以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
図1は、一実施形態に係る磁気抵抗素子の製造方法を示す流れ図である。図1に示す磁気抵抗素子の製造方法MTは、工程ST1〜工程ST4を含む。製造方法MTは、工程ST1から開始される。図2は、工程ST1において基板上に作成される下地膜を例示する図である。工程ST1では、図2に示すように基板SB上に下地膜ISが形成される。下地膜ISは、絶縁膜であり、シリコン、酸素、及び、炭素を含む。即ち、下地膜ISは、酸化シリコンから形成されており、炭素を含み得る。下地膜ISは、例えば化学気相成長(CVD)法によって形成される。CVD法では、例えば、シリコン及び炭素を含有するガスが用いられる。このガスは、テトラエトキシシラン(TEOS)又はメチルシランを含み得る。
続く工程ST2では、酸素含有ガスのプラズマを用いて下地膜ISに対してプラズマアッシングが実行される。図3は、工程ST2におけるプラズマアッシングを示す図である。図3において、円形の図形は、酸素の活性種を示している。工程ST2では、酸素含有ガスのプラズマPLAが生成され、当該プラズマPLAからの酸素の活性種が下地膜ISに照射される。これにより、下地膜ISの表面を含む部分における炭素の量が減少される。
続く工程ST3では、アッシングされた下地膜IS上に金属層及び磁性層を含む多層膜MLが形成される。また、工程ST3では、多層膜ML上にマスクMKが形成される。多層膜ML及びマスクMKは、例えば、スパッタリングにより形成される。
図4は、工程ST3において作成される被加工物(Workpiece)を例示する図である。図4に示すように、工程ST3において作成される第3の被加工物W3は、多層膜ML及びマスクMKを含む。多層膜MLは、複数の層を有している。例えば、図4に示すように、多層膜MLは、第1層L1〜第15層L15の15個の層を有している。
第1層L1は、最下層、即ち、下地膜ISの最も近くに設けられた層であり、Taから形成されている。第2層L2は、第1層L1上に設けられており、Ruから形成されている。第3層L3は、第2層L2上に設けられており、Taから形成されている。第4層L4は、第3層L3上に設けられており、Ptから形成されている。第5層L5は、第4層L4上に設けられており、Pt及びCoから形成されている。第6層L6は、第5層L5上に設けられており、Coから形成されている。第7層L7は、第6層L6上に設けられており、Ruから形成されている。第8層L8は、第7層L7上に設けられており、Pt及びCoから形成されている。第9層L9は、第8層L8上に設けられており、Coから形成されている。第10層L10は、第9層L9上に設けられており、Taから形成されている。第11層L11は、第10層L10上に設けられており、CoFeBから形成されている。第12層L12は、第11層L11上に設けられており、MgOから形成されている。第13層L13は、第12層L12上に設けられており、CoFeBから形成されている。第14層L14は第13層L13上に設けられており、Taから形成されている。第15層L15は、第14層L14上に設けられており、Ruから形成されている。第5層L5及び第8層L8は、Pt薄膜とCo薄膜が交互に積層された構造を有している。具体的に、第5層L5は、6層のPt薄膜と6層のCo薄膜が交互に積層された構造を有しており、第8層L8は、2層のPt薄膜と2層のCo薄膜が交互に積層された構造を有している。上記構造では、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4、第7層L7、第10層L10、第14層L14および第15層L15が金属層であり、第5層L5、第6層L6、第8層L8、第9層L9、第11層L11および第13層L13が磁性層である。
多層膜MLの第1層L1と第2層L2は、下部電極を構成している。第3層L3と第4層L4は、それらの上に膜を成長するためのシード層である。第5層L5と第6層L6は、反強磁性層を構成している。第7層L7は、反強磁性層と上層の磁化固定層の間のスペーサとして用いられる。第8層L8、第9層L9、第10層L10、及び第11層L11は磁化固定層を構成している。第12層L12はトンネルバリア層であり、第13層L13は磁化自由層である。第14層L14と第15層L15は、上部電極を構成している。また、上記の磁化固定層、トンネルバリア層、及び、磁化自由層は、磁気トンネル接合(MTJ)を構成している。
多層膜MLの各層の厚さを例示する。第1層L1の厚さは5nm、第2層L2の厚さは5nm、第3層L3の厚さは10nm、第4層L4の厚さは5nm、第5層L5の厚さは4.8nm、第6層L6の厚さは0.5nm、第7層L7の厚さは0.9nm、第8層L8の厚さは1.6nm、第9層L9の厚さは0.5nm、第10層L10の厚さは0.4nm、第11層L11の厚さは1.2nm、第12層L12の厚さは1.3nm、第13層L13の厚さは1.6nm、第14層L14の厚さは5nm、第15層L15の厚さは5nmである。
マスクMKは、金属含有膜から作製されたマスクである。金属含有膜は、例えば、Ta又はTiN等から構成される。マスクMKのパターンは、プラズマエッチングによって形成され得る。
図1を再び参照する。工程ST4では、水素含有ガスのプラズマを用いて多層膜MLに対してプラズマエッチングが実行される。水素含有ガスは、H2、H2O、炭化水素、アルコール、ケトン、アルデヒド、及び、カルボン酸のうち少なくとも一つを含む。図5は、工程ST4におけるプラズマエッチングを示す図である。図5において、円形の図形は、多層膜MLをエッチングするイオンを示している。工程ST4では、水素含有ガスのプラズマPLEが生成され、当該プラズマPLEからのイオンが多層膜MLに衝突するように多層膜MLに引き込まれる。これにより、多層膜MLのスパッタエッチングが行われる。図6は、工程ST4の実行後の多層膜を例示する図である。図6に示すように、工程ST4のプラズマエッチングでは、下地膜ISが露出するまで多層膜MLがエッチングされる。この工程ST4のプラズマエッチングにより、マスクMKのパターンが多層膜MLに転写される。
上述したように、下地膜ISは炭素を含んでいるので、工程ST2におけるプラズマアッシングを行わずに、下地膜IS上に多層膜MLを形成すると、下地膜ISと多層膜MLとの間の界面には炭素を含む有機不純物が残される。工程ST4におけるスパッタエッチングに用いられる水素の活性種が有機不純物と反応すると、界面において反応生成物の気体が発生する。この気体が膨張し多層膜に大きな応力を与える。その結果、多層膜の剥がれ及び/又は割れが生じ得る。製造方法MTでは、下地膜ISに対して工程ST2のプラズマアッシングが実行されるので、下地膜ISの表面を含む部分における有機不純物の量が減少される。したがって、上述した気体の発生が抑制される。故に、多層膜MLのプラズマエッチングにおいて、当該多層膜MLの剥がれ及び/又は割れが抑制される。
以下、図7を参照して、製造方法MTの実施に用いることが可能な製造システムについて説明する。図7は、一実施形態にかかる磁気抵抗素子の製造システムを概略的に示す図である。図7に示す製造システム100は、ローダモジュール102、ロードロックモジュール104及び106、搬送モジュール108、複数の処理モジュール110a〜110h、並びに、制御部112を備えている。なお、複数の処理モジュール110aの個数は、図3に示す製造システム100においては八つであるが、任意の個数であってもよい。
ローダモジュール102は、大気圧環境下において被加工物を搬送する装置である。ローダモジュール102には、複数の台114が取り付けられている。複数の台114の各々の上には、複数の被加工物を収容可能な容器116がそれぞれ搭載される。なお、容器116は、FOUP(Front Opening Unified Pod)であり得る。
ローダモジュール102は、その内部の搬送チャンバ102cに搬送装置102tを有している。搬送装置102tは、被加工物を保持して当該被加工物を搬送するためのロボットアームを含み得る。このローダモジュール102には、ロードロックモジュール104及びロードロックモジュール106が接続されている。搬送装置102tは、容器116とロードロックモジュール104の間、又は、容器116とロードロックモジュール106の間において被加工物を搬送する。
ロードロックモジュール104及びロードロックモジュール106はそれぞれ、予備減圧のためのチャンバ104c及びチャンバ106cをそれぞれ提供している。ロードロックモジュール104及びロードロックモジュール106には、搬送モジュール108が接続されている。搬送モジュール108は、減圧可能な搬送チャンバ108cを提供しており、当該搬送チャンバ108cは、その内部に搬送装置108tを有している。搬送装置108tは、被加工物を保持して当該被加工物を搬送するためのロボットアームを含み得る。この搬送モジュール108には、複数の処理モジュール110a〜110hが接続されている。搬送モジュール108の搬送装置108tは、ロードロックモジュール104及びロードロックモジュール106の何れかと複数の処理モジュール110a〜110hの何れかとの間、及び、複数の処理モジュール110a〜110hのうち任意の二つの処理モジュール間で、被加工物を搬送する。
複数の処理モジュール110a〜110hは、第1処理モジュール110a、第2処理モジュール110b、複数の第3処理モジュール110c〜110g、及び、第4処理モジュール110hを含んでいる。第1処理モジュール110aは、基板SB上に下地膜ISを形成するためのモジュールであり得る。第1処理モジュール110aは、例えば、CVD装置であり得る。第2処理モジュール110bは、下地膜ISに対するプラズマアッシングを行うためのモジュールであり得る。第2処理モジュール110bは、プラズマアッシング用のプラズマ処理装置であり得る。複数の第3処理モジュール110c〜110gは、金属層及び磁性層を含む多層膜MLを形成するためのモジュールであり得る。複数の第3処理モジュール110c〜110gは、上述のマスクを形成するためのモジュールも含み得る。
複数の第3処理モジュール110c〜110gの各々は、スパッタリング装置であり得る。各スパッタリング装置は、一以上のターゲット物質の成膜を行うように構成されている。製造システム100が図4に示した多層膜MLを成膜するように構成されている場合には、複数のスパッタリング装置の各々は、Taターゲット、Ruターゲット、Ptターゲット、Coターゲット、CoFeBターゲット、及び、酸化マグネシウム(MgO)ターゲットのうち対応の一つ以上のターゲットを有している。一例においては、複数のスパッタリング装置の各々は、四つのターゲットを有し、当該四つのターゲットのうち選択されたターゲットの構成物質のスパッタリングを行うスパッタリング装置であり得る。
なお、複数のスパッタリング装置のうち一つは、MgOターゲットではなく、Mgターゲットを有していてもよい。この場合には、複数の第3処理モジュール110c〜110gのうち一つは、Mg膜を酸化させるための酸化処理装置であり得る。酸化処理装置は、酸素雰囲気下においてMg膜を加熱する装置であってもよく、或いは、酸素ガスのプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。このプラズマ処理装置は、容量結合型プラズマ処理装置、誘導結合型プラズマ処理装置、又は、マイクロ波といった表面波によってプラズマを生成するプラズマ処理装置等の任意のプラズマ処理装置であり得る。
第4処理モジュール110hは、多層膜MLのプラズマエッチングを実行するためのモジュールであり得る。第4処理モジュール110hは、プラズマエッチング用のプラズマ処理装置であり得る。
制御部112は、搬送モジュール108、第1処理モジュール110a、第2処理モジュール110b、複数の第3処理モジュール110c〜110g、及び、第4処理モジュール110hを制御するよう構成されている。また、制御部112は、ローダモジュール102を更に制御するよう構成されている。制御部112は、例えば、プロセッサ、及びメモリといった記憶装置を有するコンピュータ装置であり得る。記憶装置には、製造システム100の各部を制御するためのプログラム及び製造システム100において上述した製造方法MTを実施するためのレシピデータが記憶されている。プロセッサは、記憶装置に記憶されているプログラム及びレシピデータに従って動作し、製造システム100の各部を制御するための制御信号を当該各部に出力する。
製造方法MTの実施において、制御部112は、基板SBを容器116からロードロックモジュール104又はロードロックモジュール106の何れかに搬送するよう、ローダモジュール102の搬送装置102tを制御する。次いで、制御部112は、ロードロックモジュール104又はロードロックモジュール106の何れかに搬入された基板SBを第1処理モジュール110aに搬送するよう、搬送モジュール108の搬送装置108tを制御する。そして、制御部112は、基板SB上に下地膜ISを形成するよう、第1処理モジュール110aを制御する。これにより、図2に示す第1の被加工物W1が作成される。
次いで、制御部112は、第2処理モジュール110bに第1の被加工物W1を搬送するよう、搬送モジュール108の搬送装置108tを制御する。第1の被加工物W1は、下地膜ISの形成後に搬送チャンバ108cを含む減圧された空間のみを介して、第1処理モジュール110aから第2処理モジュール110bに搬送される。そして、制御部112は、下地膜ISに対してプラズマアッシングを行うよう、第2処理モジュール110bのプラズマアッシング装置を制御する。これにより第2の被加工物が作成される。
次いで、制御部112は、複数の第3処理モジュール110c〜110gのうち、第3処理モジュール110cに、第2の被加工物を搬送するよう、搬送モジュール108の搬送装置108tを制御する。第3処理モジュール110cは、多層膜MLにおける最下層の第1層L1を形成するためのターゲットを有する。第2の被加工物は、上述のプラズマアッシング後に搬送チャンバ108cを含む減圧された空間のみを介して、第2処理モジュール110bから第3処理モジュール110cに搬送される。
次いで、制御部112は、第2層L2〜第15層L15の各層及びマスクMKを順次形成するために、搬送モジュール108の搬送装置108t、及び、複数の第3処理モジュール110c〜110gのうち当該各層の形成において動作すべき幾つかの第3処理モジュールを制御する。これにより、第3の被加工物W3が作成される。制御部112は、搬送チャンバ108cを含む減圧された空間のみを介して、任意の二つの第3処理モジュール間で被加工物を搬送するよう、搬送モジュール108の搬送装置108tを制御する。なお、第3処理モジュールが、多層膜ML及びマスクMK中の連続する二つの層の成膜用の二以上のターゲットを有している場合には、これら二つの層の成膜の間に被加工物を搬送することは不要である。
次いで、制御部112は、第4処理モジュール110hに第3の被加工物W3を搬送するよう、搬送モジュール108の搬送装置108tを制御する。第3の被加工物W3は、搬送チャンバ108cを含む減圧された空間のみを介して、先の処理に用いられた第3処理モジュールから第4処理モジュール110hに搬送される。そして、制御部112は、マスクMKのパターンを形成するためのプラズマエッチングを実行するよう、第4処理モジュール110hを制御する。さらに、制御部112は、多層膜MLのプラズマエッチングを実行するよう、第4処理モジュール110hを制御する。
以下、製造システム100の第2処理モジュール110bとして用いることが可能なプラズマ処理装置の例について説明する。図8は、第2処理モジュールとして用いることが可能なプラズマ処理装置を例示する図である。図8に示すプラズマ処理装置200は、マイクロ波によってガスを励起させるプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置200は、チャンバ本体212を備えている。
チャンバ本体212は、その内部空間をチャンバ212cとして提供している。チャンバ本体212は、側壁212s、底部212b、及び、天部212tを含んでおり、略円筒形状を有している。チャンバ本体212の中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線Z2に略一致している。底部212bは、側壁212sの下端側に設けられている。底部212bには、排気孔212hが設けられている。側壁212sの上端部は開口している。側壁212sの上端部開口は、誘電体窓218によって閉じられている。誘電体窓218は、側壁212sの上端部と天部212tとの間に挟持されている。この誘電体窓218と側壁212sの上端部との間には封止部材226が介在していてもよい。封止部材226は、例えばOリングであり得る。
プラズマ処理装置200は、ステージ220を更に備えている。ステージ220は、誘電体窓218の下方に設けられている。ステージ220は、下部電極220a及び静電チャック220bを含んでいる。
下部電極220aは、支持部246によって支持されている。支持部246は、絶縁性の材料で構成されている。支持部246は、略円筒形状を有しており、底部212bから上方に延びている。また、支持部246の外周には、導電性の支持部248が設けられている。支持部248は、チャンバ本体212の底部212bから支持部246の外周に沿って上方に延びている。この支持部248と側壁212sとの間には、環状の排気路250が形成されている。
排気路250の上部には、バッフル板252が設けられている。バッフル板252には、板厚方向に延びる複数の貫通孔が形成されている。排気路250は、排気孔212hを提供する排気管254に接続しており、当該排気管254には、圧力調整器256aを介して排気装置256bが接続されている。排気装置256bは、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有している。圧力調整器256aは、排気装置256bの排気量を調整して、チャンバ212cの圧力を調整する。これら圧力調整器256a及び排気装置256bにより、チャンバ212cを所望の真空度に減圧することができる。また、排気装置256bにより、ステージ220の外周から排気路250を介してガスを排気することができる。
下部電極220aは、アルミニウムといった導体から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極220aには、マッチングユニット260及び給電棒262を介して、RFバイアス用の高周波電源258が電気的に接続されている。高周波電源258は、高周波を発生する。この高周波の周波数は、イオンの引き込みに適した周波数であり、例えば、13.65MHzであり得る。マッチングユニット260は、高周波電源258側のインピーダンスと、下部電極220a、プラズマ、チャンバ本体212といった負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器を収容している。
静電チャック220bは、下部電極220a上に設けられている。静電チャック220bは、誘電体膜内に電極を内蔵している。この電極には、直流電源264がスイッチ266を介して接続されている。直流電源264からの直流電圧が静電チャック220bの電極に印加されると、静電チャック220bは、クーロン力を発生し、当該クーロン力により被加工物Wを吸着する。この静電チャック220bの周囲には、フォーカスリングF2が配置されている。
下部電極220aの内部には、流路220gが形成されている。流路220gには、チラーユニットから管270を介して冷媒が供給されるようになっている。流路220gに供給された冷媒は、管272を介してチラーユニットに回収されるようになっている。また、ステージ220には、ヒータHTが内蔵されている。プラズマ処理装置200では、ヒータHTの発熱量及び冷媒の温度が調整されることにより、被加工物Wの温度が調整されるようになっている。また、プラズマ処理装置200では、伝熱ガス供給部からの伝熱ガス、例えば、Heガスが管274を介して静電チャック220bの上面と被加工物Wの裏面との間に供給されるようになっている。
プラズマ処理装置200は、アンテナ214、同軸導波管216、誘電体窓218、マイクロ波発生器228、チューナ230、導波管232、及び、モード変換器234を更に備えている。マイクロ波発生器228は、例えば2.45GHzの周波数を有するマイクロ波を発生する。マイクロ波発生器228は、チューナ230、導波管232、及び、モード変換器234を介して、同軸導波管216の上部に接続されている。同軸導波管216は、外側導体216a及び内側導体216bを含んでいる。外側導体216aは、円筒形状を有しており、その中心軸線は軸線Z2に略一致している。外側導体216aの下端は、導電性の表面を有する冷却ジャケット236の上部に接続されている。内側導体216bは、外側導体216aの内側に設けられている。内側導体216bは、略円筒形状を有しており、その中心軸線は軸線Z2に略一致している。内側導体216bの下端は、アンテナ214のスロット板240に接続している。
アンテナ214は、天部212tに形成された開口内に配置されている。このアンテナ214は、誘電体板238及びスロット板240を含んでいる。誘電体板238は、マイクロ波の波長を短縮させるものであり、略円盤形状を有している。誘電体板238は、例えば、石英又はアルミナから形成される。誘電体板238は、スロット板240と冷却ジャケット236の下面の間に挟持されている。
スロット板240は、金属製であり、略円盤形状を有している。スロット板240には、複数のスロット対が形成されている。複数のスロット対は、二つのスロット孔を含んでいる。二つのスロット孔は、スロット板240を板厚方向に貫通しており、互いに交差する方向に延在する長孔形状を有している。複数のスロット対は、軸線Z2を中心とする一以上の同心円に沿って配列されている。
プラズマ処理装置200では、マイクロ波発生器228により発生されたマイクロ波が、同軸導波管216を通って、誘電体板238に伝播され、スロット板240のスロット孔から誘電体窓218に与えられる。誘電体窓218は、略円盤形状を有しており、例えば、石英又はアルミナから形成されている。誘電体窓218は、スロット板240の直下に設けられている。誘電体窓218は、アンテナ214から受けたマイクロ波を透過して、当該マイクロ波をチャンバ212c内に導入する。これにより、誘電体窓218の直下に電界が発生する。
プラズマ処理装置200は、導入部224及びガス供給系280を更に備えている。導入部224は、環状管224a及び管224bを含んでいる。環状管224aは、軸線Z2に対して周方向に環状に延在するよう、チャンバ212c内に設けられている。この環状管224aには、軸線Z2に向けて開口された複数のガス噴射孔224hが形成されている。この環状管224aには管224bが接続しており、当該管224bはチャンバ本体212の外部まで延びている。
ガス供給系280は、ガスソース群282、流量制御器群284、及び、バルブ群286を含んでいる。ガスソース群282は、酸素含有ガスの一以上のガスソースを含んでいる。例えば、ガスソース群282は、酸素ガス(O2ガス)のソース及び希ガス(例えば、Arガス)のソースを含み得る。流量制御器群284は、マスフローコントローラといった一以上の流量制御器を含んでいる。バルブ群286は、一以上のバルブを含んでいる。ガスソース群282の一以上のガスソースはそれぞれ、流量制御器群284の対応の流量制御器及びバルブ群286の対応のバルブを介して管224bに接続されている。
プラズマ処理装置200では、ガスソース群282からの酸素含有ガスがチャンバ212cに供給される。また、圧力調整器256a及び排気装置256bによってチャンバ212cが減圧される。さらに、誘電体窓218からチャンバ212cに導入されたマイクロ波によって電界が形成される。かかる電界によって酸素含有ガスが励起される。これにより、酸素含有ガスのプラズマが生成される。そして、プラズマからの酸素の活性種によって、被加工物Wが処理される。このように、プラズマ処理装置200は、酸素の活性種によって被加工物Wの処理を行うことができる。
以下、製造システム100の複数の第3処理モジュール110c〜110gとして用いることが可能なスパッタリング装置について説明する。図9は、第3処理モジュールとして用いることが可能なスパッタリング装置を例示する図である。図10は、ステージ側から視たスパッタリング装置のシャッターを示す平面図である。
図9に示すスパッタリング装置300は、チャンバ本体312を備えている。チャンバ本体312は、例えば、アルミニウムから形成されており、接地電位に接続されている。チャンバ本体312は、その内部空間をチャンバ312cとして提供している。チャンバ本体312の底部には、チャンバ312cを減圧するための排気装置314が接続されている。排気装置314は、例えば、クライオポンプ及びドライポンプを含み得る。また、チャンバ本体312の側壁には、被加工物Wの搬送用の開口が形成されている。この開口の開閉のために、ゲートバルブGVが、チャンバ本体312の側壁に沿って設けられている。
チャンバ本体312内には、ステージ316が設けられている。ステージ316は、ベース部316a及び静電チャック316bを含み得る。ベース部316aは、例えば、アルミニウムから構成されており、略円盤形状を有している。
ベース部316a上には、静電チャック316bが設けられている。静電チャック316bは、誘電体膜内に内蔵された電極を有する。静電チャック316bの電極には、直流電源SDCが接続されている。静電チャック316b上に載置された被加工物Wは、静電チャック316bが発生するクーロン力によって、当該静電チャック316bに吸着される。
ステージ316は、ステージ駆動機構318に接続されている。ステージ駆動機構318は、支軸318a及び駆動装置318bを含んでいる。支軸318aは、略柱状の部材である。支軸318aの中心軸線は、鉛直方向に沿って延びる軸線AX1に略一致している。この軸線AX1は、ステージ316の中心を鉛直方向に通る軸線である。支軸318aは、ステージ316の直下からチャンバ本体312の底部を通ってチャンバ本体312の外部まで延在している。この支軸318aとチャンバ本体312の底部との間には、封止部材SL1が設けられている。封止部材SL1は、支軸318aが回転及び上下動可能であるように、チャンバ本体312の底部と支軸318aとの間の空間を封止する。このような封止部材SL1は、例えば、磁性流体シールであり得る。
支軸318aの上端には、ステージ316が結合されており、当該支軸318aの下端には駆動装置318bが接続されている。駆動装置318bは、支軸318aを回転及び上下動させるための動力を発生する。この動力によって支軸318aが回転することに伴ってステージ316は軸線AX1中心に回転し、支軸318aが上下動することに伴ってステージ316は上下動する。
図9及び図10に示すように、ステージ316の上方には、四つのターゲット(カソードターゲット)320が設けられている。これらターゲット320は、軸線AX1を中心とする円弧に沿って配列されている。
ターゲット320は、金属製のホルダ322aによって保持されている。ホルダ322aは、絶縁部材322bを介してチャンバ本体312の天部に支持されている。ターゲット320には、ホルダ322aを介して電源324が接続されている。電源324は、負の直流電圧を、ターゲット320に印加する。なお、電源324は、複数のターゲット320に選択的に電圧を印加する単一の電源であってもよい。或いは、電源324は、複数のターゲット320にそれぞれ接続された複数の電源であってもよい。また、電源324は、高周波電源であってもよい。
スパッタリング装置300では、マグネット(カソードマグネット)326が、ホルダ322aを介して対応のターゲット320と対向するよう、チャンバ本体312の外部に設けられている。
また、スパッタリング装置300は、チャンバ312cにガスを供給するガス供給部330を備えている。ガス供給部330は、ガスソース330a、マスフローコントローラといった流量制御器330b、及び、ガス導入部330cを含んでいる。ガスソース330aは、チャンバ312cにおいて励起されるガスのソースであり、希ガス(例えばArガス)のソースである。ガスソース330aは、流量制御器330bを介してガス導入部330cに接続している。ガス導入部330cは、ガスソース330aからのガスをチャンバ312cに導入するガスラインである。
このガス供給部330からチャンバ312cにガスが供給され、電源324によってターゲット320に電圧が印加されると、チャンバ312cに供給されたガスが励起される。また、マグネット326により対応のターゲット320の近傍に磁界が発生する。これにより、ターゲット320の近傍にプラズマが集中する。そして、ターゲット320にプラズマ中の正イオンが衝突することで、ターゲット320から当該ターゲット320の構成物質が放出される。これにより、被加工物W上に膜が形成される。
また、ターゲット320とステージ316との間には、シャッターSH1及びシャッターSH2が設けられている。シャッターSH1は、ターゲット320の表面に対峙するように延在している。シャッターSH1は、例えば、軸線AX1を中心軸線とする円錐面に沿う形状を有している。シャッターSH2は、シャッターSH1とステージ316との間に介在している。シャッターSH2は、例えば、軸線AX1を中心軸線とする円錐面に沿う形状を有し、シャッターSH1に沿って、且つ、シャッターSH1から離間して設けられている。
シャッターSH1には、開口AP1が形成されている。シャッターSH1の中央部分には、回転軸RS1が結合している。また、シャッターSH2には、開口AP2が形成されている。シャッターSH2の中央部分には、回転軸RS2が結合している。回転軸RS1の中心軸線及び回転軸RS2の中心軸線は軸線AX1に略一致している。即ち、回転軸RS1及び回転軸RS2は同軸に設けられている。回転軸RS1及び回転軸RS2は、チャンバ本体312の外部まで延びて、駆動装置RDに接続している。駆動装置RDは、回転軸RS1及び回転軸RS2を軸線AX1中心に互いに独立して回転させるように構成されている。回転軸RS1の回転に伴いシャッターSH1は軸線AX1中心に回転し、回転軸RS2の回転に伴いシャッターSH2は軸線AX1中心に回転する。シャッターSH1及びシャッターSH2の回転により、開口AP1、開口AP2、及び、ターゲット320の相対的な位置が変化する。これにより、ターゲット320は、シャッターSH1の開口AP1及びシャッターSH2の開口AP2を介してステージ316に対して露出されるか(図10の(a)を参照)、或いは、シャッターSH1及びシャッターSH2によってステージ316に対して遮蔽される(図10の(b)を参照)。
図10の(a)に示す状態では、被加工物W上に膜を形成することができる。一方、図10の(b)に示す状態では、ターゲット320から放出される物質はシャッターSH1及びシャッターSH2により遮蔽されて、被加工物W上に堆積しない。
以下、製造システム100の第4処理モジュール110hとして用いることが可能なプラズマ処理装置について説明する。図11は、第4処理モジュールとして用いることが可能なプラズマ処理装置を例示する図である。図11に示すプラズマ処理装置400は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置400は、チャンバ本体412を備えている。チャンバ本体412は、その内部空間をチャンバ412cとして提供している。チャンバ本体412は、略円筒形状を有しており、例えば、アルミニウムから形成されている。このチャンバ本体412の内壁面には、陽極酸化処理が施されていてもよい。このチャンバ本体412は接地されている。
チャンバ本体412の底部上には、略円筒形状を有する支持部414が設けられている。支持部414は、例えば、絶縁材料から構成されている。支持部414は、チャンバ412cにおいて、チャンバ本体412の底部から上方に延在している。また、チャンバ412c内には、ステージPDが設けられている。ステージPDは、支持部414によって支持されている。
ステージPDは、その上面において被加工物Wを保持する。ステージPDは、下部電極LE及び静電チャックESCを有している。下部電極LEは、第1プレート418a及び第2プレート418bを含んでいる。第1プレート418a及び第2プレート418bは、例えばアルミニウムといった金属から構成されており、略円盤形状をなしている。第2プレート418bは、第1プレート418a上に設けられており、第1プレート418aに電気的に接続されている。
第2プレート418b上には、静電チャックESCが設けられている。静電チャックESCは、誘電体膜内に電極を内蔵している。静電チャックESCの電極には、直流電源422がスイッチ423を介して電気的に接続されている。この静電チャックESCは、直流電源422からの直流電圧により生じたクーロン力により被加工物Wを吸着する。これにより、静電チャックESCは、被加工物Wを保持することができる。
第2プレート418bの周縁部上には、被加工物Wのエッジ及び静電チャックESCを囲むようにフォーカスリングFRが配置されている。フォーカスリングFRは、エッチングの均一性を向上させるために設けられている。フォーカスリングFRは、エッチング対象の膜の材料によって適宜選択される材料から構成されており、例えば、石英から構成され得る。
第2プレート418bの内部には、流路424が設けられている。流路424には、チャンバ本体412の外部に設けられたチラーユニットから管426aを介して冷媒が供給される。流路424に供給された冷媒は、管426bを介してチラーユニットに戻される。このように、流路424とチラーユニットとの間では、冷媒が循環される。この冷媒の温度を制御することにより、静電チャックESCによって支持された被加工物Wの温度が制御される。
また、プラズマ処理装置400には、ガス供給ライン428が設けられている。ガス供給ライン428は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャックESCの上面と被加工物Wの裏面との間に供給する。
また、プラズマ処理装置400は、上部電極430を備えている。上部電極430は、ステージPDの上方において、当該ステージPDと対向配置されている。下部電極LEと上部電極430とは、互いに略平行に設けられている。上部電極430は、絶縁遮蔽部材432を介して、チャンバ本体412の上部に支持されている。上部電極430は、天板434及び支持体436を含み得る。天板434はチャンバ412cに面している。この天板434には複数のガス噴出孔434aが設けられている。天板434は、例えば、シリコン、SiCから形成され得る。或いは、天板434は、アルミニウム製の母材の表面にセラミックスの皮膜を設けた構造を有し得る。
支持体436は、天板434を脱着自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。支持体436の内部には、ガス拡散室436aが設けられている。このガス拡散室436aからは、ガス噴出孔434aに連通する複数のガス通流孔436bが下方に延びている。また、支持体436には、ガス拡散室436aに処理ガスを導くガス導入口436cが形成されており、このガス導入口436cには、ガス供給管438が接続されている。
ガス供給管438には、バルブ群442及び流量制御器群444を介して、ガスソース群440が接続されている。ガスソース群440は、水素含有ガスの一以上のガスソースを含んでいる。ガスソース群440は、水素含有ガスのソースに加えて、希ガスのソースを含んでいてもよい。
バルブ群442は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群444はマスフローコントローラといった複数の流量制御器を含んでいる。ガスソース群440の一以上のガスソースはそれぞれ、バルブ群442の対応のバルブ及び流量制御器群444の対応の流量制御器を介して、ガス供給管438に接続されている。
また、プラズマ処理装置400では、チャンバ本体412の内壁に沿ってデポシールド446が着脱自在に設けられている。デポシールド446は、支持部414の外周にも設けられている。デポシールド446は、チャンバ本体412にエッチング副生物が付着することを防止するものであり、アルミニウム材にY2O3等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。
チャンバ本体412の底部側、且つ、支持部414とチャンバ本体412の側壁との間には、バッフル板448が設けられている。バッフル板448には、板厚方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている。バッフル板448は、例えば、アルミニウム材にY2O3等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。このバッフル板448の下方、且つ、チャンバ本体412には、排気口412eが設けられている。排気口412eには、排気管452を介して排気装置450が接続されている。排気装置450は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ412cの圧力を所望の真空度で減圧することができる。また、チャンバ本体412の側壁には被加工物Wの搬入出口412gが設けられており、この搬入出口412gはゲートバルブ454により開閉可能となっている。
また、プラズマ処理装置400は、第1の高周波電源462及び第2の高周波電源464を更に備えている。第1の高周波電源462は、プラズマ生成のための第1の高周波を発生する電源であり、例えば、27〜100MHzの周波数の第1の高周波を発生する。第1の高周波電源462は、整合器466を介して上部電極430に接続されている。整合器466は、第1の高周波電源462の出力インピーダンスと負荷側の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源462は、整合器466を介して下部電極LEに接続されてもよい。
第2の高周波電源464は、被加工物Wに活性種を引き込むための、即ちバイアス用の第2の高周波を発生する電源であり、例えば、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数の第2の高周波を発生する。第2の高周波電源464は、整合器468を介して下部電極LEに接続されている。整合器468は、第2の高周波電源464の出力インピーダンスと負荷側の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
プラズマ処理装置400では、ガスソース群440からの水素含有ガスがチャンバ412c内に供給される。また、チャンバ412cの圧力が減圧される。また、第1の高周波電源462からの高周波により生じる電界によってチャンバ412c内において水素含有ガスが励起される。これによりプラズマが生成される。さらに、第2の高周波電源464からの高周波によって生じるバイアスにより、プラズマ中のイオンが被加工物Wに対して引き込まれる。したがって、プラズマ処理装置400では、被加工物Wのスパッタエッチングを実行することが可能である。
以下、製造方法MTの評価のために行った実験について説明する。実験では、上述した製造システム100を用い、基板SB上に下地膜ISを形成し、次いで下地膜ISに対するプラズマアッシングを行い、次いで下地膜IS上に多層膜ML及びマスクMKを形成し、次いで多層膜MLのプラズマエッチングを行った。なお、プラズマアッシング(工程ST2)及びプラズマエッチング(工程ST4)それぞれの条件を以下に示す。なお、工程ST4では、Ruから形成される第15層L15のプラズマエッチング、Taから形成される第14層L14のプラズマエッチングおよび第13層L13から第1層L1までの多層プラズマエッチングを順次行った。第13層L13から第1層L1までの多層プラズマエッチングは、5秒間の第1のガスを用いたプラズマエッチングと5秒間の第2のガスを用いたプラズマエッチングを交互に繰り返して行った。第1のガスを用いたプラズマエッチングの繰り返し回数及び第2のガスを用いたプラズマエッチングの繰り返し回数はそれぞれ25回であった。
<工程ST2の条件>
・チャンバ212cの圧力:150mTorr(20Pa)
・O2ガス流量:280sccm
・Arガス流量:360sccm
・マイクロ波出力:3500W
・ステージ温度:300℃
・処理時間:300秒
<工程ST4の条件>
1.Ruから形成される第15層L15のプラズマエッチング
・チャンバ412cの圧力:10〜30mTorr(1.333〜4Pa)
・H2ガス流量:100sccm
・N2ガス:50sccm
・Neガス:50sccm〜250sccm
・処理時間:100秒
・第1の高周波の電力:200W
・第2の高周波の電力:0W〜800W
2.Taから形成される第14層L14のプラズマエッチング
・チャンバ412cの圧力:10〜30mTorr(1.333〜4Pa)
・Krガス流量:200sccm
・処理時間:25秒
・第1の高周波の電力:200W
・第2の高周波の電力:0W〜800W
3.第13層L13から第1層L1までの多層プラズマエッチング
・チャンバ412cの圧力:10mTorr(1.333Pa)
・第1のガス
CH4ガス流量:30sccm
Krガス:170sccm
・第2のガス
H2ガス流量:100sccm
N2ガス:50sccm
Neガス:50sccm〜250sccm
・第1の高周波の電力:200W
・第2の高周波の電力:800W
また、比較のために、比較実験を行った。比較実験は、工程ST2を省いた点を除いて上述の実験と同様の処理を行った。
そして、実験によって作成したサンプル及び比較実験によって作成したサンプルを光学顕微鏡で観察した。その結果、工程ST2を含む処理を行った実験では、多層膜MLの剥がれ及びアーキングは観察されなかった。一方、比較実験では多層膜MLの剥がれ及びアーキングが観察された。したがって、製造方法MTの有用性が確認された。
以上、実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、図6に示す磁気抵抗素子は、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)構造を有する素子であり、磁気抵抗メモリに用いられる素子である。しかしながら、製造方法MTによって製造される磁気抵抗素子は、MTJ構造を有する磁気抵抗素子に限定されるものではなく、スピンバルブ構造を有する磁気抵抗素子であってもよい。また、製造方法MTによって製造される磁気抵抗素子は、磁気抵抗メモリに用いられる素子に限定されるものではなく、磁気ヘッドに用いられる素子であってもよい。
また、第2処理モジュール110bには、マイクロ波を用いてガスを励起させるプラズマ処理装置に代えて、容量結合型、誘導結合型といった任意のタイプのプラズマ処理装置が用いられてもよい。また、第4処理モジュール110hには、容量結合型のプラズマ処理装置に代えて、マイクロ波といった表面波を用いるプラズマ処理装置、誘導結合型のプラズマ処理装置といった任意のタイプのプラズマ処理装置が用いられてもよい。
子であってもよい。
さらに、製造システム100では、第4処理モジュール110hが搬送モジュール108に接続されているが、第4処理モジュール110hは、搬送モジュール108から分離されていてもよい。