化されたE−Trap体積内でのその後の分析を行う。
検出電極のX方向の分割102は、信号対ノイズ比の改善および隣接検出器間の位相シ
フトの解読による周波数スペクトル内の高次高調波の除去のため、周波数分析を加速する
可能性がある。一態様では、検出器部の交互パターンによって高周波数の信号列108が
得られる。この場合には、検出器を1つの前置増幅器およびデータシステムに接続しても
良い。別の態様では、複数のデータチャンネルが用いられる。E−Trap内のこの多チ
ャンネル取得は電位法であり、以下のような複数の利点をもたらすことができる:(i)
取得時間ごとの分析の分解能の向上、(ii)種々のm/zイオン成分の個々の位相シフ
トがわかっている複数信号を加えることによる、分析の信号対ノイズ比およびダイナミッ
クレンジの強化、(iii)異なるチャンネル上に狭帯域増幅器を使用することによる信
号対ノイズ比の強化、(iv)検出器個々の静電容量の低減、(v)複数信号の微分比較
による寄生取得信号の補償、(vi)複数チャンネル内の信号間の変動に起因する複数の
m/zイオン成分の信号の重複の解読の改善、(vi)スペクトル解読に個々の信号間の
位相シフトの有効活用、(vii)フーリエ解析における共通周波数ラインの抽出、(vi
ii)大きな寸法の検出器部分からの信号のフーリエ変換による、短い検出器部分からの鋭
い信号の解読支援、(ix)一時的なイオン合焦位置の潜在的ずれの補償、(x)上記静電
捕捉器の別々のZ領域間の分析の多重化、(xi)イオン充填されたイオン捕捉器の均質性
の測定、(xii)上記静電捕捉器の異なるZ領域間の制御されたイオン通過の試験、およ
び(xiii)上記Z端における周波数ずれの制御可能な補償のためのZ端での周波数ずれの
測定。
一態様では、検出電極を電気的に浮かせ、増幅器と静電結合してもよい。理由は、20
〜40kHz範囲の高電圧電源の雑音周波数に比べてイオン振動周波数(1000amu
で400KHzと推定)がかなり高いためである。像電荷検出器をほぼ接地電位に保持す
ることがさらに好ましい。別の態様では、接地されたミラー板が検出器として用いられる
。さらに別の態様では、分析装置の無静電場領域は接地されており、イオンは、電気的に
浮いたパルス変換器から注入されるか、または注入段階でパルス化され最大エネルギまで
加速されるかのどちらかである。パルス変換器をイオン充填段階で一時的に接地してもよ
い。さらに別の態様では、イオンが昇降機を通過中、パルス化され電気的に浮いた中空電
極(昇降機)が用いられる。
飛行時間型検出器を備える新規なE−Trap
図11を参照すると、像電流検出器112の代わりに、またはそれに加えて、イオンは
より高感度の飛行時間型検出器113によって検出され、そのような検出器にはマイクロ
チャンネルプレート(MCP)または二次電子倍増器(SE)などがある。このような検
出方法の基本方式は、一振動周期あたりの注入イオンの制御可能な小断片のみの検出と、
その後の鋭い周期信号に基づいたイオン振動周波数の分析にある。抽出が期待される部分
は0.01〜10%変動する可能性があり、分解能および取得速度の反作用要求事項によ
り決まる。この抽出割合は平均イオン振動数に反比例し、10〜100,000から選ば
れる。好ましくは、抽出部分は、例えばイオンパケット吸引またはE−Trap静電場内
の横方向偏向によって電子的に制御される。この調整によって、高速度高感度スペクトル
と高分解能スペクトルとの交互発生が可能になる。抽出部分は、初期設定振動時間を過ぎ
ると、最終的に100%に達することがある。
飛行時間型検出器には、飛行時間型分解能を落とすことなく小型イオンパケットを検出
する能力がある。好ましくは、イオン注入段階を調整して短いイオンパケット(X寸法範
囲が0.01〜1mm)を形成し、一般にE−Trapの対称平面に置かれた検出器平面
内のイオンパケットの飛行時間型合焦をもたらす。好ましくは、E−Trap電位を調整
して検出器平面内の飛行時間型合焦の位置を維持する。
フーリエ解析およびウェーブレットフィット分析の代わりに、またはそれに加えて、生
信号解読は異なるm/zイオン成分からの重複信号の理論的分析の支援を受ける。後述の
筆者の同時係属特許明細書のとおり、理論的分析は複数の工程に分かれる:(a)可能振
動周波数の前提に応じて信号群を集め、(b)どの前提対の重複信号も廃棄または分析し
て個々の成分信号を抽出する、(c)前提の妥当性を信号分布に基づいてそれぞれの群内
で分析する、および(d)信号の重複がそれ以上結果に影響しない周波数スペクトルを再
構築する。このような分析は潜在的に、個々のm/z成分あたり5〜10イオンしかない
小強度の信号を抽出することができる。一態様では、パルスイオン変換器はE−Trap
のZ長さの初期部分に沿って延び、イオンは捕捉器をZ方向に通過することができるよう
になるため、軽いイオンが検出領域に早く到達する。これによってピークの重なりが減る
。提案された方法は連続した周期的鋭利信号を発生させることから、分析装置内の平均イ
オン滞留時間よりも短い周期で頻繁にイオンを注入することによって、分析の処理能力を
向上させることがさらに提案される。その他のスペクトルの複雑さは、イオン周波数パタ
ーンの解読と同様に解読されるべきである。
好ましくは、検出器を小型化し不感領域を無くすために、イオン−電子(I−E)変換
面114がイオン経路内に置かれ、SEまたはMCP検出器がイオン経路の外に置かれる
。I−E変換器は、必要に応じて二次粒子を加速するための網によって覆われた板もしく
は板、または一組の平行電線もしくは一組の双極電線もしくは単一電線のいずれかを備え
てもよい。イオンが変換器と衝突する可能性を複数の方法で電子的に制御してもよく、そ
の方法には、イオンをY方向の中心軌跡からI−E変換器またはTOF検出器の側部領域
へわずかに誘導する、またはイオンパケットのY方向の局所吸引につながるイオンパケッ
ト局所非合焦、または引力電位をI−E変換器に印加する(二次電子の再パルス化静電場
としても作用する)などがある。抽出されたイオン片は、変換器の透明性、変換器電極の
窓寸法、または変換器のZ局在化によって制御される。イオン−電子変換器に衝突するイ
オンは二次電子を放射する。二次電子をSEM上に集めるために弱い静電場または磁場が
用いられる。次に、好ましくは、二次電子はイオン経路に直交方向に抽出される。好まし
くは、イオンパケットは短く形成されて(例えば10ns未満)質量分析をさらに加速す
る。好ましくは、抽出イオン光学系は二次電子の空間的および飛行時間型合焦に最適化さ
れる。
一態様では、振動ごとにイオンの小片部分を検出するために、検出器はE−TrapのZ
端に置かれ、イオンは、検出器Z領域内に移動するときはいつでも検出器に到達できるよ
うになる。別の態様では、補助電極115上の電位を変化させることによる実施例で、イ
オンは自由振動領域内に拘束され、検出領域内へ移動できる。代わりに、イオンパケット
は検出器に衝突するようにY方向に延長される。さらに別の態様では、網変換器はイオン
経路領域の選択された小部分のみを占める。さらに別の態様では、異なるイオン成分の検
出器上の重複を減らしスペクトル周期解読を単純にするために、イオンは、電気パルス抽
出または周期的に一連のパルスによって、別のE−Trap体積から検出器の方へ向けら
れる。このような抽出パルスはZ偏向パルスとなり、イオンパケットが弱いZ障壁を破る
きっかけを与える。
像電流検出器とは反対に、TOF検出器はさらに鋭いピークに好ましく対応する。その
一方、TOF検出器は単一イオンを検出できることから、より高感度である。TOF質量
分析計と比較して、本発明は検出器のダイナミックレンジを大きさの桁によって拡張する
。理由はイオン信号が複数周期に拡散するからである。新規なE−Trapでは、TOF
検出器によってE−Trap高さの延長が可能になり、これが高分解能E−Trapの機
械的精度の要求事項を下げ、空間電荷容量、処理能力、およびダイナミックレンジのさら
なる拡大を可能にする。
検出器の寿命を、増幅段あたりの小さい二次電子ゲインの費用が掛かっても、非劣化変
換面を用いて延長することが好ましい。秒10+9イオンの速度の信号を分析するとき、
TOF検出器の寿命は大きな懸念事項になる。小さなゲインのMCP(たとえば100−
100)を第1の変換段に用いてもよい。そうすることによって、1クーロン寿命電荷が
10+9e/sec電荷入力時にほぼ1年寿命が可能になり、10+11e/sec電荷
出力が可能になる。同様に、従来のダイノードを初期増幅段に用いることができる。ダイ
ノード表面の毒作用および後続の信号増幅段での経年劣化を避けるため、ダイノードが非
修正面を備えるか、または最初に増幅された信号の像電荷検出のどちらかであるべきであ
る。第2段をシンチレータとし、その後、密閉PMT、PINダイオード、アバランシフ
ォトダイオード、またはダイオードアレイにすることができる。
新規な検出方法は他の既知の種類のイオン捕捉器に適用でき、図2に示すI−経路同軸
捕捉器、図11−Bの静電セクターを用いたレーストラック静電捕捉器、図H−Cのイオ
ンサイクロトロン共鳴(ICR)を備える磁気捕捉器、ペニング捕捉器、RF障壁を備え
るICRセル、図11−Dの軌道捕捉器、および図11−Eの線形高周波(RF)イオン
捕捉器などがある。
レーストラックイオン捕捉器(図11−B)では、かなり透明な(90〜99.9%)
l−e変換器114をイオン時間焦面に取り付け、周期ごとにイオンパケットの小部分を
抽出してもよい。好ましくは、二次電子は、局所電場および弱い磁界の組み合わせ作用に
よって、非直結TOF検出器113上に横に抽出されて二次負イオンから電子を分離する
。代わりに、検出器をイオン経路の周辺領域に取り付けるまたは環状検出器113Aを用
いることによって、抽出されるイオンの割合が下げられ制御される。先行技術のレースト
ラックイオン捕捉器は狭いイオン経路を用いている。本発明は捕捉器をZ方向に延長する
ことを提案する。
ICR−MS(図11−C)では、TOF検出器113はICRセルと同軸でその外側
に好ましく取り付けられ、l−e変換器114はICRセル内に比較的大きな半径で好ま
しく取り付けられる。好ましくは、限られたm/z範囲のイオンは大きな軌道に共鳴励起
されてl−e変換器114に衝突して、比較的小さな角度的拡散Φρのイオンパケットを
維持する。変換器はZ軸に対しある角度で取り付けられ、そのため二次電子はミクロン寸
法の螺旋マグネトロン運動にも関わらず変換面から開放される一方、二次イオンは表面に
捕獲され易い。好ましくは、変換器はイオン経路の小部分を占めてm/z成分ごとに複数
信号を形成する。代わりに、小部分の抽出は低速のイオン励起によって準備される。本方
法は像電流検出に匹敵する検出限界を改善する。
図11−Dを参照すると、軌道捕捉器において、l−e変換器114および検出器11
3が配置された2つの実施例が横列に、それらの極性変化が縦列に示されている。好まし
くは、捕捉イオンのm/z範囲は大きな寸法の軸方向運動(上列)または異なる寸法の半
径方向運動(下列)のどちらかに励起される。緩やかな励起の場合、単一のm/zごとに
複数の周期的信号が生成されることになる。
図11−Eを参照すると、線形RFイオン捕捉器19において、変換面114を四重極
棒に対し斜めに置いてもよく、二次電子をRF棒のスリットを介して検出器113上に抽
出できる。変換面114は、捕捉器棒上の正のRF信号に起因して現れるゼロRF電位に
対応する面に取り付けられる。この配置は、RF場の低速変化(サブマイクロ秒)に対し
非常に高速のナノ秒の電子移動に依存する。好ましくは、選択されたm/z範囲のイオン
は大きな振動軌道に励起され、好ましくは回転励起に起因する強い円運動成分を有する。
したがって、軌道半径のゆっくりした増加および高周波イオン運動の変化が原因で、イオ
ンの小部分が抽出されることになる。好ましくは、分析処理能力を高めるために一組の多
重化線形RF捕捉器が用いられる。
説明した全ての方法において、複数の周期信号が形成され、理論的分析によって処理さ
れる。狭いm/z範囲の励起はスペクトル解読を単純にする。検出閾値はイオンパケット
あたり5〜10イオンと推定され、これが像電流検出に比べて検出限界を改善する。説明
した全ての態様および方法では、限定されたm/z範囲のイオンの連続注入または連続励
起のどちらかによって、スペクトル解読を改良できる。
新規なE−TRAPへのイオン注入
本発明の新規なE−Trapへのイオン注入は以下のいくつかの条件を満足しなければ
ならない:(a)注入間にイオンを蓄積して変換器の負荷サイクルを強化する、(b)最
大20msecの長いイオンストレージ時に10+7〜10+8イオンの空間電荷能力を
備える、(c)好ましくは移動Z方向に沿って拡張されている、(d)分析装置の近傍に
置いて、注入時の飛行時間効果に起因するm/z範囲の制約事項を避ける、(e)10
Torr未満の気体圧力で作動して分析装置内の良い真空を保つ、(f)エネルギ拡散
が3〜5%未満および角度的拡散が最少(1度未満)でかつ、X長さがTOF検出器の場
合は0.1mmまたはFDM分析を備える像検出器を用いる場合は最大30mmのどちら
かであるイオンパケットを発生させる、および(g)静電捕捉器の電位および静電場の歪
みを最少にする。
図12を参照すると、高周波(RF)パルス変換器125を備えるE−Trapの態様
121は、一群の変換器の態様および注入方法を概説する。変換器125は、入口端12
4A、出口端124B、および半径方向放出のための横スリット126を有する高周波(
RF)イオンガイドまたはイオン捕捉器124を備える。変換器は一組のDC、RF、お
よびパルス源(図示せず)に接続される。好ましくは、変換器は直線四重極124を図示
のように備えるが、変換器は、電線によって形成された捕捉器のRFチャンネル、RF面
、RF配列、RF環状捕捉器など、他の種類のRFイオンガイドまたは捕捉器を備えても
よい。好ましくは、RF信号は、参照番号130で示すように直線変換器125の中間板
だけに印加される。X延長されたイオンパケットの生成を目的とするいくつかの態様では
、RFイオンガイドはX方向に延長され、複数のRF電極を備えてもよい。さらに、変換
器がZ方向に少なくとも10倍長いイオンパケットを提供することが期待される。好まし
くは、変換器の入口部分および出口部分は断面が同様な電極を有するが、これら電極は電
気的に絶縁されてZ方向のイオン捕捉のためのRF付勢またはDC付勢が可能である。図
は、静電捕捉器の以下の他の要素も説明する。すなわち、連続または準連続イオン源14
2、中間気体圧力123の気体イオンガイドおよびRFイオンガイド、注入手段127、
ならびに注入スリットを備えるミラーキャップ電極128を有する平面静電捕捉器149
である。好ましくは、パルス変換器135は湾曲して、図13に示すように静電捕捉器1
39の円曲率と一致する。
作動中は、イオンはイオン源122から供給され、気体イオンガイド123を通過し、
パルス変換器125を満たす。一方法では、イオンはまず気体イオンガイド123内に蓄
積され、次にパルスは入口端124Aを通って変換器125内へ注入され、ガイド124
を通過し、出口端124BでRF障壁またはDC障壁のどちらかによって反射される。パ
ルスイオン注入の後、入口端124Aの電位を上昇させて部分124内でイオンを無限に
捕捉する。注入パルスの継続時間を調節して、捕捉されたイオンのm/z範囲を最大化す
る。別の方法では、気体イオンガイド123および変換器125は常に連通状態にあり、
イオンはこれら装置間で、変換器125内のm/z構成の平衡に必要な時間だけ自由に行
き来する。さらに別の方法では、イオンは気体イオンガイド123から連続的に供給され
、変換器125を低速度(100m/s未満)で通過し、出口端124Bを通って去る。
変換器の延長された約1mの長さを考慮するれば、イオン伝播時間は10msを越え、静
電捕捉器への放出間隔時間に匹敵する(R=100,000のとき20ms)。この態様
の場合、同一直線電極および同一RF電源を、気体イオンガイドおよび真空変換器の両方
に使用し、それらの間のDC障壁を除去することが好ましい。好ましくは、変換器は、別
々の排気の間の少なくとも1つの段階中に突出する。好ましくは、変換器は湾曲部分を有
して、排気段階の間に気体が直接漏れることを低減する。これらの方法では、捕捉または
イオン軸方向速度の減速の目的でイオンの運動エネルギを減らすために、必要に応じて一
部の変換器は参照番号130に示すように気体パルスで満たされる。好ましくは、このよ
うなパルスは空圧弁または濃縮蒸気の光パルス脱着によって発生される。高真空下のRF
半径方向のイオン捕捉を含む提案されたパルス変換器によって、以下の特徴が実現される
:(i)変換器のZ寸法を延長してE−TrapのZ寸法と一致させる、(ii)全体に
湾曲したE−Trapに沿って変換器を整列させる、(iii)注入イオンの広いm/z
範囲に対応するために変換器とE−Trapの間の短いX距離を維持する(E−Trap
のX寸法に対して)、および(iv)E−Trapの高真空を10−9Torr未満およ
び最終的には10−11Torr未満の範囲に維持する。提案された方法は、これらの特
徴を備えてない先行技術の気体充填RFイオン捕捉器とは異なる。
本発明は、図12の線形RF捕捉変換器からE−Trapへのイオン注入(図12〜1
6)の複数の態様および方法を提案する。これらの方法では、閉じ込めRF場はイオン放
出の前に必要に応じて電源が切られる。一方法では、変換器125がイオンで充たされた
ら、イオンは側部スリット126およびミラーキャップ128のスリットを通って半径方
向に注入される。注入時に、ミラーキャップ128の電位を下げてイオンを静電捕捉器内
へ導入する。一番重いイオンがミラーキャップ領域から離れたら、ミラーキャップ128
の電位を通常の反射値にする。ミラー電圧を切り替える例示的値は先に図6に示した。図
14に説明する別の方法では、直線イオンパルス変換器142およびパルス加速器143
が、静電捕捉器145の無静電場領域144を通って突出する。変換器142がイオンで
充たされたら、RF信号を切って一組のパルスが変換器142および加速器143に印加
されて、イオンを静電捕捉器145の無静電場領域144内へ注入する。注入の後、変換
器142および加速器143の電位を無静電場領域144の電位にして、イオン振動が歪
まないようにする。この態様はミラー電圧を安定化できるが、複雑なRF信号およびパル
ス信号を必要とする。図15を参照すると、別の態様151において、イオンは静電セク
ター156を介してE−Trap内へ注入される。セクターは、イオン軌道が静電捕捉器
55のX軸158と整列するように、イオン軌道を曲げる。注入の後、セクター静電場を
切ってE−Trap内のイオン振動が歪まないようにする。イオンパケットの初期の時間
的拡散に対する要求事項が厳しくないことから、セクター静電場を、例えば90度など、
どのような簡便な角度で作ることもできる。セクターは、排気段階を個々に分離するため
の延長チャンネルの役目をする。本態様は許容m/z範囲の制約事項がある。図6を参照
すると、さらに別の態様161において、イオンはパルス偏向器167を介して注入され
る。軌跡は偏向器167によって誘導されてE−Trap165の対称なX軸に整列する
。パルス偏向器も許容m/z範囲の制約がある。
ある一群の態様では、内接半径rの小さいRF変換器(r=0.1〜3mm)を用いる
ことによって、X−Y平面の糸状イオンの半径寸法が小さくなる。細いイオンパケットは
小型化されたE−Trap(X方向で1〜10cm未満)と互換性が有り、より大きなE
−Trapを高分解能にする。m/z範囲を維持するために、RF場の周波数は1/rに
調整すべきである。このような小型変換器を以下の群の製造方法の一つによって製造して
もよい:(i)積層板の電気腐食またはレーザー切断、(ii)セラミックまたは半導体
塊を機械加工し、その後電極表面を金属化、(iii)電鋳法、(iv)伝導性制御のた
めに表面改質された半導体積層体の化学エッチングまたイオンビームによるエッチング、
および(v)セラミック製プリント回路基板技術。
別の態様(図示せず)では、注入手段は軸方向イオン放出を伴うRFイオン捕捉器を備
える。上記捕捉器はE−TrapのZ端近くに取り付けられ、X軸に対しわずかな角度傾
けられる。イオンは無静電場領域を介して捕捉器内へパルス注入される。本方法はm/z
の全範囲に対応するが、変換器の空間電荷能力の点では劣る。
図17を参照すると、さらに別の代わりの態様において、パルス変換器が静電イオンガ
イド171を備える。このガイドは電極172および電極173の平行な2つの列によっ
て形成される。各列は、交互に現れる2つの電極群172A、172B、および173A
、173Bを含む。隣接する電極の間隔は、好ましくはチャンネルのX幅より少なくとも
2倍小さい。ガイドの入口側には幅広の矢印174が付けられ、注入イオンビームの方向
も示す。ガイド171の出口側には必要に応じて反射器175が備えられる。切替電源1
76は、2つの等しくかつ反対の静電電位Uおよび−Uを電極172A、172B、およ
び電極173A、173Bへ空間的に交互な方法で供給し、それをイオン放出時に切り替
える。
作動中は、連続的に低速低発散イオンビームがイオンガイドの入口側から注入される。
好ましくは、ガイド上の電位Uは、伝播イオンビーム174のエネルギEと0.01U<
E/q<0.3Uの関連がある。空間的な交替電位は一連の弱い静電レンズを作り、これ
がイオンをチャンネル内に保持する。イオン保持は参照番号177で示す模擬実験のイオ
ン軌道によって説明される。イオンが間隙を満たしたら、電極群172Aおよび173B
上の電位は反対の極性に切り替えられる。これがチャンネルを横切る抽出静電場を作り、
電極173の間にイオンを放出することになる。本態様はRF場がないので、検出器電極
による抽出が不要となる。また、主振動高調波を検出するために、イオンパケットのX寸
法を延長することも可能になる。
図18を参照すると、別の態様181では、延長イオンパケットを分析E−Trap1
83へ注入するための等化E−Trap182が提案される。分析E−Trap183と
比較して、等化E−Trap182は等時性である不要がないため、X方向に少なくとも
2倍短く作られており、形状も単純である。好ましくは、準連続イオンビームが等化E−
TrapのZ端および電極184を介して注入される。好ましくは、電極184はX方向
に比較的長く作られてイオンのエネルギ拡散を最小にし、加速電位に設定される。線形R
Fイオンガイド186は継続時間が0.1〜1msの準連続イオンビームを発生する。イ
オンは電極184の開口185を介して注入され、X方向に沿って加速エネルギまで加速
される。周縁静電場およびZ方向の初期イオンエネルギの影響により、イオンは糸鋸で切
ったようなイオン軌道に沿って等化捕捉器内を伝播する。連続イオンビームは等化E−T
rapを満たし、全てのm/zのイオンはX間隔を均質に満たす。注入の後、連結ミラー
電極185の電位は降下して、イオンを等化E−Trap182から分析E−Trap1
83内へ通過させる。本方法は、全m/z成分について等しく伸長されたイオンパケット
を提供し、抽出信号を主振動高調波の正弦波にすべきスペクトル分析のFFTまたはFD
M方法を適用するときに役に立つ。
パルス変換器を接地できるようにするために、一態様は昇降電極を用いる。イオンパケ
ットが昇降空間を満たしたら、昇降電極の電位を上げて昇降器出口でイオンを加速する状
態にする。
直列質量分析計用のゲイン調整およびE−TRAP多重化
他の種類のMSと同様、新規なE−Trapは、中性物質の種々のクロマトグラフ分離
およびイオンの質量分析または移動度分離を伴う直列質量分析計に適する。
図19を参照すると、本発明の最も好ましい態様191は、連続的に接続されたクロマ
トグラフ192、イオン源193、第1の質量分析計194、断片化セル195、気体高
周波RFイオンガイド196、パルス変換器198、および円筒静電E−Trap199
を備え、円筒静電E−Trap199は像電流検出器200および飛行時間型検出器20
0Tを備える。捕捉器は、必要に応じてイオンの半径方向変位を修正するための環状19
9D電極を有する。E−Trapへ入るイオン束の変動が、象徴的な時間図197で示さ
れている。
クロマトグラフ192は、液体クロマトグラフ(LC)もしくは気体クロマトグラフ(
GC)、キャピラリ電気泳動(CE)、他の何らかの既知種類の合成物分離器、二次元G
C×GC、LC−LC,LC−CEのような種々の合成物分離段階を含む直列分離器のい
ずれかである。イオン源は先行技術のどのようなイオン源であってもよい。イオン源の種
類は分析アプリケーションに基づいて選択され、一例として、以下の一覧の1つでもよい
:エレクトロスプレイ(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、大気圧光イオン化
(APPI)、マトリックス支援レーザー脱離とイオン化(MALDI)、電子衝撃(E
I)、および誘導結合プラズマ(ICP)。第1の質量分析計MS1194は好ましくは
四重極であるが、イオン捕捉器、質量選択放出を備えるイオン捕捉器、磁気質量分析計、
TOF、または先行技術で既知の他の質量分離器でもよい。断片化セル195は好ましく
は衝突活性化解離セルであるが、電子脱離もしくは表面解離セル、準安定電子によるイオ
ン断片化用セル、または他の既知の断片化セルもしくはそれらの組合せでもよい。イオン
ガイド196はRFイオン閉じ込めを備える気体充填多極、または他の既知のイオンガイ
ドでもよい。好ましくは、RFガイドは静電捕捉器のイオンパルス変換器に適合するよう
直線である。変換器198は、好ましくは図12および図13に示す半径方向放出を備え
る線形RF装置であるが、図4〜18に示したどの変換器でもよい。静電捕捉器199は
、好ましくは図13に説明した円筒型捕捉器であるが、図2の平面捕捉器、図4Aに示し
た円筒型セクター捕捉器42、43もしくは44、または図4に示した何らかの他のE−
Trapでもよい。この具体的実施例では、静電捕捉器は第2段の質量分析計MS2とし
て用いられる。検出手段は、好ましくは単一チャンネルデータ取得システムを備える一対
の異なる検出器であるが、多重のデータシステムとしてZ方向またはX方向のどちらかに
分割された複数の検出器部、または必要に応じて像電荷検出器と組み合わせて用いられる
飛行時間型検出器を備えてもよい。
LC−MS−MSおよびGC−MS直列は、主要ハードウェア構成要素の同期化および
可変信号強度の採用など、静電捕捉器に関する複数の要求事項を暗示する。イオン源から
のイオン束は時間と共に変化する。クロマトグラフの一般的なピーク幅は、LCの場合は
5〜15秒、GCの場合は約1秒、GC×GCの場合は20〜50msである。新規なE
−Trapの取得速度はR=100,000で最大50〜100スペクトル/秒になるこ
とが期待され、これは一般的なクロマトグラフの要求事項を越えるが、複数の先行例の直
列MSまたはほぼ共溶出した成分の時間解析のどちらかには必要である。
MS−MS分析には、以下を含む複数の方法を用いることができる:(a)元質量およ
び個々のMS−MS段階の継続時間が元質量スペクトルを基にして選択されるデータ依存
分析、(b)MS1走査が分解能500で、1秒で行われMS2が分解能10,000の
E−Trap内で行われるなど、高取得速度での全質量MS−MS分析、(c)元イオン
質量および充填時間が、適度な分解能の全質量MS−MS分析に基づく高分解能分析向け
に選択されるデータ依存分析。
クロマトグラフのピークが弱い間は、装置の感度は増幅器の雑音および比較的短い取得
時間によって制約を受ける。クロマトグラフピークが弱い溶出の間は捕捉器充填時間およ
びデータ取得時間を増やす一方、合成物濃度の最終判定時にこのような調整を考慮するの
が有利である。イオン充填および信号取得の継続時間は、GC分離速度に影響する前に最
大10倍までの延長ができ、LC分離速度に影響する前に最大50〜100倍までの延長
ができる。
E−Trap運転のゲイン調整の好ましい一方法は、LC−MSおよびGC−MS分析
に最適である。本方法は以下の工程を含む:可変イオン束をイオンガイド196内へ注入
する;イオンガイドから変換器内への瞬間イオン電流Iを測定する;変換器を初期設定
目標数の電荷N=I ×/eで充填するために、変換器内へのイオン流の継続時間
を調整する;上記イオンを変換器から静電捕捉器199内へ注入する;静電捕捉器内
のデータ取得時間をTに等しくし、充填時間に関する情報をスペクトルファイルに添付
する;その後次の時間工程へ進む。次に質量分析信号は、記録した信号および充填時間の
説明と共に再構築される。変換器へ入るイオン電流は、伝達光学系の電極の上などで測定
できる。代わりに、イオン電流は、先のスペクトルの信号強度を基にして測定できる。充
填時間を数値化するために、電荷Nの目標数の初期値を広い範囲から設定できる。一実
施例として、充填時間を工程ごとに2倍変化させることができる。充填時間Tを設定す
るために追加の基準を採用してもよい。例えば、最小取得時間をクロマトグラフの分解能
を最少にするように設定することができる。最大取得時間を十分なクロマトグラフ分解能
を維持するように設定することができる。電荷Nの目標数の初期値の選択は、用いたイ
オン源の平均信号強度、試料の濃度、およびアプリケーションの他の複数のパラメータを
考慮することが期待される。代わりに、イオン充填時間を周期的に変えて、データ分析段
階の信号組から選ぶことができる。
図5に示したE−Trap多重化を用いると、直列分析をさらに改良できる。提案され
た多重化は、複数の整列されたスリット組を同一の電極組内に作って、個々のE−Tra
pに相当する複数の体積を形成することによって形成される。これによって、同一真空チ
ャンバおよび同一電源組を共有する多重化E−Trapを経済的に製造できる。E−Tr
ap多重化は、好ましくはパルス変換器の多重化によって達成される。次に複数のイオン
源からのイオン流もしくは短い時間流をパルス変換器間で多重化できる。一方法では、複
数のE−Trapの質量較正および/または感度較正の目的のために較正流が用いられる
。具体的な一態様53では、同じ流れが複数のE−Trap間で回転多重化される。
一方法では、複数の静電捕捉器は、好ましくは並行運転されて同一イオン流を分析する
。その目的は、空間電荷能力、分析の分解能、および静電捕捉器のダイナミックレンジを
さらに強化するためである。E−Trap多重化により取得時間の延長および分解能の改
善ができる。別の方法では、強度可変のイオン源からまたはS1もしくはIMSから来る
異なる短時間の同一イオン流に複数の静電捕捉器が用いられる。主イオン流の時間片は、
時間依存の方法またはデータ依存の方法で複数の静電捕捉器の間で流用される。この時間
片は多重化された変換器内に蓄積され、単一電圧パルスと共に平行静電捕捉器内に同時に
注入される。この並行分析を、較正目的のイオン源も含む複数のイオン源に用いてもよい
。また、別の方法では、一組の静電捕捉器での多重化分析は、先にイオン流をm/z片ま
たはイオン移動度片に粗く質量分離する工程と結合され、m/z範囲がさらに狭い下位流
を形成する。これによって、雑音レベルが大きく低減された狭帯域幅増幅器を使用できる
ようになり、この方法は検出限界を最終的に単一イオンまで改善する。
E−TRAP内の質量選択
イオンパケットは、数千の振動の間いつまでも静電イオン捕捉器内に閉じ込められ、振
動数は残存気体に関する散乱および検出イオンシステムへのイオン運動の結合に起因する
低速の損失によって制約を受ける。本発明の一方法では、微弱な周期的信号が捕捉器電極
に印加され、そのため信号周波数とイオン運動周波数の間の共鳴が、特定のイオン成分の
除去、切り欠き波形による個々のイオン成分の選択、イオン振動体積から飛行時間型検出
器上もしくは断片化面内への共鳴イオン放出を伴う質量分析、またはE−Trap領域間
の通過に利用できる。対象とする成分は毎周期歪む一方、空間成分の一時的な重複はわず
かしか歪まない。小さな歪みを選び多周期にわたってその歪みを蓄積すると、イオン除去
/選択の中に鋭い共鳴が現れる。X運動、Y運動、またはZ運動の励起には、複数電極を
無静電場領域で用い、特定イオン成分のイオンパケット通過タイミングに正確に一致する
周期的に偏向/加速する短い糸状のパルスを適用するのが好ましい。Z方向の共鳴励起は
最も好ましい。振動周波数に影響しないからである。Z端の電位障壁は微弱で(1〜10
eV)、励起パルスがZ幅の一部に印加されるとすると、特定のm/z範囲の全てのイオ
ンを最終的にZ障壁経由で放出するには励起は弱い。
図20を参照すると、MS−MS法の一実施例は、静電捕捉器にMS−MSの機会を用
いる。静電捕捉器内のイオン選択は、好ましくは静電捕捉器201の表面202上の表面
誘起解離を伴う。このような表面の最適位置はイオンミラー内のX方向にあるイオン反射
の領域にあり、このときイオンは適度のエネルギを有する。大多数のイオン振動の間の静
電場歪みを防止するため、表面202を静電捕捉器201のZ端203に配置してもよい
。この表面は好ましくは微弱なZ障壁を越えて配置され、例えば電子くさび204によっ
て形成される。イオン選択は電極205に印加された同期した糸状パルスによって実現さ
れる。関心質量をもつイオンはZ方向に励起を蓄積し、Z障壁を通過する。主イオンが表
面に衝突するとイオン断片を形成し、断片は加速されて静電捕捉器内へ戻る。好ましくは
、断片化平面の反復衝突を避けるため、偏向器206が用いられる。本方法は特に、複数
の静電捕捉器を使用し各捕捉器が比較的狭い質量範囲のイオンを処理する場合に適する。
好ましい態様を参照して本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲に記載の本発
明の範囲から逸脱することなく形状および細部の種々の変形例が可能であることは同業者
には明らかである。
米国特許第4072862号 米国特許第4731532号 ソ連特許第1725289号 国際公開第WO05/001878号 英国特許第2080021号 米国特許第5017780号 米国特許第6300625号 米国特許第6013913号 米国特許第5880466号 米国特許第6744042号 米国特許第5886346号 国際公開第WO09/001909号
Wollnik et al in Rapid Comm. Mass Spectrom., v.2 (1988)#5, 83-85 Shing-Shen Su Int. J. Mass Spectrom. Ion Processes, v.88 (1989) 21 -28 Satoh et al, J. Am. Soc. Mass Spectrom., v. 6 (2005)1969-1975 Zajfman et al Anal, Chem, v.72 (2000)4041-4046 Makarov el al, JASMS, v.20, 2009, No.8, 1391-1396 Makarov et al JASMS 17 (2006)977-982 Anal. Chem. v.72 (2000)1156-1 162 Aizikov et al in JASMS 17 (2006)836-843

Claims (37)

  1. イオンパケットを捕捉するための等時性静電捕捉器と、
    イオン振動周波数を検出するための像電流検出器と、
    イオン選択電極であって、当該イオン選択電極でのイオン選択は当該イオン選択電極へ印加される周期的な一連のパルスの印加によって達成される、イオン選択電極と、
    表面誘起解離のための面であって、前記静電捕捉器の第1のZ端か又は前記静電捕捉器の第2のZ端のどちらかに隣接している前記電極のうちの1つの電極内に存在する面と、
    を備えているMS−MS分析のための静電捕捉器において、
    前記等時性静電捕捉器は、無場領域によって隔てられた電極から成る少なくとも2つの平行な電極組を備え、前記電極組と前記無場領域はZ方向に前記第1のZ端から前記第2のZ端へ延ばされており、前記Z端同士は等時性に配列されている、
    MS−MS分析のための静電捕捉器。
  2. 前記周期的なパルスは或る特定のイオン成分の振動時間に合わせて設定された期間を有している、請求項1に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  3. 前記静電捕捉器は平面状の静電捕捉器か又は円筒状の静電捕捉器のどちらかを備えている、請求項1に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  4. 前記Z端は、Z偏向電極と、補助的なくさび電極か又は捕捉器ミラー電極の局所的幾何学歪みのどちらかによる前記静電捕捉器の二次元場の弱い歪みと、を備える組み合わされた作用によって等時性に配列されている、請求項1に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  5. 前記静電捕捉器は少なくとも1つの補助的な電極を更に備えており、前記静電捕捉器は、前記Z方向に、イオン振動の等時性を維持しながらも少なくとも1つのイオン振動体積を少なくとも1つの断片化体積から分離するように配列されている弱い電位バリアを備えており、前記表面誘起解離のための面は前記断片化体積内に設けられており、前記補助的な電極がイオン運動を前記Z方向に偏向させる又は励起する、請求項1に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  6. 前記無場領域内に存在する偏向器であってイオンを前記面の反復的打ち付けの経路から偏向させるように配列されている偏向器を更に備えている請求項1に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  7. 複数の静電捕捉体積を更に備えている請求項1に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  8. 振動イオンパケットを静電イオン捕捉器内に閉じ込める段階であって、当該閉じ込めが結果的に前記静電イオン捕捉器の振動空間内での反復的イオンパケット振動を生じさせることになる、閉じ込める段階と、
    前記振動イオンパケットから、前記振動空間からの射出のためのイオンを選択する段階であって、当該選択されたイオンは断片化面へ射出されることになる、イオンを選択する段階と、
    前記選択されたイオンを断片へ断片化する段階と、
    前記断片を加速して前記静電イオン捕捉器の前記振動空間の中へ戻す段階と、を備えているMS−MS分析のための方法において、
    前記静電イオン捕捉器は少なくとも2つの平行な電極組を備えており、前記イオン断片化の段階は前記静電イオン捕捉器の前記電極のうちの1つの電極内の前記振動空間の外に存在する前記断片化面にて起こる、MS−MS分析のための方法。
  9. 前記静電イオン捕捉器は、前記振動空間の外に存在する偏向器であって前記断片を加速して前記静電イオン捕捉器の前記振動空間の中へ戻す前記段階を達成するべくイオンを偏向させるように配列されている偏向器を備えている、請求項8に記載の方法。
  10. 周期信号が前記電極へ印加される、請求項8に記載の方法。
  11. 前記周期信号は前記電極へ印加され当該周期信号と前記振動イオンパケットの周波数の間に共鳴を引き起こして前記イオン選択の段階を達成させる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記静電イオン捕捉器は前記振動空間内に存在する1つ又はそれ以上の励起電極を備えており、イオンを偏向させる又はイオンを加速するための一連の周期的な短いパルスが少なくとも1つの励起電極又は前記1つ又はそれ以上の励起電極へ印加される、請求項8に記載の方法。
  13. 前記1つ又はそれ以上の励起電極は前記イオンのZ方向への共鳴励起を提供する、請求項12に記載の方法。
  14. クロマトグラフ、
    前記クロマトグラフの下流に配列されている第1の質量分析計、
    前記第1の質量分析計からのイオンを断片化するための断片化セル、
    直線状のZ方向又は湾曲したZ方向に引き伸ばされたパルス変換器、
    像電流検出器と飛行時間検出器のうちの少なくとも一方を備える直線状のZ方向又は湾曲したZ方向に引き伸ばされた静電捕捉器、
    を備えている質量分析法装置であって、
    前記断片化セルは、表面誘導解離のための面であって前記第1の質量分析計のイオン振動領域に隣接して存在する面を備えている、質量分析法装置。
  15. 前記Z方向は前記静電捕捉器が円筒状の静電捕捉器を備えるように湾曲している、請求項14に記載の装置。
  16. 前記円筒状の静電捕捉器は当該円筒状静電捕捉内の半径方向イオン変位を補正するように配列されているリング電極を更に備えている、請求項15に記載の装置。
  17. 順次的に前記クロマトグラフと前記第1の質量分析計の間に配列されているイオン源を更に備えている請求項14に記載の装置。
  18. 前記イオン源は、次の群、即ち、
    (i)エレクトロスプレイ、
    (ii)大気圧化学イオン化、
    (iii)大気圧光イオン化、
    (iv)マトリックス支援レーザー脱離及びイオン化、
    (v)電子衝撃、及び、
    (vi)誘導結合プラズマ、
    のうちの1つを備えている、請求項17に記載の装置。
  19. 順次的に前記断片化セルと前記パルス変換器の間に配列されている気体高周波イオンガイドを更に備えている、請求項14に記載の装置。
  20. 前記クロマトグラフは、次の群、即ち、
    (i)液体クロマトグラフ(LC)、
    (ii)ガスクロマトグラフ(GC)、
    (iii)キャピラリ電気泳動分離器(CE)、及び、
    (iv)GCxGC、LCxLC、又はLCxCEの様なタンデム型クロマトグラフ、
    のうちの1つを備えている、請求項14に記載の装置。
  21. 前記第1の質量分析計は四重極質量分析計である、請求項14に記載の装置。
  22. 前記第1の質量分析計は前記イオン振動領域内に存在する1つ又はそれ以上の励起電極を備えており、イオンを偏向させる又はイオンを加速するための一連の周期的な短いパルスが少なくとも1つの励起電極又は前記1つ又はそれ以上の励起電極へ印加される、請求項14に記載の装置。
  23. 前記装置によって生成されるMS−MSデータは、次の群、即ち、
    (i)親質量及び個々のMS−MS段の継続時間が親質量スペクトルに基づいて選択されるというデータ依存分析、
    (ii)高取得速度での全質量MS−MS分析、及び、
    (iii)親イオン質量及び充填時間が高分解能分析のために中分解能での全質量MS−MS分析に基づいて選択されるというデータ依存分析、
    のうちの少なくとも1つの戦略を使用して分析される、請求項14に記載の装置。
  24. 前記静電捕捉器は、引き伸ばされた体積のアレイを形成している複数組の引き伸ばされたスリットを有する分析部電極の組を備えており、前記体積の各々は前記Z方向に延ばされたX−Y平面内二次元静電場を形成している、請求項14に記載の装置。
  25. 前記静電捕捉器及び前記パルス変換器はどちらも多重化されており、前記装置は前記多重化されたパルス変換器間に多重化されている複数のイオン源を更に備えている、請求項14に記載の装置。
  26. 可変イオン束をイオンガイドの中へ入射させる段階と、
    前記イオンガイドから少なくとも1つの変換器の中への瞬時的なイオン電流を測定する段階と、
    前記少なくとも1つの変換器の中へのイオン流れの継続時間を、当該少なくとも1つの変換器を事前に設定されている目標数の電荷で満たすために調節する段階と、
    前記少なくとも1つの変換器から少なくとも1つの静電捕捉器の中へイオンを射入する段階と、
    前記少なくとも1つの静電捕捉器内のデータ取得時間を前記イオン流れの継続時間に等しく調節する段階と、
    を備えている静電捕捉器作動の利得調節の方法。
  27. 前記少なくとも1つの静電捕捉器は、単一イオン流に関して並行に作動する複数の静電捕捉器を備えている、請求項26に記載の方法。
  28. 前記少なくとも1つの静電捕捉器は、単一イオン流の異なったタイムスライス(time slices)について作動する複数の静電捕捉器を備えている、請求項26に記載の方法。
  29. 前記異なったタイムスライスは複数の多重化された変換器内に蓄積され、各多重化された変換器は複数の第2段並行静電捕捉器の中への同時射入のための単一電圧パルスを受信する、請求項28に記載の方法。
  30. MS−MS分析のための静電捕捉器において、
    無場領域によって隔てられた電極から成る少なくとも2つの平行な電極組であって、当該電極と当該無場領域はZ方向に前記静電捕捉器の第1のZ端から前記静電捕捉器の第2のZ端へ延ばされている、少なくとも2つの平行な電極組と、
    表面誘導解離のための面であって前記第1のZ端と前記第2のZ端のうちの一方に隣接している前記電極のうちの1つの電極内に存在する面と、
    イオン選択電極であって、当該イオン選択電極でのイオン選択は当該イオン選択電極へ印加される一連のパルスの印加によって達成される、イオン選択電極と、
    を備えているMS−MS分析のための静電捕捉器。
  31. 前記無場領域内に存在する偏向器であってイオンを前記面の反復的打ち付けの経路から偏向させるように配列されている偏向器を更に備えている請求項30に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  32. 周期信号が前記電極へ印加される、請求項30に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  33. 前記周期信号は前記電極へ印加され当該周期信号とイオン運動周波数の間に共鳴を引き起こして前記面で捕集されるイオンが選択されるようにする、請求項32に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  34. 前記静電イオン捕捉器は前記無場領域内に存在する1つ又はそれ以上の励起電極を更に備えており、イオンを偏向させる又はイオンを加速するための一連の周期的な短いパルスが少なくとも1つの励起電極又は前記1つ又はそれ以上の励起電極へ印加される、請求項30に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  35. 前記1つ又はそれ以上の励起電極は前記イオンの前記Z方向への共鳴励起を提供する、請求項34に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  36. 前記一連のパルスは周期的なパルスを備えている、請求項30に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
  37. 前記周期的なパルスは或る特定のイオン成分の振動時間に合わせて設定された期間を有している、請求項36に記載のMS−MS分析のための静電捕捉器。
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