JP2007280655A - 質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分析目的に応じて、1台の装置で、短時間の繰り返し分析が可能である第1質量分析モードと高質量分解能、高精度の分析が可能な第2質量分析モードとの切り替えを可能とする。
【解決手段】イオン源1から出射したイオンが飛行する直線軌道B上にゲート電極3を設け、MSモード切替制御部7からゲート電極3に電圧が印加されたときにはイオンが周回軌道Aに導入されるようにする。周回軌道A上にはイオン非破壊型の第2イオン検出器6を設けられ、データ処理部9ではこの検出信号に基づく飛行時間スペクトルデータをフーリエ変換して時間/周波数変換を行うことで、高質量分解能での質量数の算出を可能とする。ゲート電極3に電圧が印加されないときにはイオン源1から出射されたイオンは直線軌道Bを経て第1イオン検出器5で検出されるから、分析時間が短く高い時間分解能を達成できる。
【選択図】図1
【解決手段】イオン源1から出射したイオンが飛行する直線軌道B上にゲート電極3を設け、MSモード切替制御部7からゲート電極3に電圧が印加されたときにはイオンが周回軌道Aに導入されるようにする。周回軌道A上にはイオン非破壊型の第2イオン検出器6を設けられ、データ処理部9ではこの検出信号に基づく飛行時間スペクトルデータをフーリエ変換して時間/周波数変換を行うことで、高質量分解能での質量数の算出を可能とする。ゲート電極3に電圧が印加されないときにはイオン源1から出射されたイオンは直線軌道Bを経て第1イオン検出器5で検出されるから、分析時間が短く高い時間分解能を達成できる。
【選択図】図1
Description
本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、イオンに初期運動エネルギーを付与して所定の飛行空間を飛行させる間に、質量数の差異に応じてイオンを時間方向に分離する質量分離部を有する質量分析装置に関する。
飛行時間型質量分析装置では、一般的に、電場により初期運動エネルギーを与えたイオンを電場及び磁場を有さない飛行空間内に導入し、イオン検出器に到達するまでの飛行時間に応じて様々なイオン種を質量数毎に分離する。この種の質量分析装置において質量分解能を高くするためには、イオンの飛行距離をできるだけ長くすることが好ましいが、装置のサイズ等の制約のために直線的な飛行距離を長くすることは困難であることが多い。そのため、飛行距離を実効的に長くするような各種の構成が従来より提案されている。
飛行距離を長くする1つの方法として、特許文献1などに記載のように、略円形状、略8の字状等、複数の電場を利用して閉じた周回軌道や螺旋状の擬似的な周回軌道を形成し、この周回軌道にイオンを導入して多数回イオンを周回させることで質量数に応じてイオンを分離し、その後にイオンをイオン検出器に入射させるような構成が知られている。しかしながら、イオンに付与される初期的な運動エネルギーのばらつき、イオンの出発地点の位置のばらつき、イオンの出発時の時間的な変動(ジッタ)、イオン検出器で検出される際の時間的変動(ジッタ)など、質量数に依存しない様々な要因によって飛行時間に誤差を生じ、これが分析精度を落とす一因となる。
こうした問題を解決するため、特許文献2に記載の質量分析装置では、周回軌道に乗ったイオンの各周回毎の飛行時間(経過時間)を検出可能なイオン検出器を設け、該イオン検出器による検出信号に基づいて周回毎にピークが出現する飛行時間スペクトルを作成し、このスペクトルデータをフーリエ変換することで時間軸を周波数軸に変換して、周波数スペクトル上で質量数に応じた周波数のピークを見つけて質量数を求めるようにしている。このようにフーリエ変換を利用したデータ処理を行う構成では、上記のような質量数に依存しない各種誤差要因を排除して高い精度で質量数を求めることができる。また、イオンが周回軌道を周回する間に質量数の相違による速度の相違から周回遅れが起こっても、異なる質量数のイオンを分離して検出することができるため、測定質量数範囲を広げることが可能である。
このようなフーリエ変換処理を利用した周回飛行時間型質量分析装置は、高精度、高質量分解能という利点があるものの、精度を高めるには同一イオン種の周回数をかなり多くする必要がある。実用的には例えば1000回以上もの周回数が必要であり、1回の分析が終了するまでに時間が掛かる。そのため、短い時間間隔で繰り返し分析を行うような用途には不向きである。例えば、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフの検出器として質量分析装置を使用する場合、カラムから溶出する試料を繰り返し分析する必要がある。こうした場合、1回の分析時間が長いとそれだけ時間分解能が低くなるから、試料成分の検出見逃しが発生するおそれがある。
一方、通常の飛行時間型質量分析装置では、上記のような構成の周回飛行時間型質量分析装置よりも遙かに短い周期で繰り返し分析が可能であるため、時間分解能を高くして試料成分の検出見逃しを回避できる。また、上記フーリエ変換型とは異なりイオンそのものを受けて(つまり破壊して)検出するため、感度が高くイオン量が少なくても検出が可能である。その代わりに、分析精度や質量分解能を高くすることができないという不利な点がある。そのため、クロマトグラフとの組み合わせにおいて試料成分の検出見逃しを減らし、特定の試料成分については高い質量分解能で分析を行いたいような場合には、同じ試料を異なる装置で2回測定する必要があり面倒で手間が掛かる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、分析目的に応じて、高時間分解能の質量分析と高質量分解能、高精度の質量分析とを適宜に切り替えて実行することができる質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置は、
a)分析対象のイオンを出射するイオン源と、
b)前記イオン源から飛行を開始したイオンを質量数の差異に応じて時間的に分離させるための第1飛行空間と、
c)前記第1飛行空間を飛行して来たイオンを検出する第1検出器と、
d)略同一の周回軌道に沿ってイオンを複数回繰り返し飛行させるための第2飛行空間と、
e)前記第1飛行空間内の飛行経路の途中にあって前記イオン源から飛行を開始したイオンを前記第2飛行空間の周回軌道に選択的に導入するべくイオンの飛行軌道を変化させる飛行軌道選択手段と、
f)前記周回軌道上にあって少なくとも一部の量のイオンを保存しながら通過するイオンを検出する第2検出器と、
g)第1質量分析モードでは前記第1検出器による検出結果に基づいて飛行時間に応じイオンの質量数を算出し、第2質量分析モードでは前記第2検出器による検出結果に基づいて作成される周回毎の飛行時間を表す波形データをフーリエ変換することで時間/周波数変換を行い、その周波数より目的とするイオンの質量数を算出する処理手段と、
を備えることを特徴としている。
a)分析対象のイオンを出射するイオン源と、
b)前記イオン源から飛行を開始したイオンを質量数の差異に応じて時間的に分離させるための第1飛行空間と、
c)前記第1飛行空間を飛行して来たイオンを検出する第1検出器と、
d)略同一の周回軌道に沿ってイオンを複数回繰り返し飛行させるための第2飛行空間と、
e)前記第1飛行空間内の飛行経路の途中にあって前記イオン源から飛行を開始したイオンを前記第2飛行空間の周回軌道に選択的に導入するべくイオンの飛行軌道を変化させる飛行軌道選択手段と、
f)前記周回軌道上にあって少なくとも一部の量のイオンを保存しながら通過するイオンを検出する第2検出器と、
g)第1質量分析モードでは前記第1検出器による検出結果に基づいて飛行時間に応じイオンの質量数を算出し、第2質量分析モードでは前記第2検出器による検出結果に基づいて作成される周回毎の飛行時間を表す波形データをフーリエ変換することで時間/周波数変換を行い、その周波数より目的とするイオンの質量数を算出する処理手段と、
を備えることを特徴としている。
上記「イオン源」は試料分子をイオン化する機能を有しているものでもよいが、そうした機能を持たず、例えばイオントラップのように外部で生成されたイオンを一時的に蓄積し、所定のタイミングで初期運動エネルギーをイオンに与えることで飛行を開始させるようなものでもよい。
また上記「第2検出器」としては、例えば周回軌道上の或る位置を通過するイオンの電荷を電磁的に検出するような非破壊型のイオン検出器とすることができる。この種のイオン検出器ではイオンを損失させることなく検出が可能であるので、原理的には周回数の制約なく各周回毎にイオンを検出することができる。また、「第2検出器」は、通過するイオンの一部を消耗し、つまりは残りの大部分のイオンは通過させながら検出を行うイオン検出器でもよい。この場合には、イオン検出毎にイオン量が徐々に減少してゆくため、原理的に周回数の上限が存在するものの、その上限以下の範囲では1回のイオン出射で周回毎の飛行時間を得ることができる。
本発明に係る質量分析装置において、飛行軌道選択手段によりイオンが周回軌道に導入されない場合(第1質量分析モード)には、イオン源から出発したイオンは第1飛行空間内を飛行する間に質量数に応じて時間方向に分離されて、質量数差を有するイオンは時間的にずれて第1検出器に到達して検出される。それにより、処理手段は、例えば横軸が時間、縦軸が信号強度である飛行時間スペクトルを作成し、このスペクトルに現れるピークの時間情報に基づいて質量数を算出する。
一方、飛行軌道選択手段によりイオンが周回軌道に導入される場合(第2質量分析モード)には、第2飛行空間内で周回軌道に沿ってイオンは飛行を続け、イオンが第2検出器を通過する毎に検出信号が得られる。したがって、処理手段がこの検出信号に基づいて飛行時間スペクトルを作成すると、この飛行時間スペクトル上では、或る質量数を持つイオンによるピークはそのイオンの周回時間(周回軌道を1周回するのに要する時間)毎に現れる。この周回時間はイオン速度に依存しているから、飛行時間スペクトルの波形データをフーリエ変換すると、周回時間はそのイオンの質量数に応じた周波数に変換される。複数の質量数のイオンが混在していて飛行時間スペクトル上ではピークが重なっている場合でも、フーリエ変換後は、それぞれの質量数に対応した異なる周波数が得られる。処理手段は、この周波数に基づいて各イオンの質量数を算出することができる。
上記第1質量分析モードでは、飛行時間が相対的に短いので、質量分解能や精度は相対的に低いものの1回の分析のサイクルは短い。そのため、繰り返し分析における時間分解能を高くすることができる。これに対し、上記第2質量分析モードでは、周回数を増やすために1回の分析サイクルを長くする必要があり、時間分解能は低いものの質量分解能や分析精度は高い。本発明に係る質量分析装置では、第1質量分析モードと第2質量分析モードとを適宜に切り替えて実行することができるから、例えばクロマトグラフで時間的に分離された試料成分を順次検出する場合に、基本的には、第1質量分析モードによる繰り返し分析を実行して時間分解能を高めることで試料成分の検出見逃しを防止するとともに、特定の試料成分が溶出するタイミングで第2質量分析モードによる分析を実行することで、該試料成分を高い精度及び質量分解能で分析することが可能である。
このように本発明に係る質量分析装置によれば、1台の装置で、分析目的に応じて高時間分解能且つ高感度での質量分析と時間分解能は低いものの高質量分解能且つ高精度の質量分析とを適宜に切り替えて行うことができる。
以下、本発明の一実施例である質量分析装置について、図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施例による質量分析装置の概略構成図である。この例では、周回軌道を円形状としているが、これに限るものではなく、長円形状、8の字状などの任意の形状の周回軌道とすることができる。
試料分子はイオン源1においてイオン化され、初期運動エネルギーを付与されてイオン源1から出発して第1飛行空間2内に導入される。第1飛行空間2内に配設されたゲート電極3に電圧が印加されていない場合、ゲート電極3は存在しないものとみなせ、イオンは第1飛行空間2内に設定された直線軌道Bを通って第1イオン検出器5に到達する。これは一般的な飛行時間型の質量分離部の構成であり、イオンの質量数が大きいほど飛行速度が遅いため、直線軌道Bを通る間に様々な質量数を持つイオンはその質量数に応じて時間的に分離されて第1イオン検出器5に到達して検出される。
この第1イオン検出器5は、例えば光電子増倍管などの、入射したイオンの量に応じたイオン電流を生成する検出器であり、イオンを保存しない破壊型の検出器であると言える。この第1イオン検出器5の検出信号は本発明における処理手段に相当するデータ処理部9に入力され、データ処理部9では横軸に時間、縦軸にイオン強度をとった飛行時間スペクトルが作成される。なお、このようにイオン源1から出射したイオンが直線軌道Bを通って第1イオン検出器5に到達して検出される分析動作を、本明細書中では、第1質量分析(MS)モードと呼ぶ。
MSモード切替制御部7によりゲート電極3に所定の電圧が印加されている場合には、ゲート電極3により形成される電場の影響を受けてイオンの飛行軌道は曲がり、イオンは第2飛行空間4内に設定されている周回軌道Aに導入される。なお、図1では図示していないが、周回軌道Aを形成するために、第2飛行空間4内には複数の電場を形成する電極が適宜に配置されている。各電極には周回飛行制御部8より電圧が印加されるようになっており、これにより周回軌道Aに沿ってイオンが飛行する電場が形成される。
この周回軌道Aの途中には第2イオン検出器6が設置されている。第2イオン検出器6は例えば電磁誘導作用などを利用して荷電粒子であるイオンの通過量に対応した電気信号を出力する、いわゆる非破壊型の検出器である。したがって、周回軌道A上を飛行するイオンは第2イオン検出器6を通過する際に何らの影響も受けない。この第2イオン検出器6の検出信号もデータ処理部9へと入力されている。
前述のようにゲート電極3の作用によりイオンが周回軌道Aに導入された場合には、基本的には上限回数の制限無くイオンは周回軌道Aを回り続けることができる。第2イオン検出器6はイオンが通過する毎に検出信号を出力し、或る質量数を有するイオンが周回軌道Aを1周するのに要する時間は決まっているから、或る質量数を持つイオンに対する第2イオン検出器6の検出信号は一定時間毎に発生することになる。
図4は単一の質量数のイオンが周回軌道Aを周回する際に得られる飛行時間スペクトルの一例である。イオンが第2イオン検出器6を通過する度にピークが出現し、そのピークの時間間隔Δt1は一定になる。したがって、これは或る周波数fを持つ信号波形であるとみることができ、この飛行時間スペクトルデータをフーリエ変換することにより時間軸を周波数軸に変換すれば、その周波数スペクトル上では上記周波数fにピークが現れる筈である。したがって、周波数fを求めることができ、さらに、この周波数fからイオンの質量数を算出することができる。
質量数が相違すると、飛行時間スペクトル上でのピークの時間間隔が相違する。図5は2種類の質量数を持つイオンが周回軌道Aを周回する際に得られる飛行時間スペクトルの一例である。或る質量数のイオンに由来するピークの時間間隔はΔt1、他の質量数のイオンに由来するピークの時間間隔はΔt2であり、当然、異なる質量数のピークが重なり合う場合がある。しかしながら、この飛行時間スペクトルデータをフーリエ変換すれば、周波数スペクトル上ではそれぞれの質量数に対応した周波数にピークが現れるので、その周波数からそれぞれの質量数を算出することが可能となる。なお、このようにイオン源1から出射したイオンが周回軌道Aに導入されて周回する間に第2イオン検出器6により繰り返し検出される分析動作を、本明細書中では、第2質量分析(MS)モードと呼ぶ。
上記MSモード切替制御部7、周回飛行制御部8、データ処理部9などの動作は、いずれも制御部10により統括的に制御される。また、データ処理部9や制御部10の機能は、パーソナルコンピュータにインストールした処理/制御ソフトウエアを実行することで具現化することができる。
次に、上記構成を有する本実施例の質量分析装置(MS)21を、図2に示すように液体クロマトグラフ(LC)20の検出器として利用する場合、つまり液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)の分析動作の一例について説明する。
液体クロマトグラフ20では試料が注入された時点から時間が経過するに従い、順次分離された試料成分が溶出して質量分析装置21に導入される。液体クロマトグラフ20から溶出する試料成分を検出した結果であるクロマトグラムは、例えば図3(a)に示すようになるものとする(但し、実際にこのクロマトグラムが描出されるとは限らない)。順次溶出する各試料成分をできる限り漏れなく検出するには、繰り返し分析の分析周期ができるだけ短いことが望ましい。そこで、基本的には、制御部10は第1質量分析モードで以て短い周期で繰り返し分析を実行するように各部を制御する(図3(b)参照)。
具体的には、MSモード切替制御部7はゲート電極3に電圧を印加せず、データ処理部9は第1イオン検出器5で得られた検出信号に基づいて1回の分析毎に1つの飛行時間スペクトルを作成し、さらにこの飛行時間スペクトルに基づいてマススペクトルを作成してマススペクトル上に現れたピークから各イオンの質量数を求める。
但し、特に高精度、高質量分解能で観測したい時間範囲については、第2質量分析モードで分析を行うように設定しておく。これにより、制御部10の制御により、図3(c)に示すように、高質量分解能で観測したいイオン(クロマトグラム上のピークPに対応するイオン)がイオン源1から出射されてくるタイミングでMSモード切替制御部7はゲート電極3に電圧を印加し、到来するイオンを周回軌道Aに導く。また、周回飛行制御部8はイオンが周回軌道Aに沿って飛行するような電場を形成する。そして、データ処理部9は第2イオン検出器6で得られた検出信号に基づいて飛行時間スペクトルの作成を開始する。
MSモード切替制御部7は所定時間の間、ゲート電極3に電圧を印加した後、再び電圧をオフし、第1質量分析モードに戻るようにすればよい。一方、周回軌道Aに導入されたイオンは回り続け、引き続き飛行時間スペクトルの作成は続けられる。即ち、図3(b)、(c)で分析期間がオーバーラップしていることで分かるように、データ処理部9では、第1質量分析モードと第2質量分析モードの飛行時間スペクトルの作成等の処理は並行して実行される。そして、第2イオン検出器6からの検出信号に基づく所定周回数分の飛行時間スペクトルデータが得られたならば、上述したようにフーリエ変換を実行して時間軸を周波数軸に変換して周波数スペクトルを作成する。そして、周波数スペクトル上でピーク検出が実行され、検出されたピーク位置の周波数に基づいて目的とするイオンの質量数が算出される。
以上のように本実施例による質量分析装置を検出器としたLC/MSでは、全体としては通常の飛行時間型質量分析装置としての動作により高時間分解能で以て繰り返し質量分析結果が取得され、特に質量分解能を高めたい試料成分についてはフーリエ変換型の周回飛行時間型質量分析装置としての動作により高精度、高質量分解能での分析が可能となる。
なお、図2の構成では、図3(a)に示すようなクロマトグラムの表示を見ながらリアルタイムで第2質量分析モードを実行する期間を選択することはできないが、例えば液体クロマトグラフ20からの溶出液を紫外可視分光光度計などの他の検出器に導入して検出を行った後に質量分析装置21に導入して質量分析を実行する構成とすることにより、紫外可視分光光度計による検出信号に基づいて時々刻々と更新されるクロマトグラムを観察しながら、所望のピークが出現する時点で質量分析装置21での分析モードを第2質量分析モードに切り替えるような指示を行うことも可能である。
なお、第2イオン検出器6としては全くイオンを破壊することなくその通過量を検出するもの以外に、例えば穴開き型MCP(マイクロチャンネルプレート)を用い、イオンを周回毎に少しずつ分離して検出するものを使用してもよい。この場合、イオンが検出器を通過するに伴い徐々にイオン量が減少してゆくため、完全な非破壊型検出器とは異なり周回数には上限があるが、完全なイオン非破壊型検出器を使用する場合よりも検出感度を高くすることができる。
また、上記実施例では周回軌道Aに導入されたイオンは直線軌道Bには戻らないが、多数回周回したイオンを周回軌道Aから離脱させて直線軌道Bに戻して第1イオン検出器5で検出可能な構成とすることにより、フーリエ変換型ではなく通常の周回飛行時間型質量分析装置としての分析を実行するようにすることもできる。
また、上記実施例は本発明の一実施例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…イオン源
2…第1飛行空間
3…ゲート電極
4…第2飛行空間
5…第1イオン検出器
6…第2イオン検出器
7…MSモード切替制御部
8…周回飛行制御部
9…データ処理部
10…制御部
A…周回軌道
B…直線軌道
20…液体クロマトグラフ
21…質量分析装置
2…第1飛行空間
3…ゲート電極
4…第2飛行空間
5…第1イオン検出器
6…第2イオン検出器
7…MSモード切替制御部
8…周回飛行制御部
9…データ処理部
10…制御部
A…周回軌道
B…直線軌道
20…液体クロマトグラフ
21…質量分析装置
Claims (2)
- a)分析対象のイオンを出射するイオン源と、
b)前記イオン源から飛行を開始したイオンを質量数の差異に応じて時間的に分離させるための第1飛行空間と、
c)前記第1飛行空間を飛行して来たイオンを検出する第1検出器と、
d)略同一の周回軌道に沿ってイオンを複数回繰り返し飛行させるための第2飛行空間と、
e)前記第1飛行空間内の飛行経路の途中にあって前記イオン源から飛行を開始したイオンを前記第2飛行空間の周回軌道に選択的に導入するべくイオンの飛行軌道を変化させる飛行軌道選択手段と、
f)前記周回軌道上にあって少なくとも一部の量のイオンを保存しながら通過するイオンを検出する第2検出器と、
g)第1質量分析モードでは前記第1検出器による検出結果に基づいて飛行時間に応じイオンの質量数を算出し、第2質量分析モードでは前記第2検出器による検出結果に基づいて作成される周回毎の飛行時間を表す波形データをフーリエ変換することで時間/周波数変換を行い、その周波数より目的とするイオンの質量数を算出する処理手段と、
を備えることを特徴とする質量分析装置。 - 第1質量分析モードによる質量分析を繰り返し実行する途中の特定のタイミングで以て、前記飛行軌道選択手段によりイオンを前記周回軌道に導入して第2質量分析モードによる質量分析を実行する分析制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
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