ところが、出願人が開示している抵抗測定装置には、以下の改善すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開示している抵抗測定装置では、2つの測定部を備えると共に、抵抗値の測定に必要な各プローブを各スキャナボードを介して両測定部に別個独立して接続することで、2つの被測定体の抵抗値についての測定処理を並行して実行することができるように構成されている。
一方、出願人は、上記の特許文献に開示した抵抗測定装置と同様に構成した測定装置を備えた基板検査装置(測定した抵抗値に基づいて回路基板の良否を検査する装置)を開発した。この場合、図5に示すように、出願人が開発した基板検査装置1x(以下、この基板検査装置1xの構成要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する)では、接続ライン21Hp1x,21Hp2x,21Hc1x,21Hc2x,21Lp1x,21Lp2x,21Lc1x,21Lc2x、およびスキャナボード4ax,4bx・・を介して、測定部3ax(第1抵抗測定部)および測定部3bx(第2抵抗測定部)に任意のプローブPax,Pbx・・(以下、区別しないときには「プローブPx」ともいう)が接続される構成が採用されている。
また、スキャナボード4axは、接続ライン31axに接続されるプローブPxを接続ライン21Hp1x,21Hp2xに接続するための主スイッチ部32axと、接続ライン31bxに接続されるプローブPxを接続ライン21Hc1x,21Hc2xに接続するための主スイッチ部32bxと、接続ライン31cxに接続されるプローブPxを接続ライン21Lp1x,21Lp2xに接続するための主スイッチ部32cxと、接続ライン31dxに接続されるプローブPxを接続ライン21Lc1x,21Lc2xに接続するための主スイッチ部32dxと、プローブPaxを接続ライン31ax〜31dxに接続するための副スイッチ部33axと、プローブPbxを接続ライン31ax〜31dxに接続するための副スイッチ部33bxと、プローブPcxを接続ライン31ax〜31dxに接続するための副スイッチ部33cxと、プローブPdxを接続ライン31ax〜31dxに接続するための副スイッチ部33dxとを備えている。
なお、スキャナボード4axに配設する副スイッチ部33ax,33bx・・の数(以下、これらを区別しないときには「副スイッチ部33x」ともいう)は、上記の例に限定されず、一例として、「8個」、「16個」、「32個」、「64個」および「128個」のような「多数個」とすることもできるが、基板検査装置1xの動作に関する理解を容易とするために、副スイッチ部33ax〜33dxの4個を備えて構成された例について説明する。また、説明を省略するが、スキャナボード4bxや、他のスキャナボード(図示せず)についても、スキャナボード4axと同様に構成されている。したがって、以下の説明において、スキャナボード4ax,4bx・・を区別しないときには「スキャナボード4x」ともいう。
この基板検査装置1xでは、一例として、多数の基板が並んで形成された多面取り基板(多ピース基板)を検査対象とするときに、2つの基板(ピース)についての良否を同時に検査することが可能となっている。具体的には、測定部3ax,3bxの2つを備えた基板検査装置1xでは、一例として、2枚の基板が並んで形成された多面取り基板の検査に際して、一方の基板において相互に絶縁されているべき導体パターン間の抵抗値を測定部3axによって測定し、同時に、他方の基板において相互に絶縁されているべき導体パターン間の抵抗値を測定部3bxによって測定することにより、両基板の絶縁状態に関する検査を並行して実行することが可能となっている。
この場合、例えば、多面取り基板に形成されている2枚の基板毎にそれぞれ規定されたプロービングポイントの数(すなわち、1枚の基板の検査に必要なプローブPxの数)が、1枚のスキャナボード4xに配設されている副スイッチ部33xの数(1枚のスキャナボード4xを介して測定部3ax,3bxに接続可能なプローブPxの数:この例では「4」)のN倍(Nは、自然数)のときには、2枚の基板のうちの一方に規定されたプロービングポイントにプロービングさせられるプローブPxをN枚のスキャナボード4xによって測定部3axに接続すると共に、2枚の基板のうちの他方の基板に規定されたプロービングポイントにプロービングさせられるプローブPxを他のN枚のスキャナボード4xによって測定部3bxに接続することにより、2N枚のスキャナボード4xにおける各副スイッチ部33xのすべてを無駄なく使用して、測定部3axによる一方の基板についての抵抗値の測定処理、および測定部3bxによる他方の基板についての抵抗値の測定処理を並行して実行することができる。
しかしながら、例えば、多面取り基板における両基板にそれぞれ規定されたプロービングポイントの数が、1枚のスキャナボード4xに配設されている副スイッチ部33xの数のN倍ではないときには、測定部3axによる一方の基板についての抵抗値の測定処理、および測定部3bxによる他方の基板についての抵抗値の測定処理を並行して実行するために、一方の基板上に規定されたプロービングポイントにプロービングさせられるプローブPxを測定部3axに接続するために使用するN枚のスキャナボード4xのうちの1枚において各副スイッチ部33xのうちのいずれかを不使用とし、かつ他方の基板上に規定されたプロービングポイントにプロービングさせられるプローブPxを測定部3bxに接続するために使用するN枚のスキャナボード4xのうちの1枚において各副スイッチ部33xのうちのいずれかを不使用とする(各副スイッチ部33xのうちのいずれかにプローブPxを接続せずに検査処理を実行する)必要が生じる。
具体的には、一例として、図5に示すように、4つの副スイッチ部33ax〜33dxがスキャナボード4ax,4bxの双方に配設されている基板検査装置1xによって、導体パターンxa〜xcの3つ(プロービングポイントが3つの例)がそれぞれ形成された基板x1,x2を有する検査対象基板X(多面取り基板)を検査する際に、基板x1における導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間についての検査処理(抵抗値の測定処理)、および基板x2における導体パターンxaと導体パターンxb,xcとの間についての検査処理(抵抗値の測定処理)を並行して実行する場合を想定する。
このような検査処理に際して、スキャナボード4axの副スイッチ部33ax〜33dxを無駄なく使用しようとしたときには、一例として、スキャナボード4axにおける副スイッチ部33ax〜33dxのすべてにプローブPxを接続すると共に、スキャナボード4axにおいて、副スイッチ部33axのスイッチ素子33aax,33abx、副スイッチ部33bxのスイッチ素子33bax,33bbx、副スイッチ部33cxのスイッチ素子33ccx,33cdx、副スイッチ部33dxのスイッチ素子33dcx,33ddx、主スイッチ部32axのスイッチ素子32a1x、主スイッチ部32bxのスイッチ素子32b1x、主スイッチ部32cxのスイッチ素子32c1x,32c2x、および主スイッチ部32dxのスイッチ素子32d1x,32d2xをそれぞれオン状態に制御すると共に、スキャナボード4bxにおいて、副スイッチ部33axのスイッチ素子33aax,33abx、副スイッチ部33bxのスイッチ素子33bax,33bbx、主スイッチ部32axのスイッチ素子32a2x、および主スイッチ部32bxのスイッチ素子32b2xをそれぞれオン状態に制御する接続態様が考えられる。
このような接続態様により、基板x1の導体パターンxa,xbにプロービングさせられているプローブPax,Pbxが測定部3axの高電位側端子Hp1x,Hc1xに共通接続され、かつ基板x1の導体パターンxcにプロービングさせられているプローブPcxが測定部3axの低電位側端子Lp1x,Lc1xに共通接続されると共に、基板x2の導体パターンxaにプロービングさせられているプローブPdxが測定部3bxの低電位側端子Lp2x,Lc2xに共通接続され、かつ基板x2の導体パターンxb,xcにプロービングさせられているプローブPax,Pbxが測定部3bxの高電位側端子Hp2x,Hc2xに共通接続される。
しかしながら、上記の例のような接続態様では、測定部3axにおける直流定電流源の高電位側端子Hc1xから、基板x1を経由して測定部3axにおける直流定電流源の低電位側端子Lc1xに至る電流供給経路C1x(基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間の絶縁状態を検査するための電流経路)と、測定部3bxにおける直流定電流源の高電位側端子Hc2xから、基板x2を経由して測定部3bxにおける直流定電流源の低電位側端子Lc2xに至る電流供給経路C2x(基板x2の導体パターンxb,xcと導体パターンxaとの間の絶縁状態を検査するための電流経路)とがスキャナボード4axの接続ライン31dxにおいて重なることとなる。
このため、上記のような接続態様では、基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間、および基板x2の導体パターンxb,xcと導体パターンxaとの間のいずれか一方に絶縁不良が生じているときに、他方の絶縁状態が良好であったとしても、基板x1,x2のいずれに絶縁不良が生じているのか、および基板x1,x2の双方に絶縁不良が生じているのかを特定することができない。したがって、スキャナボード4axの各副スイッチ部33ax〜33dxのすべてを無駄なく使用しようとする上記の接続態様では、基板x1についての検査処理(抵抗値の測定処理)および、基板x2についての検査処理(抵抗値の測定処理)を並行して実行することが困難となる。このため、このような基板x1,x2を有する検査対象基板Xの検査に際しては、スキャナボード4ax,4bxの双方において副スイッチ部33dxを使用せずに、副スイッチ部33ax〜33cxだけを使用して、基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間、および基板x2の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間の検査処理を実行することとなる(図示せず)。
したがって、この基板検査装置1xでは、多面取り基板等の検査に際して複数枚のスキャナボード4x(接続切替え部)に配設されている多数の副スイッチ部33x(接触子側スイッチ部)のなかに不使用の副スイッチ部33xが存在する状態となることがあるため、この不使用の副スイッチ部33xの存在を考慮して、多面取り基板に規定されているプロービングポイントの総数(多面取り基板の検査に使用するプローブの総数)よりも副スイッチ部33xの総数が多くなるように、必要以上に多数のスキャナボード4xを搭載しておく必要が生じているという現状がある。また、基板検査装置1xでは、規定可能なプロービングポイントの総数(使用するプローブの総数)を、副スイッチ部33xの総数よりも少数とする必要が生じることがあるため、検査可能な基板が制限されたり、1枚の基板を2回に分けて検査したりする必要が生じることもある。したがって、これらの点を改善するのが好ましい。
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、複数の測定処理を並行して実行する際に、各接続切替え部に配設されている接触子側スイッチ部を有効に使用可能な抵抗測定装置および基板検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の抵抗測定装置は、複数の接触子と、直流電流源および電圧測定部をそれぞれ有すると共に当該直流電流源から被測定部位間に直流電流を供給した状態において当該電圧測定部によって当該被測定部位間の電圧値を測定可能に構成された複数の測定部と、前記直流電流源の高電位側端子、当該直流電流源の低電位側端子、前記電圧測定部の高電位側端子、および当該電圧測定部の低電位側端子と前記各接触子との接続態様を切り替えて当該両高電位側端子および当該両低電位側端子に当該各接触子のうちの任意の当該接触子をそれぞれ接続する複数の接続切替え部と、前記各測定部による電圧値の測定を制御する第1制御処理、および前記接続切替え部による前記接続態様の切り替えを制御する第2制御処理を実行すると共に、前記直流電流源から供給した前記直流電流の電流値および前記電圧測定部によって測定された電圧値に基づいて前記被測定部位間の抵抗値を演算する演算処理を実行する処理部とを備え、前記各測定部毎に互いに相違する前記被測定部位間についての抵抗値をそれぞれ測定可能に構成された抵抗測定装置であって、前記処理部の制御に従って前記直流電流源の低電位側端子と前記電圧測定部の低電位側端子とを前記各測定部毎に別個独立して接続および切断する複数の低電位側端子短絡用スイッチを有する短絡用スイッチ部を備え、前記接続切替え部は、前記各測定部における前記直流電流源の高電位側端子に接続される第1の接続ライン、前記各測定部における前記直流電流源の低電位側端子に接続される第2の接続ライン、前記各測定部における前記電圧測定部の高電位側端子に接続される第3の接続ライン、および前記各測定部における前記電圧測定部の低電位側端子に接続される第4の接続ラインと、前記各測定部のうちの指定された1つにおける前記直流電流源の高電位側端子に前記第1の接続ラインを接続する第1の測定部側スイッチ部、前記各測定部のうちの指定された1つにおける前記直流電流源の低電位側端子に前記第2の接続ラインを接続する第2の測定部側スイッチ部、前記各測定部のうちの指定された1つにおける前記電圧測定部の高電位側端子に前記第3の接続ラインを接続する第3の測定部側スイッチ部、および前記各測定部のうちの指定された1つにおける前記電圧測定部の低電位側端子に前記第4の接続ラインを接続する第4の測定部側スイッチ部と、前記各接触子のうちの指定された1つに前記第1の接続ラインを接続する第1の接触子側スイッチ部、前記各接触子のうちの指定された1つに前記第2の接続ラインを接続する第2の接触子側スイッチ部、前記各接触子のうちの指定された1つに前記第3の接続ラインを接続する第3の接触子側スイッチ部、および前記各接触子のうちの指定された1つに前記第4の接続ラインを接続する第4の接触子側スイッチ部とを少なくとも備え、前記処理部は、前記各接触子のうちのいずれかの前記接続切替え部を介していずれかの前記測定部に接続される少なくとも2つの第1接触子がそれぞれ接触させられる前記被測定部位間の第1の抵抗値と、前記各接触子のうちの前記いずれかの接続切替え部を介して他のいずれかの前記測定部に接続される少なくとも1つの第2接触子および当該各接触子のうちの他のいずれかの前記接続切替え部を介して当該他のいずれかの測定部に接続される少なくとも1つの第3接触子がそれぞれ接触させられる前記被測定部位間の第2の抵抗値とをそれぞれ測定する際に、前記いずれかの接続切替え部における前記第1の測定部側スイッチ部、前記第3の測定部側スイッチ部、前記第1の接触子側スイッチ部および前記第3の接触子側スイッチ部を制御することで当該いずれかの接続切替え部における前記第1の接続ラインおよび前記第3の接続ラインを介して前記いずれかの測定部における前記直流電流源の高電位側端子および前記電圧測定部の高電位側端子に前記各第1接触子のうちの少なくとも1つを接続する第1処理と、前記他のいずれかの接続切替え部における前記第1の測定部側スイッチ部、前記第3の測定部側スイッチ部、前記第1の接触子側スイッチ部および前記第3の接触子側スイッチ部を制御することで当該他のいずれかの接続切替え部における前記第1の接続ラインおよび前記第3の接続ラインを介して前記他のいずれかの測定部における前記直流電流源の高電位側端子および前記電圧測定部の高電位側端子に前記少なくとも1つの第3接触子を接続する第2処理と、前記各低電位側端子短絡用スイッチを制御して前記いずれかの測定部における前記直流電流源の低電位側端子および前記電圧測定部の低電位側端子を接続すると共に前記他のいずれかの測定部における前記直流電流源の低電位側端子および前記電圧測定部の低電位側端子を接続する第3処理と、前記いずれかの接続切替え部における前記第2の測定部側スイッチ部、前記第4の測定部側スイッチ部、前記第2の接触子側スイッチ部および前記第4の接触子側スイッチ部を制御することで前記第2の接続ラインおよび前記第4の接続ラインのいずれか一方を介して前記いずれかの測定部における前記直流電流源の低電位側端子および前記電圧測定部の低電位側端子に前記各第1接触子のうちの他の少なくとも1つを接続すると共に当該第2の接続ラインおよび当該第4の接続ラインのいずれか他方を介して前記他のいずれかの測定部における前記直流電流源の低電位側端子および前記電圧測定部の低電位側端子に前記少なくとも1つの第2接触子を接続する第4処理とを前記第2制御処理として実行する。
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の抵抗測定装置と、当該抵抗測定装置によって測定した抵抗値に基づいて検査対象基板上の前記被測定部位間の良否を検査する検査部とを備えて構成されている。
請求項1記載の抵抗測定装置では、処理部が、各接触子のうちのいずれかの接続切替え部を介していずれかの測定部に接続される少なくとも2つの第1接触子がそれぞれ接触させられる被測定部位間の第1の抵抗値と、各接触子のうちのいずれかの接続切替え部を介して他のいずれかの測定部に接続される少なくとも1つの第2接触子および各接触子のうちの他のいずれかの接続切替え部を介して他のいずれかの測定部に接続される少なくとも1つの第3接触子がそれぞれ接触させられる被測定部位間の第2の抵抗値とをそれぞれ測定する際に、第1処理から第4処理までの各処理を第2制御処理として実行する。また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の抵抗測定装置を備えている。
したがって、請求項1記載の抵抗測定装置、および請求項2記載の基板検査装置によれば、第1の抵抗値および第2の抵抗値をそれぞれ測定する際に上記の「いずれかの接続切替え部」を共用しているにも拘わらず、第1の抵抗値を測定するための電流供給経路と、第2の抵抗値を測定するための電流供給経路とが「いずれかの接続切替え部」内において重なることなく形成されるため、両抵抗値を別個独立して測定することができる。これにより、「いずれかの接続切替え部」に配設されている各接触子側スイッチ部を無駄なく使用して両抵抗値の測定処理を並行して実行することができるため、不使用の接触子側スイッチ部の存在を考慮して接続切替え部を過剰に多数搭載することなく抵抗測定装置や基板検査装置を構成することができる結果、抵抗測定装置や基板検査装置の製造コストを十分に低減することができると共に、各接続切替え部に配設されている接触子側スイッチ部の総数分の測定点を対象とする各種の測定対象(検査対象)についての抵抗値の測定処理(検査処理)を好適に実施することができる。
以下、本発明に係る抵抗測定装置、および基板検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す基板検査装置1は、「抵抗測定装置」を備えて構成された「基板検査装置」の一例であって、テストヘッド2、測定ボード3、スキャナボード4a,4b、短絡用スイッチ部5、処理部6および記憶部7を備え、一例として、基板x1,x2が並んで形成された検査対象基板X(多面取り基板:図4参照)を検査対象として各基板x1,x2の良否を電気的に検査することができるように構成されている。テストヘッド2は、検査対象基板Xにおける基板x1,x2に形成された導体パターンxa〜xc(「被測定部位」としてのプロービングポイントの一例:図4参照)にプロービング可能に配設された複数のプローブP(「接触子」の一例)を備え、図示しない移動機構に取り付けられている。
測定ボード3は、一例として、測定部3a,3b(「測定部」の一例)の2つを備えている。なお、測定部3a,3bの2つを備えた構成の例について説明するが、「測定部」の数はこれに限定されず、3つ以上の複数個を備えて構成することもできる。また、図2に示すように、測定部3a,3bは、直流定電流源11(「直流電流源」の一例)および電圧測定部12をそれぞれ備え、後述するように、スキャナボード4a,4bによって接続されるプローブPを介して直流定電流源11から被測定部位間に直流定電流(「直流電流」の一例)を供給した状態において電圧測定部12によって被測定部位間の電圧値を測定可能に構成されている(「各測定部毎に互いに相違する被測定部位間についての抵抗値をそれぞれ測定可能な構成」の一例)。
この場合、本例の基板検査装置1では、図3,4に示すように、測定部3aの直流定電流源11における高電位側端子Hc1に接続ライン21Hc1が接続され、測定部3aの直流定電流源11における低電位側端子Lc1に接続ライン21Lc1が接続され、測定部3bの直流定電流源11における高電位側端子Hc2に接続ライン21Hc2が接続され、測定部3bの直流定電流源11における低電位側端子Lc2に接続ライン21Lc2が接続され、測定部3aの電圧測定部12における高電位側端子Hp1に接続ライン21Hp1が接続され、測定部3aの電圧測定部12における低電位側端子Lp1に接続ライン21Lp1が接続され、測定部3bの電圧測定部12における高電位側端子Hp2に接続ライン21Hp2が接続され、かつ測定部3bの電圧測定部12における低電位側端子Lp2に接続ライン21Lp2が接続されて、各接続ライン21Hp1,21Hp2,21Hc1,21Hc2,21Lp1,21Lp2,21Lc1,21Lc2を介してスキャナボード4a,4bが測定部3a,3bに接続される構成が採用されている。
スキャナボード4a,4b(以下、区別しないときには「スキャナボード4」ともいう)は、「接続切替え部」の一例であって、後述するように、処理部6の制御に従い、両直流定電流源11の高電位側端子Hc1,Hc2に接続された接続ライン21Hc1,21Hc2、両直流定電流源11の低電位側端子Lc1,Lc2に接続された接続ライン21Lc1,21Lc2、両電圧測定部12の高電位側端子Hp1,Hp2に接続された接続ライン21Hp1,21Hp2、および両電圧測定部12の低電位側端子Lp1,Lp2に接続された接続ライン21Lp1,21Lp2と各プローブPとの接続態様を切り替えることにより、両直流定電流源11の高電位側端子Hc1,Hc2、両直流定電流源11の低電位側端子Lc1,Lc2、両電圧測定部12の高電位側端子Hp1,Hp2、および両電圧測定部12の低電位側端子Lp1,Lp2に対して任意のプローブPをそれぞれ接続する。
このスキャナボード4は、図3に示すように、測定部3a,3bにおける電圧測定部12の高電位側端子Hp1,Hp2に接続される接続ライン31a(「第3の接続ライン」の一例)、測定部3a,3bにおける直流定電流源11の高電位側端子Hc1,Hc2に接続される接続ライン31b(「第1の接続ライン」の一例)、測定部3a,3bにおける電圧測定部12の低電位側端子Lp1,Lp2に接続される接続ライン31c(「第4の接続ライン」の一例)、および測定部3a,3bにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc1,Lc2に接続される接続ライン31d(「第2の接続ライン」の一例)を備えている。
また、スキャナボード4は、測定部3a,3bのうちの指定された1つにおける電圧測定部12の高電位側端子(高電位側端子Hp1,Hp2のいずれか)に接続ライン31aを接続する主スイッチ部32a(スイッチ素子32a1,32a2:「第3の測定部側スイッチ部」の一例、測定部3a,3bのうちの指定された1つにおける直流定電流源11の高電位側端子(高電位側端子Hc1,Hc2のいずれか)に接続ライン31bを接続する主スイッチ部32b(スイッチ素子32b1,32b2:「第1の測定部側スイッチ部」の一例)、測定部3a,3bのうちの指定された1つにおける電圧測定部12の低電位側端子(低電位側端子Lp1,Lp2のいずれか)に接続ライン31cを接続する主スイッチ部32c(スイッチ素子32c1,32c2:「第4の測定部側スイッチ部」の一例)、および測定部3a,3bのうちの指定された1つにおける直流定電流源11の低電位側端子(低電位側端子Lc1,Lc2のいずれか)に接続ライン31dを接続する主スイッチ部32d(スイッチ素子32d1,32d2:「第2の測定部側スイッチ部」の一例)を備えている。
なお、測定部3a,3bの2つを備えている本例の基板検査装置1では、スキャナボード4における各主スイッチ部32a〜32d毎に2つの「スイッチ素子」が配設されているが、例えば、4つの「測定部」を備えた構成を採用する場合には、スキャナボード4における各「主スイッチ部」毎に4つの「スイッチ素子」を配設することにより、各接続ライン31a〜31dを任意の「測定部(直流定電流源や電圧測定部)」に接続することができる。
さらに、スキャナボード4は、各接続ライン31a〜31dにプローブPaを接続する副スイッチ部33a(スイッチ素子33aa〜33ad)、各接続ライン31a〜31dにプローブPbを接続する副スイッチ部33b(スイッチ素子33ba〜33bd)、各接続ライン31a〜31dにプローブPcを接続する副スイッチ部33c(スイッチ素子33ca〜33cd)、および各接続ライン31a〜31dにプローブPdを接続する副スイッチ部33d(スイッチ素子33da〜33dd)を備えている。
この場合、本例のスキャナボード4では、各副スイッチ部33a〜33dにおけるスイッチ素子33ab〜33dbが「第1の接触子側スイッチ部」を構成し、各副スイッチ部33a〜33dにおけるスイッチ素子33ad〜33ddが「第2の接触子側スイッチ部」を構成し、各副スイッチ部33a〜33dにおけるスイッチ素子33aa〜33daが「第3の接触子側スイッチ部」を構成し、かつ各副スイッチ部33a〜33dにおけるスイッチ素子33ac〜33dcが「第4の接触子側スイッチ部」を構成する。
なお、スキャナボード4の1枚当りに配設する副スイッチ部33a,33b・・(以下、副スイッチ部33a,33b・・を区別しないときには、「副スイッチ部33」ともいう)の数は、上記の例に限定されず、一例として、「8個」、「16個」、「32個」、「64個」および「128個」のような「多数個」とすることもできるが、基板検査装置1の動作に関する理解を容易とするために、各スキャナボード4毎に副スイッチ部33a〜33dの4個を備えて構成された例について説明する。また、説明を省略するが、実際の基板検査装置1では、スキャナボード4a,4b以外にも多数のスキャナボード4(一例として、128枚)を備えているが、基板検査装置1による検査処理(抵抗値の測定処理)についての理解を容易とするために、スキャナボード4a,4bの2つだけを使用する例について説明する。
短絡用スイッチ部5は、「短絡用スイッチ部」の一例であって、図4に示すように、スイッチ5a,5bの2つ(「低電位側端子短絡用スイッチ」の一例)を備えて構成されている。この場合、スイッチ5aは、測定部3aとスキャナボード4a,4bとを相互に接続する接続ライン21Lc1,21Lp1の間に配設されて、測定部3aにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc1と電圧測定部12の低電位側端子Lp1とを接続および切断する。また、スイッチ5bは、測定部3bとスキャナボード4a,4bとを相互に接続する接続ライン21Lc2,21Lp2の間に配設されて、測定部3bにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc2と電圧測定部12の低電位側端子Lp2とを接続および切断する。
処理部6は、「処理部」の一例であって、測定部3a,3bによる電圧値の測定の制御(「第1制御処理」の一例)、および各スキャナボード4による測定部3a,3bと各プローブPとの接続態様の切り替えの制御(「第2制御処理」の一例)を実行する。また、処理部6は、測定部3a,3bの直流定電流源11から供給させた直流定電流の電流値と、測定部3a,3bの電圧測定部12によって測定された電圧値とに基づき、被測定部位間(基板x1,x2の各導体パターンxa〜xcの間)の抵抗値を演算する演算処理を実行する。さらに、処理部6は、演算結果と、良品の検査対象基板Xから取得された検査用基準値とを比較することにより、抵抗値を測定した被測定部位間の絶縁状態の良否を検査する。記憶部7は、処理部6の動作プログラムや、上記の検査用基準値などを記憶する。
この基板検査装置1による検査対象基板の検査に際しては、検査対象基板の各基板に規定されたプロービングポイントの位置に応じて複数のプローブPが配設されたテストヘッドを検査対象基板Xにプロービングさせた状態において、各スキャナボード4による接続態様を切り替えることにより、測定部3aによる抵抗値の測定処理、および測定部3bによる抵抗値の測定処理を並行して実行する。この場合、本例の基板検査装置1では、短絡用スイッチ部5のスイッチ5a,5bをそれぞれオフ状態に制御しておくことで、出願人が開発した従来の基板検査装置1xと同様に抵抗値の測定処理および測定結果に基づく検査処理を実行することができる。
したがって、検査対象基板(多面取り基板)における各基板上にそれぞれ規定するプロービングポイントの数(すなわち、1枚の基板の検査に必要なプローブPの数)が、1枚のスキャナボード4に配設されている副スイッチ部33の数(1枚のスキャナボード4を介して測定部3a,3bに接続可能なプローブPの数:本例では「4」)のN倍(Nは、自然数)のときには、従来の基板検査装置1xと同様にして、一方の基板上に規定されたプロービングポイントにプロービングさせられるプローブPをN枚のスキャナボード4によって測定部3aに接続すると共に、他方の基板上に規定されたプロービングポイントにプロービングさせられるプローブPを他のN枚のスキャナボード4によって測定部3bに接続することにより、2N枚のスキャナボード4における各副スイッチ部33のすべてを無駄なく使用して、測定部3aによる一方の基板についての抵抗値の測定処理、および測定部3bによる他方の基板についての抵抗値の測定処理を並行して実行することができる(図示せず)。
一方、検査対象基板(多面取り基板)における各基板上にそれぞれ規定するプロービングポイントの数(すなわち、1枚の基板の検査に必要なプローブPの数)が、1枚のスキャナボード4に配設されている副スイッチ部33の数(1枚のスキャナボード4を介して測定部3a,3bに接続可能なプローブPの数:本例では「4」)のN倍ではないときに、各スキャナボード4における副スイッチ部33を無駄なく使用しようとしたときに、いずれかのスキャナボード4内に、2つの被測定部位間の抵抗値を測定するための2つの電流供給経路を形成することとなる。
この場合、処理部6は、各プローブPのうちのいずれかのスキャナボード4を介して測定部3a,3bの一方に接続される少なくとも2つのプローブP(「第1接触子」の一例)がそれぞれ接触させられる被測定部位間の抵抗値(「第1の抵抗値」の一例)と、各プローブPのうちのいずれかのスキャナボード4を介して測定部3a,3bの他方に接続される少なくとも1つのプローブP(「第2接触子」の一例)および各プローブPのうちの他のいずれかのスキャナボード4を介して測定部3a,3bの他方に接続される少なくとも1つのプローブP(「第3接触子」の一例)がそれぞれ接触させられる被測定部位間の抵抗値(「第2の抵抗値」の一例)とをそれぞれ測定する際に、以下に説明する「第1処理」から「第4処理」の4つの処理を前述した「第2制御処理」として実行する。
具体的には、図4に示すように、4つの副スイッチ部33a〜33dがスキャナボード4a,4bの双方に配設されている基板検査装置1によって、導体パターンxa〜xcの3つ(「被測定部位」としてのプロービングポイントが3つの例)がそれぞれ形成された基板x1,x2を有する検査対象基板X(多面取り基板)を検査する際に、基板x1における導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間についての検査処理(抵抗値の測定処理)、および基板x2における導体パターンxaと導体パターンxb,xcとの間についての検査処理(抵抗値の測定処理)を並行して実行する場合を想定する。
このような検査対象基板Xを対象とする検査処理に際して、スキャナボード4aの副スイッチ部33a〜33dを無駄なく使用しようとしたときには、一例として、スキャナボード4aの副スイッチ部33a〜33dのすべてにプローブPa〜Pdを接続した状態において、処理部6が、スキャナボード4a(「いずれかの接続切替え部」の一例)における主スイッチ部32a(スイッチ素子32a1)、スキャナボード4aにおける主スイッチ部32b(スイッチ素子32b1)、スキャナボード4aにおける副スイッチ部33a(スイッチ素子33aa,33ab)、およびスキャナボード4aにおける副スイッチ部33b(スイッチ素子33ba,33bb)をそれぞれオン状態に制御することにより、スキャナボード4aにおける接続ライン31a,31bを介して測定部3a(「いずれかの測定部」の一例)における直流定電流源11の高電位側端子Hc1、および測定部3aにおける電圧測定部12の高電位側端子Hp1にプローブPa,Pb(「各第1接触子のうちの少なくとも1つ」の一例)を共通接続する(「第1処理」の一例)。
また、処理部6は、スキャナボード4b(「他のいずれかの接続切替え部」の一例)における主スイッチ部32a(スイッチ素子32a2)、スキャナボード4bにおける主スイッチ部32b(スイッチ素子32b2)、スキャナボード4bにおける副スイッチ部33a(スイッチ素子33aa,33ab)、およびスキャナボード4bにおける副スイッチ部33b(スイッチ素子33ba,33bb)をそれぞれオン状態に制御することにより、スキャナボード4bにおける接続ライン31a,31bを介して測定部3b(「他のいずれかの測定部」の一例)における直流定電流源11の高電位側端子Hc2、および測定部3bにおける電圧測定部12の高電位側端子Hp2にプローブPa,Pb(「少なくとも1つの第3接触子」の一例)を共通接続する(「第2処理」の一例)。
さらに、処理部6は、短絡用スイッチ部5におけるスイッチ5a,5aをそれぞれオン状態に制御することにより、測定部3aにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc1、および測定部3aにおける電圧測定部12の低電位側端子Lp1をスイッチ5aによって相互に接続すると共に、測定部3bにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc2、および測定部3bにおける電圧測定部12の低電位側端子Lp2をスイッチ5bによって相互に接続する(「第3処理」の一例)。
また、処理部6は、スキャナボード4aにおける主スイッチ部32c(スイッチ素子32c1)、スキャナボード4aにおける主スイッチ部32d(スイッチ素子32d2)、スキャナボード4aにおける副スイッチ部33c(スイッチ素子33cc)、およびスキャナボード4aにおける副スイッチ部33d(スイッチ素子33dd)をそれぞれオン状態に制御することにより、接続ライン31cおよびスイッチ5aを介して(「第2の接続ラインおよび第4の接続ラインのいずれか一方」が「第4の接続ライン」の例)測定部3aにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc1、および測定部3aにおける電圧測定部12の低電位側端子Lp1にプローブPc(「各第1接触子のうちの他の少なくとも1つ」の一例)を接続すると共に、接続ライン31dおよびスイッチ5bを介して(「第2の接続ラインおよび第4の接続ラインのいずれか他方」が「第2の接続ライン」の例)測定部3bにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc2、および測定部3bにおける電圧測定部12の低電位側端子Lp2にプローブPd(「少なくとも1つの第2接触子」の一例)を接続する(「第4処理」の一例)。
以上の「第1処理」〜「第4処理」を実行した接続態様では、同図に示すように、測定部3aにおける直流定電流源の高電位側端子Hc1から、基板x1を経由して測定部3aにおける直流定電流源の低電位側端子Lc1に至る電流供給経路C1(基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間の絶縁状態を検査するための電流経路)と、測定部3bにおける直流定電流源の高電位側端子Hc2から、基板x2を経由して測定部3bにおける直流定電流源の低電位側端子Lc2に至る電流供給経路C2(基板x2の導体パターンxb,xcと導体パターンxaとの間の絶縁状態を検査するための電流経路)とがスキャナボード4a内において重なることなく別個独立して形成される。したがって、上記のような接続態様では、測定部3aによる抵抗値の測定処理、および測定部3bによる抵抗値の測定処理を並行して実行したとしても、両測定処理の結果(抵抗値)をそれぞれ正しく測定することができる。
具体的には、基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間に絶縁不良が生じているときには、測定部3aにおける直流定電流源11の高電位側端子Hc1から直流定電流を供給したときに、この直流定電流が測定部3bにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc2に流入することなく、上記の電流供給経路C1を流れて測定部3aにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc1に流入する結果、測定部3aの電圧測定部12によって測定される電圧値が小さくなる。この結果、基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間の抵抗値として小さな値が演算される結果、基板x1の導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間に絶縁不良が生じていると検査される。
また、基板x2の導体パターンxb,xcと導体パターンxaとの間に絶縁不良が生じているときには、測定部3bにおける直流定電流源11の高電位側端子Hc2から直流定電流を供給したときに、この直流定電流が測定部3aにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc1に流入することなく、上記の電流供給経路C2を流れて測定部3bにおける直流定電流源11の低電位側端子Lc2に流入する結果、測定部3bの電圧測定部12によって測定される電圧値が小さくなる。この結果、基板x2の導体パターンxb,xcと導体パターンxaとの間の抵抗値として小さな値が演算される結果、基板x2の導体パターンxb,xcと導体パターンxaとの間に絶縁不良が生じていると検査される。
なお、上記の説明では、基板検査装置1による検査対象基板Xの検査処理(抵抗値の測定処理)に関する理解を容易とするために、導体パターンxa〜xcの3つをそれぞれ有する基板x1,x2の検査に際して、副スイッチ部33a〜33dの4つをそれぞれ有するスキャナボード4a,4bの2つを使用して測定部3a,3bによって基板x1,x2についての検査処理を実行する(基板x1についての抵抗値の測定処理、および基板x2についての抵抗値の測定処理を実行する)例について説明したが、実際の検査対象基板Xには、導体パターンxa〜xcよりも多くの被測定点(プロービングポイント)が存在するため、「副スイッチ部」が少数の「スキャナボード」を使用する場合には、1つの基板を検査するためにN枚の「スキャナボード」が使用され、そのN枚の「スキャナボード」のうちのいずれかにおいて、上記のスキャナボード4aにおける接続態様と同様の接続態様(上記の例における電流供給経路C1,C2のような「2つの電流供給経路」が1枚のスキャナボード4内に形成される接続態様)で任意のプローブPが測定部3a,3bに接続される。
また、被測定点(プロービングポイント)の数が、1枚のスキャナボード4に配設された副スイッチ部33の数のN倍のときでも、各プローブPと各スキャナボード4とを相互に接続する接続用ケーブルの引き回しに起因して、1枚のスキャナボード4内に複数の「電流供給経路」を形成する必要が生じることがある。このような場合においても、上記のスキャナボード4aにおける接続態様と同様の接続態様で任意のプローブPが測定部3a,3bに接続される。
このように、この基板検査装置1では、処理部6が、各プローブPのうちのスキャナボード4aを介して測定部3aに接続される「少なくとも2つの第1接触子」としてのプローブP(上記の例では、スキャナボード4aに接続されたプローブPa〜Pcの3つ)がそれぞれ接触させられる基板x1の導体パターンxa,xbおよび導体パターンxc間の抵抗値と、各プローブPのうちのスキャナボード4aを介して測定部3bに接続される「少なくとも1つの第2接触子」としてのプローブP(上記の例では、スキャナボード4aに接続されたプローブPd)およびスキャナボード4bを介して測定部3bに接続される「少なくとも1つの第3接触子」としてのプローブP(上記の例では、スキャナボード4bに接続されたプローブPa,Pbの2つ)がそれぞれ接触させられる基板x2の導体パターンxb,xcおよび導体パターンxa間の抵抗値とをそれぞれ測定する際に、上記の「第1処理」から「第4処理」までの各処理を「第2制御処理」として実行する。
したがって、この基板検査装置1によれば、検査対象基板Xにおける基板x1の抵抗値および基板x2の抵抗値をそれぞれ測定する際にスキャナボード4aを共用しているにも拘わらず、基板x1の抵抗値を測定するための電流供給経路C1と、基板x2の抵抗値を測定するための電流供給経路C2とがスキャナボード4a内において重なることなく形成されるため、両抵抗値を別個独立して測定することができる。これにより、スキャナボード4aに配設されている各副スイッチ部33を無駄なく使用して両抵抗値の測定処理を並行して実行することができるため、不使用の副スイッチ部33の存在を考慮してスキャナボード4を過剰に多数搭載することなく基板検査装置1を構成することができる結果、基板検査装置1の製造コストを十分に低減することができると共に、各スキャナボード4に配設されている副スイッチ部33の総数分の測定点を対象とする各種の「検査対象基板」についての抵抗値の測定処理(検査処理)を好適に実施することができる。
なお、基板x1における導体パターンxa,xbと導体パターンxcとの間の抵抗値の測定(絶縁状態の検査)、および基板x2における導体パターンxaと導体パターンxb,xcとの間の抵抗値の測定(絶縁状態の検査)を並行して実行する例について説明したが、「抵抗値の測定処理(検査処理)」の対象とする被測定点は、1:M(Mは、2以上の自然数)、または、M:1に限定されず、M:L(Lは、2以上の自然数)とすることもできる。また、多面取り基板である検査対象基板Xの基板x1,x2・・を検査対象(抵抗値の測定対象)とする例について説明したが、1枚の基板内の任意の複数箇所についての検査処理(抵抗値の測定対象)に際しても、上記した基板検査装置1による検査処理(測定処理)と同様の手順でこれを実行することができる。
また、「直流電流源」としての直流定電流源11を備えて構成した例について説明したが、このような構成に代えて、直流電流源と電流測定部とを備え、直流電流源から供給する直流電流の電流値を電流測定部によって測定し、測定した電流値と、電圧測定部12によって測定される電圧値とに基づいて抵抗値を測定する構成を採用することもできる。
さらに、「測定部」としての測定部3a,3b、および「接続切替え部」としてのスキャナボード4a,4bとは別個に「短絡用スイッチ部」としての短絡用スイッチ部5を配設した構成を例に挙げて説明したが、「短絡用スイッチ部」については「測定部」内に一体的に構成したり、「接続切替え部」内に一体的に構成したりすることもできる。