JP4182853B2 - 質量分析方法及び質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析方法及び質量分析装置に関し、更に詳しくは、分析対象であるイオンが略同一の軌道を周回又は往復運動するような飛行空間を有する質量分析装置と該装置を用いた分析方法に関する。
飛行時間型質量分析装置(以下、TOFMS(=Time Of Flight Mass Spectrometer)と呼ぶ)では、一般的に、電場により加速したイオンを電場及び磁場を有さない飛行空間内に導入し、検出器に到達するまでの飛行時間に応じて各種イオンを質量毎に分離する。或る質量差を有する2種類のイオンに対する飛行時間の差はイオンの飛行距離が長いほど大きくなるから、質量分解能を高くするためには、できるだけ飛行距離を長く確保することが好ましい。しかしながら、一般に、装置のサイズなどの制約によって直線的な飛行距離を長くとることは困難であるため、従来より、飛行距離を実効的に長くするような各種の構成が提案されている。
例えば特許文献1に記載の装置では、複数のトロイダル型扇形電場を用いて長円形の周回軌道を形成し、この軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を長くしている。また、特許文献2に記載の装置では、略8の字状の閉じた周回軌道を形成することで、同様に飛行距離を実効的に長くしている。こうしたTOFMSでは、イオンが周回軌道を周回する回数(周回数)が多いほど飛行距離が長くなり、それに伴って飛行時間も全体として長くなるため、一般的には、周回数を多くするほど質量分解能が向上する。
しかしながら、上記のように周回軌道を繰り返し飛行させる構成では、質量の小さなイオンほど速い速度で軌道を周回するため、周回を繰り返す間に質量の小さなイオンが周回遅れを生じた質量の大きなイオンに追いついたり追い越したりしてしまう。こうして異なる周回数を以て周回したイオンが混在して検出器に到達した場合、イオンの周回数が分からない限りそのイオンの質量を推定することができない。そこで、こうした問題を避けるために、従来、周回軌道に乗せるイオンの質量範囲を制限し、上記のように周回遅れになるほど質量に差があるような複数種のイオンを同時に測定しないようにしている。そのため、低質量から高質量まで広い範囲に亘って分析を行いたい場合には、質量範囲を細かく区分して多数回の分析を行わなければならず、分析効率が悪い。また、分析対象の試料が微量であって多数回の分析を行うことが困難である場合には、そもそも上記のような広い質量範囲に亘っての分析が不可能である。
さらに、イオンを周回軌道に乗せる前に質量範囲を限定するためには、周回軌道の前段で実質的に簡易的な質量分離を行う必要があり、例えばイオントラップのようなイオン選択が可能な装置を設けるか、或いはイオン源から周回軌道までの距離を長くして周回軌道に入るまでに質量範囲を限定できる程度に質量分離を行う必要がある。しかしながら、構成によってはイオントラップ等のイオン選択装置を設けることができない場合があり、一方、イオン源から周回軌道までの飛行距離を長くすることも装置のサイズの制約上できない場合がある。
特開平11−297267号公報 特開平11−135061号公報
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、従来よりも格段に少ない測定回数で以て幅広い質量範囲に亘る分析を行うことができる質量分析方法及び質量分析装置を提供することである。また、他の目的は、同一軌道上を繰り返し飛行させる場合に、その軌道に乗せる前に質量範囲の限定を行う必要のない質量分析方法及び質量分析装置を提供することである。
上記従来の質量分析装置において予め質量範囲を限定する目的は、軌道を同一回数周回したイオンだけが検出器に到達するようにすることである。これは、異なる回数周回してきた(つまりは飛行距離が異なる)イオンが混在して検出器に到達した場合に、その飛行時間からは周回数を区別する方法がなく、それ故に質量を決定することができないためである。しかしながら、イオンが軌道をn周回(nは1以上の整数)したものであると仮定すれば、その仮定の下に飛行時間から質量を算出することができる。したがって、周回数nが不明である場合には、周回数nを例えば1、2、3、…と順次仮定して、その仮定した周回数毎に質量を候補質量としてそれぞれ求めることが可能である。
一方、周回数自体は不明であっても、例えばイオン源からイオンが出発した時点から或る所定時間が経過した時点において、軌道上を周回しているイオンをその周回が終了した後に該軌道から離脱させて検出器に向かうように制御し、且つその所定時間を適宜に変更すれば、或る目的とするイオンに対して異なる周回数を以て検出器に到達させることが可能である。例えばいま、目的とするイオンについて周回数が異なる(但し周回数自体は不明)2つの分析条件の下でそれぞれ測定を行って飛行時間を測定した場合、各飛行時間から上記のように複数の候補質量をそれぞれ求めることができる。2回の測定における飛行時間の差は質量に依存する筈であるから、その2回の測定によって求まる候補質量の中で、異なる周回数に対して同一の候補質量が存在すれば、それが目的とするイオンの質量であるものと推定することができる。より一般的に言うと、目的とするイオンについて周回数が異なる2つの分析条件の下でそれぞれ測定を行って取得した結果に基づき、両結果の整合性がとれるような質量を求めれば、それが目的とするイオンの質量であると推定することができる。
こうした原理に基づいて成された本発明に係る質量分析方法は、イオン源と、該イオン源から出発した各種イオンを飛行空間内に設定された所定の軌道に沿って複数回繰り返し飛行させるための飛行制御手段と、前記軌道を所定回数繰り返し飛行した後のイオンを検出する検出手段と、を具備する質量分析装置を用いた分析方法であって、
目的とするイオンについて周回数に差が生じると想定される少なくとも2つの分析条件を前記飛行制御手段により設定してそれぞれ測定を行い、その少なくとも2回の測定で前記検出手段によりそれぞれ時間経過に伴うイオン強度信号を取し、それら異なる分析条件の下での時間経過に伴うイオン強度信号に基づいて、それら結果の整合性がとれるような質量を求めることにより目的とするイオンの質量を推定することを特徴としている。
また、本発明に係る質量分析装置は、上記質量分析方法を具現化する装置であり、
a)イオン源から出発した各種イオンを飛行空間内に設定された所定の軌道に沿って複数回繰り返し飛行させるための飛行制御手段と、
b)前記軌道を所定回数繰り返し飛行した後のイオンを検出する検出手段と、
c)目的とするイオンについて周回数に差が生じると想定される少なくとも2つの分析条件を前記飛行制御手段により設定して測定を行い、その少なくとも2回の測定で前記検出手段によりそれぞれ得られる異なる分析条件の下での時間経過に伴うイオン強度信号に基づいて、それら結果の整合性がとれるような質量を求めることにより目的とするイオンの質量を推定する処理手段と、
を備えることを特徴としている。
ここで、飛行空間内に設定された所定の軌道は、狭い飛行空間内で長い飛行距離を確保することを目的として、ほぼ同一の軌道上をイオンが繰り返し飛行することを可能とするものであればその形状を問わず、例えば、円形状、長円形状、8の字形状等の周回軌道、或いは、直線又は曲線状等の往復軌道などとすることができる。また、ここで言うイオン源とは、必ずしも分子又は原子からイオンを生成する手段を意味するものではなく、イオンを飛行空間に導入するためにイオンに運動エネルギーを付与する手段を含みさえすればよい。
発明の実施の形態、及び効果
本発明に係る質量分析方法及び質量分析装置では、原則として、イオン源から発した各種イオンを質量範囲を限定することなく上記軌道に乗せる。そのため、イオンが軌道上を繰り返し飛行する間に追い越しが生じ、検出手段による検出信号に基づいて作成される飛行時間スペクトル上では飛行時間に沿って現れる各ピークが必ずしも質量の順序と一致せず、また各ピークが何回周回したイオンに由来するものであるのかも不明である。しかしながら、上述したような原理によって、少なくとも2回の測定によって取得した飛行時間スペクトル情報に基づいて、目的イオンに対する質量を高い確度で推定することがで
きる。
具体的には、目的とするイオンについて周回数が異なる2つの分析条件の下でそれぞれ測定を行うと、各測定において飛行時間スペクトル情報が得られ、そのイオンに対する飛行時間がそれぞれ得られる。そのそれぞれの飛行時間に基づいて上記のように各周回数毎の候補質量を求めることができるが、同一種類のイオンに由来するものでは、両飛行時間から求めた候補質量が一致する又は一致しているとみなせる程度に差が小さいものが異なる周回数に対応して存在する。そこで、これが目的とするイオンの質量であると決めることができる。もちろん、質量の異なる複数種のイオンを同時に測定する場合であっても、異なる質量を有するイオンがそれぞれ異なる回数周回したときの飛行時間が偶然一致してしまって分離不可能である場合を除いて、例えば候補質量を順次比較することによって各イオンの質量を決定することができる。
本発明に係る質量分析方法及び質量分析装置によれば、周回軌道や往復軌道などに沿って繰り返し飛行させるイオンの質量範囲を予め限定することなく、最低2回の測定を行うことによって各種イオンの質量を決定することができる。したがって、イオンの利用効率が向上し、分析対象物質の量が少ない場合でも幅広い質量範囲の分析が可能となる。また、幅広い質量範囲の分析を行う際に測定の回数が従来よりも少なくて済むので、測定に要する時間を短縮化することができる。さらにまた、イオンを略同一軌道に乗せる前に質量選択を行う必要がないので、イオントラップなどのイオン選択手段が不要であり、イオン源からの距離も長くする必要がない。したがって、構成が煩雑になったり装置が大型化したりすることを回避することができる。
以下、本発明の一実施例である質量分析装置について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は本実施例による質量分析装置の概略構成図である。図1において、図示しない真空室の内部には、イオン源1、飛行空間2、及びイオン検出器3が配置されており、そのほかに、イオン検出器3で得られる検出信号を処理するためのデータ処理部6と、イオンの飛行状態やデータ処理部6を制御するための制御部5とを備える。
イオン源1は分析対象であるイオン化した分子を飛行空間2に導入するためにイオンに運動エネルギーを付与するものであって、イオン化法は特に限定されない。例えば、本質量分析装置がGC/MSに利用される構成においては、イオン源1は電子衝撃イオン化法や化学イオン化法によって気体分子をイオン化するものである。また、本質量分析装置がLC/MSに利用される構成においては、イオン源1は大気圧化学イオン化法やエレクトロスプレイイオン化法によって液体分子をイオン化するものである。さらにまた、分析対象分子がタンパク質などの高分子化合物である場合にはMALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:マトリクス支援レーザ脱離イオン化法)を利用するとよい。
飛行空間2内にはイオンを略円形状の周回軌道Aに沿って飛行させるための案内電極22と、飛行空間2に導入されたイオンを上記周回軌道Aに乗せるため及び逆に周回軌道Aを飛行しているイオンを周回軌道Aから離脱させるためのゲート電極21とが配置されている。なお、ここでは周回軌道Aを円形状としているが、これに限るものではなく、前述の長円形状又は略8の字状の周回軌道のほか、任意の形状の周回軌道とすることができる。また、周回軌道でなくとも直線又は曲線状の往復軌道でもよい。
イオン検出器3は例えば光電子増倍管などであって、入射したイオンの数(又は量)に応じた信号(イオン強度信号)をデータ処理部6に出力する。データ処理部6は例えばパーソナルコンピュータ上で所定の処理プログラムを実行させることで具現化され、イオン強度信号を受けて横軸を質量、縦軸をイオン強度とした質量スペクトルを作成し、さらにそれに基づいて定性分析や定量分析を実行する。制御部5はこうした質量分析を行うために、イオン源1や飛行空間2内の電極21、22などを適宜制御する。
上記質量分析装置における基本的な分析動作は次の通りである。すなわち、イオン源1は制御部5による制御の下に、分析対象であるイオンに運動エネルギーを付与する。これによって、イオンはイオン源1から引き出されて飛行を開始する。イオン源1から出たイオンは飛行空間2に入り、ゲート電極21に到達する。ゲート電極21によりイオンは周回軌道Aに乗せられ、案内電極22によって周回軌道A上を飛行する。イオン源1からイオンが出発してから所定時間(後述のTg)が経過した時点で、イオンが周回軌道Aを離脱するように制御部5はゲート電極21に印加する電圧を変更する。これによって、その電圧変更以降は、周回軌道A上を周回しているイオンはゲート電極21を経てイオン検出器3へと向かう。イオン検出器3ではイオンが入射するとその数に応じた電流が流れ、これがイオン強度信号としてデータ処理部6へと出力される。各イオンの飛行速度はその質量に依存するから、イオン源1を発してイオン検出器3に到達する軌道(入射軌道+周回軌道A+出射軌道)上を飛行する間に各イオンは質量に応じて位置ズレを生じ、時間的にズレてイオン検出器3に到達する。したがって、時間経過に伴ってイオン強度信号を記録すれば、飛行時間スペクトル情報が得られる。
次に、本実施例の質量分析装置の特徴である質量の算出方法について説明する。いま、図1において次のように定めることとする。
Lin :イオン源1から周回軌道A入口まで(入射軌道)の飛行距離
Lout :周回軌道A出口からイオン検出器3まで(出射軌道)の飛行距離
U :イオンの持つ出射時の運動エネルギー
Ct(U):出射時の運動エネルギーUを持つイオンが周回軌道Aを1周する飛行距離
m :イオンの質
V(m,U) :質量m及び出射時の運動エネルギーUを持つイオンの速度
TOF(m,U) :質量m及び出射時の運動エネルギーUを持つイオンの飛行時間(イオン源1を発してからイオン検出器3に到達するまでの所要時間)
Lflight(m,U,T) :質量m及び出射時の運動エネルギーUを持つイオンが時間Tの間に飛行する距離
Tg : イオンをイオン源1より出射してから、周回軌道Aに乗ったイオンが周回軌道Aを離れてイオン検出器3の方向に飛行するような電圧をゲート電極21に印加するまでの時間
Cl(m,U) :Tgが経過した時点において、質量m及び出射時の運動エネルギーUを持つイオンが周回軌道A上で存在する位置
Nc(m) :質量mを持つイオンがTgの経過時点までに周回軌道Aを回った回数(周回数)
いま、時刻0においてイオン源1からイオンを出射させて周回軌道Aに乗せ、時刻Tgにおいて周回軌道Aを回っているイオンが周回軌道Aを離脱してイオン検出器3へと向かうようにゲート電極21への印加電圧を変更した場合を考える。この時刻Tgまでにイオンが飛行した距離は、
Lflight(m,U,Tg)=V(m,U)×Tg
である。また、このときイオンは周回軌道A上でゲート電極21から、
Cl(m,U)={Lflight(m,U,Tg)−Lin}mod Ct(U)
すなわち、Lflight(m,U,Tg)−LinをCt(U)で除した剰余、だけ離れた位置に存在している。また、時刻Tgまでの周回数は、
Nc(m)={Lflight(m,U,Tg)−Lin−Cl(m,U)}/Ct(U)
となる。
さらに、このイオンがイオン検出器3に到達する時刻TOF(m,U)は、
TOF(m,U)=Tg+{Ct(U)−Cl(m,U)+Lout}/V(m,U)
である。
一例として、次の条件を設定する。
U=1000[eV]
Lin=Lout=0.16[meter]
Ct(2keV)=1.28[meter]
Tg=500[μs]
この条件の下で、イオンの質量mと周回数Ncとの関係は図2に示すようになる。また、イオンの周回数Ncをパラメータとしたときの飛行時間TOFと質量mとの関係は図3(a)に示すようになる。この図3(a)で明らかなように、同一の飛行時間に対し周回数の異なる(つまり質量が異なる)イオンが計算される。これは、質量の異なるイオンが異なる周回数を以てほぼ同時にイオン検出器3に到達する可能性があることを意味する。そのため、測定によって飛行時間が求まっても、この結果のみからでは質量mを確定することができない。例えば、いま飛行時間スペクトル上で飛行時間525[μs]にピークが現れたものとすると、図3(a)に示す点線上に位置する質量が候補として挙げられる。すなわち、飛行時間525[μs]に対する周回数毎の候補質量は図4(a)に示すようになる。なお、ここでは説明を簡単にするために質量の上限を10000、周回数を2〜10に限定している。
次に、目的イオンがより少ない回数だけ周回軌道Aを回った後にイオン検出器3へと向かうようにするために、Tgを400[μs]に設定して同様の測定を実行し飛行時間スペクトルを取得する。このときにイオンの周回数Ncをパラメータとしたときの飛行時間TOFと質量mとの関係は図3(b)に示すようになる。この場合には、飛行時間スペクトル上で飛行時間441[μs]にピークが現れたものとすると、図3(b)に示す点線上に位置する質量が候補として挙げられる。すなわち、飛行時間441[μs]に対する周回数毎の候補質量は図4(b)に示すようになる。
次に、図4(a)と(b)とを比較する。すると、Tg=500[μs]における周回数6とTg=400[μs]における周回数5とが質量825.225で一致しており、他には質量が一致する組み合わせが存在しないことが分かる。したがって、ここでは目的イオンの質量が825.225であると推定することができる。すなわち、周回数自体は不明であっても、周回数が異なるようにTgを変更したときの2回の測定の結果に基づいて、質量を決定することができる。
また、基本的には同様の原理を利用し、算出方法のみを変更することができる。具体的には、図4(a)に示したTg=500[μs]で求めた各候補質量から、Tg=400[μs]に変更した状態での飛行時間を計算する。すると、図5に示した結果となる。この結果と実際にTg=400[μs]の条件で測定を行ったときに取得した飛行時間スペクトル上のピークの位置(飛行時間441[μs])とから、質量を825.225と決めることができる。
上記説明は目的イオンが1種類のみの場合であるが、実際には多数種類の目的イオンの質量を同時に決定することができる。この場合、飛行時間スペクトルには複数のピークが存在するが、各ピークが出現する飛行時間から候補質量を挙げ、2回の測定で得られた候補質量の一致を調べることよって各イオンの質量を決定することができる。さらにまた、2回の測定ではなく、互いに周回数が異なると想定される(場合によっては周回数が異ならない場合もあり得る)3回以上の測定を行うことにより、質量をより一層容易に決めることができる。
また、分析対象の試料の構成元素が既知である場合には、その元素の組み合わせを計算して質量の予想を行うことができる。このときの質量の予想値は離散的になるので、上述した方法で飛行時間から求めた候補質量とこの予測値との一致を調べることにより、質量の推定精度を格段に高めることができる。また、目的とするイオンについて大凡の質量の情報が与えられる場合には、こうした情報を用いて上記の候補質量を絞ることができる。
また、上記実施例は本発明の一実施例であるから、上記に記載した以外の点においても、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願発明に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例による質量分析装置の要部の概略構成図。 周回数と質量との関係の一例を示す図。 周回数をパラメータとしたときの飛行時間と質量との関係を示す図。 飛行時間525[μs]及び441[μs]に対する周回数と質量との関係を示す図。 Tg=500[μs]で求めた各候補質量からTg=400[μs]に変更した状態での飛行時間を計算した結果を示す図。
符号の説明
1…イオン源
2…飛行空間
21…ゲート電極
22…案内電極
3…イオン検出器
5…制御部
6…データ処理部
A…周回軌道

Claims (4)

  1. イオン源と、該イオン源から出発した各種イオンを飛行空間内に設定された所定の軌道に沿って複数回繰り返し飛行させるための飛行制御手段と、前記軌道を所定回数繰り返し飛行した後のイオンを検出する検出手段と、を具備する質量分析装置を用いた分析方法であって、
    目的とするイオンについて周回数に差が生じると想定される少なくとも2つの分析条件を前記飛行制御手段により設定してそれぞれ測定を行い、その少なくとも2回の測定で前記検出手段によりそれぞれ時間経過に伴うイオン強度信号を取し、それら異なる分析条件の下での時間経過に伴うイオン強度信号に基づいて、それら結果の整合性がとれるような質量を求めることにより目的とするイオンの質量を推定することを特徴とする質量分析方法。
  2. 時間経過に伴うイオン強度信号により目的とするイオンの飛行時間を求め、該飛行時間から周回数毎に対応する質量の候補を算出し、前記2回の測定による質量候補が異なる周回数で一致する又は一致するとみなせるものを目的とするイオンの質量であると推定することを特徴とする請求項1に記載の質量分析方法。
  3. a)イオン源から出発した各種イオンを飛行空間内に設定された所定の軌道に沿って複数回繰り返し飛行させるための飛行制御手段と、
    b)前記軌道を所定回数繰り返し飛行した後のイオンを検出する検出手段と、
    c)目的とするイオンについて周回数に差が生じると想定される少なくとも2つの分析条件を前記飛行制御手段により設定して測定を行い、その少なくとも2回の測定で前記検出手段によりそれぞれ得られる異なる分析条件の下での時間経過に伴うイオン強度信号に基づいて、それら結果の整合性がとれるような質量を求めることにより目的とするイオンの質量を推定する処理手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  4. 前記処理手段は、時間経過に伴うイオン強度信号により目的とするイオンの飛行時間を求め、該飛行時間から周回数毎に対応する質量候補を算出し、前記2回の測定による質量候補が異なる周回数で一致する又は一致するとみなせるものを目的とするイオンの質量と推定することを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。
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