JP2012077014A - アクリル酸およびその重合体の製造方法 - Google Patents

アクリル酸およびその重合体の製造方法 Download PDF

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洋 堀川
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Abstract

【課題】未反応のヒドロキシプロピオン酸が少なく、また副反応で生成する重質化した生成物等の副生物の発生量を減らしつつ、アクリル酸を長時間にわたり安定して製造することができるアクリル酸の製造方法を提供することにある。また、不純物の少ないアクリル酸を原料として性能および安全面に優れる吸水性樹脂の製造方法を提供する
【解決手段】ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物からアクリル酸を製造する方法であって、(a)前記組成物中のポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を加水分解してヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩に転化する工程、(b)前記工程で生成したヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を触媒に接触させて脱水反応を施しアクリル酸を生成する工程、(c)前記工程で生成したアクリル酸を含む反応生成物を冷却して、アクリル酸を含む組成物を得る工程を含む製法により達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩からアクリル酸を調製する方法、吸水性樹脂の製造方法に関する。
アクリル酸は吸水性樹脂などの原料として工業的に広く利用されており、通常、アクリル酸の製法としては、固定床多管式反応器を用い酸化物触媒の存在下、プロピレンの接触気相酸化によりアクロレインとし、得られたアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を製造する二段酸化方法が一般的である。別のアクリル酸製法として、最近ではプロパンの酸化によりアクリル酸を製造する技術が開示されているが、商業化はされていない。プロピレンは石油など化石燃料から容易に入手できるが、石油不足の高まりによりその価格は上昇している。プロパンは石油または液化天然ガスから入手でき、一般にプロピレンよりも安いが、エネルギー産生におけるその石油燃料代替物としての使用が増加するにつれ、その価格が上昇してきた。プロピレンおよびプロパンはどちらも再生不能資源であるため、再生可能資源から製造することが望まれている。
再生可能な資源であるバイオマスなどを利用して、アクリル酸を商業的規模で経済的に製造する試みが行われている。バイオマスからのアクリル酸の生成方法としては、天然物であり容易に入手可能な乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸、2HPとも称す)やセルロース等を分解して得られる糖類をさらに発酵により調製される3−ヒドロキシプロピオン酸(3HPとも称す)等のヒドロキシプロピオン酸(HPとも称す)の脱水、またはその重合体(以下、ポリヒドロキシプロピオン酸又はポリHPとも称す)の分解により、比較的容易にアクリル酸を調製できる。
特許文献1は、発酵などにより得られたβ−ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む水溶液または溶液を準備し、その溶液を脱水触媒の存在または非存在の下で加熱することにより脱水を施し不飽和カルボン酸又はその塩を製造する方法を開示している。
特許文献2は、α−または、β−ヒドロキシカルボン酸を含む水溶液を不活性なセラミック等や酸又は塩基の固体触媒を保持したところへ導入して加熱することによりα,β−不飽和カルボン酸を調製する方法を開示している。さらにα−または、β−ヒドロキシカルボン酸から形成されるポリマー、オリゴマー、ラクチド、ラクトン等を含む水溶液を用いることができるとの記載はあるが、具体的に実施した例の開示はない。
ポリヒドロキシカルボン酸の一種である、ポリヒドロキシプロピオン酸を含む水溶液またはスラリーを用いて前記方法を実施した場合、アクリル酸への転化が不完全で、原料のポリマーが未反応のまま残存することに加え、ポリマーの加水分解で副生したヒドロキシカルボン酸のオリゴマーやモノマーが残存してしまう問題がある。さらに残存するモノマーやオリゴマーは生成したアクリル酸と反応してアクリル酸の収率低下を起こすという欠点もある。前記の方法では高い収率が得られないことに加え、いずれの場合も固体のセラミックや固体の触媒を用いているために、副反応で生成した重質化した生成物が固体触媒表面へ付着しHPまたは3HPと触媒の接触を低下させ、反応活性の低下を引き起こしたり、反応管を閉塞するなど、長時間の製造を困難にするという問題もあった。
吸水性樹脂はその中に残存モノマー含量を低減することが性能面及び安全面から望まれている。そのため、吸水性樹脂の調製に用いるアクリル酸原料は、吸水性樹脂中の残存モノマー発生の原因となるヒドロキシプロピオン酸やダイマー酸ないしオリゴマー等の不純物が少ないことが強く求められている(特許文献3、特許文献4)。しかし、前記方法のヒドロキシプロピオン酸から形成されるポリマーを含む組成物を用いてアクリル酸を製造する方法では、得られたアクリル酸中に未反応のヒドロキシプロピオン酸モノマーの残存量やオリゴマー及び重質化した副生物の発生量が多いことから、煩雑な精製工程の追加が必要であるため、吸水性樹脂の原料となるアクリル酸を得る方法としては不十分な技術であり、工夫の余地があった。
特表2005−521718号公報 国際公開第2005/095320号パンフレット 特開平6−122707号公報 特表2008−534695号公報
そこで本発明の課題は、未反応のヒドロキシプロピオン酸が少なく、また副反応で生成する重質化した生成物等の副生物の発生量を減らしつつ、アクリル酸を長時間にわたり安定して製造することができるアクリル酸の製造方法を提供することにある。また、不純物の少ないアクリル酸を原料として性能および安全面に優れる吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、ヒドロキシプロピオン酸から形成されるポリマーおよび/またはその塩を含む組成物からアクリル酸を製造するにあたり、前記組成物中のポリHPを加水分解してヒドロキシプロピオン酸モノマーに転化した後に、さらに非常に短い時間でヒドロキシプロピオン酸モノマーの脱水反応を進行させて、反応生成物が滞留することなく気化させることにより、ヒドロキシプロピオン酸を効率良くアクリル酸に転化することができ、副生物の発生量を減らしつつ、長期間にわたり安定して製造することができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物からアクリル酸を製造する方法であって、
(a)前記組成物中のポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を加水分解してヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩に転化する工程、(b)前記工程で生成したヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を触媒に接触させて脱水反応を施しアクリル酸を生成する工程、(c)前記工程で生成したアクリル酸を含む反応生成物を冷却して、アクリル酸を含む組成物を得る工程とを含むことを特徴とするアクリル酸の製造方法。
(2)前記(a)工程の加水分解を触媒の存在下で行うことを特徴する(1)に記載のアクリル酸の製造方法。
(3)前記(b)工程においてガスを導入しながら行うことを特徴する(1)または(2)に記載のアクリル酸の製造方法。
(4)前記(c)工程の後にさらに晶析による精製する工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
(5)前記ポリヒドロキシプロピオン酸を発酵により得る工程を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により得られたアクリル酸を含む単量体成分を重合することを特徴とする親水性樹脂の製造方法。
(7)前記親水性樹脂が吸水性樹脂である(6)に記載の親水性樹脂の製造方法。
本発明によれば、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を効率良く転化することができ、副生物の発生量を減らしつつ、長期間にわたり安定して製造することができるアクリル酸の製造方法を提供することができる。この製造方法を使用すればアクリル酸を高収率で安定的かつ連続的に製造することができる。また、本製法で得られたアクリル酸を使用して吸水性樹脂の製造をすることにより、吸水性樹脂中の残存モノマー含有量を低減することができる。
は本発明の代表的な反応装置図を示すものである。
11 原料ポリ3HPタンク
12 水タンク
13 加水分解触媒タンク
14 加水分解反応槽
15 薄膜蒸発器
16 脱水反応器
17 凝縮器
18 粗アクリル酸タンク
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物からアクリル酸を製造する方法であって、(a)前記組成物中のポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を加水分解してヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩に転化する工程、(b)前記工程のヒドロキシプロピオン酸を触媒に接触させて脱水反応を施しアクリル酸を生成する工程、(c)前記工程で生成したアクリル酸を含む反応生成物を冷却して、アクリル酸を含む組成物を得る工程とを含む。
本発明の方法において、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物は2−ヒドロキシプロピオン酸や3−ヒドロキシプロピオン酸から形成されるポリマー、これらのポリマーの塩またはそれらの混合物を含有する任意の組成物であればよい。この組成物には、ヒドロキシプロピオン酸のエステルダイマー、エーテルダイマーまたはモノマーを含んでいても良い。
またポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩は、主に2−ヒドロキシプロピオン酸や3−ヒドロキシプロピオン酸から構成されているが、他のヒドロキシカルボン酸を含んでいても良い。他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシメチルプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸等が例示できる。ポリマーを構成するヒドロキシカルボン酸のうち、2−ヒドロキシプロピオン酸及び3−ヒドロキシプロピオン酸の占める割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
前記ポリヒドロキシプロピオン酸の塩はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などの塩を用いることができ、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩又はそれらの混合物である。
尚、本発明の方法は、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩だけでなく、他のポリヒドロキシカルボン酸またはその塩にも用いることができる。ポリヒドロキシカルボン酸またはその塩としては、後述する加水分解反応で対応するヒドロキシプロピオン酸またはその塩を生成し、さらに後述する温度で脱水反応を起こして不飽和カルボン酸を生成し、その不飽和カルボン酸が引き続いて蒸発しうる化合物であればよく、ポリヒドロキシメチルプロピオン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸等の酸またはその塩が挙げられる。例えば、ポリヒドロキシメチルプロピオン酸を用いて加水分解の後、脱水反応を施すとメタクリル酸を得ることができる。
原料のポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物には、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩以外にも他の成分を含んでいても良い。ポリヒドロキシプロピオン酸以外の成分としては例えばポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を発酵により合成する際の副生物等が挙げられる。ポリヒドロキシプロピオン酸を発酵にて合成する場合には、例えば、発酵においてポリヒドロキシプロピオン酸と共に副生される可能性のある乳酸、プロピオン酸、ギ酸、酢酸、酪酸、エタノール、アミノ酸類等が例示できる。加えて、菌体内からポリヒドロキシプロピオン酸を回収する際に混入する可能性のある、タンパク質、核酸、リン脂質、脂肪酸類等が例示できる。このような不純物が混入したポリヒドロキシプロピオン酸であっても本特許記載の方法が利用可能であるが、より好ましくは、不純物混入の少ないポリヒドロキシプロピオン酸を利用するのが望ましい。
ポリヒドロキシプロピオン酸、そのポリマーの塩またはその混合物を含む組成物は溶媒成分を含んでいても良い。溶媒はポリヒドロキシプロピオン酸またはその塩を溶解または分散する溶媒であればよく、特に限定されないが、水、アルコール、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アミン、アミド、ハロゲン化炭化水素またはこれらを組合せた溶媒を用いることができる。好適には水である。
本発明に用いるポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物において、ポリヒドロキシプロピオン酸、そのポリマーの塩またはその混合物の形状は、固体でも良いし、前記溶媒が含まれている場合には完全に溶解していても、一部不溶のスラリー状態であっても良い。組成物中のポリヒドロキシプロピオン酸、そのポリマーの塩またはその混合物の含有量としては、特に限定されないが、10質量%以上、であれば良く、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。10質量%以下であると溶媒が多いことになり、装置が大きくなったり、加水分解工程、脱水工程での用役費が過大になる恐れがある。
ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩は種々の源から得ることができ、好適には地球温暖化及び環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来資源を用いるのが良く、セルロース等を分解して得られる糖類をさらに発酵により調製されたポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を用いることができる。
ポリヒドロキシプロピオン酸は、特に限定されるものではないが公知の方法により入手可能であり、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸は、例えばBiotechnology and Bioengineering 105巻 161−171頁 2010年記載の遺伝子組換え大腸菌を用いた発酵および菌体内からポリ2−ヒドロキシプロピオン酸を回収することにより得ることができ、ポリ3−ヒドロキシプロピオン酸もまた、例えばApplied and Environmetal Microbiology 76巻 622−626頁 2010年に記載の遺伝子組換え大腸菌を用いた発酵および菌体内からポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を回収することにより得ることができる。
発酵によりポリヒドロキシプロピオン酸等を得る場合は、発酵に使用する微生物または組換え微生物は特に限定されず、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸の生成能を有する生物を用いた発酵、または菌体内からの回収・精製によりポリヒドロキシプロピオン酸等を得ることができ、いずれの方法で得たポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸であっても本発明に用いることができる。
また、遺伝子組換え植物を利用して合成したポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸であっても本発明の方法に利用可能である。
さらに、発酵以外にも原料とする糖類と生物とを接触させることで生成したポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸でも本発明の方法でアクリル酸へ変換することができる。糖類と生物を接触させるとは、原料として利用する糖類の存在下で微生物又はその処理物を用いて反応を行うことをも包含する。該処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、菌死体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、菌体を破砕した無細胞抽出物、これらから酵素を抽出した粗酵素液、精製酵素等が挙げられる。また、常法により担体に固定化した菌体、該処理物、酵素等を用いて反応を行うことで合成したポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸も用いることができる。
発酵によりポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を生産した場合、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸は菌体内に蓄積されるため、菌体内から2−ヒドロキシプロピオン酸ポリマーまたはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を回収・精製する必要がある。菌体内からの2−ヒドロキシプロピオン酸ポリマーまたはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸の回収は、公知の方法を用いることができる。例えば、培養終了後、培養液から遠心分離等により菌体を分離し、その菌体を蒸留水およびメタノール等により洗浄し、乾燥させる。この乾燥菌体からクロロホルム等の有機溶剤を用いてポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を抽出する。ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を含んだ有機溶剤溶液から濾過等によって菌体成分を除去し、そのろ液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒を加えて、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を沈殿させる。さらに濾過や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾燥させてポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を回収することができる。菌体内からのポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸の回収方法として上記のような方法を記載したが、菌体内からのポリヒドロキシアルカン酸回収方法であれば、どのような方法で回収したポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸であっても本特許記載の方法が利用可能である。好ましくは、有機酸やアルコール類等の発酵副生成物、菌体由来成分、生物的材料等や培地成分等の混入の少ないポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を本願記載の方法に用いるのが良い。菌体由来成分や生物材料等の分離方法としては、固体を液状組成物から分離するための、当業者に公知の全ての方法により実施することができるが、好ましくは沈殿法、遠心分離法又は濾過法、最も好ましくは濾過法により分離するのがよい。
また、有機溶剤等を用いたポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸回収処理前に前処理を行うことで、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸回収効率を向上させ、不純物混入の少ないポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を得ることも可能であり、このような方法で得たポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸も本特許記載の方法で利用可能である。前処理としては、熱処理を行う方法や菌体を凍結処理する方法、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液で処理する方法等、公知の方法を利用することができる。
さらに、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸の回収工程後に、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸の精製工程を加えることで、ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸に含まれる不純物を除去することも可能であり、このような方法で得たポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸も本特許記載の方法で利用可能である。ポリ2−ヒドロキシプロピオン酸またはポリ3−ヒドロキシプロピオン酸の精製工程としては、公知の方法が利用可能であり、例えば、オゾンを使用した方法や過酸化水素を利用した方法が適応可能である。
糖を原料として発酵によりアクリル酸を製造する方法としては、本願記載の糖を原料とした発酵によりポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を得た後に、モノマー化、脱水してアクリル酸を得る方法以外に、糖を原料とした発酵により3−ヒドロキシプロピオン酸を生成し、3−ヒドロキシプロピオン酸を培養液から回収後、脱水してアクリル酸を得る方法が知られている。このような3−ヒドロキシプロピオン酸を最終発酵産物として発酵生産する方法をとった場合、3−ヒドロキシプロピオン酸生成に伴う培養液中のpH低下を抑制するために水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムやアンモニア水等のアルカリ水溶液を培養液に適時添加し、培養液中のpHを中性付近に保つ必要があり、アルカリ水溶液の使用量が莫大となりコストが増加する、アルカリ水溶液を添加することで発酵液中の3−ヒドロキシプロピオン酸濃度の低下を招く等の問題がある。加えて、3−ヒドロキシプロピオン酸を発酵液から回収する場合、3−ヒドロキシプロピオン酸塩から3−ヒドロキシプロピオン酸酸型への変換工程が必要となる場合があったり、3−ヒドロキシプロピオン酸と培地成分や乳酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、エタノール、アミノ酸類等の他の発酵産物と3−ヒドロキシプロピオン酸を分離する工程が別途必要となる等、3−ヒドロキシプロピオン酸の回収工程が複雑かつ複数の工程となる問題がある。さらに、発酵工程においてアルカリ水溶液を添加してpH低下を抑制したとしても、3−ヒドロキシプロピオン酸塩の状態で発酵液中に存在するため、3−ヒドロキシプロピオン酸塩が発酵液中に高濃度に蓄積すると宿主細胞の成育を抑制、発酵の継続が困難となり3−ヒドロキシプロピオン酸の生産性が低下することが問題となる。
一方で、ポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を発酵最終産物として生産した場合には、発酵における中和の必要がなくなり、加えて、発酵により生成した3−ヒドロキシプロピオン酸または3−ヒドロキシプロピオン酸塩が及ぼす宿主細胞への生育阻害を大幅に低減することが可能となる。また、ポリ3−ヒドロキシプロピオン酸は細胞内で生成されるため、発酵終了後、培養液からポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を内在する細胞を遠心分離等により回収することで、培養液中に生成した他の発酵産物、例えば、乳酸、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、エタノール、アミノ酸類等や、培地成分との分離が容易となり、3−ヒドロキシプロピオン酸回収工程を大幅に削減でき、かつ最終産物であるアクリル酸に含まれる不純物を大幅に低減することが可能となり非常に有利である。
本発明の方法において、加水分解反応は特に限定されないが、例えばポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を水の共存下で加熱することで実施できる。ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を加水分解して、ヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を製造するために必要な水の量は、ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を完全に加水分解するのに必要な量の1〜500倍、好ましくは1.5倍〜300倍、より好ましくは2倍〜100倍である。水が少なすぎると、完全に加水分解せず、ポリマーやオリゴマーが残存してしまう場合がある。また水が多すぎると、装置が大きくなったり、用役費が過大になる恐れがある。
本発明の方法において、加水分解に当たり、触媒は用いても良いし、用いなくても良い。HP自身が酸触媒作用を示すため、別途触媒を添加しなくても反応は進行する。しかし、反応速度を速くしたいときには、触媒の使用は好適である。
本発明の好ましい実施形態は、加水分解反応において触媒を用いる形態である。触媒はエステル結合を加水分解するものであれば特に限定はされず、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等の鉱酸類、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、ゼオライト、イオン交換樹脂等の固体酸類、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の金属酸化物、スズ、チタン、鉛等の遷移金属を含む化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。
また、加水分解は水以外の溶媒の存在下に実施しても良い。ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩の分子量が大きい場合、水に溶解しない場合があるため、溶媒を用いることでポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を溶解させて反応することができる。溶媒としてはアルコール、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アミン、アミド、ハロゲン化炭化水素またはこれらを組合せた溶媒が例示できる。溶媒の量は特に限定されないが、例えばポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩の0.5質量倍〜100質量倍が使用でき、より好ましくは1質量倍〜50質量倍である。0.5質量倍以下の場合、溶解効果が小さく、100質量倍以上では、装置費や用役費が高くなる。
加水分解の反応温度は、50〜300℃が好ましく、80〜250℃が好ましい。反応温度が50℃より低いと加水分解の反応速度が遅くなり生産性低下の原因となり、300℃を超える温度では副反応によってヒドロキシプロピオン酸の収率低下を引き起こす恐れがある。
反応圧力は、特に限定されないが、反応温度によって設定すれば良く、通常13kPaから10MPaの範囲で実施される。
反応は、回分式、半回分式、連続式のいずれも好適に実施できる。反応形式も、使用する触媒や、反応条件に応じて選択でき、例えば撹拌槽型反応器、固定床反応器、流動床反応器、連続撹拌槽型反応器、オートクレーブ等が挙げられる。
加水分解によって得られたヒドロキシプロピオン酸は、脱水反応に用いることで、さらにアクリル酸に変換することができる。加水分解反応にて得られたヒドロキシプロピオン酸はそのまま脱水反応に使用しても良いし、精製や濃縮等の工程を経た後、脱水反応に供しても良い。精製や濃縮は公知の方法を使用することができ、例えば蒸発、蒸留、抽出、濾過、膜分離等が例示できる。
本発明の方法において、脱水反応は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ気相でも液相でも行うことができる。
気相での脱水反応は、ポリヒドロキシプロピオン酸を加水分解して得られた反応組成物から得られた、ヒドロキシプロピオン酸を含む組成物を、不活性なセラミック等や中性、酸性又は塩基性の触媒を保持したところへ導入して加熱することにより行うことができる。不活性なセラミックとしては1000℃以上の高温で焼成した酸化アルミニウムや酸化ケイ素等である。中性の触媒としてはリン酸カルシウム、乳酸カルシウム及び3−ヒドロキシカルボン酸カルシウム等であり、酸触媒としては塩酸、硫酸またはリン酸等の強鉱酸を前記セラミック等の担体に接触して得た触媒や、リン酸水素ナトリウムやリン酸水素カリウム等のリン酸塩を担体に担持した触媒、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライト及びその他のルイス酸等の固体酸触媒が挙げられる。塩基触媒としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の金属酸化物及び水酸化物、トリカプリルアミン、トリデシルアミン及びトリドデシルアミン等のアミン類が挙げられる。好適には酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸やリン酸塩を担体に担持した触媒である。
気相での脱水反応の際の温度としては、セラミックや触媒を保持した層を150℃〜500℃に保持することが好ましい。好ましくは200℃〜450℃である。温度が150℃より低いとヒドロキシカルボン酸が十分気化せず反応管の閉塞が起こったり、反応速度が遅くアクリル酸収率が低下する恐れがあり、500℃より高いと、副反応の進行によりアクリル酸の収率が低下したり、コーキングにより触媒性能が低下することがあり好ましくない。
本発明の脱水工程において好ましい形態は、脱水反応の際にガスを導入しながら脱水を施す形態である。気相での脱水反応の際に窒素、ヘリウム、アルゴン、水蒸気等のガスを導入すると、ヒドロキシカルボン酸の蒸発が促進され、安定な反応を継続できるため好ましい形態である。ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、水蒸気を用いることができ、好適には窒素、水蒸気である。ガスの流量としては、原料が気化した流量に対して、0.1倍〜20倍が好ましく、特に0.2倍〜15倍が好ましい。
また、原料のヒドロキシプロピオン酸を含む組成物を反応器に供給するに際し、触媒層より前に設けられた蒸発層にて、原料を蒸発させて、原料をガス状で触媒と接触させ、反応することが好ましい。反応器の前に予熱槽を設けて、原料を蒸発させ、その蒸気を反応器に導入しても良いし、触媒層の上流に予熱層を積層させて、予熱層に原料を供給し、発生した蒸気を触媒層へ引き続き導入しても良い。
液相での脱水反応はポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を加水分解して得られた反応組成物の溶液を、反応器に保持されていて加熱された状態の溶媒および/または触媒からなる液相に導入して加熱することにより行うことができる。溶媒の種類は、特に限定されないが、本反応において不活性であれば良く、例えば水、アルコール、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アミン、アミド等を用いることができる。好ましくは、水、エーテル、ケトン類である。
液相での脱水反応では、液相中に触媒が存在する形態または触媒単独で液相である形態が好ましい形態である。触媒としては、溶媒に溶解するものでも、分散している状態のものでもよく、脱水反応において脱水の効果を示すものであれば良い。酸触媒や塩基触媒を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸、リン酸の縮合物、硫酸、ヘテロポリ酸、塩酸、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア等を用いることができる。好適には酸触媒であり、最も好ましいものとしては、脱水反応を施す際の温度において、溶媒を含まないで液状で存在するものが良く、リン酸、リン酸の縮合物、硫酸、ヘテロポリ酸が挙げられる。従来の固体触媒を用いて脱水反応を行う方法では、ヒドロキシプロピオン酸の塩を原料とした場合に、反応で生成したアクリル酸塩が固体触媒上に付着し触媒活性の低下や閉塞の原因となっていた。しかし、液相で酸触媒を用いることにより、脱水反応で生成したアクリル酸塩はアクリル酸となって気化し、系外へ留去されるため選択率の向上が図られ、一方、ヒドロキシプロピオン酸塩中のカチオンは触媒の酸と塩を形成することになるため、塩が液相触媒中に存在するものの閉塞の恐れが小さくなり、長期にわたって安定な脱水反応が可能となる。
上記液相とヒドロキシプロピオン酸を含む組成物を接触させることで、効率よくアクリル酸を製造することができる。液相中に導入されたヒドロキシプロピオン酸の濃度は低下するので、ヒドロキシプロピオン酸のオリゴマー化等の副反応を抑制でき、アクリル酸収率を向上させることができる。また、液相からの速やかな熱の供給により、生成したアクリル酸や水が速やかに気化、液相より除去されることにより、平衡が移動し、ヒドロキシプロピオン酸の転化率を高めることもできる。
液相温度は反応速度が十分速く、また反応生成物が反応生成後にすみやかに蒸発できる温度であればよく、好適には150℃〜400℃である。温度が低いと脱水反応速度が遅く、反応生成物の蒸発も遅くなり液相中に滞留して重質化が進むため、収率の低下、触媒活性低下の原因となる。温度が高いと副反応の増加による選択率の低下や、溶媒の流出が多くなり、後で反応生成物と溶媒を分離する工程でのエネルギーコストが増大する。より好ましい温度範囲は170℃〜380℃である。反応圧力は、前記温度範囲で反応生成物が蒸発する圧力であれば良く、減圧、常圧、加圧であってよく、特に限定されない。
ヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物を反応器へ導入する速度は、触媒や反応温度により異なるが、液相中のアクリル酸濃度として1質量%以下になるように調整することが好ましい。より好ましくは0.5質量%以下である。前記液相中のアクリル酸濃度が1質量%を越えると、平衡反応であるヒドロキシプロピオン酸の見かけの反応速度が遅くなり、ヒドロキシプロピオン酸の転化率が低下したり、生成したアクリル酸が副反応により消費され、アクリル酸の収率が低下する恐れがあり好ましくない。
液相反応において好ましい形態の一つは、脱水反応を施し反応生成物を気化させる際に、ガスを導入する形態である。ガスの種類としては、特に限定されないが、窒素、炭酸ガスや空気等の非凝縮性のガス、水蒸気、過熱水蒸気等の凝縮性のガスを用いることができる。好適には、窒素、水蒸気、過熱水蒸気である。導入するガスの温度は、非凝縮性のガスの場合、20℃〜350℃であり、反応温度の維持および生成ガスの凝縮の観点より好ましくは50℃〜330℃、より好ましくは100℃〜300℃である。凝縮性のガスの場合、反応圧力における沸点〜350℃であり、反応温度の維持および生成ガスの凝縮の観点より好ましくは反応圧力における沸点+20℃〜330℃である。導入するガスの流量は、原料のヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物の流量に対して、0.1〜100重量倍の範囲であれば良い。少なすぎると反応生成物の気化による除去効率が低下し、反応収率が低下する可能性があり、多すぎると反応器から流出するガスの凝縮に多大なエネルギーがかかるため良くない。好適には0.5〜50重量倍の範囲である。
本発明で用いる反応器は、生成物の水やアクリル酸を速やかに気化して除去することができるように気相や液相に効率的に熱を与える設備が好ましい。反応器の壁面からの加熱だけでなく、外部熱交換器に液相を循環させても良い。気相で脱水反応を行う場合は、例えば反応器の壁面からの加熱に加えて、原料の蒸気を加熱して反応器に供給しても良い。液相で脱水反応を行う場合、例えば液膜式の熱交換器が使用できる。具体的には上昇液膜型、流下液膜型、撹拌液膜型等の公知の装置が使用できる。また熱交換器そのものを反応器と使用しても良い。また、ガスを供給する場合には、加熱したガスにより熱を供給しても良い。
本発明の(c)の工程において、反応生成物を冷却してアクリル酸を含む組成物を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応生成ガスを熱交換器に導入し反応生成ガスの露点以下の温度で凝縮して得る方法や、または反応生成ガスを溶剤等の捕集剤に接触させて吸収する方法等により冷却して、アクリル酸を含む組成物を得ることができる。該組成物中のアクリル酸濃度は5質量%〜80質量%である。
このようにして得られた反応生成物の組成物中には主な反応生成物である水、アクリル酸が含まれており、その他には液相に用いる溶媒や、原料中の溶媒が含まれる場合がある。溶媒が水の場合は、アクリル酸の水溶液の状態で重合物製造の原料とすることができる。また精製工程を加えることにより高純度のアクリル酸にすることができる。該組成物中に液相に用いた溶媒が含まれる場合は、蒸留により分離するか、または膜などを用いて一旦溶媒を分離し水溶液とした後、再度、蒸留または晶析により精製を行うことで高純度のアクリル酸を得ることができる。
このように、本発明で得られたアクリル酸の組成物を精製することにより高純度のアクリル酸を得ることができる。したがって、本発明の方法は高純度のアクリル酸の製造方法をも提供する。
上記のガス状の反応生成物を冷却凝縮や溶剤捕集などにより液化し、必要に応じて、この液化物に含まれる水や捕集溶剤を従来公知の方法(例えば、蒸留)により除去したものを、晶析方法によって高純度のアクリル酸を得る方法を以下に示す。ここで、粗アクリル酸とは、工程(c)の冷却工程で得られたアクリル酸を含む組成物を指し、特にアクリル酸の水溶液が好適に用いられる。
晶析工程は、粗アクリル酸からプロピオン酸を分離することができる従来公知の方法、例えば、特開平9−227445号公報や特表2002−519402号公報に記載された方法を用いて行うことができる。
晶析工程は、粗アクリル酸を晶析装置に供給して結晶化させることにより、精製アクリル酸を得る工程である。なお、結晶化の方法としては、従来公知の結晶化方法を採用すればよく、特に限定されるものではないが、結晶化は、例えば、連続式または回分式の晶析装置を用いて、1段または2段以上で実施することができる。得られたアクリル酸の結晶は、必要に応じて、さらに洗浄や発汗などの精製を行うことにより、さらに純度の高い精製アクリル酸を得ることができる。
連続式の晶析装置としては、例えば、結晶化部、固液分離部および結晶精製部が一体になった晶析装置(例えば、新日鐵化学社製のBMC(Backmixing Column Crystallizer)装置、月島機械社製の連続溶融精製システム)や、結晶化部(例えば、GMF GOUDA社製のCDC(Cooling Disk Crystallizer)装置)、固液分離部(例えば、遠心分離器、ベルトフィルター)および結晶精製部(例えば、呉羽テクノエンジ社製のKCP(Kureha Crystal Purifier)精製装置)を組合せた晶析装置などを使用することができる。
回分式の晶析装置としては、例えば、Sulzer Chemtech社製の層結晶化装置(動的結晶化装置)、BEFS PROKEM社製の静的結晶化装置などを使用することができる。
動的結晶化とは、例えば、結晶化、発汗、融解を行うための温度制御機構を備えた管状の結晶器と、発汗後の母液を回収するタンクと、結晶器に粗アクリル酸を供給する循環ポンプとを備え、結晶器の下部に設けた貯蔵器から循環ポンプにより粗アクリル酸を結晶器の管内上部に移送できる動的結晶化装置を使用して晶析を行う方法である。また、静的結晶化とは、例えば、結晶化、発汗、融解を行うための温度制御機構を備えた管状の結晶器であり、下部に抜き出し弁を有する結晶器と、発汗後の母液を回収するタンクとを備えた静的結晶化装置を使用して晶析を行う方法である。
具体的には、粗アクリル酸を液相として結晶器に導入し、液相中のアクリル酸を冷却面(管壁面)に凝固・生成させる。冷却面に生成した固相の質量が、結晶器に導入した粗アクリル酸に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%になったら、直ちに、液相を結晶器から排出し、固相と液相とを分離する。液相の排出は、ポンプで汲み出す方式(動的結晶化)、結晶器から流出させる方式(静的結晶化)のいずれであってもよい。他方、固相は、結晶器から取り出した後、さらに純度を向上させるために、洗浄や発汗などの精製を行ってもよい。
動的結晶化や静的結晶化を多段で行う場合、向流の原理を採用すれば、有利に実施することができる。このとき、各段階で結晶化されたアクリル酸は、残留母液から分離され、より高い純度を有するアクリル酸が生成する段階に供給される。他方、残留母液は、より低い純度を有するアクリル酸が生成する段階に供給される。
なお、動的結晶化では、アクリル酸の純度が低くなると、結晶化が困難になるが、静的結晶化では、動的結晶化に比べて、残留母液が冷却面に接触する時間が長く、また、温度の影響が伝わり易いので、アクリル酸の純度が低下しても、結晶化が容易である。それゆえ、アクリル酸の回収率を向上させるために、動的結晶化における最終的な残留母液を静的結晶化に付して、さらに結晶化を行ってもよい。
必要となる結晶化段数は、どの程度の純度が要求されるかに依存するが、高純度のアクリル酸を得るために必要な段数は、精製段階(動的結晶化)が通常1〜6回、好ましくは2〜5回、より好ましくは2〜4回であり、ストリッピング段階(動的結晶化および/または静的結晶化)が通常0〜5回、好ましくは0〜3回である。通常、供給される粗アクリル酸より高い純度を有するアクリル酸が得られる段階は、すべて精製段階であり、それ以外の段階は、すべてストリッピング段階である。ストリッピング段階は、精製段階から残留母液に含まれるアクリル酸を回収するために実施される。なお、ストリッピング段階は、必ずしも設ける必要はなく、例えば、蒸留塔を用いて、晶析装置の残留母液から低沸点成分を分離する場合には、ストリッピング段階は省略してもよい。
動的結晶化および静的結晶化のいずれを採用する場合であっても、晶析工程で得られるアクリル酸の結晶は、そのまま製品としてもよいし、必要に応じて、さらに洗浄や発汗などの精製を行ってから製品としてもよい。他方、晶析工程で排出される残留母液は、系外に取り出してもよい。
以上の方法により、アクリル酸を製造することができる。かくして製造されたアクリル酸は、すでに公知となっているように、アクリル酸エステルなどのアクリル酸誘導体;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムなどの親水性樹脂;などの合成原料として有用である。従って、本発明によるアクリル酸の製造方法は、アクリル酸誘導体や親水性樹脂の製造方法に取り入れることが当然可能である。
≪親水性樹脂の製造方法≫
本発明による親水性樹脂の製造方法は、上記のようなアクリル酸の製造方法により得られるアクリル酸を含む単量体成分を重合することを特徴とする。すなわち、本発明の製造方法により得られたアクリル酸は、吸水性樹脂または水溶性樹脂などの親水性樹脂の原料として用いることができる。
本発明の製造方法により得られたアクリル酸を、吸水性樹脂または水溶性樹脂などの親水性樹脂を製造するための原料として用いた場合、重合反応を制御しやすく、得られた親水性樹脂の品質が安定し、吸水性能、無機材料の分散性能などの各種性能が改善される。
吸水性樹脂を製造する場合には、例えば、本発明の製造方法により得られたアクリル酸および/またはその塩を単量体成分の主成分(好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上)とし、さらに0.001〜5モル%(アクリル酸に対する値)程度の架橋剤、0.001〜2モル%(単量体成分に対する値)程度のラジカル重合開始剤を用いて、架橋重合させた後、乾燥・粉砕することにより、吸水性樹脂が得られる。
ここで、吸水性樹脂とは、架橋構造を有する水膨潤性水不溶性のポリアクリル酸であって、自重の3倍以上、好ましくは10〜1,000倍の純水または生理食塩水を吸水することにより、水溶性成分(水可溶分)が好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下である水不溶性ヒドロゲルを生成するポリアクリル酸を意味する。このような吸水性樹脂の具体例や物性測定法は、例えば、米国特許第6,107,358号、米国特許第6,174,978号明細書、米国特許第6,241,928号明細書などに記載されている。
また、生産性向上の観点から好ましい製造方法は、例えば、米国特許第6,867,269号明細書、米国特許第6,906,159号明細書、米国特許第7,091,253号明細書、国際公開第01/038402号パンフレット、国際公開第2006/034806号パンフレットなどに記載されている。
アクリル酸を出発原料として、中和、重合、乾燥などにより、吸水性樹脂を製造する一連の工程は、例えば、以下の通りである。
本発明の製造方法により得られるアクリル酸の一部は、ラインを介して、吸水性樹脂の製造プロセスに供給される。吸収性樹脂の製造プロセスにおいては、アクリル酸を中和工程,重合工程,乾燥工程に導入して、所望の処理を施すことにより、吸水性樹脂を製造する。各種物性の改善を目的として所望の処理を施してもよく、例えば、重合中または重合後に架橋工程を介在させてもよい。
中和工程は、任意の工程であり、例えば、所定量の塩基性物質の粉末または水溶液と、アクリル酸やポリアクリル酸(塩)とを混合する方法が例示されるが、従来公知の方法を採用すればよく、特に限定されるものではない。なお、中和工程は、重合前または重合後のいずれで行なってもよく、また、重合前後の両方で行なってもよい。アクリル酸やポリアクリル酸(塩)の中和に用いられる塩基性物質としては、例えば、炭酸(水素)塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミンなど、従来公知の塩基性物質を適宜用いればよい。また、ポリアクリル酸の中和率は、特に限定されるものではなく、任意の中和率(例えば、30〜100モル%の範囲内における任意の値)となるように調整すればよい。
重合工程における重合方法は、特に限定されるものではなく、ラジカル重合開始剤による重合、放射線重合、電子線や活性エネルギー線の照射による重合、光増感剤による紫外線重合など、従来公知の重合方法を用いればよい。また、重合開始剤、重合条件など各種条件については、任意に選択することができる。もちろん、必要に応じて、架橋剤や他の単量体、さらには水溶性連鎖移動剤や親水性高分子など、従来公知の添加剤を添加してもよい。
重合後のアクリル酸塩系ポリマー(すなわち、吸水性樹脂)は、乾燥工程に付される。乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、熱風乾燥機,流動層乾燥機,ナウター式乾燥機など、従来公知の乾燥手段を用いて、所望の乾燥温度、好ましくは70〜230℃で、適宜乾燥させればよい。
乾燥工程を経て得られた吸水性樹脂は、そのまま用いてもよく、さらに所望の形状に造粒・粉砕、表面架橋をしてから用いてもよく、還元剤、香料、バインダーなど、従来公知の添加剤を添加するなど、用途に応じた後処理を施してから用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下ことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。
(実施例1)
ポリ3−ヒドロキシプロピオン酸(ポリ3HP)を含む組成物の取得方法
以下の方法により行った。
Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium株のゲノムDNAをテンプレートとし、以下に示したpduP_F及びpduP_Rプライマーを用いて、Phusion DNA High Fidelity DNA Polymerases(Finnzyme社)によるPCR増幅を行い、propionaldehyde dehydrogenase (pduP)遺伝子断片を得た。また、pETDuet−1ベクター(Merck社)をテンプレートとし、以下に示したpET_F及びpET_Rプライマーを用いて、Phusion DNA High−Fidelity DNA Polymerases(Finnzyme社)によるPCR増幅を行い、pETベクター断片を得た。PCR増幅により得たpduP遺伝子断片及びpETベクター断片を用いて、In−Fusion Advantage PCR Cloning Kit(Takara社)によるクローニングを実施し、pduP/pETを構築した。
・pduP_F:AGAAGGAGATATACCATGAATACTTCTGAACTCGA
・pduP_R:AGCAGCCTAGGTTAATTAGCGAATAGAAAAGCCGT
・pET_F:TTAACCTAGGCTGCTGCCA
・pET_R:GGTATATCTCCTTCTTAAAG
Clostridium butyricum DSM2478株のゲノムDNAをテンプレートとし、以下に示したdhaB1B2_F及びdhaB1B2_Rプライマーを用いて、Phusion DNA High−Fidelity DNA Polymerases (Finnzyme社)によるPCR増幅を行い、Glycerol dehydratase (dhaB1B2)遺伝子断片を得た。次にpCDFDuet−1ベクター(Merck社)をテンプレートとし、以下に示したpCDF_F及びpCDF_Rプライマーを用いて、Phusion DNA High−Fidelity DNA Polymerases (Finnzyme社)によるPCR増幅を行い、pCDFベクター断片を得た。PCR増幅により得たdhaB1B2遺伝子断片及びpCDFベクター断片を用いて、In−Fusion Advantage PCR Cloning Kit (Takara社)によるクローニングを実施し、dhaB1B2/pCDFを構築した。
・dhaB1B2_F:ATAAGGAGATATACCATGGAGTAAAAATGATAAG
・dhaB1B2_R:AGCAGCCTAGGTTAATTACTCAGCTCCAATTGTG
・pCDF_F:TTAACCTAGGCTGCTGCCAC
・pCEF_R:GGTATATCTCCTTATTAAAG
Ralstonia eutropha H16株のゲノムDNAをテンプレートとし、以下に示したphaC1_F及びphaC1_Rプライマーを用いて、Phusion DNA High−Fidelity DNA Polymerases (Finnzyme社)によるPCR増幅を行い、PHA synthase (phaC1)遺伝子断片を得た。次に、pCOLADuet−1ベクター(Merck社)をテンプレートとし、以下に示したpCOLA_F及びpCOLA_Rプライマーを用いて、Phusion DNA High−Fidelity DNA Polymerases (Finnzyme社)によるPCR増幅を行い、pCOLAベクター断片を得た。PCR増幅により得たphaC1遺伝子断片及びpCOLAベクター断片を用いて、In−Fusion Advantage PCR Cloning Kit (Takara社)によるクローニングを実施し、phaC1/pCOLAを構築した。
・phaC1_F:ATAAGGAGATATACCATGGCGACCGGCAAAGG
・phaC1_R:AGCAGCCTAGGTTAATCATGCCTTGGCTTTGACGTATC
・pCOLA_F:TTAACCTAGGCTGCTGCCAC
・pCOLA_R:GGTATATCTCCTTATTAAAG
構築したpduP/pET、dhaB1B2/pCDF及びphaC1/pCOLAを、Escherichia coli BL21 (DE3) competent cell (Merck社)のプロトコールに従って、ヒートショック法により導入し、E. coli (pduP/pET、dhaB1B2/pCDF、phaC1/pCOLA)を作出した。
E. coli (pduP/pET、dhaB1B2/pCDF、phaC1/pCOLA)をアンピシリン終濃度100ppm、ストレプトマイシン終濃度50ppm、カナマイシン終濃度30ppmとなるように各抗生物質を添加したLB培地に植菌し、37℃で振盪培養し、前培養液とした。
次に、アンピシリン終濃度100ppm、ストレプトマイシン終濃度50ppm、カナマイシン終濃度30ppmとなるように各抗生物質を添加した0.3Mグリセリン含有Riesenberg−medim (Rb)培地1L(Rb培地の1Lあたりの組成:KHPO=13.3g,(NH)2HPO=4g、MgSO・7HO=1.2g、クエン酸=1.7g、EDTA=8.4mg、CoCl・6HO=2.5mg、MnCl・4HO=15mg、CuCl・2HO=1.5mg、HBO=3mg、NaMoO・2HO=2.5mg、Zn(CHCOO)・2HO=13mg、クエン酸鉄(III)=0.1g、チアミン塩酸塩=4.5mg)に前培養液20mLを植菌し、攪拌速度:400rpm、培養温度:37℃、通気量:2.5ml/h、で通気攪拌培養を開始した。なお培養には、バイオット製ジャーファーメンター:BMJ−02NP2を使用し、培養中はアンモニア水を用いて培養液中のpHを6.7にコントロールした。培養15時間後、遺伝子組換え大腸菌の生育が定常期に達した段階で、2Mグリセリン添加流加Rb培地 (流加Rb培地の1Lあたりの組成:MgSO・7HO=20g、EDTA=13mg、CoCl・6HO=4mg、MnCl・4HO=23.5mg、CuCl・2HO=2.5mg、HBO=5mg、NaMoO・2HO=4mg、Zn(CHCOO)・2HO=16mg、クエン酸鉄(III)=40mg)を20ml/hの流速で流加を開始した。流加開始後は、流加液と同じ速度で培養液を抜き出した。培養開始から45時間後、空気の通気を止め、窒素を流し、嫌気培養を開始した。嫌気培養中は、フマル酸ジナトリウム終濃度0.5M、酒石酸カリウムナトリウム終濃度0.5M、IPTG終濃度1mM添加Rb培地を20ml/hで流加した。培養90時間で培養を停止し、ジャーファーメンターから培養液を回収、遠心分離後、上清を廃棄し3−ヒドロキシプロピオン酸ポリマーを内在した菌体ペレットを得た。
菌体ペレットを凍結乾燥処理した後に、クロロホルムを用いた溶媒抽出を行った。抽出液を遠心分離に供し、上澄み溶液を回収することで、不溶成分を除去した。遠心分離後の上澄み液をエバポレーターを用いて濃縮し、10倍容量の冷エタノール溶液を添加してポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を析出させた。析出したポリ3−ヒドロキシプロピオン酸を濾過により回収し、乾燥させてポリ3−ヒドロキシプロピオン酸粉体を得た。
ポリ3HPの加水分解
内容積500mlのオートクレーブに、上記で得られたポリ3−ヒドロキシプロピオン酸10g、水200g、加水分解触媒として濃硫酸2.0gを仕込み、気相部を窒素で置換後、150℃まで昇温した。そのまま24時間保持し、加水分解反応を行った。冷却後、反応液を抜き出し、液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸の収率は75%であった。抜き出した反応液を、薄膜蒸発器を用いて濃縮および重質分カットを行い、脱水反応原料を調製した。
3HPの脱水
原料として、上記で得た3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)を12質量%水溶液に調整し、メトキノンを100質量ppmになるように添加した。
内径10mmのステンレス製反応管に、高さ5cmで固体触媒としてγ−アルミナを充填し、その上にステンレス製の1.5mmのディクソンパッキンを蒸発層として積層した。反応管を電気炉にて300℃に加熱し、上記原料を毎時8.3gの速度で反応管の上部に供給した。同時に、毎時1.5Lの速度で窒素ガスを流した。
反応管の下部から抜き出した反応ガスを、冷却捕集し反応液を得た。得られた反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3HPの転化率は99%、アクリル酸の収率は98モル%であった。また、3−ヒドロキシプロピオン酸のオリゴマー等の不純物は検出されなかった。
(比較例1)
実施例1で得られたポリ3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)を水に加え12質量%のスラリーとした。このスラリーを実施例1と同じように固体触媒を充填した反応管の上部に、毎時8.3gの速度で供給した。同時に、毎時1.5Lの速度で窒素ガスを流した。しかし供給の途中で反応管が閉塞し、アクリル酸の製造が困難となったため、スラリーの供給を停止した。尚、スラリーの供給を開始した初期に反応管から抜き出した反応ガスを冷却し、捕集した反応液を液体クロマトグラフィー分析したところ、アクリル酸の他に3−ヒドロキシプロピオン酸のオリゴマーが検出された。
(実施例2)
原料として、実施例1で得た3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)を16質量%水溶液に調整し、メトキノンを100質量ppmになるように添加した。
温度計を備えた1Lのフラスコに、85%リン酸440gを仕込み、250℃まで昇温した。水を毎分5gの速度で、電気ヒーターを巻いた蒸発管に供給し、水を蒸発させ、蒸気を250℃まで昇温した後、フラスコ内のリン酸相(液相)に吹き込み、系が安定になるまで保持した。その後、上記原料を60℃に加熱し、毎分0.75gの速度で液相に滴下した。
生成物は過熱水蒸気と共に、フラスコから気体で抜き出し、冷却器にて凝縮させた。3HP水溶液を85分間、連続的に供給した。得られた凝縮液とフラスコ内の液相を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3HPの転化率は97%、アクリル酸の収率は93モル%であった。
(実施例3)
温度計および攪拌翼を備えた1Lのフラスコに、85%リン酸440gを仕込み、250℃まで昇温した。メトキノン100質量ppmを添加した、実施例1で得た3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)12質量%水溶液を60℃に加熱し、毎分0.84gの速度で液相に滴下した。
生成物は、フラスコから気体で抜き出し、冷却器にて凝縮させた。3HP水溶液を6時間、連続的に供給した。得られた凝縮液とフラスコ内の液相を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3HPの転化率は99%、アクリル酸の収率は98モル%であった。
(実施例4)
ポリ3HPの加水分解
内容積500mlのオートクレーブに、実施例1で得られたポリ3−ヒドロキシプロピオン酸5gとクロロホルム100gを入れ撹拌して均一とした。さらに水100g、加水分解触媒として強酸性イオン交換樹脂10gを仕込み、気相部を窒素で置換後、150℃まで昇温した。そのまま24時間保持し、加水分解反応を行った。冷却後、反応液を抜き出し、液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸の収率は82%であった。抜き出した反応液を油水分離し、水相を薄膜蒸発器を用いて濃縮および重質分カットを行い、脱水反応原料を調製した。
3HPの脱水
温度計および攪拌翼を備えた1Lのフラスコに、テトラエチレングリコールジメチルエーテル320gを仕込み、250℃まで昇温した。そこにメトキノン100質量ppmを添加した、上記で得た3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)12質量%水溶液を60℃に加熱し、毎分0.99gの速度で液相に滴下した。
生成物は、フラスコから気体で抜き出し、冷却器にて凝縮させた。3HP水溶液を7時間、連続的に供給した。得られた凝縮液とフラスコ内の液相を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3HPの転化率は55%、アクリル酸の収率は51モル%であった。
(実施例5)
アクリル酸の晶析精製
実施例1で得られたアクリル酸の水溶液を蒸留し、塔低より、アクリル酸86.5質量%を含む粗製アクリル酸を得た。この粗製アクリル酸を、母液として、室温(約15℃)〜−5.8℃の温度範囲まで冷却して結晶を析出させ、同温度で保持した後、吸引濾過により結晶を液体から分離する晶析操作を行った。分離した結晶を融解させてから、一部をサンプリングして分析し、残りを母液として室温(約15℃)〜4.8℃の温度範囲まで冷却して結晶を析出させ、同温度で保持した後、吸引濾過により結晶を液体から分離する晶析操作を行った。合計2回の晶析操作により、精製アクリル酸を得た。アクリル酸純度は99.9質量%以上であった。
(実施例6)
吸水性樹脂の製造例
得られた精製アクリル酸に重合禁止剤を60質量ppm添加した。別途、鉄を0.2質量ppm含有する苛性ソーダから得られたNaOH水溶液に対して、上記の重合禁止剤添加アクリル酸を冷却下(液温35℃)で添加することにより、75モル%中和を行った。得られた、中和率75モル%、濃度35質量%のアクリル酸ナトリウム水溶液に、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート0.05モル%(アクリル酸ナトリウム水溶液に対する値)を溶解させることにより、単量体成分を得た。この単量体成分350gを容積1Lの円筒容器に入れ、2L/minの割合で窒素を吹き込んで、20分間脱気した。次いで、過硫酸ナトリウム0.12g/モル(単量体成分に対する値)およびL−アスコルビン酸0.005g/モル(単量体成分に対する値)の水溶液をスターラー攪拌下で添加して、重合を開始させた。重合開始後に攪拌を停止し、静置水溶液重合を行った。単量体成分の温度が約15分(重合ピーク時間)後にピーク重合温度108℃を示した後、30分間重合を進行させた。その後、重合物を円筒容器から取り出し、含水ゲル状架橋重合体を得た。
得られた含水ゲル状架橋重合体は、45℃でミートチョッパー(孔径:8mm)により細分化した後、170℃の熱風乾燥機で、20分間加熱乾燥させた。さらに、乾燥重合体(固形分:約95%)をロールミルで粉砕し、JIS標準篩で粒径600〜300μmに分級することにより、ポリアクリル酸系吸水性樹脂(中和率:75%)を得た。
本発明によるアクリル酸の製造方法により得られたアクリル酸の重合性は、プロピレンを原料とするアクリル酸の製造方法により得られたアクリル酸の重合性と同等であり、得られた吸水性樹脂は、臭気がなく、物性も同等であった。
本発明は、ポリヒドロキシプロピオン酸やその塩、特に、リサイクル可能な生物由来資源から入手または調製されたポリヒドロキシプロピオン酸やその塩を原料として高品質のアクリル酸を高収率で安定的かつ連続的に製造することを可能にするので、地球温暖化対策に多大の貢献をなすものである。

Claims (7)

  1. ポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を含む組成物からアクリル酸を製造する方法であって、
    (a)前記組成物中のポリヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を加水分解してヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩に転化する工程、
    (b)前記工程で生成したヒドロキシプロピオン酸および/またはその塩を触媒に接触させて脱水反応を施しアクリル酸を生成する工程、
    (c)前記工程で生成したアクリル酸を含む反応生成物を冷却して、アクリル酸を含む組成物を得る工程
    を含むことを特徴とするアクリル酸の製造方法。
  2. 前記(a)工程の加水分解を触媒の存在下で行うことを特徴する請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  3. 前記(b)工程においてガスを導入しながら行うことを特徴する請求項1または2に記載のアクリル酸の製造方法。
  4. 前記(c)工程の後にさらに晶析による精製する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル酸の製造方法。
  5. 前記ポリヒドロキシプロピオン酸を発酵により得る工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル酸の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られたアクリル酸を含む単量体成分を重合することを特徴とする親水性樹脂の製造方法。
  7. 前記親水性樹脂が吸水性樹脂である請求項6に記載の親水性樹脂の製造方法。
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