JP6235773B2 - 吸音材用複合不織布 - Google Patents
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Description
なお本発明には、前記吸音材用複合不織布を含む吸音材も包含される。
本発明の吸音材用複合不織布7は、捲縮中空繊維を含む短繊維不織布1と、吸音フィルム層2とが積層された構成を有している。本発明の吸音材用複合不織布7は、適度な弾性を有しているため、伝達された音が吸音材用複合不織布7に当たると、吸音フィルム層2が中心となって吸音材用複合不織布7が振動する。このように、音の持つ振動エネルギーが、吸音材用複合不織布7の振動エネルギーや熱エネルギーに変換されることにより、モーターから発生した音の持つ振動エネルギーは減少する。これにより、室内の騒音が低下する。
短繊維不織布1には、捲縮繊維が配合されている。捲縮繊維を使用することにより、通常の繊維に比べて、同じ重量であっても一定の厚さをもつ不織布に仕上げることができる。
本発明では、捲縮繊維の中でも、特に捲縮中空繊維を使用する。捲縮中空繊維は中が空洞であるため、通常の捲縮繊維と同じ目付で不織布を形成しても、捲縮中空繊維を用いた不織布は、嵩密度を上げることなく、吸音材用複合不織布7を厚く仕上げることができる。また、捲縮中空繊維であれば、繊維の中が空洞であるため、短繊維不織布1の嵩密度を低く仕上げることが可能となる。嵩密度が低くなれば、不織布中に空隙が存在するため、仮に短繊維不織布1に火炎が接した場合であっても、隣接する繊維に火が移動することを防止することができる。加えて、所謂バンブー効果により、捲縮中空繊維を含む不織布は曲げ剛性を有することから、風圧等の圧力を受けても変形することなく、長期間の使用が可能となる。
短繊維不織布1には、前述した捲縮中空繊維以外の他の繊維を配合することも可能である。
短繊維不織布1は、乾式法により形成されることが望ましく、繊維の結合方法としては、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、水流絡合法等が例示できる。中でも、捲縮繊維のクリンプを崩すことなく形成できることから、サーマルボンド法が好適である。
前述した繊維により形成される短繊維不織布1の目付は、例えば、150〜340g/m2が好ましく、より好適には170〜300g/m2であり、更に好適には180〜250g/m2である。目付が340g/m2を超えると、得られる吸音材用複合不織布7の重量が重くなり、軽量な吸音材に仕上げることができない。また、目付が150g/m2を下回ると、得られる吸音材用複合不織布7が充分な剛性を有しないため好ましくない。
次に吸音フィルム層2について説明する。モーター等の音源から発生した音は、振動しながら空気中を伝わる。本発明の吸音材用複合不織布7は適度な弾性を有しているため、伝達された音が吸音材用複合不織布7に当たると、吸音フィルム層2が中心となって吸音材用複合不織布7が振動し、音の持つ振動エネルギーが、吸音材用複合不織布7の振動エネルギーや熱エネルギーに変換されることにより、室内の騒音が低下する。
基材フィルム4の厚さは、例えば7〜20μmが好ましく、より好適には9〜18μmであり、更に好適には10〜16μmである。基材フィルム4の厚さが7μmを下回ると、吸音フィルムが薄く、音が当たったときに吸音材用複合不織布7を充分に振動できず、吸音効果が小さくなるため好ましくない。また、基材フィルム4の厚さが7μmを下回ると、フィルムの機械的強さが低下し、フィルムに穴が開いたり、破れなどが生じ易くなる。一方、基材フィルム4の厚さが20μmを超えると、吸音材用複合不織布7に炎が接するときや、吸音材用複合不織布7が高温に曝され内部に蓄熱した場合に基材フィルム4が連続的に発火・燃焼を続け(所謂、ろうそくの芯現象)、炎が吸音材用複合不織布を構成する短繊維不織布1や、カバー層6に燃え広がったり、燃焼滴下物が生じることがあり好ましくない。
接着層3、5とは、基材フィルム4を他の層と接合する機能を有する層である。基材フィルム4と他の層を接合する方法としては、1)基材フィルム4よりも融点の低い熱接着性フィルムを接着層3、5として採用し、基材フィルム4を他の層と積層し、加熱処理することにより基材フィルム4と他の層を接合する方法、2)基材フィルム4に接着剤(接着層3、5)を塗工し、接着剤の塗工された基材フィルム4と他の層を接合する方法等が例示できる。中でも、得られる吸音材用複合不織布7の弾性を損なわないことから、1)に示す熱接着性フィルムを用いる接合方法の採用が好ましい。
なお、接着層3、5として熱接着性フィルムを用いる場合、基材フィルム4と熱接着性フィルムの厚さ及び熱収縮率を同じにすることがより好ましい態様である。基材フィルム4と熱接着性フィルムの厚さ及び熱収縮率が同じであれば、基材フィルム4の両面に積層される熱接着性フィルムの力学特性が近似するため、バイメタルの原理によるカールの発生を抑制できる。このため可能な限り、熱接着性フィルムの厚さ及び熱収縮率を厳しく管理することが望まれる。
前述した基材フィルム4と接着層3、5を含む吸音フィルム層2は、厚さが20〜60μmであり、より好適には22〜50μmであり、更に好適には25〜40μmである。吸音フィルム層2の厚さが60μmを超えると、基材フィルム4が振動し難くなり、吸音材用複合不織布7の吸音性能が低下する虞がある。また、吸音フィルム層2の厚さが60μmを超えると、吸音材用複合不織布7に火炎が接するときや、吸音材用複合不織布7が高温に曝されるときに、吸音フィルム層2中の基材フィルム4や接着層3、5に熱が残り、これが燃焼源となって発火し(ろうそくの芯現象)、火炎が短繊維不織布1やカバー層6に燃え広がったり、燃焼滴下物が生じる虞がある。また、厚さが20μmを下回ると、吸音フィルム層2が薄く、得られる吸音材用複合不織布7の剛性が不足する虞がある。
7〜45g/m2であり、更に好適には30〜40g/m2である。吸音フィルム層2の重量が前記範囲内であれば、得られる吸音フィルム層2を軽量に仕上げることができる。
本発明の吸音材用複合不織布7には、短繊維不織布1や吸音フィルム層2の傷つき防止の為に、カバー層6を積層することも可能である。カバー層6は、短繊維不織布1や吸音フィルム層2が傷つくことを防止するため、耐摩耗性に優れることが望ましい。
本発明の吸音材用複合不織布7は、前述した方法により形成された、短繊維不織布1、吸音フィルム層2、カバー層6を積層することにより形成される。短繊維不織布1、吸音フィルム層2、カバー層6は、短繊維不織布1、吸音フィルム層2、カバー層6の順に積層されることが望ましい。短繊維不織布1を吸音フィルム層2よりも外側に配置することにより、吸音材用複合不織布7に火炎が接近してくる場合であっても、短繊維不織布1に火炎が燃え移ることを防止でき、燃焼性の高い吸音フィルム層2まで火炎が移動することを防止できる。また、カバー層6を、吸音フィルム層2よりも外側に配置することにより、傷つきやすい吸音フィルム層2を確実に保護することができる。
本発明の吸音材用複合不織布7は、1500〜3000Hzの音域に属するモーター音等の騒音吸音性能に優れ、更に難燃性を有していることから、洗濯機、冷蔵庫、冷凍庫、乾燥機、掃除機、エアコン、空気清浄機、パソコン、複写機、ファクシミリ、プリンター等の家電製品の吸音材として使用可能である。
次に、本発明の吸音材用複合不織布7の製造方法について説明する。
(1)厚さ;JIS1級鋼尺を用いて見掛け厚さを測定した。
(2)目付;JIS L1913の6.2法に準ず
(3)燃焼性;UL94HF法(水平試験)に準ず
(4)剛軟度;JIS L1096 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準ず
(5)吸音性能;JIS A1405.2(垂直入射吸音率)に準ず
なお試料は、音の入射側がカバー層面となるように設置した。
(6)嵩密度;
吸音材用複合不織布において、加熱圧着工程後の短繊維不織布層の嵩密度は、前述した方法により測定された目付を厚さで除し、g/cm3に単位換算することにより求めた。
繊度6.6dtex、繊維長51mmの中空顕在捲縮ポリエステル繊維20重量%と、繊度14.4dtex、繊維長64mmの中空顕在捲縮ポリエステル繊維40重量%と、繊度4.4dtex、繊維長51mmの融点110℃の低融点ポリエステル繊維40重量%を、それぞれ計量し、混綿、カーディング、及びラッピング工程を経た後、190℃に加熱した熱処理機で1分間の熱処理を行い、目付190g/m2、厚さ16mmの短繊維不織布を形成し、得られた短繊維不織布をロールアップした。
ポリエステル樹脂(PET樹脂)を熔融紡糸し、次いでエアジェットにより牽引・細化することにより、15g/m2の長繊維スパンボンド不織布を得た。得られた不織布に、カレンダー加工及びエンボス加工を施すことにより、カバー層として使用する長繊維スパンボンド不織布(SB)を得た。
巻き取られた短繊維不織布、吸音フィルム層としてポリエチレン−ナイロン−ポリエチレンの積層構造を有する3層フィルム(各層の厚さ:15μm、目付:45g/m2)、及び圧密加工された長繊維スパンボンド不織布を順に積層し、クリアランス14mmに設定したベルト式連続板状ヒーターを有するラミネート機にて、温度190℃で2分間加熱圧着することにより、吸音材用複合不織布を得た。
得られた吸音材用複合不織布の目付は250g/m2、厚さは14mm、加熱圧着後の短繊維不織布層の嵩密度は0.014g/cm3であった。
実施例1において、短繊維不織布の目付及びラミネート機のクリアランスを変更すること以外は実施例1と同様の方法により、吸音材用複合不織布を得た。当該吸音材用複合不織布の特性を表1に示す。
ポリエチレン−ナイロン−ポリエチレンの積層構造を有する3層フィルム(各層の厚さ:10μm、目付:30g/m2)を使用すること以外は実施例2と同様の方法により、吸音材用複合不織布を得た。特性を表1に示す。
ポリエステル繊維に、前記ポリエステル繊維よりも融点の低い低融点ポリエステル繊維を混合してサーマルボンド不織布を形成し、次いで当該不織布にカレンダー加工を施すことにより、カバー層として使用するサーマルボンド不織布(TB)を得た。この圧密加工されたサーマルボンド(TB)不織布をカバー層として使用すること以外は、実施例2と同様の方法により、吸音材用複合不織布を得た。特性を表1に示す。
ポリエステル樹脂(PET樹脂)を熔融紡糸し、次いでエアジェットにより牽引・細化することにより、15g/m2の長繊維スパンボンド不織布を得た。得られた不織布には、カレンダー加工及びエンボス加工を施した。
ポリエチレン−ナイロン−ポリエチレンの積層構造を有する3層フィルム(各層の厚さ:15μm、目付:45g/m2)、及び圧密加工された長繊維スパンボンド不織布を順に積層し、平板プレス機にて加熱圧着することにより、吸音材用複合不織布を得た。
繊度6.6dtex、繊維長51mmの中空顕在捲縮ポリエステル繊維20重量%と繊度14.4dtex、繊維長64mmの中空顕在捲縮ポリエステル繊維40重量%と繊度4.4dtex、繊維長51mmの融点110℃の低融点ポリエステル繊維40重量%をそれぞれ計量、カーディング、ラッピング工程を経た後、熱処理機190℃で1分間熱処理を行い、短繊維不織布を得た。当該不織布を用いて特性を評価した。
短繊維不織布を構成する繊維として、繊度6.6dtex、繊維長51mmの顕在捲縮ポリエステル繊維20重量%と、繊度14.4dtex、繊維長64mmの顕在捲縮ポリエステル繊維40重量%と、繊度4.4dtex、繊維長51mmの融点110℃の低融点ポリエステル繊維40重量%を使用すること以外は、実施例2と同様の方法により吸音材用複合不織布を得た。
クリアランスを変更すること以外は実施例1と同様の方法により、吸音材用複合不織布を得た。当該吸音材用複合不織布の特性を表2に示す。
ポリエチレン−ナイロン−ポリエチレンの積層構造を有する3層フィルム(各層の厚さ:ポリエチレン45μm−ナイロン15μm−ポリエチレン45μm、目付:105g/m2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法により、吸音材用複合不織布を得た。特性を表2に示す。
ポリプロピレンを原料とする繊度0.1dtexのメルトブローン繊維と、ポリエステルを原料とする繊度6.6dtexの短繊維を複合した不織布(住友スリーエム社製「シンサレート(登録商標)TAI−2047」)1層からなる不織布を用いて、その特性を測定した。結果を表2に示す。
前記シンサレート(登録商標)TAI−2047を短繊維不織布として用い、ポリエチレン−ナイロン−ポリエチレンの積層構造を有する3層フィルム(各層の厚さ:15μm、目付:45g/m2)、及び圧密加工された長繊維スパンボンド不織布を順に積層し、ラミネート機を用いて加熱圧着をすることにより、吸音材用複合不織布を得た。
Claims (9)
- 捲縮中空繊維を含む短繊維不織布と、吸音フィルム層とが積層され、
前記短繊維不織布の嵩密度が0.013〜0.015g/cm3であり、
短繊維不織布の厚さが12〜21mmであり、
前記吸音フィルム層の厚さが20〜60μmであり、
前記吸音フィルム層は、基材フィルムと接着層を有する層であり、前記基材フィルムを構成する樹脂の融点は200〜300℃であり、
1800〜2200Hzに吸音率のピークを有することを特徴とする吸音材用複合不織布。 - 前記短繊維不織布の目付が150〜340g/m2である請求項1に記載の吸音材用複合不織布。
- 前記短繊維不織布100重量%における、捲縮中空繊維の配合比率が、10〜100重量%である請求項1又は2に記載の吸音材用複合不織布。
- 前記短繊維不織布は、繊度が8dtex以上25dtex以下の捲縮中空繊維を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸音材用複合不織布。
- 布帛から構成されるカバー層が、吸音フィルム層よりも外側に積層されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音材用複合不織布。
- 前記短繊維不織布に難燃繊維が配合されていない請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸音材用複合不織布。
- UL94HF法に準じて判定される難燃性能がHF−1に適合する請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸音材用複合不織布。
- JIS L1096 8.21.1 A法に準じて測定される剛軟度が145mm以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸音材用複合不織布。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸音材用複合不織布を含む吸音材。
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