JP6245361B2 - 質量分析用データ処理装置及び同装置用プログラム - Google Patents

質量分析用データ処理装置及び同装置用プログラム Download PDF

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Description

本発明は、質量分析装置で収集されたデータを処理するためのデータ処理装置及び同装置用のコンピュータプログラムに関し、さらに詳しくは、質量分析を利用して試料中の化合物の定量を行うためのデータ処理装置及び同装置用プログラムに関する。
ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)と質量分析装置とを組み合わせたクロマトグラフ質量分析装置では、被検試料中に含まれる各種成分をカラムを通して時間的に分離し、その分離された各成分から生成したイオンを四重極マスフィルタ等により質量電荷比m/zに応じて分離し検出器で検出する。
こうしたクロマトグラフ質量分析装置を用いて試料に含まれる既知化合物を定量する場合には、一般に、その化合物を特徴付けるイオンをターゲットイオンに定め、そのターゲットイオンに対する選択イオンモニタリング(SIM)測定や多重反応モニタリング(MRM)測定を質量分析装置により行う。そして、その実測により得られたデータに基づき、ターゲットイオンに対する抽出イオンクロマトグラム(マスクロマトグラム)を作成し、該クロマトグラムにおいて目的化合物の保持時間付近に現れるクロマトグラムピークの面積値やピーク高さなどから目的化合物の濃度を算出する。ターゲットイオンは定量イオンと呼ばれることもあり、通常、その化合物の典型的なマススペクトルにおいて最大の信号強度を示すピークに対応したイオンが選択される。
ターゲットイオンは化合物を特徴付けるイオンではあるものの、実際の試料には様々な夾雑物が混じっていることもあるし、前段のクロマトグラフでの分離条件が適切でないために成分分離が不十分であって複数の化合物が重なってしまっていることもある。こうした場合、特定の質量電荷比MTを有するターゲットイオンのクロマトグラムピークだけを見ても、そのピークが確かに目的化合物に由来するものであるか否かを確認することは難しい。そのため、クロマトグラフ質量分析を用いた定量分析では一般に、ターゲットイオンとは別に、その化合物を特徴付ける別の質量電荷比Mcを持つイオンを確認イオンとして選定し、実測のマススペクトル上でのその確認イオンのピークの信号強度とターゲットイオンのピークの信号強度との強度比(以下、「確認イオン比」という)を用い、そのターゲットイオンが真に目的化合物由来であることの確認、つまりターゲットイオンの同定が行われる(特許文献1、非特許文献1参照)。また、構造が類似した複数種の化合物が含まれている可能性がある場合などには、或る化合物のターゲットイオンを正確に同定するのに1種類の確認イオンだけでは不十分であることがあり、一つの化合物に対し複数種の確認イオンが用いられることもよくある。
多成分一斉分析の場合には、1回のクロマトグラフ質量分析において数十から場合によっては数百にも及ぶ膨大な数の化合物を定量することがあるが、このような多数の化合物について、測定者が目視で確認イオン比が適切であるか否かを判断することは難しい。そこで、従来のクロマトグラフ質量分析装置では、確認イオン比毎に予め設定された許容幅を有する同定範囲を定めておき、実測の確認イオン比がその同定範囲に収まっていればそのターゲットイオンが目的化合物由来のイオンであると同定する処理を自動的に行うようにしている(特許文献2など参照)。
図8は従来のクロマトグラフ質量分析装置においてこうした自動処理を行うための確認イオンのパラメータ設定画面を示す図、図9はターゲットイオン毎の確認イオンの詳細設定画面を示す図である。
確認イオンを用いてターゲットイオンを同定する方法としては、「絶対許容」と「相対許容」の二つのモードがある。絶対許容とは文字通り、ターゲットイオンが目的化合物由来であると同定する同定範囲を確認イオン比の絶対値で以て規定するモードであり、確認イオン比をRi[%]、許容幅をRw[%]としたとき、同定範囲Paを、
Pa=Ri±Rw[%] …(1)
と定義する。他方、相対許容とは、同定範囲を確認イオン比の相対比率で以て規定するモードであり、確認イオン比をRi[%]、許容幅をRw[%]としたとき、同定範囲Prを、
Pr=Ri±(Ri×Rw)/100[%] …(2)
と定義する。
図8に示した確認イオンパラメータ設定画面では、ドロップダウンメニューにより「絶対許容」又は「相対許容」のいずれかが確認イオンモードとして選択可能となっており、或る確認イオンにおける確認イオン比、許容幅が与えられると、上記(1)式又は(2)式により同定範囲が設定される。具体的に、図9は、MRM測定によるプリカーサイオンm/z:147.00、プロダクトイオンm/z:46.0(m/z:147.00>46.0)をターゲットイオンとする5種類の確認イオンの同定範囲を示す確認イオンの詳細設定画面である。この例では、確認イオンモードは絶対許容、デフォルトの許容幅は±30[%]であり、例えば確認イオン比が60.00であるプリカーサイオンm/z:130.00、プロダクトイオンm/z:41.0である確認イオンに対しては、60−30=30が下限、60+30=90が上限である同定範囲が定められている。これにより、この確認イオンについては実測結果に基づく確認イオン比がこの同定範囲に入っていれば、m/z:147.00>46.0であるターゲットイオンは目的化合物由来であると同定する。
しかしながら、上記従来のクロマトグラフ質量分析装置では次のような問題がある。
即ち、測定者は確認イオンモードとして絶対許容又は相対許容のいずれかを任意に選択することが可能であるものの、測定の目的や用途によっては、絶対許容と相対許容とを組み合わせる必要がある場合がある。
例えば、非特許文献2に開示されているAORC(公認競馬化学者協会)の薬物検査に関する規定では、絶対許容のときの確認イオン比と相対許容のときの確認イオン比とを個別に設定し、この個別に設定した確認イオン比を用いてそれぞれ同定範囲を求め、ターゲットイオン同定のための同定範囲として絶対許容幅と相対許容幅のいずれか大きいほうを採用することが定められている。また、上記AORCの規定では、同定範囲の上限を100%と定めて(つまり、確認イオンの信号強度がターゲットイオンの信号強度を超えた場合には同定不可と規定して)いる。
これに対し、上記従来のクロマトグラフ質量分析装置では、こうした規定に則ったターゲットイオン同定は自動的には行えないため、測定者が確認イオン比が同定範囲に入っているかどうかを確認しなければならず、非常に煩雑な作業が必要である。また、確認イオン比を絶対許容のときと相対許容のときとで区別して設定することもできないため、測定者が絶対許容の同定範囲と相対許容の同定範囲とを一つずつ設定する必要がある。また、100%を超えた同定範囲についても測定者が一つずつ修正する必要があり、非常に面倒である。
また、非特許文献3に開示されているEUの農薬検査に関する規定によれば、推奨される許容幅は確認イオン毎に異なる。上記従来のクロマトグラフ質量分析装置において、こうした推奨許容幅を設定するには、確認イオン毎に測定者が設定されている確認イオン比を確認し、それに応じた許容値を設定する必要があり、非常に面倒である。
特開2011−242255号公報 特開2013−195099号公報
甲斐茂美、ほか2名、「高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法を用いた穀類中のカビ毒、デオキシニバレノールの分析」、神奈川県衛生研究所研究報告、No.37(2007)、[平成26年5月13日検索]、インターネット<URL: http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/004_chousa/04_reserch/files/37_PDF/37-8.pdf> 「エーオーアールシー・ガイドラインズ・フォー・ザ・ミニマム・クリテリア・フォー・アイデンティフィケイション・バイ・クロマトグラフィ・アンド・マス・スペクトロメトリ(AORC Guidelines for the Minimum Criteria for Identification by Chromatography and Mass Spectrometry)」、AORC(Association of Official Racing Chemists)、[平成26年5月16日検索]、インターネット<URL: http://www.aorc-online.org/documents/aorc-ms-criteria-may-2011/aorc-ms-criteria-may-2011.pdf> 「アイデンティフィケイション・クリテリア・フォー・レジデュース・デターミンド・バイ・エルシー-マス/マス:アー・ゼイ・フィット-フォー-パーパス?(Identification criteria for residues determined by LC-MS/MS: are they fit-for-purpose? )」、EURL-FV、[平成26年5月16日検索]、インターネット<http://www.eurl-pesticides.eu/userfiles/file//13-Hans_Mol.pdf>
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、確認イオン比を利用してターゲットイオンが目的化合物由来の適切なイオンであるか否かを確認する際に、目的化合物の数が多かったり一つのターゲットイオンに対する確認イオンの数が多かったりする場合であっても、測定者による作業の負担を軽減しつつ、様々な規格に則った的確な判定を行うことができる質量分析用データ処理装置及び同装置用プログラムを提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る質量分析用データ処理装置は、目的化合物を特徴付ける特定の質量電荷比を有するターゲットイオンのほかに該目的化合物を確認するための別の質量電荷比を有する確認イオンを定めておき、目的試料に対する測定により求められた前記ターゲットイオンと前記確認イオンとの信号強度を求め、その結果を利用して該ターゲットイオンの適否を確認したうえで目的化合物の同定又は定量を行うための質量分析用データ処理装置であって、
a)マススペクトル上で目的化合物由来のターゲットイオンのピークであると推測されるピークが真に目的化合物由来であると判定するための、前記ターゲットイオンの信号強度と前記確認イオンの信号強度との強度比である確認イオン比の同定範囲を決める際に、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定める第1のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の相対値で定める第2のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定まる確認イオン比の同定範囲と比率の相対値で定まる確認イオン比の同定範囲との大小関係に応じていずれか一方を選択する第3のモードと、のいずれか一つをユーザが選択するためのモード選択部と、
b)前記モード選択部により前記第3のモードが選択された場合に、対象とする確認イオンの標準的な確認イオン比に対し、比率の絶対値として与えられた絶対許容幅に基づく第1の同定範囲と、比率の相対値として与えられた相対許容幅に基づく第2の同定範囲とをそれぞれ計算し、第1、第2なる二つの同定範囲の大小関係に応じていずれか一方を選択し、実測による確認イオン比を判定するための同定範囲として定める同定範囲決定部と、
c)前記実測による確認イオン比を判定するための同定範囲についてその上限を100%に制限する指定をユーザが行うための範囲制限設定部と、
d)前記範囲制限設定部により上限が指定された場合、前記同定範囲決定部で選択された同定範囲の全てがその上限値で制約された範囲を外れるときに、これをユーザに報知する報知部と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するためになされた本発明に係るデータ処理用プログラムは、目的化合物を特徴付ける特定の質量電荷比を有するターゲットイオンのほかに該目的化合物を確認するための別の質量電荷比を有する確認イオンを定めておき、目的試料に対する測定により求められた前記ターゲットイオンと前記確認イオンとの信号強度を求め、その結果を利用して該ターゲットイオンの適否を確認したうえで目的化合物の同定又は定量を行うための、コンピュータ上で動作するデータ処理装置用プログラムであって、該コンピュータを、
a)マススペクトル上で目的化合物由来のターゲットイオンのピークであると推測されるピークが真に目的化合物由来であると判定するための、前記ターゲットイオンの信号強度と前記確認イオンの信号強度との強度比である確認イオン比の同定範囲を決める際に、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定める第1のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の相対値で定める第2のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定まる確認イオン比の同定範囲と比率の相対値で定まる確認イオン比の同定範囲との大小関係に応じていずれか一方を選択する第3のモードと、のいずれか一つをユーザが選択するためのモード選択部と、
b)前記モード選択部により前記第3のモードが選択された場合に、対象とする確認イオンの標準的な確認イオン比に対し、比率の絶対値として与えられた絶対許容幅に基づく第1の同定範囲と、比率の相対値として与えられた相対許容幅に基づく第2の同定範囲とをそれぞれ計算し、第1、第2なる二つの同定範囲の大小関係に応じていずれか一方を選択し、実測による確認イオン比を判定するための同定範囲として定める同定範囲決定部と、
c)前記実測による確認イオン比を判定するための同定範囲についてその上限を100%に制限する指定をユーザが行うための範囲制限設定部と、
d)前記範囲制限設定部により上限が指定された場合、前記同定範囲決定部で選択された同定範囲の全てがその上限値で制約された範囲を外れるときに、これをユーザに報知する報知部と、
して動作させることを特徴としている。
本発明に係る質量分析用データ処理装置は、典型的には、本発明に係るデータ処理用プログラムがコンピュータ上で動作することにより具現化される。
本発明に係る質量分析用データ処理装置では、ユーザ(測定者)はモード選択部において、従来装置で設けられていた第1のモード(絶対許容モード)、第2のモード(相対許容モード)のほかに、さらに第3のモードを選択することができる。このモード選択部は、表示部の画面上に表示されたプルダウンメニューやラジオボタン等により三つのモードのいずれかを択一的に指示できるものとすればよい。ユーザがモード選択部により第3のモードを選択すると、同定範囲決定部は、対象とする確認イオンの標準的な確認イオン比に対し、絶対許容幅に基づく第1の同定範囲と、相対許容幅に基づく第2の同定範囲とをそれぞれ計算する。絶対許容幅及び対許容幅はそれぞれデフォルト値が定められていて、ユーザが特に設定を変更しない限りは、全ての確認イオンに対してこのデフォルト値が共通に用いられるようにするとよい。
一方、一つのターゲットイオンに対して複数の確認イオンが定められている場合であっても、非特許文献3に開示の規定に則った測定を行う場合など、確認イオン毎に絶対許容幅や相対許容幅を変えたいこともある。そこで、本発明に係る質量分析用データ処理装置において、好ましくは、確認イオン毎に絶対許容幅と相対許容幅とをユーザが入力する許容幅設定部をさらに備える構成とするとよい。
上記許容幅設定部は、例えば、モード選択部による選択のための表示画面と同一画面内に又はそれとは別の画面内に、確認イオン毎に絶対許容幅と相対許容幅とがそれぞれ示されるテーブルを表示し、必要に応じてそのテーブル中で許容幅を数値入力するものとすればよい。なお、モード選択部により第1又は第2のモードが選択された場合には、絶対許容幅又は相対許容幅のいずれか一方しか使用されないから、その場合には、上記テーブルに絶対許容幅又は相対許容幅のいずれか一方のみの欄を設けるようにするとよい。これにより、従来装置で設けられていた第1、第2のモードのいずれかを使用する場合に、入力したり確認したりする必要のないパラメータが表示されることを回避でき、従来装置と同様の操作性を確保することができる。
いずれにしても、予め定められている絶対許容幅、相対許容幅に基づいて第1、第2の同定範囲が計算されると、同定範囲決定部は例えば、両同定範囲を比較して大きい(広い)ほうを選択してこれを同定範囲として決定する。こうして同定範囲が決まったならば、例えば、実測結果に基づく確認イオン比がこの同定範囲に収まっているか否かを自動的に判定し、同定範囲に収まっていればターゲットイオンが目的化合物由来のイオンの可能性が高いと推定する。
また本発明に係る質量分析用データ処理装置では、ユーザが範囲制限設定部により同定範囲の上限を100%に設定しておくことで、確認イオン比が100%を超えた場合にはターゲットイオンを同定できないと判断することができる。
らに、上記同定範囲決定部は、上記範囲制限設定部により上限が指定された場合に、その指定された上限値に従って同定範囲を狭めるようにするとよい。
この構成によれば、同定範囲決定部において第1、第2の同定範囲の比較によって選択された同定範囲の上限値が100%を超えていた場合に、その同定範囲の上限は100%に制限されることになる。これにより、確認イオン比の標準値と絶対許容幅又は相対許容幅とにより計算される同定範囲に依らず、実測の確認イオン比の判定に使用される同定範囲の上限を100%に定めることができる。
また、計算された同定範囲の一部が上記範囲制限設定部により指定された上限で制約される範囲に入っていれば、確認イオン比を用いた同定は可能であるものの、計算された同定範囲全体が上記範囲制限設定部により指定された上限で制約される範囲を外れる場合には、そもそも確認イオン比を用いた同定は行えない。そこで、本発明に係る質量分析用データ処理装置において報知部は、上記範囲制限設定部により上限が指定された場合、選択された同定範囲の全てがその上限値で制約された範囲を外れるときに、これをユーザに報知する
例えば報知部は、同定範囲を示す表示に代えて同定不可であることを示す表示を行うものとすればよい。これにより、ユーザは、指定した確認イオン、或いは、同定範囲を決めるための確認イオン比の標準値や許容幅などが適切でないことをすぐに認識することができる。
また、質量分析装置やクロマトグラフ質量分析装置では、分析結果や分析条件・データ解析条件などが貼り付けられた所定形式のレポートを自動的に作成し表示したり印刷したりする機能を有しているものがある。そこで、本発明に係る質量分析用データ処理装置では、上記同定範囲決定部により決定された同定範囲をレポートとして出力する出力部をさらに備える構成とするとよい。この構成によれば、ターゲットイオンの同定に使用された同定範囲をデータ解析条件の一つとしてレポートに載せることができる。
本発明に係る質量分析データ処理装置及びデータ処理用プログラムによれば、非特許文献2に開示されている規定などに則ってターゲットイオンを確認する必要がある場合でも、測定者自身が煩雑で手の掛かる計算や比較の作業を行うことなく、的確な同定範囲を定めて確認イオン比が適合しているか否かを判定することができる。そのため、目的化合物の数が多かったり一つのターゲットイオンに対する確認イオンの数が多かったりする場合であっても、短時間で効率的に、且つ作業ミスの発生を防止しつつ、ターゲットイオンが適切であるか否かを判定し、物質同定の作業や定量作業を進めることができる。
本発明に係るデータ処理装置を含むLC−MS/MSシステムの一実施例の概略構成図。 本実施例のLC−MS/MSシステムにおけるスペクトル確認条件設定画面の一例を示す図。 本実施例のLC−MS/MSシステムにおけるスペクトル確認条件設定画面の一例を示す図。 本実施例のLC−MS/MSシステムにおけるターゲットイオン毎の確認イオン詳細設定画面の一例を示す図。 本実施例のLC−MS/MSシステムにおけるターゲットイオン毎の確認イオン詳細設定画面の他の例を示す図。 本実施例のLC−MS/MSシステムにおけるターゲットイオン毎の確認イオン詳細設定画面の他の例を示す図。 本発明に係るデータ処理装置の変形例を説明するための図。 従来のクロマトグラフ質量分析装置におけるスペクトル確認条件設定画面の一例を示す図。 従来のクロマトグラフ質量分析装置におけるターゲットイオン毎の確認イオン詳細設定画面の一例を示す図。
以下、本発明に係る質量分析用データ処理装置を含むLC−MS/MSシステムについて、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例によるLC−MS/MSシステムの概略構成図である。
このシステムは、試料中の含有成分を時間的に分離する液体クロマトグラフ(LC)1と、液体クロマトグラフ1により分離された各成分をエレクトロスプレイイオン化法などによる大気圧イオン源によりイオン化し、生成されたイオンに対するMS/MS測定を行うタンデム四重極型質量分析計などの質量分析計(MS/MS)2と、質量分析計2で取得されたデータを処理するためのデータ処理部3と、測定者が操作するキーボードやマウス等のポインティングデバイスを含む入力部4と、分析結果等を表示する表示部5と、を備える。データ処理部3は、測定データ保存部31と、条件設定処理部33、同定範囲計算部34、ターゲット同定処理部35を含む定量用ターゲット確認処理部32と、定量演算処理部36と、レポート作成処理部37、を機能ブロックとして備える。このデータ処理部3の実体はパーソナルコンピュータであり、該パーソナルコンピュータにインストールされた専用のデータ処理用プログラムをコンピュータ上で動作させることにより、図示した各部の機能が実現される。
本実施例のLC−MS/MSシステムにおいて、質量分析計2では、MRM測定、プロダクトイオンスキャン測定、プリカーサイオンスキャン測定、ニュートラルロススキャン測定などの測定モードを実施することができるが、一般に既知化合物に対する定量分析ではMRM測定が用いられるため、ここではMRM測定を行うものとして説明する。
この場合、定量対象である目的化合物毎に、一つのターゲットイオンのMRMトランジション(プリカーサイオンの質量電荷比とプロダクトイオンの質量電荷比との組)と、1個又は複数個の確認イオンのMRMトランジションとを、質量分析計2における分析条件として設定する。こうした分析条件の下で、液体クロマトグラフ1及び質量分析計2により得られたデータは測定データ保存部31に格納される。
上述のように収集されたデータに基づいて目的化合物の定量を行う際に、その化合物に対するターゲットイオン及び確認イオンについて得られているMRM測定データを用いたデータ処理について、図2〜図6を参照しつつ説明する。図2及び図3は本実施例のLC−MS/MSシステムにおけるスペクトル確認条件設定画面の一例を示す図、図4〜図6はターゲットイオン毎の確認イオン詳細設定画面の一例を示す図である。
定量分析に先立って確認イオンを用いてターゲットイオンが真に目的化合物由来であるか否かを確認したい、つまりターゲットイオンを同定したい場合には、測定者が入力部4で所定の操作を行うと、定量用ターゲット確認処理部32において条件設定処理部33は、表示部5の画面上に図2に示すようなスペクトル確認条件設定画面6を表示する。確認イオンを用いたターゲットイオンの同定を行いたい場合に、測定者は、マウスのクリック操作等により、「確認イオンを使う」チェックボックス61にチェックマークを入れる。また、その場合、確認イオンモードを選択する。
確認イオンモードを選択する際には、確認イオンモード選択ボタン62をクリック操作すると、図2に示すように確認イオンモードがドロップダウンメニュー63で表示されるから、その中の所望のものをクリック操作すればよい。ここで、本実施例のLC−MS/MSシステムでは、確認イオンモードの一つとして「絶対許容OR相対許容」モードが設けられている。例えば、非特許文献2に開示されているAORCの規定に則った分析を行いたい場合には、この「絶対許容OR相対許容」モードを選択すればよい。このモード以外に、従来装置と同様に、「絶対許容」モードや「相対許容」モードを選択することもできる。
この例では、「絶対許容OR相対許容」モードを実施する際に用いるパラメータのデフォルト値として、確認イオン比標準値:90%、絶対許容幅:20%、相対許容幅:40%が予め設定されている。そのため、「絶対許容OR相対許容」モードが選択指示されると、絶対許容幅表示ボックス64及び相対許容幅表示ボックス65には、それぞれ「20」、「40」という数値が表示される。なお、複数の確認イオンにおける絶対許容幅及び相対許容幅を変更したい場合には、絶対許容幅表示ボックス64及び相対許容幅表示ボックス65中に表示されている数値を、入力部4により直接書き換えればよい。また、この例では、「絶対許容OR相対許容」モードにおける同定範囲の上限がデフォルトとして100%に制限されているため、「確認イオンの同定範囲の上限を100%とする」チェックボックス66に自動的にチェックマークが記入される。この制約を外したい、つまりは100%を超えるような同定範囲の設定を可能としたい場合には、「確認イオンの同定範囲の上限を100%とする」チェックボックス66をクリックし、チェックマークを消せばよい。
また、本実施例のLC−MS/MSシステムでは、確認イオン比を計算する際に、マススペクトル上のピークの信号強度(MRM測定で得られた或る時点でのイオン強度)と、抽出イオンクロマトグラム(マスクロマトグラム)に現れるピーク(クロマトグラムピーク)のピーク面積及びピーク高さに基づく信号強度と、のいずれを用いるかを選択することができる。スペクトル確認条件設定画面6中の確認イオンベース選択部67において、「スペクトル」を選択すると前者、「波形処理結果」を選択すると後者を用いた確認イオン比によるターゲットイオン同定が可能である。図2、図3の例では、「スペクトル」が選択されているから、例えば所定の時点にMRM測定で得られたイオン強度に基づいて確認イオン比が計算される。
測定者が、スペクトル確認条件設定画面6において図3に示したような設定を行ったうえで、図示しない化合物テーブルなどにおいて確認したい化合物を選択指示すると、同定範囲計算部34は、指示された化合物について設定されているターゲットイオン(ターゲットイオンのMRMトランジション)に対する各確認イオンの同定範囲を計算する。
具体的にいうと同定範囲計算部34は、絶対許容モードにおける同定範囲Paを(1)式に従って計算するとともに、相対許容モードにおける同定範囲Prを(2)式に従って計算する。その結果、
Pa=Ri±Rw[%]=90±20[%]
Pr=Ri±(Ri×Rw)/100[%]=90±(90×0.4)=90±36[%]
と求まるから、この二つの同定範囲を比較し、大きいほうを選択する。上記例では、Pr>Paであるから、Prを同定範囲として選択する。ただし、選択されたこの同定範囲は54〜126[%]であり、その上限値は100[%]を超えているから、上限を100[%]とし、最終的な同定範囲を54〜100[%]と定める。
同定範囲計算部34は、指示された化合物について設定されている確認イオンのMRMトランジション、パラメータ、計算された同定範囲を、図4に示したような確認イオン詳細設定画面7中のパラメータテーブル71に表示する。図4に示した例は、MRMトランジションが414.20>183.10(プリカーサイオンm/z:414.20、プロダクトイオンm/z:183.10)であるターゲットイオンに対応付けられている3種の確認イオンについて、確認イオン比標準値、絶対許容幅、相対許容幅が共に上述したデフォルト値である場合に表示される画面である。絶対許容幅表示欄74及び相対許容幅表示欄75における「デフォルト」は、スペクトル確認条件設定画面6の絶対許容幅表示ボックス64及び相対許容幅表示ボックス65中に表示されている数値を使用することを意味する。図4の例では、3種の確認イオンは確認イオン標準値、絶対許容幅、相対許容幅が共通であるから、同定範囲も同一となる。
確認イオン詳細設定画面7のパラメータテーブル71中の確認イオン標準値表示欄73、絶対許容幅表示欄74、相対許容幅表示欄75には、入力部4による入力操作によって、確認イオン毎にそれぞれ任意の数値を入力することができる。図5は、5種の確認イオンについて、確認イオン標準値をそれぞれ異なる値とし、絶対許容幅と相対許容幅とを共に「60」に変更した場合の例である。これら三つのパラメータのいずれかが変更されると同定範囲も変わるから、同定範囲計算部34は変更後のパラメータに基づいて同定範囲を再計算し、同定範囲表示欄76中の数値も更新する。
例えばMRMトランジションが130.00>29.00である確認イオンについては、
Pa=Ri±Rw[%]=200±60[%]
Pr=Ri±(Ri×Rw)/100[%]=200±(200×0.6)=200±120[%]
であるから、Prが同定範囲として選択される。選択されたこの同定範囲は80〜320[%]であるので、上限値を100[%]に制限し、最終的な同定範囲を80〜100[%]とする。また、MRMトランジションが130.00>27.00である確認イオンについては、
Pa=Ri±Rw[%]=300±60[%]
Pr=Ri±(Ri×Rw)/100[%]=300±(300×0.6)=300±180[%]
であるから、Prが同定範囲として選択される。この場合、選択されたこの同定範囲は120〜480[%]であるから、同定範囲の下限値が100%を超えている。そのため、同定範囲の全てが100%を超えており、該同定範囲を用いてターゲットイオンを同定することは不可能である。そこで、そのことを示すべく「上限オーバー」とのテキストを同定範囲表示欄76中に表示する。
以上のように、確認イオン詳細設定画面7のパラメータテーブル71中の同定範囲表示欄76には、一つのターゲットイオンに対応する複数の確認イオンそれぞれの、同定範囲が数値で表示されるとともに、同定に不適切な同定範囲である場合には「上限オーバー」が表示される。これによって、測定者は確認イオン毎の同定範囲を一目で確認することができ、また同定範囲が適切でないことを認識して確認イオン比標準値などのパラメータを適宜調整することができる。
一方、確認イオンモードとして、「絶対許容OR相対許容」モードではなく「絶対許容」モードや「相対許容」モードが選択指示された場合には、測定者が設定し得る許容幅は一つのみである。そこで、この場合、同定範囲計算部34は、図6に示すように、一つの許容幅表示欄77が設けられているパラメータテーブル71を含む確認イオン詳細設定画面7を表示部5の画面上に表示する。即ち、この場合には、確認イオン詳細設定画面7は図9に示した従来の確認イオン詳細設定画面上のテーブルと同じとなる。そのため、従来装置にも用意されている「絶対許容」モードや「相対許容」モードを用いる場合には、表示や操作性は従来と同様になり、従来装置の操作に慣れた測定者が戸惑ったりミスを起こしたりすることをなくすことができる。
上述したように各確認イオンに対する同定範囲が決まったならば、ターゲット同定処理部35は、測定データ保存部31に格納されている、その目的化合物に対する測定データを読み出し、ターゲットイオンに対するスペクトルピークの信号強度と確認イオンに対するスペクトルピークの信号強度とから実測の確認イオン比を計算する。そして、算出した実測の確認イオン比がその確認イオンに対して設定されている同定範囲に収まるか否かを判定し、収まっていれば、そのターゲットイオンは目的化合物由来である可能性が高いとの推定結果を出す。ターゲット同定処理部35は、一つのターゲットイオンに対応付けられている確認イオン毎に、実測確認イオンが同定範囲に収まっているか否かを判定し、ターゲットイオンの同定可否の結果をそれぞれ求める。
なお、スペクトル確認条件設定画面6中の確認イオンベース選択部67において、「波形処理結果」が選択されている場合には、ターゲット同定処理部35は、MRM測定データからターゲットイオン、確認イオン毎に抽出イオンクロマトグラムを作成し、クロマトグラム上でピーク検出を行ってクロマトグラムピークを求める。そして、そのピークの面積値及び高さ値(又はその一方)を計算し、例えばピーク面積値と高さ値の比率を信号強度値として確認イオン比を計算する。確認イオン比の求め方はこれに限るものではない。
ターゲット同定処理部35によりターゲットイオンが確かに目的化合物に由来するものであると判定されると、定量演算処理部36は、測定データに基づいてターゲットイオンの抽出イオンクロマトグラムを作成し、目的化合物に対応するクロマトグラムピークの面積値から予め作成しておいた検量線を用いて定量値(濃度値)を求める。これによって、目的化合物由来ではない、誤ったターゲットイオンを用いた不適切な定量演算の実行を回避することができる。また、「絶対許容OR相対許容」モードを用いることで、非常に煩雑であるAORCの規定に則ったターゲットイオンの確認を、簡便に行うことができる。
測定者が入力部4より所定の操作を行うと、レポート作成処理部37はクロマトグラムなどの測定結果を示すグラフや定量分析結果など、指定された内容を含むレポートを作成する。その際に、ターゲットイオンの確認に利用された確認イオン毎の同定範囲を、レポートの内容に含ませることができる。そうして作成されたレポートは表示部5の画面上で確認可能であるほか、図示しないプリンタから紙出力することもできる。
なお、上記実施例のLC−MS/MSシステムに用いたデータ処理装置では、デフォルトとして設定されている又は測定者が入力した(変更した)許容幅と確認イオン比標準値とに基づいて同定範囲が計算されるようになっているが、予め作成してある確認イオン比標準値と同定範囲との対応テーブルに基づいて、与えられた確認イオン比標準値から同定範囲を定めるようにしてもよい。図7は確認イオン比標準値と同定範囲との対応テーブルの一例である。
いま、或るターゲットイオンに対応する確認イオンの確認イオン比標準値が45[%]と設定されたとすると、同定範囲計算部34は図7に示した対応テーブルを参照して、同定範囲5〜60[%]を導出する。また、確認イオン比標準値が80[%]と設定されたとすると、同定範囲計算部34は図7に示した対応テーブルを参照して、同定範囲30〜95[%]を導出する。そして、導出した同定範囲をそのまま最終的な同定範囲として定める。これによって、測定者は許容幅などのパラメータをいちいち入力することなく、また確認イオンモードを選択することもなく、確認イオン比標準値に応じた同定範囲を定めることができる。
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨に沿った範囲で適宜変形や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば上記実施例は、本発明に係るデータ処理装置をLC−MS/MSシステムに適用したが、質量分析計はMS/MS測定が可能である必要はない。また、本発明に係るデータ処理装置は、ガスクロマトグラフと質量分析計とを組み合わせたGC−MSやGC−MS/MSに適用することもできることは明らかである。
1…液体クロマトグラフ
2…質量分析計
3…データ処理部
31…測定データ保存部
32…定量用ターゲット確認処理部
33…条件設定処理部
34…同定範囲計算部
35…ターゲット同定処理部
36…定量演算処理部
37…レポート作成処理部
4…入力部
5…表示部
6…スペクトル確認条件設定画面
61…「確認イオンを使う」チェックボックス
62…確認イオンモード選択ボタン
63…ドロップダウンメニュー
64…絶対許容幅表示ボックス
65…相対許容幅表示ボックス
66…「確認イオンの同定範囲の上限を100%とする」チェックボックス
7…確認イオン詳細設定画面
71…パラメータテーブル
72…MRMトランジション表示欄
73…確認イオン標準値表示欄
74…絶対許容幅表示欄
75…相対許容幅表示欄
76…同定範囲表示欄

Claims (5)

  1. 目的化合物を特徴付ける特定の質量電荷比を有するターゲットイオンのほかに該目的化合物を確認するための別の質量電荷比を有する確認イオンを定めておき、目的試料に対する測定により求められた前記ターゲットイオンと前記確認イオンとの信号強度を求め、その結果を利用して該ターゲットイオンの適否を確認したうえで目的化合物の同定又は定量を行うための質量分析用データ処理装置であって、
    a)マススペクトル上で目的化合物由来のターゲットイオンのピークであると推測されるピークが真に目的化合物由来であると判定するための、前記ターゲットイオンの信号強度と前記確認イオンの信号強度との強度比である確認イオン比の同定範囲を決める際に、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定める第1のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の相対値で定める第2のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定まる確認イオン比の同定範囲と比率の相対値で定まる確認イオン比の同定範囲との大小関係に応じていずれか一方を選択する第3のモードと、のいずれか一つをユーザが選択するためのモード選択部と、
    b)前記モード選択部により前記第3のモードが選択された場合に、対象とする確認イオンの標準的な確認イオン比に対し、比率の絶対値として与えられた絶対許容幅に基づく第1の同定範囲と、比率の相対値として与えられた相対許容幅に基づく第2の同定範囲とをそれぞれ計算し、第1、第2なる二つの同定範囲の大小関係に応じていずれか一方を選択し、実測による確認イオン比を判定するための同定範囲として定める同定範囲決定部と、
    c)前記実測による確認イオン比を判定するための同定範囲についてその上限を100%に制限する指定をユーザが行うための範囲制限設定部と、
    d)前記範囲制限設定部により上限が指定された場合、前記同定範囲決定部で選択された同定範囲の全てがその上限値で制約された範囲を外れるときに、これをユーザに報知する報知部と、
    を備えることを特徴とする質量分析用データ処理装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析用データ処理装置であって、
    一つのターゲットイオンに対し複数の確認イオンを定める場合に、確認イオン毎に前記絶対許容幅と前記相対許容幅とをユーザが入力する許容幅設定部をさらに備えることを特徴とする質量分析用データ処理装置。
  3. 請求項に記載の質量分析用データ処理装置であって、
    前記同定範囲決定部は、前記範囲制限設定部により上限が指定された場合に、その指定された上限値に従って、選択した同定範囲を狭めることを特徴とする質量分析用データ処理装置。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の質量分析用データ処理装置であって、
    前記同定範囲決定部により決定された同定範囲をレポートとして出力する出力部をさらに備えることを特徴とする質量分析用データ処理装置。
  5. 目的化合物を特徴付ける特定の質量電荷比を有するターゲットイオンのほかに該目的化合物を確認するための別の質量電荷比を有する確認イオンを定めておき、目的試料に対する測定により求められた前記ターゲットイオンと前記確認イオンとの信号強度を求め、その結果を利用して該ターゲットイオンの適否を確認したうえで目的化合物の同定又は定量を行うための、コンピュータ上で動作するデータ処理装置用プログラムであって、該コンピュータを、
    a)マススペクトル上で目的化合物由来のターゲットイオンのピークであると推測されるピークが真に目的化合物由来であると判定するための、前記ターゲットイオンの信号強度と前記確認イオンの信号強度との強度比である確認イオン比の同定範囲を決める際に、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定める第1のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の相対値で定める第2のモードと、確認イオン比の許容幅を比率の絶対値で定まる確認イオン比の同定範囲と比率の相対値で定まる確認イオン比の同定範囲との大小関係に応じていずれか一方を選択する第3のモードと、のいずれか一つをユーザが選択するためのモード選択部と、
    b)前記モード選択部により前記第3のモードが選択された場合に、対象とする確認イオンの標準的な確認イオン比に対し、比率の絶対値として与えられた絶対許容幅に基づく第1の同定範囲と、比率の相対値として与えられた相対許容幅に基づく第2の同定範囲とをそれぞれ計算し、第1、第2なる二つの同定範囲の大小関係に応じていずれか一方を選択し、実測による確認イオン比を判定するための同定範囲として定める同定範囲決定部と、
    c)前記実測による確認イオン比を判定するための同定範囲についてその上限を100%に制限する指定をユーザが行うための範囲制限設定部と、
    d)前記範囲制限設定部により上限が指定された場合、前記同定範囲決定部で選択された同定範囲の全てがその上限値で制約された範囲を外れるときに、これをユーザに報知する報知部と、
    して動作させることを特徴とするデータ処理装置用プログラム。
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