JP3539848B2 - 飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料からイオンを発生させるとともに、このイオンを加速することにより、試料のイオンを質量の大きなイオンと質量の小さなイオンとに分離して質量分析器に導入するためのイオン導入装置の技術分野に属し、特にイオンを誘導する軌道を、2個の扇形電場を用いた閉曲線の軌道として、イオンの飛行時間を可及的に長くした飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、質量分析計として、閉曲線の軌道(以下、閉軌道ともいう)からなるイオン光学系を有する飛行時間型質量分析計(TOFMS)が提案されており、この飛行時間型質量分析計のイオン光学系は、質量の重いイオンがゆっくり飛行し、また質量の軽いイオンが速く飛行するという原理を用いて、例えば誘導結合プラズマを用いて試料を励起させて試料イオンを発生させるとともに分析器の方へ飛行させ、飛行中のイオンを所定の電場からのエネルギによって加速することにより、ある程度時間が経ったとき、質量の大きなイオンと質量の小さなイオンとに次第に分離するようにしたものである。その場合、分析器の分解能を上げるためには質量の大きなイオンと質量の小さなイオンとの分離を確実にする必要がある。
【0003】
この分離を確実にするためには、イオンの飛行時間をできるだけ多くする必要があるが、このように飛行時間を多く確保するためには、イオンをできるだけ長い距離を飛行させる必要がある。しかしながら、イオンを単に直線的に飛行させると、長い距離を飛行させるためには、長い直線軌道が必要となり、電場が空間的に大きくなってしまう。
【0004】
そこで、図2に示すような、2個の同じ第1および第2扇形電場1′,2′を用いて1つの交点3で交わる閉軌道4からなるイオン光学系5′が考えられる。このイオン光学系5′の第1および第2扇形電場1′,2′は、ともに円弧状の内側電極1a′,2a′と円弧状の外側電極1b′,2b′とからなっている。そして、イオンの取入れ、取出し口である交点3を出発したイオンは、矢印で示すように飛行して第1扇形電場1′内に進入し、内、外側電極1a′,1b′に所定の電圧が印加されることにより生じる第1扇形電場1の電場による力で、内、外側電極1a′,1b′に沿って案内されて飛行し、更に出発点の交点3を通過して第2扇形電場2′内に進入し、同じく内、外側電極2a′,2b′に所定の電圧が印加されることにより生じる第2扇形電場2′の電場の力で、内、外側電極2a′,2b′に沿って案内されて飛行して再び交点3に到着し、この交点3から取り出される。その場合、交点3におけるイオンの取入れ、取出しは、適宜のタイミングで行われる。そして、この閉軌道4に沿ってイオンの飛行周回数を上げると、イオンの飛行時間が増大するので、分解能が向上することになる。このようにすれば、イオンの飛行距離を長くしかつ電場が空間的にそれほど大きくならないようにすることができる。
【0005】
しかしながら、ある加速電圧でイオンを加速したとき、同じ質量のイオンでもイオンの場所等により飛行速度の速いイオンと遅いイオンとが出てくるようになる。このため、飛行速度の速いイオンが遅いイオンより速く交点3に到着するようになるので、交点3でのイオンの取出し時にはイオンの量が少なくなり、分解能が低下してしまう。そこで、交点3から電場内へ導入された同一質量のイオンに、このように飛行速度の速いイオンと遅いイオンとが生じても閉軌道4を周回した後、交点3に同時に到着するようにする必要がある。
【0006】
このように、交点3を出発した同一質量のイオンが閉軌道4を周回して交点3に同時に到着するようにしたイオン光学系が、W. Poshenrieder, Int. J. Mass Spectrom. Ion Phys., 9(1972) P357. において提案されている。図3に示すように、このイオン光学系5では、図2における第1および第2扇形電場1′,2′の円弧状の内、外側電極1a′,1b′;2a′,2b′に、ともに同じ内、外側トロイダル電極1a,1b;2a,2bが用いられて、第1および第2トロイダル電場1,2が形成されている。また、これらの第1および第2トロイダル電場1,2におけるイオンの中心軌道半径をr0とし、軌道平面と垂直な平面での等電位面の曲率半径をRとしたとき、C=r0/Rで表されるC値が、C=1に設定され、換言すれば第1および第2トロイダル電場1,2が球面電場に設定され、かつ第1および第2トロイダル電場1,2での電場回転角(すなわち、イオンの回転角)weが199.26゜に設定されている。
【0007】
ところで、本発明の以後の説明のために必要な、イオンの軌道の表現法について説明する。中心軌道を通る特定のイオンを定めて基準とし、この特定イオンからずれた初期値を持って出発したイオンの運動が中心軌道を通るイオンの軌道に対して持つ空間および時間のずれが、周知のイオン光学系の理論より一次近似で次のように表される。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】
ここで、Xは特定の場所での軌道平面内で光軸に直交する方向の位置のずれ、Aは角度のずれ、Tは時間のずれ、xは特定の場所での軌道平面内で光軸に直交する方向の初期値における位置のずれ、αはこの方向における初期値の角度のずれ、tは初期値の時間のずれ、およびδは初期値のエネルギのずれをそれぞれ表す。なお、一般には軌道平面に垂直な面の軌道も重要であるが、以後の本発明の説明においてはこの軌道はそれほど重要ではないので省略するとともに、質量のずれも重要でなく、省略する。また、(x|x)、………(t|δ)は、それぞれのれイオン光学系において()内の記号の要素によって定まる常数である。
【0012】
いま、前述の Poshenrieder のイオン光学系が閉軌道であることを考えると、入射点から出発したイオンは必ずこの入射点に戻ってくる。その場合、通常の、1周回の閉軌道でイオンの周回飛行が完結する TOFMS のような場合を考えることにする。しかし、イオンが多周回回った後、初めて TOFMS としてよい特性を持つような場合も考えることができるが、この場合についてはよい特性を持つ最低の周回数回った軌道を1周と考えることにする。いずれの場合も、1周のイオン光学系の持つべき特性は、数式1,2,3の記号を用いて、空間的には
【0013】
【数4】
【0014】
【数5】
【0015】
【数6】
【0016】
で与えられ、時間的には
【0017】
【数7】
【0018】
【数8】
【0019】
【数9】
【0020】
で与えられる。数式5および6は、それぞれ空間における角度およびエネルギの収束(空間的二重収束)を表しており、数式7、8および9は、それぞれ時間に関する位置、角度およびエネルギ収束(時間的三重収束)を表している。なお、軌道平面に垂直な面の軌道も考慮に入れる場合は、(y|β)=0の条件が含まれる。ここで、yは特定の場所での軌道平面と直交する面内で光軸に直交する方向の初期値における位置のずれ、βはこの方向における初期値の角度のずれである。また、数式4は必ずしも厳密に満足される必要はない。
【0021】
このように、 Poshenrieder のイオン光学系では、イオンの空間的な3重収束(x|α)=(x|δ)=(y|β)=0と時間的な3重収束 (t|α)=(t|δ)=(t|x)=0とがともに成立し、速いイオンも遅いイオンも空間的にかつ時間的に同時に1点に収束することができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、W. Poshenrieder によるこのトロイダル電場1,2を用いたイオン光学系では、W. Poshenrieder の解、すなわちC値が1で、回転角weが199.26゜のときに、前述の6重収束条件を満足するようになるが、C値が1以外では、6重収束条件を満足することができない。このため、イオン光学系の構造が制限されてしまう。しかしながら、C値が1以外でも、6重収束条件あるいは少なくとも(y/β)=0を除いた5重収束条件を満足する種々のイオン光学系を得るようにすることが、種々の質量分析計におけるイオン光学系に柔軟に対応させる上で望まれる。
【0023】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、2個のトロイダル電場を用いて閉曲線の軌道からなるイオン光学系において、トロイダル電場のC値が1以外でも、少なくとも5重収束条件を満足する飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、試料から発生したイオンを、2個の同一のトロイダル電場を用い、1つの交点で交差する閉じた軌道に沿って加速しながら飛行させて質量分析部に導入させる飛行時間型質量分析計のイオン光学系において、前記交点と前記各トロイダル電場の出入り口との間を接続する軌道に、飛行する同一質量のイオンを空間的に収束する4重極レンズがそれぞれ配設されており、更に、イオンの中心軌道半径をr0とし、軌道平面と直交する平面での等電位面の曲率半径をRとしたとき、C=r0/Rで表されるC値と前記トロイダル電場の回転角weとが、C≠1を条件として同一質量のイオンが時間的に収束する関係を有するように設定されていることを特徴としている。
【0025】
また請求項2の発明は、前記関係が、前記C値と前記回転角weとが互いに表1に示される値を満足する関係であることを特徴としている。
【0026】
更に請求項3の発明は、前記C値が、0.8<C<1の範囲に設定されていることを特徴としている。
更に請求項4の発明は、前記C値が、−0.3≦C≦0.3の範囲に設定されていることを特徴としている。
【0027】
【作用】
このような構成をした本発明の飛行時間型質量分析系におけるイオン光学系においては、4重極レンズにより、同一質量で空間的にエネルギの異なるイオンの空間的な収束条件が満たされるようになる。
【0028】
また、2個の同一のトロイダル電場のC値および回転角とが、同一質量のイオンが時間的に収束する関係を有して設定されていることから、例えば交点から出発したイオンがトロイダル電場を通過して閉じた軌道を1周した後、再び交点に到着したときに、時間に関するエネルギの収束条件が満たされるようになる。
【0029】
これにより、交点から出発した同一質量のイオンは、エネルギが異なっても、閉じた軌道を1周した後、同時に再び交点に集まってくるようになる。したがって、質量分析計の分解能が向上する。
【0030】
しかも、従来のイオン光学系では、C値がC=1のときにしか、6重収束条件を満足させることができなく、質量分析計の構造が制限されていたが、本例のイオン光学系によれば、C値がC=1以外(つまり、C≠1)のときに、同一質量のエネルギの異なるイオンが空間的および時間的な6重収束条件あるいは少なくとも、軌道平面と直交する平面の位置のずれがないこと、すなわち(y/β)=0を除いた5重収束条件を満足する種々のイオン光学系が得られるようになる。したがって、イオン光学系の自由度が増して、本発明のイオン光学系は、種々の構造の質量分析計におけるイオン光学系に柔軟に対応されるようになる。
【0031】
特に、請求項2の発明においては、各トロイダル電場におけるC値と回転角weとの関係が表1に示すように満足される限り、4重極レンズの有無にかかわらず、交点を出発したイオンは閉曲線の軌道を1周した後、交点では時間に関するエネルギが収束するようになる。
また、請求項3の発明においては、C値が0.8<C<1の範囲に設定されることにより、C=1に近いので4重極レンズは比較的弱いレンズで済むようになる。しかも、C=1に比べて自由度が増えるため、より高次収差の小さいイオン光学系が得られるようになる。
更に、請求項4の発明においては、C値が−0.3≦C≦0.3の範囲に設定されると、電場が円筒電場に近くなるため、加工製造上有利となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明にかかる質量分析計におけるイオン光学系の実施の形態の一例を示す、図2と同様の図である。なお、前述の図2および図3に示す従来のイオン光学系の構成要素と同じものには同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図1に示すように、本例のイオン光学系は、図3に示すイオン光学系と同様に、ともに同じ内、外側トロイダル電極1a,1b;2a,2bからなる第1および第2トロイダル電場1,2を有しており、交点3から第1および第2トロイダル電場1,2の各出入口までの直線軌道4a,4b,4c,4dに、それぞれ4重極レンズ5,6,7,8が配設されている。
【0034】
本例のイオン光学系では、第1および第2トロイダル電場1,2の前述のC(=r0/R)値および回転角weが次のように設定される。すなわち、本発明者等は、周知のイオン光学理論に基づいて数値計算することにより、第1および第2トロイダル電場1,2のC値と回転角weとがある一定の関係にあり、これらのC値と回転角weとを互いに独立して自由に設定することができないことを見出した。表2は、数値計算により見出した結果を示すものである。
【0035】
【表2】
【0036】
表2において、C値および回転角weは飛び飛びに示されているが、実際にはこれらはどちらもなめらかな連続した関数である。この表2から明らかなように、C=1の場合は回転角weが199.31゜であり、前述の W. Poshenrieder の解と僅差を生じているが実質的にはほぼ一致しており、この僅差の原因はトロイダル電場の端縁場の影響によるものである。なお、表2において、(−)のC値は、図1に二点鎖線で示すように電極が逆に湾曲している場合である。また、表2の(d/r0)は、第1および第2トロイダル電場の出入口から交点3までの直線軌道4a,4b,4c,4dの距離をdとしたときの比であり、距離dがイオンの中心軌道半径r0とイオンの回転角weとによって決定され、ここでは設計上の参考値として掲げてある。
【0037】
トロイダル電場1,2におけるC値と回転角weとの関係がこの表2に示すように満足される限り、4重極レンズ5,6,7,8の有無にかかわらず、交点3を出発したイオンは閉曲線の軌道4を1周した後、交点3では時間に関するエネルギが収束する、すなわち(t|δ)=0を満たすようになる。
【0038】
このように構成された本例のイオン光学系においては、第1および第2トロイダル電場1,2のC値および回転角weとが表2に示す特定の関係になるように設定されることから、交点3から出発したイオンが閉軌道4を1周した後、再び交点3に到着したときに、時間に関するエネルギの収束条件が満たされるようになるとともに、4重極レンズ5,6,7,8によりイオンの空間的な収束条件が満たされるようになる。
【0039】
一方、4重極レンズ5,6,7,8は、前述のイオンの空間的な3重収束 (x|α)=(x|δ)=(y|β)=0の条件と、時間的な3重収束 (t|α)=(t|δ)=(t|x)=0のうち、(t|α)=(t|x)=0の条件を満足するように適宜設定されている。
【0040】
このように構成された本例のイオン光学系においては、第1および第2トロイダル電場1,2のC値および回転角weとが表1に示す特定の関係になるように設定されることから、交点3から出発したイオンが閉軌道4を1周した後、再び交点3に到着したときに、時間に関するエネルギの収束条件が満たされるようになるとともに、4重極レンズ5,6,7,8によりイオンの空間的な収束条件が満たされるようになる。
【0041】
これにより、交点3から出発した同一質量のイオンは、エネルギが異なっても、閉軌道4を1周した後、同時に再び交点3に集まってくるようになる。したがって、質量分析計の分解能が向上する。
【0042】
しかも、従来のイオン光学系では、C値がC=1のときにしか、前述の6重収束条件を満足させることができなく、質量分析計の構造が制限されていたが、本例のイオン光学系によれば、C値がC=1以外のときにも、6重収束条件あるいは少なくとも(y/β)=0を除いた5重収束条件を満足する種々のイオン光学系を得ることができる。したがって、イオン光学系の自由度が増して、種々の質量分析計におけるイオン光学系に柔軟に対応できるようになる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のイオン光学系装置によれば、本発明の飛行時間型質量分析系におけるイオン光学系においては、4重極レンズにより、イオンの空間的な収束条件を満たすことができるようになるので、同一質量で空間的にエネルギの異なるイオンを1点に収束させることができる。これにより、質量分析計の分解能を向上できるようになる。
【0044】
また、2個の同一のトロイダル電場のC値および回転角weとを、同一質量のイオンが時間的に収束する関係に設定しているので、例えば交点から出発したイオンがトロイダル電場を通過して閉じた軌道を1周した後、再び交点に到着したときに、時間に関するエネルギの収束条件を満たすことができるようになる。これにより、交点から出発した同一質量のイオンは、時間的にエネルギが異なっても、閉じた軌道を1周した後、同時に再び交点に集まってくるようになる。したがって、質量分析計の分解能を更に一層向上できる。
【0045】
しかも、C値がC=1以外(つまり、C≠1)のときに、同一質量のエネルギの異なるイオンが空間的および時間的な6重収束条件あるいは軌道平面と直交する平面の位置のずれを除いた5重収束条件を満足する種々のイオン光学系を得ることができるようになる。したがって、本発明のイオン光学系は、その自由度が増して、種々の構造の質量分析計におけるイオン光学系に柔軟に対応できるようになる。
【0046】
特に、請求項2の発明によれば、各トロイダル電場におけるC値と回転角weとの関係を表1に示すように満足させているので、4重極レンズの有無にかかわらず、交点を出発したイオンは閉曲線の軌道を1周した後、交点では時間に関するエネルギを収束させることができるようになる。
また、請求項3の発明によれば、C値が0.8<C<1の範囲に設定しているので、C値がC=1に近くなり、4重極レンズ5,6,7,8は比較的弱いレンズでよいことになる。しかも、C=1に比べて自由度が増えるため、より高次収差の小さいイオン光学系を得ることができる。
更に、請求項4の発明によれば、C値が−0.3≦C≦0.3の範囲に設定しているので、電場が円筒電場に近くなり、加工製造上、有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系の実施の形態の一例を示す図である。
【図2】2個の同一の扇形電場を用い、閉じた軌道からなる従来のイオン光学系の一例を示す図である。
【図3】2個の同一のトロイダル電場を用い、閉じた軌道からなり、かつC値がC=1である従来のイオン光学系の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…第1トロイダル電場、2…第1トロイダル電場、1a,2a…内側トロイダル電極、1b,2b…外側トロイダル電極、3…交点、4…閉曲線の軌道、5…イオン光学系、5,6,7,8…4重極レンズ
Claims (4)
- 試料から発生したイオンを、2個の同一のトロイダル電場を用い、1つの交点で交差する閉じた軌道に沿って加速しながら飛行させて質量分析部に導入させる飛行時間型質量分析計のイオン光学系において、
前記交点と前記各トロイダル電場の出入り口との間を接続する軌道に、飛行する同一質量のイオンを空間的に収束する4重極レンズがそれぞれ配設されており、
更に、イオンの中心軌道半径をr 0 とし、軌道平面と直交する平面での等電位面の曲率半径をRとしたとき、C=r 0 /Rで表されるC値と前記トロイダル電場の回転角w e とが、C≠1を条件として同一質量のイオンが時間的に収束する関係を有するように設定されていることを特徴とする飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系。 - 前記C値が、0.8<C<1の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系。
- 前記C値が、−0.3≦C≦0.3の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系。
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