JP2019065575A - コンクリート面補修方法 - Google Patents

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晃宏 勝野
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周二 市村
智之 稲垣
Tomoyuki Inagaki
智之 稲垣
秀樹 島内
Hideki Shimauchi
秀樹 島内
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Abstract

【課題】コンクリート面の補修を行う際に、粘着テープを用いた注入工法においても、補修材の硬化が十分に硬化しない状況を発生し難くする方法を提供する。【解決手段】テープ貼付工程として、第2粘着テープと、第2粘着テープの粘着剤層よりもラジカル捕捉剤が少ない粘着剤層を有する第1粘着テープを使用し、補修対象部位が第1粘着テープで被覆されるように第1粘着テープをコンクリート面に貼付する第1工程と、第1粘着テープが被覆されるように、且つ、コンクリート面に当接するように、第2粘着テープを貼付する第2工程と、を設ける。【選択図】図5

Description

本発明は、コンクリート面の補修方法に関する。
コンクリートの構造物にひび割れや凹み等が発生した際の補修方法のひとつに注入工法がある。これは、ひび割れ、凹み等に対し、加圧注入できる専門器具を用いて補修材を注入することで充填し、補修等を行う工法である。この工法に用いる補修材として、エポキシ樹脂系補修材、セメント系補修材、アクリル樹脂系補修材、発泡するエポキシ樹脂系補修材等が挙げられる。
注入工法については、補修材をひび割れ、凹み等に注入する際、補修材が必要以上に溢れたり、盛り上がったりすることを防ぐ為、或いは注入圧力が不足して、補修対象部位の一部に補修材が充填されていないことを防ぐ為、補修対象部位の表面を何らかで覆い、該部位が被覆された状態とする必要がある。
例えば、従来では、該箇所の被覆には硬化型で再剥離性の被覆シーリング材(変性シリコーン樹脂、ペースト状)が用いられている。該被覆シーリング材を補修対象部位の表面を覆う状態で塗布、硬化させることで被覆状態が完成し、補修材の注入が可能な状態となる。補修材の注入は、例えば低圧注入工法では、該被覆シーリング材を構造物の補修対象部位の表面を覆う状態で塗布する前の段階で、貫通口のある注入口部品を、予め補修対象部位上の任意の箇所に配置し、該注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットして実施する。なお、注入口部品の補修対象部位への固定には、速硬化型接着剤を使用する。該注入口部品に対し、貫通口が塞がらないよう輪状で該速硬化型接着剤を塗布、これを補修対象部位に圧着することで固定する。注入口部品の貫通口から注入して補修対象部位に補修材を充填、硬化させた後、硬化した被覆シーリング材及び固定された注入口部品を補修対象部位上から剥がして除去することで、一連の補修作業が終了する。
該補修方法、低圧注入工法に要する一連の工程は、被覆シーリング材(変性シリコーン樹脂、ペースト状)の硬化に24時間(春〜秋期)〜48時間(冬期)を要し、それが硬化した後に補修材注入作業を実施、更に該補修材の硬化にも24時間(春〜秋期)〜48時間(冬期)程度を要する。従って、該工法は全体で少なくとも48時間(春〜秋期)〜96時間(冬期)を要する。
上記のような被覆シーリング材(変性シリコーン樹脂、ペースト状)を使用しない方法として、幅広い温度環境においても被覆シーリング作業性が良好で、貼付から短時間で補修材が注入でき、更に補修材硬化後、被着体である構造物表面を傷めずに容易に除去可能な被覆シーリング用粘着テープを使用する工法が知られている。前記粘着テープは補修材に対する再剥離性の点から、ゴム系粘着剤を含むことが好ましく、生産性の点からも、ホットメルト方式による塗布に適したスチレン系エラストマーを含むことが好ましい。また、該粘着テープは、補修材の充填状況を確認するためには透明性のあるプラスチックフィルム等を支持体として使用することが好ましい。
特許文献1では、このような粘着テープとして、少なくとも支持体層と粘着剤層を含み、該支持体層の平均厚さが60〜200μm且つ該支持体層の5〜40℃の環境下におけるヤング率が0.5GPa以上であり、貼付30分後の5〜40℃の作業環境下の90°ピール粘着力が3N/10mm以上且つ24時間後の5〜40℃の作業環境下の90°ピール粘着力が20N/10mm以下である被覆シーリング用の粘着テープが開示されている。このような粘着テープによれば、被覆シーリング作業性が良好で、貼付から短時間で補修材が注入でき、更に注入補修材硬化後、被着体である構造物体表面を傷めずに容易に除去でき、且つ、コンクリートや補修材へ糊残りも起こさず、製造原価を抑えて市場に普及させることが可能となる。
特開2017−66237
しかしながら、注入工法を用いたコンクリート面の補修の際に、上記のような粘着テープを被覆シーリング材として用いると、補修材にアクリル樹脂系補修材を選択した際に十分に硬化しない場合があり、粘着テープを用いた注入工法においては、使用できる補修材の種類が限定されていた。
そこで本発明は、粘着テープを用いた注入工法においても、アクリル樹脂系補修材の硬化が十分に硬化しない状況を発生し難くし、コンクリート補修の作業性を向上させ、使用できる補修材の種類を拡大することを課題とする。
上述のように、粘着テープを用いた注入工法においては、アクリル樹脂系補修材の硬化が不十分となり、補修表面が部分的又は全体的にべたつきが残る、美感を損なってしまう等の問題があった。
本発明者らは、注入工法において補修材の硬化が不十分となる原因について鋭意研究を行った結果、以下のことを見出した。
上記注入工法において使用される粘着テープの多くは、外部環境での使用を前提とするが、粘着テープは熱・酸素・光・薬品の作用を受けると、分解や変質を受け、劣化が進行する。劣化があるレベルに達すると、物性低下がおこり、要求性能を下回る。そのため、粘着テープの粘着剤層には、熱や酸素や光や薬品の作用から粘着テープを防御する耐候剤の配合が求められる。この耐候剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等が挙げられ、注入工法に使用される粘着テープの粘着剤にも該耐候剤が配合されている。
粘着テープの劣化メカニズムのひとつとして、熱・酸素・光等の作用にて発生したラジカルの連鎖反応により劣化が進行することが知られている。この劣化を抑制するために、耐候剤が配合され、耐候剤のなかでも、酸化防止剤や光安定化剤はラジカル捕捉剤であり、発生したラジカルと反応し、不活性な物質に変えることで劣化サイクルを停止させる働きがある。
ここで、アクリル樹脂系補修材の一般的な硬化方法は、主剤と硬化剤を混合させることにより、ラジカルが発生し、主剤と連鎖的に反応が進み、高分子化していく。
以上より、粘着テープを用いた注入工法において、補修材としてアクリル樹脂系補修材を選択した場合、粘着テープの粘着剤層と注入した補修材とが接する状態となるため、アクリル樹脂系補修材の硬化反応の際に発生したラジカルが、粘着剤層に配合されるラジカル捕捉剤により捕捉されて、補修材の硬化阻害を受けていることが推測された。
以上を踏まえ、本発明者らは、上記のようなラジカル捕捉剤による補修材の硬化阻害を防止しつつも、屋外等の光・熱環境下でも実施可能な粘着テープを用いた注入工法を検討し、本発明に想到した。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明(1)は、
コンクリート面の補修対象部位に補修材を注入して前記コンクリート面を補修するコンクリート面補修方法であって、
前記補修対象部位を被覆するように粘着テープを貼付するテープ貼付工程と、前記テープ貼付工程後、前記コンクリート面の前記補修対象部位に前記補修材を注入する補修材注入工程と、を含み、
前記テープ貼付工程は、
粘着テープとして、最表層となる粘着剤層を少なくとも有する、第1粘着テープ及び第2粘着テープを使用し、
前記補修対象部位の少なくとも一部又は全部が前記第1粘着テープで被覆されるように、前記第1粘着テープの前記粘着剤層の少なくとも一部を前記コンクリート面に当接させる第1工程と、
前記第1工程後、前記第1粘着テープの少なくとも一部又は全部が前記第2粘着テープで被覆されるように、前記第2粘着テープの前記粘着剤層の少なくとも一部を前記コンクリート面に当接させる第2工程と
を含み、
前記第1粘着テープの前記粘着剤層におけるラジカル捕捉剤の含有量が、前記第2粘着テープの前記粘着剤層におけるラジカル捕捉剤の含有量よりも小さいことを特徴とするコンクリート面補修方法である。
本発明(2)は、
前記第1粘着テープの前記粘着剤層全体の重量に対するラジカル捕捉剤の含有量が2.0重量%未満である、前記発明(1)のコンクリート面補修方法ある。
本発明(3)は、
前記ラジカル捕捉剤は、酸化防止剤及び光安定剤である、前記発明(1)又は(2)のコンクリート面補修方法である。
本発明(4)は、
前記補修材はアクリル樹脂系補修材である、前記発明(1)ないし(3)のいずれかのコンクリート面補修方法である。
本発明によれば、粘着テープを用いた注入工法において、補修材にアクリル樹脂系補修材を選択した際にも、補修材の硬化が不十分となる状況が発生し難いコンクリート面の補修方法を提供可能である。更に、本発明によれば、補修材の種類を選ばずに適用可能なコンクリート面の補修方法を提供可能である。
図1は、粘着テープを構造物の補修対象部位(ひび割れ)に貼付した本実施形態に係る工程の概略を示す概念図である。{(a−1)及び(a−2)は各々、構造物の補修対象部位(ひび割れ)の概念上面図及び概念側面図であり、(b−1)及び(b−2)は各々、第1粘着テープを構造物の補修対象部位(ひび割れ)に貼付した概念上面図及び概念側面図であり、(c−1)及び(c−2)は各々、第2粘着テープが第1粘着テープを被覆するように、第1粘着テープ及び第2粘着テープを構造物の補修対象部位(ひび割れ)に貼付した概念上面図及び概念側面図である}。 図2は、構造物の補修対象部位(ひび割れ)に第1粘着テープ及び第2粘着テープを貼付した表面に注入口部品を配置、固定した本実施形態に係る補修材注入工程の概略を示す概念図である。{(a)は第1粘着テープ及び第2粘着テープの表面に注入口部品を配置、固定した概念上面図であり、(b)は第1粘着テープ及び第2粘着テープの表面に注入口部品を配置、固定した概念側面図である}。 図3は、構造物の補修対象部位(ひび割れ)に第1粘着テープ及び第2粘着テープを貼付した表面に注入口部品を配置、固定し、該注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットし、補修対象部位に補修材を注入、充填した本実施形態に係る補修材注入工程の概略を示す概念図である。{(a)は被注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具をセットし、補修対象部位に補修材を注入、充填した概念側面図であり、(b)は注入した補修材が硬化した後、加圧注入した専用器具を取り外した概念側面図である}。 図4は、注入口部品が表面に載ったままの状態で第1粘着テープ及び第2粘着テープを補修対象部位から剥がして除去し、補修対象部位に充填された補修材が硬化した状態である、本実施形態に係る一連の工程が完了した後のコンクリート面の概略を示す概念図である。{(a)は一連の補修工程が完了した補修部位の概念上面図であり、(b)は一連の補修工程が完了した補修部位の概念側面図である}。 図5は、実施例におけるコンクリート面補修方法の概略を示す写真である。{(a)は構造物の補修対象部位(ひび割れ)にプライマーを塗布する工程を示す写真であり、(b)はプライマーが塗布された構造物の補修対象部位(ひび割れ)に第1粘着テープを貼付する工程を示す写真であり、(c)は第1粘着テープが貼付された構造物の補修対象部位(ひび割れ)を被覆するように第2粘着テープを貼付する工程を示す写真である}。
次に、図1〜図3を参照しつつ、本発明に係るコンクリート面補修方法について具体的に説明するが、本発明は以下には何ら限定されない。
本発明に係るコンクリート面補修方法は、補修対象部位に粘着テープを貼付するテープ貼付工程と、コンクリート面の補修対象部位に補修材を注入する補修材注入工程と、を含む。また、本発明に係るコンクリート面補修方法は、各工程(後述の第1工程、第2工程、及び補修材注入工程)の前後に、更に別の工程が含まれていてもよい。例えば、テープ貼付工程の前に、前処理工程を含んでいてもよいし、補修材注入工程の後に、後処理工程を含んでいてもよい。即ち、本発明に係るコンクリート面補修方法は、好ましくは以下の工程よりなる。以下、それぞれの工程について説明する。
(1)前処理工程
(2)テープ貼付工程
(3)補修材注入工程
(4)後処理工程
ここで、本発明において「補修対象部位」とは、ひび割れ、凹み、欠け、傷、孔、溝等の、コンクリート面において流体状の補修材を注入可能な空間又は該空間を形成するコンクリート面の縁部を示す。
また、本発明において「補修」とは、このような補修対象部位に補修材を注入する行為を示す。そのため、本発明においては、設計として設けられた溝や孔に対して補修材を注入する行為等も、補修に該当する。
<<1.前処理工程>>
前処理工程は、補修対象部位を含むコンクリート面を予め整備し、後述するテープ貼付工程におけるテープの接着性を向上させる工程である。より具体的には、ディスクサンダやスクレーパー等により補修対象部位周辺を研磨する研磨工程、天日やドライヤー等により補修対象部位周辺に残留する水分を蒸発させる乾燥工程、補修対象部位に存在するゴミや小石を除去する清浄工程等である。
また、前処理工程として、補修対象部位周辺(粘着テープを適用する範囲)にプライマー(コンクリート面塗布用プライマー)を塗布する工程であるプライマー塗布工程を設けてもよい。コンクリート面塗布用プライマーとしては、粘着テープとコンクリート面との接着性を向上可能な剤であれば、何ら限定されず、コンクリート面の材質や粘着テープの粘着剤の種類によってその種類や塗布量を決定すればよい。例えば、水溶性エポキシプライマーや有機酸系水溶液からなるプライマー等を使用可能である。
<<2.テープ貼付工程>>
テープ貼付工程は、補修対象部位に粘着テープを貼付し、補修対象部位を被覆する工程である。以下に、具体的な工程及び使用する粘着テープについて説明する。
<工程>
本形態に係るテープ貼付工程は、第1粘着テープを貼付する第1工程と、第1工程後に第2粘着テープを貼付する第2工程とを含む。なお、以下においては、第1粘着テープ及び第2粘着テープを、単に粘着テープと称する場合がある。
第1工程は、補修対象部位の少なくとも一部又は全部(好ましくは全部)が第1粘着テープで被覆されるように、第1粘着テープの粘着剤層の少なくとも一部を前記コンクリート面に当接させる工程である{図1(b−1)及び図1(b−2)参照}。なお、第1粘着テープの詳細については、後述する。
第2工程は、第1工程後、第1粘着テープの少なくとも一部又は全部が第2粘着テープで被覆されるように、且つ、第2粘着テープの少なくとも一部をコンクリート面に当接させる工程である{図1(c−1)及び図1(c−2)参照}。更に第2工程においては、補修対象部位の全部が被覆されるように、第2粘着テープを設けることが望ましい。なお、第2粘着テープの詳細については、後述する。
このような第1工程及び第2工程を実施することにより、第1粘着テープの粘着剤層が補修材と接触する一方、第2粘着テープの粘着剤層には補修材が接触し難くなる。更に、本工程においては、第1粘着テープの粘着剤層(コンクリート面に当接し得る粘着剤層)におけるラジカル捕捉剤の含有量が、第2粘着テープの粘着剤層(第1粘着テープ及びコンクリート面に当接し得る粘着剤層)におけるラジカル捕捉剤の含有量よりも小さいように構成されている。従って、第1粘着テープによって補修対象部位を被覆することで、後述する第2粘着テープと補修材との接触を遮断し、第2粘着テープによる補修材の硬化阻害を防止することを可能としつつも、第2粘着テープに含まれるラジカル捕捉剤(典型的には、酸化防止剤と光安定剤)により、耐候性を奏することが可能となる。
なお、補修対象部位が直線状でない場合(例えば、蛇行状や蜘蛛の巣状等の複雑形状の場合)には、第1工程及び第2工程において、補修対象部位を複数の区間で分け、該区間ごとに長さを調整した複数の粘着テープを用いて補修対象部位を被覆してもよい。またこのような場合、各粘着テープ同士が重なって貼付されていてもよい。
また、粘着テープには後述する補修材を注入する為の開口部を設けるが、その手段は特に限定されない。例えば、テープ貼付工程後、粘着テープの任意の箇所に貫通孔を開ける、予め補修材を注入可能な貫通孔を有する粘着テープを用いる、又は、補修材を注入可能な隙間を有するようにテープ部材を配する、等とすればよい。
なお、本工程においては、更に第1粘着テープ及び第2粘着テープ以外のテープを貼付する工程として、例えば、上記第2粘着テープを被覆するように更に別の粘着テープを貼付する、補修対象部位を囲うように養生テープを貼付する等の工程を設けてもよい。
<粘着テープ>
本工程において使用される粘着テープは、最表層(コンクリート面と当接させる側)に粘着剤層(以下、粘着剤層を単に粘着剤と称する場合がある。)を有する粘着テープであり、典型的には粘着剤層及び支持体層(以下、支持体層を単に支持体と称する場合がある。)の2層からなる。なお、粘着テープは、その他にも、両面粘着テープであってもよいし、支持体層と粘着剤層とを各々複数有するテープであってもよい。また、粘着テープとしては、使用前においては粘着剤層を保護する剥離ライナーを設け、使用時には該剥離ライナーを剥がして使用する形態であってもよい。このような剥離ライナーとしては、通常の粘着テープに用いられるもの、例えば、シリコーン系剥離ライナーや長鎖アルキル系剥離ライナー、フッ素系剥離ライナー等を使用可能である。以下、第1粘着テープ及び第2粘着テープの各々について説明する。
[第1粘着テープ]
〔材質〕
(粘着剤層)
本工程における第1粘着テープに用いる粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリオレフィン系、エチレン・酢酸ビニル共重合体系等の各種粘着剤を使用することができるが、第1粘着テープは貼付した際に補修材と接するテープであることから、ラジカル捕捉剤の配合量が少ない粘着剤が好ましく、耐候性に優れ、ラジカル捕捉剤を含有しないアクリル系粘着剤が好ましい。
第1粘着テープの粘着剤層は、紫外線吸収剤、充填剤等を含んでいてもよい。それらの添加量は、配合する添加成分にもよるが、通常、粘着剤重量100重量部に対して、合計で0.001〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量が、適宜配合される。
ただし、第1粘着テープの最表層の粘着剤層(コンクリート面及び補修材に当接する側の粘着剤層)においては、ラジカル捕捉剤(熱、光、重金属等により発生したラジカルを捕捉し、連鎖開始を阻害すると共に、ラジカル連鎖を禁示する作用を有する化合物を指し、具体的には、ラジカル捕捉可能な酸化防止剤及び光安定剤である)が、粘着剤層全体の重量に対して、2.0重量%未満であることが好ましく、1.0重量%未満であることがより好ましい(ラジカル捕捉剤を含有せずともよい)。このような範囲とすることにより、補修材の硬化阻害をより防止し易くすることができる。
他方、後述する第2粘着テープの最表層の粘着剤層に関しては、通常配合される程度又はそれ以上の量(例えば、2.0重量%以上)のラジカル捕捉剤を含んでいても何ら問題ない。以上を踏まえると、第1粘着テープの最表層の粘着剤層では、粘着剤層全体の重量に対して2.0重量%未満(又は、1.0重量%未満)のラジカル捕捉剤を配合し、第2粘着テープの粘着剤層では、粘着剤層全体の重量に対して2.0重量%以上のラジカル捕捉剤を配合することで、耐候性を十分なものとしつつも、補修材の硬化阻害をより防止し易くすることが可能となるため好ましい。
ここで、前述の酸化防止剤は、代表的にはフェノール系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤等であり、前述の光安定剤は、代表的にはヒンダードアミン系光安定剤等である。この場合、本工程においては、第1粘着テープの粘着剤層(コンクリート面に当接される側の粘着剤層)における、フェノール系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びヒンダードアミン系光安定剤の合計の含有量が、第2粘着テープの粘着剤層(コンクリート面に当接される側の粘着剤層)におけるそれらの合計の含有量よりも小さいことが好ましい、といえる。更に、本工程においては、第1粘着テープの粘着剤層全体における、フェノール系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びヒンダードアミン系光安定剤の合計の含有量が、2.0重量%未満であることが好ましく、1.0重量%未満であることがより好ましい、といえる。また、これらの第1粘着テープと、粘着剤層(コンクリート面に当接される側の粘着剤層)全体の重量に対して2.0重量%以上のフェノール系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む第2粘着テープと、を組み合わせて使用することが更に好ましいといえる。
(支持体層)
第1粘着テープに用いる支持体としては、特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム、不織布、フィルムクロス、紙、布、金属箔等及びその複合体等を使用することができる。素材としては、特に限定されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン‐1共重合体、エチレンオクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン系材料、ポリビニルアルコール系材料、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系材料、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系材料、構造内に亜鉛、ナトリウム等の金属イオンをもつ各種アイオノマー系材料、ポリスチレン、スチレンイソプレン共重合体、スチレンブタジエン共重合体等のスチレン系材料、ポリウレタン系材料、塩ビ系材料、フッ素系材料、アセテート、セロファン等のセルロース系材料、レーヨン、綿等、アルミ、銅、銀、金、スズ、ステンレス等の金属等、各種材料の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、好ましくは、このフィルムの片面に、アクリル樹脂、ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂からなるプライマーを塗布し、乾燥させた後、プライマーの上に粘着剤を塗布して得られたものである。
〔形状〕
第1粘着テープの幅、長さ、及び厚み等としては、補修対象部位の大きさや表面形状に応じて自由に形状を設計可能であり、幅広のシート状であってもよいが、好ましくは細長い帯状である。なお、テープが細長い帯状である場合には、ロール状に巻いておき、使用時に引き伸ばして使用する形態が好ましい。
第1粘着テープの厚さに関して、より具体的には、少なくとも支持体層と粘着剤層、或いは少なくとも支持体層と粘着剤層と剥離ライナーからなる該粘着テープの総厚さ(平均総厚さ)が20〜125μmであることが好ましく、30〜100μmであることがより好ましい。該総厚さが125μmを上回ると、第1粘着テープを被覆するように第2粘着テープを貼付した際に、テープ同士の隙間が広くなり、補修材が漏れる恐れがある。従って隙間ができないよう、第1粘着テープの総厚さは第2粘着テープの粘着剤厚さより薄いことが好ましい。
また、第1粘着テープは、粘着剤の厚さ(平均厚さ)が10〜65μmであることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。粘着剤の厚さが10μmを下回ると、構造物表面のひび割れ、補修対象部位周辺に対する密着性が不足し、補修材を加圧注入した際に、接着した部分が浮き上がったり、剥がれたりして、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤の厚さが65μmを上回ると、構造物表面のひび割れ、補修対象部位や補修材への粘着力が高くなり過ぎ、補修材硬化後に該粘着テープを除去する際に、剥離が重くなり作業性が低下する、粘着剤が補修対象部位に残留する等の恐れがある。
更に、第1粘着テープは、支持体の厚さ(平均厚さ)が10〜65μmであることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。支持体の厚さが10μmを下回ると、支持体の強度が不十分となり、粘着テープを補修対象部位に貼付する際に支持体が切れる、貼りシワが生じてしまう等作業性が低下する傾向にある。また、補修材を加圧注入した際に支持体が裂けて補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりすることがある。
[第2粘着テープ]
〔材質〕
(粘着剤層)
本工程における第2粘着テープに用いる粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリオレフィン系、エチレン・酢酸ビニル共重合体系等の各種粘着剤を使用することができるが、コンクリート面に対する剥離性の点からはゴム系粘着剤を含むことが好ましく、生産性の点からも、ホットメルト方式による塗布に適したスチレン系エラストマーを含むことがより好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレンイソプレン系共重合体、スチレンブタジエン系共重合体、又はそれらの水素添加物等の各種スチレン系エラストマーを使用することが出来る。
更には、第2粘着テープに用いる粘着剤としては、該スチレン系エラストマー100重量部に対して粘着付与樹脂を40〜120重量部含有することが好ましい。本発明の粘着剤に使用する粘着付与樹脂としては、特に限定されず、例えば、ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、石油系樹脂、又はそれらの水素添加物等の各種粘着付与樹脂を使用することができる。なお、複数種の粘着付与樹脂を併用してもよい。粘着剤層に含有する粘着付与樹脂がスチレン系エラストマー100重量部に対して40重量部を下回ると、補修対象部位周辺に対する密着性が不足し、補修材を加圧注入した際に、接着した部分が浮き上がったり、剥がれたりして、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤層に含有する粘着付与樹脂がスチレン系エラストマー100重量部に対して120重量部を上回っても、粘着剤が硬くなる等し、補修材が漏れ出す場合がある。
また、第2粘着テープに用いる粘着剤としては、該スチレン系エラストマー100重量部に対して軟化剤を20〜60重量部含有することが好ましい。粘着剤に使用する軟化剤としては、特に限定されず、例えば、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ブチルゴム、低分子量ポリイソブチレン、中分子量ポリイソブチレン、ポリブテン等の各種軟化剤を使用することができる。なお、複数種の軟化剤を併用してもよい。粘着剤層に含有する軟化剤がスチレン系エラストマー100重量部に対して20重量部を下回ると、構造物のひび割れ、凹み等の補修対象部位が平滑で無い場合や冬期の低温下において、貼付する該粘着テープの初期密着性が不足し、被着面との間に隙間ができ、補修材を加圧注入した際に、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤層に含有する軟化剤がスチレン系エラストマー100重量部に対して60重量部を上回ると、夏期の高温下において、貼付する該粘着テープの固定性が不足し、補修材を加圧注入した際に、補修材が漏れ出す場合がある。併せて、凝集破壊し易くなり、補修材硬化後に該粘着テープを除去する際に、構造物表面に粘着剤が残留する場合がある。
第2粘着テープの粘着剤層は、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。それらの添加量は、配合する添加成分にもよるが、通常、粘着剤重量100重量部に対して、合計で0.001〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量が、適宜配合される。
(支持体層)
第2粘着テープに用いる支持体としては、特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム、不織布、フィルムクロス、紙、布、金属箔等及びその複合体等を使用することができる。素材としては、特に限定されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン‐1共重合体、エチレンオクテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン系材料、ポリビニルアルコール系材料、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系材料、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系材料、構造内に亜鉛、ナトリウム等の金属イオンをもつ各種アイオノマー系材料、ポリスチレン、スチレンイソプレン共重合体、スチレンブタジエン共重合体等のスチレン系材料、ポリウレタン系材料、塩ビ系材料、フッ素系材料、アセテート、セロファン等のセルロース系材料、レーヨン、綿等、アルミ、銅、銀、金、スズ、ステンレス等の金属等、各種材料の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。支持体は特に限定されないが、2軸延伸のポリプロピレンフィルムや2軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。なお、該粘着テープは、補修材の充填状況を確認するためには透明性のあるプラスチックフィルム等を支持体として使用することが好ましい。また、好ましくは、このフィルムの片面に、アクリル樹脂、ビニル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂からなるプライマーを塗布し、乾燥させた後、プライマーの上に粘着剤を塗布して得られたものである。
〔形状〕
第2粘着テープの幅、長さ、及び厚み等としては、補修対象部位の大きさや表面形状に応じて自由に形状を設計可能であり、幅広のシート状であってもよいが、好ましくは細長い帯状である。なお、テープが細長い帯状である場合には、ロール状に巻いておき、使用時に引き伸ばして使用する形態が好ましい。
第2粘着テープの厚さに関して、より具体的には、少なくとも支持体層と粘着剤層、或いは少なくとも支持体層と粘着剤層と剥離ライナーからなる該粘着テープの総厚さ(平均総厚さ)が500μm以下であることが好ましい。該総厚さが500μmを上回ると、厚くなるほど材料費、粘着剤塗布加工等の工程費が高くなる為に、該粘着テープの製造原価はかなり高いものとなる場合がある。また、粘着テープをロール状に巻いた際、巻径が大きくなり、補修対象部位に作業者が貼付する際は、該粘着テープを携帯した状態で作業を行う必要があるが、巻径が大きくなると取り扱いし難くなる為、巻径を一定以下に抑える為に巻長さを短くせざるを得なくなって、短時間で頻繁に新しいロールに交換する必要がある為、屋外で貼付を行う作業者にとってはとても煩雑な作業となる場合がある。なお、粘着テープの総厚さ(平均総厚さ)の下限値は特に限定されないが、例えば65μmである。粘着テープの総厚さ(平均総厚さ)は、より好適には140μm〜250μmである。
また、第2粘着テープは、粘着剤の厚さ(平均厚さ)が80〜280μmであることが好ましい。粘着剤の厚さが80μmを下回ると、補修対象部位周辺に対する密着性が不足し、補修材を加圧注入した際に、接着した部分が浮き上がったり、剥がれたりして、補修材が漏れ出す場合がある。一方、粘着剤の厚さが280μmを上回ると、補修対象部位周辺への粘着力が高くなり過ぎ、補修材硬化後に該粘着テープを除去する際に、強い力で剥がす必要があり、剥離作業性が悪くなる場合がある。
更に、第2粘着テープは、支持体の厚さ(平均厚さ)が60〜200μmであることが好ましい。支持体の厚さが60μmを下回ると、補修材を加圧注した際に、テープ端部から注入する補修材が溢れたり、テープが盛り上がったりすることがあり、また、補修材硬化後に該粘着テープを除去する際に、該粘着テープが大きく伸びて、剥がし難くなったり、破断したりする場合がある。一方、支持体の厚さが200μmを上回ると、支持体のコシが強くなって、構造物のひび割れ、凹み等の補修対象部位が平滑で無い場合に、貼付する該粘着テープの追従性、密着性が不足し、被着面との間に隙間ができ、補修材を加圧注入した際に、補修材が漏れ出す可能性がある。
また、第2粘着テープの支持体層と粘着剤層は、その平均厚さにおいて、粘着剤層の方が厚い方が好ましい。粘着テープを補修対象部位の表面を覆う状態で貼付する際に、補修対象部位が直線状でない場合は、粘着テープを上から重ね貼りしていくことで貼付する場合がある。そのため、支持体層自身の段差に追従する必要があるので、粘着剤層の方が厚い方が好ましい。
本工程では、補修対象部位に貼付された第1粘着テープの上から、更に第2粘着テープを被覆し、該第2粘着テープをコンクリート面に貼付する。従って、粘着テープの幅に関しては、第1粘着テープが補修対象部位の横幅(例えば、ひび割れにおいては、ひびの幅)よりも広いことが好ましい。また、第1粘着テープは補修材と接触するよう貼付されるため、硬化阻害を抑制すべく耐候剤の配合量が少ない。従って第1粘着テープが露出された状態で使用すると、酸素や水分と光によるテープの劣化の恐れがあることから、十分量の耐候剤が配合された(耐候性のある)第2粘着テープの幅が第1粘着テープの幅よりも広く、第1粘着テープの全面を覆うことが好ましい。
その他、粘着テープは、上述した粘着剤層以外においても、支持体層、プライマー、剥離ライナーの各層に対し、目的を損なわない範囲で必要に応じて各種添加剤を追加で配合することができる。特に限定はされないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、加工安定剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、無機顔料、剥離性付与剤等を適宜配合可能である。また、上記第1粘着テープの最表層となる粘着剤層以外の各層に対して、ラジカル捕捉剤(例えば、酸化防止剤や光安定剤)を配合しても何ら差し支えない。
ここで、前述した第1粘着テープ及び第2粘着テープを、コンクリート面補修用キットとして準備しておいてもよい。また、このキットには、前述のコンクリート面塗布用プライマーや、後述の補修材、注入口部品、注入専用器具等が含まれていてもよい。
<<3.補修材注入工程>>
補修材注入工程は、補修対象部位に補修材を注入する工程である。具体的な補修材の注入方法は、公知の注入工法の条件を適用可能であり特に限定されず、例えば、以下の低圧注入工法のようにして行うことができる。なお、グリースポンプ、足踏み注入器、電動注入器等の別の注入方式を用いて高圧で注入してもよいし、シーリングガンで充填してもよい。
まず、被覆した第1及び第2粘着テープに設けられた開口部の上に、該開口部を維持した状態で、注入口部品を配置し、速硬化型接着剤等で固定する{図2(a)及び図2(b)参照}。該速硬化型接着剤は、注入口部品を固定可能であれば何ら限定されず、例えば、2液常温硬化型からなるエポキシ樹脂系接着剤等を用いればよい。
次に、固定した注入口部品の貫通口に加圧注入できる専用器具(例えば、シリンダー)をセットし、補修対象部位に補修材を注入、充填する{図3(a)参照}。
最後に、適当な時間養生を行い、補修材を硬化させる。なお、養生の時間は、補修材の材質、コンクリート面の性状、及び養生条件(湿度や温度、天気等)等に応じて、適宜変更可能である。
ここで、補修材としては、JIS A 6024適合のエポキシ樹脂系補修材、アクリル樹脂系補修材が挙げられるが、補修材は、特にこれらの樹脂に限定されるものではなく、エポキシエマルション、変性アクリル樹脂、アクリルエマルション、アクリル酸エステル過酸化物、モルタル樹脂、ポリマーセメント、亜硝酸リチウム含有モルタル、ケイ酸ナトリウム系リチウム、水ガラス、シリカゾル、高炉スラグ系懸濁液、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン系シール材、シリコーン系シール材、変性シリコーン系シール材等であってもよい。特に、ラジカル重合により硬化される補修材であるアクリル樹脂系補修材(アクリル樹脂を主成分とする補修材)にも適用可能である。
<<4.後処理工程>>
後処理工程は、前記補修材注入工程後、テープの除去を行う工程である。例えば、加圧注入用専用器具を取り外し{図3(b)参照}、注入口部品が表面に載ったままの状態で被覆シーリング用の粘着テープを補修対象部位から剥がして除去すればよい。
以上の工程により、硬化した補修材が埋め込まれた補修対象部位(補修部位)が露出し、補修作業が完了となる{図4(a)及び図4(b)参照}。また、必要に応じて、後処理工程として、補修対象部位からはみ出した補修材をディスクサンダやスクレーパー等により研磨し平滑面としたり、水や有機溶媒による洗浄を行なったりしてもよい。
なお、これら一連の工程に要する作業時間は、補修材によっても異なるが、例えば、25時間(春〜秋期)〜49時間(冬期)程度である。
以上のように、本形態に係る補修方法によれば、補修材の種類を選ばずに適用可能であるため、コンクリート面におけるあらゆる補修対象部位の補修に適用可能である。
ここで、「コンクリート面」とは、コンクリート及びモルタルにより形成される面であれば何ら限定されず、平面のみならず、曲面や凹凸面等で構成されていてもよい。また、コンクリート面は、垂直方向、水平方向、及び傾斜方向のいずれに延在するものであってもよく、一般的な建築物(例えば、家屋、ビル、ダム、橋等)の他、道路、電柱、コンクリートブロック、コンクリートパネル等、あらゆる任意のコンクリート面を示す(例えば、家屋においては、壁部、屋上部、屋根部、床部、柱部等、コンクリート及びモルタルにより形成される全ての面が含まれる)。なお、コンクリート面を形成するコンクリート及びモルタル材料としても何ら限定されず、セメントコンクリート、アスファルトコンクリート、ポリマーコンクリート、砕石コンクリート、流動化コンクリート、高強度コンクリート、高流動コンクリート、膨張コンクリート、繊維補強コンクリート、軽量コンクリート、重量コンクリート等、公知のあらゆるコンクリート及びモルタル材料であってよい。
以下、実施例及び比較例により、本発明のコンクリート面補修方法についてより詳細に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
コンクリート面上の補修対象部位(ひび割れ)に対して、以下の方法により評価を行った。
先ず、補修対象部位周辺にプライマーを塗布し、補修対象部位を覆うように第1粘着テープをしっかりと貼付し、第1粘着テープを覆うように第2粘着テープをしっかりと貼付した(図5参照)。なお、比較例1においては、第1粘着テープを貼付しなかった。各実施例及び比較例で用いた第1粘着テープ及び第2粘着テープを表1に示す。あわせて、粘着剤層全体に対するラジカル捕捉剤(酸化防止剤及び光安定剤)の含有率(重量%)を表1に示す。ここで、酸化防止剤はアンテージW500(川口化学工業社製)であり、光安定剤はチヌビンPA144(BASF社製)である。なお、第1粘着テープ及び第2粘着テープは、基材層及び粘着剤層を有する2層構造のテープである。
次に、上記粘着テープに貫通孔を設けた後、図2及び図3に示した注入口部品及び専用器具を用いた方法により、補修対象部位にアクリル樹脂系補修材{商品名:DK550−04、粘度4000Pa・s(25℃)、可使時間30分(25℃)、DENKA株式会社製}を注入した(注入条件:{商品名:ボンドシリンダーセット、コニシ株式会社}、加圧ゴム片側1本ずつ使用(計2本使用)、アクリル樹脂補修材充填量30ml)。
その後、気温23℃、湿度70%の環境にて、24時間養生を行い、粘着テープ、注入口部品及び専用器具を除去した。
最後に、補修材の表面が硬化しているか否かを観察した。
各実施例及び比較例に使用したテープ及び評価結果を表1に示す。本表では、硬化阻害が発生しなかった場合(即ち、補修材の表面が硬化している場合)を○、硬化阻害が発生した場合(即ち、補修材の表面が硬化していない場合)を×としている。なお、いずれの実施例及び比較例においても、補修材の漏れ及び盛り上がりは確認されなかった。
実施例1及び2については、第1粘着テープは支持体に透明なフィルム素材を用い、粘着剤層には1.0%未満のラジカル捕捉剤を含有したゴム系粘着剤(天然ゴム/粘着付与樹脂系)を塗工した粘着テープを用いたところ、両者ともに良好な結果となった。実施例3については、支持体に紙基材を用い、実施例4は粘着剤にアクリル系粘着剤(ブチルアクリレート系)を塗工した粘着テープを用いたところ、こちらも良好な結果であった。なお、第2粘着テープは、支持体に透明なフィルム素材を用い、粘着剤層には、ラジカル捕捉剤含有率が2.6%のゴム系(SIS/粘着付与樹脂/オイル系)のものを用い、実施例1〜4及び比較例1とも全て同じ粘着テープを用いた。表1に示されるように、本発明に係る補修方法によれば、アクリル樹脂系の補修材を使用した場合においても、硬化阻害を起こすことなく、補修可能であることが判る。
比較例1は第2粘着テープのみを補修対象部位に貼付しており、補修材の表面が十分に硬化せず不合格となった。

Claims (4)

  1. コンクリート面の補修対象部位に補修材を注入して前記コンクリート面を補修するコンクリート面補修方法であって、
    前記補修対象部位を被覆するように粘着テープを貼付するテープ貼付工程と、前記テープ貼付工程後、前記コンクリート面の前記補修対象部位に前記補修材を注入する補修材注入工程と、を含み、
    前記テープ貼付工程は、
    粘着テープとして、最表層となる粘着剤層を少なくとも有する、第1粘着テープ及び第2粘着テープを使用し、
    前記補修対象部位の少なくとも一部又は全部が前記第1粘着テープで被覆されるように、前記第1粘着テープの前記粘着剤層の少なくとも一部を前記コンクリート面に当接させる第1工程と、
    前記第1工程後、前記第1粘着テープの少なくとも一部又は全部が前記第2粘着テープで被覆されるように、前記第2粘着テープの前記粘着剤層の少なくとも一部を前記コンクリート面に当接させる第2工程と
    を含み、
    前記第1粘着テープの前記粘着剤層におけるラジカル捕捉剤の含有量が、前記第2粘着テープの前記粘着剤層におけるラジカル捕捉剤の含有量よりも小さいことを特徴とするコンクリート面補修方法。
  2. 前記第1粘着テープの前記粘着剤層全体の重量に対するラジカル捕捉剤の含有量が2.0重量%未満である、請求項1記載のコンクリート面補修方法。
  3. 前記ラジカル捕捉剤は、酸化防止剤及び光安定剤である、請求項1又は2に記載のコンクリート面補修方法。
  4. 前記補修材はアクリル樹脂系補修材である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコンクリート面補修方法。

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