JP4645424B2 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は飛行時間型質量分析装置に関し、さらに詳しくは、複数の扇形電場を用いてイオンを周回飛行させる軌道を有する飛行時間型質量分析装置に関する。
一般的に、飛行時間型質量分析装置では、電場により一定の運動エネルギーを付与したイオンを所定の飛行距離を持つ飛行空間に導入し、検出器に到達するまでの飛行時間に応じて各種イオンを質量(厳密には質量電荷比m/z)毎に分離して検出する。或る質量差を有する二種類のイオンに対する飛行時間の差は飛行距離が長いほど大きくなるから、高い質量分解能を得るためには飛行距離を長くすればよい。しかしながら、装置のサイズ等の物理的な制約によって、従来のリニア型やリフレクトロン型の構成では飛行距離を伸ばすのに限界がある。
こうした問題を解決するために、近年、多重周回型の構成が提案されている。例えば特許文献1に記載の装置では、複数のトロイダル型扇形電場を用いて長円形の周回軌道を形成し、この軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を長くしている。こうした構成では、イオンが周回軌道を周回する回数が多いほど飛行距離が長くなり、それに伴って飛行時間も全体として長くなるため周回数を多くするほど質量分解能が向上する。しかしながら、上記のように同一の軌道を繰り返し飛行させる構成では、質量の小さなイオンほど速い速度を有するため、周回を繰り返す間に質量の小さなイオンが周回遅れを生じた質量の大きなイオンに追いついたり追い越したりしてしまう。
そこで、こうした問題を避けるために、同一軌道ではなく周回毎に軌道を徐々にずらして螺旋状の飛行軌道を形成する構成が、特許文献2で提案されている。この装置では、6つの扇形電場を連ねることで正六角形状に周回可能な飛行空間を形成し、隣接する2つの扇形電場の間に偏向電場を設け、その偏向電場によって、通過するイオンを扇形電場の軸方向に徐々にずらすようにしている。このようにイオン軌道を螺旋状とすると、各周回毎にイオンの到達位置が少しずつ扇形電場の軸方向にずれるため、扇形電場の所定位置からイオンを出射させて検出器に導くと、所定回数だけ周回したイオンを検出器に導入することができる。
しかしながら、上記従来の構成により飛行軌道を扇形電場の軸方向にずらす場合、各周回毎に偏向電場形成用の1組の平行平面電極を必要とするため、周回数Nに応じてN−1組の平行平面電極を必要とすることになる。そのため、飛行距離を伸ばすべく周回数Nを大きくするほど構造が複雑になる。また、構造を簡単にするために偏向方向に1組のみの平行平板電極を配置して偏向電場を形成するようにしてもよいが、こうした構造では十分な電場強度が得られず電場の形状(等電位線)も乱れるために、イオンが理想通りに偏向せずに性能の低下につながる。
特開平11−195398号公報 特開2003−86129号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、複数の扇形電場を用いて周回軌道を形成する飛行時間型質量分析装置において、構造を簡単化しつつイオンを良好に偏向させることで十分な質量分離性能を確保することができる質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンを周回飛行させるようにイオンの飛行経路に沿った複数の扇形電場を形成する複数の扇形状円筒電極を含むイオン光学系を具備する飛行時間型質量分析装置において、
前記複数の扇形電場の中で隣接する2つの電場の間に、通過するイオンの軌道を前記扇形状円筒電極の扇形の中心軸方向にずらす偏向磁場を形成する磁場形成手段を備えることを特徴としている。
本発明の一実施態様として、前記磁場形成手段は、イオンの飛行経路を挟んで対向して互いに平行に配置された一対の平面磁極により成るものとすることができる。
周回軌道に導入されたイオンが磁場形成手段により形成される偏向磁場中に入ると、荷電粒子であるイオンは磁場によるローレンツ力を受け、これにより扇形状円筒電極の扇形の中心軸方向(以下、単に「中心軸方向」という)にずらされる。例えば磁場形成手段が上記のように平行平板磁極から成る場合、両磁極間での磁場の強さはほぼ均一である(つまり位置による強弱がない)から、通過するイオンは中心軸方向の位置に依らずほぼ同じ量だけずれる。そして、偏向磁場を通過する毎に中心軸方向にほぼ同じ量だけ徐々にずらされ、螺旋状の飛行軌道が形成されることになる。
また本発明の他の実施態様として、前記磁場形成手段は、イオンの飛行経路を挟んで対向して前記中心軸方向に沿って離間距離が一様に変化するように配置された一対の平面磁極により成る構成としてもよい。
一対の平面磁極の離間距離が大きいほどその位置において通過するイオンに作用するローレンツ力は小さくなる。したがって、上記構成では、中心軸方向の位置によってイオンのずれ量が変わる。これにより、例えば、周回軌道上で質量によるイオンの位置に差があまりない飛行軌道への導入直後の周回では中心軸方向のずれ量を小さくすることで周回数をできるだけ多くし、質量によるイオンの位置に差がついて分離された後に中心軸方向のずれ量を大きくして迅速に検出器に到達できるようにすることができる。
また、偏向磁場中で軌道が中心軸方向に曲げられたイオンは該磁場を出て次の扇形電場に入射する際に先に軌道が曲げられた状態を維持するため、扇形電場内でのイオンの飛行軌道は中心軸方向に直交する面内とはならない。扇形電場内では中心軸方向の収束性がないため、扇形電場内で中心軸方向に斜交する面内に飛行軌道が形成されると、同一質量のイオンが中心軸方向に拡がり易くなる。そのため、扇形電場内でのイオンの飛行軌道は中心軸方向に直交する面内とするほうが好ましい。
そこで、本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、複数の異なる隣接扇形電場間にそれぞれ前記偏向磁場が形成され、その両偏向磁場によるイオンの偏向方向が軸方向に沿って互いに反対向きである構成とするとよい。
この構成によれば、1つの偏向磁場中で軌道が軸方向に曲げられたイオンは次の偏向磁場により先に曲げられたのと反対方向に曲げられる。したがって、両偏向磁場中での軸方向のずれ量を等しくしておけば、2番目の偏向磁場を通過したイオンの軌道は軸方向に直交する面内となり、少なくとも2番目の偏向磁場を通過した直後の扇形電場内での軸方向のイオンの拡がりを回避することができる。
また本発明に係る飛行時間型質量分析装置においてより好ましくは、隣接する2つの扇形電場の間に形成された偏向磁場はイオンの飛行経路に沿って分割された第1偏向磁場と第2偏向磁場とを含み、その両偏向磁場によるイオンの偏向方向が軸方向に沿って互いに反対向きである構成とするとよい。
この構成によれば、第1偏向磁場中で軌道が軸方向に曲げられたイオンは第2偏向磁場により直前に曲げられたのと反対方向に曲げられる。したがって、両偏向磁場中での軸方向のずれ量を等しくしておけば、第2偏向磁場を通過したイオンの軌道は軸方向に直交する面内となり、実質的な軸方向のずれ量は第1偏向磁場出口と第2偏向磁場入口との間の距離に応じたものとなる。これにより、全ての扇形電場内でイオンの軌道は軸方向に直交する面内となり軸方向のイオンの拡がりを回避することができる。
なお、前記磁場形成手段は永久磁石又は電磁石のいずれでもよいが、磁場強度可変である電磁石とすれば、磁場強度を変化させることで1周当たりのイオンの偏向量を任意に変えることができる。これにより、例えば、短時間で測定を行うには磁場強度を大きく、また時間を掛けて高い質量分解能を得たい場合には磁場強度を小さくするというように、目的や試料の種類等に適した様々な測定が可能となる。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置によれば、従来のようにイオンを軸方向にずらすために軸方向に多数組の電極を配置する必要がなく構造が簡単で済む。また、簡単な構造でありながら磁場を均一にすることで周回毎のイオンの軸方向のずれ量を揃えることができるので、設計通りの性能を得易い。さらにまた、偏向磁場を形成するための平板磁極がイオンの偏向方向に位置しないので、こうした磁極や電極が障害とならずに前述のように1周回当たりのイオンの偏向量を任意に決めることができる。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置の一実施例(第1実施例)について図面を参照して説明する。図1は本実施例の飛行時間型質量分析装置の飛行空間を中心とする要部の概略構成図である。図1(a)は飛行空間10を上方から見た状態、図1(b)は図1(a)中に示したA−A’間の空間内のイオンの飛行軌道を側方から見た図である。図1(a)及び(b)では、X、Y、Zの三軸が互いに直交する三次元座標を図中に示すように考えるものとする。
この実施例の飛行時間型質量分析装置において、飛行空間10にはイオン光学系として、Y軸方向の同軸の二重円筒体をY軸方向に半分に切断した扇形状の内側電極11b、12bと外側電極11a、12aとを一対とする円筒電極11、12が、図示するようにZ軸方向に所定間隔離して配置されている。図示しない電圧発生回路からこの円筒電極11、12に所定の電圧が印加されることにより内側電極11b、12bと外側電極11a、12aとで挟まれる空間にそれぞれ扇形電場E1、E2が形成され、この扇形電場E1、E2内ではイオンは図1(a)に示すように半円形状に湾曲して飛行する。また、両円筒電極11、12の間の空間ではイオンは扇形電場E1、E2の影響を殆ど受けることなく、ほぼ直線的に飛行する。したがって、扇形電場E1、E2の作用により、イオンの中心軌道は図1(a)中にPで示すようになる。
上記のような飛行軌道にイオンを入射するための入射側ゲート電極13と上記飛行軌道からイオン離脱させるための出射側ゲート電極14とは、円筒電極11、12の間の空間にあってイオンの飛行軌道を挟むように上下に、つまりY軸方向に離して配置されている。そして、イオン源1から出射されたイオンは入射側ゲート電極13を通って上記飛行軌道に乗せられ、一方、飛行軌道から出射側ゲート電極14を経て離脱したイオンは検出器2に導入されてイオン量に対応した電気信号に変換される。
円筒電極12の出口端と円筒電極11の入口端と間の直線的な飛行軌道部には、イオンを扇形電場E1、E2を形成する円筒電極11、12の中心軸方向(Y軸方向)にずらすための偏向磁場B1を形成するために、イオンの中心軌道Pを挟んでX軸方向に平行に離された二枚の平板磁極(一方がS極で他方がN極)15a、15bから成る磁場形成手段15が設けられている。図2はこの磁場形成手段15の概略斜視図である。
次に、本実施例の飛行時間型質量分析装置において、飛行空間10内でのイオンの飛行状態について説明する。図1(b)に示すように、イオン源1から出射されたイオンは入射側ゲート電極13により略垂直に屈曲されて扇形電場E2に入射する。このときの軌道は、Y軸に直交する面に乗っている。そして、扇形電場E2を通過して偏向磁場B1に入射する。このときの偏向磁場B1内でのイオンの挙動は次のようになる。
いま、X、Y、Z三次元座標におけるベクトルを↑を付けて記述することとする。つまりaのベクトルをa↑で示す。偏向磁場B1での磁場の強さをB↑=(Bx,0,0)、飛行するイオンが持つ電荷をq、このイオンの速度をV↑=(Vx,Vy,Vz)とするとき、偏向磁場B1を通過する際にイオンが受ける力、つまりローレンツ力F↑は次のようになる。
F↑=q・V↑・B↑=(0,qVzBx,0)
即ち、イオンは、Fy=qVzBx、の力のみを受け、この方向はY軸方向(中心軸方向)である。この力により、図3に示すようにZ軸方向に入射して来たイオンは磁場がない場合にとり得る軌道P1を外れてY軸方向(下方向)に屈曲された軌道P2に沿って進む。したがって、この偏向磁場Bを通過した時点ではY軸方向に所定距離だけずれることになる。
図4は、質量(m/z)に対するY軸方向の偏向量(y=10,50,100,200,500mm)に到達するまでの所要時間Tをシミュレーションにより算出した結果を示す。条件は、偏向磁場B1の強さが10ガウスであり、該磁場の領域がZ軸方向に100mm、Y軸方向に600mmのサイズを有する場合である。また、イオンの初期の運動エネルギーは4.5eVである。図4で明らかなように特定の偏向量yに到達するまでの所要時間は質量に依存している。そして、この所要時間は磁場の強さ、磁場領域の長さ(Z軸方向のサイズ)により調節が可能である。また、上記実施例の構成では、磁場領域の長さは平板磁極15a、15bにより一定であり、平板磁極15a、15bが永久磁石であれば磁場の強さも一定であるので、質量に依存して偏向量が決まることになる。
即ち、前述のようにイオンは2つの扇形電場E1、E2の作用により、図1(a)中にイオン軌道Pで示すように周回するが、1周回中に1回、偏向磁場B1を通過する間に質量に応じた量だけY軸方向にずらされ、それによって進行方向がY軸方向に傾いた状態で順次周回を繰り返す。そのため、図1(b)に示すように周回毎に傾きが大きくなりながら螺旋状に周回し、最終的に、出射側ゲート電極14に到達してイオン軌道Pから離脱されて検出器2へと送られる。
以上のようにして、本実施例の飛行時間型質量分析装置では、偏向磁場を利用してイオンをY軸方向にずらすことにより螺旋状の周回軌道を形成し、長い距離を飛行させたイオンを検出している。前述のように質量に応じて偏向量が異なり、質量が小さなイオンほど偏向量は大きい。したがって、質量が小さいイオンでは出射側ゲート電極14に到達するまでの周回数が相対的に少なく、質量が大きいイオンでは周回数が相対的に多くなる。偏向量が相違するために質量の相違するイオンの飛行軌道は互いに交差するが、質量が小さなイオンは質量が大きイオンよりも早く進むため、同時に入射したイオンが途中で混じり合うことはなく、イオン源1を出射してから検出器2に到達するまでの飛行時間によってイオンを質量毎に分離して検出することができる。
図5は本発明の他の実施例(第2実施例)による飛行時間型質量分析装置の飛行空間を中心とする要部の概略構成図である。この実施例の構成では、円筒電極12の出口端と円筒電極11の入口端と間の直線的な飛行軌道部に偏向磁場B1を形成するための第1磁場形成手段15が設けられているのに加え、円筒電極11の出口端と円筒電極12の入口端と間の直線的な飛行軌道部にも偏向磁場B2を形成するために、イオンの中心軌道Pを挟んでX軸方向に平行に離された二枚の平板磁極16a、16bから成る第2磁場形成手段16が設けられている。
そして、第2磁場形成手段16による偏向磁場B2は第1磁場形成手段15による偏向磁場B1と磁場の方向が逆向き、つまりS極とN極とが反対になっている。これにより、偏向磁場B2を通過するイオンに対して上述したようにY軸方向のローレンツ力が作用するが、その力の向きは偏向磁場B1を通過する際に作用する力とは逆向きになっている。また、磁場の強さやZ軸方向の磁場領域の長さは同一であり、そのため、両磁場B1、B2中における偏向量の絶対値は等しい。したがって、図6に示すように、偏向磁場B1でY軸方向に沿った下方向に所定の偏向量だけずらされて進むイオンは、偏向磁場B2でY軸方向に沿った上方向に同じ偏向量だけずらされるため、偏向磁場B2を出た時点でイオン軌道はY軸に直交する面内となる。これにより、扇形電場E2内ではイオンはY軸に直交する面内で進み、Y軸方向のイオンの拡がりを避けることができる。
但し、第2実施例の構成では、もう1つの扇形電場E1内ではイオンはY軸に直交する面内でなくY軸に斜交する面内で進み、扇形電場E1(E2も)はY軸方向の収束性を有さないため、同一質量のイオンがY軸方向に拡がってしまうおそれがある。そこで、本発明に係るさらに他の実施例(第3実施例)による飛行時間型質量分析装置では、図7に示すように、第1実施例における磁場形成手段15をZ軸方向に2つに分離し、平行な平板磁極151a、151bと152a、152bとから成る第1磁場形成手段151と第2磁場形成手段152とを適宜離して設けている。
この構成でも、上記第2実施例と同様に、第1及び第2磁場形成手段151、152により形成される偏向磁場B11、B12によってイオンに作用するローレンツ力の作用方向は、Y軸方向に沿って互いに反対向きである。したがって、第2磁場形成手段152を通過した時点でイオン軌道はY軸に直交する面内となる。第2実施例と異なる点は、この第3実施例では、第1偏向磁場B11と第2偏向磁場B12とが共に同じ直線的な飛行軌道部上に形成されているため、扇形電場E1、E2のいずれにおいてもその電場中でイオンはY軸に直交する面内で進み、Y軸方向のイオンの拡がりを避けることができる。但し、この構成では、イオンが周回する毎のY軸方向のずれ量は第1偏向磁場B11と第2偏向磁場B12との間の離間距離により決まるから、これを適宜に定める必要がある。
上記第1乃至第3実施例では、磁場形成手段はいずれもX軸方向に離れた互いに平行な平板磁極により構成されていた。即ち、図8はイオンの入射方向から磁場形成手段を見た概略図であるが、図8(a)に示すように2枚の平板磁極15a、15bが配置され、その間にY軸方向に均一である偏向磁場B1が形成されている。したがって、偏向磁場B1の強さが不変であれば、同一質量を持つイオンの偏向量はどの位置でも同一である。
これに対し、例えば図8(b)に示すように、2枚の平板磁極17a、17bを非平行、具体的にはイオンの偏向方向に向かうに従い離間距離が小さくなるように逆ハ字状に配置した構成とすることもできる。両磁極の離間距離が小さいほどその間の磁場は強いから、図8(b)の構成の場合、偏向磁場B1’はY軸方向に沿って下に向かうほど磁場が強くなる。磁場が強いとイオンに作用するローレンツ力が大きいため、偏向量も大きくなる。これにより、飛行軌道に入射したイオンは当初は相対的に小さな偏向量を与えられ、進むに従い偏向量が大きくなってゆく。このように周回毎に徐々に偏向量が大きくなるため、質量の異なるイオンが十分に分離されていない間は周回数をできるだけ多く確保して質量の相違に応じたイオンの分離を促進させ、イオンが分離した後には偏向量を大きくして迅速に出射側ゲート電極の位置まで誘引して測定時間が長引くことを回避することができる。
このように平板磁極を意図的に非平行に配置してもよい。さらにまた、磁極は平面平板形状でなく曲面形状であってもよい。但し、偏向磁場内での磁場の方向がX軸方向でない成分を持ち、それ故に、イオンに作用するローレンツ力もY軸方向でない成分を持つことになる。その結果、イオンの挙動がより複雑になる点に注意すべきである。
また、上記実施例では磁場形成手段は磁場の強さが一定であるものとして考えていたが、電磁石を使用した場合には短時間の間に磁場の強さを変化させることができる。前述したように磁場の強さが変わればイオンの偏向量が変わるから、これを利用して様々な態様の測定が可能となる。例えば、着目するイオンの質量に応じて適宜磁場の強さを調整してそのイオンの質量分解能が最良になるようにしたり、質量の小さなイオンが不要である場合に最初磁場を大きくして不要なイオンを迅速に飛行軌道から除外した後に磁場を弱くして、所望のイオンを多数回周回させて高い質量分解能で以てイオンを分離したりする、といった測定が可能である。
さらにまた、上記実施例はいずれも本発明の一実施例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例(第1実施例)による飛行時間型質量分析装置の飛行空間を中心とする要部の概略構成図あり、(a)は飛行空間10を上方から見た状態、(b)は(a)中に示したA−A’間の空間内のイオンの飛行軌道を側方から見た図。 図1中の磁場形成手段の斜視図。 偏向磁場中でのイオンの偏向を説明するための図。 量に対する偏向量に到達するまでの所要時間をシミュレーションにより算出した結果を示す図。 第2実施例による飛行時間型質量分析装置の飛行空間を中心とする要部の概略構成図。 第2実施例の構成における偏向磁場中でのイオンの偏向を説明するための図。 第3実施例による飛行時間型質量分析装置の飛行空間を中心とする要部の概略構成図。 イオンの入射方向から磁場形成手段を見た概略図。
符号の説明
1…イオン源
2…検出器
E1、E2…扇形電場
B1、B11、B12…偏向磁場
10…飛行空間
11、12…円筒電極
11a、12a…外側電極
11b、12b…内側電極
13…入射側ゲート電極
14…出射側ゲート電極
15、16、151、152…磁場形成手段
15a、15b、151a、151b、16a、16b、17a、17b…平板磁極

Claims (7)

  1. イオンを周回飛行させるようにイオンの飛行経路に沿った複数の扇形電場を形成する複数の扇形状円筒電極を含むイオン光学系を具備する飛行時間型質量分析装置において、
    前記複数の扇形電場の中で隣接する2つの電場の間に、通過するイオンの軌道を前記扇形状円筒電極の扇形の中心軸方向にずらす偏向磁場を形成する磁場形成手段を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 前記磁場形成手段は、イオンの飛行経路を挟んで対向して互いに平行に配置された一対の平面磁極により成ることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置。
  3. 前記磁場形成手段は、イオンの飛行経路を挟んで対向して前記中心軸方向に沿って離間距離が一様に変化するように配置された一対の平面磁極により成ることを特徴とする請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置。
  4. 複数の異なる隣接扇形電場間にそれぞれ前記偏向磁場が形成され、その両偏向磁場によるイオンの偏向方向が前記中心軸方向に沿って互いに反対向きであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置。
  5. 隣接する2つの扇形電場の間に形成された偏向磁場はイオンの飛行経路に沿って分割された第1偏向磁場と第2偏向磁場とを含み、その両偏向磁場によるイオンの偏向方向が前記中心軸方向に沿って互いに反対向きであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置。
  6. 前記磁場形成手段は磁場強度可変であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置。
  7. イオン源から出発したイオンが前記イオン光学系及び前記磁場形成手段による螺旋状の周回軌道を経て検出器に到達するまでの飛行時間とイオンの質量とについて予め求められた関係に基づいて、観測されたイオンの飛行時間から該イオンの質量を求めることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の飛行時間型質量分析装置。
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