JP6235966B2 - 起毛編地 - Google Patents

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本発明は、薄くて軽量でありながら、保温性、ストレッチ性に優れた起毛編地に関するものである。
これまで秋冬に着用する衣料用編地において保温性を高める検討は数多くなされている。編地の厚みや編組織(裏毛、パイル)を検討したもの、中空繊維を用いたもの、染色加工後の糸収縮を応用したもの等があるが、いずれも編地に空気層を持たせて保温性を得るものである。その中でも、編地表面を起毛して毛羽立たせることによって高い保温性を得ることは良く知られている。
肌面を起毛して保温性を高める方法としては、表糸、裏糸、および表糸に添え糸されて表糸と裏糸とを接結する接結糸からなる裏毛編地を製造する際に接結糸および表糸として少なくとも一方が精紡交撚糸で、撚係数が2.0〜3.0、かつ撚方向が同じ紡績単糸を用い、接結糸および表糸の撚方向と同じ方向に回転する給糸本数60以上の丸編機で編成し、次いで常法により染色、起毛、仕上げ加工を施す方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、裏毛組織により保温性は高い反面、分厚く、目付が重くなって肌着にするとゴアゴアした着用感を感じやすかった。
ストレッチ性を高めるために弾性繊維を含めた例としては、地糸に非熱可塑性弾性糸を、地糸及び/又は立毛糸に低融点熱可塑性繊維と高融点熱可塑性繊維を配した伸縮性起毛布帛が提案されている(特許文献2参照)。この方法では、ストレッチ性は向上するが、弾性繊維を切らずに強く起毛することは難しい。
また、非弾性糸で弾性糸をカバーした被覆弾性糸を用いて起毛時に弾性繊維を保護する方法として、ポリエステルフィラメントAがポリウレタン弾性繊維の周囲を被覆してなる被覆弾性糸とポリエステルフィラメントBとが編み地の結節点を共有して編成されている伸縮性起毛編地であって、フィラメントB及びフィラメントAの両方のフィラメントが起毛されており、かつフィラメントBの単繊維繊度b(デニール)とフィラメントAの単繊維繊度a(デニール)との比(a/b)が2以上である伸縮性起毛編地が提案されている(特許文献3参照)。この方法では、弾性繊維が非弾性糸で覆われているとはいえ、起毛面に弾性繊維があることから、起毛により弾性繊維を全く切らずに針布起毛のように強い起毛をすることは難しい。
上記の問題に加えて、特許文献2では、素材面から保温性を向上することは考えられておらず、特許文献3では、素材面での保温性と吸湿性の両方とも考慮されていない。
特開平10−46452号公報 特開平2003−129356号公報 特開平10−259552号公報
本発明は、上述の従来のストレッチ編地の起毛に関する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、弾性繊維を用いたストレッチ性のある薄いシングルニットであっても、その弾性繊維を切ることなく起毛することで、高い保温性、薄さ、軽さ、並びに伸縮性、特にタテ方向にも高いストレッチ性を有する快適な起毛編地を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、一つの編ループの中で表糸と裏糸の間に弾性糸を配置した3層構造を採用することにより、中間層にある弾性糸を損傷させずに強く起毛できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(3)の構成を有するものである。
(1)弾性糸を含むシングルニットにおいて、全編目にて編ループ内に表糸と裏糸が存在し、さらに表糸と裏糸の中間に弾性糸が配置された3層ループ構造を全編ループのうち45〜100%有し、少なくとも裏糸が起毛されていること、3層ループ構造が完全リバーシブルであること、及び編地の厚さが0.5〜1.3mmであり、目付が140〜220g/m であることを特徴とする起毛編地。
(2)タテ方向に弾性糸が連結するシングルニットであることを特徴とする(1)に記載の起毛編地。
(3)編組織が全口ベア天竺、ベアカノコ、コードレーン、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする(1)または(2)に記載の起毛編地。
本発明の編地によれば、シングルニットの薄地でありながら、保温性の高い繊維素材を用いて強く起毛できるので、着用したときにとても暖かい。更に高いストレッチ性、特にタテ伸びが大きく、肌の伸縮に追随できるため着用快適性に優れている。
図1は、本発明における3層ループ構造の概念図である。 図2は、本発明における3層ループ構造の説明図である。 図3は、本発明における3層ループ構造の説明図である。 図4は、本発明における3層ループ構造の説明図である。 図5は、本発明における3層ループ構造の説明図である。
本発明の編地に使用される弾性糸は、特に限定されず、ポリウレタン系、ポリエーテルエステル系、ポリオレフィン系等の弾性糸が挙げられる。ポリウレタン系弾性糸は、ポリマー骨格にウレタン結合を含み、ストレッチ性に富む合成繊維からなり、ポリマー骨格としては、ポリエーテル系、ポリエステル系のいずれであってもよい。また、ポリウレタン系弾性糸は、例えば乾式紡糸又は溶融紡糸により製造され、ポリマーや紡糸方法は限定されないが、編地のカール防止のため、ポリエステル系ポリウレタンが好ましい。
ポリエーテルエステル系弾性糸としては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンオキシドグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル系弾性糸が好ましい。ポリオレフィン系弾性糸は、均一に分枝を有しながら実質的に線状であるオレフィン繊維からなり、耐熱性等の諸物性を向上せしめる観点から、架橋処理を施されていることが好ましい。ここで均一に分枝していて実質的に線状であるオレフィン繊維とは、オレフィン系モノマーを重合させた重合物であり、その重合物の分岐度合いが均一であるものを言う。例えば、αオレフィンを共重合させた低密度ポリエチレンや特開平8−509530号公報に記載の弾性繊維がこれに該当する。また、架橋処理の方法としては、例えばラジカル開始剤やカップリング剤などを用いた化学架橋や、エネルギー線を照射することによって架橋させる方法等が挙げられる。製品となった後の安定性を考慮するとエネルギー線照射による架橋が好ましい。
弾性糸の繊度は、10〜85dtexであることが好ましい。この範囲にあると、本発明の編地は、衣料用に適した伸縮力が得られる。より好ましくは20〜45dtexである。繊度が上記範囲より低いと、編地に十分な伸縮力を与えることが難しくなり、上記範囲を超えると、製編性が困難で反転が発生して起毛工程で弾性糸が切れたり、染色後にイラツキがでて外観品位を損ないやすい。
本発明の編地を構成する上記弾性糸以外の表糸及び裏糸になる素材は、特に限定されるものではなく、綿やシルク、ウールなどの天然繊維や、アクリル、レーヨン、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維等を適宜用いることができるが、本発明の目的である保温性を高めるために熱伝導性の低い繊維を用いることが好ましい。また、吸湿性の高い繊維を混用されることも好ましい。
熱伝導率の低い繊維としては、例えばアクリル繊維、アクリレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、羊毛等が挙げられるが、衣料用として染色性に優れる点からアクリル繊維が好ましい。なお、アクリル繊維は単一繊度のものを用いるだけでなく、極細繊維と通常繊度の異繊度アクリル繊維同士を混用したものを用いてもよい。
吸湿性の高い繊維とは、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維のように標準状態で水分率が7%以上の素材である。吸湿性の高い繊維は、本発明の編地の3層ループ構造のうちの表層及び/又は裏層を単独で構成していてもよく、アクリル繊維のような熱伝導性が低く保温性が高い繊維と混紡されて構成していてもよい。
アクリル繊維を用いる場合の単糸繊度は0.3〜2.0dtexが好ましい。より好ましくは、0.3〜0.7dtexの単糸繊度の極細繊維と0.8〜2.0dtexの単糸繊度の通常繊度繊維の2種類を混用することが好ましい。より好ましくは、0.4〜0.6dtexの単糸繊度の極細繊維と、0.8〜1.3dtexの単糸繊度の通常繊度繊維である。また、両繊維の繊度差は0.5dtex以上あることが好ましい。極細繊維の単糸繊度が上記範囲未満では、染色したときの色濃度が極端に低下して、混紡糸の均一な染色性が得られにくくなる。また、上記範囲を越えると、繊度差が低くなり、繊維間空隙が低下して保温性が上がらない。通常繊度繊維の単糸繊度が上記範囲未満では、極細繊維との繊度差が低くなり繊維間の微細空隙が得られにくい。また、上記範囲を越えると、編地が硬くなったりチクチクした風合になりやすい。混紡するセルロース系繊維の単糸繊度は0.8〜2.0dtexが好ましく、更には0.8〜1.3dtexがより好ましい。セルロース系繊維の単糸繊度が上記範囲未満では、アクリル極細繊維との繊度差が少なくなり保温性が低下する。上記範囲を越えると、細番手糸を紡出するのが難しくなるとともに風合いが硬くなる傾向がある。
本発明の編地は、薄くて軽い編地を実現するためにシングルニットで構成される。シングルニットとは、一層の針釜を持つ丸編み又は平編み機で作成された編地である。編地の基本組織は天竺編であるが、編組織の中にウエルトやタックを含む組織であっても構わない。本発明の編地は、全編目にて編ループ内に表糸と裏糸が存在することが必要である。表糸とは、編地の一方の面(表)から見て、その糸のみが表面に存在して見える糸を指す。また、裏糸とは、もう一方の面(裏)から見たときに、その糸のみが表面に存在して見える糸を指す。本発明では、このように片面側では1種類の糸しか見えない構造を完全リバーシブル構造と呼ぶ。
本発明の編地は、上記のようにシングルニットの全編目にて編ループ内に表糸と裏糸が存在する構造を採用するが、更にこの表糸と裏糸の間に弾性糸が配置された3層ループ構造を有することを最大の特徴とする。このような3層ループ構造を有することにより、弾性糸を起毛工程で切断せずに起毛することが可能である。ここで3層ループ構造とは、3種類の糸を同時に編み込み、表面に出る表糸、表にも裏にも出ない中間層の糸、及び裏面に出る裏糸の3層で一つのループが出来ている構造を言う。この3層ループ構造の概念図を図1に示す。図1中、糸Aは表糸、糸Cは裏糸、弾性糸Bは中間層の糸である。このような3層ループ構造にならない場合、弾性糸が生地表面にチラチラ見えて外観を悪くするとともに、起毛したときに弾性糸を切ってしまって、生地欠点ができて使い物にならなくなりやすい。また、表糸と裏糸の素材が違う場合には、両者の色差が目立って外観品位が悪くなる場合もある。
本発明の3層ループ構造に関して、さらに図2〜図5を用いて詳しく説明する。図2は、プレーティングして3層配列になった編みループの状態を表しているが、糸Aが編地の表面に配置され、弾性糸Bが糸Aの裏に配置され、更に弾性糸Bの裏に糸Cが配置されている。表面側からは糸Aのみしか見えず、裏面側からは糸Cのみしか見えない。つまり、弾性糸Bは糸Aと糸Cに挟まれた状態で表からも裏からも見えない状態で配置されている。図3は、編機の針上での糸Aと弾性糸Bと糸Cの配置状態を表している。図4は、編針が糸を把持した瞬間の、編針中の糸A、弾性糸B、糸Cの相対的な配置と編込まれる直前の3糸の配置を示しており、編前後における針上の糸の動きを説明している。すなわち、経時的に見ると、針に糸が入った直後は裏糸Cがベラ側に、弾性糸Bが中央に、表糸Aがフックの後ろ側に各々配置され、針がノックオーバーのために下降して行く過程で表糸Aはベラ側に、裏糸Cはフック後ろ側に移動し、弾性糸Bは中央のままループとなる。
3層ループ構造にするために編み条件として重要なことは、ひとつは針の形状で一般の針より先端のフック部分が大きいタイプがリバーシブル性を上げることである。また、編針中で糸A、Bの配置になって編込まれるように制御することも重要である。このための編み条件としては、糸A・弾性糸B・糸Cの配置になるように、糸Aと弾性糸Bと糸Cを別々に糸の挿入位置(角度)を調整することである。図5にヤーンキャリアの概念図を示す。ニッティングされる針に対して一番近い糸に裏糸C、中央の糸に弾性糸B、遠い糸に表糸Aを給糸位置に設定し、更に針に対して前後の位置は、裏糸Cを最も遠く、表糸Aを最も近い位置に設定する。弾性糸Bは裏糸Cと表糸Aの中間位置とする。
また、給糸Aのテンションを弱く、給糸Cのテンションを強く掛かるように設定する。弾性糸Bについては、ひっくり返らないようにドラフトを適宜調整することが必要である。このように糸の挿入位置や給糸テンションをうまくコントロールすることで3層ループ構造を実現することができる。表糸Aの給糸テンションを下げるように糸長を設定することで針が下降するときにベラ側に移動しやすく、裏糸Cの給糸テンションを上げることで針のフック後ろ側に移動しやすくなる。弾性糸Bについては、表糸Aと裏糸Bとの中間に編成されるようにドラフトを適宜調整をする。
なお上記に示した方法は例示にすぎず、これに限定されるものではない。3層ループ構造を持つ編地を編成するには、図5に示したヤーンキャリアを有し、ベアのドラフト装置を有するベア天竺が編成できるシングル編機を用いることが重要である。編機のメーカー、ヤーンキャリアの形状は限定されるものではない。編機のゲージは、編成する番手に応じて適宜変更すれば良い。
次に、完全リバーシブルになっている全編ループのうち45〜100%のループを3層ループ構造にすることで、本発明が目的としている十分なストレッチ性が得られる。例えば、全編ループのうち50%とは、例えばフィーダー2本に1本の弾性糸をプレーティングすればよい。100%とは、全ループに弾性糸をプレーティングして3層ループ構造を持つ編目のみで編物を構成している場合である。この比率が45%未満の場合、十分なストレッチ応力や回復性が得られず、出来上がった編地の寸法安定性も低下しやすくなる。
タテ方向にストレッチ性を高めるためには、弾性糸のループがタテ方向に連結していることが好ましい。シングルニットで弾性糸をタテ方向に連結したものにする組織としては、編組織がニットのみで構成される全口ベア天竺、ニットとタックで編組織を構成するベアカノコ、ニットとウエルトで編組織を構成するコードレーン等があり、それらの組織を組み合わせたジャガード編物でもよい。このようにタテ方向にストレッチ性を高めることによって、ヒジ、ヒザ、お尻等の身体の屈曲部において編物の追随性が向上したり、筋肉運動をサポートする効果も期待できる。タテ伸び組織を効果的に使用できる用途としては、長袖シャツ、長袖インナーパンツ、スパッツ、タイツ、コンプレッションアンダーやウインタースポーツウエア等が挙げられる。また、タテ・ヨコ方向に大きく縮めて仕上げることによって編目が詰まって通気性を低減し、風が吹いても保温性を保ちやすくなる。
本発明における起毛は、針や紙ヤスリのような突起等によって、単繊維を引き出したりあるいはカットすることで毛羽立たせる加工であり、例えば針布起毛、ペーパー起毛、エメリー起毛等を用いることができる。また、乾燥状態で起毛したり、水を付与して起毛しても良い。ここで、起毛された状態とは、起毛機の突起物によって編地表面の単繊維が切られたり、針等で引き出されたり、カットされて毛羽立つことによって毛羽間に空気層を含み保温性が向上した状態を言う。本発明では、従来のベア天竺では出来なかった裏面を起毛できることを特徴とするが、裏面のみでなく両面を起毛してもよい。
本発明の編地の染色加工は、通常の弾性繊維を混用したストレッチ編地の加工方法を採用することができる。ストレッチ編物の一般的な工程として、例えば、精練前処理−精練−染色−仕上・セットの順番で加工が行われる。ここで精練前処理は、途中工程で編地に加工シワを発生させないために重要である。例えば生機を乾熱で熱セットを行ったり、拡布で液熱処理することで加工シワを防止できる。弾性繊維に熱セット性が高いポリエステル系ポリウレタン繊維を用いた場合、温度160〜180℃で生機セットすることでカールを防止することができる。また、本発明では、仕上がり生地で伸長率、伸長回復率を悪くしないために、加工中に強い張力がかからないよう注意する。次いで、編地を構成する繊維素材に応じて適切な染料種で染色する。また、精練や染色等の後に液温を下げる時に急速に行うとアクリルがへたるため降温はゆっくり行うようにする。
本発明の編地に対して柔軟剤や帯電防止剤のような一般的な仕上げ加工を付与してもよいし、その他の各種機能加工を単独または併用して施してもよい。機能加工の例として、親水加工など防汚加工、UVカット加工、制電加工、スキンケア加工などあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の編地は、起毛しているにもかかわらず、薄くて軽いことが特徴である。本発明の編地の厚さは好ましくは0.5〜1.3mm、より好ましくは0.6〜1.2mmであり、目付は好ましくは140〜220g/m、より好ましくは150〜200g/mである。また、このような薄さと軽さにも関わらず、保温性が20〜28%と優れている。さらに、本発明の編地は、ストレッチ性に優れており、ヨコ方向の伸長率は95〜110%、タテ方向の伸長率は40〜60%と優れるが、特に一般的な編地と比較してタテ方向の伸長性に優れる。また、本発明の編地の伸長回復率は、タテ、ヨコ方向ともに90〜99%であり、伸縮性に優れる。本発明の編地は、製造過程で縦横の編地密度を上げて通気性を低くできるので、防風効果も得られる。
本発明の編地は、衣料用としての全ての用途に使用することができ、例えばストレッチ性が要望される長袖シャツ、長袖インナーパンツ、スパッツ、タイツ、コンプレッションアンダーやウインタースポーツウエア、Tシャツ等や、重ね着の内側に用いられる婦人アウター等に使用することができる。その中で特に好ましい用途としては、本発明の薄くて軽い特徴を利用した肌着や下着、中衣等の重ね着である。
以下、本発明の効果を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で測定した特性値は、以下の方法に依った。
<編地の厚み>
JIS−L−1096−8.4 厚さA法の編地厚さに準拠して測定した。測定値はn=5回の平均値とした。
<編地の目付>
JIS−L−1096−8.3.2 A法の標準状態における単位面積当たりの質量に準拠して測定した。測定値はn=3回の平均値とした。
<伸長率>
JIS−L−1096−8.16.1の伸び率 B法(定荷重法)に準拠して、掴み間10cm、幅2.5cmの試料片を、一分間当り30cmの引張速度で80%伸張したときの引張応力を測定した。
<伸長回復率>
JIS−L−1096−8.16.2の伸長回復率 B−1法(定荷重法)に準拠して測定した。
<保温性>
カトーテック社製のサーモラボIIを用い、20℃、65%RHの環境下で、BT−BOXのBT板(熱板)を人の皮膚温を想定して35℃に設定し、その上に試料を置き、熱移動量が平衡になったときの消費電力量Wを測定する。また、試料を置かない条件での消費電力量W0を測定する。以下の式で保温性(%)を計算する。
保温性(%)=[(W0−W)/W0]×100
BT板は、サイズ10cm×10cmであるが、試料は20cm×20cmとする。通常は試料を熱板に接触させて測定するが、本発明の保温性は、熱板の上に断熱性のある発砲スチロール等のスペーサーを設置して試料との空隙を5mm設けて計測を行なう。
<外観評価>
仕上がり生地での弾性繊維の状態と染色品位を以下の3段階の基準で目視で評価した。
×:弾性繊維が切れて編目の大きさが変わり、編地表面全体が凹凸となり悪い品位。
△:弾性繊維が所々切れて部分的に編目の大きさが変わり、編地表面に凹凸ができ、悪い品位。
○:弾性繊維は切れておらず、均一の編目が綺麗。
<完全リバーシブルの評価>
仕上がった編地を全幅×1メートルにカットして、平坦な台の上に拡げて静置する。上から編地表面を見て、3層ループの表糸の間から弾性糸が見えるかどうかを観察評価する。次に編地をひっくり返して裏面を上向きにして同様の評価を行う。その評価結果を以下の基準で行う。
○:編地の両側から弾性糸が見えない。
×:表裏いずれかから弾性糸が見える。
(実施例1)
アクリル短繊維(日本エクスラン工業製0.5Tタイプ、0.5dtex、繊維長32mm)70重量%とアクリル短繊維(日本エクスラン工業製1.0Tタイプ、1.0dtex、繊維長38mm)30重量%を、OHARA製混綿機を用いて混綿混紡した後に石川製作所製カード機を用いてカードスライバーとし、原織機製練条機に2回通して250ゲレン/6ydのスライバーとした。更に、このスライバーを豊田自動織機製粗紡機に通して60ゲレン/15ydの粗糸を作成した。そして、豊田自動織機製リング精紡機を用いてドラフト40倍、トラベラ回転数9000rpmで紡出して英式番手80/1の紡績糸を得た。そのときの撚係数(K)は3.8(撚数34T/inch)である。この紡績糸を専用のヤーンキャリアを通して最も針から遠い位置より挿入して表糸とした。また、表糸と同じ糸を用いて専用のヤーンキャリアを通して最も針から近い位置より挿入して裏糸とした。更に、ポリウレタン22T(日清紡モビロンR)を専用のヤーンキャリアを通して表糸と裏糸の中間の位置より挿入して中間糸とし、3層リバーシブル構造を有するベア天竺を編成した。編成の条件は台湾製ベア天竺編機38″−24Gを用い、紡績糸の表側に用いた糸の編成糸長は330mm/100ウエール、裏側に用いた糸の編成糸長は310mm/100Wとした。中間層に用いたポリウレタン22Tの編成糸長は110mm/100Wとした。
得られた生機を以下の条件でプレセットした後、染色、乾燥後生地の裏起毛を実施し、仕上セットを行った。
市金工業製のテンターを用いて180℃×20m/分でプレセットを行った。
次いで日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いて、編地を開反せず後述の処理条件及び精練処方で精練して湯水洗を行った。その後、カチオン染料でアクリルを染色して洗浄後、染色機から編地を取り出した。更に遠心脱水した後、ヒラノテクシード製シュリンクサーファードライヤーを用いて乾燥(120℃×3分)を行なった。
処理条件:浴比1:15、95℃×30分で行った。
精練処方:精練剤(第一工業製薬(株)製ノイゲンHC)1g/l、金属イオン封鎖剤(日華化学(株)製ネオクリスタルGC1000)0.5g/l、ソーダ灰0.5g/l、乾燥時に経方向に編地が伸びないようにテンションに注意した。
乾燥後にイタリア製のLAMPERTI(ランペルティ)針布起毛機を用いてベア天竺生地の裏側に起毛を施し、その後、テンターにて幅出し、セットを行った。乾燥後に開反して、テンターにて幅出しセットを行って性量調整し、最終的に目付168g/m、厚み0.82mmの編地を得た。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。課題であった起毛後のベア切れはなく、ベアの目剥きもない良好な編地を得ることができ、保温性も優れていた。
(実施例2)
表糸を100%綿の英式番手80/1に変更した以外は実施例1と同様にして編地を作成した。綿はスーピマ綿を使用し、石川製作所カード機を用いてカードスライバーとし、次いで豊和製のコーマでコーマスライバーとした後、練条機にて練条スライバーとし、粗紡機にて8倍にドラフトして粗糸を作成し、精紡機にて45倍にドラフトして英式番手80/1の糸を紡出した。染色については、実施例1のアクリル染色に加え、綿の染色は実施例1と同様の染色機を用いて反応染めを行った。その後、実施例1と同様の方法にて生地裏起毛、仕上げセットを行った。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、実施例1と同様にベア切れがなく、目剥きも無い良好な編地を得ることができた。
(実施例3)
表糸に実施例2と同じ100%綿の英式番手80/1を使用し、更に裏糸にポリエステル仮撚加工糸84T−36fを配した以外は実施例1と同様にして編地を作成した。ポリエステル加工糸は東レ製の加工糸を使用した。染色はポリエステルを染めるために分散染色を行った後、綿染めの反応染色を行った。それ以外は実施例1と同様の方法で編地を作成した。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、実施例1と同様に良好な編地を得ることができた。
(実施例4)
表糸にナイロン加工糸78T−48f、裏糸に実施例1と同じ英式番手80/1のアクリルを配した以外は実施例1と同様にして編地を作成した。ナイロン加工糸は東洋紡ナイロンシルファイン78Tを用いた。染色については酸性染料を用いてナイロンを染色した以外は実施例1と同様の方法で編地を作成した。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、表側に長繊維を用いることで綺麗な表面感が得られ、且つ実施例1と同様にベア切れがなく、目剥きも無い良好な編地を得ることができた。
(実施例5)
実施例1と同様の生機を用いて同じ方法で染色加工した後に両面起毛を施し、セットした編地を作成した。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、実施例1と同様に起毛によるベア切れ、目剥きもなく、両面起毛の効果である、肉厚があり、軽量でありながら非常に高い保温性を持つ編地を得ることができた。
(実施例6)
ポリウレタン22Tを給糸の50%(一本交互)に配した以外は実施例1と同様の糸、編成方法で編成した。ポリウレタンを配置していない給糸は表裏のアクリルの二層となっている。出来上がった編地を評価したところ、実施例1と同様にベア切れも無く、良好なストレッチ性、風合いを持った編地を得ることができた。
(実施例7)
表糸に100%綿の英式番手40/1を使用し、裏糸にポリエステル短繊維の英式番手50/2を配し、38″−14Gの編機を用いて実施例3と同様の方法で染色加工した。ポリエステル短繊維は東洋紡製のY型断面糸を使用した。染色はポリエステルを染めるための分散染色を行った後、綿染めの反応染色を行った。その後、実施例1と同様の方法でセットし裏起毛を施した。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、実施例1と同様の特徴を得ることができ、肉厚があり、非常に高い保温性を持つ編地を得ることができた。
(比較例1)
実施例1と同様の糸、編組織、染色方法で作成した編地を、起毛しないで仕上げた。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、生地厚みも薄く、保温性も18.1%と満足なものではなかった。
(比較例2)
実施例1で使用したアクリル100%の英式番手80/1の糸を表側と中間層に配し、裏側にポリウレタンをプレーティングした3層構造の編地を作成し、実施例1と同じ方法で染色加工、裏起毛を施した編地を作成した。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、裏起毛により、ベア切れや、ベアの目剥きが発生し満足のいくものではなかった。また、生地厚みも薄く、保温性も19.2%と満足なものではなかった。
(比較例3)
実施例1で使用したアクリル100%の英式番手80/1を用いてポリウレタン22Tをプレーティングした38″−18Gのベアフライスを作成した。実施例1と同様の加工処方、起毛条件を施して仕上げた。仕上がった編地の詳細と評価結果を表1に示す。出来上がった編地を評価したところ、裏起毛により、ベア切れが発生し,生地の表面品位が満足のいくものではなかった。
本発明の編地によれば、シングルニットの薄地でありながら、保温性の高い繊維素材を用いて強く起毛できるので、着用したときにとても暖かい。更に高いストレッチ性、特にタテ伸びが大きく、肌の伸縮に追随できるため着用快適性に優れている。従って、本発明の編地は、優れたストレッチ性と保温性を求められるインナー、アウター用に好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 弾性糸を含むシングルニットにおいて、全編目にて編ループ内に表糸と裏糸が存在し、さらに表糸と裏糸の中間に弾性糸が配置された3層ループ構造を全編ループのうち45〜100%有し、少なくとも裏糸が起毛されていること、3層ループ構造が完全リバーシブルであること、及び編地の厚さが0.5〜1.3mmであり、目付が140〜220g/m であることを特徴とする起毛編地。
  2. タテ方向に弾性糸が連結するシングルニットであることを特徴とする請求項1に記載の起毛編地。
  3. 編組織が全口ベア天竺、ベアカノコ、コードレーン、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の起毛編地。
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