JP6780289B2 - ボックスカルバートの補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートの補修方法に関する。
ボックスカルバートは、貫通した中空部を有するコンクリート函体であって、コンクリート函体同士をその中空部が連通するように縦列に連設した状態のコンクリート函体連設体とし、それを地中や道路下に施設して、中空部を水路、歩道や車道の地下道、通信線の収容部とする用途に用いられている。
この施工の際には、コンクリート函体同士の接続目地部に中空部への止水や土砂の流入を防ぐ目的でアスファルトを主材とする瀝青質目地板(アスファルト混合物、商品名:エラスタイトなど)などを目地材として充填しているが、施工後10年以上の長期にわたる使用により、図7(a)に示すように目地材2が経年変化して接続目地部10aから飛び出したり、剥落したりする問題や、更には目地材充填部分にクラック等が発生して接続目地部から土砂や該土砂中に含まれる水分(例えば、地下水、雨水など)が液体状及び/又は固体状(つらら等)となって流出するなどの問題が発生している。
現在、その対策として、図7(b)に示すように、コンクリート函体連設体の中空部側の天井部分の接続目地部10aにおいて目地材2が経年変化によりコンクリート面から飛び出した部分を除去すると共に、ブリキ板などの金属板やプラスチックの成型品からなる断面形状が上方に開口したカバー部材90を作製しておき、コンクリート函体1のコンクリート壁面に穴を開けて上記天井部分の接続目地部を覆うようにカバー部材90をアンカーボルト91で打ち付けて止める方法がとられている。このカバー部材90によれば、接続目地部10aからの目地材2を受け止めて下に剥落することを防ぐことができると共に、接続目地部10aからの土砂の流出や漏水も防止することができる。
しかしながら、この方法では次のような問題があった。
i 施工されたコンクリート函体連設体ごとに接続目地部の寸法や形状が異なるためにオーダーメイドでカバー部材を作製する必要があり、カバー部材の設置までに時間を要する。
ii カバー部材の固定にアンカーボルトを使用するため、コンクリート函体を傷めることになる。
iii アンカーボルトでの固定ではコンクリート函体連設体における振動などのコンクリート函体の動きにカバー部材が追従することが難しい。
iv コンクリート函体連設体の中空部側天井からのカバー部材の出っ張りが40mm程度あることから通行車両が接触してカバー部材が破損する破損事故が発生する場合がある。カバー部材が破損した場合、その破片による二次災害にも注意が必要となることから、事故後、その破片及び破損したカバー部材の撤去が必要となる。
v 金属製のカバー部材では、カバーした部分の接続目地部の状態が見えなくなる。また、金属製のカバー部材が破損した場合、その破損部分の角で怪我をするおそれがある。
vi プラスチック製のカバー部材では、火災発生の場合に有毒ガスが発生するおそれがある。
なお、本発明に関連する先行技術として、例えば以下のものが挙げられる。
特開平9−32090号公報 特開平10−184921号公報 特開2001−25300号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、コンクリート函体連設体の接続目地部について現場で簡単に、かつコンクリート函体を傷めることなく補修や施工が可能であり、更にその補修箇所又は施工箇所の通行車両の接触による破損を抑制することができるボックスカルバートの補修方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、下記のボックスカルバートの補修方法を提供する。
〔1〕 貫通した中空部を有するコンクリート函体相互をその中空部が連通するように連設し、コンクリート函体間の接続目地部に目地材を充填して施設したコンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートにおける上記目地材の老化に伴う接続目地部の補修方法であって、上記接続目地部の少なくとも中空部側天井部分に、デュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物で目止めされたガラスクロス及び該ガラスクロスの片面上に設けられたデュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物層からなる基材層と該シリコーンゴム硬化物層上に積層されたアスカーC硬度で1〜60のシリコーン系粘着層とを有する保護シートを被覆し、上記粘着層をコンクリート函体のコンクリート壁に粘着又は接着して、上記接続目地部の中空部側天井部分からの老化目地材、土砂及び、該土砂中に含まれる水分の落下流出を防止することを特徴とするボックスカルバートの補修方法。
〔2〕 上記シリコーン系粘着層が、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、Rはアルケニル基を含む)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、
(D)珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)付加反応触媒
を含有してなる、硬化物が表面粘着性を有する付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物である〔1〕記載のボックスカルバートの補修方法。
〔3〕 上記保護シートは、透明又は半透明であり、該保護シートを通して接続目地部及びその周辺のコンクリート面の状態を目視可能に保護シートで被覆している〔1〕又は〔2〕記載のボックスカルバートの補修方法。
〔4〕 上記保護シートの厚さが0.5〜8mmである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のボックスカルバートの補修方法。
〔5〕 上記目地材は、アスファルトを主材とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のボックスカルバートの補修方法
本発明によれば、薄い保護シートをコンクリート函体のコンクリート壁面に貼り付けるだけで補修又は施工し得るため、カバー部材のようにオーダーメイドする必要がなく、現場補修又は施工を容易に、かつコンクリート函体を傷めることなく行うことができる。また、保護シートを粘着により貼り付ければコンクリート函体連設体における寒暖の差や振動などによるコンクリート函体の動きにも保護シートが柔軟に追従することができる。また、薄い保護シートであるため、コンクリート函体連設体の中空部側天井からの出っ張りがわずかであり、通行車両の接触による破損を極力抑制することができる。また、保護シートの基材層がゴム弾性体であれば仮に破損事故が発生しても二次災害の影響は軽微であり、その補修も容易である。
コンクリート函体連設体の構成例を示す側面概略図である。 図1に示すコンクリート函体連設体の施設時の接続目地部のA−A断面図である。 コンクリート函体連設体の接続目地部の経年変化後の天井部分断面図である。 図1に示すコンクリート函体連設体に本発明を適用した天井部分の接続目地部の断面図であり、(a)はコンクリート函体連設体の長さ方向の断面図であり、(b)はA−A断面図である。 本発明で用いる保護シートの構成例を示す断面図である。 本発明に係るボックスカルバートの補修方法を適用した後の天井部分の接続目地部の他の構成例を示す断面図である。 従来のボックスカルバートの補修方法における天井部分の補修状態を示す接続目地部の断面図であり、(a)は補修前の状態、(b)は保護カバーを取り付けた状態を示す。
以下に、本発明に係るボックスカルバートの補修方法について説明する。
本発明に係るボックスカルバートの補修方法は、貫通した中空部を有するコンクリート函体相互をその中空部が連通するように連設し、コンクリート函体間の接続目地部に目地材を充填して施設したコンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートの補修方法であって、少なくとも天井部分の接続目地部を挟んで隣接するコンクリート函体のコンクリート壁面に保護シートを架け渡して該接続目地部を覆うと共に、この保護シートを接続目地部近傍のコンクリート函体のコンクリート壁面に粘着又は接着により貼り付けたものである。
ここで、図1に示すように、施設されたコンクリート函体連設体10は、貫通した中空部1aを有するコンクリート函体1同士をその中空部1aが連通するように連設し、このコンクリート函体1同士の接続目地部10aに目地材2を充填したものである。このようなコンクリート函体連設体10は地中や道路下に施設して、中空部1aを水路、歩道や車道の地下道、立体交差道路、通信線の収容部などに用いられる。
コンクリート函体1は、ボックスカルバートと呼ばれるものであり、プレキャストコンクリート製品のものが多い。また、コンクリート函体1の寸法は、例えば縦横1m×1mから5m×30m程度で、長さが5〜50m程度である。
目地材2は、中空部1aへの止水や土砂の流入を防ぐためにコンクリート函体1同士の接続目地部10aに充填されるものであり、アスファルトを主材とした目地材が好ましく、例えば瀝青質目地板(アスファルト混合物、商品名:エラスタイトなど)からなる。
接続目地部10aは、コンクリート函体1同士が近接するように配置された際のそのコンクリート函体1の端面(接続面)同士で形成される継ぎ目部である。接続目地部10aの幅(コンクリート函体1の端面(接続面)同士の間隔)は、30〜150mm程度である。
ここで、コンクリート函体連設体10の施設時には、図2に示すように、目地材2が中空部1aに突出することなく、接続目地部10aに稠密に充填されている。
これが施設後10年以上が経過すると、図3に示すように目地材2が経年変化して接続目地部10aから中空部1a側に飛び出し、あるいは剥落するようになる。また、同時に接続目地部10aにおいて目地材2の充填が不十分となり、外部からの土砂や雨水が接続目地部10aから流出するおそれがある。この現象は、コンクリート函体連設体10の天井部分で顕著である。なお、図3はコンクリート函体連設体10の接続目地部10aを含む天井部分の断面図であり、図の上側がコンクリート函体連設体10の外側であり、図の下側が中空部1a側である。また、図3の左右方向が中空部1aが連通する方向(コンクリート函体連設体10の長さ方向、接続目地部10aの幅方向)であり、紙面垂直方向がコンクリート函体連設体10の幅方向(接続目地部10aの長さ方向)である。
本発明の補修方法は、このような不具合を防止又は予防するために行うものであり、以下の手順で行う。
この場合、補修のための保護シートとして、基材層とその片面に粘着層を有する保護シートを用いるが、まず、図3に示したように、目地材2が突出しているような状態であれば、その突出部分を除去する。この場合、接続目地部10aに空隙があるようなときには、必要によりシーリング材、例えばシリコーンシーリング材により空隙部を充填することができる。なお、シーリング材としては市販のものを使用し得る。
次いで、必要により、粘着層が貼付されるコンクリート函体1のコンクリート壁面の汚れを除去する等の表面調整を行った後、図4(a)に示すように、保護シート3を補修すべき接続目地部10aを覆って粘着層をコンクリート函体1のコンクリート壁面に貼着するものである。
図4(b)に示すように、接続目地部10aの中空部1a側における目地材2の一部除去は、コンクリート函体連設体10の天井部分及び側壁部分の全長に渡って施されている。また、保護シート3の貼り付けは、コンクリート函体連設体10の天井部分の全長及び両側壁のそれぞれの上部まで施されている。なお、保護シート3の貼り付けは、コンクリート函体連設体10の両側壁それぞれの全長(即ち、底部まで)、あるいは底部から10cm程度上の位置まで施してもよいが、少なくとも天井部分は保護シートを貼り付けるものである。
保護シート3の貼り付けとして、1枚のシートで少なくとも天井部分の接続目地部10a全体を覆うようにしてもよいし、複数枚のシートを所定幅で重ねながら少なくとも天井部分の接続目地部10a全体を覆うようにしてもよい。
ここで、保護シート3の基材層としては、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、アクリルシリコーンゴム又はシリコーンゴムからなる基材層、又はエポキシ系の繊維強化プラスチックからなる基材層が好ましい。また、保護シート3を屋外で使用することを考慮した場合、長期の耐熱性、耐寒性、耐候性を有し、温度依存性が極力少ない材料が好ましく、更に粘着層との相性がよい材料であることも考慮する必要がある。これらの点からシリコーンゴムからなる基材層がより好ましい。
上記基材層からなる保護シート3を接着剤を用いて所定のコンクリート面に接着して貼り付けるようにしてもよいが、施工上、保護シート3を貼り直しすることがあることを考慮すると、基材層上に粘着層を設けたものを用いて粘着層を介して貼り付けることが好ましい。
この粘着層としては、シリコーン系粘着層、アクリル系粘着層、アクリルシリコーン系粘着層又はウレタン系粘着層であることが好ましい。これらのうち、アクリル系粘着層の場合、保護シート3の貼り直しを可能にするためにプライマーによる下地処理膜を形成することが好ましい。また、ウレタン系粘着層の場合、粘着性を十分確保するためにプライマーによる下地処理膜を形成することが好ましい。保護シート3を屋外で使用することを考慮した場合、粘着層は寒冷地や高温多湿地帯など様々な環境に耐え得る材料からなることが好ましいため、シリコーン系粘着層がより好ましい。
図5に、本発明で用いる保護シート3の構成例を示す。
保護シート3は、図5に示すように、基材ゴム(基材層)3aの片面に粘着層3bが積層されてなるもので、通常粘着層3b上にはカバーフィルム3cが剥離可能に積層され、使用時にカバーフィルム3cを剥離し、粘着層3bを所用個所のコンクリート面に貼着するものである。
ここで、上記基材ゴムを構成するゴム基体としては、耐熱性、耐候性、耐寒性を有する点からシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、JIS K 6249に規定されるデュロメーターA硬度計による硬さが10〜90、より好ましくは20〜80、更に好ましくは25以上、とりわけ40以上で80以下、特に75以下であるシリコーンゴムを用いることが、弾力性及びゴム強度の点で好ましい。硬さが10未満であるとゴムとしての強度が劣る場合があり、90を超えると弾性が劣る場合がある。
なお、本発明において、ゴム硬度(即ち、JIS K 6249に規定されるデュロメーターA硬度計による硬さ)が1以上であり有効なゴム硬度値を示すものをシリコーンゴム(該硬化物を与える組成物をシリコーンゴム組成物)、該ゴム硬度が1未満であり有効なゴム硬度値を示さない程低硬度(柔らかい)ものをシリコーンゲル(該硬化物を与える組成物をシリコーンゲル組成物)という。
上記シリコーンゴムを得るためのシリコーンゴム組成物としては、成形が加熱により短時間でできる点から付加(ヒドロシリル化)反応硬化型のシリコーンゴム組成物又は有機過酸化物硬化型のシリコーンゴム組成物から得られたものが好ましい。この付加反応硬化型シリコーンゴム組成物は、ビニル基に代表されるアルケニル基を1分子中に2個以上有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、1分子中にSiH基を2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(通常、アルケニル基に対するSiH基のモル比が0.5〜4となる量)と、白金又は白金化合物に代表される白金族金属系付加反応触媒(通常、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンに対し1〜1,000ppm)とを含有するものが用いられる。また、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物としても公知の組成のものでよく、好ましくはアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンに硬化剤として有機過酸化物を硬化有効量(通常、上記オルガノポリシロキサン100質量部に対し1〜10質量部)配合したものが用いられる。
JIS K 6249に規定されるデュロメーターA硬度計による硬さが10〜90である上記シリコーンゴム硬化物を与えるシリコーンゴム組成物としては市販品が使用し得、例えば付加反応硬化型シリコーンゴム組成物として、信越化学工業(株)製KE−1935A/B、KE−1950−60A/B、KEG−2000−40A/B等が、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物として、信越化学工業(株)製KE−551−U、KE−571−U、KE−1571−U、KE−951−U等が用いられる。なお、基材ゴムにガラスクロスを入れて強度を向上させてもよい。
粘着層は、粘着性を有するシリコーンゴム又はゲルにて構成されるが、特に、付加硬化型のシリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物とすることで、一定のゴム硬度及びゴム強度を有しながら、基材ゴムやコンクリート面と密着し、固定できる粘着性をも有するものとすることができる。
ここで、粘着層としては、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、Rはアルケニル基を含む)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、
(D)珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)付加反応触媒
を含有してなる、硬化物が表面粘着性を有する付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物から形成することが好ましい。
この場合、この付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物は、必要により、更に
(C)R'3SiO1/2単位(式中、R'は非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、R'はアルケニル基を含まないか、含んでも(B)成分のアルケニル基含有量より少ない量である)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体を含有してもよい。
上記付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の(A)成分は、1分子中に少なくとも平均2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであり、この(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)
1 aSiO(4-a)/2 (1)
で示されるものが用いられる。
式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換1価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。ここで、上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
この場合、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6である)であることが必要である。なお、アルケニル基の含有量は、全有機基(即ち、上記の非置換又は置換1価炭化水素基)R1中、0.0001〜20モル%、好ましくは0.001〜10モル%、特に0.01〜5モル%とすることが好ましい。このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、少なくとも分子鎖両末端の珪素原子に結合したアルケニル基を含有するものが好ましい。
重合度については特に制限なく、常温で液状のものから生ゴム状のものまで使用できるが、通常、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の平均重合度が50〜20,000、好ましくは100〜10,000、より好ましくは100〜2,000程度のものが好適に使用される。
また、このオルガノポリシロキサンの構造は基本的には主鎖がジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2)又はヒドロキシジオルガノシロキシ基((HO)R1 2SiO1/2)で封鎖された直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。
(B)成分の樹脂質共重合体(即ち、三次元網状構造の共重合体)は、R3SiO1/2単位及びSiO2単位を主成分とするアルケニル基含有の樹脂質共重合体である。ここで、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であり、炭素数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、Rで示される1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
(B)成分のアルケニル基含有樹脂質共重合体は、上記R3SiO1/2単位及びSiO2単位のみからなるものであってもよく、また必要に応じ、R2SiO単位やRSiO3/2単位(Rは上記の通り)をこれらの合計量として、全共重合体質量に対し、50%以下、好ましくは40%以下の範囲で含んでよいが、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]は0.5〜1.5、特に0.5〜1.3が好ましい。このモル比が0.5より小さくても、1.5より大きくても粘着層としての十分な硬度・強度が得られなくなってしまう。更に、(B)成分の樹脂質共重合体は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する。この場合、アルケニル基の含有量が、通常、0.00005mol/g以上、好ましくは0.0001mol/g以上であり、より好ましくは0.0001〜0.003mol/gであり、更に好ましくは0.0002〜0.002mol/gの範囲である。アルケニル基の含有量が0.00005mol/gより少ないと、粘着層としての十分なゴム又はゲル物性が得られなくなってしまい、0.003mol/gより多いと、硬度が高くなりすぎて粘着力が低下してしまうおそれがある。
上記樹脂質共重合体は、常温(25℃)で流動性を有する液状(例えば10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上)のものでも、流動性のない固体状のものであってもよい。この樹脂質共重合体は、通常適当なクロロシランやアルコキシシランを当該技術において周知の方法で加水分解することによって製造することができる。
上記(A)、(B)成分の配合量は、(A)、(B)成分の合計を100質量部とした場合、(A)成分は20〜100質量部、特に30〜90質量部であり、(B)成分は0〜80質量部、特に10〜70質量部である。(A)成分が少なすぎると、粘着層としての弾性がなくなり脆くなってしまい、多すぎると、粘着性、強度が不十分になってしまう。(B)成分が多すぎると、粘着性も低下し、粘着層としてのゴム又はゲル物性も著しく低下してしまう。
本発明においては、(B)成分のアルケニル基含有樹脂質共重合体に加えて、更に必要により任意に、(C)成分として、分子中にアルケニル基等のヒドロシリル化付加反応に関与する官能性基を含有しない(無官能性の)樹脂質共重合体を配合することができる。(C)成分の樹脂質共重合体(即ち、アルケニル基非含有の三次元網状構造の共重合体)は、R'3SiO1/2単位及びSiO2単位を主成分とする。ここで、R'はアルケニル基を除く非置換又は置換の1価炭化水素基であり、炭素数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、R'で示される1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
(C)成分の樹脂質共重合体は、上記R'3SiO1/2単位及びSiO2単位のみからなるものであってもよく、また必要に応じ、R'2SiO単位やR'SiO3/2単位(R'は上記の通り)をこれらの合計量として、全共重合体質量に対し、50%以下、好ましくは40%以下の範囲で含んでよいが、R'3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R'3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5、特に0.5〜1.3が好ましい。このモル比が0.5より小さくても、1.5より大きくても粘着性が低下してしまう。
なお、上記樹脂質共重合体は、常温(例えば25℃)で流動性のある液状でも流動性のない固体状のものでもよいが、硬化物の粘着性の点で常温で固体状のものが好ましい。この樹脂質共重合体は、通常適当なクロロシランやアルコキシシランを当該技術において周知の方法で加水分解することによって製造することができる。
上記(C)成分の配合量は(A)、(B)成分の合計量100質量部に対して0〜400質量部、特に0〜300質量部とすることが好ましい。(C)成分が多すぎると、粘着性が低下し、粘着層としてのゴム又はゲル物性も低下するおそれがある。
(D)成分は、珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、分子中のSiH基が前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。この(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(2)
2 bcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数である。)
で示され、1分子中に少なくとも2個(通常2〜200個)、好ましくは3〜100個、より好ましくは3〜50個の珪素原子結合水素原子を有するものが好適に用いられる。ここで、R2の1価炭化水素基としては、R1で例示したものと同様のものを挙げることができるが、脂肪族不飽和基を有しないものが好ましい。また、bは好ましくは0.8〜2.0、cは好ましくは0.01〜1.0、b+cは好ましくは1.0〜2.5であり、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、1分子中の珪素原子の数(又は重合度)は2〜300個、特に4〜150個程度の室温(25℃)で液状のものが好適に用いられる。なお、珪素原子に結合する水素原子は分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
また、上記式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代りに、又はこれに加えてR''2HSiO1/2単位とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、又はR''2HSiO1/2単位とR''3SiO1/2単位とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体を用いることができる。ここで、R''は非置換又は置換の1価炭化水素基で、R'と同様なものが例示され、アルケニル基を含まないものが好ましい。上記樹脂質共重合体はR''2HSiO1/2単位又はR''2HSiO1/2単位とR''3SiO1/2単位及びSiO2単位のみからなるものであってもよく、また必要に応じて、R''HSiO2/2単位、R''2SiO2/2単位、HSiO3/2単位、R''SiO3/2単位を合計で全共重合体質量に対し50%以下、好ましくは40%以下の範囲で含んでもよいが、R''2HSiO1/2単位、R''3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[(R''2HSiO1/2+R''3SiO1/2)/SiO2]が0.5〜1.5、特に0.5〜1.3であることが好ましい。
上記(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
この(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して0.5〜30質量部、特に0.6〜20質量部である。配合量が少なすぎても多すぎても、粘着層としての十分な強度が得られなくなってしまう。また、この(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)、(B)、(C)成分中に含まれる珪素原子に結合したアルケニル基に対する(D)成分中の珪素原子に結合した水素原子(SiH基)の量がモル比で、0.2〜1.5、より好ましくは0.25〜1.2、更に好ましくは0.3〜0.9となる量で配合する。
(E)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、塩化白金酸とビニルシロキサン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などが挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常白金族金属として(A)、(B)、(C)成分の合計量に対し、0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度である。
上記(A)、(B)、(D)、(E)成分を含有し、硬化物のアスカーC硬度が1〜60で表面粘着性を有するシリコーンゴム又はシリコーンゲルを与える付加反応硬化型のシリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物としては、市販品が使用し得、例えば、信越化学工業(株)製KE−1012A/B、KE−1056、KE−1151、FE−57、KE−1051JA/B、等が用いられる。
なお、アスカーC硬度が1〜60の範囲内である粘着層の硬化物については、アスカーC硬度が14以上60以下のものがシリコーンゴム、アスカーC硬度が1以上14未満のものがシリコーンゲルである。
上記粘着層を形成するための付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物は、通常100〜180℃、特に110〜140℃において5〜20分の条件で硬化させることができ、通常、後硬化(ポストキュア)工程は必要ないが、場合により、後硬化することを妨げるものではない。
上記粘着層の硬さは、基材ゴムの硬さより小さいもので、アスカーC硬度で1〜60の範囲が好ましく、より好ましくは2〜55の範囲であり、更に好ましくは2〜40の範囲である。1未満では粘着層としての強度が劣る場合があり、60を超えると粘着性が低下してしまう場合がある。
また、JIS Z 0237に準拠し、ガラス(日本板硝子(株)、FL2.0)に粘着し、剥離速度300mm/minで180°ピール試験を行った場合の粘着力が0.5〜10N/25mm、特に0.7〜8N/25mmであることが好ましい。0.5N/25mm未満では粘着層を所用の被貼着部に貼着する場合、被貼着部に対する粘着力が低く、貼り付けに問題があり、10N/25mmを超えると、リワーク性や再付着性に支障をきたす場合がある。
なお、上記基材ゴム層及び粘着層を形成する組成物には、上述した成分に加え、必要に応じて、その他の成分として、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、石英粉、珪藻土、炭酸カルシウムのような充填剤や、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤などの充填剤を配合してもよい。更に、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤等を配合することは任意とされる。
上記基材ゴムの厚さは、好ましくは0.2〜5mm、より好ましくは0.5〜5mm、特に好ましくは0.5〜3mmである。0.2mm未満では、シートの弾性を生かすのに不十分な場合があり、5mmを超えると、重量が高くなり、貼り付けに影響を及ぼし、またコスト的に不利になってしまう場合が生じる。また、粘着層の厚さは、コンクリート面への粘着力を確保するために、0.3〜3mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜2mmの範囲である。 更に、コンクリート函体連設体における振動を吸収する上で粘着層はこの範囲内でできるだけ厚い方が好ましい。0.3mm未満では粘着層が貼り付ける被貼着部であるコンクリート面の表面凹凸を吸収できなくなり、3mmを超えると貼り付け面のゴム強度が粘着層に依存してしまいゴム破壊を起こす可能性がある。即ち、保護シート3の厚さは、0.5〜8mmが好ましい。
図5に示すような、シリコーンゴムからなる基材ゴム3aとシリコーン系の粘着層3bからなる保護シート3を用いると、その表面に大きな凹凸がない限り、ノンプライマーで保護シート3を貼り付けることができる。なお、保護シート3のコンクリート函体1のコンクリート壁面に貼り付ける幅として、接続目地部10aを挟む両コンクリート函体1に対し、それぞれ各コンクリート函体1に100〜400mm、特に150〜250mm貼着されるようにすることが好ましい。
また、保護シート3は、透明又は半透明であることが好ましい。これにより、貼り付けた保護シート3を通して接続目地部10a及びその周辺のコンクリート面の状態を目視で確認でき、目視検査による被着面の劣化観察が可能となる。
保護シート3を形成する場合は、上記基材ゴム上に粘着層を積層するが、上記基材ゴムを形成する組成物を硬化して基材ゴムを形成した後に粘着層を形成するようにしてもよいし、基材ゴムを形成する組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム上にカレンダー成形して分だしして、未加硫の状態で粘着層を形成する組成物を積層してもよい。
粘着層を形成する組成物は、基材ゴム層又はこれを形成する組成物上に、ディッピング、コーティング、スクリーン印刷等する方法で積層シートを得る方法があり、コーティング成形が好適に使用できるので好ましい。なお、これらの硬化条件としては、80〜250℃で10秒〜1時間の範囲が好ましい。更に、低分子シロキサンを除くなどの目的で120〜250℃で1〜100時間程度のアフターキュアを行ってもよい。
以上のように、本発明の補修方向を適用すると、図4に示すように、コンクリート函体連設体10における中空部1a側の少なくとも天井部分の接続目地部10aにおいて、保護シート3が目地材2の中空部1aへの飛び出しや剥落(脱落)、及び土砂の流出を防止する。また、寒冷地において接続目地部10aにおけるつららの形成される問題も生じない。
また、本発明によれば、薄い保護シート3をコンクリート函体1のコンクリート面に貼り付けるだけであるため、カバー部材のようにオーダーメイドする必要がなく、現場補修を容易に、かつコンクリート函体1を傷めることなく行うことができる。また、薄い保護シートであるため、コンクリート函体連設体10の中空部1a側天井からの出っ張りがわずかであり、通行車両の接触による破損を極力抑制することができる。また、保護シート3の基材層がゴム弾性体であれば仮に破損事故が発生しても二次災害の影響は軽微であり、その補修も容易である。更に、中空部1a内で火災が発生しても、シリコーンゴムからなる基材ゴム3aとシリコーン系の粘着層3bからなる保護シート3であれば、有害ガスの発生がなく、自己消火性の性能を有しており安全である。
また、保護シート3を粘着により貼り付ければコンクリート函体連設体における寒暖の差や車両通行などの振動などによるコンクリート函体の動きにも保護シート3が柔軟に追従することができ、長期の信頼性が得られる。
なお、接続目地部10aには土砂を含んだ水が漏出することがある。この場合、図6に示すように、接続目地部10aにおいて排水パイプ6配設用空隙4を設け、この空隙4に土砂を含んだ水について水分だけを通過させる小孔を形成した排水パイプ6を設け、このパイプを介して外部に排水することができる。
また、保護シート3の周囲にシーリング材を施工してもよい。図6は、保護シート3の外周縁部をシーリング材5で接着した状態を示しており、このようにシーリング材5で保護シート3を接着する場合は、保護シート3の外周縁側を順次めくり上げて粘着層外周縁側をコンクリート面よりわずかに剥がし、生じた隙間にシーリング材5を供給するとよい。これにより粘着層外周縁部にシーリング層5が形成される。
なお、シーリング材としては特に制限はなく、公知のシリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系等のいずれのものも使用できるが、保護シート3の材料との親和性の点でシリコーンシーリング材が好適に用いられる。このようなシーリング材としては市販品を用いてもよく、例えばシリコーンシーリング材としては、信越化学工業(株)製のシーラントマスター300、シーラント70、シーラント701等が使用できる。
次に、本発明に係るボックスカルバートの施工方法について説明する。
本発明に係るボックスカルバートの施工方法は、コンクリート函体連設体を施工する際にその接続目地部について行う施工方法であり、その行う内容は上述した本発明のボックスカルバートの補修方法と基本的に同じである。即ち、本発明のボックスカルバートの施工方法は、貫通した中空部1aを有するコンクリート函体1相互をその中空部1aが連通するように連設し、このコンクリート函体1間の接続目地部10aに目地材2を充填するボックスカルバートの施工方法であって、上記接続目地部10aに目地材2を充填し、次いで接続目地部10aのうち、少なくとも天井部分の接続目地部10aを挟んで隣接するコンクリート函体1のコンクリート壁面に保護シート3を架け渡して該接続目地部10aを覆うと共に、この保護シート3を接続目地部10a近傍のコンクリート函体1のコンクリート壁面に粘着又は接着により貼り付ける。
この本発明の施工方法によっても、上述した本発明の補修方法と同様の作用効果が得られる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(保護シートの作製)
以下の条件で保護シートを作製した。
所定の寸法(幅600mm、長さ400mm)にサイジングした厚さ230μmのガラスクロスを、JIS K 6249に規定されるデュロメーターA硬度計による硬さが57のシリコーンゴム硬化物を与える付加反応硬化型の液状シリコーンゴム組成物;KE−1950−60A/B(信越化学工業(株)製)中に浸漬した後、該浸漬後のガラスクロスを、キュアゾーンが80℃×5m+100℃×5m+120℃×5mの加熱炉の中を1.5m/分の速度で通過させて含浸した液状シリコーンゴム組成物を硬化させることによりガラスクロスの目止めを行った。
次いで、目止めしたガラスクロスの片側の表面上に、更に上記液状シリコーンゴム組成物;KE−1950−60A/Bを厚み0.45mmでコーティングした後、再度、キュアゾーンが80℃×5m+100℃×5m+120℃×5mの加熱炉の中を1.5m/分の速度で通過させて、片側の表面にJIS A硬度57で厚み0.45mmのシリコーンゴム硬化物層を有する厚さ約0.7mmのガラスクロス(基材シート)を作製した。
次いで、上記基材シートのシリコーンゴム硬化物層の外表面上に、更に、アスカーC硬度が2のシリコーンゲル硬化物を与える付加反応硬化型のシリコーンゲル組成物;KE−1012A/B(信越化学工業(株)製)を厚み1.0mmでコーティングした後、キュアゾーンが110〜150℃×3mの加熱炉の中を0.5m/分の速度で通過させて、該基材シート上にアスカーC硬度が2で厚み1.0mmのシリコーンゲル層(粘着層)が積層された積層シート(全体の厚さ約1.7mm)を作製し、最終的に、該積層シートの粘着面(シリコーンゲル層表面)にPET製保護フィルムを貼り付けて押し抜き試験に供する保護シートを作製した。
(押し抜き試験)
得られた積層シート(保護シート)を用いて、次のように押し抜き試験を行った。
押し抜き試験は、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社の「NEXCO試験方法 第7編 トンネル関係試験方法(平成25年7月) 試験法734−2011 トンネルはく落防止用繊維シート接着工の押し抜き試験方法」に従って行った。即ち、まずコンクリート製平板(幅600mm、長さ400mm、厚さ60mm)の中央部に押し抜き圧子を入れるための孔を設け、別に作製したコンクリート製の圧子を穴の中に設置した。圧子を固定した後、上記で得られた積層シートについて粘着層側のPET製保護フィルムを剥離し、粘着層を介して平板の片面に圧子を中心として400×600mmの大きさに貼り付けて試験体を2つ作製した。
また、押し抜き試験には、インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド社製、万能材料試験機(型式Model5582)を使用し、試験体のコンクリート圧子に垂直方向に変位を加える方法で実施した。載荷速度は1.0mm/minで行い、圧子の鉛直方向の変位と押し抜き荷重の関係を測定した。
試験結果を表1に示す。
Figure 0006780289
いずれの試験体もトンネルはく落防止用繊維シート接着工に求められる荷重値(変位50mmまでにおける荷重値0.5kN以上)を満足した。また、従来の繊維シートでは50mmまでの変位で破断して最大荷重を示すところ、本発明で使用した保護シートでは50mmを超える変位まで耐えることが分かった。
なお、これまで本発明を実施形態をもって説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
1 コンクリート函体
1a 中空部
2 目地材
3 保護シート
3a 基材ゴム
3b 粘着層
3c カバーフィルム
4 空間
5 シーリング材(シーリング層)
6 排水パイプ
10 コンクリート函体連設体
10a 接続目地部
90 カバー部材
91 アンカーボルト

Claims (5)

  1. 貫通した中空部を有するコンクリート函体相互をその中空部が連通するように連設し、コンクリート函体間の接続目地部に目地材を充填して施設したコンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートにおける上記目地材の老化に伴う接続目地部の補修方法であって、上記接続目地部の少なくとも中空部側天井部分に、デュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物で目止めされたガラスクロス及び該ガラスクロスの片面上に設けられたデュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物層からなる基材層と該シリコーンゴム硬化物層上に積層されたアスカーC硬度で1〜60のシリコーン系粘着層とを有する保護シートを被覆し、上記粘着層をコンクリート函体のコンクリート壁に粘着又は接着して、上記接続目地部の中空部側天井部分からの老化目地材、土砂及び、該土砂中に含まれる水分の落下流出を防止することを特徴とするボックスカルバートの補修方法。
  2. 上記シリコーン系粘着層が、
    (A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
    (B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、Rはアルケニル基を含む)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、
    (D)珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (E)付加反応触媒
    を含有してなる、硬化物が表面粘着性を有する付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物である請求項1記載のボックスカルバートの補修方法。
  3. 上記保護シートは、透明又は半透明であり、該保護シートを通して接続目地部及びその周辺のコンクリート面の状態を目視可能に保護シートで被覆している請求項1又は2記載のボックスカルバートの補修方法。
  4. 上記保護シートの厚さが0.5〜8mmである請求項1〜3のいずれか1項記載のボックスカルバートの補修方法。
  5. 上記目地材は、アスファルトを主材とする請求項1〜4のいずれか1項記載のボックスカルバートの補修方法
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