JP6246542B2 - 塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工紙および塗工紙の製造方法に関する。特に、本発明は、合成系接着剤としてスチレン系共重合体を塗工層に含有しない塗工紙および塗工紙の製造方法に関する。
一般的に塗工紙を製造する場合、印刷適性を向上させるため顔料とそれを結着させるための接着剤とを主体とした塗工層を原紙上に形成する。接着剤として、塗料流動性が良好であること、塗工装置での塗工適性が良好であること、塗工紙品質として印刷表面強度が付与しやすいこと、などの観点から、主に石油系の合成材料由来の接着剤(以下、合成系接着剤ともいう)が使用されている。
しかしながら、近年、コスト削減や環境意識の高まりなどにより、石油系の合成材料でなく、安価で生分解性に優れた材料が注目を集めている。その中でも澱粉系材料を原料とする接着剤が注目されている。
特開2010−78087号公報
ところが、塗料(顔料塗工液)の合成系接着剤の配合を減らすと、塗工紙の白紙光沢度低下、表面強度低下などの品質低下が起こってしまう。また、合成系接着剤を無配合とすると、上記問題に加えオフセット印刷時のブランケットパイリングが発生しやすいなどの傾向がある。ブランケットパイリングとは、ブランケット上の画線部周縁に紙粉やインキが堆積し盛り上がってくることである。合成系接着剤の代わりに天然系の接着剤を高配合することが考えられるが、天然系材料を高配合すると塗料粘度が著しく増大し、操業性や塗工適性が悪化してしまう。塗料希釈により粘度調整を図ったとしても、水分が多くなるため塗工後の乾燥工程の負荷が大きくなり、塗工速度低下などの生産性への悪影響があった。また、仮に塗工速度を低下させて製造したとしても、塗料濃度が低く塗料の保水性が低下しているため、原紙内への塗料の浸透が大きく、白紙光沢度低下、表面強度低下などの品質低下が避けられない。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、合成系接着剤としてスチレン系共重合体を含有しなくても、塗工紙の表面強度を保ち、オフセット印刷時のブランケットへのパイリングを抑制し、合成系接着剤としてスチレン系共重合体を含有するものと同等の塗工紙を高い操業性で製造する技術を開発することである。
上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、合成系接着剤であるスチレン系共重合体の含有量の指標としてスチレン用い、塗工紙中のスチレンの含有量を特定の値以下とすることにより、古紙として利用するときに離解しやすく、バッキングロール汚れが少なく、耐ブリスター性も優れた塗工紙を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、これに限定されるものはないが、以下の発明を包含する。
1. 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、下記の(1)〜(3)を満たす、塗工紙。
(1)塗工紙1mgに含まれるスチレンの含有量が、0.5μg以下である
(2)蒸留水を滴下後0.1秒後の塗工紙の接触角が、75°以下である
(3)顔料塗工層中の接着剤の含有量が顔料100重量部に対し15重量部未満である
2. 前記顔料塗工層に、さらにアルキルケテンダイマー、ワックス、ポリアミン及び/又はアミド系樹脂、ポリアクリルアミド系ポリマーのうちの1種以上を含有する、1に記載の塗工紙。
3. 前記顔料塗工層に、スチレン系共重合体を含まない、1または2に記載の塗工紙。
4. 前記顔料塗工層に、澱粉系高分子を該接着剤として含む、1〜3のいずれかに記載の塗工紙。
5. 前記澱粉系高分子が、白色デキストリンである、1〜4に記載の塗工紙。
6. 前記顔料が炭酸カルシウムを含む、1〜5のいずれかに記載の塗工紙。
7. 前記顔料塗工層が、最外層の顔料塗工層である、1〜6のいずれかに記載の塗工紙。
8. 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙の製造方法であって、
顔料塗工層中の接着剤の含有量が顔料100重量部に対し15重量部未満であり、スチレン系共重合体を接着剤として含有しない塗工液を原紙上に塗工することを含む、上記方法。
本発明においては、塗工紙の接触角をコントロールすることにより、合成系接着剤として特にスチレン系共重合体を含有しなくても、表面強度を適正な状態にし、ブランケットパイリングを防止することができる。
本発明の塗工紙は、塗工層に疎水性である化学的に合成された合成系接着剤としてスチレン系共重合体を含有せず、代わりに水溶性の澱粉系高分子を含有するため、水に溶けやすく離解しやすいという特徴も有する。昨今は、循環型社会へ移行しているため、故紙をリサイクルして再生紙を製造することが盛んに行われており、離解しやすい故紙への需要が高い。離解しやすいということは、離解時のパルパーの電力使用量を抑えたり、離解薬品の使用を抑えたりすることができ、省資源に繋がる。また、本発明の塗工紙は、合成系接着剤であるスチレン系共重合体を含まないので、離解後の排水に化学物質を含まず、環境負荷も低い塗工紙である。
本発明の塗工紙は、少なくとも白色顔料と接着剤を含む顔料塗工層が原紙上に設けられた塗工紙であれば特に制限はなく、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷などに用いられる印刷用塗工紙はもちろん、板紙原紙上に顔料塗工層を有する白板紙であってもよい。本発明において、特に指定しなければ、「顔料」は、「白色顔料」を示す。
本発明の塗工紙は、原紙の上に、顔料を含む顔料塗工層を1層以上設ける。原紙上には、顔料を含まない塗工液(サイズプレス液)を塗工しても塗工しなくてもよい。
本発明の塗工紙の紙中灰分は、30重量%以上であることが好ましい。特に印刷用塗工紙として用いるときは、灰分を多くして不透明度を高くすることが好ましい。
本明細書において、合成系接着剤とは、疎水性であり、化学的に合成された合成系の接着剤の総称であり、具体的には、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系等共重合体、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤をいう。本発明においては、合成系接着剤であるスチレン系共重合体の含有量の指標として、合成系接着剤であるスチレン系共重合体に含まれるスチレンの量を用いている。
塗工紙中のスチレンの含有量
本発明においては、塗工紙1mgに含まれるスチレンの含有量が、0.5μg以下である。この含有量は、顔料塗工層に接着剤としてスチレン系共重合体を含有しないことを示している。本来、スチレンは含有しないことが好ましいが、0.5μg以下としているのは、原料のパルプで使用する古紙から、または他の製紙用薬品などからスチレンが意図せずに混入する可能性を考慮している。スチレン系共重合体とは、スチレン重合単位を有する重合体である、スチレンの単独重合体(ポリスチレン)や、スチレンと共重合可能な単量体との共重合体であり、スチレンブタジエンラテックスなどが製紙用で用いられる接着剤としては代表的なものである。
塗工紙1mgに含まれるスチレンの含有量は、以下に従って測定した。
標品としてポリスチレン(日本ゼオン社製、LX303A)を用い、塗工紙0.5mg〜1mgを切り出して、GC−MSを用いた瞬間熱分解法により、スチレン量を測定し、塗工紙1mg中のスチレンの量を算出した。詳細な測定条件は以下の通りである。
使用機器:
熱分解炉:フロンティアラボ社製 PY−2020iD
GC:Agilent Technologies製 6890N
使用カラム:DV-1(30m×0.25mm、膜厚1μm)
MASS:JEOL社製JMS-AX505HA
GCの使用条件
熱分解炉
・550℃でサンプルの熱分解
・GCへのInjection temperature 280℃
GC
・40℃ 5分保持
・5℃/分で90℃まで昇温
・20℃/分で240℃まで昇温
・5℃/分で280℃まで昇温
・5分保持
・Mass Interface 260℃
塗工紙の接触角
本発明の塗工紙の接触角は、塗工紙表面に、蒸留水5μlを滴下後0.1秒後の値で、75°以下である。下限は25°とすることができる。液体を接触させると、紙はそれを吸収する。液体の紙への浸透度合いについては、紙の液体に対する接触角で表すことができる。本発明の接触角とは、塗工紙の一方の面と他方の面の接触角をそれぞれ測定し、その平均値を示す。
本発明においては、顔料塗工層に合成系接着剤としてスチレン系共重合体を配合しないため、塗工紙のウェット強度が低下し、印刷時にパイリングが起こりやすい。そこで、吸水を抑えるために、塗工紙の接触角を調整する。本発明においては、塗工紙の接触角をコントロールすることにより、表面強度を適正な状態にし、パイリングを防止することができる。
本発明における接触角の測定方法は、JIS−P8111に規定する標準条件で前処理した塗工紙の表面に蒸留水を5μl滴下した後0.1秒後の接触角を、接触角測定装置(DAT1100 FIBRO System AB製)で測定する。一方の面と他方の面をそれぞれ測定し、その平均値を、本発明の塗工紙の接触角とした。
接触角を調整する方法としては、例えば、塗工紙の表面粗さを調整して吸水を抑制することや、紙への水の吸水・浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤を原紙上に塗布することなどが挙げられる。本発明においては、紙への水の吸水・浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤を添加することが好ましい。なお、それらの薬剤は、最外層の顔料塗工層に添加することが好ましい。
紙への水の吸水・浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤としては、各種のサイズ剤、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミドなどの紙力増強剤、炭酸ジルコニウムなどがあるが、中でもアルキルケテンダイマー、ワックス、ポリアミン/アミド系樹脂、ポリアクリルアミド系ポリマーが好ましい。
アルキルケテンダイマーは、中性サイズ剤として製紙工業において用いられており、ケテンに疎水性の長鎖アルキル基を付けたアルキルケテンが二量化反応することにより製造するものである。ワックスタイプでもエマルジョンタイプでもよい。
また、ワックスとしては、パラフィンワックスが挙げられ、石油に含まれ分留によって取り出される。成分は主にノルマルパラフィンの炭素数20以上の混合物である。水に不溶なため、防湿性、棒異性、撥水性に優れるものである。
また、ポリアミン/アミド系樹脂とは、ポリアミン系樹脂及び又はポリアミド系樹脂を意味するものである。具体的には、ポリアミン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアミド尿素樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、ポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂などが挙げられる。
ポリアクリルアミド系ポリマーとは、アクリルアミドを重合したポリマーや、アクリルアミドと、アクリル酸などのアクリルアミドの重合可能な他のモノマーを重合した共重合体をいう。
これらの紙への水の吸水・浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤は、顔料塗工層に添加することが好ましい。特に最外層の顔料塗工層に添加することが好ましい。塗工層への添加量は、顔料100重量部に対して、0.05重量部〜1.0重量部、好ましくは、0.1重量部〜0.5重量部である。添加量が1.0重量部より多いと、接触角が大きく、つまり、吸水が起こらなくなりインキが乳化しやすくなり、多色印刷時、後胴でのインキ着肉性が悪化する。また、塗料の粘度が著しく増粘し、塗工操業性が悪化する。一方、添加量が0.05より少なく接触角が小さいと、水の吸水を抑制するための十分な効果が得られず、塗工紙のウェット強度が低下し、印刷時にパイリングが起こりやすい。
本発明の塗工紙は、塗工層に合成系接着剤としてスチレン系共重合体を含有せず、澱粉系高分子を含有するため、水に溶けやすく離解しやすいという特徴も有する。昨今は、循環型社会へ移行しているため、故紙をリサイクルして再生紙を製造することが盛んに行われており、離解しやすい故紙への需要が高い。離解しやすいということは、離解時のパルパーの電力使用量を抑えたり、離解薬品の使用を抑えたりすることができ、省資源に繋がる。
また、本発明の塗工紙は、化学合成系接着剤としてスチレン系共重合体を含まないので、離解後の排水に化学物質を含まず、環境負荷も低い塗工紙である。
顔料塗工層
本発明の塗工紙は、顔料塗工層を1以上有する。
顔料塗工層中の接着剤
本発明においては、顔料塗工層を設けるため、主として顔料、接着剤(バインダー)、水を含む顔料塗工液を用いるが、接着剤(バインダー)として、顔料塗工層にスチレン系共重合体を配合しない。接着剤以外の目的であってもスチレンは含有しないことが好ましい。スチレン系共重合体とは、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系等共重合体が挙げられ、モノマーとしてスチレンを含有する各種共重合体等の合成系接着剤をいう。また、スチレンを含有していない合成系接着剤も配合しない方が好ましい。合成系接着剤を使用しないことによって、バッキングロール汚れの防止、耐ブリスター性の向上、さらには、高価な合成系接着剤の使用削減によるコストダウン、古紙として利用する際に離解性が向上するという利点が得られる。
本発明の接着剤としては、上記の合成系接着剤ではなく、天然系接着剤を含有することが好ましい。天然系接着剤としては、澱粉系高分子が挙げられる。
澱粉系高分子
本発明においては、接着剤(バインダー)として用いる澱粉系高分子としては、特に制限されず、変性方法、原料の品種なども自由である。澱粉由来の高分子化合物としては、各種加工澱粉を始めとする澱粉、澱粉を加水分解して得られるデキストリンを好適に使用することができる。澱粉とは、アミロース、アミロペクチンからなる混合物のことをいい、一般に、その混合比は澱粉の原材料である植物によって異なる。
澱粉を変性、修飾、加工などしたものとしては、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエステル化澱粉(HES)、燐酸エステル澱粉、エステル化澱粉、デキストリンなどが挙げられる。なかでも塗料に配合した際、流動性がさらに良好(低粘度)となることから、デキストリンが好ましい。また、本発明で使用する澱粉系高分子の好ましい原料としては、トウモロコシ、ポテト、タピオカなどを挙げることができ、ワキシー種のトウモロコシ(ワキシーコーン)やタピオカが特に好ましい。
本発明の粘度を満足する澱粉系高分子としては、例えば、低粘度のヒドロキシエチル澱粉(HES)、酸化アセチル化タピオカ澱粉、デキストリンなどがある。これらの澱粉系高分子は、低粘度で粘度安定性があり、強度も優れている。
本発明においては、粘度が低く、かつ粘度安定性が高いため、接着剤としてデキストリン、特に焙焼デキストリンが好ましい。デキストリンとは、澱粉を加水分解して得られる澱粉系高分子の総称であり、α-グルコースがグリコシド結合によって重合しており、糊精(こせい)とも呼ばれる。通常の澱粉は分子量が大きいが、デキストリンは澱粉の加水分解の工程で生ずる中間生成物であり、オリゴマー(グルコースが数個〜20個程度が結合したもの)程度の分子量しかないとされている。焙焼デキストリンは、酸を加えて乾熱で焼いて生成したデキストリンであり、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリティッシュガムなどの種類がある。本発明においては、特に白色デキストリンを使用することが好ましい。白色デキストリンをさらに加水分解するといわゆる黄色デキストリンとなるが、黄色デキストリンだと安定性が低く、顔料塗工層が着色するおそれがあるため、本発明においては白色デキストリンの使用が好ましい。
本発明の白色デキストリンの分子量は、重量平均分子量で20万MW〜80万MWとすることができる。分子量が高いほど糊液粘度が高くなり、塗料配合時の粘度も増粘するため、分子量は、20万MW〜35万MWが好ましい。
本発明の白色デキストリンは、デキストリン中の分岐が多い方が好ましい。分岐が多いと強度が発現しやすい。
分岐の程度は、慣性半径と関係があり、同じ分子量であれば慣性半径が小さいと分岐が多く、慣性半径が大きいと分岐が少ない直鎖状と考えられる。よって、本発明の白色デキストリンは、慣性半径が小さい方が好ましい。
本発明の白色デキストリンは、蒸煮した後のスラリーの粘度が低いため、スラリーを高濃度化することができる。
また、例えばα化澱粉などに代表される、冷水可溶澱粉もスラリー粘度は低いが、それらの冷水可溶澱粉は、冷水に溶けるように処理されており、デキストリンなどの方が表面強度の発現性が高く有利である。それ故に本発明の白色デキストリンとしては、20℃への水への溶解度が20%未満であることが好ましい。
本発明の一態様では白色デキストリンを顔料塗工層の接着剤として使用するが、そのスラリーを蒸煮(クッキング)することによってバインダーとしての接着力が発現する。
本発明の白色デキストリンは、塗工液に配合した際に流動性が良好となる。流動性が向上すると、塗工液の高濃度化が可能となり、塗工液のしみこみを抑制し、有効塗工層が増えることから、光沢発現性向上、白色度向上、表面強度向上など、種々の塗工紙品質が向上する。
本発明の白色デキストリンは、蒸煮後の一定時間経過後における粘度が特に低いため、顔料塗工液に配合してもその粘度を大幅に増大させることがなく、顔料塗工液の濃度を高くすることができ、それにより、塗工紙の印刷品質を向上させることができる。すなわち、原紙への塗料のしみこみを抑制し、有効塗工層が増えることから、光沢発現性向上、表面強度向上など、種々の塗工紙品質が向上する。
本発明の澱粉由来の高分子化合物の配合量は、好ましい態様において、これらの接着剤は顔料100重量部当たり15重量部未満とし、さらに好ましくは10重量部未満とできる。配合量の下限値としては、0.01重量部とすることができる。
その他の接着剤を加えた全接着剤含有量としても、顔料100重量部当たり15重量部未満とする。
本発明においては、上記の澱粉由来の高分子化合物以外にも塗工紙用に従来から用いられている接着剤を併用することもできる。上記の澱粉由来の高分子化合物以外の接着剤の例には、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、およびアクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;上記の澱粉由来の高分子化合物以外の酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤が含まれる。上記の接着剤を併用する場合には、合成系接着剤は、配合しないことが好ましい。
本発明において、塗工液の調製方法は特に限定されず、コータの種類によって適宜調整できる。ブレード方式のコータを用いる場合は、塗工液の固形分濃度は40〜70重量%が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。塗工液の粘度は、JIS K 7117−1 のB型粘度計で、500〜3500mPa・sが好ましく、よりこのましくは1000〜3000mPa・sである。
本発明においては、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
塗工顔料
本発明の塗工層に用いる顔料(白色顔料)は特に制限されず、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。また、顔料の種類としては、バインダー要求量が少なく少量の接着剤で表面強度を向上できることと、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましく、また不透明度をも向上させる観点から、粒子径や形状が揃った軽質炭酸カルシウムが特に好ましい。嵩高な塗工層構造は光を効率的に散乱するためである。
塗工液に炭酸カルシウムを配合する場合、軽質炭酸カルシウムもしくは重質炭酸カルシウム、またはその両方をあわせた含有量は、顔料100重量部あたり50重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量以上がさらに好ましい。また、原紙上に均一な塗工層を形成させる観点の点から平均粒子径は、Malvern社製Mastersizer Sなどのレーザー回折式粒度分布測定機で測定した値で0.2〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
塗工
本発明においては、通常用いられるコータであればいずれを用いても良い。オンマシンコータでもオフマシンコータでも良く、オンマシンコータであれば、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ、ロッドメタリングサイズプレスコーターなどのロールコータ、ビルブレイドコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータ、ショートドゥエルブレードコーター、ジェットファウンテンブレードコーターなどのコータを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコータでは500〜1800m/分、サイズプレスコータでは500〜2000m/分が好ましい。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
本発明における塗工液の塗工量は、用途に応じて適宜選定できるが、一般的には、片面あたり固形分で2〜13g/mである。
本発明の塗工液の濃度は、特に限定されないが、印刷品質を考慮すると、60重量%〜75重量%程度が好ましい。また、本発明の塗工液の粘度は、操業性などの点から、2000mPa・s〜3000mPa・s程度が好ましい。
原紙
本発明の塗工紙は少なくとも原紙層を有する。原紙は公知の方法により製造することができ、例えば、抄紙原料(紙料)をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造することができる。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよいが、白板紙を製造する場合は多層抄き原紙を用いることが好ましい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。本発明で使用される原紙は特に制限されず、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスチックフィルム等を例外なく使用できる。
本発明の原紙の坪量は特に限定されず、用途に応じて適宜選定できるが、例えば、35〜580g/mとすることができ、印刷用塗工紙としてもちいるときは、例えば40〜100g/mとしてもよい。
原料パルプ
本発明の原紙に用いるパルプ原料としては、化学パルプを使用することができる。化学パルプ以外にも、用途に応じて各種パルプを使用することができ、例えば、脱墨パルプ(DIP)、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。
填料
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用又は併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分重量%が好ましく、10〜35固形分重量%がさらに好ましい。
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、各種紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉が挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。中性サイズ剤としてはアルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
クリア塗工
本発明の塗工紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層にバインダーとして、本発明の澱粉由来の高分子化合物を含有してもよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜4.0g/mが好ましく、0.5〜2.5g/mがより好ましい。
本発明においてクリア塗工とは、例えば、サイズプレス、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレス、カーテンコータ、スプレーコータなどのコータ(塗工機)を使用して、澱粉、酸化澱粉などの各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を主成分とする塗布液(表面処理液)を原紙上に塗布(サイズプレス)することをいう。
プレカレンダー処理
本発明においては、オンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは30〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
表面処理
本発明においては、以上のように製造した紙を必要に応じて表面処理する。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。好ましい態様において、本発明の塗工紙は、スーパーカレンダーや高温ソフトニップカレンダー等のカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、塗工紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。本発明においては、ソフトニップカレンダ処理が好ましい。ソフトニップカレンダ処理をすることにより、白色度、不透明度共に向上する。ソフトニップカレンダ処理において、金属ロールの表面温度が20℃〜60℃の線圧は、30〜60kN/m、より好ましくは、40〜60kN/mである。また、金属ロールの表面温度が40℃〜250℃の高温ソフトニップカレンダ処理であれば、線圧は60〜400kN/m、好ましくは、150〜300kN/m、より好ましくは100〜350kN/mである。温度を上げると、塗工紙の表面の光沢、平滑度が向上する。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。本明細書において、%、部などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
[評価方法]
(1)スチレン量
標品としてポリスチレン(日本ゼオン社製、LX303A)を用い、塗工紙0.5mg〜1mgを切り出して、GC−MSを用いた瞬間熱分解法により、スチレン量を測定し、塗工紙1mg中のスチレンの量を算出した。詳細な測定条件は以下の通りである。
使用機器:
熱分解炉:フロンティアラボ社製 PY−2020iD
GC:Agilent Technologies製 6890N
使用カラム:DV-1(30m×0.25mm、膜厚1μm)
MASS:JEOL社製JMS-AX505HA
GCの使用条件
熱分解炉
・550℃でサンプルの熱分解
・GCへのInjection temperature 280℃
GC
・40℃ 5分保持
・5℃/分で90℃まで昇温
・20℃/分で240℃まで昇温
・5℃/分で280℃まで昇温
・5分保持
・Mass Interface 260℃
(2)接触角
JIS−P8111に規定する標準条件で前処置をした塗工紙の表面に蒸留水を5μl滴下した後0.1秒後の接触角を、接触角測定装置(DAT1100 FIBRO System AB製)で測定する。一方の面と他方の面をそれぞれ測定し、その平均値を、本発明の塗工紙の接触角とした。
(3)表面強度
RI−I型印刷機(明製作所製)を用い、印刷用インキ(東洋インキ製ハイユニティM)を使用して印刷後、ゴムロールについて印刷跡を転写紙に手動で転写してピッキングの程度を目視で相対評価した。評価基準は以下の通りである。
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(4)PPS粗さ
JIS P−8151に従い、測定した。クランプ圧は1MPa、ハードバッキングとした。
(5)バッキングロール汚れ
72時間連続操業した後、ロールの汚れ状態を目視評価した。
◎=バッキングロール汚れが発生しない、○=バッキングロール汚れが若干発生する、
△=バッキングロール汚れがかなり発生する、×=バッキングロール汚れが著しく発生する
(6)耐ブリスター性
オフセット輪転機(東芝オフセットBT600)、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製:レオエックスM)を使用し4色(墨、藍、紅、黄)印刷した後、ドライヤーにて乾燥し、印刷物のブリスターの発生状況を目視判定した。
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(7)ブランケットパイリング
オフセット輪転機(東芝オフセットBT600)、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製:レオエックスM)を使用し4色(墨、藍、紅、黄)印刷した後、2万部印刷後のブランケットへの堆積の程度を目し判定した。
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(8)塗工紙の離解性
JAPAN Tappi No.39に従い、標準離解機で離解濃度約4.5%、離解温度50〜60℃、薬品として、脱墨剤0.1〜0.2%(対パルプ)、水酸化ナトリウム1.0〜2.0%(対パルプ)、3号珪酸2.0〜4.0%(対パルプ)、過酸化水素0.5〜2.0%(対パルプ)を加えて離解した。未離解片がなくなるまでの時間を、比較例1の時間を標準として、評価した。
○=比較例1よりも早く離解された △=比較例1と同等の時間で離解された ×=比較例1よりも離解が遅かった
実施例1
古紙パルプ60部とNBKP30部、LBKP10部とからなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウムを塗工紙の紙中灰分が13%になるように添加し、内添紙力剤としてカチオン化澱粉を3部添加して紙料を調整した。
この紙料を用いて、抄紙速度1500m/分にてロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機で抄紙し、プレスパートに2基のタンデムシュープレス(プレス線圧1000kN/m、2基目の紙のワイヤー面側にトランスファーベルトが接触)を用いて湿紙を搾水して乾燥し、45.6g/mの中質塗工原紙を得た。
次に、顔料として、重質炭酸カルシウムを用い、接着剤として、白色デキストリン(Stabilys A030、Roquette社:160rpmでのRVA粘度が374mPa・s、重量平均分子量17万〜24万)を配合して固形分濃度68.5%の塗工液を調製した。重質炭酸カルシウム100部に対して、白色デキストリンを7.5重量部配合した。
この塗工液を用いて、塗工量が原紙片面当たり7.0g/mとなるようにジェットファウンテン方式のブレードコータで両面に上記塗工液を連続して塗工し、乾燥した。
引き続き、仕上げ工程にてショア硬度がD94°の弾性ロールを有する2ロール・6スタックのソフトカレンダーを使用し、各金属ロール表面温度130℃、各ニップ線圧を250kN/mとして塗工紙の表面処理を行った。
抄紙、塗工、カレンダー処理を連続して行ったため、塗工速度、カレンダー速度も1500m/分であった。
実施例2
紙への水の吸水、浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤として、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC社製 SE2401)を前記塗工液に顔料100重量部に対し、0.2重量部添加した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例3
紙への水の吸水、浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤として、変性ポリアミド系樹脂(田岡化学社製 Sumirez Rezin SPI-106N)とした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例4
紙への水の吸水、浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤として、アクリルアミド・アクリル酸共重合ポリマー(田岡化学社製 Sumirez Rezin 7200A)とした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例5
紙への水の吸水、浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤として、ワックス系サイズ剤(BYK社製 AQUACER498)とした以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例6
接着剤として、白色デキストリン(Stabilys A023、Roquette社:160rpmでのRVA粘度が660mPa・s、重量平均分子量27万〜34万)を9重量部配合した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例7
接着剤として、白色デキストリン(Stabilys A023、Roquette社:160rpmでのRVA粘度が660mPa・s、重量平均分子量27万〜34万)を11.5重量部配合した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
実施例8
接着剤として、白色デキストリン(Stabilys A023、Roquette社:160rpmでのRVA粘度が660mPa・s、重量平均分子量27万〜34万)を9重量部配合し、紙への水の吸水、浸透を遅らせたり、防止する効果を有する薬剤として、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC社製 SE2401)を前記塗工液に顔料100重量部に対し、0.2重量部添加した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
比較例1
塗工層への接着剤として、白色デキストリン(M210 敷島スターチ社製:160rpmでのRVA粘度が1486mPa・s)6.0部とカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックス4.0部を配合したものと用いた以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造した。
表1に結果を示す。
Figure 0006246542
表1から明らかなように、合成系接着剤である疎水性のスチレン・ブタジエン共重合ラテックスを無配合とすると、接触角が急激に低下し、オフセット印刷時のパイリングが悪化した。これは、塗工層への湿し水の吸水により塗工層強度が弱くなったことに起因する。一方、各種薬剤を添加することにより、特にアルキルケテンダイマー、変性ポリアミド樹脂を塗工層中に配合することにより、接触角が高くなったことから吸水を抑制しウェット強度が向上したと考えられる。また、コーターでの塗工時、バッキングロール汚れに関して、比較例1の汚れは、ラテックスの粘着により発生するものであるが、通常バッキングロール上には付着する汚れをおとすためフロークリンドクターが設置されており、ロール上に薄い水の膜が形成されている。そのため、親水性バインダーのみで構成されている実施例1ではバッキングロールが発生しやすかったと推察される。一方、実施例2〜5では耐水性、あるいは、塗工層への吸水が抑制されているため、バッキングロール汚れが発生しなかったと推察される。また、離解性については、いずれの実施例も比較例よりは良い結果となった。

Claims (8)

  1. 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙であって、
    顔料塗工層の接着剤としてスチレン系共重合体が配合されておらず、塗工紙1mgを瞬間熱分解法によって測定した場合のスチレン含有量が0.5μg以下であり、
    顔料塗工層が、サイズ剤、ワックス、ポリアミン及び/又はアミド系樹脂、ポリアクリルアミド系ポリマーのうちの1種以上の薬剤をさらに含有し、蒸留水を滴下して0.1秒後の塗工紙の接触角が75°以下であり、
    顔料塗工層中の接着剤の含有量が顔料100重量部に対し15重量部未満である、上記塗工紙。
  2. 前記サイズ剤として、アルキルケテンダイマーを使用する、請求項1に記載の塗工紙。
  3. 前記ワックスとして、パラフィンワックスを使用する、請求項1に記載の塗工紙。
  4. 前記顔料塗工層に、澱粉系高分子を該接着剤として含む、請求項1〜3のいずれかに記載の塗工紙。
  5. 前記澱粉系高分子が、白色デキストリンである、請求項1〜4のいずれかに記載の塗工紙。
  6. 前記顔料が炭酸カルシウムを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の塗工紙。
  7. 前記顔料塗工層が、最外層の顔料塗工層である、請求項1〜6のいずれかに記載の塗工紙。
  8. 顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を原紙上に有する塗工紙の製造方法であって、
    顔料塗工層中の接着剤の含有量が顔料100重量部に対し15重量部未満であり、
    サイズ剤、ワックス、ポリアミン及び/又はアミド系樹脂、ポリアクリルアミド系ポリマーのうちの1種以上の薬剤と顔料と接着剤とを含有するが、スチレン系共重合体を接着剤として含有しない塗工液を、原紙上に塗工することを含む、上記方法。
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