本発明は、少なくとも1種の分子状有機作用化合物であって、少なくとも1つの第三級窒素原子を有し、該窒素原子は分子状有機作用化合物の3つの互いに異なる炭素原子へと共有結合を有する前記作用化合物により触媒されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解によるアクリル酸の製造方法に関する。
アクリル酸は、その顕著なラジカル重合の傾向に基づき、そのままでも、そのアルキルエステルの形態でも、および/またはそのアルカリ金属塩の形態でも、特にラジカル的に開始される重合によって得られるポリマーの製造のために使用される重要なモノマーである。
その都度のポリマーの合成のために個別に使用されるアクリルモノマーに応じて、前記ポリマーは、例えば接着剤として、または水もしくは水溶液に対する超吸収剤として使用できる。前記超吸収剤は、重合導入されたアクリル酸の少なくとも一部分量が、例えばNaOHなどのアルカリ塩基で中和された形で存在するポリマーである(例えばDE 102004004496 A1およびDE 102011076931 A1を参照)。これらのポリマーは、一般に、水性液体についての顕著な吸収能力を有する(例えばUS 2010/0041549ならびに「Modern Superabsorbent Polymer Technology」, Buchholz/Graham, Wiley VCH, New York, 1998を参照)。
その使用分野は、特に例えば乳児用おむつなどの衛生用品の範囲にあり、そのため、その製造のために使用されるアクリル酸の純度には特に高い要求が課される。
しかし、アクリル酸には、そのラジカル重合に対する能力が、それが好適なラジカル開始剤によって故意に引き起こされる場合にしか使用されないほど顕著であるという欠点がある。すなわち、アクリル酸は、特に凝縮された相中に存在するアクリル酸は、無視できないほど、不所望な(例えば偏在する熱エネルギーおよび/または電磁線によって開始される)ラジカル重合の傾向があり、そのラジカル反応は、その発熱に基づき比較的激しく制御できない経過をたどりうる。
従って、アクリル酸の貯蔵および/または輸送に際して、安全性の理由から、かかる不所望なラジカル重合を、アクリル酸への重合抑制剤の添加によって対抗せねばならない。しかし、かかる抑制剤は、それが後に故意に開始されるラジカル重合を妨げるという点では欠点である。
更なるアクリル酸の欠点は、それが液相で存在するとそれ自体へのマイケル付加、そしてその際に形成された付加生成物へのマイケル付加によって時間が経つにつれ劣化が避けられないということによるものである。
従ってアクリル酸は確かに優れた「反応形」を有するものの、その「貯蔵形(貯留形)/輸送形」を全ての範囲で満足することができない。
それに関して本質的により好ましいアクリル酸の貯留形/輸送形はポリ−3−ヒドロキシプロピオネートである。
前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートとは、本願においては、一般式I
[式中、nは、6以上の整数である]の少なくとも1つの構造断片を有する巨大分子化合物を表す。
一般式Iの構造断片は、3−ヒドロキシプロピオン酸(=アクリル酸の水和物)のそれ自体との重縮合物(ポリエステル)である。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、アクリル酸とは異なり、標準条件(=25℃および1.0133・105Pa(=常圧))で本質的に劣化プロセスに左右されない。特に、標準条件下で通常は固体状態で存在するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、問題なく貯蔵も輸送もすることができる。
従来技術から、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に含まれる一般式(I)の構造断片は、高められた温度の作用によって要求に応じてアクリル酸へと(3−ヒドロキシプロピオン酸の脱水物)へと分解できることが知られている(例えばUS 2,568,636 A、US 2,361,036 AおよびEP 577206 A2を参照)。
熱的分解(「熱分解」)で生成されるアクリル酸を含有する気相から、アクリル酸は、自体公知のようにして、吸収的措置および/または凝縮的措置によって液相に変換することができる。一般的に、この液相は、既に、例えばラジカル重合などの後続使用のために適したアクリル酸であってよい。特に、こうして得られたアクリル酸が、中間貯蔵なくして、例えばラジカル的に開始される重合の範囲におけるその後続使用に供給されうるときには、上述のアクリル酸の液相への変換を、好ましくは(ラジカル的に開始される重合を妨げる)重合抑制剤の併用なくして行うことができる。
上記のようにポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解によって生成された(あるいはかかる熱分解に由来する)アクリル酸の更なる利点は、それが、アクリル酸の製造方法に際してアクリル酸のC3前駆化合物(例えばプロピレン、プロパン、アクロレイン、グリセリン、プロピオン酸、プロパノールなど)の不均一系触媒部分酸化によって一般的に生ずる、そこに不純物として含まれる低分子量アルデヒドの指紋を有さないことである(例えばDE 102011076931 A1を参照)。
かかるアルデヒドは、ラジカル開始重合によるポリマーの製造のために、アクリル酸および/またはその共役(ブレンステッド)塩基を、選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の(例えばエチレン性不飽和の)化合物との混合物で使用する場合に、アクリル酸の質量に対して1〜10質量ppmの量でさえも極めて妨げになると見なされる(例えばそれらは、ラジカル開始重合を不所望に遅延させることがあり、または特に高い分子量を有するポリマー(例えば特に超吸収剤の範囲で望まれるような)の製造をその「調節作用」のゆえに妨害することがある)。
従来技術から、また、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのアクリル酸への熱分解に際して見積もられた分解速度に必要な温度は、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートへと(もしくはこれを含む分解混合物へと)好適な分解触媒を添加することによって相当下げることができることは知られている。
かかる考えられる分解触媒としては、WO 2011/100608 A1において、比較的広く多様な化学物質クラスが考慮に入れられる(形式上有機アミンも含む)が、かかる分解触媒としての好ましい使用可能性について不可欠な上位の特徴的構造は認識できない。例として、分解触媒としては、WO 2011/100608 A1においては、Na2CO3、FeSO4・7H2OおよびCa(OH)2などの非揮発性塩だけが使用される。
しかし、分解触媒としての塩の使用は、これらがその不揮発性に基づき分解残留物中に必ず残留するという点で不利である。
確かにWO 2011/100608は、それに関して、分解残留物の有機成分は相応の熱的作用によって含まれる塩を残して完全に分解し、残りの塩は分解触媒として再び使用できることを提案しているが、かかる残りの塩残留物は、分解触媒としての再使用可能性の点で、例えばこの中に含まれる炭素堆積物のため、かつ生ずる化学変化(例えばNa2CO3→Na2O)に基づき一般に妨げられている。塩残留物の廃棄処理は、しかしながら一般に費用のかかるものである。
US 2,361,036は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解のための触媒として、β−プロピオラクトンの開環重合によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの製造のための触媒としても検討される物質を考慮に入れている。その際、同様に、広く様々な考えられる好適な物質であって、種々の窒素を含む有機化合物、例えば発癌性の可能性があるN,N−ジメチルアニリンなどの化合物を含む物質が挙げられるが、前記物質は、同様にかかる分解触媒としての好ましい使用可能性に不可欠な上位の特徴的構造は認識できない。
例としては、US 2,361,036においては、その場合に分解触媒として炭酸ナトリウムが使用されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解のみが挙げられ、これは、既に記載した欠点を伴う。
従って、本発明の課題は、従来技術の方法に対して改善された、少なくとも1種の作用化合物で触媒されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解によるアクリル酸の製造方法を提供することであった。
それに応じて、3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有する(この3つの炭素原子より多くにも少なくにも共有結合を有さず、別の原子種にも共有結合を有さない)少なくとも1つの第三級窒素原子を含む少なくとも1種の分子状(すなわち非塩形の、非イオン性の)有機作用化合物で触媒される、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解によるアクリル酸の製造方法において、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、
− 炭素と水素以外に、窒素および酸素とは異なるヘテロ原子を有さないことと、
− 1つ以上の水素原子が共有結合されている窒素原子を有さないことと、
− 1つの水素原子が共有結合されている多くとも1つの酸素原子を有することと、
− 前記3つの互いに異なる炭素原子(前記少なくとも1つの(それぞれ)第三級の窒素原子が1つの共有結合を有する)と共有二重結合を有する酸素原子を含まないことと、
− 芳香族炭化水素の残基も置換された芳香族炭化水素の残基も有さないことと、
− 1.0133・105Paの圧力で少なくとも150℃で350℃以下である沸点を有することと、
− 1.0133・105Paの圧力で70℃以下である融点を有することと、
を特徴とするアクリル酸の製造方法が提供される。
本発明による方法のために使用できる(本発明による方法に適した)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの製造方法は、従来技術において(特に、本願で以下に挙げる全ての従来技術において)知られている。
例えば、(本発明による(全ての)方法に適した)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、3−ヒドロキシプロピオン酸の脱水重縮合によって得ることができる(例えばChinesische Zeitschrift fuer synthetische Chemie, Vol. 15 (2007) No. 4, 第452-453頁を参照)。こうして得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの典型的な相対(すなわち水素原子の質量に対する)質量平均分子量Mwは、例えば1000〜20000であってよい(しかしまたそれより多くても少なくてもよい)。
対応する多分散度Q(質量平均相対分子量Mwの数平均相対分子量Mnの比率(Q=Mw/Mn))は、一般には、2.5以下の値、しばしば2以下の値である。しかし、1.5以下の多分散度Qを得ることもできる。
US 2,568,636、US 2,361,036およびUS 3,002,017 Aから、(本発明による方法に適した)β−ヒドロキシプロピオン酸のポリエステルを、β−プロピオラクトンから出発して開環重合によって製造することは公知である。WO 2011/163309 A2およびEP 688 806 B1も相応の開環重合を開示している。後者の文献によれば、こうして得られる(本発明による全ての方法に好適な)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量Mwは、例えば5000〜2000000、または20000〜500000、または30000〜400000であってよい。100000を超える相対質量平均分子量Mwは、EP 688806 B1で考慮されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの使用のために典型的であると見なされる。対応する多分散度Qは、一般に同様に2.5以下の値である。
Markus Allmendingerによる学位論文「Multi-Site Catalysis - Novel Strategies to Biodegradable Polyesters from Epoxides/CO und Macrocyclic Complexes as Enzyme Models」(ウルム大学(2003年))から、非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドと一酸化炭素とを高められた圧力、高められた温度で、かつ少なくとも1種のコバルト源を含む触媒系の存在下でカルボニル化反応させることによって、直接的に(すなわち、プロピオラクトン(オキセタン−2−オン)が中間生成物としてβ−ヒドロキシプロピオン酸(=3−ヒドロキシプロピオン酸)の分子内環状エステルとして形成されることなく)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物が得られ、そこからポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを沈殿(例えば温度の低下および/または沈殿液の添加によって)と、後続の1つ以上の機械的分離作業、例えば濾過および/または遠心分離の使用とによって分離できることは公知である。
J.Am.Chem.Soc. 2002, 124, 第5646-5647頁、DE 10137046 A1、WO 03/011941 A2およびJ.Org.Chem. 2001, 66, 第5424-5426頁において、この状況が確認されている。
上述のエチレンオキシドのカルボニル化の範囲で得られる(本発明による全ての方法のために適した)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの典型的な相対質量平均分子量Mwは、例えば1000〜20000もしくは〜15000、ときに2000〜12000、しばしば3000〜10000または4000〜10000であってよい。しかしながら基本的には、この方法様式により、より高いおよびより低い相対質量平均分子量Mwも得られる。対応する多分散度Qは、一般に、2.5以下であり、しばしば2以下である。多くの場合に、Qは、1.5〜1.8である。しかしながら、多分散度Qは、1.5未満にまたは1.4未満に調節することもできる(DE 10137046 A1を参照)。
今までに記載された従来技術の製造方法では、本質的にポリ−3−ヒドロキシプロピオネート−ホモポリマー(ホモポリエステル)が得られる。
すなわち、それぞれのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの個々の巨大分子は、本質的に、一般式(I)の構造断片のみからなり、そして一般構造II
[式中、nは6以上であり、かつa、bは、ポリエステルの限界となる先端基(a)とポリエステルの限界となる末端基(b)を表す]のポリエステルを形成する。
それぞれの先端基/末端基の性質は、それぞれ使用される製造方法と、それぞれ使用される製造条件とに依存する。
例えば、
であってよい。一方で、
であってよい。通常は、先端基/末端基の相対分子量は、150以下、たいてい120以下、一般に100以下である。
これまでの説明によれば、一般構造IIのポリエステル(更に、本発明により関連する一般式Iの構造断片においても)におけるnは、例えば6以上で30000以下、または8以上で25000以下、または10以上で20000以下、または15以上で15000以下、または20以上で10000以下、または25以上で8000以下、または30以上で5000以下、または40以上で2500以下、または50以上で1500以下、または60以上で1000以下、または60以上で750以下、または60以上で500以下、または60以上で300以下、または60以上で175以下、または60以上で150以下、または60以上で125以下、または60以上で100以下であってよい。
しかし、基本的には、本発明による方法については(本発明による全ての方法については)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート−コポリマーも考慮に入れられる(コポリエステル)。かかるコポリマーは、一般式(I)の構造断片の他に、それとは異なる構造断片も含む。例えば、かかるポリ−3−ヒドロキシプロピオネート−コポリマーは、EP 688806 B1に記載された、環状エステル及び/又は環状エーテルの開環重合の方法によって、環状エステルと環状エーテルとからなる重合されるべき混合物中のβ−プロピオラクトンのモル割合が、単に80モル%以上、または単に85モル%以上、または単に90モル%以上、または単に95モル%以上、または単に98モル%以上、または単に99モル%以上である場合に可能である。β−プロピオラクトンとは異なる環状エステルとして、その場合に、例えばβ−ブチロラクトン、ピバルラクトン、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンが考慮に入れられる。β−プロピオラクトンとは異なる環状エーテルとして、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが考慮に入れられる。
WO 2011/100608 A1の教示によれば、(本発明による全ての方法に適した)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、ホモポリマーとしてもコポリマーとしても、しかしまた生物学的経路で遺伝子工学的に改変された生物において(例えば糖類から、またはこれに代わる「再生」炭素源から)製造できる。かかる生物としては、例えば細菌、藻類、酵母、菌類または植物が考慮に入れられる。
生物工学的に作成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量は、100000まで、または200000までであってよく、かつそれ以上であってよい。
通常は、上述の相対質量平均分子量は、1000以上もしくは5000以上であってよい。
かかる「生物工学的に」得られるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートにおける一般式(I)の構造断片の質量割合は、その場合に、40質量%以上、または50質量%以上、または60質量%以上、または70質量%以上、または80質量%以上、または90質量%以上、または95質量%以上、または97質量%以上、または98質量%以上、または99質量%以上であってよい。
(本発明による)その触媒による熱分解の目的のために、生物工学的に生成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、それを生成する生物中に(それを生成する生物の全量=生物の全量=「バイオマス」中に)留めることもでき、またそこから予め抽出されてもよい(WO 2011/100608 A1を参照)。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートがその(本発明による)触媒による熱分解の間にバイオマス中に留まる場合に、それは、前記バイオマスをポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解の開始前に十分に乾燥させることが用途に特化した目的にかなっている(用途に特化して好ましくは、それに関して真空乾燥および/または凍結乾燥が使用される)。しかし、基本的には、かかるバイオマスの乾燥は、熱分解に必要とされる温度増大の範囲ではじめて行うことができる(分解が開始する温度に達する前に;それは、完全な対応関係で、かつ一般に、その製造に際して湿った状態で生ずる本発明により分解されるべきどのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートにも当てはまる)。
バイオマスが、例えば細菌である場合に、それを関連の熱分解の前に(その生物学的挙動に関して)不活性化する(殺菌あるいは滅菌する)ことが必要なことがある。それは、例えば圧力下で、かつ高温水蒸気を任意に使用して、すなわち「オートクレーブ」あるいは「滅菌」することによって行うことができる。もちろん、前記の不活性化は、乾熱(「熱気滅菌」)でも行うことができる。その一方で、前記不活性化は、照射によって、または化学的方法によって行うこともできる。
生物工学的に生成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの(本発明により)触媒される熱分解がなおもバイオマス中に存在したままで行われる場合に、熱分解の前に、それが合成されおよび/または蓄積される細胞の細胞壁(例えば細菌の細胞壁)を分解することが好ましい。かかる分解は、例えば機械的に相応の応力の作用によって行うことができる。例えば、前記バイオマスは、回転刃の付いた混合機(例えばUltra-Turax)において均質化することができる。その一方で、生物(特に微生物の場合に)を容易に磨砕することができる(例えば砂もしくはAl2O3を用いて、または乳棒を用いて乳鉢中で、またはガラスビーズミル中で)。音波(例えば超音波)を作用させた場合に、細胞は絶え間ない互いの振動によって破壊される(キャビテーション力)。細胞壁の破壊のための特に好ましい機械的方法は、窒素減圧法である。その際に、前記細胞中でヘンリーの法則に相応して窒素はガス圧を高めた場合に濃縮される。引き続いての急激な圧力解放は、後に細胞壁の破裂をもたらしうる。
非機械的な破壊法は、好ましくは容易に機械的に破壊できない細胞壁の場合にも使用される(例えば酵母細胞の場合)。凍結と融解を繰り返すことによって、細胞壁は剪断力によって破壊される。化学的(例えばトルエンによる)および/または酵素的な溶解によって、細胞膜あるいは細胞壁を破壊することができる。更に、低張緩衝溶液での処理によって、細胞の溶解を引き起こすことができる。
基本的な要求として、本発明により分解触媒として使用されるべき作用物質は、できる限り高い質量特異的な触媒作用を有するべきである。すなわち、作用物質のできる限り低い使用量でも、所望の触媒作用を展開するのに十分であることが望ましい。
出願人の独自の調査により、それは、アミンの場合には、それが本発明の意味における第三級アミンであるときに分子状有機作用化合物として示されることが判明した。すなわち、分子状有機作用化合物の3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有するが、これらの炭素原子の1つに酸素原子が共有二重結合を介して結合されていない、少なくとも1つの第三級窒素原子を含む分子状有機作用化合物である場合である。
それは、とりわけ、第一級のおよび第二級のアミンが、本発明により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに含まれるようなエステル基と反応してアミドとなりうることに恐らく起因する。しかし、前記アミドのアミド基に含まれる窒素原子は、酸素原子に対して共有二重結合を有する1つの炭素原子と共有結合されている。しかし、その原子の電子吸引性作用は、本願の範囲における効果的な分子状有機作用化合物としての使用可能性にとっては避けられるべきものである。
できる限り高い質量特異的な触媒的分解作用の意味においては、本発明により分解触媒として使用されるべき分子状有機作用化合物は、本発明によれば、該分子状有機作用化合物の3つの互いに異なる炭素原子にそれぞれ共有結合を有するが、ただし、これらの炭素原子のいずれも同時に酸素原子に共有二重結合を有さない、1つより多くの第三級窒素原子を有する。本発明により好ましくは、分解触媒として使用されるべき分子状有機作用化合物は、少なくとも2つの、または少なくとも3つのかかる第三級窒素原子を含む。
殊に好ましくは、関連の分子状有機作用化合物は、上述の種類の第三級窒素原子である窒素原子しか含まない。
本発明により分解触媒として適した分子状有機作用化合物の考えられる原子成分として水素、炭素、窒素および酸素に制限することで、それが、場合により、関連の熱分解の範囲で残る残留物と一緒に完全に燃焼できるが、特に問題となる燃焼ガスの発生も懸念されるべきでないことが保証される。
更に、前記の制限は、関連の熱分解の範囲でも望まれない副反応も当然制限し、同時に経済的に好ましい、分子状有機作用化合物の利用可能性を促す。
本発明によれば好ましくは、分解触媒として適した本発明による分子状有機作用化合物は、1つの水素原子が共有結合されている酸素原子を有さない。このように、熱分解の範囲において形成されるアクリル酸の考えられる望ましくないエステル化に対抗される。
芳香族炭化水素あるいは置換された芳香族炭化水素の残基の排除により、本発明により分解触媒として使用される分子状有機作用化合物は、N,N−ジメチルアニリンなどの作用化合物と比較して毒性学的に比較的心配ないものであることが保証される。それは、とりわけ、本発明による熱分解の範囲で生成されるアクリル酸を、衛生分野で使用されるポリマーの製造のために後続使用することが視野にある。
その際、概念「芳香族炭化水素」は、単環式の芳香族炭化水素(例えばベンゼン)も、多環式の芳香族炭化水素(それらは、少なくとも2つの互いに結合された芳香族環系を有する)(例えばナフタリンまたはビフェニル)も含むべきである。置換された芳香族炭化水素は、少なくとも1つの水素原子が1つの置換基(=水素とは異なる1つの原子または水素原子とは異なる1つの(原子)基=化学的に互いに結合した原子の基)によって置き換えられることによって芳香族炭化水素から誘導される(かかる置換された芳香族炭化水素の例は、例えば塩化フェニル(ベンゼンの水素原子は塩素原子によって置き換えられている)またはトルエン(ベンゼンの水素原子はメチル基によって置き換えられている)である)。
概念「残基」は、そこでは前記芳香族炭化水素または前記置換された芳香族炭化水素とは異なって、1つの共有単結合を欠いており(含まず)、その共有単結合が芳香環にも置換基にも局在されていてよいことを表現している(例えば−C6H5=フェニル残基、または−CH2−C6H5=ベンジル残基、またはC6H5−(C=O)−=ベンゾイル残基)。
本発明により特に好ましくは、少なくとも1つの分子状有機作用化合物は、一般に芳香族環系を有さない、すなわち複素芳香族環(これは、炭素とは異なる少なくとも1つの原子を芳香環中に含む)も有さない。
本発明により分解触媒として適した分子状有機作用化合物の沸点下限値(この沸点は、常圧で、150℃以上、より好ましくは160℃以上もしくは170℃以上、好ましくは180℃以上、有利には185℃以上、特に好ましくは190℃以上、殊に好ましくは195℃以上である)により、本発明による分子状有機作用化合物が該化合物により触媒されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解の範囲で、通常は必ずではないものの、該分解に際して形成されたアクリル酸と一緒に分解混合物から排出せねばならず、一般に分解混合物中に残留しうることが保証される(そのことは、還流して稼働される、分解反応器に搭載された精留塔によって促進できる)。分解されるべき新たなポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを分解混合物中へと連続的に補うことによって、この場合には、1種の同じ分解触媒添加の作用が何度も(繰り返し)利用できる。
本発明により分解触媒として適した分子状有機作用化合物の沸点上限値(この沸点は、常圧での沸点350℃以下、好ましくは345℃以下、より良好には340℃以下、好ましくは335℃以下、特に好ましくは330℃以下、または325℃以下、殊に好ましくは320℃以下、または315℃以下、なおもより良好には310℃以下、ならびに最良には300℃以下、または290℃以下、または280℃以下、または270℃以下、または260℃以下、または250℃以下、もしくは240℃以下、または230℃以下、または220℃以下)は、触媒による熱的分解が完了した後に(触媒による熱分解が完了した後に)、分解触媒として本発明により使用される少なくとも1つの分子状有機作用化合物を、関連の熱分解に際して一般に残る残留物から(例えば残留するバイオマスから)その後に、場合により低減された圧力において、例えば蒸留および/または精留によって分離し、こうして有用生成物として本発明による方法の有用生成物として再利用可能に得られるという可能性を開くものである。
前記沸点と比較して本発明により必要とされる比較的低い温度にある、本発明により分解触媒として使用されるべき分子状有機作用化合物の融点(この融点は、常圧で、70℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下、より良好には40℃以下、有利には30℃以下、特に好ましくは20℃以下もしくは10℃以下、殊に好ましくは0℃以下もしくは−10℃以下、最良には−15℃以下である)は、分解触媒として本発明により使用されるべき分子状作用化合物が、通常、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート自体よりも低い温度で溶融し、それにより分解されるべき前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対して場合により溶媒としてまたは分散媒として機能しうることが保証される場合には好ましい。極端な場合には、本発明により触媒される、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解(本発明により触媒される熱分解)は、前記分解触媒中の、その溶液から、またはその懸濁液から、またはそのエマルジョンから行うことができる。本発明により分解触媒として適した種々の分子状有機作用化合物の混合物の使用によって、上述の点で好ましい融点低下がもたらされることがある。
その他に、本発明により分解触媒として適した分子状有機作用化合物の比較的低い融点は、一般にその溶融物の比較的低い動粘度をもたらし、それは、熱分解の条件下だけでなく、熱分解前の通常の条件下でももたらす。このことは、特に、熱分解的に分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート自体が、比較的高い融点(例えば200℃超または250℃超)を有する場合に重要である。この場合に、本発明により触媒される、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解は、その固形物質から行うこともできる。前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートがかかる場合に熱分解の前に比較的易揮発性の分解触媒で、例えば均一に吹き付けられうる場合に、それは、後の比較的均一な熱分解の進行のために通常有益である。その一方で、固形のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、分解目的のために易揮発性の分解触媒を比較的容易に染み込ませることができ、またはこの中に懸濁させることができる。
更に、易揮発性の分解触媒は、固形の分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートへと容易に塗布でき、それは、該分解触媒をその液状物質からキャリヤーガスでストリッピングし、そして該分解触媒を含むキャリヤーガスを、その後、分解されるべき固形のポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中に導通させて、表面上の分解触媒をそこから再び取り去ることによって行われる。
上述の文脈は、完全な対応関係において、特に、例えば固形バイオマスからのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解が行われる場合にも好ましい。
固形のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの良好な濡れ性と、比較的高い引火点は、本発明により分解触媒として使用されるべき分子状有機作用化合物が通常有する更なる利点である。
本発明により分解触媒として適した分子状有機作用化合物であって、挙げられた特性プロフィールを好ましく兼ね備えうる前記化合物は、一般に、そのモル質量Mが、100g/モル以上で300g/モル以下、好ましくは120g/モル以上で280g/モル以下、有利には140g/モル以上で260g/モル以下、特に好ましくは150g/モル以上で250g/モル以下であることを特徴とする。
本発明による方法のために(本願に挙げられる全ての熱分解法のために、かつそれは本願に挙げられるアクリル酸へと熱分解的に分解可能な全てのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解について)分解触媒として特に適した本発明による分子状有機作用化合物は、例示的な列挙として、ペンタメチルジエチレントリアミン(M=173.30g/モル;沸点199℃;融点−20℃未満;BASF SE社のLupragen(登録商標)N301と呼称できる)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(M=172.31g/モル;沸点212℃;融点−46℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N500と呼称できる)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(M=160.3g/モル;沸点189℃;融点60℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N205と呼称できる)、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(M=244.33g/モル;沸点309℃;融点=−28℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N106と呼称できる)、N,N’−ジエチルエタノールアミン(M=117.19g/モル;沸点=161℃;融点−70℃)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(M=127.23g/モル;沸点159℃;融点−60℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)N100と呼称できる)、N−メチルイミダゾール(M=82.12g/モル;沸点=198℃;融点=−2℃;BASF SE社のLupragen(登録商標)NMIと呼称できる)および1,2−ジメチルイミダゾール(M=96.13g/モル;沸点=204℃;融点=38℃)である。
上述の本発明により特に好ましい分解触媒として例示された分子状有機作用化合物のうち、ペンタメチルジエチレントリアミンが更に好ましい(特に、本願に挙げられるアクリル酸に熱分解的に分解する全てのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対する)。それというのも、前記化合物は、特に好ましくは、本発明により好ましい分解触媒の所望の特性を兼ね備えているからである。
本発明によりアクリル酸に分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対して、少なくとも1種の本発明による触媒作用を有する分子状作用化合物の質量は、本発明による方法では、一般に、0.01〜15質量%、または0.05〜10質量%、しばしば0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%、または1.5〜3.5質量%である。
もちろん、本発明による方法での分解触媒の(少なくとも1種の触媒作用を有する分子状有機作用化合物の)使用量は、上述の値を上回ってもよい。それは、特に、前記分解触媒が、分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネート用の溶媒あるいは(または)分散媒としても機能する場合である。とりわけこの場合には、相応して上述のように引き合いに出される分解触媒の使用量は、50質量%までに、または100質量%までに、または150質量%までに、または200質量%までに、または250質量%までに、または300質量%までに、または500質量%までに、そしてそれ以上までにゆうに達しうる。
上述のことは、また、本発明によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解法が、バイオマス中にまだ存在するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに対して実施される場合に十分に当てはまる。前記バイオマスは、この目的のために用途に特化して好ましくは、本発明により分解触媒として使用されるべき少なくとも1種の分子状有機作用化合物中にスラリー化できる。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの融点および溶解度に応じて、本発明によるその触媒による熱的分解(その触媒による熱分解)の方法は、アクリル酸を形成しつつ、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒(例えば有機液体)中の溶液から、またはその(例えば有機)液体中(分散媒中)の懸濁液から、またはその(例えば有機)液体中(分散媒中)のエマルジョンから、またはポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含有するそのバイオマスであって、選択的に(例えば有機)液体中にスラリー化(スラリー化媒体中で)されていてよいバイオマスから行うことができる。
かかる溶媒、分散媒またはスラリー化媒体の沸点(常圧に対する)は、その場合に、用途に特化して好ましくは明らかに、アクリル酸の相応して引き合いに出される沸点(=141℃)を(例えば少なくとも20℃だけ、より良好には少なくとも40℃だけ、なおもより良好には少なくとも50℃だけ、または少なくとも60℃だけ、好ましくは少なくとも80℃だけ、特に好ましくは少なくとも100℃だけ)上回る。
かかる(例えば有機)溶媒または分散媒またはスラリー化媒体としては、例えばイオン性液体、アクリル酸のそれ自体への、およびその際に生ずる付加生成物への、オリゴマーの(とりわけ二量体ないし六量体)のマイケル付加物(付加生成物)(例えばアクリル酸の従来の製造の範囲において(特にアクリル酸の精留に際しての缶出物として、またはアクリル酸の貯蔵に際しての残留物として)生ずる付加物)、または分子状有機液体、例えばジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジアルキルホルムアミド、長鎖パラフィン系炭化水素、長鎖アルカノール、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、ジフェニルエーテル、ジグリム(=ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグリム(=トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグリム(=テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、ビフェニル、トリクレシルホスフェート、ジメチルフタレートおよび/またはジエチルフタレートが考慮に入れられ、そのうち、非芳香族性液体が本発明によれば好ましい。
かかる溶媒または分散媒またはスラリー化媒体も含有する分解混合物中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合は、分解混合物の全質量に対して、95質量%未満、または90質量%未満、または80質量%未満、または70質量%未満、または60質量%未満、または50質量%未満、または40質量%未満、または30質量%未満、または20質量%未満、または10質量%未満であってもよい。しかしながら、この質量割合は、5質量%以上である。
乾燥バイオマスにおけるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合は、相応の値を有してよい。しかし好ましい場合には、95質量%以上である(例えばWO 2011/100608を参照)。
前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが分解混合物中にその溶融物の形で、または溶媒中に溶解されて、または分散媒中で懸濁液もしくはエマルジョンとして分散分布して(すなわち懸濁もしくは乳化されて)、またはバイオマスの成分としてスラリー化媒体中にスラリー化されて存在するかどうかとは無関係に、分解触媒として添加される少なくとも1種の分子状有機作用化合物は、分解混合物中に、好ましくは(溶融物中、溶媒中、分散媒中、またはスラリー化媒体中に)溶解されて存在する。
しかしながら、一般に、溶媒または分散媒またはスラリー化媒体の存在は、その他は同じ条件下で一般に分解速度を下げる。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの(常圧に対する)融点の位置は、特にその相対質量平均分子量とその多分散度Qとに依存する。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量平均相対分子量Mwが1000〜20000の値の場合に、常圧に対する対応する融点(通常の多分散度で)は、通常は、150℃以下、100℃以下である。
100000まで、もしくは150000までのMwの値でさえも、常圧に対するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの融点(通常の多分散度で)は、なおも200℃以下である。
この上述の場合には、従って、本発明による熱分解法は、一般に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの溶融物から行われる。その場合に好ましくは、本発明により分解触媒として添加されるべき(併用されるべき)少なくとも1種の分子状有機作用化合物もしくはその溶融物は、分解法の条件(作業圧力、分解温度)下で、それぞれ必要とされるその触媒作用を有する添加されるべき量で、溶融物中に完全に溶解され、あるいは熱的に分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの溶融物と完全に均質に混合される。
この他の点では、本発明による、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解の方法は、従来技術の公知の分解法で(例えば本願で価値が認められる従来技術で)記載されるように実施することができる。
すなわち、典型的に使用されるべき分解温度(ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートあるいはその溶融物、溶液、懸濁液、エマルジョン、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含有するバイオマスまたはポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含有するバイオマスのスラリーを熱分解に際して有する熱分解が行われる温度)は、50〜400℃の範囲で、または75〜350℃の範囲で、または100〜300℃の範囲で変動しうる。本発明により好ましくは、使用される分解温度(熱分解温度、つまり熱分解が行われる温度)は、150〜220℃であり、特に好ましくは160〜200℃である。
同様に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による熱分解(ガス雰囲気中)の間の作業圧力は、常圧(=1.0133・105Pa)であっても、常圧を上回っても、または常圧を下回ってもよい。すなわち、前記作業圧力は、例えば102〜107Pa、または103〜106Pa、または2・103〜5・105Pa、または5・103〜3・105Paであってよい。
作業圧力が常圧を下回る(例えば102Paまでおよびそれより低い圧力)場合に、分解に際して形成されるアクリル酸は存在する圧力降下に続いて生じ、こうして液体分解混合物から連続的に取り除かれる。
作業圧力が常圧であるかまたは常圧を上回る場合に(例えば107Paまでおよびそれ以上の圧力の場合に)、分解に際して形成されたアクリル酸は、用途に特化した目的に応じて、ストリッピングガス(例えば分子窒素、希ガス、二酸化炭素、空気、希薄空気(好ましくは分子酸素が低減された空気(一般に6体積%未満のO2)))を用いて、連続的に、例えば液状分解混合物(それは、例えばポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の唯一の溶融物であってもよい)からストリッピング除去することができる。
しかし、ストリッピングの措置は、好ましくは、分解の範囲内で低減された圧力において併用することもできる。
もちろん、分解に際して形成されるアクリル酸は、慣用のように、相応の温度降下に続き、例えば液状の分解混合物から留去できる。
例えば液状の分解混合物から流れ出てくる、分解に際して生ずるアクリル酸を含むガス流を、下降する還流液に対して向流で、1つの分解反応器に搭載された精留塔中に導くときに、アクリル酸は高められた純度でその液状の分解混合物から分離できる(それが好ましいのは、例えば本発明により熱分解により分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、ホモポリマーではなく、コポリマーである場合である)。任意の熱的分離法の追加の後続の使用によって、アクリル酸は、任意の所望の純度にまで精製することができる。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、高められた温度の作用による全てのかかる分解は、本願では、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの「熱分解」もしくは「パイロリシス」といった概念としてまとめる。
とりわけ、本発明による、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解法は、これらがビニル系先端基および/またはビニル系末端基を有さない場合にも、本願に挙げられる全てのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに使用できる(ビニル系先端基あるいは末端基とは、2つの炭素原子間に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する先端基あるいは末端基を表すべきである)。
更にまた、非プロトン性溶媒中に溶解されたエチレンオキシドとCOとのコバルト含有触媒系の存在下での高められた圧力および高められた温度でのカルボニル化によって製造されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、本願で価値が認められた従来技術の方法に記載されるように、その本発明による触媒による熱分解の前に、例えば水溶液での、好ましくはブレンステッド酸性の(特性「ブレンステッド酸」についての考慮の基礎は、本願では、25℃および常圧と、ブレンステッド酸の反応相手としての水である、すなわちブレンステッド酸の水への添加(25℃および常圧で)により、上述の条件下で、純水よりも低いpH値を有する水溶液が得られる;かかる水溶液を、「ブレンステッド酸性水溶液」と言う)水溶液での洗浄によって、および/または前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む生成物混合物の水溶液での、好ましくはブレンステッド酸性の水溶液での沈殿によって脱コバルト化に供されると確認される。好ましくは、前記の洗浄および/または沈殿は、1種以上の酸化剤の存在下で、酸化数+2未満のコバルトについて行われる。用途に特化した目的に応じて、従って、前記沈殿および/または洗浄は、例えば空気中で行われる。この措置の背景は、本願出願人が、コバルトの存在が本発明による触媒による熱分解を妨害することを見出したことである。
少なくとも1種の本発明による分子状有機作用化合物の分解触媒としての併用は、本発明による熱分解に際して、より低い温度での熱分解の実施を可能にするだけでなく、所定の熱分解条件下で、通常、特に、アクリル酸の高められた空時収量も保証する(前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物は、所定の条件下で、一般に分解速度も目的生成物形成(アクリル酸形成)の選択性も改善する。
本発明による熱分解に際して形成されるアクリル酸の不所望なラジカル重合に選択的に対抗するために、熱分解的に分解されるべきポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに、またはその溶融物に、またはその溶媒中の溶液に、またはその分散媒中のエマルジョンに、またはその分散媒中の懸濁液に、またはポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含むバイオマスに、またはポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含むバイオマスのスラリー化媒体中のスラリーに、追加でなおも相応の重合抑制剤を添加することができる。
かかる重合抑制剤としては、基本的に、先行技術において、液相で存在するアクリル酸のラジカル重合を抑制する目的のために推奨されるあらゆるものが該当する。かかる重合抑制剤としては、アルキルフェノール類、例えばオルト−、メタ−またはパラ−クレゾール(メチルフェノール)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノールおよび2−メチル−4−t−ブチルフェノール、ヒドロキシフェノール類、例えばヒドロキノン、ピロカテキン、レゾルシン、2−メチルヒドロキノンおよび2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、アミノフェノール類、例えばパラアミノフェノール、ニトロソフェノール類、例えばパラニトロソフェノール、アルコキシフェノール類、例えば2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、4−メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)およびモノ−もしくはジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、トコフェロール類、例えばα−トコフェロール、N−オキシル類、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4,4’,4’’−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファイトまたは3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル、芳香族アミン類もしくはフェニレンジアミン類、例えばN,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミンおよびN,N’−ジアルキル−パラフェニレンジアミン(その際、前記アルキル基は同一または異なってよく、かつそれぞれ互いに独立して、1〜4個の炭素原子からなり、かつ直鎖状もしくは分枝鎖状であってよい)、ヒドロキシルアミン類、例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、リン含有化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、次リン酸またはトリエチルホスファイト、硫黄含有化合物、例えばジフェニルスルフィドまたはフェノチアジンならびに上述のあらゆる抑制剤と、場合により金属塩、例えば銅、マンガン、セリウム、ニッケルおよび/またはクロムの塩化物、ジチオ炭酸塩、硫酸塩、サリチル酸塩もしくは酢酸塩とを組み合わせたものが該当する。
また、上述の重合抑制剤の種々の混合物を使用することもできる。好ましくは、重合抑制剤としては、フェノチアジンおよび/またはヒドロキノンモノメチルエーテルが使用される。更に、上述の重合抑制剤は、分子酸素を含むガス(例えば空気または窒素で希釈された空気(好ましくは希薄空気=分子酸素が減少された、分子酸素の含量が一般に6体積%未満である空気))によって支援される。用途に特化した目的に応じて、その際に、ガス状のアクリル酸および酸素を含有する混合物の爆発限界が遵守される(例えばWO 2004/007405 A1を参照)。例えば、前記の支援は、該分解に際して形成されるアクリル酸を、分子酸素を含有するストリッピングガスによって連続的に前記分解混合物からストリッピング除去することで行うことができる(かかるストリッピングは、低圧、常圧または常圧を上回る作業圧力でも行われる)。
使用される重合抑制剤(または重合抑制剤の混合物)に応じて、その使用量は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの含量に対して、前記分解混合物において、10〜1000質量ppm、しばしば50〜500質量ppm、たびたび150〜350質量ppmである。
分子酸素を含むストリッピングガスの上記の考えられる併用と、分子酸素を含むガスによる重合抑制剤による選択的な支援を除き、本発明により触媒された熱分解は、用途に特化した目的に応じて、熱分解に際して使用される有機成分の不所望な酸化(特に不所望な完全燃焼)を防止するために分子酸素の十分な排除下で行われる。
更に、本発明による方法は、連続的にも断続的にも実施できることが認められる。
本発明によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解に際して生成されるアクリル酸を含有する気相から、アクリル酸は、自体公知のようにして、吸収的措置および/または凝縮的措置によって液相に変換することができる。一般的には、この液相は、既に、後続使用のために、例えばラジカル重合などの使用のために適した本発明により得られるアクリル酸であってよい(特に、こうして得られるアクリル酸がそのラジカル開始重合の範囲での後続使用の前に中間貯蔵されない場合に、上述の液相への変換は、好ましくは(個別の)ラジカル開始重合を妨げる重合抑制剤の併用なく行われる)。
1種以上の熱的分離法(かかる熱的分離法は、特に精留、抽出、脱着、蒸留、ストリッピング、吸収、共沸精留および/または結晶化であってよい)をアクリル酸を含有する液相に使用すると、アクリル酸は液相から、しかしまた要求に応じて任意の純度にまで精製できる(例えば刊行物DE 10243625 A1、DE 10332758 A1、DE 102007004960 A1およびDE 102012204436 A1ならびにこれらの刊行物で引用される従来技術に記載されるのと同様に)。
好ましい熱的分離法としては、結晶化法が適している。
結晶化による分離法の範囲内で、上述の目的のために懸濁結晶化の方法が好ましくは使用できる(例えばDE 102007043759 A1、DE 102008042008 A1およびDE 102008042010 A1ならびにこれらの刊行物で引用される従来技術に記載されるのと同様に)。
結晶懸濁液からの懸濁結晶化物の分離は、用途に特化した目的に応じて、洗浄溶融洗浄塔(Waschschmelzewaschkolonne)(すなわちWO 01/77056 A1、洗浄液としては、既に相応に精製されたアクリル酸結晶の溶融物が使用される)において、好ましくは水圧式洗浄溶融洗浄塔において行われる(例えばWO 01/77056 A1、WO 02/09839 A1、03/041832 A1、WO 2006/111565 A2、WO 2010/094637 A1およびWO 2011/045356 A1ならびにこれらの刊行物で引用される従来技術に記載されるのと同様に)。
その他に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの本発明による分解は、大工業的に断続的にも連続的にも実施できる。
用途に特化した目的に応じて、連続的な運転は以下のように構成されていてよい。分離作用を有する内部取付物を含む分離塔の塔底部空間が分解反応器として機能する(分離作用を有する内部取付物としては、例えば物質交換トレイ、例えばデュアルフロートレイが該当する;基本的に該分離塔は、しかしまた空であってよい、すなわち分離作用を有する内部取付物を有さなくてもよい)。液状の分解混合物(それは溶融物、溶液、懸濁液、スラリーまたはエマルジョンであってよい)は、分離塔の下から三分の一の位置で供給される(基本的には、その供給は、前記塔底部空間中へと直接的にも行うことができる;かかる供給は、原則的に「固体」でも行うことができる)。
供給箇所の下方で(好ましくは前記塔底部空間から)ポンプによって連続的に液状物質流(それは場合により懸濁液またはスラリーであってもよい)が取り出され、間接的な熱交換器を介して分解混合物の供給箇所の下方で再び分離塔へと返送される。間接的な熱交換器の貫流に際して、熱分解に必要とされる熱エネルギーが供給される。用途に特化して好ましくは、前記の間接的な熱交換器は、強制循環式放圧熱交換器である。
塔頂部でまたは側方抜出部を介して、アクリル酸は分離塔から抜き出すことができる。分離塔が分離作用を有する内部取付物を有する場合には、該分離塔の塔頂部領域では凝縮物の形成が生じ、形成された凝縮物の一部は分離塔中で、その中で上昇するアクリル酸に対して向流で(例えばストリッピングガスによって導かれて、および/または低減された塔頂圧で圧力降下に続いて)還流液として下降側で導かれる。最高沸点の副成分のための取出物として、缶出液から連続的に部分量が取り出され、その廃棄(例えば焼却)へと供給される。
本発明による熱分解は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの固形物質から、またはポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含む固形のバイオマス(好ましくは生体乾燥材料)から行われる場合に、用途に特化した目的に応じて、本発明による方法は、形成されたアクリル酸が排出されるストリッピングガスによって導通される加熱式回転管形炉において行うことができる。その場合に、断続的にも連続的に行うことができる。連続的な運転においては、本発明により熱分解されるべき材料およびストリッピングガスは、目的に応じて向流で前記回転管形炉中に導通される。
本発明による方法様式により製造された(あるいは本発明による製造に由来する)、例えば吸収的な措置および/または凝縮的な措置によって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際して生ずる気相から凝縮された相(好ましくは液相)に変換されたアクリル酸に好ましいのは、前記アクリル酸が、不均一系触媒によるC3前駆化合物(プロピレン、プロパン、アクロレイン、グリセリン、プロピオン酸、プロパノールなど)の部分酸化によって製造されたアクリル酸に典型的な、そこに不純物として含まれる低分子量アルデヒドの指紋を有さないことである(例えばDE 102011076931 A1を参照)。
これらは、ラジカル開始重合によるポリマーの製造のために、アクリル酸および/またはその共役(ブレンステッド)塩基を、選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の(例えばエチレン性不飽和の)化合物との混合物で使用する場合に、極めて少量(アクリル酸分の質量に対して1〜10質量ppm)でさえも極めて妨げになると見なされる(例えばそれらは、ラジカル開始重合を不所望に遅延させることがあり、または特に高い分子量を有するポリマーの製造をその「調節作用」のゆえに阻止するか、あるいは妨害することがある)。
従って、アクリル酸の製造方法であって、その方法に続いて、製造されたアクリル酸がそのままで、および/またはその共役塩基(ここでは共役ブレンステッド塩基、つまりアクリレートアニオンを意味する)の形で、選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の化合物との混合物で、ラジカル開始的にポリマー中に重合導入されるラジカル重合法が行われるかかる本発明によるアクリル酸の製造方法が特に好ましい。
それは、特に、該ラジカル重合法が、例えば乳児用オムツなどの衛生用品で使用されるような、水を「超吸収する」ポリマーの製造方法である場合に当てはまる(DE 102011076931 A1およびその刊行物で引用される従来技術を参照)。
従って、本発明は、特に以下の本発明による実施形態を含む。
1. 分子状有機作用化合物の3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有する少なくとも1つの第三級窒素原子を含む少なくとも1種の分子状有機作用化合物で触媒される、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解によるアクリル酸の製造方法において、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、
− 炭素と水素以外に、窒素および酸素とは異なるヘテロ原子を有さないことと、
− 1つ以上の水素原子が共有結合されている窒素原子を有さないことと、
− 1つの水素原子が共有結合されている多くとも1つの酸素原子を有することと、
− 前記3つの互いに異なる炭素原子の1つと共有二重結合を有する酸素原子を含まないことと、
− 芳香族炭化水素の残基も置換された芳香族炭化水素の残基も有さないことと、
− 1.0133・105Paの圧力で少なくとも150℃で350℃以下である沸点を有することと、
− 1.0133・105Paの圧力で70℃以下である融点を有することと、
を特徴とするアクリル酸の製造方法。
2. 実施形態1に記載の方法であって、少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、1つより多くの第三級窒素原子を含み、前記窒素原子が、分子状有機作用化合物のそれぞれ3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有するが、但し、これらの炭素原子のいずれも同時に酸素原子への共有二重結合を有さないことを特徴とする方法。
3. 実施形態2に記載の方法であって、少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、少なくとも2つの第三級窒素原子を含み、前記窒素原子が、分子状有機作用化合物のそれぞれ3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有するが、但し、これらの炭素原子のいずれも同時に酸素原子への共有二重結合を有さないことを特徴とする方法。
4. 実施形態2または3に記載の方法であって、少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、少なくとも3つの第三級窒素原子を含み、前記窒素原子が、分子状有機作用化合物のそれぞれ3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有するが、但し、これらの炭素原子のいずれも同時に酸素原子への共有二重結合を有さないことを特徴とする方法。
5. 実施形態1から4までのいずれかに記載の方法であって、少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、分子状有機作用化合物のそれぞれ3つの互いに異なる炭素原子に1つの共有結合を有するが、但し、これらの炭素原子のいずれも同時に酸素原子への共有二重結合を有さない第三級窒素原子しか含まないことを特徴とする方法。
6. 実施形態1から5までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、水素原子に共有結合を有する酸素原子を有さないことを特徴とする方法。
7. 実施形態1から6までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で少なくとも160℃である沸点を有することを特徴とする方法。
8. 実施形態1から6までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で少なくとも170℃である沸点を有することを特徴とする方法。
9. 実施形態1から6までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で少なくとも180℃である沸点を有することを特徴とする方法。
10. 実施形態1から6までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で少なくとも185℃である沸点を有することを特徴とする方法。
11. 実施形態1から6までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で少なくとも190℃である沸点を有することを特徴とする方法。
12. 実施形態1から6までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で少なくとも195℃である沸点を有することを特徴とする方法。
13. 実施形態1から12までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で345℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
14. 実施形態1から13までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で340℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
15. 実施形態1から14までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で335℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
16. 実施形態1から15までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で330℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
17. 実施形態1から16までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で320℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
18. 実施形態1から17までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で310℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
19. 実施形態1から18までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で300℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
20. 実施形態1から19までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で290℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
21. 実施形態1から20までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で270℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
22. 実施形態1から21までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で250℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
23. 実施形態1から22までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で240℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
24. 実施形態1から23までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で230℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
25. 実施形態1から24までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で220℃以下である沸点を有することを特徴とする方法。
26. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で60℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
27. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で50℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
28. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で40℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
29. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で30℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
30. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で20℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
31. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で10℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
32. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で0℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
33. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で−10℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
34. 実施形態1から25までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの分子状有機作用化合物が、1.0133・105Paの圧力で−15℃以下である融点を有することを特徴とする方法。
35. 実施形態1から34までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物のモル質量Mが、100g/モル以上で300g/モル以下であることを特徴とする方法。
36. 実施形態35に記載の方法であって、Mが、120g/モル以上で280g/モル以下であることを特徴とする方法。
37. 実施形態35または36に記載の方法であって、Mが、140g/モル以上で260g/モル以下であることを特徴とする方法。
38. 実施形態35から37までのいずれかに記載の方法であって、Mが、150g/モル以上で250g/モル以下であることを特徴とする方法。
39. 実施形態1に記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状作用化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、N,N’−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルイミダゾールおよび1,2−ジメチルイミダゾールからなる群からの1つの分子状作用化合物であることを特徴とする方法。
40. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、0.01〜15質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
41. 実施形態1から40までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、0.05〜10質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
42. 実施形態1から41までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、0.1〜5質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
43. 実施形態1から42までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、0.5〜4質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
44. 実施形態1から43までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、1.5〜3.5質量%の少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
45. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、50質量%までの少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
46. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、100質量%までの少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
47. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、150質量%までの少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
48. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、200質量%までの少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
49. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、300質量%までの少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
50. 実施形態1から39までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解が、その物質の質量に対して、500質量%までの少なくとも1種の分子状有機作用化合物によって(触媒されて)行われることを特徴とする方法。
51. 実施形態1から50までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの触媒による熱分解の方法を、その固形物質から、またはその溶融物から、またはその溶媒としての有機液体中の溶液から、またはその分散媒としての有機液体中の懸濁液から、またはその分散媒としての有機液体中のエマルジョンから、または前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを含むバイオマスから、またはそれを含むバイオマスのスラリー化媒体としての有機液体中のスラリーから行われることを特徴とする方法。
52. 実施形態51に記載の方法であって、前記有機液体の沸点が、1.0133・105Paの圧力に対して、アクリル酸の相応の引き合いに出される沸騰温度より少なくとも20℃上回ることを特徴とする方法。
53. 実施形態51に記載の方法であって、前記有機液体の沸点が、1.0133・105Paの圧力に対して、アクリル酸の相応の引き合いに出される沸騰温度より少なくとも40℃上回ることを特徴とする方法。
54. 実施形態51に記載の方法であって、前記有機液体の沸点が、1.0133・105Paの圧力に対して、アクリル酸の相応の引き合いに出される沸騰温度より少なくとも60℃上回ることを特徴とする方法。
55. 実施形態51に記載の方法であって、前記有機液体の沸点が、1.0133・105Paの圧力に対して、アクリル酸の相応の引き合いに出される沸騰温度より少なくとも80℃上回ることを特徴とする方法。
56. 実施形態51に記載の方法であって、前記有機液体の沸点が、1.0133・105Paの圧力に対して、アクリル酸の相応の引き合いに出される沸騰温度より少なくとも100℃上回ることを特徴とする方法。
57. 実施形態51に記載の方法であって、前記有機液体が、イオン性液体、アクリル酸のそれ自体へのオリゴマーの(とりわけ二量体ないし六量体)マイケル付加物と、その際に生ずる付加生成物へのオリゴマーの(とりわけ二量体ないし六量体)マイケル付加物、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジアルキルホルムアミド、長鎖パラフィン系炭化水素、長鎖アルカノール、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、ジフェニルエーテル、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ビフェニル、トリクレシルホスフェート、ジメチルフタレートおよび/またはジエチルフタレートからなる群から選択されることを特徴とする方法。
58. 実施形態51から57までのいずれかに記載の方法であって、前記溶液中の、または前記懸濁液中の、または前記エマルジョン中の、または前記バイオマス中の、または前記バイオマスのスラリー中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合が、少なくとも5質量%ないし少なくとも95質量%であることを特徴とする方法。
59. 実施形態51から58までのいずれかに記載の方法であって、前記溶液中の、または前記懸濁液中の、または前記エマルジョン中の、または前記バイオマス中の、または前記バイオマスのスラリー中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合が、少なくとも10質量%ないし少なくとも90質量%であることを特徴とする方法。
60. 実施形態51から59までのいずれかに記載の方法であって、前記溶液中の、または前記懸濁液中の、または前記エマルジョン中の、または前記バイオマス中の、または前記バイオマスのスラリー中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合が、少なくとも15質量%ないし少なくとも85質量%であることを特徴とする方法。
61. 実施形態51から60までのいずれかに記載の方法であって、前記溶液中の、または前記懸濁液中の、または前記エマルジョン中の、または前記バイオマス中の、または前記バイオマスのスラリー中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合が、少なくとも20質量%ないし少なくとも80質量%であることを特徴とする方法。
62. 実施形態51から61までのいずれかに記載の方法であって、前記溶液中の、または前記懸濁液中の、または前記エマルジョン中の、または前記バイオマス中の、または前記バイオマスのスラリー中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合が、少なくとも30質量%ないし少なくとも70質量%であることを特徴とする方法。
63. 実施形態51から62までのいずれかに記載の方法であって、前記溶液中の、または前記懸濁液中の、または前記エマルジョン中の、または前記バイオマス中の、または前記バイオマスのスラリー中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量割合が、少なくとも40質量%ないし少なくとも60質量%であることを特徴とする方法。
64. 実施形態51から63までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の有機作用化合物が、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの溶融物中に、または有機液体中に溶解されて存在することを特徴とする方法。
65. 実施形態1から64までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、熱分解に際して、50〜400℃の温度を有することを特徴とする方法。
66. 実施形態1から65までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、熱分解に際して、75〜350℃の温度を有することを特徴とする方法。
67. 実施形態1から66までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、熱分解に際して、100〜300℃の温度を有することを特徴とする方法。
68. 実施形態1から67までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、熱分解に際して、150〜220℃の温度を有することを特徴とする方法。
69. 実施形態1から68までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、熱分解に際して、160〜200℃の温度を有することを特徴とする方法。
70. 実施形態1から69までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、大気圧で、大気圧を上回って、または大気圧を下回って実施することを特徴とする方法。
71. 実施形態1から70までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、102〜107Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
72. 実施形態1から71までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、103〜106Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
73. 実施形態1から72までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、2・103〜5・105Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
74. 実施形態1から73までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解を、5・103〜3・105Paの作業圧力で実施することを特徴とする方法。
75. 実施形態1から74までのいずれかに記載の方法であって、前記熱分解に際して形成されたアクリル酸を、ストリッピングガスを用いて連続的に熱分解から排出することを特徴とする方法。
76. 実施形態75に記載の方法であって、前記ストリッピングガスが、分子酸素を含有するか、または分子酸素を含まないことを特徴とする方法。
77. 実施形態1から76までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解が、少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で行われることを特徴とする方法。
78. 実施形態77に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解が、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの物質の質量に対して、10〜1000質量ppmの少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で行われることを特徴とする方法。
79. 実施形態77または78に記載の方法であって、前記少なくとも1種の重合抑制剤が、o−、m−およびp−クレゾール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2−メチル−4−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、ピロカテキン、レゾルシン、2−メチルヒドロキノンおよび2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、パラアミノフェノール、パラニトロソフェノール、2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、4−メトキシフェノール、モノ−およびジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、α−トコフェロール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4,4’,4’’−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファイト、3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル、N,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、N,N’−ジアルキル−パラフェニレンジアミン(その際、前記アルキル基は同一または異なってよく、かつそれぞれ互いに独立して、1〜4個の炭素原子からなり、かつ直鎖状もしくは分枝鎖状であってよい)、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、次リン酸、トリエチルホスファイト、ジフェニルスルフィド、フェノチアジンならびに上述のあらゆる重合抑制剤と、場合により金属塩、例えば銅、マンガン、セリウム、ニッケルおよび/またはクロムの塩化物、ジチオ炭酸塩、硫酸塩、サリチル酸塩もしくは酢酸塩とを組み合わせたものからなる群からの少なくとも1種の重合抑制剤であることを特徴とする方法。
80. 実施形態1から79までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、一般式I
[式中、nは、6以上の整数である]の少なくとも1つの構造断片を有する少なくとも1種の巨大分子化合物であることを特徴とする方法。
81. 実施形態80に記載の方法であって、nが、8以上であることを特徴とする方法。
82. 実施形態80に記載の方法であって、nが、10以上であることを特徴とする方法。
83. 実施形態80に記載の方法であって、nが、15以上であることを特徴とする方法。
84. 実施形態80に記載の方法であって、nが、20以上であることを特徴とする方法。
85. 実施形態80に記載の方法であって、nが、25以上であることを特徴とする方法。
86. 実施形態80に記載の方法であって、nが、30以上であることを特徴とする方法。
87. 実施形態80に記載の方法であって、nが、40以上であることを特徴とする方法。
88. 実施形態80に記載の方法であって、nが、50以上であることを特徴とする方法。
89. 実施形態80に記載の方法であって、nが、60以上であることを特徴とする方法。
90. 実施形態80から89までのいずれかに記載の方法であって、nが、30000以下であることを特徴とする方法。
91. 実施形態80から90までのいずれかに記載の方法であって、nが、25000以下であることを特徴とする方法。
92. 実施形態80から91までのいずれかに記載の方法であって、nが、20000以下であることを特徴とする方法。
93. 実施形態80から92までのいずれかに記載の方法であって、nが、15000以下であることを特徴とする方法。
94. 実施形態80から93までのいずれかに記載の方法であって、nが、10000以下であることを特徴とする方法。
95. 実施形態80から94までのいずれかに記載の方法であって、nが、8000以下であることを特徴とする方法。
96. 実施形態80から95までのいずれかに記載の方法であって、nが、5000以下であることを特徴とする方法。
97. 実施形態80から96までのいずれかに記載の方法であって、nが、2500以下であることを特徴とする方法。
98. 実施形態80から97までのいずれかに記載の方法であって、nが、1500以下であることを特徴とする方法。
99. 実施形態80から98までのいずれかに記載の方法であって、nが、1000以下であることを特徴とする方法。
100. 実施形態80から99までのいずれかに記載の方法であって、nが、750以下であることを特徴とする方法。
101. 実施形態80から100までのいずれかに記載の方法であって、nが、500以下であることを特徴とする方法。
102. 実施形態80から101までのいずれかに記載の方法であって、nが、300以下であることを特徴とする方法。
103. 実施形態80から102までのいずれかに記載の方法であって、nが、175以下であることを特徴とする方法。
104. 実施形態80から103までのいずれかに記載の方法であって、nが、150以下であることを特徴とする方法。
105. 実施形態80から104までのいずれかに記載の方法であって、nが、125以下であることを特徴とする方法。
106. 実施形態80から105までのいずれかに記載の方法であって、nが、100以下であることを特徴とする方法。
107. 実施形態1から106までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、コポリマーまたはホモポリマーであることを特徴とする方法。
108. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、40質量%以上であることを特徴とする方法。
109. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、50質量%以上であることを特徴とする方法。
110. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、60質量%以上であることを特徴とする方法。
111. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、70質量%以上であることを特徴とする方法。
112. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、80質量%以上であることを特徴とする方法。
113. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、90質量%以上であることを特徴とする方法。
114. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、95質量%以上であることを特徴とする方法。
115. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、98質量%以上であることを特徴とする方法。
116. 実施形態80から107までのいずれかに記載の方法であって、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート中の一般式(I)の構造断片の質量割合が、99質量%以上であることを特徴とする方法。
117. 実施形態1から116までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、3−ヒドロキシプロピオン酸の脱水的重縮合によって、またはβ−プロピオラクトンの開環重合によって、または溶媒中に溶解されたエチレンオキシドとCOとの少なくとも1種のコバルト含有触媒の存在下でのカルボニル化反応の方法によって、または生物において生物工学的に(例えば少なくとも1種の糖から)製造されたものであることを特徴とする方法。
118. 実施形態1から117までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度が、2.5以下であることを特徴とする方法。
119. 実施形態1から118までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量平均相対分子量Mwが、1000〜2000000であることを特徴とする方法。
120. 実施形態1から119までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが、ビニル系先端基および/またはビニル系末端基を有さないことを特徴とする方法。
121. 実施形態1から120までのいずれかに記載の方法であって、前記アクリル酸が、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解に際して形成されるアクリル酸を含有する気相から、吸収的および/または凝縮的な措置によって液相に変換されることを特徴とする方法。
122. 実施形態121に記載の方法であって、前記アクリル酸が、少なくとも1つの熱的分離法を使用して前記液相から、該液相と比較して高められた純度で分離され、かつ前記少なくとも1つの熱的分離法が、該液相に含まれるアクリル酸の少なくとも1つの精留および/または結晶化を含むことを特徴とする方法。
123. 実施形態122に記載の方法であって、前記結晶化は、アクリル酸結晶を含む結晶懸濁液が得られる懸濁結晶化であることを特徴とする方法。
124. 実施形態123に記載の方法であって、アクリル酸結晶を結晶懸濁液から洗浄溶融洗浄塔において分離する分離法が引き続き行われることを特徴とする方法。
125. 実施形態124に記載の方法であって、前記洗浄溶融洗浄塔が、水圧式洗浄溶融洗浄塔であることを特徴とする方法。
126. 実施形態1から125までのいずれかに記載の方法であって、前記アクリル酸の製造方法に続き、製造されたアクリル酸がそのままで、および/またはその共役ブレンステッド塩基の形で、選択的に別の一不飽和および/または多不飽和の化合物との混合物で、ラジカル開始的にポリマー中に重合導入されるラジカル重合法が行われることを特徴とする方法。
127. 実施形態1から126までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、1.0133・105Paの圧力での融点が、200℃以下であることを特徴とする方法。
128. 実施形態1から126までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、1.0133・105Paの圧力での融点が、150℃以下であることを特徴とする方法。
129. 実施形態1から126までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、1.0133・105Paの圧力での融点が、100℃以下であることを特徴とする方法。
130. 実施形態1から129までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの、1.0133・105Paの圧力での融点が、50℃以上であることを特徴とする方法。
131. 実施形態1から130までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜1000000であることを特徴とする方法。
132. 実施形態1から131までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜500000であることを特徴とする方法。
133. 実施形態1から132までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜400000であることを特徴とする方法。
134. 実施形態1から133までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜200000であることを特徴とする方法。
135. 実施形態1から134までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜100000であることを特徴とする方法。
136. 実施形態1から135までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜20000であることを特徴とする方法。
137. 実施形態1から136までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、1000〜15000であることを特徴とする方法。
138. 実施形態1から137までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、2000〜12000であることを特徴とする方法。
139. 実施形態1から138までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、3000〜10000であることを特徴とする方法。
140. 実施形態1から139までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が、5000〜10000であることを特徴とする方法。
141. 実施形態1から127までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、生物工学的に(例えば少なくとも1種の糖から)製造されたものであり、かつその相対質量平均分子量は、200000以下であることを特徴とする方法。
142. 実施形態141に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの相対質量平均分子量が100000以下であることを特徴とする方法。
143. 実施形態141または142に記載の方法であって、前記相対質量平均分子量が1000以上であることを特徴とする方法。
144. 実施形態141または142に記載の方法であって、前記相対質量平均分子量が5000以上であることを特徴とする方法。
145. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、芳香族環系を有さない(また複素芳香族環系も有さない)ことを特徴とする方法。
146. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミンであることを特徴とする方法。
147. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンであることを特徴とする方法。
148. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、ビス(2−ジメチル−アミノエチル)エーテルであることを特徴とする方法。
149. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテルであることを特徴とする方法。
150. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、N,N’−ジエチルエタノールアミンであることを特徴とする方法。
151. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることを特徴とする方法。
152. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、N−メチルイミダゾールであることを特徴とする方法。
153. 実施形態1から144までのいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1種の分子状有機作用化合物が、1,2−ジメチルイミダゾールであることを特徴とする方法。
154. 実施形態1から153までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度が、2.0以下であることを特徴とする方法。
155. 実施形態1から153までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度が、1.5以下であることを特徴とする方法。
156. 実施形態1から153までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度が、1.2〜2.0であることを特徴とする方法。
157. 実施形態1から153までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの多分散度が、1.5〜1.8であることを特徴とする方法。
158. 実施形態77から157までのいずれかに記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解が、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの物質の質量に対して、50〜500質量ppmの少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で行われることを特徴とする方法。
159. 実施形態77から158までのいずれか1項に記載の方法であって、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解が、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの物質の質量に対して、150〜350質量ppmの少なくとも1種の重合抑制剤の存在下で行われることを特徴とする方法。
実施例および比較例
(以下の実施例および比較例を表すための以下の実験においてそれぞれ最初に挙げられかつ特定される使用材料および実験法は、そこに特段の明示的な言及がない限りは、その後に実験において相応の箇所で相応のように使用される。コバルトを含有する触媒系の存在下でのエチレンオキシドのカルボニル化によって製造されるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの全ての沈殿および洗浄は、空気中で行った。)
A)ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの製造
1. ジグリム中に溶解されたエチレンオキシドとCOとのコバルトを含む触媒系の存在下でのカルボニル化によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの製造(その製造は、Markus Allmendingerによる学位論文「Multi-Site Catalysis - Novel Strategies to Biodegradable Polyesters from Epoxides/CO und Macrocyclic Complexes as Enzyme Models」(ウルム大学(2003年))とEP 577206 A2に従って行った)
カルボニル化反応は、パドル型撹拌機で撹拌可能なオートクレーブA中で行った(該パドル型撹拌機の稼働は磁気カップリングを介して行った)。その反応空間は外側から選択的に加熱または冷却することができる。反応空間に触れる全ての表面は、ハステロイHC4から構成されていた。前記オートクレーブの反応空間は、円筒形状を有していた。前記円筒の高さは、335mmであった。前記円筒の内径は、107mmであった。前記反応空間の外被は、19mmの壁厚(ハステロイHC4)を有していた。前記オートクレーブの頂部は、その反応空間中へと開放するガス入口/ガス出口バルブVを備えていた。反応空間中の温度は、熱電素子によって測定された。反応温度の調節は、電気制御で行われた。反応空間中の内圧は、相応のセンサで連続的に観察した。
前記オートクレーブの反応空間にまずはアルゴンで不活性化させた(アルゴン含量:99.999体積%以上のAr、2体積ppm以下のO2、3体積ppm以下のH2O、および0.5体積ppm以下の炭化水素全量)。
引き続き、10℃に温度調節されたオートクレーブAに、アルゴン下で、16.0gのジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8;供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:1〜10%ヘキサン、90%以上のCo、注文番号:H60811)、8.7gの3−ヒドロキシピリジン(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:99%含量、注文番号H57009)および1001.2gのジグリム(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:99%含量、注文番号:M1402)を装填し、引き続きオートクレーブを閉めた。両方の固体の温度は、25℃であり、ジグリムの温度は10℃であった。次いで、10℃の内部温度を保持しつつ、バルブVを通じて一酸化炭素を該オートクレーブ中へと、反応室中の圧力が1.5・106Paになるまで圧入した(BASF SE社製の一酸化炭素、仕様:99.2%のCO)。引き続き、反応空間中の温度を、オートクレーブAの気密性を検証するために、28℃にまで高めた(50分の時間にわたり)。次いで、反応空間中の雰囲気を、バルブVの開放によって106Paの内圧にまで放圧した。内部空間中の28℃の温度をその際に保持した。
引き続き、28℃の内部温度を保持しつつ、バルブVを通じて97.8gのエチレンオキシド(1.5g/分)を反応空間へとポンプ圧入した(供給会社:BASF SE;仕様:99.9%純度)。次いで、一酸化炭素をオートクレーブへと、反応空間中の圧力が6・106Paに達するまで圧入した(28℃の内部温度を保持しながら)。
ここで撹拌(700回転/分)をしつつ、オートクレーブAの反応空間中の温度を45分かけて本質的に線形に75℃に高めた。この温度を撹拌しながら8時間にわたり保持した。反応空間中の圧力は、この時間において3・106Paにまで下がった。次いで、オートクレーブAの加熱を停止した。6時間かけて、撹拌された反応空間中の温度は本質的に指数的に25℃に冷えた(66分後に、内部温度は60℃に下がり、165分後に40℃に下がり、かつ255分後に30℃に下がった)。該反応空間中の対応する圧力は2.8・106Paであった。ここで、オートクレーブAを常圧に放圧し、そして反応空間を続けてアルゴン(106Pa)で3回フラッシングした。
該反応空間には、1106.3gの暗赤ないし褐色の溶液が生成物混合物Aとして存在した。該生成物混合物Aを、閉じたガラスフラスコ中で12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間内で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを濾別し、そして濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した。洗浄された濾過ケークを10時間にわたり乾燥させた(10hPa、25℃)。前記生成物混合物Aから分離された41.1gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(第一のフラクション)は、その物質の質量に対して、なおも1.6質量%のコバルトを含有していた(最大の考えられる形成量のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量に対する、生成物混合物A中のコバルトの初期秤量は、2.97質量%であった)。質量平均相対分子量は、Mw=7220であった。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの濾別に際して生ずる濾液をガスクロマトグラフィーによって分析した。その濾液は、(GCピークの全面積の面積パーセントとして示して)0.9%のエチレンオキシド、92.7%のジグリム、1.0%の副生成物のβ−プロピオラクトンおよび0.6%の副生成物の無水コハク酸を含有していた。
前記濾液を、濾別されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(第一のフラクション)の洗浄に際してその中を吸引して通したメタノールと一緒にした。こうして生成された混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し、その際に生ずる濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した(そのメタノールは、いつものように濾過ケーク中を吸引して通した)。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第二のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量は、88.0gであった。その物質の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートはなおも1.6質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、5640であった。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第二のフラクションの濾別に際して生ずる濾液を、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第二のフラクションの洗浄に際してその中を吸引して通したメタノールと一緒にした。こうして生成された混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し(第三のフラクション)、そしてその際に生ずる濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第三のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量は、5.8gであった。その物質の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートはなおも1.8質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、5240であった。
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第三のフラクションの濾別に際して生ずる濾液を、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの第三のフラクションの洗浄に際してその中を吸引して通したメタノールと一緒にした。得られた混合物を12時間にわたり7℃の温度を有する冷却空間で放置した。その際に生ずるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを再び濾別し(第四のフラクション)、そしてその際に生ずる濾過ケークを300gの温度25℃のメタノールで洗浄した。洗浄された濾過ケークを、再び10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。
こうして生成物混合物Aから第三のフラクションとして分離されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの質量は、5.3gであった。その物質の質量に対して、前記ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは2.7質量%のコバルトを含有していた。その質量平均相対分子量Mwは、4230であった。
第三のフラクションの高められたコバルト含量は、得られた溶媒混合物においてここで明らかに事前に更に溶解されたコバルトが別個のコバルト塩として一緒に沈殿することに起因する。
全体として140.2gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートが生成物混合物Aから分離された。それは、理論的に考えられる最高収量の87.6%である。
コバルト含量の測定は、誘導結合プラズマを用いた光学的イオン発光分光分析(ICP-OES)によって行った。
測定装置としては、Varian 720-ES ICP-OES分光分析計を使用した。分析のために考慮されるコバルトのスペクトル線の波長は、237.86nmであった。
サンプルの準備のために、調査されるべきサンプルのそれぞれ0.1gを、濃硫酸、濃硝酸および濃過塩素酸からなる混合物(強酸化性の酸として)を用いて石英ガラス中で灰化した(320℃までの温度を使用して前記酸を定量的に発煙蒸発させた)。
その際に残る残留物を、濃塩酸中に取り、加熱しながら水を添加して溶解させた。得られた溶液を引き続き分析した。
分子量測定は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC/GPC)によって行った。溶出曲線を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)検量線を用いて本来の分布曲線に換算した。その較正は、相対分子量がM=800〜M=1820000の範囲にある分布の狭いPMMA標準を用いて行った。この溶出範囲外の値は、外挿した。
この実験「A)1.」を何度も繰り返し、種々の分離されたフラクションの混合によってポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを生成させたが、当該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは、その物質の質量に対してなおも2質量%のコバルトを含有していた。
2. 2質量%のコバルトを含有する実験「A)1.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量の低減
このポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのサンプル80gを、水中の酢酸の12.5質量%溶液658gで洗浄した(酢酸溶液の温度は25℃であった;該溶液は、P3HP中を吸引して通された)。引き続き、200gの水(温度=25℃)で後洗浄し、その後に200gのメタノール(温度=25℃)で後洗浄し、残りの固体を10hPaおよび25℃で10時間にわたり乾燥させた。こうして生成されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのコバルト含量は、0.2質量%であった。
洗浄前の質量平均分子量は、Mw=5930であり、洗浄後にはMw=5810であった。
溶融挙動の調査(この調査は、動的示差熱量測定(DSC)によりTA(Thermal Analysis)Instruments社の示差熱量計Q2000で行った;サンプル量は、それぞれ8.2mgであり、加熱/冷却速度は、20K/分であった)によれば、P3HPについて洗浄前に65.7℃〜79℃の溶融範囲であり、洗浄後に65.4℃〜71.6℃であった。
P3HPの元素分析(前記分析は、それぞれのサンプルの完全燃焼と、それに引き続いての燃焼生成物のガスクロマトグラフィー分析に基づき、Elementar Analysensysteme GmbH社製のvario EL cubeタイプのCHNアナライザと、EuroVektor社のEAタイプのOアナライザで実施した)によれば、(質量%での表記)
C:47.8%;
O:42.6%;
H:5.6%;および
N:0.5%
であった。
洗浄後に、相応の元素分析は
C:49.3%;
O:43.5%;
H:5.7%;および
N:<0.5%
であった。
MALDI-MSおよびGPC-MS(以下に記載される)による構造分析および末端基分析によれば、洗浄されたP3HPについて、以下のように分類された:
上述の構造の定量的な量測定は、以下に1H-NMR法で記載されるようにして行った。
結果的に、調査されたサンプルは99%以上が構造1からなっていた。構造2におけるビニル基のプロトンは、その1H−NMRシグナルで確認できる。エチレングリコール末端基のプロトンも同様である。構造3の芳香族性プロトンの1H−NMRシグナルは検出できなかった。
存在する末端基と分離された固体の構造の調査のために、それを、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI-MS)を用いた質量分光分析によっても、ゲル浸透クロマトグラフィー質量分光分析(GPC-MS)によっても分析した。
MALDI-MS調査のために、調査されるべきサンプル量を、まず完全に水性アセトニトリル(50容量%の水、50容量%のアセトニトリル)中に溶解させ、次いで2,5−ジヒドロキシ安息香酸およびトリフルオロ酢酸ナトリウムをマトリックス物質(両者は同様に水性アセトニトリルに溶解させた)として用いてMALDIの鋼製ターゲットに塗布し、溶媒を除去した。窒素レーザ(3nsパルス時間、波長=337nm)を用いて、マトリックスとの混合物中の分析物を鋼製ターゲットから蒸発させ、イオン化させた。
GPC-MS調査のために、調査されるべきサンプル量のテトラヒドロフラン(THF)中の抽出物から出発し(サンプルは、THF中に完全に溶けない)、溶解されて含まれるその成分をGPCによるそのMS調査の前に分離した。イオン化は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)によって行った。
上述の構造の定量的な量測定は、Bruker社製のDPX 400/1 FT-NMR分光分析装置での1H−NMR分光分析によって1Hキャリア周波数400MHzで行った。
サンプル濃度は、1mlのCDCl3中5mgのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであった。励起パルスの幅は、8012.82Hzであった。スペクトル記録時のサンプル温度は、常に26.8℃であった。励起のために、30°のパルス列を使用した。それぞれ32個の個々の記録を、結果スペクトルのために累積した。
3. β−プロピオラクトンの開環重合によるポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの製造(その合成は、US 4,357,462 Aおよび「巨大分子化学(Die Makromolekulare Chemie) - New York - Huethig & Wepf Verlag, Vol.56, 1962, 第179頁以降」の「ラクトンの重合、第1部:カチオン性開始剤を用いた4員、6員および7員のラクトンの重合(Die Polymerisation von Lactonen, Teil 1: Homopolymerisation 4-, 6- und 7-gliedriger Lactone mit kationischen Initiatoren)」に従って行った)
乾燥剤としてのモレキュラーシーブ(3Å)上に貯留されている300mlの塩化メチレン(=溶媒;供給会社:BASF SE;仕様:98〜100%)において、1mlの三フッ化ホウ素−エーテレート(=触媒;BF3×(CH3−CH2−O−CH2−CH3)2;供給会社:Fluka;仕様:高純度級、注文番号:15719)を溶解させた(750mlの内容積を有するガラス製3つ口フラスコ中で磁気的に撹拌され、内部温度は20℃であった)。
シリコーン浴を用いて該溶液を沸騰させた(常圧で)。引き続き、還流下に沸騰している溶液に、撹拌しながら、24.9gのβ−プロピオラクトン(供給会社:Alfa Aesar;仕様:97%、注文番号:B23197、LOT 10140573)を20分をかけて連続的に滴加した。
添加が完了した後に、該反応混合物を撹拌しながら更に8時間にわたり還流下で保持した。反応の進行中に、該溶液はその色を無色から黄色を経て橙色へと変えた。
次いで、溶媒を、低減された圧力と65℃の油浴の温度で30分にわたり撹拌しながら蒸留により除去した。27.2gの橙色の油状物が残留し、それを25℃に冷却し、そしてこの温度でワックス様に固化した。触媒系の分離のために、400mlのメタノール(25℃)を添加し、該混合物の温度を50℃に加熱し、該混合物をこの温度で1時間50分にわたり、固体が完全に溶けるまで撹拌した。次いで、前記溶液を再び25℃に冷却し、その際、無色の沈殿物が沈殿した。
これを濾別し、濾過ケークを続けて2回、それぞれ10mlのメタノールで洗浄し(メタノールの温度は25℃であった;該メタノールは濾過ケーク中を吸引して通された)、次いで25℃および10hPaで8時間にわたり乾燥させた。12.4gの無色の粉末が残留した。その質量平均相対分子量Mwは、多分散度Qが1.4で、3000であった。
対応する1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルならびにATR−FT−IRスペクトルは、純度95質量%超を有するポリ−3−ヒドロキシプロピオネートに相当するものであった。
1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、Bruker社のDRX 500 FT-NMR分光分析装置でCDCl3中のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの溶液で記録した。磁場強度は、500MHzの1Hキャリア周波数に相当するものであった。
ATR赤外スペクトルは、Bruker社製のVertex 70分光分析装置を用いてATR(「全反射減衰」)およびFT−IR分光分析法で記録した。固体のポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを調査した。それらのサンプルを、この目的のために、付加的に60℃および10hPaで12時間にわたり乾燥させ、引き続きATR結晶(この中で全反射が起こる)との最適な接触を可能にするために微細粉末化させた。
B)実験「A)1.〜A)3.」で製造されたポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの熱分解的分解
1. 実験「A)3.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の触媒によらない熱分解(比較例1)
a)ガラスから作成された分解装置は、分解丸底フラスコ(25mlの内容積、3つ口)とそれに被せられた蒸留ブリッジと、温度計、リービッヒ冷却器、生成物フラスコ(10mlの内容積、1つ口)と、大気に対して開放した排ガス用のグランドとからなるものであった。
前記分解丸底フラスコにおいて、実験「A)3.」からの3.0gのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを量り入れた。分解フラスコの第二の口を介して、このフラスコに、全熱分解の間に分子窒素(99.9体積%以上のN2;流れ強さ:1.4l/h;温度:25℃)からの流れをストリッピングガスとして供給した。前記流れは、分解装置を貫流し、そして該装置を、そこから温度が−78℃で保持された冷却トラップを介して導かれる排ガスの成分として排ガスチューブを介して再び出て行く。P3HPで満たされた分解フラスコは、真ん中の口まで、180℃に予熱されたシリコーン浴中に沈め、1.0133・105Pa(常圧)の作業圧力で油浴によって温めた。マグネットスターラーで、該分解フラスコの内容物を撹拌した。
該分解フラスコ中の温度が60℃に達すると、P3HPは溶け始めた。内部温度が80℃に達すると、該ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートは完全に溶融した。内部温度が175℃に達した後に、この温度を撹拌しながら300分にわたり保持した。
リービッヒ冷却器は、流入温度20℃を有する水で向流で冷却した。
窒素流によって輸送された凝縮可能な分解生成物をリービッヒ冷却器において凝縮させ、その凝縮物を、同様に20℃の温度に保持された生成物フラスコで受け止めた。
上述の300分の間に、生成物フラスコ中で凝縮物は生じなかった。
b)実験「A)3.」からの34.86mgのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートのサンプルを、Al2O3製の坩堝中に量り入れ、同時にその温度増加に際しての挙動を、熱重量測定法と、動的示差熱量測定の方法とを用いて調査した(「同時のTG-DSC分析」)。
前記調査は、Netzsch Geraetebau GmbH社製の熱分析装置「NETZSCH STA 449 F3 Jupiter(登録商標)」を用いて行った。FT-IR分光分析法によって、熱分析を伴う熱分解に際して形成される分解ガスを、その主成分について調査した。
前記調査の間に、サンプルをまず10分にわたり35℃に温度調節し、次いでアルゴン流(40ml/分)のもと、サンプル温度を5K/分の一定速度で610℃まで高めた。
温度の関数として、サンプル質量と該サンプルを通過する熱流量を検出した(すなわち動的示差熱量測定は、熱流量動的示差熱量測定として実施した)。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度(oTs):70.1℃
ピーク温度(pTs):93.6℃
oTs=サンプルの溶融が明白に始まる温度
pTs=溶融過程がその最高速度を示す温度
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度(oTT):286.5℃
ピーク温度(pTT):340.0℃
oTT=熱分解が明白に始まる温度
pTT=熱分解がその最大分解速度を示す温度
質量損失:出発質量の98.8%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 400℃超での残留物質の分解;
610℃で測定範囲の端に達したので開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の0.5%。
2. 3−ヒドロキシピリジンの分解触媒としての存在下での実験「A)3.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例2)
実験「B)1.a)」と同様に行ったが、P3HPの溶融の後に97mgの3−ヒドロキシピリジンを溶融物に入れたという相違点をもって行った。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中では第一の凝縮物が生じた(該生成物フラスコは、この実験「B)2.」と、全ての以下の熱分解実験において、添加された重合抑制剤を含有しなかった)。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は固体になった。従って、分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.48gであった。ガスクロマトグラフィー分析によれば、凝縮物は(その質量に対して)95.5質量%のアクリル酸、3.6質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.8質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。
アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、3−ヒドロキシピリジンを含有していなかった。
前記分解フラスコ中の残りの淡褐色の粘着性残留物の質量は、330mg(P3HPの使用量の11質量%)であった。
ストリッピングガスによって共にストリッピングされたマイケル付加物は、ここで(かつ全ての以下の場合に)必要に応じて、物質流を還流下に作動される精留カラム(例えばビグリューカラム)を介して生成物フラスコに送ることによって簡単に留めることができる。アクリル酸の分解収量は、その際に相応して高めることができる。
3. ペンタメチルジエチレントリアミン(Lupragen(登録商標)N301)の分解触媒としての存在下での実験「A)3.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(例1)
a)実験「B)1.a)」と同様に行ったが、P3HPの溶融の後に87mgのペンタメチルジエチレントリアミン(供給会社:BASF SE;仕様:>98%、商品名:Lupragen(登録商標)N301)を溶融物に入れたという相違点をもって行った。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で120分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は固体(粘着性ないし固形)になった。従って、分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.71gであった。凝縮物は、95.7質量%のアクリル酸、3.3質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。
アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルジエチレントリアミンを含有していなかった。前記分解フラスコ中の残りの淡褐色の粘着性残留物の質量は、150mg(P3HPの使用量の5質量%)であった。
b)実験「B)1.b)」と同様に行ったが、P3HPのサンプル量が36.65mgであり、かつこのサンプル量へと、熱分析の前に、その質量に対して0.68質量%のペンタメチルジエチレントリアミンを添加したという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度:69.6℃
ピーク温度:93.3℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:208.7℃
ピーク温度:259.7℃
質量損失:出発質量の98.9%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 300℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の0.3%。
4. N−ベンジルアミンの分解触媒としての存在下での実験「A)3.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例3)
実験「B)1.a)」と同様に行ったが、P3HPの溶融の後に90mgのN−ベンジルアミン(供給会社:Sigma-Aldrich;仕様:>99%、商品番号:185701)を溶融物に入れたという相違点をもって行った。内部温度が175℃に達した後に、この温度を撹拌しながら更に300分にわたり保持した。その後、熱分解実験は中断された。
上述の300分の間に、生成物フラスコ中で凝縮物は生じなかった。
分解フラスコ中に残留する内容物は、55℃の内部温度で固化して、淡いベージュ色を呈するワックスとなった。該ワックスの量は、3.06g(P3HPおよびベンジルアミンの使用量の99.0質量%)であった。P3HP成分の質量平均相対分子量Mwは、実験によれば、多分散度Qが2.7で、1900であった。
5. ペンタメチルジエチレントリアミンの分解触媒としての存在下での、バイオマス中に含まれるポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解のシミュレーション(例2)
この実験は、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネートへの分解触媒の到達を改善するために、細菌がポリ−3−ヒドロキシプロピオネートを合成し、その細胞壁が破壊されている乾燥された細菌性バイオマスからの本発明による熱分解をシミュレートしている。
それは本質的には、実験「B)1.a)」と同様に行った。実験「A)3.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3gだけを使用する代わりに、しかしながら、実験「A)3.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)2.4gと乾燥バイオマス(質量比「乾燥バイオマス:P3HP=1:4」、それは、WO 2011/100608 A1により生物工学的にグルコースから相応に改変された細菌において製造されたP3HPについて典型的である)0.6gとからなる混合物3gを製造し、すり鉢中で磨砕することによって微細に混ぜ合わせた(バイオマスは、菌株JM 109の大腸菌型の、オートクレーブ(121℃および2・105Pa水蒸気で15分)されかつ凍結乾燥された細菌である)。得られた混合物を、その全量において分解すべきサンプルとして使用した。その他の点では、ともかく、実験「B)1.a)」と同様に行った。10分間にわたり約175℃の内部温度に調整し、その際、フラスコ内容物は液化しなかった。30分間内には生成物フラスコ中には蒸留物は得られなかった、そのため90.0mgのペンタメチルジエチレントリアミンを分解フラスコ中に添加した。更に15分後にもまた蒸留物は得られなかったので、浴温度を高めた。185℃の内部温度に達した15分後に、やっと最初の蒸留物が捕集され、そしてこの温度で全体で120分後に、更なる蒸留物が出てこなかったので分解を完了させた。蒸留ブリッジ中に残留する蒸留物小滴を、熱風送風機を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして蒸留物フラスコで受け止めた。生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.01gであった。
凝縮物は、97.1質量%のアクリル酸、2.1質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルジエチレントリアミンを含有していなかった。同様に、前記凝縮物は、検出可能な量の、バイオマスに返送可能な成分を含有していなかった。分解フラスコ中に、800mg(バイオマスとポリ−3−ヒドロキシプロピオネートの量り入れられた全体量に対して26.7質量%)の淡褐色の粘着性残留物が残留した。バイオマスの初期量が600mgと割り出される場合に、該分解フラスコ中には、そこに加えられたP3HPに対してなおも8.3質量%が存在していた。
6. 実験「A)1.」からの、なおも2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例4)
a)実験「B)1.a)」と同様に行ったが、分解フラスコにおいて、実験「A)1.」からの、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gを量り入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した30分後に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
前記生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.14gであった(例えば構造3の化合物は、実験「A)2.」で証明されるように、分解触媒として作用した)。凝縮物は、95.3質量%のアクリル酸、3.7質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、710mg(P3HPの使用量の24質量%)であった。
分解残留物の元素分析は、その質量に対する以下の含有率であった(12質量%のCo、46.6質量%のC、4.5質量%のH、2.9質量%のNおよび34質量%のO)。
この結果は、12質量%のコバルトと、19.7質量%の3−ヒドロキシピリジンと、68.3質量%の、元素組成50.1質量%のCと5.1質量%のHと44.9質量%のOを有する物質とからなる物質混合物と相関している。最後の物質は、十分にP3HPの理論的元素組成:50.0質量%のCと5.59質量%のHと44.4質量%のOに相当するものであった。
b)実験「B)1.b)」と同様に行ったが、調査されたサンプルが、実験「A)1.」からの、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート37.70mgであったという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの溶融(初期量の0.4%の質量損失を伴う);
開始温度:62.9℃
ピーク温度:76.0℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:204.3℃
ピーク温度:235.1℃
質量損失:出発質量の86.0%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量にCO2とメタンを含む
3. 300℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の4.7%。
7. ペンタメチルジエチレントリアミンの分解触媒としての追加の存在下での実験「A)1.」からの、なおも2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(例3)
a)実験「6.a)」と同様に行ったが、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gに加えて、その溶融後に更に87mgのペンタメチルジエチレントリアミンを分解フラスコ中に入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.21gであった。凝縮物は、96.1質量%のアクリル酸、3.2質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.6質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルジエチレントリアミンを含有していなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、690mg(P3HPの使用量の23質量%)であった。すなわち、分解触媒として添加されたペンタメチルジエチレントリアミンは、コバルトの存在下では、実験「6.a)」と比較して分解残留物を本質的に低減できなかった。
b)実験「6.b)」と同様に行ったが、P3HPのサンプル量が35.43mgの、2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであり、かつこのサンプル量へと、熱分析の前に、その質量に対して0.58質量%のペンタメチルジエチレントリアミンを添加したという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの溶融(初期量の0.4%の質量損失を伴う);
開始温度:62.6℃
ピーク温度:75.5℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:191.5℃
ピーク温度:222.6℃
質量損失:出発質量の88.4%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量にCO2とメタンを含む
3. 290℃超での残留物質の分解;
開始温度とピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の4.6%。
すなわち、添加されたペンタメチルジエチレントリアミンは、実験「6.b)」と比較して、そのコバルト含量にもかかわらず、熱分解に必要とされる活性化エネルギーを大きく低減する。
8. 実験「A)2.」からの、なおも0.2質量%だけのコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(比較例5)
a)実験「B)1.a)」と同様に行ったが、分解フラスコにおいて、例2からの、0.2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gを量り入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した30分後に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で135分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
前記生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.51gであった(例えば構造3の化合物は、実験「A)2.」で証明されるように、分解触媒として作用した)。凝縮物は、95.6質量%のアクリル酸、3.2質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.6質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、360mg(P3HPの使用量の12質量%)であった。
b)実験「B1.b)」と同様に行ったが、調査されたサンプルが、例2からの、0.2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート36.65mgであったという相違点をもって行った。
得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度:60.9℃
ピーク温度:86.9℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:197.2℃
ピーク温度:236.4℃
質量損失:出発質量の97.3%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 290℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の1.0%。
9. ペンタメチルジエチレントリアミンの分解触媒としての追加の存在下での実験「A)2.」からの、なおも0.2質量%だけのコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)の熱分解(例4)
a)実験「8.a)」と同様に行ったが、0.2質量%のコバルトを含むポリ−3−ヒドロキシプロピオネート3.0gに加えて、その溶融後に更に87mgのペンタメチルジエチレントリアミンを分解フラスコ中に入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した15分後に既に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で90分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、2.56gであった。凝縮物は、96.2質量%のアクリル酸、2.9質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.5質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。該凝縮物は、ペンタメチルジエチレントリアミンを含有していなかった。前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、240mg(P3HPの使用量の8質量%)であった。
b)実験「8.b)」と同様に行ったが、P3HPのサンプル量が35.02mgの、0.2質量%のコバルトを含む、実験「A)2.」からのポリ−3−ヒドロキシプロピオネートであり、かつこのサンプル量へと、熱分析の前に、その質量に対して0.56質量%のペンタメチルジエチレントリアミンを添加したという相違点をもって行った。得られた温度記録図は、FT-IR分光分析法を含め、以下の3つの吸熱プロセスを示した:
1. P3HPの質量損失を伴わない溶融;
開始温度:60.6℃
ピーク温度:84.8℃
2. サンプルのアクリル酸への熱分解;
開始温度:192.9℃
ピーク温度:228.3℃
質量損失:出発質量の97.4%;
分解ガスは、主成分としてアクリル酸を含み、微量のCO2を含む
3. 290℃超での残留物質の分解;
開始温度もしくはピーク温度は測定できなかった;
測定範囲の端までの質量損失:出発質量の1.2%。
10. 2つのポリ−3−ヒドロキシプロピオネート(P3HP)、つまり実験「A)3.」からのP3HPと、その質量に対して2質量%のコバルトを含む、実験「A)1.」からのP3HPとの混合物の熱分解(比較例6)
実験「B1.a)」と同様に行ったが、分解フラスコに、実験「A)3」からのP3HP2.5gと、その物質の質量に対して2質量%のコバルトを含む、実験「A)1」からのP3HP2.5gとからなる混合物を量り入れた。分解フラスコ中で175℃の内部温度に達した30分後に、生成物フラスコ中で第一の凝縮物が生じた。175℃の内部温度での全部で120分後に、分解フラスコ中になおも存在する残留溶融物は、極めて粘性ないし粘着性になったので、該分解実験は中断された。蒸留ブリッジ中に付着している凝縮物小滴を、その熱風送風機(ドライヤー)を用いた加熱によって蒸発させ、リービッヒ冷却器において液化し、そして生成物フラスコで受け止めた。
生成物フラスコ中に含まれる凝縮物量は、4.15gであった。凝縮物は、96.8質量%のアクリル酸、2.7質量%のジアクリル酸(マイケル付加物)および0.3質量%のアクリル酸のそれ自体へのより高度のマイケル付加物を含有していた。アルデヒドは、該凝縮物中では検出できなかった。
前記分解フラスコ中に残留する暗褐色の25℃でガラス様に脆い残留物の質量は、580mg(P3HPの使用量の12質量%)であった。
当該実験は、実験「A)1.」からのP3HP中に含まれる、例えば、実験「A)2.」で確認されたような構造3の化合物が正規の分解触媒として作用しうることを示している。
11. 分解触媒として併用されるペンタメチルジエチレントリアミンの、実験「B)3.a)」の分解残留物からの、この分解残留物の熱処理に際してガス状で出てくる成分のガスクロマトグラフィー分離と、引き続いてのこれらの成分の、質量分光分析法(プログラムされた熱分解とGC/MSのカップリングした方法)およびFT-IRによる構造の解明による分離可能性の実証
前記分解残留物の熱処理は、V2A鋼製の円筒形坩堝(高さ:6.2mm;壁厚:0.2mm;外径:2.5mm)において行った。該坩堝に量り入れられた、実験「B)3.a)」の分解残留物のサンプル量は、0.23mgであった。前記坩堝を、石英ガラス製の円筒管中に中心を合わせて入れた(25mmの高さ;5mmの内径;0.5mmの壁厚)。前記石英ガラス管は、外側から電気加熱できるものであった。
石英ガラス製の管中にヘリウムからなるガス流を導通させた(20ml/分、石英ガラス管中への導入温度=25℃)。前記ガス流は、前記管中に存在する坩堝の方向に流れる(該坩堝の開口部はヘリウム流の方向を向いていた)そこから場合により出て行くガス状成分を取り込み、かつ流動方向でガスクロマトグラフィー分離カラム中に運んだ。前記分離カラムの長さは、30mであり、その内径は、0.25mmであった。固定相として、前記カラムは、ポリジメチルシロキサン製の層厚1μmの被膜を有した(このカラムは、Agilent Technologies社から「HP-1ms」として購入した)。
石英管の電気加熱の開始温度は、100℃であった。この温度は、10℃/分のランプで400℃まで高め、引き続きこの温度に保持した。400℃に達するまで、ヘリウム流と一緒に分離カラムに運ばれた、坩堝内で熱処理されたサンプルからガス状で出てくる成分を、その出口で低温濃縮した。この目的のために、分離カラム全体は、液体窒素で充填されたデュワー容器に存在していた。引き続き、カラム全体の温度は40℃にまで高め、この温度で2分間保持した。次いで、カラム全体の温度を6℃/分の加熱速度で、320℃の最終温度まで高めた。引き続き、この最終温度を、更に13分にわたり保持した。全時間の間に、ヘリウム流は、前記坩堝を収容する加熱式の石英ガラス製の管を通じて分離カラム中に流れ、そして分離カラムから質量分析計へと流れた。追加的に、更なる実験において、前記分離カラムから流出するガス流をFT-IRによって分析した。ペンタメチルジエチレントリアミンは、ヘリウム流中の主成分として明らかに検出できた。
2012年7月16日に出願された米国仮特許出願第61/671823号は、本願では文献を参照することによって組み込まれたものとする。上述の教示に関しては、本発明からの数多くの変更および逸脱も可能である。従って、本発明を、添付の特許請求の範囲においては、ここに特に記載されるとは異なるように実施できることから出発しうる。