JP4569349B2 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は飛行時間型質量分析装置に関し、更に詳しくは、分析対象であるイオンが略同一の軌道を周回運動又は往復運動するように飛行空間が形成された飛行時間型質量分析装置に関する。
飛行時間型質量分析装置(以下、TOFMSと略す)では、一般的に、電場により加速したイオンを電場及び磁場を有さない飛行空間内に導入し、検出器に到達するまでの飛行時間に応じて各種イオンを質量数毎に分離する。或る質量数差を有する2種類のイオンに対する飛行時間の差は飛行距離が長いほど大きくなるから、質量数分解能を高くするためにはできるだけ飛行距離を長く確保することが好ましい。しかしながら、装置の大きさなどの制限によって多くの場合、直線的な飛行距離を長くとることは困難であるため、飛行距離を実効的に長くするような各種の構成が従来より提案されている。
例えば特許文献1に記載のTOFMSでは、8の字状の閉じた周回軌道を形成し、この軌道に沿ってイオンを多数回繰り返し周回させることで飛行距離を実効的に長くしている。こうした周回軌道を利用した構成における問題点を、図2により説明する。図2は、8の字状の周回軌道に代えて、単純化した円形状の周回軌道を有するTOFMSの概略構成図である。
イオン源1を出発点として飛行を開始したイオンはゲート電極4を介して飛行空間2内に導入され、該飛行空間2内で略円形状の周回軌道3に乗るように案内される。この図2ではイオンを周回軌道3上で周回させるための電場を生成する電極については記載を省略している。イオンは周回軌道3を1乃至複数回周回した後、ゲート電極4を通過した直後に周回軌道3を離れ、飛行空間2から出てその外側に設けられた検出器5に到達して検出される。周回軌道3における周回数を多くすればするほどイオンの飛行距離は長くなるから、質量数が近いイオン同士の飛行時間の差も拡大し、その両イオンを互いに分離し易くなる。ところが、質量数の小さなイオンほど速い速度で周回軌道3を回るため、周回軌道3を回る間に、質量数の小さなイオンが周回遅れである質量数の大きなイオンに追いついてしまい、ほぼ同時に周回軌道3から離れて検出器5に飛び込むということが起こり得る。
このようにこの種のTOFMSでは、質量数が近いイオン同士の分離性は向上するものの、逆に周回する間に追い越しや追いつきが発生するような比較的質量数が離れているイオン同士の分離は却って困難になる場合がある。なお、同一軌道を一方向に繰り返し飛行する周回軌道でなく例えば直線状や曲線状の軌道を往復飛行させる場合でも、往復回数を増すことにより飛行距離を長くとることができる反面、上記と同様にイオンの追いつき・追い越しが起こり得るから同じ問題が発生する。
このような問題を回避するために、本出願人は特願2004−209576号により次のような手法を提案している。即ち、イオン源1を出発点として飛行を開始したイオンが周回軌道3に乗るまでの入射軌道、又は周回軌道3上を所定回数周回したイオンがその周回軌道3を離れて検出器5に到達するまでの出射軌道のいずれかにおいて、その軌道の実効的な飛行距離が相違する2つの状態においてそれぞれ同一質量数のイオンの飛行時間を測定する。その2回の測定の飛行時間の差は質量数に依存するため、その飛行時間差から質量数を算出することができる。また、実効的な飛行距離を変える代わりに、入射軌道上又は出射軌道上において所定の場(例えば電場)を飛行中のイオンに付与する力を変化させることで同一質量数のイオンがその場を通過する際の通過時間を変化させ、それによって飛行時間に差が生じるようにしてもよいことも明らかにしている。
このような構成によれば、上記飛行時間差に基づいて質量数の概算値を求め、これにより周回軌道の途中で追いつきや追い越しが生じた異なる質量数を有するイオンによるピークを区別し、周回数を確定した上で正確に質量数を算出することができる。
ところが、分析対象である試料に含まれる成分の数が多い場合、飛行時間を横軸に、信号強度を縦軸にとった飛行時間スペクトル上では多数のピークが存在し、上述したように飛行距離やイオンへ付与する力を変化させることで得た2つの飛行時間スペクトルを比べても、一方の飛行時間スペクトル上での或るピークが他方の飛行時間スペクトル上でどのピークに対応するのかの判別がつかない場合がある。この対応関係が明らかでないと飛行時間差が求まらず、そのため各ピークのイオンの周回数が確定しない。それによって、正確な質量数の算出もできなくなる。
特開平11−135060号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、例えば周回軌道を有する飛行時間型質量分析装置において、多数の成分を含むような試料を分析した場合でも、飛行時間スペクトルに現れる各ピークの元となるイオンの周回数を高い精度で求めることができ、ひいては各イオンの質量数を正確に求めることができる飛行時間型質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明は、イオン源から出発した各種イオンを略同一の軌道に沿って1乃至複数回繰り返し飛行させた後に検出器に導入することで、前記イオンを質量数に応じて分離して検出する飛行時間型質量分析装置において、
a)前記イオン源を出発した位置から前記軌道に入るまで若しくはイオンが前記軌道を離れる位置から検出器に到達するまでの間での実効的な飛行距離、又は通過するイオンを減速させる又は加速させる力の付与の状態、が相違する少なくとも2つの態様で、それぞれイオンの飛行時間を測定する測定手段と、
b)前記測定手段による測定により得られる少なくとも2つの飛行時間スペクトルに現れるピークの形状を比較することにより同一種のイオンに由来するピークを見つけるピーク同定手段と、
c)前記ピーク同定手段により見い出された同一種のイオンに由来するピークから得られる飛行時間の差に基づいて該イオンのおおよその質量数を推定し、該おおよその質量数から前記測定手段による当該イオンの測定時における周回数を確定させて、少なくとも一方の前記飛行時間から該イオンの質量数を算出する処理手段と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、イオン源から出発した各種イオンを略同一の軌道に沿って1乃至複数回繰り返し飛行させた後に検出器に導入することで、前記イオンを質量数に応じて分離して検出する飛行時間型質量分析装置において、
a)前記イオン源を出発した位置から前記軌道に入るまで若しくはイオンが前記軌道を離れる位置から検出器に到達するまでの間の実効的な飛行距離、又は、通過するイオンを減速させる又は加速させる力の付与の状態、が相違する3つの態様で、それぞれイオンの飛行時間を測定する測定手段と、
b)前記測定手段による測定で得られる2つの飛行時間スペクトルに現れるピークのうち同一種のイオンに由来するピークを想定し、該想定の下に他の1つの飛行時間スペクトルに現れるピークの位置を仮定してその仮定の位置にピークが存在するか否かを判定することにより同一種のイオンに由来するピークを見つけるピーク同定手段と、
c)前記ピーク同定手段により見い出された同一種のイオンに由来するピークから得られる飛行時間の差に基づいて該イオンのおおよその質量数を推定し、該おおよその質量数から前記測定手段による当該イオンの測定時における周回数を確定させて、少なくともいずれか一つの前記飛行時間から該イオンの質量数を算出する処理手段と、
を備えることを特徴としている。
第1及び第2発明に係る飛行時間型質量分析装置において、上記「軌道」とは周回毎に全く同一の軌道ではなく、例えば周回毎に少しずつ軌道がずれる螺旋状のような軌道も含むものとする。また、直線状又は曲線状にイオンが往復する往復軌道も含むものとする。
第1及び第2発明に係る飛行時間型質量分析装置においては、分析対象の試料が多数の成分を含むものである場合、飛行時間スペクトル上では周回数の異なるイオンによるピークが混在するため、測定手段による態様の異なる2つの飛行時間スペクトルに現れているピークの中心時間を比べてもピークの対応関係を見い出せないことがある。
第1発明に係る飛行時間型質量分析装置では、その場合に、ピークの形状、具体的にはピークの幅(半値幅)や強度の情報、或いは同位体分布などを利用して同一種のイオンに由来するピークを見つける。一般にこの種の質量分析装置では、同一時刻にイオン源を発した同一質量数のイオンは同一時刻に検出器に到達するように時間的な収束が保証されるが、そのばらつきは質量数に関係する。即ち、ピークの幅は質量数に依存することになり、ピーク形状が類似しているものは同一質量数を持つイオンに由来するピークであると高い確率で以て推定することができる。
したがって、第1発明に係る飛行時間型質量分析装置によれば、同一試料についてたかだか2回の測定作業を実行することにより、該試料に含まれる成分数が多くても各成分に対するイオンのおおよその質量数を算出し、それに基づいてそれぞれ周回数を確定させて正確な質量数を求めることができる。したがって、幅広い質量数範囲にわたるイオンの質量分析を効率的に行うことができる。
一方、第2発明に係る飛行時間型質量分析装置では、3回の測定を実行して、その結果得られる3つの飛行時間スペクトルに基づいて同一種イオンに由来するピークを見出す。これにより、同一試料についての測定回数を第1発明よりも増やす必要はあるものの、同一種イオンに由来するピークをより高い信頼性を以て見い出すことができ、質量分析の精度を向上させることができる。
[実施例1]
本発明に係る飛行時間型質量分析装置の一実施例(実施例1)について、図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施例によるTOFMSの概略構成図である。既に説明した図2と同一又は相当する構成要素には同一符号を付している。
図1において、イオン源1から引き出された各種イオンはゲート電極4により飛行空間2内の周回軌道3に乗る。そして、イオンは周回軌道3に沿って1乃至複数回、周回運動した後にゲート電極4を通過した直後に周回軌道3を離れて飛行空間2から出射する。飛行空間2の出射口の外側には反射器(反射用電極)6が設置され、該反射器6により形成される電場によってイオンは折り返されて検出器5へと到達する。制御部8の制御の下に電圧印加部9から反射器6に印加する電圧を適宜に変化させて反射器6内での電場の電位勾配を変えると、同一種のイオンの折り返し位置が変化する。これにより、実効的な出射軌道の距離を変化させることができる。
いま、図1において次のように定めることとする。
Lin:イオン源1からゲート電極4までの飛行距離(以下、入射側飛行距離という)
Ct :周回軌道3の1周の距離
Lout1 :ゲート電極4から反射器6までの飛行距離(以下、出射側前半飛行距離という)
Lout2 :反射器6から検出器5までの飛行距離(以下、出射側後半飛行距離という)
d1 :反射器6の1段目の電場間隔
d2 :反射器6の2段目の電場間隔
V1:反射器6の1段目の電圧
V2:反射器6の2段目の電圧
t1:原子質量100のイオンが周回軌道3を1周回るのに要した時間
t2:イオン源1からのイオンの出発時点を0としたときに、イオンを反射器6へ向けて排出するような電圧をゲート電極4に印加するときの経過時間
m :イオンの質量数
U :イオン源で加速されたイオンの運動エネルギー
こここでは一例として、上記パラメータを、Lin=0.25[m]、Ct=2[m]、Lout1=0.25[m]、Lout2=0.5[m]、d1=0.008[m]、d2=0.06[m]、V1=2100[V]、V2=1350[V]、t2=500μs、U=3000[eV]と定める。
時刻0においてイオンがイオン源1から加速されて、入射飛行軌道を飛行した後、周回軌道3に乗るものとする。ゲート電極4に印加される電圧によって発生する電場は、原子質量100であるイオンが周回軌道を1周した時点で、入射飛行軌道を経て到来したイオンが周回軌道3に乗るような電場から既に周回軌道3に乗っているイオンが周回軌道3を回り続けるような電場に切り替わるものとする。また、t2(500μs)において、ゲート電極4に印加される電圧によって発生する電場は、それまで周回軌道3を周回していたイオンが周回軌道3を離れて反射器6に向かう出射軌道を進むような電場に切り替わるものとする。
このとき、質量数が100〜2500のイオンについての質量数と飛行時間との関係は図3に示すようになる。質量数の小さなイオンは飛行速度が速いため、質量数の大きなイオンよりも周回軌道3を多くの回数回ることになる。
いま仮に原子質量単位が100毎のイオンが観測されたとすると、図4に示すように、上記図3に示すカーブ上の特定の点のみがプロットされた図となる。但し、実際に検出器5においては質量数は不明であるので、信号強度が等しいと仮定した場合には、図5に示すような飛行時間スペクトルが得られることになる。図5では異なる回数だけ周回したイオンのピークが混じってしまっており、どのピークが何回周回したイオンに対応するのかが判別できない。
いま説明を簡単にするために飛行時間620〜640μsの範囲にのみ着目する。図6(a)はV1=2100[V]としたときの620〜640μsの範囲のスペクトルである。これに対し、反射器6の1段目の電圧をV1=2050[V]に変化させて2回目の測定を行う。電圧V1を下げたことにより、イオンは反射器6の奥まで入って折り返すから出射軌道の距離が長くなり、その分だけ飛行時間は長くなる。このときの620〜640μsの範囲のスペクトルを図6(b)に示す。このように多数のスペクトルが存在する場合(つまり多数の成分を同時に分析する場合)、図6(a)と図6(b)とのピークの対応関係が不明確である。
具体的に言うと、図6(a)において633、636μs付近のピークP2、P1については、図6(b)において633.5、637μs付近のピークPb、Paがそれぞれ対応することは容易に判別できる。ところが、図6(a)において623μs付近でごく近接している2本のピークについては、図6(b)においていずれのピークに対応するのかを判別するのは困難である。
そこで、この実施例のTOFMSでは、ピークの中心時間だけでは同一種のイオンに由来するピークの判別ができない場合に、ピークの形状の情報を利用する。ここで言うピーク形状の情報とは、ピークの半値幅、強度のほか、組成による同位体分布などが考えられる。原理的にはピークの半値幅は質量数に依存するため、V1=2100[V]とした1回目の測定で得られた飛行時間スペクトルと、V1=2050[V]とした2回目の測定で得られた飛行時間スペクトルとで類似した形状のピークを探すことで、同一種のイオンに由来する対応したピークを見い出すことができる。
この実施例のTOFMSにおける分析手順を、図7に示すフローチャートに従って説明する。即ち、上述したように反射器6の1段目の電圧V1を所定の値(上記例では2100[V])に設定して1回目の測定を実行し、飛行時間スペクトルデータを収集する(ステップS1)。このデータに基づいて作成されるのが、例えば図6(a)である。次に、反射器6の1段目の電圧V1を変化させて(上記例では2050[V])2回目の測定を実行し、飛行時間スペクトルデータを収集する(ステップS2)。このデータに基づいて作成されるのが、例えば図6(b)である。
データ処理部7では、2つの飛行時間スペクトルに現れているピークの中心時間(ピークトップに対応した飛行時間)を比較して同一種イオンに由来するピークの判別を試みる(ステップS3)。例えば、1回目の測定による飛行時間スペクトルにおける1個のピークに対して所定の遅延時間幅を設定し、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおいてその遅延時間幅内にピークが1個のみ存在した場合には両者は同一種イオンに由来するピークであると判断する。これに対し、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおいてその遅延時間幅内にピークが複数存在した場合には同一種イオンに由来するピークが判別できなかったものとする。上記「所定の遅延時間幅」は、1回目と2回目の測定の条件の相違の下で、最も大きな質量数のイオンの飛行時間の差を考慮して決めることができる。
そして、全てのピークの判別が可能であった場合(ステップS4でY)にはステップS6へと進み、判別できなかったピークが存在する場合にはステップS5の処理を実行する。ステップS5では、上述したように1回目の測定による飛行時間スペクトルにおけるピークの形状と類似した形状のピークを2回の測定による飛行時間スペクトルにおいて探索する。実際には、全てのピーク形状を調べる必要はなく、1回目の測定による飛行時間スペクトルにおける1個のピークに対して、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおいてその遅延時間幅内に存在する複数のピークについて調べれば十分である。基本的にはピークの半値幅で比較すればよいが、1回目と2回目の測定の測定間隔が短ければ同一種のイオンに対する信号強度は同程度得られる筈なので、信号強度を比較してもよい。また、同位体が存在する場合には同位体分布パターンを利用することができる。これによって、例えば図6(a)及び(b)に示したピークについても対応関係を明らかにすることができる。
上記ステップS3及びS5により2つの飛行時間スペクトルにおいてピークの対応関係が明らかになったならば、各イオンについて飛行時間の差から質量数を概算する(ステップS7)。そして、その質量数の概算値から周回数を確定する(ステップS8)。周回数が確定したならば、各イオンの飛行時間に基づいて正確な飛行時間を算出し直す(ステップS9)。このようにして、目的試料に含まれる各イオンについてそれぞれ高い精度で質量数を求めることができる。
[実施例2]
次に、本発明に係る飛行時間型質量分析装置の他の実施例(実施例2)について説明する。この実施例2によるTOFMSは、上記実施例1とは分析手順が相違するので、その点について図8に示すフローチャートに従って説明する。
即ち、上述したように反射器6の1段目の電圧V1を所定の値(例えば2100[V])に設定して1回目の測定を実行し、飛行時間スペクトルデータを収集する(ステップS11)。次に、反射器6の1段目の電圧V1を変化させて(例えば2050[V])2回目の測定を実行し、飛行時間スペクトルデータを収集する(ステップS12)。さらに、反射器6の1段目の電圧V1を変化させて(例えば2000[V])3回目の測定を実行し、飛行時間スペクトルデータを収集する(ステップS13)。
データ処理部7では、まず1回目及び2回目の測定による2つの飛行時間スペクトルに現れているピークの中心時間(ピークトップに対応した飛行時間)を比較して同一種イオンに由来するピークの判別を試みる(ステップS14)。ピークの判別方法は実施例1と同様に、例えば、1回目の測定による飛行時間スペクトルにおける1個のピークに対して所定の遅延時間幅を設定し、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおいてその遅延時間幅内にピークが1個のみ存在した場合には両者は同一種イオンに由来するピークであると判断する。これに対し、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおいてその遅延時間幅内にピークが複数存在した場合には同一種イオンに由来するピークが判別できなかったものとする。
そして、全てのピークの判別が可能であった場合(ステップS15でY)にはステップS17へと進み、判別できなかったピークが存在する場合にはステップS16の処理を実行する。ステップS16では、上述したように1回目及び2回目の測定による飛行時間スペクトルに加え、3回目の測定による飛行時間スペクトル上に現れているピークの中心位置を考慮する。具体的には、1回目の測定による飛行時間スペクトルにおける1個のピークに対して、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおいてその遅延時間幅内に存在する有る1個のピークが対応していると仮定し、3回目の測定による飛行時間スペクトルにおいて対応するピークの出現位置を想定する。そして3回目の測定による飛行時間スペクトルにおいて想定されたピークの出現位置に実際にピークが存在していた場合に、2回目の測定による飛行時間スペクトルにおける仮定が正しかったものと結論付ける。
例えば図9の飛行時間スペクトルで説明すると、1回目の測定(V1=2100[V])では近接している2本のピークが、V1=2050[V]、V1=2000[V]と分析条件を変化させて出射側距離を変化させることでピーク間隔が開いてゆく。したがって、1回目と2回目の2回の測定結果ではピークの確定が困難な場合であっても、上述したように3回目の測定による飛行時間スペクトルを加えることでピークを容易に確定させることができるようになる。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一実施例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行えることは明らかである。例えば、上記実施例では、イオンが周回軌道を離れてから検出器に到達するまでの間に反射器を設けてその反射器に印加する電圧を変化させることで実効的な飛行距離を変えていたが、飛行距離を変える手法はこれに限らない。また、飛行距離を変えるのではなく、イオンが通過する電場などの変化させることでイオンに対する減速或いは加速度合いを変えて飛行時間に差が生じるようにしてもよい。例えば、本出願人が特願2004−209576号により提案したような様々な形態に対し、本発明を適用することができることは明らかである。
本発明の一実施例(実施例1)によるTOFMSの概略構成図。 従来のTOFMSの概略構成図。 質量数が100〜2500のイオンについての質量数と飛行時間との関係を示す図。 図3において原子質量単位が100毎のイオンが観測された場合の質量数と飛行時間との関係を示す図。 図4の場合で信号強度が同一であるとした場合の飛行時間スペクトルを示す図。 飛行時間620〜640μsの範囲内における1回目の測定と2回目の測定の飛行時間スペクトルの一例を示す図。 実施例1によるTOFMSの分析手順を示すフローチャート。 本発明の他の実施例(実施例2)によるTOFMSの分析手順を示すフローチャート。 3回の測定の飛行時間スペクトルの一例を示す図。
符号の説明
1…イオン源
2…飛行空間
3…周回軌道
4…ゲート電極
5…検出器
6…反射器
7…データ処理部
8…制御部
9…電圧印加部

Claims (2)

  1. イオン源から出発した各種イオンを略同一の軌道に沿って1乃至複数回繰り返し飛行させた後に検出器に導入することで、前記イオンを質量数に応じて分離して検出する飛行時間型質量分析装置において、
    a)前記イオン源を出発した位置から前記軌道に入るまで若しくはイオンが前記軌道を離れる位置から検出器に到達するまでの間での実効的な飛行距離、又は通過するイオンを減速させる又は加速させる力の付与の状態、が相違する少なくとも2つの態様で、それぞれイオンの飛行時間を測定する測定手段と、
    b)前記測定手段による測定により得られる少なくとも2つの飛行時間スペクトルに現れるピークの形状を比較することにより同一種のイオンに由来するピークを見つけるピーク同定手段と、
    c)前記ピーク同定手段により見い出された同一種のイオンに由来するピークから得られる飛行時間の差に基づいて該イオンのおおよその質量数を推定し、該おおよその質量数から前記測定手段による当該イオンの測定時における周回数を確定させて、少なくとも一方の前記飛行時間から該イオンの質量数を算出する処理手段と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. イオン源から出発した各種イオンを略同一の軌道に沿って1乃至複数回繰り返し飛行させた後に検出器に導入することで、前記イオンを質量数に応じて分離して検出する飛行時間型質量分析装置において、
    a)前記イオン源を出発した位置から前記軌道に入るまで若しくはイオンが前記軌道を離れる位置から検出器に到達するまでの間の実効的な飛行距離、又は、通過するイオンを減速させる又は加速させる力の付与の状態、が相違する3つの態様で、それぞれイオンの飛行時間を測定する測定手段と、
    b)前記測定手段による測定で得られる2つの飛行時間スペクトルに現れるピークのうち同一種のイオンに由来するピークを想定し、該想定の下に他の1つの飛行時間スペクトルに現れるピークの位置を仮定してその仮定の位置にピークが存在するか否かを判定することにより同一種のイオンに由来するピークを見つけるピーク同定手段と、
    c)前記ピーク同定手段により見い出された同一種のイオンに由来するピークから得られる飛行時間の差に基づいて該イオンのおおよその質量数を推定し、該おおよその質量数から前記測定手段による当該イオンの測定時における周回数を確定させて、少なくともいずれか一つの前記飛行時間から該イオンの質量数を算出する処理手段と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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