JP6244106B2 - スポンジケーキ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、スポンジケーキ及びその製造方法に関する。
スポンジケーキは、一般に、泡立てられた卵と、砂糖及び澱粉(典型的には小麦粉)を含む生地を焼くときに卵の気泡が膨張することにより膨らんで形成されるケーキである。例えば、卵:砂糖:小麦粉が質量比で1:1:1であるとき、比重が高い(「重い」と表現される。)生地が得られ、1:0.5:0.5であるとき、比重が低い(「軽い」と表現される。)生地が得られる。
スポンジケーキを製造する際、スポンジケーキの適切な膨らみを確保するため、焼成前の生地の気泡が十分に維持されることが望ましい。気泡を保つ方法として、消泡が起こりにくくするように、乳化剤を添加する方法がある。また、乳蛋白質とゲル化剤と水とで構成される複合体を用いる方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
一方、パラチノース(palatinose)とも称される糖類の一種であるイソマルツロース(isomaltulose)について、メタボリックシンドローム症状の予防若しくは改善剤、筋肉量低下抑制剤、又は肝機能改善剤として食品への添加が検討されている(特許文献2〜5)。また、スプレードライにより得られる、イソマルツロース含有固形物(顆粒)(特許文献6)またはニーダーにより得られるイソマルツロースを含有する固形物(顆粒)(特許文献7)を食品に添加することも検討されている。なお、パラチノース及びpalatinoseは三井製糖株式会社の登録商標である。
特開2009−82096号公報 特開2010−13395号公報 特開2010−53036号公報 特開2010−95468号公報 特開2010−248141号公報 特開2013−5790号公報 特開2012−179045号公報
大量のスポンジケーキ生地から長時間にわたってスポンジケーキを繰り返し製造する場合、得られるスポンジケーキの膨らみの程度が変動してしまうという問題があり、スポンジケーキの連続的な生産に支障をきたす可能性があった。例えば、クリスマスケーキの台として用いられるスポンジケーキの場合、工業的に大量生産されることから、数回の焼成用の分量を1バッチとして生地を調製し、初回焼成から最終回焼成まで、生地が例えば30〜40分間置かれることがあり、膨らみの安定性が問題となりやすい。
乳化剤等を生地に添加すれば、製造の安定性はある程度改善されることが期待される。しかし、添加剤の風味がスポンジケーキに残留することや、最近の無添加の志向から、乳化剤等の添加量を少なくするか、できれば添加しないことが望まれている。
そこで、本発明の主な目的は、スポンジケーキ生地を長時間維持しながらスポンジケーキを繰り返し製造する場合であっても、乳化剤等の使用を回避又は少なくしつつ、スポンジケーキを安定して製造できる方法を提供することにある。本発明の目的はまた、大量のスポンジケーキ生地から長時間にわたって繰り返し製造される場合であっても、適度な甘味を有しながら十分にふくらんだスポンジケーキを提供することにある。
本発明者は、糖類として砂糖と特定の二糖類を併用しながら、糖類の卵に対する質量比を特定範囲に設定することで、スポンジケーキ製造の安定化を図れることを見出し、係る知見に基づいて本発明に至った。
すなわち、本発明は、卵、糖類及び澱粉を含有するスポンジケーキ生地を生地槽内に維持しながら、生地槽からスポンジケーキ生地の一部を取り出して焼成することを繰り返して、複数のスポンジケーキを得る工程を備える、スポンジケーキの製造方法に関する。一実施形態に係る製造方法において、糖類は、砂糖と、イソマルツロース及びトレハロースから選ばれる少なくとも1種の糖からなる特定二糖類と、を含み、卵に対する糖類の質量比は、0.5を超えて1.0以下である。
上記本発明に係る方法によれば、スポンジケーキ生地を長時間維持しながらスポンジケーキを繰り返し製造する場合であっても、乳化剤等の使用を回避又は少なくしつつ、スポンジケーキを安定して製造することができる。
上記特定二糖類の割合は、糖類の全質量に対して80質量%以下であってもよい。これにより、スポンジケーキの膨らみ方をより一層容易に安定化することができる。
スポンジケーキ生地は、上記特定二糖類を含む顆粒を用いて調製されたものであってもよい。イソマルツロース及びトレハロースは砂糖と比べて溶解性が低いが、これらを含む顆粒を用いることで、より容易に、イソマルツロース及び/又はトレハロースを生地中に均一に溶解又は分散させることができる。
別の側面において、本発明は、卵、糖類及び澱粉を含有するスポンジケーキ生地を焼成して得られるスポンジケーキに関する。一実施形態に係るスポンジケーキにおいて、糖類は、砂糖と、イソマルツロース及びトレハロースから選ばれる少なくとも1種の糖からなる特定二糖類と、を含み、卵に対する糖類の質量比が0.7以上1.0以下である。
上記本発明に係るスポンジケーキは、大量のスポンジケーキ生地から長時間にわたって繰り返し製造される場合であっても、適度な甘味を有しながら十分に膨らんだ状態で製造されることができる。
本発明によれば、スポンジケーキ生地を長時間維持しながらスポンジケーキを繰り返し製造する場合であっても、乳化剤等の使用を回避又は少なくしつつ、スポンジケーキを安定して製造することができる。また、得られるスポンジケーキが、適度な甘味を有することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るスポンジケーキの製造方法は、主として、卵、糖類及び澱粉を含有するスポンジケーキ生地を調製する工程と、スポンジケーキ生地を生地槽内に維持しながら、生地槽からスポンジケーキ生地の一部を取り出して焼成することを繰り返して、複数のスポンジケーキを得る工程とから構成される。
ここで製造されるスポンジケーキは、気泡を含むスポンジ状に焼き上げられたケーキであり、フランスではバータ・ジェノワーズと呼ばれる。カステラ及びシフォンケーキもスポンジケーキの範疇に入る。カステラは和菓子であり、比較的小麦粉の配合量が少ない。シフォンケーキの場合、一般に、生地に卵白が多めに配合されたり、植物油脂が配合されたりする。スポンジケーキのサイズ、形状は特に限定されないが、通常、1個のスポンジケーキの分量は100〜1000g程度である。
スポンジケーキ生地を調製するために、例えば、卵(通常は全卵)に糖類を加えて準備した種を、湯煎等で加温しながら高速で攪拌して起泡させる。種を起泡させる際の温度は、一般に30〜40℃程度である。攪拌は、ミキサー等の方法により行うことができる。高速の攪拌の後、起泡した種を低速で攪拌してもよい。
卵としては、通常、鶏卵等の鳥卵が用いられる。糖類の詳細については後述する。
次いで、起泡した種に澱粉を加えて切り混ぜる。ベーキングパウダー等の膨張剤を加えてもよい。その後、必要に応じて、牛乳、油脂等をさらに加えて混ぜ合わせて、起泡したスポンジケーキ生地が得られる。牛乳及び油脂は、予め湯煎等により加温しておくことが好ましい。
澱粉は、通常、小麦粉(薄力粉、中力粉、強力粉)、米粉、コーンスターチ、浮き粉、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、そば粉等の穀粉として生地中に配合される。特に、薄力粉が用いられることが多い。
油脂としては、一般的には風味付けのためにバターが用いられる。ショートニング又は液状の植物油を用いてもよい。一般に、シフォンケーキの場合は植物油が用いられる。
スポンジケージ生地の配合比は、卵の質量を基準として調整することができる。一実施形態において、卵に対する糖類の質量比は、0.5を超えて1.0以下の範囲とされる。スポンジケーキの膨らみ方の安定性の観点から、糖類の質量比は、より好ましくは0.6以上、0.65以上又は0.7以上である。同様の観点から、糖類の質量比は、より好ましくは0.9以下、0.85以下又は0.8以下である。糖類の分量が多いと焼き上がりのしっとり感が増すが、本発明者らの知見によれば、糖類の質量が大きくなりすぎると、生地を長時間維持するときのスポンジケーキ製造の安定性向上の効果が小さくなる傾向がある。また、糖類が多いと、生地を長く焼いても、内部がやわらかく粘りのある状態のままで、正常に焼き上がらないことがある。
澱粉の卵に対する質量比は、通常、0.4〜1.0であり、好ましくは0.5〜1.0である。油脂を用いる場合、その質量比は、通常、卵に対して0〜0.8程度である。
スポンジケーキ生地は、乳化剤等の他の成分を更に含んでいてもよいが、本実施形態によれば、生地の気泡を長時間維持しつつ、その量を減らすこともできる。例えば、スポンジケーキ用乳化剤製剤の配合比を、スポンジケーキ生地の質量に対して2.0質量%以下、又は0.3〜2.0質量%とすることができる。
その他、追加の成分の種類、各成分の配合比等については、当業者の技術常識(例えば、辻製菓学校監修「科学でわかるお菓子のなぜ?」、柴田書店発行)を参照して、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜調整することができる。
スポンジケーキ生地は、生産効率等の観点から、好ましくは、数回以上の焼成に用いられる分量を1バッチとして調製される。具体的には、例えば5〜10kg程度のスポンジケーキ生地が一度に調製される。
調製されたスポンジケーキ生地は、その一部を取り出してスポンジケーキの焼成を数回(例えば10〜30回程度)繰り返す間、生地槽内に維持される。生地槽内に維持される間、スポンジケーキ生地をゆるく攪拌することが好ましい。本実施形態によれば、調製後、スポンジケーキ生地を長時間置きながらスポンジケーキを製造する場合であっても、膨らみの程度が安定したスポンジケーキを得ることができる。スポンジケーキ生地は、調整後、複数回の焼成の間、例えば10〜40分程度、生地槽内に維持され得る。生地槽としては、ケーキ製造等において通常用いられる設備を適宜用いることができる。
生地槽から取り出されたスポンジケーキ生地は、任意の型の中に入れられ、オーブン等を用いた通常の方法により焼成される。焼成の条件は、所望の焼き上がりが得られるように適宜すればよいが、例えば、150〜185℃で25〜40分の加熱により、生地を焼成することができる。
続いて、スポンジケーキ生地の調製に用いられる糖類の詳細について説明する。
糖類は、少なくとも、砂糖と、イソマルツロース及びトレハロースから選ばれる少なくとも1種の糖からなる特定二糖類とを含む。スポンジケーキ生地は、砂糖と、特定二糖類と、必要により他の糖類とから構成される糖類を、他の材料と配合して調製することができる。
砂糖は、スクロースを主成分として含む甘味料であり、通常、特定二糖類を含む原料とは別に配合される。砂糖としては、グラニュー糖、上白糖、三温糖、ザラメ、粉糖、ブラウンシュガー等を適宜選択して用いることができる。砂糖の割合は、糖類の全質量に対して、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であってもよい。砂糖の割合を大きくすることで、膨らみの安定性向上についてより顕著な効果が得られる傾向がある。
イソマルツロースは、ブドウ糖と果糖とがα−1,6結合した二糖類であり、砂糖の構造異性体である。イソマルツロースは、例えば天然の蜂蜜中に見出される。工業的には、イソマルツロースは、プロタミノバクター・ルブラム(Protaminobacter rubrum)、セラチア・プリムチカ(Serratia plymuthica)等の細菌に由来するα−グルコシルトランスフェラーゼをショ糖に作用させることにより製造される。
トレハロースは、2個のα−グルコースが1,1−グルコシド結合した二糖類であり、天然に見出すこともできるし、人工的に生産されたものを入手することも可能である。
一実施形態において、特定二糖類の割合(イソマルツロース及びトレハロースの合計の割合)は、糖類の全質量に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。また、特定二糖類の割合は、糖類の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。特定二糖類の割合がこれら数値範囲内にあると、スポンジケーキの膨らみの安定化の効果を、より顕著に得ることができる。また、特定二糖類の量が多いと、これらが溶け残って、スポンジケーキがざらざら、じゃりじゃりした食感になる可能性がある。
イソマルツロース及びトレハロースの甘味度は、砂糖と比較して低い。例えば、イソマルツロースの甘味度はスクロース(ショ糖)の約40%である。したがって、膨らみの安定性向上の観点から糖類全体の量又は特定二糖類の量をある程度大きくしても、適度な甘味を維持し易いという利点もある。
イソマルツロース及び/又はトレハロースは、生地の調製の際、好ましくは顆粒の状態で他の材料と配合される。これら特定二糖類を含む顆粒のメジアン系は、レーザー回析粒度分布測定により測定したときに、60〜300μm、又は80〜200μmであってもよい。顆粒における特定二糖類の割合は、例えば70質量%以上で、好ましくは70〜90質量%である。
この顆粒は、例えば、イソマルツロース及び/又はトレハロースの複数の結晶粒子の集合体と、非晶質の糖分とを含み、該糖分が結晶粒子の集合体に内包されている、(球状)粒子であってもよい。結晶粒子のメジアン系は、レーザー回析粒度分布測定により測定したときに、例えば5〜50μmである。このような顆粒は、例えば、特定二糖類と非晶質の糖分とを含む糖液から特定二糖類の結晶粒子を析出させ、該結晶粒子を含む糖液をスプレードライする方法により、得ることができる。あるいは、上記糖液を加熱しながらこれに剪断力を加えて特定二糖類の結晶核を析出させ、該結晶核を含む混合物を冷却する方法により、特定二糖類を含む顆粒を得ることもできる。イソマルツロースの場合、上記糖液は、例えば、ショ糖に酵素を作用させることにより、得ることができる。この場合、糖液及び得られる顆粒は、トレハルロース、フルクトース、グルコース、スクロース及びイソマルトース等を非晶質の糖分として含む。顆粒は、特許文献6及び7に記載の固形物であってもよい。ここで、スクロース、グルコース、フルクトース等の糖類は、砂糖にも含まれ得る。砂糖の配合量は、通常、顆粒中のスクロース等の量を考慮せずに決定することができるが、砂糖と顆粒中のスクロース等の量との合計の配合比が10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(試験1〜7)
1.スポンジケーキの作製
全卵、糖類、薄力粉及び牛乳を表1に示す配合量(g)で用いて、グラニュー糖単独処方(G)、トレハロース処方(T)又はイソマルツロース処方(P)のスポンジケーキ生地からスポンジケーキを作製した。
表中、「グラニュー糖」は、グラニュ糖(三井製糖株式会社)である。「トレハロース」は、商品名「トレハ」(株式会社林原)である。「結晶イソマルツロース」は商品名「結晶パラチノースIC」(三井製糖株式会社)である。「顆粒イソマルツロース」は、イソマルツロースを80質量%以上と、その他の非晶質の糖類とから形成された顆粒である。「糖類/卵」は糖類の合計量の卵に対する質量比であり、「特定二糖類(質量%)」は、糖類の合計質量に対する、イソマルツロース及びトレハロースの合計量の割合である。ただし、この割合は、「顆粒イソマルツロース」中のイソマルツロースの割合を80質量%とみなして計算した値である。
まず、ボール内で卵をほぐし、そこに糖類を加えて種を調製した。湯煎により33℃に加温しながら、種を万能攪拌機で高速で攪拌して泡立て、攪拌速度を徐々に落として、均一な起泡生地を形成させた。そこに篩った薄力粉を加え、練らないように混ぜ合わせた。さらに、湯煎により60℃前後に加熱した牛乳を混ぜ合わせて、スポンジケーキ生地を得た。
調製して直ぐのスポンジケーキ生地350gを円柱状の6号型に流し入れ、焼成して、初期のスポンジケーキを得た。また、スポンジケーキ生地を超低速で攪拌しながら40分間保持し、その後、スポンジケーキ生地350gを6号型に流し入れ、焼成して、2個目のスポンジケーキを得た。焼成は、下火150℃、上火155℃に設定したオーブン中、40分間の加熱により行った。
2.評価
初期及び40分後のスポンジケーキ生地から得られたスポンジケーキそれぞれについて、縁部分の高さを測定した。この高さを比較することで、スポンジケーキの膨らみの程度を評価することができる。結果を表1に示す。表中、「高さ減少率(%)」は、初期の高さと40分後の高さとの差の、初期の高さに対する割合である。なお、スポンジケーキの膨らみの程度は、室温及び湿度などの環境の影響を受けるため、同じ組成及び分量の生地を用いたとしても、毎回同じ膨らみの値が得られるわけではない。特に40分後の生地に関しては環境の影響を受け易い。したがって、膨らみの程度に関しては、同時に調製したもの同士で比較を行なう必要がある。試験1〜7は、それぞれ、2種又は3種の生地を同時に調製して評価を行ったものであり、膨らみの程度は同一試験内で相対的に比較できる。試験8以降も同様である。
Figure 0006244106
表1に示されるように、糖類の卵に対する質量比が0.50〜1.00であるとき、トレハロース又はイソマルツロースをグラニュー糖と併用した処方(T,P)によれば、調製後40分後の生地を用いたときのケーキの高さ減少率が、糖類の卵に対する質量比が同じグラニュー糖単独処方(G)と比較して低くなった。ただし、試験2のように糖類の卵に対する質量比が0.50である場合、イソマルツロース処方(P)の高さ減少率は35%であり、グラニュー糖単独処方よりは低いものの、実用性に鑑みればやや大きいと考えられる。実用上、膨らみの高さ減少率は、25%未満であることが望ましいと考えられる。
(試験8〜11)
表2に示すように、糖類の卵に対する質量比を0.80として、特定二糖類の糖類全体に対する割合を変更し、グラニュー糖単独処方(G)と比較した。試験9、10では、顆粒イソマルツロースに代えて結晶イソマルツロースを用いた処方(P’)についても評価を行った。スポンジケーキの作製及び評価は試験1〜7と同様の手順で行った。
評価結果を試験5とともに表2に示す。少なくとも特定二糖類の割合が80質量%以下の範囲で、トレハロース処方(T)、又はイソマルツロース処方(P,P’)によれば、糖類の卵に対する質量比が同じグラニュー糖単独処方(G)と比較して、生地を長時間維持したことによるスポンジケーキの高さ(膨らみの程度)の低下(高さ減少率)が明らかに改善された。
(試験12)
トレハロース単独の生地を調製し、試験1〜7と同様の手順でグラニュー糖単独処方(G)と比較した。表2に示す結果のように、砂糖を配合せずに特定二糖類の量が多くなると、高さの減少率が25%以上にまで上昇し、グラニュー糖単独処方と比較すればやや改善されるものの、絶対値として大きいものとなった。この結果から、砂糖と特定二糖類とで、相乗的に、スポンジケーキの膨らみの安定性向上に寄与していると考えられる。
Figure 0006244106
以上の実験結果からも、本発明によれば、同じバッチのスポンジケーキ生地から長時間にわたってスポンジケーキを製造する場合であっても、得られるスポンジケーキの膨らみの変動が十分に抑制できることが確認された。
(試験13)
下記表3に記載の配合で上記試験例1〜12と同様な方法で40分保持後の生地を焼成し、得られたスポンジケーキの糖含量を測定した。
糖含量の測定においては、まず、スポンジケーキ400mg〜12000mgをビーカーに取り正確に質量を測定した。そこに超純水を約30mL入れて、超音波で15分抽出した。抽出後、10分間撹拌してから、内部標準としてマルチトール(100mg/mL)を1mL加えた。No.2(アドバンテック東洋株式会社)の濾紙で濾過後、5%スルホサリチル酸を2.5mL入れて50mLに定容し、12000rpmで10分間、遠心分離をしてその上澄を回収した。回収した液を除タンパク、脱塩、有機酸除去のため、直列連結したウォーターズSep−PakC18、CM、及びQMAのカートリッジフィルターを通過させ、その後0.45μmのフィルターに通して不溶成分を除去してサンプルを調製し、HPLCに供した。サンプル中の糖の濃度に合わせて標準試料を調製し、4〜5点の濃度のデータから検量線を作成した。糖の含量は内部標準との比より、内部標準法にて求めた。HPLCの分析条件はカラム:Develosil RPAQUEOUS3本連結、温度:60℃、移動層:水、注入量20μLであった。
その結果、表3に示すように、HPLCを用いた分析により求められる糖含量は、生地における配合比を反映することが明らかになった。例えば、HPLC分析から求められる特定二糖類の割合は、生地における特定二糖類の割合をある程度反映しており、より詳細な分析により適宜補正をすることで、より高い精度で生地の配合比を求めることができると考えられる。
Figure 0006244106

Claims (3)

  1. 卵、糖類及び澱粉を含有するスポンジケーキ生地を生地槽内に維持しながら、前記生地槽から前記スポンジケーキ生地の一部を取り出して焼成することを繰り返して、複数のスポンジケーキを得る工程を備え、
    前記糖類が、砂糖と、イソマルツロースからなる特定二糖類と、を含み、
    前記卵に対する前記糖類の質量比が0.5を超えて1.0以下である、
    スポンジケーキの製造方法。
  2. 前記特定二糖類の割合が、前記糖類の全質量に対して80質量%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記スポンジケーキ生地が、前記特定二糖類を含む顆粒を用いて調製されたものである、請求項1又は2に記載の製造方法。
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