ところで、上記の特許文献1に開示されている抵抗測定装置では、上記したように、測定電流の供給系統を2系統有して、回路基板における2つの測定対象に対して、同一の電流値の測定電流を同時に逆向きで流すことで各測定電流の通電によって生じる誘導起電力を打ち消しているが、この抵抗測定装置には、測定電流の供給系統を2系統有し、これに合わせて電圧の検出系統も2系統有する構成のため、装置コストが上昇するという課題が存在している。このため、本願出願人は、装置コストの低減を図ることを目的として、図4に示す構成の測定装置51、つまり、上記した抵抗測定装置が有する2系統の電流の供給経路および2系統の電圧の検出経路についての構成のうちの1系統分(電流の供給経路および電圧の検出経路がそれぞれ1系統)の構成を備えた測定装置51を開発している。
この測定装置51は、同図に示すように、1つの抵抗測定部52、上部および下部のプローブユニット(複数のスキャナボード13,23およびこのスキャナボード13,23を収納するスキャナラック61,71を有するユニット)53,54、およびこのプローブユニット53,54間に規定された測定位置に配置される回路基板5に対して各プローブユニット53,54を接離動させる不図示の移動機構を備え、回路基板5に存在する測定対象81(回路基板5に穿設されたスルーホール81aや、回路基板5に実装された抵抗素子81b)の抵抗値を4端子法によって測定する抵抗測定装置として構成されている。
具体的には、抵抗測定部52は、一例として、直流定電流源52a、電圧計52bおよび不図示の処理部を備え、処理部が、直流定電流源52aから測定対象に供給されている定電流(測定電流)の電流値と、電圧計52bで測定された定電流の供給時における測定対象の両端間電圧とに基づいて測定対象の抵抗値を測定することが可能に構成されている。直流定電流源52aは、生成した測定電流を、高電位極Hcに接続された第1電流供給ラインL1と低電位極Lcに接続された第2電流供給ラインL2との間に出力する。電圧計52bは、高電位極Hpに接続された第1電圧検出ラインL3と低電位極Lpに接続された第2電圧検出ラインL4との間に生じている電圧を測定する。
また、この測定装置51では、2つのプローブユニット53,54を備える構成のため、各電流供給ラインL1,L2は電流分岐ラインL1a,L1bと電流分岐ラインL2a,L2bとにそれぞれ分岐されて、電流分岐ラインL1aおよび電流分岐ラインL2aの組がプローブユニット53に接続され、電流分岐ラインL1bおよび電流分岐ラインL2bの組がプローブユニット54に接続されている。同様にして、各電圧検出ラインL3,L4も電圧分岐ラインL3a,L3bと電圧分岐ラインL4a,L4bとにそれぞれ分岐されて、電圧分岐ラインL3aおよび電圧分岐ラインL4aの組がプローブユニット53に接続され、電圧分岐ラインL3bおよび電圧分岐ラインL4bの組がプローブユニット54に接続されている。
上部のプローブユニット53は、回路基板5に対向する対向面(同図中の下面)に複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・・(以下、特に区別しないときにはプローブ12ともいう)が立設されたスキャナラック61内に複数のスキャナボード13(同図中では1つのスキャナボード13のみを図示している)が収納されて構成されている。各スキャナボード13は、複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・のうちの対応する複数のプローブ(同数のプローブ)と電気的に接続されている。この例では、図中のプローブ12a,12b,12c,12dは、図示されているスキャナボード13に対応する複数のプローブに含まれている。
スキャナボード13は、対応する複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・と同数の切替スイッチ14a,14b,14c,14d,・・・を有している。また、各切替スイッチ14a,14b,14c,14d,・・・は、抵抗測定部52の処理部によって個別に接断状態(接続状態および切断状態)が制御される4つのスイッチ回路14a1,14a2,14a3,14a4、スイッチ回路14b1,14b2,14b3,14b4、スイッチ回路14c1,14c2,14c3,14c4、スイッチ回路14d1,14d2,14d3,14d4、・・・をそれぞれ有している。
また、各スイッチ回路14a1,14b1,14c1,14d1は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L11(スキャナラック61に配設されたコネクタCNを介して電流分岐ラインL1aと接続された配線)とを接断(接続および切断)する機能を有し、各スイッチ回路14a2,14b2,14c2,14d2は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L12(コネクタCNを介して電流分岐ラインL2aと接続された配線)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路14a3,14b3,14c3,14d3は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L13(コネクタCNを介して電圧分岐ラインL3aと接続された配線)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路14a4,14b4,14c4,14d4は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L14(コネクタCNを介して電圧分岐ラインL4aと接続された配線)とを接断する機能を有している。以上の構成により、スキャナボード13は、対応する複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・のうちの任意のプローブを抵抗測定部52の一対の出力端子(高電位極Hc,低電位極Lc)および一対の検出端子(高電位極Hp,低電位極Lp)のうちの任意の1つの端子に接続する機能を有している。
下部のプローブユニット54は、回路基板5との対向面(同図中の上面)に複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・・(以下、特に区別しないときにはプローブ22ともいう)が立設されたスキャナラック71内に複数のスキャナボード23(同図中では1つのスキャナボード23のみを図示している)が収納されて構成されている。各スキャナボード23は、複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・のうちの対応する複数のプローブ(同数のプローブ)と電気的に接続されている。この例では、図中のプローブ22a,22b,22c,22dは、図示されているスキャナボード23に対応する複数のプローブに含まれている。
スキャナボード23は、対応する複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・と同数の切替スイッチ24a,24b,24c,24d,・・・を有している。また、各切替スイッチ24a,24b,24c,24d,・・・は、抵抗測定部52の処理部によって個別に接断状態が制御される4つのスイッチ回路24a1,24a2,24a3,24a4、スイッチ回路24b1,24b2,24b3,24b4、スイッチ回路24c1,24c2,24c3,24c4、スイッチ回路24d1,24d2,24d3,24d4、・・・をそれぞれ有している。
また、各スイッチ回路24a1,24b1,24c1,24d1は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L21(スキャナラック71に配設されたコネクタCNを介して電流分岐ラインL1bと接続された配線)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路24a2,24b2,24c2,24d2は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L22(コネクタCNを介して電流分岐ラインL2bと接続された配線)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路24a3,24b3,24c3,24d3は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L23(コネクタCNを介して電圧分岐ラインL3bと接続された配線)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路24a4,24b4,24c4,24d4は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L24(コネクタCNを介して電圧分岐ラインL4bと接続された配線)とを接断する機能を有している。以上の構成により、スキャナボード23は、対応する複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・のうちの任意のプローブを抵抗測定部52の一対の出力端子(高電位極Hc,低電位極Lc)および一対の検出端子(高電位極Hp,低電位極Lp)のうちの任意の1つの端子に接続する機能を有している。
この測定装置51では、回路基板5に存在する測定対象81の抵抗値を測定する際には、各プローブユニット53,54は不図示の移動機構によって回路基板5側に移動(接近)させられて、それぞれのプローブ12,22は、対応するテストポイントTPと接触する状態(プロービング状態)に移行する。
この場合、スルーホール81aについては、その一端側は回路基板5におけるプローブユニット53との対向面に形成されたランド(テストポイントTP1)に接続され、その他端側は回路基板5におけるプローブユニット54との対向面に形成されたランド(テストポイントTP2)に接続されている。したがって、テストポイントTP1には、プローブユニット53側の複数のプローブ12のうちの2つのプローブ12が接触し、テストポイントTP2には、プローブユニット54側の複数のプローブ22のうちの2つのプローブ22が接触する。一例として、この例では、図5に示すように、テストポイントTP1には、2つのプローブ12a,12bが接触し、テストポイントTP2には、2つのプローブ22a,22bが接触するものとする。
また、テストポイントTP1に接触しているプローブ12a,12bに対して配設された切替スイッチ14a,14bが処理部によって制御されることにより、一例として、切替スイッチ14aの各スイッチ回路のうちのスイッチ回路14a1のみが切断状態(非接続状態)から接続状態に移行してプローブ12aを内部配線L11に接続することで電流分岐ラインL1aに接続し、切替スイッチ14bの各スイッチ回路のうちのスイッチ回路14b3のみが切断状態から接続状態に移行してプローブ12bを内部配線L13に接続することで電圧分岐ラインL3aに接続する。また、テストポイントTP2に接触しているプローブ22a,22bに対して配設された切替スイッチ24a,24bが処理部によって制御されることにより、切替スイッチ24aの各スイッチ回路のうちのスイッチ回路24a2のみが切断状態から接続状態に移行してプローブ22aを内部配線L22に接続することで電流分岐ラインL2bに接続し、切替スイッチ24bの各スイッチ回路のうちのスイッチ回路24b4のみが切断状態から接続状態に移行してプローブ22bを内部配線L24に接続することで電圧分岐ラインL4bに接続する。
これにより、直流定電流源52aから高電位極Hcおよび低電位極Lc間に出力される測定電流は、高電位極Hcから、第1電流供給ラインL1、電流分岐ラインL1a、プローブユニット53内の内部配線L11、切替スイッチ14aのスイッチ回路14a1、プローブ12a、テストポイントTP1、スルーホール81a、テストポイントTP2、プローブユニット54側のプローブ22a、プローブユニット54内の切替スイッチ24aのスイッチ回路24a2、内部配線L22、電流分岐ラインL2b、および第2電流供給ラインL2を経由して低電位極Lcに至る電流経路(図4,5の破線で示すループの面積の広い電流経路CC)に流れる。
また、電圧計52bは、測定電流が流れることによってスルーホール81aの両端間(各テストポイントTP1,TP2間)に発生する電圧(両端間電圧)を、高電位極Hpから、第1電圧検出ラインL3、電圧分岐ラインL3a、プローブユニット53内の内部配線L13、および切替スイッチ14aのスイッチ回路14a3を経由してプローブ12bに至る高電位側の電圧検出経路(上記の電流経路CCのほぼ半分の経路に沿って配置される電圧検出経路)と、低電位極Lpから、第2電圧検出ラインL4、電圧分岐ラインL4b、プローブユニット54内の内部配線L24、および切替スイッチ24bのスイッチ回路24b4を経由してプローブ22bに至る低電位側の電圧検出経路(上記の電流経路CCの残りのほぼ半分の経路に沿って配置される電圧検出経路)とを介して測定する。また、処理部が、直流定電流源52aから出力されている測定電流の電流値と、電圧計52bで測定された両端間電圧の電圧値とに基づいて、テストポイントTP1,TP2間の抵抗値(この例ではスルーホール81aについての抵抗値)を算出(測定)する。
しかしながら、この測定装置51では、このようにして回路基板5におけるプローブユニット53との対向面に形成されたランド(テストポイントTP1)と、回路基板5におけるプローブユニット54との対向面に形成されたランド(テストポイントTP2)との間に位置する測定対象81(この例ではスルーホール81a)の抵抗値を算出する際に、上記したような面積の広い電流経路CC(各プローブユニット53,54に接続される2つの電流分岐ラインL1a,L2bを含んで構成される電流経路)に測定電流が流れ、かつこの電流経路CCに沿って電圧検出経路(各プローブユニット53,54に接続される2つの電圧分岐ラインL3a,L4bを含んで構成される電圧検出経路)が配置される構成(電圧検出経路の面積も広くなる構成)である。このため、この測定装置51には、測定電流の供給の開始時や停止時に発生する磁気誘導が電圧検出経路側に影響を与えて、電圧計52bの測定、ひいては抵抗測定に誤差が生じるという改善すべき課題が生じる。また、この測定装置51には、上記したように電圧検出経路の面積が広い構成に起因して外部からの誘導性ノイズの影響を受けやすいことからも、電圧計52bの測定、ひいては抵抗測定に誤差が生じるという改善すべき課題が生じる。
なお、この測定装置51において、回路基板5におけるプローブユニット53,54との各対向面のうちの1つの対向面上に実装された測定対象81(例えば、図4に示すようにプローブユニット54との対向面に実装されて、その両端がこの対向面上に形成された各テストポイントTP3,TP4に接続されている抵抗素子81b)を測定する際には、図6に示すように、プローブユニット54側に設けられている複数のプローブのうちの4つのプローブ(同図では一例として、プローブ22a,22b,22c,22d)を対応するテストポイントTP3,TP4に接触させる構成となる。なお、プローブユニット53側に設けられている複数のプローブも、対応する不図示のテストポイントに接触させられる。
この場合、図示はしないが、測定電流が流れる電流経路はプローブユニット53,54のうちの1つのプローブユニット(この例ではプローブユニット54)に接続される電流分岐ライン(この例では、電流分岐ラインL1b,L2b)だけで構成され、かつ電圧検出経路もこの1つのプローブユニット(プローブユニット54)に接続される電圧分岐ライン(この例では、電圧分岐ラインL3b,L4b)だけで構成されるようになるため、電流経路のループの面積は上記のスルーホール81aを測定対象81とする場合と比べて狭くなり、かつ電圧検出経路のループの面積も狭くなることから、測定装置51でも、電圧計52bでの電圧測定、ひいては抵抗素子81bの抵抗測定が、上記の磁気誘導や誘導性ノイズの影響が低減された状態で実行可能となっている。
また、この測定装置51は、プローブユニット53,54間に規定された測定位置に対して未測定の回路基板5を搬入する不図示の搬入機構と、測定位置に位置する既測定の回路基板5を測定位置から搬出する不図示の搬出機構とを備え、この搬入機構および搬出機構は測定位置の近傍に配設されるが、抵抗測定部52が各プローブユニット53,54のうちの一方の側(図4ではプローブユニット53側)に配置されている場合に、この測定装置51では、抵抗測定部52と各プローブユニット53,54とを接続する分岐ラインの2つの組(第1の組は、電流分岐ラインL1a,L2aおよび電圧分岐ラインL3a,L4aの組で、第2の組は、電流分岐ラインL1b,L2bおよび電圧分岐ラインL3b,L4bの組)のうちの一方の組(図4では第2の組)がプローブユニット53,54間に掛け渡される構成が必須となる。このため、この測定装置51には、この分岐ラインの一方の組(つまり、配線ケーブル)が、搬入機構および搬出機構のうちの少なくとも一方の機構の設置(つまり、回路基板5の搬送)の障害となるという改善すべき他の課題も存在している。この課題は、この分岐ラインの一方の組(配線ケーブル)を、この一方の機構との干渉を避けるようにして迂回して配線する方法を採用することで解消することも可能であるが、この迂回によって上記の電流経路CCおよび電圧検出経路の各面積が一層広くなり、上記した磁気誘導や外部からの誘導性ノイズの影響を一層受けやすくなることから、この方法の採用は難しい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、測定電流の供給経路を1系統しか有していない構成においても、各プローブユニット間への配線ケーブルの掛け渡しを不要にしつつ、測定電流の通電に起因して生じる誘導起電力の影響や誘導性ノイズの影響を常に低減し得る測定装置および検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、一対の出力端子から測定電流を出力する電流出力部および一対の検出端子間の電圧を測定する電圧測定部を有する抵抗測定部と、測定位置に配置された回路基板の一方の面に対向してかつ当該回路基板に対して接離動可能に配設されて、当該一方の面に形成された複数のテストポイントにプロービング可能な複数のプローブが当該一方の面に対向する第1対向面に設けられると共に当該複数のプローブのうちの任意のプローブを前記一対の出力端子および前記一対の検出端子のうちの任意の1つの端子に接続するための第1スキャナ部を有する第1プローブユニットと、前記測定位置に配置された前記回路基板の他方の面に対向してかつ当該回路基板に対して接離動可能に配置されて、当該他方の面に形成された複数のテストポイントにプロービング可能な複数のプローブが当該他方の面に対向する第2対向面に設けられると共に当該複数のプローブのうちの任意のプローブを前記一対の出力端子および前記一対の検出端子のうちの任意の1つの端子に接続するための第2スキャナ部を有する第2プローブユニットとを備えている測定装置であって、前記抵抗測定部および前記第1プローブユニットは、前記一対の出力端子および前記一対の検出端子と、前記第1スキャナ部とを電気的に接続するための複数の配線ケーブルを介して直接接続され、前記第1対向面における前記第2対向面と直接向かい合う部位に配設されると共に前記第1プローブユニット内の内部配線および前記配線ケーブルを介して前記一対の出力端子および前記一対の検出端子と一対一で接続された複数の第1コンタクトと、前記第2対向面における前記第1対向面と直接向かい合う部位に前記第1コンタクトに対向して配設されて、前記第2プローブユニット内の内部配線を介して前記第2スキャナ部に接続された複数の第2コンタクトとを有し、前記第1プローブユニットおよび前記第2プローブユニットの前記プローブが前記テストポイントにプロービングされるプロービング状態のときに、前記各第1コンタクトおよび前記各第2コンタクトが互いに電気的に接触する接触状態に移行し、前記プロービング状態が解除されたときに、当該各第1コンタクトおよび当該各第2コンタクトが互いに離間して非接触状態に移行する。
また、請求項2記載の検査装置は、請求項1記載の測定装置を備えると共に、前記抵抗測定部に配設されて、前記測定電流の電流値および前記電圧測定部によって測定された前記一対の検出端子間の前記電圧の電圧値に基づいて当該一対の検出端子間に接続された測定対象の抵抗値を測定すると共に当該測定した抵抗値に基づいて当該測定対象を検査する処理部を備えている。
請求項1記載の測定装置および請求項2記載の検査装置によれば、各プローブユニット間への配線ケーブルの掛け渡しを不要にしつつ、抵抗測定部から各プローブユニットの各プローブに至る経路(電流経路や電圧検出経路となる経路)のうちの主たる部分を占める抵抗測定部と第1プローブユニットとを接続する複数の配線ケーブルでの電流経路についてのループの面積および電圧検出経路についてのループの面積を小さいものとすることができるため、測定電流の供給経路を1系統しか有していない構成(つまり、1つの電流出力部しか有していない構成)においても、測定電流の供給(通電)に起因して電流経路に生じる誘導起電力の電圧検出経路への影響や、誘導性ノイズの電圧検出経路への影響を確実に低減しつつ、測定対象に生じる電圧の電圧値および測定対象の抵抗値を高い精度で測定することができる。また、この検査装置によれば、この高い精度で測定された抵抗値に基づいて、測定対象を高い精度で検査することができる。
以下、測定装置および検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、この測定装置1の構成について説明する。この測定装置1は、図1に示すように、一例として、1つの抵抗測定部2、2つのプローブユニット3,4、およびこのプローブユニット3,4間に規定された測定位置に配置される回路基板5に対して各プローブユニット3,4を接離動させる不図示の移動機構を備え、回路基板5に存在する測定対象81(回路基板5に穿設されたスルーホール81aや、回路基板5に実装された抵抗素子81b)の抵抗値を4端子法によって測定する抵抗測定装置として構成されている。
具体的には、抵抗測定部2は、図1に示すように、一例として、電流源2a、電圧計2bおよび処理部2cを備えている。電流源(電流出力部)2aは、一例として定電流源(直流定電流源または交流定電流源。本例では一例として直流定電流源)で構成されて、直流定電流(電流値は既知)である測定電流を生成して、一対の出力端子(高電位極Hcおよび低電位極Lc)間から出力する。この場合、高電位極Hcには配線ケーブルとしての第1電流供給ラインL1が接続され、その低電位極Lcには配線ケーブルとしての第2電流供給ラインL2が接続されているため、測定電流は、両電流供給ラインL1,L2間に出力される。抵抗測定部2は、各プローブユニット3,4のうちのいずれか一方と配線ケーブルを介して直接接続されるが、本例では一例として、抵抗測定部2は、各電流供給ラインL1,L2および後述する各電圧検出ラインL3,L4を介して第1プローブユニットとしてのプローブユニット3と直接接続されている。
電圧計(電圧測定部)2bは、一対の検出端子(高電位極Hpおよび低電位極Lp)間に生じている電圧を測定する。この場合、高電位極Hpには配線ケーブルとしての第1電圧検出ラインL3が接続され、その低電位極Lpには配線ケーブルとしての第2電圧検出ラインL4が接続されているため、電圧計2bは、両電圧検出ラインL3,L4間に生じている電圧を測定する。
処理部2cは、例えばコンピュータで構成されて、電流源2aから出力されている測定電流の電流値および電圧計2bで測定された電圧の電圧値に基づいて、測定対象81の抵抗値を測定する抵抗測定処理を実行する。また、処理部2cは、不図示の制御用ケーブルを介して各プローブユニット3,4と接続されて、各プローブユニット3,4内にそれぞれ配設された後述するスキャナボードに対する制御処理を実行する。
プローブユニット3は、図1に示すように、上記の測定位置に配置される回路基板5の一方の面側に、この一方の面に対向した状態で、かつ移動機構によってこの回路基板5と直交する方向に沿って移動可能(つまり、回路基板5に対して接離動可能)に配設されている。また、プローブユニット3は、回路基板5の一方の面との対向面(同図中の下面。以下、第1対向面ともいう)11aに複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・が立設されたスキャナラック11、スキャナラック11内に配設された内部配線L11,L12,L13,L14、スキャナラック11に配設されたコネクタCN1,CN2,CN3,CN4、スキャナラック11に配設された第1コンタクトとしてのコンタクト(接触端子)CNT11,CNT12,CNT13,CNT14、およびこのスキャナラック11に収納された複数のスキャナボード13(各スキャナボード13は同一の構成を有しており、図1中では、そのうちの1つのスキャナボード13のみが図示されている)を備えている。
また、プローブユニット3では、内部配線L11が第1内部電流供給ラインとしてコネクタCN1を介して第1電流供給ラインL1に直接接続され、内部配線L12が第2内部電流供給ラインとしてコネクタCN2を介して第2電流供給ラインL2に直接接続され、内部配線L13が第1内部電圧検出ラインとしてコネクタCN3を介して第1電圧検出ラインL3に直接接続され、また内部配線L14が第2内部電圧検出ラインとしてコネクタCN4を介して第2電圧検出ラインL4に直接接続されている。
各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14は、図1に示すように、第1対向面11aにおけるプローブユニット4の後述する第2対向面21aと直接向かい合う部位に配設されている。また、コンタクトCNT11は内部配線L11を介してコネクタCN1に接続され、コンタクトCNT12は内部配線L12を介してコネクタCN2に接続され、コンタクトCNT13は内部配線L13を介してコネクタCN3に接続され、コンタクトCNT14は内部配線L14を介してコネクタCN4に接続されている。この構成により、各CNT11,CNT12,CNT13,CNT14は、第1プローブユニット3内の内部配線L11,L12,L13,L14および各ラインL1,L2,L3,L4を介して、一対の出力端子(高電位極Hc,低電位極Lc)および一対の検出端子(高電位極Hp,低電位極Lp)と一対一で接続されている。
プローブユニット3内の各スキャナボード13は、複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・のうちの対応する複数のプローブ(同数のプローブ)と電気的に接続されている。この例では、図中のプローブ12a,12b,12c,12dは、図示されているスキャナボード13に対応する複数のプローブに含まれている。以下、プローブユニット3内の各スキャナボード13の構成について、図示されているスキャナボード13を例に挙げて説明する。
スキャナボード13は、対応する複数のプローブと同数の切替スイッチ14を有している。具体的には、スキャナボード13は、図1に示すように、プローブ12aに対応する切替スイッチ14a、プローブ12bに対応する切替スイッチ14b、プローブ12cに対応する切替スイッチ14c、プローブ12dに対応する切替スイッチ14d、・・・(特に区別しないときには切替スイッチ14ともいう)を有している。また、各切替スイッチ14a,14b,14c,14d,・・・は、抵抗測定部2の処理部2cによって個別に接断状態が制御される4つのスイッチ回路14a1,14a2,14a3,14a4、スイッチ回路14b1,14b2,14b3,14b4、スイッチ回路14c1,14c2,14c3,14c4、スイッチ回路14d1,14d2,14d3,14d4をそれぞれ有している。
また、本例では、図1に示すように、各スイッチ回路14a1,14b1,14c1,14d1は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L11(すなわち、第1電流供給ラインL1)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路14a2,14b2,14c2,14d2は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L12(すなわち、第2電流供給ラインL2)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路14a3,14b3,14c3,14d3は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L13(すなわち、第1電圧検出ラインL3)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路14a4,14b4,14c4,14d4は、対応するプローブ12a,12b,12c,12dと対応する内部配線L14(すなわち、第2電圧検出ラインL4)とを接断する機能を有している。以上の構成により、スキャナボード13は、対応する複数のプローブ12a,12b,12c,12d,・・・のうちの任意のプローブを一対の出力端子(高電位極Hc,低電位極Lc)および一対の検出端子(高電位極Hp,低電位極Lp)のうちの任意の1つの端子に接続する第1スキャナ部として機能する。
プローブユニット4(第2プローブユニット)は、図1に示すように、上記の測定位置に配置される回路基板5の他方の面側に、この他方の面に対向した状態で、かつ移動機構によってこの回路基板5と直交する方向に沿って移動可能(つまり、回路基板5に対して接離動可能)に配設されている。また、プローブユニット4は、回路基板5の他方の面との対向面(同図中の上面。以下、第2対向面ともいう)21aに複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・が立設されたスキャナラック21、スキャナラック21内に配設された内部配線L21,L22,L23,L24、スキャナラック21に配設された第2コンタクトとしてのコンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24、およびこのスキャナラック21に収納された複数のスキャナボード23(各スキャナボード23は同一の構成を有しており、図1中では、そのうちの1つのスキャナボード23が図示されている)を備えている。
また、プローブユニット4では、内部配線L21がコンタクトCNT21に接続され、内部配線L22がコンタクトCNT22に接続され、内部配線L23がコンタクトCNT23に接続され、内部配線L24がコンタクトCNT24に接続されている。
各コンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24は、図1に示すように、第2対向面21aにおけるプローブユニット3の第1対向面11aと直接向かい合う部位に、各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14のうちの対応するコンタクトに対向して配設されている。具体的には、コンタクトCNT21は対応するコンタクトCNT11と、コンタクトCNT22は対応するコンタクトCNT12と、コンタクトCNT23は対応するコンタクトCNT13と、コンタクトCNT24は対応するコンタクトCNT14と、それぞれ対向して配設されている。
この構成により、後述するように、各プローブユニット3,4が移動機構によって回路基板5に対して接近させられて、プローブユニット3の各プローブ(プローブ12a,12b,12c,12d,・・・)とプローブユニット4の各プローブ(プローブ22a,22b,22c,22d,・・・)とが、回路基板5の対応するテストポイントTPと接触する状態(プロービング状態)に移行した際には、各コンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24も、対応する各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14と電気的に接触していない非接触状態から、対応する各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14と電気的に接触する接触状態に移行する。
これにより、プローブユニット4内の内部配線L21が、コンタクトCNT21、コンタクトCNT11、プローブユニット3内の内部配線L11、および第1電流供給ラインL1を介して高電位極Hcに接続される。また、内部配線L22が、コンタクトCNT22、コンタクトCNT12、プローブユニット3内の内部配線L12、および第2電流供給ラインL2を介して低電位極Lcに接続される。また、内部配線L23が、コンタクトCNT23、コンタクトCNT13、プローブユニット3内の内部配線L13、および第1電圧検出ラインL3を介して高電位極Hpに接続される。また、内部配線L24が、コンタクトCNT24、コンタクトCNT14、プローブユニット3内の内部配線L14、および第2電圧検出ラインL4を介して低電位極Lpに接続される。つまり、プローブユニット4は、プローブユニット3を経由して抵抗測定部2の高電位極Hc,低電位極Lc,高電位極Hp,低電位極Lpに接続される。
なお、各プローブユニット3,4が回路基板5から離反してプロービング状態が解除されたときには、各コンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24も、対応する各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14から離間して非接触状態に移行する。
プローブユニット4内の各スキャナボード23は、複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・のうちの対応する複数のプローブ(同数のプローブ)と電気的に接続されている。この例では、図中のプローブ22a,22b,22c,22dは、図示されているスキャナボード23に対応する複数のプローブに含まれている。以下、プローブユニット4内の各スキャナボード23の構成について、図示されているスキャナボード23を例に挙げて説明する。
スキャナボード23は、対応する複数のプローブと同数の切替スイッチ24を有している。具体的には、スキャナボード23は、図1に示すように、プローブ22aに対応する切替スイッチ24a、プローブ22bに対応する切替スイッチ24b、プローブ22cに対応する切替スイッチ24c、プローブ22dに対応する切替スイッチ24d、・・・(特に区別しないときには切替スイッチ24ともいう)を有している。また、各切替スイッチ24a,24b,24c,24d,・・・は、抵抗測定部2の処理部2cによって個別に接断状態が制御される4つのスイッチ回路24a1,24a2,24a3,24a4、スイッチ回路24b1,24b2,24b3,24b4、スイッチ回路24c1,24c2,24c3,24c4、スイッチ回路24d1,24d2,24d3,24d4をそれぞれ有している。
また、本例では、図1に示すように、各スイッチ回路24a1,24b1,24c1,24d1は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L21(すなわち、第1電流供給ラインL1)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路24a2,24b2,24c2,24d2は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L22(すなわち、第2電流供給ラインL2)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路24a3,24b3,24c3,24d3は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L23(すなわち、第1電圧検出ラインL3)とを接断する機能を有し、各スイッチ回路24a4,24b4,24c4,24d4は、対応するプローブ22a,22b,22c,22dと対応する内部配線L24(すなわち、第2電圧検出ラインL4)とを接断する機能を有している。以上の構成により、スキャナボード23は、各コンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24が対応する各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14と電気的に接触している状態のときに、対応する複数のプローブ22a,22b,22c,22d,・・・のうちの任意のプローブを一対の出力端子(高電位極Hc,低電位極Lc)および一対の検出端子(高電位極Hp,低電位極Lp)のうちの任意の1つの端子に接続する第2スキャナ部として機能する。
次に、この測定装置1の動作について説明する。最初に、回路基板5に存在する測定対象81としてのスルーホール81aの抵抗値を測定する動作について説明する。
測定装置1では、まず、各プローブユニット3,4が不図示の移動機構によって回路基板5側に移動(接近)させられることにより、各プローブユニット3,4に設けられている複数のプローブ12,22が、対応するテストポイントTPと接触する状態(プロービング状態)に移行する。
この場合、スルーホール81aについては、その一端側は回路基板5におけるプローブユニット3との対向面に形成されたランド(テストポイントTP1)に接続され、その他端側は回路基板5におけるプローブユニット4との対向面に形成されたランド(テストポイントTP2)に接続されている。したがって、図2に示すように、テストポイントTP1には、プローブユニット3側の複数のプローブ12のうちの2つのプローブ12が接触し、テストポイントTP2には、プローブユニット4側の複数のプローブ22のうちの2つのプローブ22が接触する。一例としてこの例では、同図に示すように、テストポイントTP1には、2つのプローブ12a,12bが接触し、テストポイントTP2には、2つのプローブ22a,22bが接触するものとする。
また、各コンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24は、非接触状態から、対応する各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14と一対一で電気的に接触する接触状態に移行する。
また、抵抗測定部2の処理部2cは、プローブユニット3,4内の各スキャナボード13,23に対する制御処理を実行して、スキャナボード13については、一例として、すべての切替スイッチ14のうちのプローブ12aに対応する切替スイッチ14aに関してはスイッチ回路14a1のみが接続状態となり、プローブ12bに対応する切替スイッチ14bに関してはスイッチ回路14b3のみが接続状態となり、この切替スイッチ14a,14b以外の切替スイッチ14(この図示されているスキャナボード13以外の不図示のスキャナボード13の切替スイッチ14も含む)に関してはすべてのスイッチ回路が切断状態となる状態に移行させる。これにより、プローブ12aが、プローブユニット3内の内部配線L11および第1電流供給ラインL1を介して電流源2aの高電位極Hcに接続され、プローブ12bが、プローブユニット3内の内部配線L13および第1電圧検出ラインL3を介して電圧計2bの高電位極Hpに接続される。
また、処理部2cは、この制御処理により、スキャナボード23については、一例として、すべての切替スイッチ24のうちのプローブ22aに対応する切替スイッチ24aに関してはスイッチ回路24a2のみが接続状態となり、プローブ22bに対応する切替スイッチ24bに関してはスイッチ回路24b4のみが接続状態となり、この切替スイッチ24a,24b以外の切替スイッチ24(この図示されているスキャナボード23以外の不図示のスキャナボード23の切替スイッチ24も含む)に関してはすべてのスイッチ回路が切断状態となる状態に移行させる。これにより、プローブ22aが、プローブユニット4内の内部配線L22、コンタクトCNT22、コンタクトCNT12、プローブユニット3内の内部配線L12、および第2電流供給ラインL2を介して電流源2aの低電位極Lcに接続され、プローブ22bが、プローブユニット4内の内部配線L24、コンタクトCNT24、コンタクトCNT14、プローブユニット3内の内部配線L14、および第2電圧検出ラインL4を介して電圧計2bの低電位極Lpに接続される。
この状態において測定装置1の抵抗測定部2では、電流源2aが、高電位極Hcに接続された第1電流供給ラインL1と低電位極Lcに接続された第2電流供給ラインL2との間に測定電流を出力する。この測定電流は、高電位極Hcから、第1電流供給ラインL1、プローブユニット3内の内部配線L11、プローブユニット3内のスキャナボード13に配設された切替スイッチ14aのスイッチ回路14a1、プローブユニット3側のプローブ12a、テストポイントTP1、スルーホール81a、テストポイントTP2、プローブユニット4側のプローブ22a、プローブユニット4内のスキャナボード23に配設された切替スイッチ24aのスイッチ回路24a2、プローブユニット4内の内部配線L22、コンタクトCNT22、コンタクトCNT12、プローブユニット3内の内部配線L12、および第2電流供給ラインL2を経由して低電位極Lcに至る電流経路CC1(図2において破線で示す経路)に流れる。
また、抵抗測定部2では、電圧計2bが、測定電流がスルーホール81aを流れることによってその両端間(この例では、テストポイントTP1,TP2間)に発生する両端間電圧を、高電位極Hpに接続された第1電圧検出ラインL3から、プローブユニット3内の内部配線L13、およびプローブユニット3内のスキャナボード13に配設された切替スイッチ14bのスイッチ回路14b3を経由してテストポイントTP1と接触するプローブユニット3側のプローブ12bに至る高電位側の電圧検出経路と、低電位極Lpに接続された第2電圧検出ラインL4から、プローブユニット3内の内部配線L14、コンタクトCNT14、コンタクトCNT24、プローブユニット4内の内部配線L24、およびプローブユニット4内のスキャナボード23に配設された切替スイッチ24bのスイッチ回路24b4を経由してテストポイントTP2と接触するプローブユニット4側のプローブ22bに至る低電位側の電圧検出経路とで検出して、この両端間電圧の電圧値を測定する。また、電圧計2bは、測定した両端間電圧の電圧値を処理部2cに出力する。
抵抗測定部2では、処理部2cが、電流源2aから供給されている測定電流の電流値と、電圧計2bによって測定された両端間電圧の電圧値とに基づいて抵抗測定処理を実行して、スルーホール81aの抵抗値を算出(測定)する。これにより、スルーホール81aの抵抗値の測定が完了する。
この場合、測定装置1の電流経路CC1には、図2に示すように、プローブユニット3,4間において、内部配線L11から、切替スイッチ14a、プローブ12a、スルーホール81a、プローブ22a、切替スイッチ24a、内部配線L22、コンタクトCNT22、およびコンタクトCNT12を経由して内部配線L12に至るループ状の電流経路が形成される。しかしながら、このループ状の電流経路を構成する経路長は、抵抗測定部2とプローブユニット3とを接続する各電流供給ラインL1,L2および各電圧検出ラインL3,L4の経路長と比較して一般的に極めて短いものである。このため、この電流経路のループの面積は小さいものとなっている。また、抵抗測定部2とプローブユニット3とを接続する各電流供給ラインL1,L2および各電圧検出ラインL3,L4は、上記したように抵抗測定部2からプローブユニット3,4の各プローブ12,22に至る経路のうちの主たる部分を占めると共に、一般的に束ねられた状態で配線されることから、各電流供給ラインL1,L2で形成される電流経路のループの面積も小さいものとなっている。したがって、この測定装置1の電流経路CC1は、そのループの面積が全体として小さいものとなっている。
また、測定装置1では、上記した高電位側の電圧検出経路と低電位側の電圧検出経路とで形成される電圧計2bについての電圧検出経路についても、上記した電流経路CC1と同じ理由により、そのループの面積が全体として小さいものとなっている。
したがって、この測定装置1では、上記したように測定電流の供給経路を1系統しか有していない構成(つまり、1つの電流源2aしか有していない構成)においても、測定電流の供給(通電)に起因して電流経路CC1に生じる誘導起電力の電圧検出経路への影響や、誘導性ノイズの電圧検出経路への影響を確実に低減しつつ、スルーホール81aの両端間電圧の電圧値およびスルーホール81aの抵抗値を高い精度で測定することが可能になっている。
次いで、回路基板5に存在する測定対象81としての抵抗素子81bの抵抗値を測定する動作について説明する。なお、この一例として、抵抗素子81bは、図1,3に示すように、回路基板5の他方の面上に実装されているものとする。
測定装置1では、まず、各プローブユニット3,4が不図示の移動機構によって回路基板5側に移動(接近)させられることにより、図3に示すように、各プローブユニット3,4に設けられている複数のプローブ12,22が、対応するテストポイントTPと接触する状態(プロービング状態)に移行する。なお、図3では、動作の理解を容易にするため、プローブユニット4に設けられている複数のプローブ22と、対応するテストポイントTPとの接触状態のみを図示している。また、各コンタクトCNT21,CNT22,CNT23,CNT24は、対応する各コンタクトCNT11,CNT12,CNT13,CNT14と一対一で電気的に接触する状態に移行する。
この場合、抵抗素子81bについては、その一端側は回路基板5におけるプローブユニット4との対向面(他方の面)に形成されたランド(テストポイントTP3)に接続され、その他端側も回路基板5におけるプローブユニット4との対向面(他方の面)に形成されたランド(テストポイントTP4)に接続されている。したがって、図3に示すように、テストポイントTP3には、プローブユニット4側の複数のプローブ22のうちの2つのプローブ12が接触し、テストポイントTP4には、プローブユニット4側の複数のプローブ22のうちの他の2つのプローブ22が接触する。一例としてこの例では、同図に示すように、テストポイントTP3には、2つのプローブ22a,22bが接触し、テストポイントTP4には、2つのプローブ22c,22dが接触するものとする。
また、抵抗測定部2の処理部2cは、プローブユニット3,4内の各スキャナボード13,23に対する制御処理を実行して、スキャナボード13については、すべての切替スイッチ14に関して、そのスイッチ回路が切断状態となる状態に移行させる。
また、処理部2cは、この制御処理により、スキャナボード23については、一例として、すべての切替スイッチ24のうちのプローブ22aに対応する切替スイッチ24aに関してはスイッチ回路24a1のみが接続状態となり、プローブ22bに対応する切替スイッチ24bに関してはスイッチ回路24b3のみが接続状態となり、プローブ22cに対応する切替スイッチ24cに関してはスイッチ回路24c4のみが接続状態となり、プローブ22dに対応する切替スイッチ24dに関してはスイッチ回路24d2のみが接続状態となり、かつこの切替スイッチ24a,24b,24c,24d以外の切替スイッチ24(この図示されているスキャナボード23以外の不図示のスキャナボード23の切替スイッチ24も含む)に関してはすべてのスイッチ回路が切断状態となる状態に移行させる。
これにより、プローブ22aが、プローブユニット4内の内部配線L21、コンタクトCNT21、コンタクトCNT11、プローブユニット3内の内部配線L11および第1電流供給ラインL1を介して電流源2aの高電位極Hcに接続され、プローブ22bが、プローブユニット4内の内部配線L23、コンタクトCNT23、コンタクトCNT13、プローブユニット3内の内部配線L13および第1電圧検出ラインL3を介して電圧計2bの高電位極Hpに接続され、プローブ22cが、プローブユニット4内の内部配線L24、コンタクトCNT24、コンタクトCNT14、プローブユニット3内の内部配線L14および第2電圧検出ラインL4を介して電圧計2bの低電位極Lpに接続され、プローブ22dが、プローブユニット4内の内部配線L22、コンタクトCNT22、コンタクトCNT12、プローブユニット3内の内部配線L12および第2電流供給ラインL2を介して電流源2aの低電位極Lcに接続される。
この状態において測定装置1の抵抗測定部2では、電流源2aが、高電位極Hcに接続された第1電流供給ラインL1と低電位極Lcに接続された第2電流供給ラインL2との間に測定電流を出力する。この測定電流は、高電位極Hcから、第1電流供給ラインL1、プローブユニット3内の内部配線L11、コンタクトCNT11、コンタクトCNT21、プローブユニット4内の内部配線L21、プローブユニット4内のスキャナボード23に配設された切替スイッチ24aのスイッチ回路24a1、プローブ22a、テストポイントTP3、抵抗素子81b、テストポイントTP4、プローブ22d、スキャナボード23に配設された切替スイッチ24dのスイッチ回路24d2、プローブユニット4内の内部配線L22、コンタクトCNT22、コンタクトCNT12、プローブユニット3内の内部配線L12、および第2電流供給ラインL2を経由して低電位極Lcに至る電流経路CC2(図3において破線で示す経路)に流れる。
また、抵抗測定部2では、電圧計2bが、測定電流が抵抗素子81bを流れることによってその両端間(この例では、テストポイントTP3,TP4間)に発生する両端間電圧を、高電位極Hpに接続された第1電圧検出ラインL3から、プローブユニット3内の内部配線L13、コンタクトCNT13、コンタクトCNT23、プローブユニット4内の内部配線L23、プローブユニット4内のスキャナボード23に配設された切替スイッチ24bのスイッチ回路24b3を経由してテストポイントTP3と接触するプローブユニット4側のプローブ22bに至る高電位側の電圧検出経路と、低電位極Lpに接続された第2電圧検出ラインL4から、プローブユニット3内の内部配線L14、コンタクトCNT14、コンタクトCNT24、プローブユニット4内の内部配線L24、およびプローブユニット4内のスキャナボード23に配設された切替スイッチ24cのスイッチ回路24c4を経由してテストポイントTP4と接触するプローブユニット4側のプローブ22cに至る低電位側の電圧検出経路とで検出して、この両端間電圧の電圧値を測定する。また、電圧計2bは、測定した両端間電圧の電圧値を処理部2cに出力する。
抵抗測定部2では、処理部2cが、電流源2aから供給されている測定電流の電流値と、電圧計2bによって測定された両端間電圧の電圧値とに基づいて抵抗測定処理を実行して、抵抗素子81bの抵抗値を算出(測定)する。これにより、抵抗素子81bの抵抗値の測定が完了する。
この場合、測定装置1の電流経路CC2には、図3に示すように、プローブユニット3,4間において形成されるループ状の電流経路は存在しない。また、上記したスルーホール81aの抵抗値の測定のときと同様に、各電流供給ラインL1,L2で形成される電流経路のループの面積も小さいものとなっている。したがって、この測定装置1の電流経路CC2は、そのループの面積が全体として極めて小さいものとなっている。
また、測定装置1では、上記した高電位側の電圧検出経路と低電位側の電圧検出経路とで形成される電圧計2bについての電圧検出経路についても、上記した電流経路CC2と同じ理由により、そのループの面積が全体として小さいものとなっている。
したがって、この測定装置1では、上記したように測定電流の供給経路を1系統しか有していない構成(つまり、1つの電流源2aしか有していない構成)においても、測定電流の供給(通電)に起因して電流経路CC1に生じる誘導起電力の電圧検出経路への影響や、誘導性ノイズの電圧検出経路への影響を確実に低減しつつ、抵抗素子81bの両端間電圧の電圧値および抵抗素子81bの抵抗値を高い精度で測定することが可能になっている。
なお、詳細な説明は省略するが、この測定装置1では、抵抗素子81bが回路基板5の一方の面上に実装されているときにも、回路基板5の一方の面上に形成されて抵抗素子81bの一方の端子が接続されるテストポイントに接触させられるプローブユニット3側の1つ目のプローブ12と、抵抗素子81bの他方の端子が接続されるテストポイントに接触させられるプローブユニット3側の2つ目のプローブ12とを含む電流経路で測定電流が供給される。また、電圧計2bの高電位極Hpから抵抗素子81bの一方の端子が接続されるテストポイントに接触させられるプローブユニット3側の3つ目のプローブ12に至る高電位側の電圧検出経路と、電圧計2bの低電位極Lpから抵抗素子81bの他方の端子が接続されるテストポイントに接触させられるプローブユニット3側の4つ目のプローブ12に至る低電位側の電圧検出経路とで、抵抗素子81bの両端間電圧の電圧値が測定される。したがって、この場合においても、この測定装置1では、上記したように測定電流の供給経路を1系統しか有していない構成(つまり、1つの電流源2aしか有していない構成)においても、測定電流の供給(通電)に起因して電流経路に生じる誘導起電力の電圧検出経路への影響や、誘導性ノイズの電圧検出経路への影響を確実に低減しつつ、抵抗素子81bの両端間電圧の電圧値および抵抗素子81bの抵抗値を高い精度で測定することが可能になっている。
このように、この測定装置1では、抵抗測定部2およびプローブユニット3は、各電流供給ラインL1,L2および各電圧検出ラインL3,L4(複数の配線ケーブル)を介して直接接続され、プローブユニット3側の対向面11aにはコンタクトCNT11〜CNT14が配設され、プローブユニット4側の対向面21aにはコンタクトCNT21〜CNT24が配設され、プローブユニット3,4が回路基板5に接近して双方のプローブ12,22が回路基板5の一方の面および他方の面に形成されたテストポイントTPにプロービングされるプロービング状態に移行したときに、プローブユニット3側のコンタクトCNT11〜CNT14およびプローブユニット4側のコンタクトCNT21〜CNT24が互いに離間する非接触状態から、互いに電気的に接触する接触状態に移行して、プローブユニット4側の内部配線L21,L22,L23,L24を、プローブユニット3側の内部配線L11,L12,L13,L14(各電流供給ラインL1,L2および各電圧検出ラインL3,L4に一対一で接続されている内部配線)に接続する。
したがって、この測定装置1によれば、抵抗測定部2からプローブユニット3,4の各プローブ12,22に至る経路(電流経路や電圧検出経路となる経路)のうちの主たる部分を占める各電流供給ラインL1,L2および各電圧検出ラインL3,L4での電流経路についてのループの面積および電圧検出経路についてのループの面積を小さいものとすることができるため、測定電流の供給経路を1系統しか有していない構成(つまり、1つの電流源2aしか有していない構成)においても、測定電流の供給(通電)に起因して電流経路CC1,CC2に生じる誘導起電力の電圧検出経路への影響や、誘導性ノイズの電圧検出経路への影響を確実に低減しつつ、測定対象81の両端間電圧の電圧値および測定対象81の抵抗値を高い精度で測定することができる。また、この測定装置1によれば、プローブユニット4は、プローブユニット4側のコンタクトCNT21〜CNT24、プローブユニット3側のコンタクトCNT11〜CNT14、プローブユニット3側の内部配線L11,L12,L13,L14、および各ラインL1,L2,L3,L4を経由して抵抗測定部2と接続される構成のため、上記した測定装置51とは異なり、抵抗測定部2とプローブユニット4とを直接接続する配線ケーブル(つまり、各プローブユニット3,4間に掛け渡される配線ケーブル)を不要にできる結果、各プローブユニット3,4間の測定位置への回路基板5の搬入や測定位置からの回路基板5の搬出に対して配線ケーブルが障害となるという事態の発生を回避することができる。
なお、上記の測定装置1の構成に加えて、抵抗測定部2の処理部2cが、抵抗測定処理で測定した測定対象81の抵抗値に基づいて、検査対象でもある測定対象81を検査する検査処理を実行する構成とすることもできる。この構成においては、測定装置1は、回路基板5に配設された測定対象81を検査する(つまり、回路基板5を検査する)回路基板検査装置である検査装置として機能する。この場合、処理部2cは、検査処理では、例えば、抵抗測定処理で測定した測定対象81の抵抗値と、予め規定されたこの測定対象81の抵抗値についての判定範囲(例えば、測定対象81が正常であるときに取り得る抵抗値の範囲)とを比較して、測定した抵抗値が判定範囲に含まれているときには良品であり、含まれていないときには不良品であると判別することで、測定対象81を検査する。
また、上記の測定装置1では、電流源2aを定電流源で構成しているが、非定電流源で構成することもできる。この場合には、処理部2cからの要求に応じて、または定期的に、出力している測定電流の電流値を処理部2cに出力し得るように電流源2aを構成する。この構成においても、処理部2cは、電圧計2bで測定された電圧値を取得するタイミングに合わせて、電流源2aから測定電流の電流値を取得することで、測定対象81の抵抗値を測定することが可能となる。