JP2005299075A - 肌着 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸長率、伸長回復率に優れ、かつ、十分な破裂強力とドレープ性を具備し、婦人用から紳士用まで含めた幅広い分野に適した肌着を低コストで提供する。
【解決手段】異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含み、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上であり、3次元コイル捲縮が発現され、構成糸条単繊維のコイル位相が異なっている編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5〜30mmである肌着。
【選択図】なし

Description

本発明は、肌着に関するものである。さらに詳しくは、優れたストレッチ性と回復性および機械強度、柔らかさをも併せ持った肌着に関するものである。
肌着には、スリップ、キャミソール、ペチコート、ショーツ、シャツ、ボディスーツ、ガードル、ブラジャー等の一般婦人用肌着、あるいは丸首シャツ、U首シャツ、ランニングシャツ、ブリーフ等の一般紳士用肌着等、多くの肌着がある。
これらの肌着は、身体に適度にフィットして、身体の動きを妨げず、その動きに追従する優れたストレッチ性と回復性、ソフトな肌触り感、および繰り返し着用に耐える機械強度が要求される。
編物は織物に比べ、その生地構造上からストレッチ性を出しやすく、身体の動きに伴う動き易さ、また柔らかさから肌着類に多く使用されている。
しかし、近年、さらに身体にフィットして動き易い肌着が望まれ、用いる繊維とか生地について種々の技術的改良がされてきた。
特に、高いストレッチ性と回復性を得るためにスパンデックスと呼ばれるポリウレタン系弾性繊維をナイロン繊維、ポリエステル繊維、綿糸などと組み合わせた編地を用い、肌着とすることが多くされている。
しかし、ポリウレタン系弾性繊維は高いストレッチ性を有するものの、これを混用した場合、ポリウレタン固有の性質として風合いが硬くなり、この編地による肌着の風合いやドレープ性が低下する傾向にある。また、ポリエステル繊維に混用した場合、ポリエステル用の分散染料には染まり難く、洗濯液汚染の問題、および肌着の湿摩擦堅牢度低下の問題がつきまとう。そのため還元洗浄の強化など染色工程が複雑になるばかりか、所望の色彩に染色することが困難であった。さらに、耐熱性が劣るため、編地表面の荒れ、ひいては肌着表面の荒れの問題がある。また、ポリウレタン系弾性繊維のコストも非常に高いものである。
また、例えば、ポリエステル繊維、またはナイロン繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚によるトルクを発現させた繊維を混用することによりストレッチ性を付与する方法が一般的に行われているが、従来からのストレッチ性の範囲にとどまるものである。
また、例えば、ポリブチレンテレフタレート繊維を混用する方法も採られてきた。しかし、この繊維を混用しても、まだ十分に満足されるストレッチ性を持った肌着を得ることができない。
特公昭43−19108号公報
本発明は、上述したかかる従来技術の問題点を解決し、機械強度、耐薬品性、染色加工性、ソフト感、ふくらみ感等を維持しながら優れたストレッチ性と回復性を有する編地からなる肌着を提供すること、およびかかる肌着を効率的に低コストで提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の構成を採用する。
すなわち、(1)異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上である実質的にシボのない編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5〜30mmである肌着。
(2)異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントであって、該異種のポリエステル重合体のうちの少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体とする該複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む実質的にシボのない編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5〜30mmである肌着。
(3)サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントの単糸繊度が0.1〜11デシテックス、総繊度が22〜193デシテックスである(1)または(2)に記載の肌着。
(4)前記編地の密度が22〜85ウエル/インチおよび28〜138コース/インチ、かつ目付が60〜280g/mである(1)〜(3)のいずれかに記載の肌着。
本発明の肌着は、従来の肌着に比べ、伸長率、伸長回復率に優れ、かつ、肌着としての十分な破裂強力とドレープ性をも具備し、婦人用から紳士用まで含む幅広い分野に適応できるものであり、効率よく低コストで製造可能である。
本発明の肌着用の編地は、異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸に含むものである。
サイドバイサイド型の複合繊維は、ポリマの種類や固有粘度、共重合成分、共重合率等が異なる重合体を貼り合わせ、それらの弾性回復率や収縮特性の差によって、捲縮を発現するものである。粘弾性が異なるポリマの組み合わせの場合、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中するため、2成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回復率差および編地の熱処理工程での熱収縮率差により高粘度側が収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および単位繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差を含む)によって決まるといってよく、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
肌着用ストレッチ素材として要求されるコイル捲縮は、コイル径が小さく、単位繊維長さ当たりのコイル数が多い(伸長特性に優れ、見映えが良い)、コイルの耐ヘタリ性が良い(伸長回復に応じたコイルのヘタリ量が小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイルの伸長回復時におけるヒステリシスロスが小さい(弾発性に優れ、フィット感がよい)などである。このコイルの直径は250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
また、フィラメント糸条の長さ方向に形成されるコイルの位相は、糸条を構成させる全単繊維のコイル位相が揃った場合、一本のフィラメント糸条は一本のバネ状の糸条となる。この糸条を用いた編地はフクラミを持ったソフト感を有し、その表面は、細かなシボが立ち美しい表面の編地からなる肌着が得られる。逆に、糸条を構成させる全単繊維のコイル位相が異なった場合、一本のフィラメント糸条は一本のフクラミを持つ仮撚/解撚した仮ヨリ状の糸条となる。この糸条を用いた編地はさらにフクラミを持ったソフト感を有し、その表面は、フラットな美しい表面の編地からなる肌着が得られる。肌着用のストレッチ編地を得る場合、どの糸条を使用するのか特に限定するものではなく、肌着種、好みなどに応じて適宜使い分ければよい。
これらの要求を満足しつつ、ポリエステルとしての特性、例えば適度な張り腰、ドレープ性、高染色堅牢性を有することで、トータルバランスに優れたストレッチ素材からなる肌着とすることができる。ここで、前記のコイル特性を満足するためには高収縮成分(高粘度成分)の特性が重要となる。コイルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には高い伸長性および回復特性が要求される。
そこで、本発明者らはポリエステルの特性を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検討した結果、高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略記する)を主体としたポリエステルを用いるのが好ましいことを見出した。PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)やポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性に極めて優れている。これは、PTTの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュの構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。
ここで、PTTとは、テレフタール酸を主たる酸成分とし、1.3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物として、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの 微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、着色顔料等を添加してもよい。
また、低収縮成分には高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定されるものではないが、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のあるPTT、PET、PBTが好ましい。
また、PTTの紡糸温度における溶融粘度は、もう一方の低収縮成分の紡糸温度における溶融粘度の1.0〜5.0倍であることが好ましい。1.0倍以上、好ましくは1.1倍以上とすることで、紡糸の繊維形成時においてPTTがより大きな紡糸応力を受け、より強い捲縮発現能力を得ることができる。一方、5.0倍以下、好ましくは4.0倍以下とすることで、複合形態の制御が容易となり、また口金下の吐出ポリマの曲がりも紡糸に問題のない程度に抑えることができる。
また、両成分の複合比率は製糸性および繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:低収縮成分=75:25〜35:65(重量%)の範囲が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ましい。
また、サイドバイサイド型複合繊維の繊維断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、扁平断面、ダルマ型断面、C型断面、M型断面、H型断面、X型断面、W型断面、I型断面、+型断面を用いることができるが、捲縮発現性と風合いのバランスからは、図2に示すような丸断面の半円状サイドバイサイド(a)、軽量性、保温性を狙う肌着の場合は中空サイドバイサイド(d)、ドライ風合いを狙う肌着の場合は三角断面サイドバイサイド(g)が好ましく用いられる。
サイドバイサイド型複合繊維は、単糸繊度が0.1〜11デシテックス、総繊度が22〜193デシテックスのフイラメント糸条から構成されることが好ましい。
単糸繊度を11デシテックス以下とすることで、編地の風合いをソフトで適度なドレープ性を有するものとし、肌着として好ましく使用することができる。また、0.1デシテックス以上、さらに好ましくは、1.1デシテックス以上とすることで複合製糸が良好となり、また、捲縮構造が反映され、良好なストレッチ性も得ることができる。さらに、異繊度混繊糸等の単糸繊度の異なる糸を用いるようにしてもよい。このような異繊度混繊糸は、ソフトでかつ適度な張りのある編地からなる肌着を作る観点から好ましい。
編地の構成糸に対するサイドバイサイド型複合繊維の混率は、10重量%以上とするものであり、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がさらに好ましい。この混率が10重量%未満の場合は、後述する肌着用の編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率、および平均伸長回復率について良好な特性を得ることができにくくなる。サイドバイサイド型複合繊維の編地への混用方法としては、他の素材との通常の交編、交撚、引き揃え、カバーリング、混繊などを採用することができ、肌着種別の狙い用途、編地形成法、編組織などに応じて適宜使い分ければよい。
他の素材としては、合成繊維であるポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリ塩化ビニール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系繊維、もしくは半合成繊維であるアセテート系繊維もしくは再生繊維であるビスコース・レーヨン、キュプラを含むセルロース系繊維、牛乳蛋白繊維、大豆蛋白繊維を含む蛋白質系繊維、ポリ乳酸系繊維、もしくはこれらのフィラメント糸条使いや紡績糸使い、または、混紡糸使い、もしくは綿、麻を含む植物系天然繊維、もしくは羊毛、カシミヤ、絹を含む動物系天然繊維、またはさらにこれらの混紡糸使いなどがある。
また、本発明の肌着用の編地は、従来のようにポリウレタン系弾性繊維を混用せずとも優れた伸長率および伸長回復率を得ることができることに特徴があるが、もちろんさらに優れた編地の特性を得るために風合いや染色性等を損なわない範囲でポリウレタン系弾性繊維を混用してもよい。
この肌着用の編地は、丸編地であるシングル丸編地やダブル丸編地、経編地であるシングルトリコット編地やダブルトリコット編地、シングルラッシェル編地やダブルラッシェル編地があり、狙い肌着種などに応じ各々の専用編機にて製編することができる。編組織は、丸編地の天竺組織、鹿の子組織、インターロック組織、メッシュ組織、片面凹凸変化組織など、経編地のハーフ組織、サテン組織、メッシュ組織、片面凹凸変化組織などの肌着として使用されている編組織のものが適用できる。
本発明の肌用の編地は、密度が22〜85ウエル/インチおよび28〜138コース/インチで、かつ目付が60〜280g/mであることが好ましい。編地の密度が22ウエル/インチ以上および28コース/インチ以上とすることで、肌着としての強度低下や目ヨレの発生などがなくなり、また製編性もよくなる。また、密度が85ウエル/インチ以下、および138コース/インチ以下とすることで、編地の風合いが硬くならず、軽量感を損なうことなく、さらに製編性も良好となり好ましい。
また、編地の目付を60g/m以上とすることで、機械強度のある肌着となり、280g/m以下とすることで、肌着の風合いが硬くならず、重く感じたり、動き易さが妨げられず、着用性も良好である。
この製編における編成条件は、通常糸使いの編成条件よりループ長やランナー長を若干大きめに取り編密度を粗くすることが好ましい。このことにより、サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維が染色加工工程を通ることで、その捲縮発現性が十分に発揮され優れたストレッチ性とソフト感、ふくらみ感風合いを持った編地を得ることができる。
製編された生機編地の熱処理、精練や染色等の加工は、通常の編地の加工法に準じて行えばよいが、サイドバイサイド型複合繊維の潜在捲縮をスプリング構造としてより効果的に発現させるために、リラックス・精練熱処理温度を80℃以上とすることが好ましい。また、染色段階での付帯加工として、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、吸汗加工、吸湿加工、紫外線吸収加工、減量加工など、さらに、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、起毛加工、オパール加工など、最終狙い肌着種の要求特性に応じて適宜付与することが望ましい。
本発明の肌着用の編地は、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、タテおよびヨコ方向の平均伸長回復率が60%以上であることが重要である。
平均伸長率および平均伸長回復率は実施例に示す方法で測定することができるが、伸長率とは、編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、肌着にして着用した時、身体の動きに追従し易く、動き易く、疲れ難い。また、伸長回復率とは身体の動きで伸長した編地が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、肌着として着用した時、よりフィット性に富み、動き易い。
この伸長率と伸長回復率は編地のタテ方向とヨコ方向の各々の数値を平均して考える必要がある。これは、肌着にして実際着用して動く場合、編地のタテ方向あるいはヨコ方向の一方向のみ伸長されるわけではなく、人間の身体の丸みに応じて三次元的に編地が伸長されるためである。この三次元的な伸長特性が編地のタテ方向とヨコ方向の平均した伸長率である平均伸長率、および平均伸長回復率と相関し、よく一致するものである。
本発明における編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。平均伸長率55%未満であると肌着として着用し、激しい動き行った場合、身体の動きに肌着が追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。
また、本発明における編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。平均伸長回復率が60%未満であると動きより伸長された編地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから身体の動きに追従しにくくなる。また、肌着としての見映えにも劣ることになる。
本発明の肌着は、カンチレバー法による剛軟度が5〜30mmであることが重要である。カンチレバー法による剛軟度は編地の柔らかさの基準となるものであり、実施例で示す方法にて測定することができる。剛軟度が5mm未満では編地の風合いが柔らかくなりすぎ身体にまとわりついて動きにくくなる。また、30mmより大きいと編地の風合いが硬くなり、肌着として適さなくなる。
なおかつ、本発明の肌着に用いる編地の破裂強力は、0.25MPa以上であるものである。編地の破裂強力が0.25MPa未満では、着用中に破れたりするため使用に耐えられなくなる。
上記の剛軟度のみであれば、用いる糸の繊度や編地の目付を適宜設定することによりある程度は達成しうるが、この破裂強力を維持しつつ所望の剛軟度を得ることが重要である。
この点からも、PTT/PETの複合繊維は、繊維としての強度を維持しつつ良好な柔軟性を有するため、本発明の肌着の編地に好適である。
本発明の肌着は、適宜選択することにより、次のように幅広く展開可能である。例えば、一般婦人用肌着であるスリップ、キャミソール、ペチコート、ショーツ、アンダーパンツ、シャツ、ボディスーツ、ガードル、ブラジャー等。一般紳士用肌着である丸首シャツ、U首シャツ、ランニングシャツ、ブリーフ、トランクス、アンダーパンツ等に好ましく使用できる。

以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例における各評価は次のとおり行った。
(1)溶融粘度
東洋精機(株)社製キャピログラフ1Bを用いて、チッソ雰囲気下で測定した。実施例中に示す温度(実施例1においては275℃)を測定温度とし、歪み速度6080sec−1での測定を3回行い、平均値を溶融粘度とした。
(2)平均伸長率
まず、伸長率の試験法はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に準じて行った。すなわち、10cm×約15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を7.6cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。これを引張速度10cm/minで17.7N(1.8Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である7.6cmまで戻した。この荷重−除重による挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた(図1を参照)。これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、3枚の平均値で表した。
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100
L :つかみ間隔(mm)
L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)
編地のタテ方向、ヨコ方向の各々についての伸長率を加算し、さらにその加算値を1/2にして平均伸長率とした。
(3)平均伸長回復率
また、伸長回復率LB(%)は、前記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留歪み率L2(%)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、3枚の平均値で表した。
伸長回復率LB(%)=(L3/L1)×100
編地のタテ方向、ヨコ方向の各々についての伸長回復率を加算し、さらにその加算値を1/2にして平均伸長回復率とした。
(4)破裂強力
JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に準じて行った。15mm×15mmの試験片を5枚採取する。試験片の表を上にして張力を加えずに普通の状態で、ミューレン型破裂試験機に取り付けて破裂強力を測定し、5枚の平均値で示した。
(5)カンチレバー法による剛軟度
JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に準じて行った。2cm×15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ5枚採集する。一端が45度の斜面をもったカンチレバー型試験器を用いて、試験片の一端の短辺を試験器の斜面側のスケールの基準に合わせる。試験片を斜面の方向に滑らせて試験片の一端が斜面と接した時の他端の位置を読みとる。この試験片が滑った長さを剛軟度(mm)とする。タテ、ヨコ各々5枚の平均値で評価する。この値が小さいほど柔らかいことを意味する。
(6)着用評価(着用時の動き易さ)
それぞれの編地を女性用肌着であるスリップを作製し、20℃×65%RHの室内で成人女性5名の被験者が、外衣とスリップと下着を着用した状態でトレッドミルを使い時速5kmの歩行を10分間行った。その後の被験者の自己申告で歩行のし易さを次の3段階評価で行った。
判定表示 ○:非常に動き易く歩行がし易い
△:動き易さ、歩行のし易さも通常のスリップ並である
×:動き難いため、歩行がしづらい。
(7)総合評価
次のように2段階表示した。
判定表示 ○:肌着として優れている
×:肌着として劣っている。
[実施例1]
固有粘度(IV)が1.40、275℃における溶融粘度が750poiseのホモPTTと固有粘度(IV)が0.60、275℃における溶融粘度が650poiseのホモPETをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度275℃で48孔の複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度1400m/分で引取り、サイドバイサイド型複合構造未延伸糸を得た。さらにホットロール−熱板系延伸機を用いて延伸し次いで一旦巻き取ることなく、連続してリラックスして巻き取り、56デシテックス24フィラメントの延伸糸を得た(繊維断面は図2のa)。
40Gの両面丸編機にて、図3の編方図における構成糸イ、ロとも上記のPTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸を用い、編方図の給糸口F1、F2各々に給糸し、PTT/PETサイドバイサイド複合フィラメント糸100%からなるインターロック組織編地を編成した。
この生機を通常のポリエステル丸編地の染色加工法にしたがい、リラックス・精練、染色、仕上げセットを行い143g/m、密度61ウエール、65コースの編地を得た。得られた編地は、タテおよびヨコの平均伸長率が103%、平均伸長回復率が82%とストレッチ特性に優れたものであった。また、破裂強力も0.7MPa、カンチレバー法による剛軟度も22mmであった。この編地からなるキャミソールによる着用評価結果も、動き易く肌着として優れていると判断されるものであった。詳細結果を表1に示す。
[実施例2]
繊度、フィラメント数が異なる他は実施例1と同様のPTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸(繊維断面は図2のa)33デシテックス12フィラメントを用いて、36Gのシングルトリコット機にて、図4の編方図のBack側構成糸ハに上記PTT/PETのサイドバイサイド複合フィラメント糸を配し、Front側構成糸ニにPET糸からなる33デシテックス24フィラメントを配し、ハーフ組織編地を編成した。この編地設計における糸混率(重量%)は、PTT/PETサイドバイサイド複合糸が25%、PET糸が75%であった。
この生機を通常のポリエステル経編地の染色加工法にしたがい、リラックス・精練、染色、仕上げセットを行い83g/m、密度66ウエール、78コースの編地を得た。得られた編地は、タテおよびヨコの平均伸長率が92%、平均伸長回復率が87%とストレッチ特性に優れたものであった。また、破裂強力も0.32MPa、カンチレバー法による剛軟度も9mmであった。この編地からなるスリップによる着用評価結果も、動き易く肌着として優れていると判断されるものであった。詳細結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
実施例1と同じ丸編機を用い、図3の編方図における構成糸イ、ロともPET加工糸56デシテックス12フィラメント糸を用い、編方図の給糸口F1、F2各々に給糸し、通常糸100%からなるインターロック組織編地を編成した。
この生機を実施例1と同一の染色加工法を行い、121g/m、密度65ウエール、57コースの編地を得た。得られた編地は、タテおよびヨコの平均伸長回復率が61%であるものの、平均伸長率が48%とストレッチ特性に劣るものであった。また、破裂強力は0.65MPaと満足するものの、カンチレバー法による剛軟度は32mmとドレープ性に劣るものであった。この編地からなるスリップによる着用評価結果は、動きにくく肌着として不適と判断されるものであった。詳細結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
実施例2と同一の経編機を用い、図4の編方図のBack側構成糸ハ、およびFront側構成糸ニにPET糸33デシテックス24フィラメント糸を配し、PET糸100%からなるハーフ組織編地を編成した。
この生機を実施例2と同一の染色加工法を行い、71g/m、密度55ウエール、71コースの編地を得た。得られた編地は、タテおよびヨコの平均伸長率が48%、平均伸長回復率が57%とストレッチ特性に劣るものであった。また、破裂強力も0.21MPaと劣るものであった。カンチレバー法による剛軟度は11mmであった。この編地からなるスリップによる着用評価結果は、動きにくく肌着として不適と判断されるものであった。詳細結果を表1に併せて示す。
Figure 2005299075
荷重−伸長回復曲線の説明図である。 本発明に使用する繊維の繊維横断面形状の一例を示すモデル図である。 実施例1、比較例1の編地の編方図である。 実施例2、比較例2の編地の編方図である。
符号の説明
L1:編地の伸び
L2:編地の歪み伸び
L3:編地の回復伸び
a〜g:繊維横断面形状
F1〜F2:編機の給糸口NO
イ〜ハ:編地構成糸

Claims (4)

  1. 異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む、タテおよびヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上である実質的にシボのない編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5〜30mmである肌着。
  2. 異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントであって、該異種のポリエステル重合体のうちの少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主体とする該複合繊維フィラメントを構成糸全体の10重量%以上含む実質的にシボのない編地からなり、かつ該編地の破裂強力が0.25MPa以上、カンチレバー法による剛軟度が5〜30mmである肌着。
  3. サイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維フィラメントの単糸繊度が0.1〜11デシテックス、総繊度が22〜193デシテックスである請求項1または2に記載の肌着。
  4. 前記編地の密度が22〜85ウエル/インチおよび28〜138コース/インチ、かつ目付が60〜280g/mである請求項1〜3のいずれかに記載の肌着。
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