JP5635739B2 - ガス漏洩仮止め方法 - Google Patents
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Description
このようなガス漏洩孔の封止は、通常、ガス漏洩を迅速に防止するため、ガス漏洩孔を確実に補修する本止め方法を施す前に、ガス漏洩孔を一時的に封止する仮止め方法を施すという手法がとられる。
上記本止め方法としては、例えば、ガス流通管のガス漏洩孔の周囲を被覆自在な2つのカバー部材と、そのカバー部材の内部でガス漏洩孔に押し付けられるゴム状部材とからなる漏洩部修繕部材を用いて、ゴム状部材をガス漏洩孔に押し付けた状態で、二つのカバー部材をボルト及びナットで固定する方法が知られている(特許文献1を参照)。
一方、上記仮止め方法としては、粘土やウエス等をガス漏洩孔の外側から、ガス漏洩孔を塞ぐようにしてガス流通管に貼り付け、その周囲にテープ等を巻き付けて固定する方法が一般的である。
また、別の仮止め方法としては、ガス流通管のガス漏洩孔が形成された周囲にプライマ塗装を施し、ガス漏洩孔をその周辺部位と共に粘着シートで覆い、さらにその外周にプラスチックテープを巻きつける補修方法が知られている(特許文献2を参照)。当該仮止め方法は、特に、ガス流通管の内部を流通するガス圧が低圧の場合、又は低圧の箇所において、有効に機能するものである。
また、仮止め方法として、上記特許文献2に開示の補修方法を用いる場合、ガス流通管のガス漏洩孔の周囲に対してプライマ塗装を施したり、ガス漏洩孔に貼り付けられた粘着シートの外周にプラスチックテープを巻きつけたりする必要があり、迅速に仮止めできないという問題があった。
また、金属材料から成るガス漏洩仮止め部材形状維持層が、未加硫のブチルゴムを含み形状が崩れ易いガス漏洩仮止め部材粘着材層の形状を所定の形状に維持することとなる。これにより、ガス漏洩仮止め部材形状維持層とガス漏洩仮止め部材粘着材層とからなるガス漏洩仮止め部材は、シート形状を維持することができるので、その形状が崩れてガス漏洩孔の内部に入り込むことを防止できる。
即ち、本発明のガス漏洩仮止め部材は、ガス漏洩仮止め部材粘着材層が適切にガス流通管の外面に粘着すると共に、ガス漏洩仮止め部材形状維持層がガス流通管の外面に沿う形状を維持するので、粘着性を高めつつも適切な形状を維持して、ガス漏洩孔を適切に封止し、ガス漏洩を仮止めすることができる。
更に、本発明に係るガス漏洩仮止め方法にあっては、前記ガス漏洩仮止め部材の90°はくり強度が、49N/25mm以上としている。当該90°はくり強度は、ガス漏洩仮止め部材粘着材層がブチルゴムの場合、最大で98N/25mm程度にすることができる。
本発明における90°はくり強度とは、JIS規格(JIS−K6256−2)において、「はく離強さ」と定義されているものに準じた試験方法で、ガス漏洩仮止め部材粘着材層が非弾性材であるブチルゴムの幅25mmのガス漏洩仮止め部材を接着対象物に付着させたものを、引張試験機により、剥離速度200±20mm/minで、剥離角度90°として剥離した時の最大剥離力を測定したものである。より詳細な試験条件については、後述する。
上記特徴構成によれば、ガス漏洩仮止め部材のガス流通管に対する粘着力は、90°はくり強度が49N/25mm以上程度となる。これにより、例えば、内部のガス圧が1.0〜2.5kPa(1.0〜2.5×10 -3 N/mm 2 )程度のガス流通管に対し、ガス
漏洩仮止め部材粘着材層の付着面積を適切なものとし、当該ガス漏洩仮止め部材を手作業によりガス流通管に付着させるだけの操作で、当該ガス漏洩孔における内側から外側へのガス圧よりも高い粘着力を発揮することができる。これにより、当該ガス漏洩孔から、ガスが漏洩することを適切に仮止めできる。
更に、本発明に係るガス漏洩仮止め方法にあっては、ガス流通管は、地中に埋設されるポリエチレン管としている。
ガス流通管は、通常、地中に埋設されていることが多いため、ガス漏洩孔が形成されるガス流通管の周囲には、土砂等が付着していることが多い。また、ガス流通管は、接着剤等により接着することが困難なポリエチレンから成ることがある。
本発明のガス漏洩仮止め方法にあっては、ガス流通管の周囲に存在する土砂等で付着し難い場合でも、ガス漏洩仮止め部材粘着材層の未加硫のブチルゴムの高い粘着性により、ガス流通管の外面に付着できる。また、ガス流通管の周囲の土砂等で十分に封止し難い場合でも、ガス漏洩仮止め部材粘着材層のブチルゴムの高い柔軟性により、隙間を十分に埋める形態で、ガス漏洩孔を確実に封止することができる。
また、ガス流通管が接着剤では接着し難いポリエチレンから成る場合でも、ガス漏洩仮止め部材粘着材層の未加硫のブチルゴムの高い粘着性により、ガス漏洩仮止め部材が、ポリエチレンから成るガス流通管に付着できる。
本発明のガス漏洩仮止め方法は、通常、地中に埋設されているポリエチレンから成るガス流通管1に対し、工事等で掘削機等によりガス漏洩孔2が形成された場合に、そのガス漏洩孔2を迅速に封止し、ガス流通管1の内部を流通する都市ガスGが、外部へ漏洩することを仮止めするためのものである。
通常、ガス流通管のガス漏洩孔は、本発明のガス漏洩仮止め方法が施され一時的にガス漏洩を防止した後、確実にガス漏洩を防止すべく、ガス漏洩本止め方法が施されることとなる。
ここで、ガス漏洩仮止め部材10は、未加硫のブチルゴムを含むガス漏洩仮止め部材粘着材層12を一面に有し、アルミニウムを主成分とするガス漏洩仮止め部材形状維持層11を他面に有するように構成されており、ガス漏洩仮止め部材粘着材層12をガス漏洩孔2に対向する方向に向けられ、ガス流通管1の外面1aに押し付けるようにして付着される。
また、当該ガス漏洩仮止め部材形状維持層11は、ガス流通管1内部のガス圧が高い場合であっても、ガス漏洩仮止め部材10が過度の変形を起こすことを防止できる。
さらに、ガス漏洩仮止め部材形状維持層11は、作業者がガス漏洩仮止め部材10をガス流通管1に貼り付ける際、作業者の手とガス漏洩仮止め部材粘着材層12との間に位置するため、ガス漏洩仮止め部材粘着材層12が作業者の手に付着することを防止できる。
これにより、ガス漏洩仮止め部材10の90°はくり強度は、例えば、被粘着部位がポリエチレンから成る場合であっても49N/25mm以上とすることができる。
〔数式1〕
Ts=Fs/b (1)
ここで、Ts:はくり強度(N/mm)
Fs:最大剥離力(N)
b:ゴムの幅(mm)
〔試験方法〕
はくり強度測定試験では、ポリエチレン板が剥離面を水平となるように配置し、且つ、そのポリエチレン板の水平面の一方にガス漏洩仮止め部材10を約60秒程度、手の圧力により貼り付け、ガス漏洩仮止め部材10がポリエチレン板から所定の移動速度で剥離するように引っ張り力を付与し、試験中の最大引っ張り力を上記最大剥離力と測定する。
はくり強度測定試験において、ガス漏洩仮止め部材10の形状は、アルミニウムから成るガス漏洩仮止め部材形状維持層11の厚さを0.1mm、ブチルゴムから成るガス漏洩仮止め部材粘着材層12の厚さを10±1.0mmとし、幅25.0±0.1mm、長さ200.0mmとする、ポリエチレン板の形状は、厚さ5.0±0.5mm、幅200.0±20.0mm、長さ200.0±20.0mmとする。剥離時の移動速度は、200.0±20.0mm/minとする。試験中の試験室の標準温度は、23.0±2.0℃とする。
尚、ケース1〜4のすべての場合において、ガス漏洩孔2の周辺には若干の土砂を付着させ、内部のガス圧を2.5kPaとし、ガス漏洩仮止め部材10の90°はくり強度を49N/25mmとなるように調整した状態で、検証試験を行った。
この結果、表1に示す如く、ケース1〜4の各ガス漏洩孔2に対し、適切な形状及び大きさのガス漏洩仮止め部材10を適切な粘着力に調整して貼り付けることにより、ガス漏洩の仮止めを実現できることを確認した。
即ち、ガス漏洩仮止め部材粘着材層12としてブチルゴムを用いた場合、当該ガス漏洩仮止め部材10の90°はくり強度は、49N/25mm以上、且つ、ブチルゴムの物性として得られる範囲以下において、本願の目的を達成できる。
尚、ガス漏洩仮止め部材10の90°はくり強度が49N/25mm未満の場合、付着力の低下が確認された。
地中に埋設されたガス流通管1にガス漏洩孔2が形成されたことを想定し、テスト土槽
の中にガス流通管1(管径:100A及び110A)を埋設して、そのガス流通管1に30×35mmのガス漏洩孔2を形成した。その後、上記ガス漏洩孔2に対して、本発明のガス漏洩仮止め方法を適用するに、ガス漏洩仮止め部材10をガス漏洩仮止め部材粘着材層12がガス漏洩孔2に対向するように、且つ、ガス漏洩仮止め部材形状維持層11がガス流通管1の外面1aに沿うように形状を維持するように、ガス流通管1の外面1aに貼り付けた。これに要した時間は、約60秒程度であった。
(1)上記実施形態において、ガス漏洩仮止め部材形状維持層11は、アルミニウムを主成分とする金属材料から成るとしたが、ガス漏洩仮止め部材10の全体の形状が維持できるものであれば、他の金属を主成分とするものであってもよい。
2 :ガス漏洩孔
2a :ガス漏洩孔の外縁
10 :ガス漏洩仮止め部材
11 :ガス漏洩仮止め部材形状維持層
12 :ガス漏洩仮止め部材粘着材層
12a:ガス漏洩仮止め部材粘着材層の外周縁
Claims (4)
- ガスを流通すると共に地中に埋設されるポリエチレン管であるガス流通管に形成されたガス漏洩孔を封止して、前記ガスが漏洩することを仮止めするガス漏洩仮止め方法であって、
一面に未加硫のブチルゴムを含むガス漏洩仮止め部材粘着材層を有し、他面に金属材料から成り粘着材層の形状を維持するガス漏洩仮止め部材形状維持層を有するガス漏洩仮止め部材であって、当該ガス漏洩仮止め部材粘着材層をポリエチレン表面に粘着させた場合の90°はくり強度が49N/25mm以上となるガス漏洩仮止め部材を、前記ガス漏洩仮止め部材粘着材層が前記ガス流通管へ粘着する粘着力が、前記ガス漏洩孔の内側から外側へのガス圧力よりも高くなる状態で、且つ前記ガス漏洩仮止め部材粘着材層を前記ガス漏洩孔に対向させて前記ガス流通管の外面の管周方向の一部に付着させて、前記ガス流通管からの前記ガスの漏洩を仮止めするガス漏洩仮止め方法。 - 前記ガス漏洩仮止め部材の周方向全周に亘って、前記ガス漏洩孔の中心から前記ガス漏洩仮止め部材の外周縁までの距離が、前記ガス漏洩孔の中心から前記ガス漏洩孔の外縁までの距離の3倍以上3.5倍以下である請求項1に記載のガス漏洩仮止め方法。
- 前記ガス漏洩仮止め部材形状維持層は、アルミニウムを主成分とする金属材料から成る請求項1又は2に記載のガス漏洩仮止め方法。
- 前記ガス流通管の前記ガスの流通を遮断し、前記ガス流通管のガス漏洩孔が形成された部位を補修するガス漏洩本止め方法が施される前に、実施する請求項1乃至3の何れか一項に記載のガス漏洩仮止め方法。
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