JP6231144B2 - 漏水防止部材、漏水防止方法および漏水防止構造 - Google Patents

漏水防止部材、漏水防止方法および漏水防止構造 Download PDF

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Description

本発明は、漏水防止部材、漏水防止方法および漏水防止構造、詳しくは、水路などの漏水を防止するために用いられる漏水防止部材、それを用いた漏水防止方法および漏水防止構造に関する。
従来、小規模な農業用水路や道路側溝などの水路は、コンクリート製の水路部材として例えばU字型などの水路用コンクリートブロックが、複数連結および敷設されてなることなどにより、形成されている。
コンクリート製の水路部材は長期間経過すると、その連結部分に充填された目地材が剥離または消耗し、連結部分に隙間が生じる。また、コンクリート製の水路部材にひび割れが生じる。その結果、連結部分やひび割れなどの隙間から漏水が生じ、沿線の農地に湿害を発生させるとともに、下流の農地への灌漑に必要な量の用水を供給できない場合が生じる。また、周辺に住宅などが存在する場合は、床下浸水などの被害を起こすおそれが生じる。
このような漏水を防止するためにその隙間に貼着することができる漏水補修材が知られている(特許文献1参照。)。
特許文献1には、基材層と付着層とを備え、基材層はアルミニウムフィルムなどから構成され、付着層は改質アルファルト系粘着剤などから構成され、これら基材層と付着層とで柔軟性に差を設けたコンクリート水利構造物の漏水補修材が記載されている。
特開2010−133203号公報
しかるに、コンクリート製の水路部材は、その環境から寒暖によって熱膨張や熱収縮を繰り返したり、外部から衝撃が加わる場合があり、連結部分やひび割れなどの隙間も伸縮を繰り返す。また、農業用水に混入する土砂などによって水路は摩耗し、コンクリート製水路部材の表面には凹凸が生じている。
しかしながら、特許文献1の漏水補修材では、基材層がアルミニウムフィルムなどから構成されているため、隙間の伸縮や表面の凹凸に対する追従性が低い。そのため、長期間使用した場合に、漏水補修材とコンクリート製の水路部材との間に再度隙間が発生し、漏水するという不具合が生じる。
本発明の目的は、長期間漏水を防止することができる漏水防止部材、漏水防止方法および漏水防止構造を提供することにある。
本発明の漏水防止部材は、水路の漏水を防止する漏水防止部材であって、幅10mmの漏水防止層を幅方向に直交する長手方向に10%伸長したときの10%伸長変形時の荷重が20N以下であり、かつ、破断伸びが50%以上である漏水防止層を備えることを特徴としている。
また、本発明の漏水防止部材では、前記漏水防止層は、粘着剤層と、前記粘着剤層の一方面に設けられる基材層とを備えることが好適である。
また、本発明の漏水防止部材では、前記粘着剤層および前記基材層が、ともにゴムを含有する組成物から形成されていることが好適である。
また、本発明の漏水防止部材では、前記基材層が、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有することが好適である。
また、本発明の漏水防止部材では、前記粘着剤層が、ブチルゴムを含有することが好適である。
また、本発明の漏水防止部材では、前記漏水防止部材が、前記粘着剤層の他方面に設けられる剥離基材層を備え、前記剥離基材層が、前記剥離基材層の長手方向に沿う切り目により分断されている第1剥離部および第2剥離部を備えることが好適である。
本発明の漏水防止方法は、水路の漏水を防止する漏水防止方法であって、上記の漏水防止部材を用意する用意工程、および、前記水路の漏水部分を被覆するように前記漏水防止部材を前記水路に貼着する貼着工程を備えることを特徴としている。
また、本発明の漏水防止方法は、前記漏水防止部材を、プライマー層が表面に形成された前記水路に貼着することが好適である。
また、本発明の漏水防止方法では、前記貼着工程において、前記漏水防止部材の長手方向に張力を与えずに前記漏水防止部材を前記水路に貼着することが好適である。
また、本発明の漏水防止方法では、前記用意工程が、上記の漏水防止部材を用意する工程であり、前記貼着工程は、前記第1剥離部を剥離し、前記第1剥離部に対応する粘着剤層を前記水路に貼着する第1貼着工程、および、第1貼着工程の後に、前記第2剥離部を剥離し、前記第2剥離部に対応する粘着剤層を前記水路に貼着する第2貼着工程を備えることが好適である。
また、本発明の漏水防止構造は、水路の漏水を防止する漏水防止構造であって、前記水路と、前記水路の漏水部分を被覆するように前記水路に設けられる上記の漏水防止層とを備えることを特徴としている。
本発明の漏水防止部材、漏水防止方法および漏水防止構造によれば、漏水防止部材が、10%伸長変形時の荷重が20N以下であり、かつ、破断伸びが50%以上である漏水防止層を備える。そのため、漏水部分の伸縮や水路表面の凹凸に応じて、漏水防止層も伸縮・追従することができ、漏水部分に長期間貼着した場合であっても、漏水部分からの剥離を抑制することができる。したがって、漏水を長期間防止することができる。
図1は、本発明の漏水防止部材の一実施形態の断面図を示す。 図2は、図1の漏水防止部材の全体斜視図を示す。 図3は、図1の漏水防止部材を用いた漏水防止構造の全体斜視図を示す。 図4A−図4Bは、図1の漏水防止部材を用いた漏水防止方法の工程図であって、図4Aは、コンクリート水路の貼着領域を決定する工程、図4Bは、コンクリート水路にマスキング部を設ける工程を示す。 図5C−図5Dは、図4A−図4Bに引き続き、図1の漏水防止部材を用いた漏水防止方法の工程図であって、図5Cは、コンクリート水路にプライマー層を設ける工程、図5Dは、漏水防止部材を配置する工程を示す。 図6E−図6Fは、図5C−図5Dに引き続き、図1の漏水防止部材を用いた漏水防止方法の工程図であって、図6Eは、第1粘着部を貼着領域に貼着する工程、図6Fは、第2粘着部を貼着領域に貼着する工程を示す。 図7G−図7Hは、図6E−図6Fに引き続き、図1の漏水防止部材を用いた漏水防止方法の工程図であって、図7Gは、粘着剤層の全面が貼着領域に貼着されている工程、図7Hは、マスキング部を除去する工程を示す。 図8A−図8Bは、漏水防止構造の断面図であって、図8Aは、漏水防止層がコンクリート水路に貼着した直後における漏水防止構造、図8Bは、漏水防止層がコンクリート水路の凹部に密着した際における漏水防止構造を示す。 図9A−図9Bは、漏水防止構造の断面図であって、図9Aは、コンクリート水路の隙間が伸長した場合における漏水防止構造、図9Bは、コンクリート水路の隙間が縮小した場合における漏水防止構造を示す。 図10は、本発明の漏水防止構造の他の実施形態(コンクリート水路が枡形水路である)の透視図を示す。 図11は、本発明の漏水防止構造の他の実施形態(二枚の漏水防止層を継ぎ合わせている形態)の斜視図とその拡大断面図を示す。 図12は、本発明の漏水防止構造の他の実施形態(漏水防止層の一部が重ね合わせている形態)の斜視図とその拡大平面図を示す。 図13は、実施例および比較例で用いた漏水試験装置の概略図を示す。 図14A、図14Bは、図13に示す漏水試験装置において、漏水防止層が貼着されたコンクリート平板を示し、図14Aは、平面図、図14Bは、側断面図を示す。 図15は、漏水試験Aで得られた漏水量に関するグラフを示す。 図16は、漏水試験Bで得られた漏水量に関するグラフを示す。 図17は、漏水試験Cで得られた漏水量に関するグラフを示す。 図18は、漏水試験Dで得られた漏水量に関するグラフを示す。 図19は、漏水試験Eで得られた漏水量に関するグラフを示す。 図20は、漏水試験Fで得られた漏水量に関するグラフを示す。
図1Aにおいて、紙面上下方向は、漏水防止部材の上下方向(漏水防止部材の厚み方向、第1方向)であって、紙面上側は、上側(厚み方向一方側、第1方向一方側)、紙面下側は、下側(厚み方向他方側、第1方向他方側)である。紙面左右方向は、前後方向(長手方向、第1方向に直交する第2方向)であって、紙面右側が、前側(長手方向一方側、第2方向一方側)、紙面左側が、後側(長手方向他方側、第2方向他方側)である。紙面紙厚方向は、幅方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)であって、紙面手前側が、幅方向一方側(第3方向一方側)、紙面奥側が、幅方向他方側(第3方向他方側)である。以下の説明において、漏水防部材の方向に関する記載については、図1Aの方向に準じる。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
1.漏水防止部材
図1および図2に示すように、漏水防止部材1は、前後方向(長手方向)に長尺なシートであってロール状に巻回されている。漏水防止部材1は、漏水防止層2および剥離基材層3を備えている。漏水防止層2は、粘着剤層4と、粘着剤層4の上面(上側の表面、一方面)に設けられる基材層5と、基材層5の上面に設けられる背面処理層6とを備えている。
(粘着剤層)
粘着剤層4は、粘着剤組成物からシート状に形成されている。粘着剤組成物としては、例えば、ゴム粘着剤組成物、アクリル粘着剤組成物、ポリエステル粘着剤組成物、ウレタン粘着剤組成物、ポリアミド粘着剤組成物、エポキシ粘着剤組成物、ビニルアルキルエーテル粘着剤組成物、シリコーン粘着剤組成物、フッ素粘着剤組成物などの公知の粘着剤が挙げられる。これら粘着剤組成物は、単独で使用してもよく、または、2種類以上併用してもよい。
これら粘着剤組成物は、ホットメルト型粘着剤であってもよく、また、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固形系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
粘着剤組成物としては、好ましくは、密着性および伸長性の観点から、ゴム粘着剤組成物が挙げられる。
ゴム粘着剤組成物に含有されるゴムとしては、例えば、天然ゴムおよび合成ゴムのいずれであってもよいが、好ましくは、合成ゴムが挙げられる。
合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、これらの変性体などが挙げられる。
これら合成ゴムの中でも、好ましくは、ブチルゴムが挙げられる。
ゴム粘着剤組成物におけるゴムの配合割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、35質量%未満である。
粘着剤組成物(特に、ゴム粘着剤組成物)は、好ましくは、粘着付与剤を含有する。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂(例えば、テルペン−芳香族系液状樹脂など)、クマロンインデン系樹脂、フェノール系樹脂、フェノールホルマリン系樹脂、キシレンホルマリン系樹脂、石油系樹脂(例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂など)などが挙げられる。これら粘着付与剤は、単独で使用してもよく、または、2種類以上併用してもよい。
粘着付与剤の含有割合は、ゴムなどの粘着主成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下、好ましくは、100質量部以下である。
粘着剤組成物(特に、ゴム粘着剤組成物)は、好ましくは、軟化剤を含有する。
軟化剤としては、例えば、液状ポリブテンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴムなどの液状ゴム類、例えば、パラフィン系オイル(プロセスオイルなど)、ナフテン系オイルなどのオイル類、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステルなどのエステル類などが挙げられる。これら軟化剤は、単独で使用してもよく、または、2種類以上併用してもよい。
軟化剤の含有割合は、ゴムなどの粘着主成分100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、80質量部以上であり、また、例えば、300質量部以下、好ましくは、150質量部以下である。
粘着剤組成物(特に、ゴム粘着剤組成物)は、好ましくは、充填材をさらに含有する。
充填材は、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など)、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラックなど)、タルク、マイカ、クレー、雲母粉、ベントナイト、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、酸化チタン、金属粉(例えば、アルミニウム粉、鉄粉など)、樹脂粉(例えば、アクリル樹脂粉、スチレン樹脂粉など)、ガラス粉、窒化ホウ素粉、金属水酸化物(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)などが挙げられる。これら充填剤は、単独で使用してもよく、または、2種類以上併用してもよい。
これら充填材のなかでは、好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラックが挙げられ、より好ましくは、炭酸カルシウムとカーボンブラックとの併用が挙げられる。
充填材の含有割合は、ゴムなどの粘着主成分100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、また、例えば、350質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
粘着剤組成物は、さらに上記成分に加えて、例えば、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、架橋促進剤、発泡剤、滑剤、酸化防止剤、揺変剤、油脂類、顔料、スコーチ防止剤、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を、適宜の割合で含有することもできる。
粘着剤層4の作製については、まず、上記した各成分を、上記した含有割合において配合し、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などの混練機によって混練して、混練物として調製する。次いで、混練物を、例えば、プレス機によるプレス成形やカレンダーロールによるカレンダー成形によって圧縮延伸することにより、粘着剤層4が得られる。なお、粘着剤層4は、押出機などにより、直接押出成形することにより得ることもできる。
粘着剤層4の厚さは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.2mm以上、より好ましくは、0.3mm以上であり、また、例えば、3.0mm以下、好ましくは、2.0mm以下、より好ましくは、1.0mm以下である。
(基材層)
基材層5は、好ましくは、伸長性の観点から、ゴム組成物からシート状に形成されている、すなわち、好ましくは、ゴムシートである。
ゴム組成物に含有されるゴムとしては、例えば、天然ゴムおよび合成ゴムのいずれであってもよいが、好ましくは、合成ゴムが挙げられる。
合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリブテンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、スチレン−ブタジエン(SB)ゴム、スチレン−イソプレン(SI)ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、これらの変性体などが挙げられる。これら合成ゴムは、単独で使用してもよく、または、2種類以上併用してもよい。
これら合成ゴムとしては、好ましくは、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが挙げられる。特に合成ゴムは、好ましくは、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有し、より好ましくは、ブチルゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエンゴムを併用する。
合成ゴムが、ブチルゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエンゴムの併用である場合、エチレン−プロピレン−ジエンゴムに対するブチルゴムの質量比は、例えば、0.1以上、好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、2以下である。
ゴム組成物におけるゴムの配合割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、35質量%以上であり、また、例えば、65質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
ゴム組成物は、好ましくは、軟化剤をさらに含有する。
軟化剤としては、ゴム粘着剤組成物で上記した軟化剤と同様のものが挙げられ、好ましくは、パラフィン系オイルが挙げられる。
軟化剤の含有割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
ゴム組成物は、好ましくは、充填材をさらに含有する。
充填材としては、ゴム粘着剤組成物で上記した充填剤と同様のものが挙げられ、好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラックが挙げられ、より好ましくは、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックの併用が挙げられる。
充填材の含有割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、また、例えば、350質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
ゴム組成物は、さらに上記成分に加えて、例えば、発泡剤、滑剤、酸化防止剤、揺変剤、油脂類、顔料、スコーチ防止剤、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を、適宜の割合で含有することもできる。
基材層5の作製については、まず、上記した各成分を、上記した含有割合において配合し、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などの混練機によって混練して、混練物として調製する。次いで、混練物を、例えば、プレス機によるプレス成形やカレンダーロールによるカレンダー成形によって圧縮延伸することにより、基材層5が得られる。
混練および/または圧縮延伸の際に、必要に応じて加熱する。
加熱温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、150℃以下である。
基材層5の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.2mm以上、より好ましくは、0.3mm以上であり、また、例えば、2.0mm以下、好ましくは、1.5mm以下、より好ましくは、1.0mm以下である。基材層5の厚みが薄すぎると、衝撃に弱くなる場合がある。一方、基材層5の厚みが厚すぎると、漏水防止層2を引き伸ばす際に要する力が大きくなる場合がある。
粘着剤層4の厚みに対する基材層5の厚みは、例えば、0.1以上、好ましくは、0.3以上、より好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、10未満、好ましくは、5以下、より好ましくは、3以下である。
基材層5は、漏水防止層2の10%伸長変形時の荷重および破断伸びの観点から、好ましくは、未加硫ゴムによるゴムシートである。
(背面処理層)
背面処理層6は、基材層5の上面(すなわち、基材層5における粘着剤層4と反対側にある背面)に設けられており、好ましくは、非自着性および非離型性を備える層である。
背面処理層6を形成する組成物としては、好ましくは、アクリル系組成物などが挙げられる。
アクリル系組成物は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー成分を重合させることにより得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルであって、例えば、アルキル基の炭素数が2〜20(好ましくは、15〜20)の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
また、モノマー成分として、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーを含有する。
共重合可能なモノマーとしては、例えば、ニトリル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマーなどが挙げられる。好ましくは、ニトリル基含有モノマーなどの官能基含有モノマーが挙げられる。
ニトリル基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリルなどが挙げられる。
モノマー成分が、共重合可能なモノマーを含有する場合、モノマー成分における共重合可能なモノマーは、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、50質量%未満、好ましくは、40質量%以下である。
アクリル系組成物の重量平均分子量は、例えば、1万以上、好ましくは、2万以上であり、また、例えば、100万以下、好ましくは、10万以下である。
背面処理層6は、例えば、モノマー成分をトルエンなどの有機溶媒中で重合してアクリル系組成物含有溶液(背面処理液)を調製し、アクリル系組成物含有溶液を基材層5の上面に塗布および乾燥させることにより得られる。
背面処理層6の厚みは、例えば、0.5μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、10μm以下である。
(漏水防止層)
漏水防止層2は、例えば、粘着剤層4の上面に基材層5を貼り合わせて積層体を得、次いで、積層体の基材層5の上面(粘着剤層4と反対側の面)に背面処理層6を形成することにより得られる。なお、積層体は、例えば、基材層5に粘着剤組成物を塗布する方法、剥離基材層3に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層4を形成し、その粘着剤層4を基材層5に転写する方法などによっても得ることができる。
漏水防止層2では、好ましくは、伸長性の観点から、粘着剤層4および基材層5がともにゴムを含有する組成物から形成されている。
このようにして得られる漏水防止層2の10%伸長変形時の荷重が20N以下である。好ましくは、10N以下、より好ましくは、5N以下である。また、例えば、0.1N以上、好ましくは、0.3N以上、より好ましくは、0.5N以上である。
10%伸長変形時の荷重が上記上限を上回ると、水路表面に対する密着性が低下し、凹凸や段差への追従性が低下するため、止水性に劣る。一方、上記下限を下回ると、漏水防止層2を水路に貼着した後に変形応力により、しわ、切れ、剥がれなどが生じやすくなる。
10%伸長変形時の荷重は、漏水防止層2の前後方向および幅方向の少なくとも一方が20N以下であればよいが、好ましくは、少なくとも前後方向が20N以下である。
漏水防止層2の10%伸長変形時の荷重は、試験片として幅10mmとした場合の漏水防止層2を、その幅方向と直交する長手方向に10%伸長したときの荷重である。具体的には、まず、漏水防止層2を、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜く。この試験片を、JIS K 6254に準じて、引張り試験機を使用して、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、500mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が10%伸びた時点で引張りを停止し、このときの荷重を測定することにより、得られる。
漏水防止層2の破断時伸びは、50%以上である。好ましくは、100%以上であり、より好ましくは、500%以上である。また、例えば、2000%以下、好ましくは、1500%以下、より好ましくは、1200%以下である。
破断時伸びが、上記下限を下回ると、水路表面の凹凸や段差への追従性が低下するため、止水性に劣る。一方、上記上限を上回ると、漏水防止層2を水路に貼着する際に、施工性に劣る場合がある。
破断時伸びは、漏水防止層2の前後方向および幅方向の少なくとも一方が50%以上であればよいが、好ましくは、少なくとも前後方向が50%以上である。
破断時伸びは、試験片として幅10mmとした場合の漏水防止層2を、その幅方向と直交する長手方向に伸長したときの破断時伸びである。具体的には、まず、漏水防止層2を、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜く。この試験片を、JIS Z 0237に準じて、引張り試験機を使用して、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、500mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が切断した時点の伸びを測定することにより求めることができる。
漏水防止層2における粘着剤層のSUS板への粘着力は、例えば、15N/25mm以上、好ましくは、20N/25mm以上であり、また、例えば、50N/25mm以下である。
粘着剤層4のSUS板への粘着力は、漏水防止層(幅25mm)の粘着剤層4をSUS板に貼着し、次いで、引張試験機を用いて、引張速度300mm/分、剥離角度180度で漏水防止層をSUS板から引き剥がすことにより測定される。
漏水防止層2における粘着剤層4の自背面への粘着力は、例えば、12N/25mm以上、好ましくは、18N/25mm以上であり、また、例えば、40N/25mm以下である。
また、自背面粘着力の剥離形態は、好ましくは、凝集破壊である。剥離形態が界面破壊である場合、水路表面と漏水防止層2との界面で漏水するおそれがある。
粘着剤層4の自背面への粘着力は、漏水防止層(幅25mm)を2枚用意し、一方の漏水防止層2の粘着剤層4を他方の漏水防止層2の背面(上面、粘着剤層4と反対側面、すなわち、背面処理層)に貼着する。次いで、引張試験機を用いて、引張速度300mm/分、剥離角度180度で一方の漏水防止層2を他方の漏水防止層2から引き剥がすことにより測定される。
漏水防止層2の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上、より好ましくは、0.5mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5.0mm以下、より好ましくは、3.0mm以下である。なお、漏水防止層2を複数枚重ね合わせて使用する場合は、上記厚みの範囲は、漏水防止層1枚当たりの厚みを示す。
(剥離基材層)
剥離基材層3は、漏水防止層2の下面(下側の表面、他方面)、すなわち、粘着剤層4の下面に設けられている。
剥離基材層3は、シート状に形成され、例えば、その上面または両面に剥離処理(例えば、シリコーン処理など)がなされている。
剥離基材層3としては、例えば、ポリエステルフィルム(PETフィルムなど)、例えば、フッ素系ポリマー(PTFEなど)からなるフッ素系フィルム、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)からなるオレフィン系樹脂フィルム、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材層フィルム類が挙げられる。また、例えば、上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙などの紙類も挙げられる。これら剥離基材層3は、単層であってもよく、また、複層化した複合体であってもよい。
剥離基材層3の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
剥離基材層3は、図2に示すように、幅方向略中央部に前後方向(長手方向)に沿う切り目7が形成されている。具体的には、切り目7は、厚み方向に投影したときに、前後方向に沿う直線状に形成されており、剥離基材層3を厚み方向に貫通している。
剥離基材層3は、切り目7によって互いに幅方向に分離可能な第1剥離部3aおよび第2剥離部3bに分断されている。
第1剥離部3aの幅方向長さは、第2剥離部3bの幅方向長さは略同一である。
(漏水防止部材)
漏水防止部材1は、剥離基材層3の上面に、漏水防止層2の粘着剤層4を重ね合わせて巻回することにより得られる。
漏水防止部材1は、例えば、図2に示すように、前後方向に長尺なロール状のシートとして形成されている。
漏水防止部材1の幅は、例えば、50mm以上、好ましくは、75mm以上であり、また、例えば、200mm以下、好ましくは、150mm以下である。漏水防止部材1の幅が上記下限を下回ると、漏水防止の信頼性が低下する場合がある。また、漏水防止部材1の幅が上記上限を上回ると、施工性が低下する場合がある。
漏水防止部材1は、例えば、水路の漏水を防止するための部材として用いられる。水路としては、例えば、小規模な農業用水路や道路の側溝などが挙げられる。
水路は、コンクリート製の水路部材として、例えばU字型の水路用コンクリートブロックなどが、複数連結および敷設されてなることにより、形成されている。
具体的には、図3が参照されるように、漏水防止部材1の漏水防止層2をコンクリート水路10の一または複数の部分に貼着して使用する。
2.漏水防止方法
図4A〜図7Hを参照して、漏水防止部材1を用いて、コンクリート水路10の漏水を防止する方法を詳述する。
漏水防止方法は、例えば、漏水防止層2を貼着する貼着領域12を決定する決定工程、コンクリート水路10にマスキング部13を設けるマスキング工程、コンクリート水路10にプライマー層14を形成する下塗り工程、漏水防止部材1を用意する用意工程、コンクリート水路10の漏水部分15を被覆するように漏水防止層2を貼着領域12に貼着する貼着工程、および、マスキング部13を除去する除去工程を備える。
まず、図4Aに示すように、漏水防止層2を貼着する貼着領域12を決定する(決定工程)。
貼着領域12は、漏水部分15を含む漏水部分周辺のコンクリート水路10の表面である。
漏水部分15は、漏水が発生している部分またはその発生が予測される部分であって、具体的には、複数のコンクリート製の水路部材11が互いに連結している連結部分16(目地部)に発生している隙間である。漏水部分15は、平面視において、互いに隣接するコンクリート製水路部材11の継ぎ目に沿って延び、上下方向においてコンクリート水路10の一部または全部を貫通する。
貼着領域12は、コンクリート水路10の内側(すなわち、水が流れる表面側)の表面に位置し、コンクリート水路10の流水方向において、連結部分16から流水方向上流側および流水方向下流側に一定距離の範囲に区画され、かつ、コンクリート水路10の溝幅方向(流水方向と直交する方向)の一端部から他端部にかけて区画される。すなわち、貼着領域12は、平面視において、連結部分16の全てを含むように、区画される。なお、貼着領域12の幅(流水方向長さ)は、漏水防止層2の幅と一致する。
必要に応じて、プライマー層14の形成ひいては漏水防止層2の貼着をより強固にするために、貼着領域12のコンクリート水路10の表面を洗浄する。
漏水部分15の隙間が広く、凹みが深い場合、その隙間を埋めるためにバックアップ材を挿入してもよい。これにより、漏水防止層2の変形、破損などを抑制し、漏水をより確実に防止することができる。
バックアップ材としては、漏水部分15の凹みに追従して埋めることができれば特に限定されず、例えば、発泡体、ブチルゴム、粘土、パテなどが挙げられる。
次いで、図4Bに示すように、コンクリート水路10にマスキング部13を設ける(マスキング工程)。
具体的には、貼着領域12を挟むように、複数(2つ)のマスキング部13を設ける。すなわち、貼着領域12と間隔を隔てて、貼着領域12に沿うように、コンクリート水路の溝幅方向の一端部から他端部まで、マスキング部13を連続して設ける。
マスキング部13は、後述するプライマー層14ひいては漏水防止層2を正確にコンクリート水路10の上面に設けるために一時的にコンクリート水路10の上面に設けられるものであって、公知または市販のマスキングテープが使用される。
マスキング部13と貼着領域12との流水方向の間隔は、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、20mm以下である。
次いで、図5Cに示すように、コンクリート水路10にプライマー層14を設ける(下塗り工程)。
具体的には、2つのマスキング部13に挟まれた領域にプライマー層14を形成する。すなわち、貼着領域12の全域を含むようにプライマー層14を形成する。
プライマー層14は、投錨力の向上および塵・埃の抑制によって、コンクリート水路10と漏水防止層2との接着力を高めるために、これらの間に設けられる下地層である。
プライマー層14を形成するプライマー剤は、公知または市販のものが挙げられる。プライマー剤としては、例えば、ブチルゴム系プライマー剤、ネオプレン系プライマー剤、ウレタン系プライマー剤、エポキシ系プライマー剤、ニトリル系プライマー剤など挙げられる。好ましくは、ブチルゴム系プライマー剤が挙げられる。プライマー剤がブチルゴム系プライマー剤であれば、粘着剤層4がブチルゴムを含有する場合には、強固な密着性を得ることができる。
プライマー層14は、例えば、液状のプライマー剤をコンクリート水路10の表面に塗布し、乾燥させることにより形成される。
塗布方法としては、刷毛、ローラーブラシ、エアスプレーガン、エアレススプレーガンなどを用いて塗布する方法が挙げられる。
乾燥時間は、例えば、1分以上、好ましくは、15分以上であり、また、例えば、60分以下、好ましくは、45分以下である。乾燥時間を上記範囲内とすることにより、作業性を向上させることができる。
プライマー層14の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
次いで、漏水防止部材1を用意する(用意工程)。
このとき、漏水防止部材1を貼着領域12の長さに応じて切断し、漏水防止部材1の長さを調節する。
次いで、図5D〜図7Gに示すように、漏水防止部材1を貼着領域12に貼着する(貼着工程)。
このとき、好ましくは、漏水防止部材1の前後方向に張力を与えずに、漏水防止部材1を貼着領域12に貼着する。
例えば、まず、図5Dに示すように、漏水防止部材1を、貼着領域12に配置する(配置工程)。具体的には、漏水防止部材1を、貼着領域12に形成されたプライマー層14に接触させる。このとき、第1剥離部3aおよび第2剥離部3bの境界線(切り目7)が連結部分16に沿うように、剥離基材層3をプライマー層14に接触させる。
続いて、図6Eに示すように、第1剥離部3aを剥離し、第1剥離部3aに対応する粘着剤層としての第1粘着部4aをプライマー層14に貼着する(第1貼着工程)。
具体的には、漏水防止部材1の上面(特に、剥離しようとする第1粘着部4aの上方)を手などで下方に押圧しながら、第1剥離部3aを切り目7に沿って漏水防止層2から剥離していく。
これにより、第1粘着部4aが第1剥離部3aから剥離(露出)されると同時に、その剥離された第1粘着部4aは、プライマー層14に貼着される。すなわち、第1粘着部4aが、コンクリート水路10の貼着領域12の流水方向下流側半分部分に貼着される。
続いて、第1貼着工程の後、図6Fに示すように、第2剥離部3bを剥離し、第2剥離部3bに対応する粘着剤層としての第2粘着部4bをプライマー層14に貼着する(第2貼着工程)。
具体的には、第1貼着工程と同様にして、漏水防止部材1の上面(特に、剥離しようとする第2粘着部4bの上方)を手などで下方に押圧しながら、第2剥離部3bを漏水防止層2から剥離していく。このとき、第1粘着部4aは、コンクリート水路10に貼着した状態を維持する。
これにより、第2粘着部4bが第2剥離部3bから剥離(露出)されると同時に、その剥離された第2粘着部4bは、プライマー層14に貼着される。すなわち、第2粘着部4bが、コンクリート水路10の貼着領域12の流水方向上流側半分部分に貼着される。
このようにして、図7Gに示すように、漏水部分15を被覆するように、粘着剤層4の全面が、貼着領域12に貼着される。
次いで、図7Hが示すように、マスキング部13を除去する(除去工程)。
具体的には、マスキングテープなどのマスキング部13をコンクリート水路10から剥離する。
このようにして、漏水防止構造8が得られる。
漏水防止構造8は、図7Hに示すように、コンクリート水路10と、コンクリート水路の漏水部分15を被覆するようにコンクリート水路10に設けられる漏水防止層2とを備えている。
漏水防止構造8では、漏水防止層2がコンクリート水路10の表面に貼着している。特に、貼着工程直後においては、図8Aに示すように、漏水防止層2は、コンクリート水路10の表面の凸部20に接触し、貼着している一方、漏水防止層2は、コンクリート水路10の表面の凹部21には接触していない場合が生じる。すなわち、漏水防止層2と凹部21との間には、空隙22が生じている場合が生じる。
しかしながら、漏水防止構造8では、漏水防止層2が所定の10%伸長変形時の荷重および破断伸びを備えるため、図8Bに示すように、所定の時間の経過とともに、自重により、下側、すなわち、コンクリート水路10の表面の凹部に向かって伸び、凹部21に接触し、貼着する。これにより、空隙22は消滅し、漏水防止層2は、その下面全体において、コンクリート水路10の表面凹凸や段差に追従して密着されるため、確実に漏水を防止することができる。
また、漏水防止構造8に、コンクリート水路10に通水されると、漏水防止層2は、水の圧力によって下側に押圧される。この水の圧力によっても、空隙22は消滅し、漏水防止層2は、コンクリート水路10の表面凹凸や段差に追従して密着される。
この漏水防止構造8は、図8Aおよび図8Bの態様のいずれも包含するものである。
また、漏水防止構造8では、年間を通じて外気温の変化などにより、コンクリート水路10の漏水部分15(隙間)が流水方向または溝幅方向に伸縮する。
そして、この漏水防止構造8では、漏水防止層2が、所定の10%伸長変形時の荷重および破断伸びを備える。そのため、図9Aに示すように、漏水部分15が伸長した場合においては、その伸長に応じて漏水防止層2全体が伸長する。また、図9Bに示すように、漏水部分15が収縮した場合においては、その縮小に応じて漏水防止層2全体が縮小する。すなわち、漏水部分15の伸縮に応じて、漏水防止層2も全体的に伸縮することができる。また、漏水防止層2は、コンクリート水路10の表面凹凸などに追従することもできる。そのため、漏水防止層2を漏水部分15に長期間貼着した場合であっても、コンクリート水路10の表面と漏水防止層2との間の密着性が確実に保持され、漏水防止層2の漏水部分15における剥離を確実に抑制することができる。したがって、漏水防止構造8は、漏水を長期間防止することができる。
また、漏水防止構造8において、硬質粉体(例えば、砂利、砂礫)などの外部要素が、漏水防止層2と凹部21との間の空隙22に侵入すると、空隙22の通水面積が減少することによって水圧が減少し、漏水防止層2がコンクリート水路10の表面凹凸に対して、より一層押圧されて、空隙22が消滅する。したがって、外部要素によって、漏水防止性能をさらに向上させることができる。
なお、アルミニウムフィルムなどの剛性の高い基材層を備え、漏水防止層が所定の10%伸長変形時の荷重または破断伸びを満たさない場合は、その基材層が、粘着剤層の伸縮を阻害してしまうため、繰り返し伸縮されると、粘着剤層と、コンクリート水路表面または基材層との界面に隙間または剥離が生じ、漏水が発生する。
3.変形例
図2の実施形態では、剥離基材層3が、切り目7により分断されている第1剥離部3aおよび第2剥離部3bを備えているが、図示しないが、例えば、剥離基材層3は、切り目7によって分断されていなくてもよい。すなわち、剥離基材層3を、幅方向に連続する一枚の剥離基材層から構成していてもよい。
好ましくは、剥離基材層3が、切り目7により分断されている第1剥離部3aおよび第2剥離部3bを備える。
漏水防止部材1が、このような剥離基材層3を備えることにより、漏水防止方法において、第1剥離部3aを剥離し、第1粘着部4aを貼着領域12の流水方向下流側部分に貼着した後、第2剥離部3bを剥離し、第2粘着部4bを貼着領域12の流水方向上流側部分に貼着することができる。
このため、漏水防止部材1の前後方向(長手方向)に張力を与えずに、コンクリート水路10の連結部分16に沿って漏水防止層2を正確に貼着領域12に貼着することができる。したがって、貼着後の漏水防止層2にかかる前後方向の残留応力を低減し、貼着後の漏水防止層2のずれや剥がれを抑制して、漏水を長期間防止することができる。
図5Cの実施形態では、プライマー層14を貼着領域12の幅よりも広幅に形成しているが、例えば、図示しないが、プライマー層14を貼着領域12の幅と同一幅に形成することもできる。
漏水防止層2を確実かつ容易にプライマー層14の上に貼着することができる観点から、好ましくは、プライマー層14を貼着領域12の幅よりも広幅に形成する。
図5Cの実施形態では、コンクリート水路10の表面にプライマー層14を設けているが、例えば、図示しないが、プライマー層14を設けずに、漏水防止層2をコンクリート水路10の表面に直接貼着することもできる。すなわち、下塗り工程を実施しなくてもよい。
コンクリート水路10への漏水防止層2の接着力を向上させ、より確実に漏水を防止する観点から、コンクリート水路10にプライマー層14を形成する。
図5D〜図7Gの実施形態では、第1粘着部4aを第1剥離部3aから剥離すると同時に、剥離した第1粘着部4aを貼着領域12に貼着しているが、例えば、一旦第1粘着部4aの全部を第1剥離部3aから剥離させた後に、第1粘着部4aを貼着領域12に貼着することもできる。具体的には、漏水防止部材1の上面を下方に押圧せずに、第1剥離部3aの前後方向全部を漏水防止層2から剥離して一旦第1粘着部4aの全部を露出させた後に、第1剥離部3aをプライマー層14に接触させる。第2粘着部4bについても同じ方法を採用することができる。
図3の実施形態では、漏水部分15が、複数のU字型のコンクリート製水路部材11が連結されている連結部分16であるが、例えば、図10に示すように、漏水部分が、枡形水路30の角部31とすることもできる。
図10の漏水防止構造8では、水路としての枡形水路30と、枡形水路30の角部31を被覆するように枡形水路30に設けられている漏水防止層2とを備えている。
なお、図10の漏水防止構造8では、全ての角部31に漏水防止層2を備えているが、全てではない一つまたは複数の角部31に漏水防止層2を備えることもできる。
図11の漏水防止方法では、1つの連続する漏水防止層、すなわち、1枚の漏水防止層を連結部分に貼着しているが、例えば、図11に示すように、2枚の漏水防止層2A、2Bを継ぎ合わせることもできる。
すなわち、一方の漏水防止層2Aを連結部分16の溝幅方向一端から溝幅方向途中まで貼着する。次いで、他方の漏水防止層2Bの前端部が一方の漏水防止層2Aの後端部と平面視において重複するように、他方の漏水防止層2Bを連結部分16の溝幅方向途中から連結部分16の溝幅方向他端まで貼着する。
この漏水防止層2は、所定の10%伸長変形時の荷重および破断伸びを備え、さらに自背面接着性が優れている。そのため、漏水防止層2Bと漏水防止層2Aとの継ぎ合わせ部32において、他方の漏水防止層2Bが、一方の漏水防止層2Aの後端部の段差に追従して隙間なく、かつ、安定して密着することができる。したがって、距離が長い連結部分においても漏水を容易に、かつ確実に防止することができる。
また、図3の漏水防止構造8では、1枚の漏水防止層2を連結部分16に貼着しているが、例えば、図12に示すように、一方の漏水防止層2Aに小片の漏水防止層2Cを重ね合わせることもできる。
この漏水防止層2は、自背面接着性が優れている。そのため、重ね合わせ部33においても、小片の漏水防止層2Cが、一方の漏水防止層2Aと良好に貼着することができる。したがって、一方の漏水防止層2Aに破損などの穴34が生じた場合であっても、その穴34を被覆するように小片の漏水防止層2Cを貼着すればよいため、簡単に修復することができる。
また、図3の漏水防止構造8では、1枚の漏水防止層2を連結部分16に貼着しているが、例えば、図示しないが、一方(下側)の漏水防止層2に、それと同サイズの他方(上側)の漏水防止層2を、平面視において、完全に一致するように重ね合わせることもできる。すなわち、複数枚(例えば、2枚)の漏水防止層2を互いに完全に重複するように配置することもできる。この実施形態においても、複数枚の漏水防止層2は、コンクリート水路10の表面に追従でき、漏水を確実に防止することができる。また、この実施形態では、漏水部分15において、漏水部分15(例えば、目地部)から水(例えば、地下水)が逆流し、漏水防止層2を下側から上側に向かって突き上げる逆流現象が生じた後においても、漏水を速やかにかつ確実に防止することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
(粘着剤層)
ブチルゴム100質量部、粘着付与剤50質量部、軟化剤100質量部、重質炭酸カルシウム100質量部およびカーボンブラック30質量部を押出機に投入して、押出成形を実施して、前後方向に長尺なシート状に成形して、厚みが0.8mm、幅が100mmの粘着剤層を作製した。
(基材層)
ブチルゴム50質量部、EPDM50質量部、プロセスオイル15質量部、重質炭酸カルシウム120質量部およびカーボンブラック10質量部を、混合機(バンバリーミキサー)に投入して、8分間混練りし、混練物を調製した。その後、混練物をカレンダーロールで、ロール温度110℃の条件で、前後方向に長尺なシート状に成形して、厚みが0.5mm、幅が100mmの基材層(ゴムシート)を作製した。
(背面処理液)
アクリロニトリルおよびオクタデシルメタクリレートをトルエン溶液中で重合して、共重合体(アクリロニトリル/オクタデシルメタクリレート=30/70(質量比)、重量平均分子量:4万)を得た。この共重合体をトルエンにて希釈して、固形分が1質量%の背面処理液を調製した。
(漏水防止部材)
基材層の上面に背面処理液を塗布して、100℃で0.5分間乾燥して、厚さが約3μmの背面処理層を形成した。その後、基材層の下面に、粘着剤層を貼り合わせて、漏水防止層(背面処理層/基材層/粘着剤層)を得た。
次いで、漏水防止層の粘着剤層の下面に、剥離基材層の上面を貼り合わせて、前後方向に長尺な漏水防止部材(背面処理層/基材層/粘着剤層/剥離基材層)を製造した(図1参照)。
なお、剥離基材層は、幅方向中央に、前後方向に沿うように切り目が形成されることにより、第1剥離部および第2剥離部を備えており、また、上面がシリコーン離型処理されていた。
(漏水防止方法)
内部の流水方向の長さが200cm、内部の溝幅方向の長さが50cm、内部の上下方向の長さ(高さ)が50cmのコンクリート製水路部材を複数連結したコンクリート水路を用意した(図4A参照)。
連結部分の隙間の幅は、5〜20mmであった。
次いで、2本のマスキングテープを用意し、連結部分を挟むようにして、マスキングテープ同士の間隔が120mmとなるように水路に貼着した(図4B参照)。
次いで、2本のマスキングテープの間の水路表面を、ブチルゴム系プライマー剤(坂井化学工業社製、「INX−A4395」)をローラーで刷毛塗りして、乾燥させた。これにより、プライマー層を水路表面に設けた(図5C参照)。プライマー層の厚みは、60μmであった。
次いで、剥離基材層の切り目が連結部分と一致するように、漏水防止部材の剥離基材層表面をプライマー層表面に配置した(図5D参照)。
次いで、漏水防止部材の上面(背面処理層)を手で押さえながら、切り目に沿って幅方向一方側の剥離基材層(第1剥離部)を漏水防止層から剥離して、幅方向一方側の粘着剤層(第1粘着部)をプライマー層表面に貼着した(図6E参照)。
次いで、第1粘着部をプライマー層に接触させたまま、漏水防止部材の上面(背面処理層)を手で押さえながら、幅方向他方側の剥離基材層(第2剥離部)を漏水防止層から剥離して、幅方向他方側の粘着剤層(第2粘着部)をプライマー層表面に貼着した(図6F参照)。これにより、粘着剤層の下面全面をプライマー層に貼着させた(図7G参照)。
次いで、マスキングテープを水路から剥離した。
このようにして、連結部分を漏水防止部材で被覆した漏水防止構造を得た(図7H参照)。
(比較例1)
アルミニウムフィルムに改質アスファルト系粘着剤層を積層したテープ(ショーボンド建設社製、「AGテープ」)を、漏水防止層として使用した。
コンクリート水路の連結部分周辺に上記と同様のプライマー層を設け、次いで、この漏水防止部材の粘着剤層をプライマー層に貼着して、漏水防止構造を得た。
(比較例2)
アルミニウムフィルムにブチル系粘着剤層を積層したテープ(日東電工社製、「No.57AL」)を、漏水防止層として使用した。
コンクリート水路の連結部分周辺に上記と同様のプライマー層を設け、次いで、この漏水防止部材の粘着剤層をプライマー層に貼着して、漏水防止構造を得た。
(10%伸長変形時の荷重の測定)
実施例においては、漏水防止部材から剥離基材層を剥離して、漏水防止層を得た。
実施例および各比較例の漏水防止層を、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜いた。なお、漏水防止層の幅方向の距離が試験幅と一致し、漏水防止層の長手方向(前後方向)の距離が標線間距離と一致するように打ち抜いた。その試験片を、JIS K 6254に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、25℃にて、500mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が10%伸びた時点で引張りを停止し、このときの荷重を測定した。結果を表1に示す。
(破断伸びの測定)
実施例においては、漏水防止部材から剥離基材層を剥離して、漏水防止層を得た。
実施例および各比較例の漏水防止層を、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜いた。なお、漏水防止層の幅方向の距離が試験幅と一致し、漏水防止層の長手方向(前後方向)の距離が標線間距離と一致するように打ち抜いた。その試験片を、JIS Z 0237に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、25℃にて、500mm/minの速度でクロスヘッド側を引っ張った。そして、試験片が切断した時点の漏水防止層の前後方向の伸びを測定した。結果を表1に示す。
(粘着力の測定)
実施例においては、漏水防止部材から剥離基材層を剥離して、漏水防止層を得た。
実施例および各比較例の漏水防止層を幅25mmに切断した。この漏水防止層の粘着剤層をSUS板(SUS304)に貼着し、次いで、引張試験機を用いて、引張速度300mm/分、剥離角度180度で漏水防止層をSUS板から引き剥がすことにより粘着力を測定した。結果を表1に示す。
(自背面粘着力の測定)
実施例においては、漏水防止部材から剥離基材層を剥離して、漏水防止層を得た。
実施例および各比較例の漏水防止層を幅25mmに切断し、この幅25mmの漏水防止層を2枚用意した。一方の漏水防止層の粘着剤層を他方の漏水防止層の背面(背面処理層)に貼着し、次いで、引張試験機を用いて、25℃にて、引張速度300mm/分、剥離角度180度で一方の漏水防止層を他方の漏水防止層から引き剥がし、そのときの剥離状態を測定した。結果を表1に示す。
(漏水試験)
実施例および各比較例で得た漏水防止構造に対して、4月間通水し、8月間乾燥放置し、さらに4月間通水させた後に、漏水防止層が被覆された連結部分から漏水が発生しているか否かを確認した。
2回の通水後においても、漏水が発生していなかった場合を○と評価し、最初の4月間の通水時に漏水が発生していた場合を×と評した。結果を表1に示す。
(継ぎ合わせ密着性の評価)
実施例においては、漏水防止部材から剥離基材層を剥離して、漏水防止層を得た。
実施例および各比較例の漏水防止層を幅25mm×長さ100mmに切断し、この漏水防止層を2枚用意した。一方の漏水防止層の粘着剤層をアクリル板に貼着し、次いで、その一方の漏水防止層の背面(背面処理層)に、長さ方向に50mm重ねて2枚の漏水防止層が継ぎ合わさるように、他方の漏水防止層の粘着剤層を貼着した(図11の拡大図参照)。次いで、5kgローラーを他方の漏水防止層の背面を往復させた。その後、2枚の漏水防止層の重ね合せ部分(継ぎ合わせ部分)付近において、他方の漏水防止層が一方の漏水防止層およびアクリル板に密着しているか否かを確認した。
重ね合せ部分において、他方の漏水防止層が、一方の漏水防止層およびアクリル板が形成する段差に追従して、これらに隙間なく密着している場合を○と評価した。他方の漏水防止層が、一方の漏水防止層およびアクリル板が形成する段差に追従できず、これらと他方の漏水防止層との間に隙間が生じている場合を×と評価した。結果を表1に示す。
(密着保持性の評価)
上記継ぎ合わせ密着性の評価において、5kgローラーを他方の漏水防止層の背面を往復させた後、40℃で1週間放置した。その後、2枚の漏水防止層の重ね合せ部分付近において、他方の漏水防止層が一方の漏水防止層およびアクリル板に密着しているか否かを確認し、上記と同様の評価を実施した。結果を表1に示す。
(加圧条件下による漏水試験A:プライマー層無し、珪砂無し)
図13に示す漏水試験装置を作製して、加圧条件による漏水試験を実施した。
すなわち、表面を摩耗させたコンクリート平板40に、幅20mm、長さ100mm、深さ30mmの溝41を設けた。また、コンクリート平板40には、溝41の一端に連通し、溝41に対して水を送り込むための貫通孔42を、形成した。
次いで、実施例および各比較例の漏水防止層2を、幅100mm、長さ150mmに切断した後、平面視において溝41を完全に覆うように、かつ、コンクリート平板40の表面に粘着剤層4が直接接触するように、コンクリート平板40に貼着させた(図14A、図14B参照)。
次いで、直径200mm、軸方向長さ200mmの両端開口の第1円筒管43を用意し、第1円筒管43を、漏水防止層2を囲むように、コンクリート平板40に固定した。続いて、第1円筒管43の上端開口部は、蓋45で閉口した。
一方、直径200mm、軸方向長さ1500mmの第2円筒管44を垂直に立てて用意した。続いて、第2円筒管44内の水が第1円筒管43内に注入されるように、第2円筒管44の下端と第1円筒管43の蓋45とをホース46で連結した。
次いで、第2円筒管44内が常に水で満水状態となるように、第2円筒管44の上端に水を供給し続けた。これにより、漏水防止層2に上側から水圧がかかるような状態で、第1円筒管43内を水で充満させた。
このときにおける溝41内に漏れた水の漏水量と時間とを測定した。なお、漏水量(L/m/min)は、1分間当たり、漏水防止層1m当たりに漏水した水量(L)であって、使用した漏水防止層の半周(全体の1/2)からの漏水量として算出した。このグラフを図15に示す。
(加圧条件下による漏水試験B:プライマー層無し、珪砂有り)
漏水試験Aにおいて、漏水防止層2をコンクリート平板40に貼着させた後に、珪砂6号を、漏水防止層2の上面を覆うように敷設した以外は、漏水試験Aと同様にして、実施した。このときの漏水量と時間とのグラフを図16に示す。
図15および図16から、実施例の漏水防止層は、珪砂が存在する条件下では、漏水防止効果がさらに向上することが分かる。
(加圧条件下による漏水試験C:プライマー層有り、珪砂無し)
コンクリート平板40の溝41の周辺に、ブチルゴム系プライマー剤(坂井化学工業社製、「INX−A4395」)からなるプライマー層を設けて、漏水防止層2をプライマー層を介してコンクリート平板40に貼着した以外は、漏水試験Aと同様にして実施した。このときの漏水量と時間とのグラフを図17に示す。
(加圧条件下による漏水試験D:プライマー層有り、珪砂有り)
漏水防止層2をコンクリート平板40に貼着させた後に、珪砂6号を、漏水防止層2の上面を覆うように敷設した以外は、漏水試験Cと同様にして、実施した。このときの漏水量と時間とのグラフを図18に示す。
図17および図18から、実施例の漏水防止層は、珪砂が存在する条件下では、漏水防止効果がさらに向上することが分かる。
(加圧条件下による漏水試験E:二重貼着)
実施例1の漏水防止層に対して、漏水試験途中に貫通孔42から水を溝41に勢いよく送り込み、漏水防止層2を下側から水圧(逆流)をかけた以外は、漏水試験C(プライマー層有り)と同様にして実施した。
また、実施例1の漏水防止層(幅100mm、長さ150mm)を2枚用意し、平面視において完全に一致するように、二重に貼着した以外は、上記と同様にして実施した。
このときの漏水量と時間とのグラフを図19に示す。
図19から、二重貼着の漏水防止層は、一重貼着の漏水防止層と比較して、加圧条件下では、逆流直後の漏水防止効果がより一層良好であることが分かる。
(自然圧条件下による漏水試験F:二重貼着)
図13に示す漏水試験装置において、第2円筒管44を取り外し、自然圧条件下による漏水量を測定した。
すなわち、実施例1の漏水防止層2をプライマー層を介してコンクリート平板40に貼着した後、第1円筒管43に高さ200mmとなるように水を注入した。次いで、漏水試験途中に貫通孔42から水を溝41に勢いよく送り込み、漏水防止層2を下側から水圧(逆流)をかけた直後から、漏水量を測定した。なお、試験途中で、珪砂6号を投入した。
また、実施例1の漏水防止層(幅100mm、長さ150mm)を2枚用意し、平面視において完全に一致するように、二重貼りした以外は、上記と同様にして、逆流直後の自然圧条件下による漏水量を測定した。
このときの漏水量と時間とのグラフを図20に示す。
図20から、二重貼着の漏水防止層は、一重貼着の漏水防止層と同程度の漏水防止効果が発現されていることから、二重貼着の漏水防止層も、一重貼着の漏水防止層と同程度のコンクリート表面への追従性を発現することが分かる。
Figure 0006231144
1 漏水防止部材
2 漏水防止層
3 剥離基材層
3a 第1剥離部
3b 第2剥離部
4 粘着剤層
4a 第1粘着部
4b 第2粘着部
5 基材層
7 切り目
8 漏水防止構造
10 コンクリート水路
14 プライマー層
15 漏水部分

Claims (9)

  1. 水路の漏水を防止する漏水防止部材であって、
    幅10mmの漏水防止層を幅方向に直交する長手方向に10%伸長したときの10%伸長変形時の荷重が20N以下であり、かつ、破断伸びが50%以上である漏水防止層を備え
    前記漏水防止層は、粘着剤層と、前記粘着剤層の一方面に設けられる基材層とを備え、
    前記粘着剤層および前記基材層が、ともにゴムを含有する組成物から形成されており、
    前記漏水防止層は、最表面層として、前記基材層の一方面に設けられる背面処理層をさらに備え、
    前記背面処理層は、アクリル系組成物から形成されていることを特徴とする、漏水防止部材。
  2. 前記基材層が、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有することを特徴とする、請求項に記載の漏水防止部材。
  3. 前記粘着剤層が、ブチルゴムを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の漏水防止部材。
  4. 前記漏水防止部材が、前記粘着剤層の他方面に設けられる剥離基材層を備え、
    前記剥離基材層が、前記剥離基材層の長手方向に沿う切り目により分断されている第1剥離部および第2剥離部を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の漏水防止部材。
  5. 水路の漏水を防止する漏水防止方法であって、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の漏水防止部材を用意する用意工程、および、
    前記水路の漏水部分を被覆するように前記漏水防止部材を前記水路に貼着する貼着工程
    を備えることを特徴とする、漏水防止方法。
  6. 前記貼着工程では、前記漏水防止部材を、プライマー層が表面に形成された前記水路に貼着することを特徴とする、請求項に記載の漏水防止方法。
  7. 前記貼着工程において、前記漏水防止部材の長手方向に張力を与えずに前記漏水防止部材を前記水路に貼着することを特徴とする、請求項5または6に記載の漏水防止方法。
  8. 前記用意工程は、請求項に記載の漏水防止部材を用意する工程であり、
    前記貼着工程は、前記第1剥離部を剥離し、前記第1剥離部に対応する粘着剤層を前記水路に貼着する第1貼着工程、および、第1貼着工程の後に、前記第2剥離部を剥離し、前記第2剥離部に対応する粘着剤層を前記水路に貼着する第2貼着工程を備えることを特徴とする、請求項に記載の漏水防止方法。
  9. 水路の漏水を防止する漏水防止構造であって、
    前記水路と、
    前記水路の漏水部分を被覆するように前記水路に設けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の漏水防止部材と
    を備えることを特徴とする、漏水防止構造。
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