JPH11135061A - 飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系 - Google Patents

飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系

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JPH11135061A
JPH11135061A JP9298157A JP29815797A JPH11135061A JP H11135061 A JPH11135061 A JP H11135061A JP 9298157 A JP9298157 A JP 9298157A JP 29815797 A JP29815797 A JP 29815797A JP H11135061 A JPH11135061 A JP H11135061A
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    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/40Time-of-flight spectrometers
    • H01J49/408Time-of-flight spectrometers with multiple changes of direction, e.g. by using electric or magnetic sectors, closed-loop time-of-flight

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  • Analytical Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2個のトロイダル電場のC値が1以外でも、少
なくとも5重収束条件を満足する閉じた軌道からなるイ
オン光学系を得る。 【解決手段】飛行時間型質量分析計のイオン光学系は、
2個の同一の第1および第2トロイダル電場1,2を用
い、1つの交点3で交差する閉じた軌道4からなるとと
もに、交点3と第1および第2トロイダル電場1,2と
の間の直線軌道4a,4b,4c,4dに、飛行する同一
質量のイオンを空間的に収束する4重極レンズ5,6,
7,8がそれぞれ配設されている。また、イオンの中心
軌道半径をr0とし、軌道平面と直交する平面での等電
位面の曲率をRとしたとき、C=r0/Rで表されるC
値と第1および第2トロイダル電場1,2の回転角we
が、時間的にエネルギが収束するような所定の関係を有
するようにして設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料からイオンを
発生させるとともに、このイオンを加速することによ
り、試料のイオンを質量の大きなイオンと質量の小さな
イオンとに分離して質量分析器に導入するためのイオン
導入装置の技術分野に属し、特にイオンを誘導する軌道
を、2個の扇形電場を用いた閉曲線の軌道として、イオ
ンの飛行時間を可及的に長くした飛行時間型質量分析計
におけるイオン光学系の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、質量分析計として、閉曲線の軌道
(以下、閉軌道ともいう)からなるイオン光学系を有す
る飛行時間型質量分析計(TOFMS)が提案されており、
この飛行時間型質量分析計のイオン光学系は、質量の重
いイオンがゆっくり飛行し、また質量の軽いイオンが速
く飛行するという原理を用いて、例えば誘導結合プラズ
マを用いて試料を励起させて試料イオンを発生させると
ともに分析器の方へ飛行させ、飛行中のイオンを所定の
電場からのエネルギによって加速することにより、ある
程度時間が経ったとき、質量の大きなイオンと質量の小
さなイオンとに次第に分離するようにしたものである。
その場合、分析器の分解能を上げるためには質量の大き
なイオンと質量の小さなイオンとの分離を確実にする必
要がある。
【0003】この分離を確実にするためには、イオンの
飛行時間をできるだけ多くする必要があるが、このよう
に飛行時間を多く確保するためには、イオンをできるだ
け長い距離を飛行させる必要がある。しかしながら、イ
オンを単に直線的に飛行させると、長い距離を飛行させ
るためには、長い直線軌道が必要となり、電場が空間的
に大きくなってしまう。
【0004】そこで、図2に示すような、2個の同じ第
1および第2扇形電場1′,2′を用いて1つの交点3
で交わる閉軌道4からなるイオン光学系5′が考えられ
る。このイオン光学系5′の第1および第2扇形電場
1′,2′は、ともに円弧状の内側電極1a′,2a′と
円弧状の外側電極1b′,2b′とからなっている。そ
して、イオンの取入れ、取出し口である交点3を出発し
たイオンは、矢印で示すように飛行して第1扇形電場
1′内に進入し、内、外側電極1a′,1b′に所定の
電圧が印加されることにより生じる第1扇形電場1の電
場による力で、内、外側電極1a′,1b′に沿って案
内されて飛行し、更に出発点の交点3を通過して第2扇
形電場2′内に進入し、同じく内、外側電極2a′,2
b′に所定の電圧が印加されることにより生じる第2扇
形電場2′の電場の力で、内、外側電極2a′,2b′
に沿って案内されて飛行して再び交点3に到着し、この
交点3から取り出される。その場合、交点3におけるイ
オンの取入れ、取出しは、適宜のタイミングで行われ
る。そして、この閉軌道4に沿ってイオンの飛行周回数
を上げると、イオンの飛行時間が増大するので、分解能
が向上することになる。このようにすれば、イオンの飛
行距離を長くしかつ電場が空間的にそれほど大きくなら
ないようにすることができる。
【0005】しかしながら、ある加速電圧でイオンを加
速したとき、同じ質量のイオンでもイオンの場所等によ
り飛行速度の速いイオンと遅いイオンとが出てくるよう
になる。このため、飛行速度の速いイオンが遅いイオン
より速く交点3に到着するようになるので、交点3での
イオンの取出し時にはイオンの量が少なくなり、分解能
が低下してしまう。そこで、交点3から電場内へ導入さ
れた同一質量のイオンに、このように飛行速度の速いイ
オンと遅いイオンとが生じても閉軌道4を周回した後、
交点3に同時に到着するようにする必要がある。
【0006】このように、交点3を出発した同一質量の
イオンが閉軌道4を周回して交点3に同時に到着するよ
うにしたイオン光学系が、W. Poshenrieder, Int. J. M
assSpectrom. Ion Phys., 9(1972) P357. において提案
されている。図3に示すように、このイオン光学系5で
は、図2における第1および第2扇形電場1′,2′の
円弧状の内、外側電極1a′,1b′;2a′,2b′
に、ともに同じ内、外側トロイダル電極1a,1b;2
a,2bが用いられて、第1および第2トロイダル電場
1,2が形成されている。また、これらの第1および第
2トロイダル電場1,2におけるイオンの中心軌道半径
をr0とし、軌道平面と垂直な平面での等電位面の曲率
をRとしたとき、C=r0/Rで表されるC値が、C=
1に設定され、換言すれば第1および第2トロイダル電
場1,2が球面電場に設定され、かつ第1および第2ト
ロイダル電場1,2での電場回転角(すなわち、イオン
の回転角)weが199.26゜に設定されている。
【0007】ところで、本発明の以後の説明のために必
要な、イオンの軌道の表現法について説明する。中心軌
道を通る特定のイオンを定めて基準とし、この特定イオ
ンからずれた初期値を持って出発したイオンの運動が中
心軌道を通るイオンの軌道に対して持つ空間および時間
のずれが、周知のイオン光学系の理論より一次近似で次
のように表される。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】ここで、Xは特定の場所での軌道平面内で
光軸に直交する方向の位置のずれ、Aは角度のずれ、T
は時間のずれ、xは特定の場所での軌道平面内で光軸に
直交する方向の初期値における位置のずれ、αはこの方
向における初期値の角度のずれ、tは初期値の時間のず
れ、およびδは初期値のエネルギのずれをそれぞれ表
す。なお、一般には軌道平面に垂直な面の軌道も重要で
あるが、以後の本発明の説明においてはこの軌道はそれ
ほど重要ではないので省略するとともに、質量のずれも
重要でなく、省略する。また、(x|x)、………(t
|δ)は、それぞれのれイオン光学系において()内の
記号の要素によって定まる常数である。
【0012】いま、前述の Poshenrieder のイオン光学
系が閉軌道であることを考えると、入射点から出発した
イオンは必ずこの入射点に戻ってくる。その場合、通常
の、1周回の閉軌道でイオンの周回飛行が完結する TOF
MS のような場合を考えることにする。しかし、イオン
が多周回回った後、初めて TOFMS としてよい特性を持
つような場合も考えることができるが、この場合につい
てはよい特性を持つ最低の周回数回った軌道を1周と考
えることにする。いずれの場合も、1周のイオン光学系
の持つべき特性は、数式1,2,3の記号を用いて、空間
的には
【0013】
【数4】
【0014】
【数5】
【0015】
【数6】
【0016】で与えられ、時間的には
【0017】
【数7】
【0018】
【数8】
【0019】
【数9】
【0020】で与えられる。数式5および6は、それぞ
れ空間における角度およびエネルギの収束(空間的二重
収束)を表しており、数式7、8および9は、それぞれ
時間に関する位置、角度およびエネルギ収束(時間的三
重収束)を表している。なお、軌道平面に垂直な面の軌
道も考慮に入れる場合は、(y|β)=0の条件が含ま
れる。ここで、yは特定の場所での軌道平面と直交する
面内で光軸に直交する方向の初期値における位置のず
れ、βはこの方向における初期値の角度のずれである。
また、数式4は必ずしも厳密に満足される必要はない。
【0021】このように、 Poshenrieder のイオン光学
系では、イオンの空間的な3重収束(x|α)=(x|
δ)=(y|β)=0と時間的な3重収束 (t|α)
=(t|δ)=(t|x)=0とがともに成立し、速い
イオンも遅いイオンも空間的にかつ時間的に同時に1点
に収束することができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、W. Poshenr
ieder によるこのトロイダル電場1,2を用いたイオン
光学系では、W. Poshenrieder の解、すなわちC値が1
で、回転角weが199.26゜のときに、前述の6重収
束条件を満足するようになるが、C値が1以外では、6
重収束条件を満足することができない。このため、イオ
ン光学系の構造が制限されてしまう。しかしながら、C
値が1以外でも、6重収束条件あるいは少なくとも(y
/β)=0を除いた5重収束条件を満足する種々のイオ
ン光学系を得るようにすることが、種々の質量分析計に
おけるイオン光学系に柔軟に対応させる上で望まれる。
【0023】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、2個のトロイダル電場を用
いて閉曲線の軌道からなるイオン光学系において、トロ
イダル電場のC値が1以外でも、少なくとも5重収束条
件を満足する飛行時間型質量分析計におけるイオン光学
系を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、試料から発生したイオンを、
2個の同一のトロイダル電場を用い、1つの交点で交差
する閉じた軌道に沿って加速しながら飛行させて質量分
析部に導入させる飛行時間型質量分析計のイオン光学系
において、前記交点と前記各トロイダル電場の出入り口
との間を接続する軌道に、飛行する同一質量のイオンを
空間的に収束する4重極レンズがそれぞれ配設されてい
ることを特徴としている。
【0025】また請求項2の発明は、更に、イオンの中
心軌道半径をr0とし、軌道平面と直交する平面での等
電位面の曲率をRとしたとき、C=r0/Rで表される
C値と前記トロイダル電場の回転角weとが、時間的に
エネルギが収束するような所定の関係を有するように設
定されていることを特徴としている。
【0026】更に請求項3の発明は、前記C値が、0.
8<C<1の範囲に設定されていることを特徴としてい
る。更に請求項4の発明は、前記C値が、−0.3≦C
≦0.3の範囲に設定されていることを特徴としてい
る。
【0027】
【作用】このような構成をした本発明の飛行時間型質量
分析系におけるイオン光学系においては、4重極レンズ
により、同一質量で空間的にエネルギの異なるイオンの
空間的な収束条件が満たされるようになる。
【0028】更に、請求項2の発明においては、2個の
同一のトロイダル電場のC値および回転角とが時間的に
エネルギが収束するような所定の関係を有して設定され
ていることから、例えば交点から出発したイオンがトロ
イダル電場を通過して閉じた軌道を1周した後、再び交
点に到着したときに、時間に関するエネルギの収束条件
が満たされるようになる。
【0029】これにより、交点から出発した同一質量の
イオンは、エネルギが異なっても、閉じた軌道を1周し
た後、同時に再び交点に集まってくるようになる。した
がって、質量分析計の分解能が向上する。
【0030】しかも、従来のイオン光学系では、C値が
C=1のときにしか、6重収束条件を満足させることが
できなく、質量分析計の構造が制限されていたが、本例
のイオン光学系によれば、C値がC=1以外のときに
も、同一質量のエネルギの異なるイオンが空間的および
時間的な6重収束条件あるいは少なくとも、軌道平面と
直交する平面の位置のずれがないこと、すなわち(y/
β)=0を除いた5重収束条件を満足する種々のイオン
光学系が得られるようになる。したがって、イオン光学
系の自由度が増して、本発明のイオン光学系は、種々の
構造の質量分析計におけるイオン光学系に柔軟に対応さ
れるようになる。
【0031】更に、請求項3の発明においては、C値が
0.8<C<1の範囲に設定されることにより、C=1
に近いので4重極レンズ5,6,7,8は比較的弱いレン
ズで済むようになる。しかも、C=1に比べて自由度が
増えるため、より高次収差の小さいイオン光学系が得ら
れるようになる。更に、請求項4の発明においては、C
値が−0.3≦C≦0.3の範囲に設定されると、電場が
円筒電場に近くなるため、加工製造上有利となる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。図1は本発明にかかる質量分析計に
おけるイオン光学系の実施の形態の一例を示す、図2と
同様の図である。なお、前述の図2および図3に示す従
来のイオン光学系の構成要素と同じものには同じ符号を
付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0033】図1に示すように、本例のイオン光学系
は、図3に示すイオン光学系と同様に、ともに同じ内、
外側トロイダル電極1a,1b;2a,2bからなる第1
および第2トロイダル電場1,2を有しており、交点3
から第1および第2トロイダル電場1,2の各出入口ま
での直線軌道4a,4b,4c,4dに、それぞれ4重極
レンズ5,6,7,8が配設されている。
【0034】本例のイオン光学系では、第1および第2
トロイダル電場1,2の前述のC(=r0/R)値および
回転角weが次のように設定される。すなわち、本発明
者等は、周知のイオン光学理論に基づいて数値計算する
ことにより、第1および第2トロイダル電場1,2のC
値と回転角weとがある一定の関係にあり、これらのC
値と回転角weとを互いに独立して自由に設定すること
ができないことを見出した。表1は、数値計算により見
出した結果を示すものである。
【0035】
【表1】
【0036】表1において、C値および回転角weは飛
び飛びに示されているが、実際にはこれらはどちらもな
めらかな連続した関数である。この表1から明らかなよ
うに、C=1の場合は回転角weが199.31゜であ
り、前述の W. Poshenriederの解と僅差を生じているが
実質的にはほぼ一致しており、この僅差の原因はトロイ
ダル電場の端縁場の影響によるものである。なお、表1
において、(−)のC値は、図1に二点鎖線で示すよう
に電極が逆に湾曲している場合である。また、表1の
(d/r0)は、第1および第2トロイダル電場の出入
口から交点3までの直線軌道4a,4b,4c,4dの距
離をdとしたときの比であり、距離dがイオンの中心軌
道半径r0とイオンの回転角weとによって決定され、こ
こでは設計上の参考値として掲げてある。
【0037】トロイダル電場1,2におけるC値と回転
角weとの関係がこの表1に示すように満足される限
り、4重極レンズ5,6,7,8の有無にかかわらず、交
点3を出発したイオンは閉曲線の軌道4を1周した後、
交点3では時間に関するエネルギが収束する、すなわち
(t|δ)=0を満たすようになる。
【0038】特に、C値が0.8<C<1の範囲に設定
されると、C=1に近いので4重極レンズ5,6,7,8
は比較的弱いレンズでよく、しかもC=1に比べて自由
度が増えるため、より高次収差の小さいイオン光学系が
得られるようになる。また、C値が−0.3≦C≦0.3
の範囲である場合は、電場が円筒電場に近くなるため、
加工製造上有利となる。
【0039】一方、4重極レンズ5,6,7,8は、前述
のイオンの空間的な3重収束 (x|α)=(x|δ)
=(y|β)=0の条件と、時間的な3重収束 (t|
α)=(t|δ)=(t|x)=0のうち、(t|α)
=(t|x)=0の条件を満足するように適宜設定され
ている。
【0040】このように構成された本例のイオン光学系
においては、第1および第2トロイダル電場1,2のC
値および回転角weとが表1に示す特定の関係になるよ
うに設定されることから、交点3から出発したイオンが
閉軌道4を1周した後、再び交点3に到着したときに、
時間に関するエネルギの収束条件が満たされるようにな
るとともに、4重極レンズ5,6,7,8によりイオンの
空間的な収束条件が満たされるようになる。
【0041】これにより、交点3から出発した同一質量
のイオンは、エネルギが異なっても、閉軌道4を1周し
た後、同時に再び交点3に集まってくるようになる。し
たがって、質量分析計の分解能が向上する。
【0042】しかも、従来のイオン光学系では、C値が
C=1のときにしか、前述の6重収束条件を満足させる
ことができなく、質量分析計の構造が制限されていた
が、本例のイオン光学系によれば、C値がC=1以外の
ときにも、6重収束条件あるいは少なくとも(y/β)
=0を除いた5重収束条件を満足する種々のイオン光学
系を得ることができる。したがって、イオン光学系の自
由度が増して、種々の質量分析計におけるイオン光学系
に柔軟に対応できるようになる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のイオン光学系装置によれば、本発明の飛行時間型質量
分析系におけるイオン光学系においては、4重極レンズ
により、イオンの空間的な収束条件を満たすことができ
るようになるので、同一質量で空間的にエネルギの異な
るイオンを1点に収束させることができる。これによ
り、質量分析計の分解能を向上できるようになる。
【0044】更に、請求項2の発明によれば、2個の同
一のトロイダル電場のC値および回転角とを時間的にエ
ネルギが収束するような所定の関係に設定しているの
で、例えば交点から出発したイオンがトロイダル電場を
通過して閉じた軌道を1周した後、再び交点に到着した
ときに、時間に関するエネルギの収束条件を満たすこと
ができるようになる。これにより、交点から出発した同
一質量のイオンは、時間的にエネルギが異なっても、閉
じた軌道を1周した後、同時に再び交点に集まってくる
ようになる。したがって、質量分析計の分解能を更に一
層向上できる。
【0045】しかも、C値がC=1以外のときにも、同
一質量のエネルギの異なるイオンが空間的および時間的
な6重収束条件あるいは軌道平面と直交する平面の位置
のずれを除いた5重収束条件を満足する種々のイオン光
学系を得ることができるようになる。したがって、本発
明のイオン光学系は、その自由度が増して、種々の構造
の質量分析計におけるイオン光学系に柔軟に対応できる
ようになる。
【0046】更に、請求項3の発明によれば、C値が
0.8<C<1の範囲に設定しているので、C値がC=
1に近くなり、4重極レンズ5,6,7,8は比較的弱い
レンズでよいことになる。しかも、C=1に比べて自由
度が増えるため、より高次収差の小さいイオン光学系を
得ることができる。更に、請求項4の発明によれば、C
値が−0.3≦C≦0.3の範囲に設定しているので、電
場が円筒電場に近くなり、加工製造上、有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる飛行時間型質量分析計におけ
るイオン光学系の実施の形態の一例を示す図である。
【図2】 2個の同一の扇形電場を用い、閉じた軌道か
らなる従来のイオン光学系の一例を示す図である。
【図3】 2個の同一のトロイダル電場を用い、閉じた
軌道からなり、かつC値がC=1である従来のイオン光
学系の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…第1トロイダル電場、2…第1トロイダル電場、1
a,2a…内側トロイダル電極、1b,2b…外側トロイ
ダル電極、3…交点、4…閉曲線の軌道、5…イオン光
学系、5,6,7,8…4重極レンズ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料から発生したイオンを、2個の同一
    のトロイダル電場を用い、1つの交点で交差する閉じた
    軌道に沿って加速しながら飛行させて質量分析部に導入
    させる飛行時間型質量分析計のイオン光学系において、 前記交点と前記各トロイダル電場の出入り口との間を接
    続する軌道に、飛行する同一質量のイオンを空間的に収
    束する4重極レンズがそれぞれ配設されていることを特
    徴とする飛行時間型質量分析計におけるイオン光学系。
  2. 【請求項2】 更に、イオンの中心軌道半径をr0
    し、軌道平面と直交する平面での等電位面の曲率をRと
    したとき、C=r0/Rで表されるC値と前記トロイダ
    ル電場の回転角weとが、時間的にエネルギが収束する
    ような所定の関係を有するように設定されていることを
    特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析計におけ
    るイオン光学系。
  3. 【請求項3】 前記C値が、0.8<C<1の範囲に設
    定されていることを特徴とする請求項2記載の飛行時間
    型質量分析計におけるイオン光学系。
  4. 【請求項4】 前記C値が、−0.3≦C≦0.3の範囲
    に設定されていることを特徴とする請求項2記載の飛行
    時間型質量分析計におけるイオン光学系。
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