JP6555717B2 - 被覆シーリング用粘着テープ又はシート - Google Patents

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本発明は、構造物のひび割れ、凹み等の補修必要箇所に、補修材を注入することで補修を行う低圧注入工法において、注入する補修材が必要以上に溢れたり、盛り上がったりすることを防ぐ為、或いは、注入圧力が不足して、補修必要箇所の一部に該補修材が充填されないことを防ぐ為に、補修必要箇所の表面を覆う状態で貼付する被覆シーリング用の粘着テープ又はシートに関するものである。
構造物のひび割れ、凹み等の補修方法の一つに、低圧注入工法がある。これは、ひび割れ、凹み等に対し、加圧注入できる専用器具を用いて補修材を注入することで充填し、補修を行う工法である。補修材には、JIS A 6024適合のエポキシ樹脂系補修材の他、アクリル樹脂系補修材、セメント系補修材、発泡するエポキシ樹脂系補修材等が挙げられる。これらの補修材をひび割れ、凹み等に注入する際、注入する補修材が必要以上に溢れたり、盛り上がったりすることを防ぐ為、或いは、注入圧力が不足して、補修必要箇所の一部に該補修材が充填されないことを防ぐ為に、補修材を注入する際には、補修必要箇所の表面を何らかで覆い、該箇所が被覆された状態とする必要がある。従来、該箇所の被覆には硬化型で再剥離性の被覆シーリング材(ペースト状)が用いられている。該被覆シーリング材を補修必要箇所の表面を覆う状態で塗布、硬化させることで被覆状態が完成し、補修材の注入が可能な状態となる。補修材の注入は、該被覆シーリング材を構造物の補修必要箇所の表面を覆う状態で塗布する前の段階で、貫通口のある注入口部品を、予め補修必要箇所上の任意の箇所に配置し、該注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットして実施する。なお、注入口部品の補修必要箇所への固定にも、該被覆シーリング材を使用する。該注入口部品に対し、貫通口が塞がらないよう輪状で該被覆シーリング材を塗布、これを補修必要箇所に圧着することで固定する。注入口部品の貫通口から注入して補修必要箇所に補修材を充填、硬化させた後、硬化した被覆シーリング材及び固定された注入口部品を補修必要箇所上から剥がして除去することで、一連の補修作業が終了する。
該補修方法、低圧注入工法に要する一連の工程は、被覆シーリング材の硬化に24時間(春〜秋期)〜48時間(冬期)を要し、それが硬化した後に補修材注入作業を実施、更に該補修材の硬化にも24時間(春〜秋期)〜48時間(冬期)程度を要する。従って、該工法は全体で少なくとも48時間(春〜秋期)〜96時間(冬期)を要することになり、工期が長くなってしまうという問題を抱えている。
これに対し、工期短縮の為、該被覆シーリング材の代わりに、硬化時間の短い接着剤を用いる場合もある。この場合、該被覆シーリング材代替の接着剤は1時間程度で硬化する為、該接着剤塗布後、比較的短時間で補修材の注入作業が可能となる。この為、該補修方法に要する一連の工程は、25時間(春〜秋期)〜49時間(冬期)程度の作業時間で可能となり、該被覆シーリング材を使用した場合に比べて工期を短縮できる。但し、該接着剤には再剥離性がない為、補修材注入、硬化後に該接着剤を剥がす際、被着体への接着が強く、簡単には除去できない。ヘラ、ナイフ等でそぎ落とした後、更に被着体への残留物をグラインダ等で削り落とす必要がある。従って、補修必要箇所の表面の被覆に硬化時間の短い接着剤を用いた場合には、除去に手間が掛かる、残留部分を削り落とす為に同部分と他の部分との表面状態が異なり、外観、見栄えが悪くなるといった問題を抱えている。
更には、該被覆シーリング材の代わりに、ガラス繊維クロスとプラスチックフィルムの積層体を支持体とした被覆シーリング用粘着テープ又はシートを用いる場合もある(特許文献1)。この場合も、硬化時間の短い接着剤を用いた場合と同様、該補修方法に要する一連の工程は、25時間(春〜秋期)〜49時間(冬期)程度の作業時間で可能となり、該被覆シーリング材を使用した場合に比べて工期を短縮できる。
特許公報第3974501号
しかしながら、特許文献1に係る被覆シーリング材やその他の従来の被覆シーリング材においては、構造物のひび割れ、凹み等の補修必要箇所に補修材を注入することで補修を行う低圧注入工法において、耐注入圧性は良好であるものの、支持体層には厚いガラスクロスの積層フィルムを用いているため、構造物に存在する段差部分での追従性を確保する為に極度に粘着剤も厚くする必要がある(特許文献1の実施例は粘着剤層が300μmから500μmである。)。これにより、補修材硬化後の補修用粘着テープが剥がしにくく、作業性に劣るという問題があった。
そこで本発明は、構造物のひび割れ、凹み等の補修必要箇所に、補修材を注入することで補修を行う低圧注入工法において、注入する補修材が必要以上に溢れたり、盛り上がったりすることを防ぐ為、或いは、注入圧力が不足して、補修必要箇所の一部に該補修材が充填されないことを防ぐ為に、補修必要箇所の表面を覆う状態で貼付する被覆シーリング用の粘着テープ又はシートに関するものであるが、幅広い温度環境においても被覆シーリング作業性が良好で、貼付から短時間で補修材が注入でき、更に注入補修材硬化後、被着体である構造物体表面を傷めずに容易に該粘着テープ又はシートの除去ができ、且つコンクリートや補修材へ糊残りも起こさない該製品を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来の被覆シーリング材について鋭意研究を重ね、以下の具体的な問題点を見出した。被覆シーリング材において、厚い支持体はコシがある為、凹凸面、曲面等、平滑でない被着体に貼付、追従させる為には、粘着剤層を厚くせざるを得なくなる。粘着剤層を厚くすると、粘着テープ又はシートは被着体に貼付後、経時で粘着力が昂進する為、補修材注入、硬化後に剥がす際、被着体への接着が強くなり、剥がすのにかなりの力が必要となったり、被着体に残留した粘着剤の除去に手間が掛かったりする。また、支持体、粘着剤層共に厚くなることで粘着テープ又はシート全体が厚くなると、製品としてロール状に巻いた際、巻径が大きくなる。補修必要箇所に作業者が貼付する際は、該粘着テープ又はシートを携帯した状態で作業を行う必要があるが、巻径が大きくなると取り扱いし難くなる為、巻径を一定以下に抑える為に巻長さを短くせざるを得なくなる。この為、該粘着テープ又はシートは少しの作業で無くなり、短時間で頻繁に新しいロールに交換する必要がある為、屋外で貼付を行う作業者にとってはとても煩雑な作業となる。
本発明者らは、上記問題点に基づき、更に鋭意研究を重ねた結果、少なくとも支持体層と粘着剤層からなる被覆シーリング用粘着テープ又はシートにおいて、「支持層厚」「支持体層ヤング率」「被着体である構造物表面に対する90°ピール粘着力(貼付30分後・24時間後)」といった各パラメーターを特定の範囲とすることで、被覆シーリング作業性が良好で、その結果貼付から短時間で補修材が注入でき、更に注入補修材硬化後、被着体である構造物体表面を傷めずに容易に該粘着テープ又はシートの除去可能な該製品を提供できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、構造物のひび割れ、凹み等の補修時に使用する、少なくとも支持体層と粘着剤層とを含む被覆シーリング用粘着テープ又はシートにおいて、支持体層厚(平均厚さ)が60〜200μmかつ支持体層の5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa以上であり、貼付30分後の所定温度{5〜40℃であり、より具体的には(1)5℃、(2)23℃及び(3)40℃である。}に保持された作業環境下の90°ピール粘着力が、3N/10mm以上を満たす。その結果、テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりすることが無く、さらに被着体である構造物表面に対する90°ピール粘着力が、前記所定温度に保持された状態にて、貼付24時間後で20N/10mm以下であることから、硬化後にも被着体である構造物体表面を傷めずに被着体から容易に除去でき、且つコンクリートや補修材へ糊残りも起こさない被覆シーリング用粘着テープ又はシートを提供するものである。この際、粘着力{90°ピール粘着力(貼付30分後・24時間後)}の測定方法としては、後述の試験方法に従うものである。
更に、本発明(2)は、前記発明(1)の被覆シーリング用粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層にスチレン系エラストマー及び粘着付与樹脂を含有し、且つ該スチレン系エラストマー100重量部に対して粘着付与樹脂を40〜120重量部含有することを特徴とし、貼付から短時間で補修材が注入でき、更に注入補修材硬化後、被着体である構造物体表面を傷めずに容易に除去でき、且つコンクリートや補修材へ糊残りも起こさない被覆シーリング用粘着テープ又はシートを提供するものである。スチレン系エラストマー100重量部に対して粘着付与樹脂が40重量部未満または120重量部を超えるときは粘着力3N/10mm以下となり、テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりする場合がある。特に120重量部を超え40℃条件下24時間後に剥離する際はコンクリートに糊残りが発生する場合もある。
更に、本発明(3)は、前記発明(1)又は(2)の被覆シーリング用粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層にスチレン系エラストマー及び軟化剤を含有し、且つ該スチレン系エラストマー100重量部に対して該軟化剤を20〜60重量部含有することを特徴とし、貼付から短時間で補修材が注入でき、更に注入補修材硬化後、被着体である構造物体表面を傷めずに容易に除去でき、且つコンクリートや補修材へ糊残りも起こさない被覆シーリング用粘着テープ又はシートを提供するものである。スチレン系エラストマー100重量部に対して該軟化剤を20重量部未満であれば5℃条件下で、60重量部を超えていれば40℃条件下で、対コンクリートへの粘着力が3N/10mm以下となり、テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりする場合がある。特に60重量部を超えている場合は23℃条件下で30分後、40℃条件下にて30分後、24時間後に剥離する際にコンクリートに糊残りが発生する場合もある。さらに、エポキシ樹脂系補修材に糊残りが発生する場合もある。
なお、本発明は、少なくとも支持体層と粘着剤層を含む被覆シーリング用の粘着テープ又はシートであり、前記支持体層の厚さ(平均厚さ)が60μm〜200μmであり、かつ、5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5以上であり、前記粘着剤層は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂及び軟化剤を含有するゴム系粘着剤であり、該スチレン系エラストマー100重量部に対して、粘着付与樹脂を40〜120重量部含有し、且つ、該スチレン系エラストマー100重量部に対して、該軟化剤を20〜60重量部含有することを特徴とする、構造物のひび割れ、凹み等の補修時に使用する被覆シーリング用粘着テープ又はシートであってもよい。
本発明は、幅広い温度環境においても被覆シーリング作業性が良好で、貼付から短時間で補修材が注入でき、更に注入補修材硬化後、被着体である構造物体表面を傷めずに容易に除去でき、且つ、コンクリートや補修材へ糊残りも起こさない被覆シーリング用粘着テープ又はシートを提供する。
図1は、本態様に係る支持体層と粘着剤層からなる被覆シーリング用粘着テープまたはシートの側面図である。 図2は、本態様に係る支持体層と粘着剤層と剥離ライナーからなる被覆シーリング用粘着テープまたはシートの側面図である。 図3は、本態様に係る被覆シーリング用粘着テープまたはシートを構造物のひび割れ、補修必要箇所に貼付した概念図である{(a)は構造物のひび割れ、補修必要箇所の概念図であり、(b)は被覆シーリング用粘着テープまたはシートを構造物のひび割れ、補修必要箇所に貼付した概念上面図であり、(c)は被覆シーリング用粘着テープまたはシートを構造物のひび割れ、補修必要箇所に貼付した概念側面図である}。 図4は、構造物のひび割れ、補修必要箇所に貼付した本態様に係る被覆シーリング用粘着テープまたはシートの表面に注入口部品を配置、固定した概念図である{(a)は被覆シーリング用粘着テープまたはシートの表面に注入口部品を配置、固定した概念上面図であり、(b)は被覆シーリング用粘着テープまたはシートの表面に注入口部品を配置、固定した概念側面図である}。 図5は、構造物のひび割れ、補修必要箇所に貼付した本態様に係る被覆シーリング用粘着テープまたはシートの表面に注入口部品を配置、固定し、該注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットし、補修必要箇所に補修材を注入、充填した概念図である{(a)は被注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットし、補修必要箇所に補修材を注入、充填した概念側面図であり、(b)は注入した補修材が硬化した後、加圧注入した専用器具を取り外した概念側面図である}。 図6は、注入口部品が表面に載ったままの状態で被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを補修必要箇所から剥がして除去、補修必要箇所に補修材が充填、硬化した状態、一連の補修工程が完了した補修箇所の概念図である{(a)は一連の補修工程が完了した補修箇所の概念側面図であり、(b)は一連の補修工程が完了した補修箇所の概念上面図である}。 図7は、本実施例に係る、対補修材粘着剤残留試験方法におけるT型剥離試験の概念側面図である。 図8は、本実施例に係る、注入圧試験方法における過酷試験用ひび割れパネルの写真である。
以下、本発明の具体的態様(以下、本態様という)を詳細に説明する。尚、本発明は下記態様に限定されるものではない。また、本態様においては、「支持体」と「支持体層」、「粘着剤」と「粘着剤層」を夫々区別なく用いる場合がある。
<粘着テープまたはシートの構造>
図1に示すように、本態様に係る被覆シーリング用粘着テープまたはシートは、少なくとも支持体層と粘着剤層からなる。なお、本態様に係る被覆シーリング用粘着テープまたはシートは、必要に応じてその他の層を更に有していてもよい。例えば、図2に示すように、該被覆シーリング用粘着テープまたはシートは、必要に応じ、剥離ライナーを粘着剤層上に有していてもよい。また、本態様に係る被覆シーリング用粘着テープまたはシートは、図1(b)及び図2(b)に示すように、ロール状に形成されていてもよい。以下、本発明の被覆シーリング用粘着テープまたはシートについて説明する。
〔粘着力〕
本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートは、補修必要箇所周辺の構造物表面及び補修必要箇所に注入、充填した補修材からなる被着体に対する90°ピール粘着力が、作業環境の温度を5〜40℃{具体的には、(1)5℃、(2)23℃及び(3)40℃の環境である。}とした場合において、貼付30分後で3N/10mm以上かつ貼付24時間後で20N/10mm以下である。さらに貼付24時間後で15N/10mm以下であるとより好ましい。該粘着力が貼付30分後で3N/10mm未満であると、補修材注入時にテープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりする場合がある。該粘着力が貼付24時間後で20N/10mmを超えると、補修材硬化後に該粘着テープ又はシートを除去する際に、強い力で剥がす必要があり、剥離作業性が悪くなる場合がある。なお、該粘着力(90°ピール粘着力)は、下記試験方法により測定された数値である。
(試験方法)
測定対象の粘着テープ又はシートを10mm幅×150mmに切断し、#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネルに、温度が(1)5℃、(2)23℃又は(3)40℃のいずれかであり、且つ、湿度が40〜50%RHである環境下において、質量2kgの圧着ローラーを用い、600mm/minの速度で、2往復ローラー圧着する。その後、それぞれの環境下において、所定時間静置し90°剥離試験を行う。測定する際の剥離速度は300mm/minであり、測定対象の粘着テープと被着体である#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネルは、それぞれの環境下(剥離試験時の環境と同等の環境下)に24時間以上静置したものを使用する。
〔粘着剤層〕
本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートに用いる粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリオレフィン系、エチレン・酢酸ビニル共重合体系等の各種粘着剤を使用することができるが、補修材に対する再剥離性の点からはゴム系粘着剤を含むことが好ましく、生産性の点からも、ホットメルト方式による塗布に適したスチレン系エラストマーを含むことがより好ましい。本発明の粘着剤に使用するスチレン系エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレンイソプレン系共重合体、スチレンブタジエン系共重合体、またはそれらの水素添加物等の各種スチレン系エラストマーを使用することが出来る。
更には、本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートに用いる粘着剤としては、該スチレン系エラストマー100重量部に対して粘着付与樹脂を40〜120重量部含有することが好ましい。本発明の粘着剤に使用する粘着付与樹脂としては、特に限定されず、例えば、ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、石油系樹脂、またはそれらの水素添加物等の各種粘着付与樹脂を使用することができる(なお、複数種の粘着付与樹脂を併用してもよい)。粘着剤層に含有する粘着付与樹脂がスチレン系エラストマー100重量部に対して40重量部を下回ると、構造物表面のひび割れ、補修必要箇所周辺に対する密着性が不足し、補修材を加圧注入した際に、接着した部分が浮き上がったり、剥がれたりして、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤層に含有する粘着付与樹脂がスチレン系エラストマー100重量部に対して120重量部を上回っても、粘着剤が硬くなる等し、補修材が漏れ出す場合がある。さらに、貼付24時間後の剥離の際にエポキシ樹脂系補修材に糊残りが発生する場合もある。
また、本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートに用いる粘着剤としては、該スチレン系エラストマー100重量部に対して軟化剤を20〜60重量部含有することが好ましい。本発明の粘着剤に使用する軟化剤としては、特に限定されず、例えば、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ブチルゴム、低分子量ポリイソブチレン、中分子量ポリイソブチレン、ポリブテン等の各種軟化剤を使用することができる(なお、複数種の軟化剤を併用してもよい)。粘着剤層に含有する軟化剤がスチレン系エラストマー100重量部に対して20重量部を下回ると、構造物のひび割れ、凹み等の補修必要箇所が平滑で無い場合や冬期の低温下において、貼付する該粘着テープ又はシートの初期密着性が不足し、被着面との間に隙間ができ、補修材を加圧注入した際に、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤層に含有する軟化剤がスチレン系エラストマー100重量部に対して60重量部を上回ると、夏期の高温下において、貼付する該粘着テープ又はシートの固定性が不足し、補修材を加圧注入した際に、補修材が漏れ出す場合がある。併せて、凝集破壊し易くなり、補修材硬化後に該粘着テープ又はシートを除去する際に、構造物表面のひび割れ、補修必要箇所、補修材に粘着剤が残留する場合がある。
また、本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートは、粘着剤層に紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、充填剤等を含んでいてもよい。それらの添加量は、配合する添加成分にもよるが、通常、粘着剤重量に対して0.001〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量が、適宜配合される。
〔支持体層〕
本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートに用いる支持体としては、特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム、不織布、紙、布、金属箔等及びその複合体等を使用することができる。素材としては、特に限定されず、例えばポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン‐1共重合体、エチレンオクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン系材料、ポリビニルアルコール系材料、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系材料、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系材料、構造内に亜鉛、ナトリウム等の金属イオンをもつ各種アイオノマー系材料、ポリスチレン、スチレンイソプレン共重合体、スチレンブタジエン共重合体等のスチレン系材料、ポリウレタン系材料、塩ビ系材料、フッ素系材料、アセテート、セロファン等のセルロース系材料、レーヨン、綿等、アルミ、銅、銀、金、スズ、ステンレス等の金属等、各種材料の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。支持体は特に限定されないが、2軸延伸のポリプロピレンフィルムや2軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。好ましくは、このフィルムの片面に、アクリル樹脂、ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂からなるプライマーを塗布し、乾燥させた後、プライマーの上に粘着剤を塗布する。
また、本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートは、支持体層厚が60μm以上であり、かつ支持体層の5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa以上であることが好ましい。この条件を満たさないと、補修材を注入する低圧注入工法において、テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりする。また、該粘着テープ又はシートが切れるのを防ぐ為に支持体の強度を高くする必要があり、支持体を厚くせざるを得なくなったり、高価な高機能材料を使わざるを得なくなったりする場合がある。なお、ヤング率の上限値は特に限定されないが、例えば1500GPaである(なお、特に基材としてプラスチックフィルムを用いる場合には、ヤング率の上限値が10GPaであってもよい)。ここで、ヤング率は、ASTM−D−882に基づき測定されたものである。より具体的には、引張試験機を用いて、供試料を速度200mm/minにて引張し、試料が変形する直前(1%伸び以内)での最大弾性(S−Sカーブ最大傾斜の接線の一次式)から求める。また、「5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa以上」とは、「環境温度を(1)5℃、(2)20〜23℃、(3)40℃、とした場合におけるヤング率が全て0.5GPa以上」としてもよく、更には、「環境温度を40℃とした場合におけるヤング率が0.5GPa以上」としてもよい。
更に、本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートは、補修必要箇所に注入する補修材の充填状況を確認する為には、透明性のあるプラスチックフィルム等を支持体として使用することが好ましい。
〔厚さ〕
本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートは、少なくとも支持体層と粘着剤層、或いは少なくとも支持体層と粘着剤層と剥離ライナーからなる該粘着テープ又はシートの総厚さ(平均総厚さ)が300μm以下であることが好ましい。該総厚さが300μmを上回ると、厚くなるほど材料費、粘着剤塗布加工等の工程費が高くなる為に、該粘着テープ又はシートの製造原価はかなり高いものとなって製品の販売価格も高くせざるを得なくなる場合がある。また、製品としてロール状に巻いた際、巻径が大きくなり、補修必要箇所に作業者が貼付する際は、該粘着テープ又はシートを携帯した状態で作業を行う必要があるが、巻径が大きくなると取り扱いし難くなる為、巻径を一定以下に抑える為に巻長さを短くせざるを得なくなって、短時間で頻繁に新しいロールに交換する必要がある為、屋外で貼付を行う作業者にとってはとても煩雑な作業となる場合がある。なお、本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートの総厚さ(平均総厚さ)の下限値は特に限定されないが、例えば65μmであり、好適には140μmである。
また、本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートは、粘着剤の厚さ(平均厚さ)が80〜280μmであることが好ましい。粘着剤の厚さが80μmを下回ると、構造物表面のひび割れ、補修必要箇所周辺に対する密着性が不足し、補修材を加圧注入した際に、接着した部分が浮き上がったり、剥がれたりして、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤の厚さが280μmを上回ると、構造物表面のひび割れ、補修必要箇所や補修材への粘着力が高くなり過ぎ、補修材硬化後に該粘着テープ又はシートを除去する際に、強い力で剥がす必要があり、剥離作業性が悪くなる場合がある。
更に、本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートは、支持体の厚さ(平均厚さ)が60〜200μmであることが好ましい。支持体の厚さが60μmを下回ると、補修材を加圧注した際に、テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりすることがあり、また、補修材硬化後に該粘着テープ又はシートを除去する際に、該粘着テープ又はシートが大きく伸びて、剥がし難くなったり、破断したりする場合がある。一方、支持体の厚さが200μmを上回ると、支持体のコシが強くなって、構造物のひび割れ、凹み等の補修必要箇所が平滑で無い場合に、貼付する該粘着テープ又はシートの追従性、密着性が不足し、被着面との間に隙間ができ、補修材を加圧注入した際に、補修材が漏れ出す可能性がある。
また、支持体層と粘着剤層は、その平均厚さにおいて、粘着剤層の方が厚い方が好ましい。被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを補修必要箇所の表面を覆う状態で貼付する際に、補修必要箇所が直線状でない場合は、被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを上から重ね貼りしていくことで貼付する場合がある。そのため、支持体層自身の段差に追従する必要があるので、粘着剤層の方が厚い方が好ましい。
その他、本発明の粘着テープまたはシートは、支持体層、粘着剤層、プライマー、剥離ライナーの各層に対し、目的を損なわない範囲で必要に応じて、各種添加剤を追加で配合することができる。特に限定はされないが、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、ラクトン系、リン系等の紫外線吸収剤や紫外線安定剤、ヒンダードト系、セミヒンダードト系、ホスファイト系、ホスホナイト系、チオエーテル系等の酸化防止剤、金属石鹸系、有機スズ系、鉛系等の加工安定剤、界面活性剤系、カチオン系、非イオン系等の帯電防止剤、合成シリカ系、シリカ系等のアンチブロッキング剤、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カルシウム、マグネシウム炭酸塩、珪酸、珪酸塩、アルミニウム水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の充填剤、ベンジシンエロー、ハンザエロー、リソールレッド、アリザリンレーキ、ピグメントスカーレット3B、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF−5R、パーマネントレッド4R、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、レーキレッドC、パラレッド、ピーコックブルーレーキ、フタロシアニンブルー、アニリンブラック、パーマネントエローHR、PVバイオレットBL、キナクリドン、ペリノン、アンスラキノン、クロモフタールエロー6G、クロモフタールエロー3G、クロモフタールエローGR等の有機顔料、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、鉛白、カドミエロー、黄鉛、チタンエロー、ジンククロメート、黄土、クロムバーミリオン、赤口顔料、アンバー、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カドミウムレッド、鉛丹、紺青、群青、コバルトブルー、酸化クロームグリーン、ミネラルバイオレット、カーボンブラック、鉄黒等の無機顔料を添加剤として加えても良い。シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離性付与剤を適宜添加することが出来る。
<粘着テープまたはシートの製造方法>
本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートに用いる支持体層は、特に限定されず、例えば、押出成形、キャスト成形、延伸等により成形、或いは該成形物をラミネート等による積層等、種々の方法で製造することができる。
また、本発明の被覆シーリング用粘着テープ又はシートに用いる粘着剤層は、特に限定されず、例えば、「有機溶媒に溶解した溶剤系粘着液、水に分散させたエマルジョン系粘着液等を低粘度状態で支持体層上に塗布、乾燥させることで粘度上昇させる」、「溶媒を含まない粘着剤を加熱により粘度を下げた状態で支持体層上に塗布、冷却により粘度を上昇させる」、「2液混合直後の粘度が低い状態で支持体層上に塗布、反応により粘度上昇させる」等により粘着剤層を形成して製造する他、「支持体層と粘着剤層の材料を加熱により粘度を下げた状態で多層共押出成形する」こと等、種々の方法で製造することができる。
<粘着テープまたはシートの使用方法>
以上の本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートは、低圧注入工法による補修方法において、補修材の種類及び被着対象は限定されずに適用可能である。本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートの好適な適用条件の具体例としては、補修材をエポキシ樹脂系補修材とし、補修環境をエポキシ樹脂系補修材に適している5℃以上の環境とし、平滑で粉等のない乾燥したコンクリート面等を補修対象(被着対象)として適用する、等である。なお、低圧注入工法による構造物のひび割れ、凹み等の補修は、以上の本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを用いることで、例えば、以下の手順1〜5で行うことができる。該一連の工程に要する作業時間は、25時間(春〜秋期)〜49時間(冬期)程度である。
手順1:本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを補修必要箇所{図3(a)参照}の表面を覆う状態で貼付する{図3(b)及び図3(c)参照}。
手順2:手順1で貼付した本発明の被覆シーリング用の粘着テープ又はシートの表面の任意の箇所に、補修材を注入する為の貫通孔を開ける。
手順3:手順2で開けた貫通孔の上に、該貫通孔を維持した状態で、注入口部品を配置し、硬化時間の短い接着剤で固定する{図4(a)及び図4(b)参照}。該接着剤は、背景技術の中で記載の被覆シーリング材の代わりに用いられるものと同等のものであり、塗布後、1時間程度で硬化する。
手順4:手順3で配置、固定した注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットし、補修必要箇所に補修材を注入、充填する{図5(a)参照}。
手順5:補修材が硬化した後、加圧注入用専用器具を取り外し{図5(b)参照}、注入口部品が表面に載ったままの状態で被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを補修必要箇所から剥がして除去する{図6(a)及び図6(b)参照}。
ここで、従来の被覆シーリング用粘着テープ又はシートにおいては、支持体、粘着剤層共に厚くなるほど、材料費が高くなり、粘着剤塗布加工等の工程に要する時間も長くなることから、該粘着テープ又はシートの製造原価はかなり高いものとなる。この為、製品の販売価格も高いものとなってしまう場合もある。該被覆シーリング用粘着テープ又はシートが市場に普及していないのは、作業性だけでなく、このような価格等の点において問題を抱えている為と考えられる。本発明に係る被覆シーリング用粘着テープ又はシートによれば、特に基材や粘着剤に求められる構造及び/又は材質を特定のものとすることにより、5〜40℃という作業環境において所望の作業性を発揮しつつも、製造原価を抑制し、市場への普及を促進することも可能となる。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<構成材料の内容・作製方法>
使用した構成材料の内容、作製方法は、次の通りである。
(1)支持体(基材)
本実施例で用いた、基材の種類、基材のヤング率及び基材厚さ(平均厚さ)は、表2及び3に示す通りである。なお、表2及び3に示す基材のヤング率は、20℃、65%RH環境における測定結果を示す(また、特に実施例に係る基材のヤング率は、40℃環境下においても0.5GPa以上であることを確認した)。
(2)粘着剤
粘着剤主成分及び添加成分として、以下のものを用意した。
クインタック3270(日本ゼオン株式会社製スチレンイソプレンブロック共重合体)
クイントンG100B(日本ゼオン株式会社製脂肪族炭化水素樹脂)
クインタック3450(日本ゼオン株式会社製スチレンイソプレンブロック共重合体)
アイマーブS−100(出光興産株式会社製水添石油樹脂)
HV−300(JX日鉱日石エネルギー株式会社製ポリブテン)
NS−100(日東粉化工業株式会社製炭酸カルシウム)
アンテージW500(川口化学工業株式会社製フェノール系老化防止剤)
チヌビンP(BASFジャパン株式会社製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
チヌビンPA144(BASFジャパン株式会社製ヒンダードアミン系光安定剤)
クリアロンM105(ヤスハラケミカル株式会社製芳香族変性テルペン樹脂水素化物)
YSレジンLP(ヤスハラケミカル株式会社製液状テルペン樹脂)
また、アクリル系粘着剤として、SKダイン1717DT(綜研化学株式会社製)及びSKダイン801BT(綜研化学株式会社製)を用意した。クインタック、クイントン、アイマーブ、アンテージ、チヌビン、クリアロン、SKダインは登録商標。
次に、表1に示す通りに各材料を配合し、溶剤(トルエン)にて溶解し、アプリケーターにてプライマー付き支持体層に溶展直塗工し、実施例及び比較例に係る被覆シーリング用の粘着テープ又はシートを作製した。粘着剤の塗布厚さ(平均厚さ)は、表2及び3に示す通りである。
なお、従来技術の参考例1として、はくりシールONE(コニシ株式会社製 商品名)、参考例2としてクイックメンダー(コニシ株式会社製 登録商標)を表3に記載した。参考例1は補修材注入前の養生時間が48時間と長く、条件の過酷な注入圧試験では不合格となった。参考例2は養生時間が比較的短いが、ヘラ等を使って剥がし、グラインダでの研磨が必要になるなど剥離性が良くなかった。
<試験方法>
〔対コンクリート剥離試験方法〕
測定対象の粘着テープを10mm幅×150mmに切断し、#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネルに、(1)温度5℃、湿度40%、(2)温度23℃、湿度50%、(3)温度40℃、湿度40%、の環境下において、質量2kgの圧着ローラーを用い、600mm/ minの速度で、2往復ローラー圧着する。それぞれの環境下において30分間、または24時間静置し、90°剥離試験を実施する。測定する際の剥離速度は300mm/minである。また、測定対象の粘着テープと被着体である#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネルは、それぞれの環境下に24時間以上静置したものを使用する。
(対コンクリート剥離試験評価基準)
30分後のテープ剥離時に5〜40℃の作業環境下にて粘着力が3N/10mm以上のものを、粘着性良好(○)と判定し、3N/10mm未満ものを粘着性不適(×)と判定した。また、24時間後のテープ剥離時に5〜40℃の作業環境下にて粘着力20N/10mm以下のものを剥離性良好(○)と判定し、15N/10mm以下のものを剥離性より良好(◎)、20N/10mmより大きいものを剥離困難(×)と判定した。
〔対補修材粘着剤残留試験方法〕
シリコーン処理されたPETフィルム上にアプリケーターを用いて硬化前のエポキシ系補修材を厚み1mmで塗工し、その上から測定対象の粘着テープの粘着面を硬化前のエポキシ系補修材に貼付する。このとき気泡が入り込まないように注意する。24時間後にエポキシ系補修材が硬化したことを確認し、PETフィルムから硬化したエポキシ系補修材を剥離し、10mm幅×150mmに切断する。これをT型剥離し(図7参照)、そのときの硬化したエポキシ系補修材への粘着剤の残留を評価する。測定する際の剥離速度は300mm/minである。
(対補修材粘着剤残留評価基準)
エポキシ樹脂系補修材に粘着剤の残留が全くないものを○と判定し、粘着剤の残留があるものを×と判定した。
〔注入圧試験方法〕
#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネル(10×40×120mmそのうち40×120mmの1面のみ#180研磨処理されている)を4枚使用し、2枚のパネルを硬化時間の短い接着剤:コニシ株式会社製、クイックメンダー(登録商標)で10×40mm面同士を接着する。このとき#180研磨面同士が同方向になるようにする。それを2セット作製し、10×240mm面を0.5mm(ひび割れを模した間隙)開け、ここでも#180研磨面同士が同方向になるように#180研磨面以外の周囲全てを硬化時間の短い接着剤:コニシ株式会社製、クイックメンダー(登録商標)で封止する。このとき、接着剤はパネル内に1mm侵入してくる。したがってひび割れを模した凹みの容積は幅0.5mm×長さ238mm×深さ9mmとなる。これを過酷試験用ひび割れパネルとする。この過酷試験用ひび割れパネルに被覆シーリング用粘着テープ又はシートで凹みを覆い隠すように貼付する。これにカッター等で穴を空け、注入口部分を装着し、硬化時間の短い接着剤:コニシ株式会社製、クイックメンダー(登録商標)で固定する。30分後、加圧注入できる専用器具(シリンダー)をセットし、シリンダーに加圧ゴムを引っ掛けることでエポキシ系補修材を注入する(図8)。
(注入圧の算出方法)
例えば、シリンダーに40mLの補修材を装填した場合、加圧ゴムは170mm程度引き伸ばされる。そのときのゴムの力をバネばかりにて測定する。複数本のゴムをかける場合は、ゴムの力を総合した値をピストンの断面積で割り、算出圧力とする。パスカルの原理より、この圧力がテープへの注入圧となる。実施例と比較例の注入圧試験条件は加圧ゴム2本、補修材量40mL、算出圧力0.12MPaである。
(注入圧試験評価基準)
テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりすることが無いものを○と判定し、補修材の溢れ、テープの盛り上がりがあったものを×と判定した。
上記試験における評価結果を表2及び3に示す。実施例1については、支持体層に厚さ75μmの2軸延伸PETフィルムを用い、粘着剤層には表1の粘着剤Aを100μm塗工した粘着テープを用いたところ全て良好な結果となった。実施例2〜4については実施例1から支持体層の厚さと粘着剤層の厚さを変化させたものであるがこちらも全て良好な結果であった。実施例5にはOPPフィルムを実施例6にはCPPフィルムを用いた。実施例2から支持体層の種類と厚さを変化させたが、こちらもそれぞれ良好な結果であった。実施例7〜8は表1の粘着剤C、D、Gを用いたが粘着付与樹脂や軟化剤の含有量をある範囲内で変化させても問題なかった。
比較例1は支持体層の平均厚さが60μm未満であり、耐注入圧性で不合格となった。比較例2、3は粘着剤層の厚みが厚く、貼付24時間後の5℃の環境下の粘着力が20N/10mmを超えたため不合格となった。このため、比較例3は耐注入圧性試験を省略した。比較例4は支持体層の平均厚さが60μm未満であり、耐注入圧性で不合格となった。このため、粘着力の測定と対補修材粘着剤残留評価を省略した。比較例5〜7は支持体層の5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa未満であり、耐注入圧性で不合格となった。このため、粘着力の測定と対補修材粘着剤残留評価を省略した。比較例8は粘着剤層にアクリル粘着剤を用いたため、対補修材粘着剤残留評価で不合格となった。このため、粘着力の測定と耐注入圧性試験を省略した。比較例9は表1中の粘着剤Bを用いたため、粘着付与樹脂の含有量が少なく、貼付30分後の5℃、23℃及び40℃の環境下の粘着力が3N/10mm未満となり、耐注入圧性で不合格となった。比較例10は表1中の粘着剤Eを用いたため、粘着付与樹脂の含有量が多く、貼付30分後の5℃の環境下の粘着力が3N/10mm未満となり、耐注入圧性試験で不合格となることが比較例9から推測されるため不合格とした。比較例11は表1中の粘着剤Fを用いたため、軟化剤の含有量が少なく、貼付30分後の5℃の環境下の粘着力が3N/10mm未満となり、耐注入圧性試験で不合格となることが比較例9から推測されるため不合格とした。比較例12は表1中の粘着剤Hを用いたため、軟化剤の含有量が多く、対補修材粘着剤残留評価で不合格となった。このため、耐注入圧性試験を省略した。
Figure 0006555717
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Claims (4)

  1. 少なくとも支持体層と粘着剤層を含み、該支持体層の平均厚さが60〜200μmかつ該支持体層の5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa以上であり、以下の試験方法に基づき算出された、貼付30分後の(1)5℃、(2)23℃及び(3)40℃の環境下の粘着力がいずれも3N/10mm以上、かつ、貼付24時間後の(1)5℃、(2)23℃及び(3)40℃の環境下の粘着力がいずれも20N/10mm以下であることを特徴とする、構造物のひび割れ、凹み等の補修時に使用する被覆シーリング用の粘着テープ又はシート。
    (試験方法)
    測定対象の粘着テープ又はシートを10mm幅×150mmに切断し、#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネルに、温度が(1)5℃、(2)23℃又は(3)40℃であり、且つ、湿度が40〜50%RHである環境下において、質量2kgの圧着ローラーを用い、600mm/minの速度で、2往復ローラー圧着する。その後、それぞれの環境下において、所定時間静置し90°剥離試験を行う。測定する際の剥離速度は300mm/minであり、測定対象の粘着テープと被着体である#180研磨ISO基準砂使用のモルタルパネルは、それぞれの環境下に24時間以上静置したものを使用する。
  2. 前記粘着剤層は、スチレン系エラストマー及び粘着付与樹脂を含有するゴム系粘着剤であり、且つ該スチレン系エラストマー100重量部に対して、該粘着付与樹脂を40〜120重量部含有することを特徴とする、請求項1記載の被覆シーリング用粘着テープ又はシート。
  3. 前記粘着剤層は、スチレン系エラストマー及び軟化剤を含有するゴム系粘着剤であり、且つ該スチレン系エラストマー100重量部に対して、該軟化剤を20〜60重量部含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の被覆シーリング用粘着テープ又はシート。
  4. 少なくとも支持体層と粘着剤層を含む被覆シーリング用の粘着テープ又はシートであり、
    前記支持体層は、平均厚さが60μm〜200μmであり、かつ、5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa以上であり、前記粘着剤層は、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂及び軟化剤を含有するゴム系粘着剤であり、該スチレン系エラストマー100重量部に対して、粘着付与樹脂を40〜120重量部含有し、且つ、該スチレン系エラストマー100重量部に対して、該軟化剤を20〜60重量部含有することを特徴とする、構造物のひび割れ、凹み等の補修時に使用する被覆シーリング用粘着テープ又はシート。
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