JP6780289B2 - ボックスカルバートの補修方法 - Google Patents
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Description
i 施工されたコンクリート函体連設体ごとに接続目地部の寸法や形状が異なるためにオーダーメイドでカバー部材を作製する必要があり、カバー部材の設置までに時間を要する。
ii カバー部材の固定にアンカーボルトを使用するため、コンクリート函体を傷めることになる。
iii アンカーボルトでの固定ではコンクリート函体連設体における振動などのコンクリート函体の動きにカバー部材が追従することが難しい。
iv コンクリート函体連設体の中空部側天井からのカバー部材の出っ張りが40mm程度あることから通行車両が接触してカバー部材が破損する破損事故が発生する場合がある。カバー部材が破損した場合、その破片による二次災害にも注意が必要となることから、事故後、その破片及び破損したカバー部材の撤去が必要となる。
v 金属製のカバー部材では、カバーした部分の接続目地部の状態が見えなくなる。また、金属製のカバー部材が破損した場合、その破損部分の角で怪我をするおそれがある。
vi プラスチック製のカバー部材では、火災発生の場合に有毒ガスが発生するおそれがある。
なお、本発明に関連する先行技術として、例えば以下のものが挙げられる。
〔1〕 貫通した中空部を有するコンクリート函体相互をその中空部が連通するように連設し、コンクリート函体間の接続目地部に目地材を充填して施設したコンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートにおける上記目地材の老化に伴う接続目地部の補修方法であって、上記接続目地部の少なくとも中空部側天井部分に、デュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物で目止めされたガラスクロス及び該ガラスクロスの片面上に設けられたデュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物層からなる基材層と該シリコーンゴム硬化物層上に積層されたアスカーC硬度で1〜60のシリコーン系粘着層とを有する保護シートを被覆し、上記粘着層をコンクリート函体のコンクリート壁に粘着又は接着して、上記接続目地部の中空部側天井部分からの老化目地材、土砂及び、該土砂中に含まれる水分の落下流出を防止することを特徴とするボックスカルバートの補修方法。
〔2〕 上記シリコーン系粘着層が、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、Rはアルケニル基を含む)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、
(D)珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)付加反応触媒
を含有してなる、硬化物が表面粘着性を有する付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物である〔1〕記載のボックスカルバートの補修方法。
〔3〕 上記保護シートは、透明又は半透明であり、該保護シートを通して接続目地部及びその周辺のコンクリート面の状態を目視可能に保護シートで被覆している〔1〕又は〔2〕記載のボックスカルバートの補修方法。
〔4〕 上記保護シートの厚さが0.5〜8mmである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のボックスカルバートの補修方法。
〔5〕 上記目地材は、アスファルトを主材とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のボックスカルバートの補修方法。
本発明に係るボックスカルバートの補修方法は、貫通した中空部を有するコンクリート函体相互をその中空部が連通するように連設し、コンクリート函体間の接続目地部に目地材を充填して施設したコンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートの補修方法であって、少なくとも天井部分の接続目地部を挟んで隣接するコンクリート函体のコンクリート壁面に保護シートを架け渡して該接続目地部を覆うと共に、この保護シートを接続目地部近傍のコンクリート函体のコンクリート壁面に粘着又は接着により貼り付けたものである。
これが施設後10年以上が経過すると、図3に示すように目地材2が経年変化して接続目地部10aから中空部1a側に飛び出し、あるいは剥落するようになる。また、同時に接続目地部10aにおいて目地材2の充填が不十分となり、外部からの土砂や雨水が接続目地部10aから流出するおそれがある。この現象は、コンクリート函体連設体10の天井部分で顕著である。なお、図3はコンクリート函体連設体10の接続目地部10aを含む天井部分の断面図であり、図の上側がコンクリート函体連設体10の外側であり、図の下側が中空部1a側である。また、図3の左右方向が中空部1aが連通する方向(コンクリート函体連設体10の長さ方向、接続目地部10aの幅方向)であり、紙面垂直方向がコンクリート函体連設体10の幅方向(接続目地部10aの長さ方向)である。
本発明の補修方法は、このような不具合を防止又は予防するために行うものであり、以下の手順で行う。
保護シート3は、図5に示すように、基材ゴム(基材層)3aの片面に粘着層3bが積層されてなるもので、通常粘着層3b上にはカバーフィルム3cが剥離可能に積層され、使用時にカバーフィルム3cを剥離し、粘着層3bを所用個所のコンクリート面に貼着するものである。
なお、本発明において、ゴム硬度(即ち、JIS K 6249に規定されるデュロメーターA硬度計による硬さ)が1以上であり有効なゴム硬度値を示すものをシリコーンゴム(該硬化物を与える組成物をシリコーンゴム組成物)、該ゴム硬度が1未満であり有効なゴム硬度値を示さない程低硬度(柔らかい)ものをシリコーンゲル(該硬化物を与える組成物をシリコーンゲル組成物)という。
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、Rはアルケニル基を含む)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、
(D)珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)付加反応触媒
を含有してなる、硬化物が表面粘着性を有する付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物から形成することが好ましい。
この場合、この付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物は、必要により、更に
(C)R'3SiO1/2単位(式中、R'は非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、R'はアルケニル基を含まないか、含んでも(B)成分のアルケニル基含有量より少ない量である)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体を含有してもよい。
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
で示されるものが用いられる。
また、このオルガノポリシロキサンの構造は基本的には主鎖がジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2)又はヒドロキシジオルガノシロキシ基((HO)R1 2SiO1/2)で封鎖された直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。
上記樹脂質共重合体は、常温(25℃)で流動性を有する液状(例えば10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上)のものでも、流動性のない固体状のものであってもよい。この樹脂質共重合体は、通常適当なクロロシランやアルコキシシランを当該技術において周知の方法で加水分解することによって製造することができる。
なお、上記樹脂質共重合体は、常温(例えば25℃)で流動性のある液状でも流動性のない固体状のものでもよいが、硬化物の粘着性の点で常温で固体状のものが好ましい。この樹脂質共重合体は、通常適当なクロロシランやアルコキシシランを当該技術において周知の方法で加水分解することによって製造することができる。
R2 bHcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数である。)
で示され、1分子中に少なくとも2個(通常2〜200個)、好ましくは3〜100個、より好ましくは3〜50個の珪素原子結合水素原子を有するものが好適に用いられる。ここで、R2の1価炭化水素基としては、R1で例示したものと同様のものを挙げることができるが、脂肪族不飽和基を有しないものが好ましい。また、bは好ましくは0.8〜2.0、cは好ましくは0.01〜1.0、b+cは好ましくは1.0〜2.5であり、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、1分子中の珪素原子の数(又は重合度)は2〜300個、特に4〜150個程度の室温(25℃)で液状のものが好適に用いられる。なお、珪素原子に結合する水素原子は分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
なお、アスカーC硬度が1〜60の範囲内である粘着層の硬化物については、アスカーC硬度が14以上60以下のものがシリコーンゴム、アスカーC硬度が1以上14未満のものがシリコーンゲルである。
また、JIS Z 0237に準拠し、ガラス(日本板硝子(株)、FL2.0)に粘着し、剥離速度300mm/minで180°ピール試験を行った場合の粘着力が0.5〜10N/25mm、特に0.7〜8N/25mmであることが好ましい。0.5N/25mm未満では粘着層を所用の被貼着部に貼着する場合、被貼着部に対する粘着力が低く、貼り付けに問題があり、10N/25mmを超えると、リワーク性や再付着性に支障をきたす場合がある。
また、保護シート3を粘着により貼り付ければコンクリート函体連設体における寒暖の差や車両通行などの振動などによるコンクリート函体の動きにも保護シート3が柔軟に追従することができ、長期の信頼性が得られる。
本発明に係るボックスカルバートの施工方法は、コンクリート函体連設体を施工する際にその接続目地部について行う施工方法であり、その行う内容は上述した本発明のボックスカルバートの補修方法と基本的に同じである。即ち、本発明のボックスカルバートの施工方法は、貫通した中空部1aを有するコンクリート函体1相互をその中空部1aが連通するように連設し、このコンクリート函体1間の接続目地部10aに目地材2を充填するボックスカルバートの施工方法であって、上記接続目地部10aに目地材2を充填し、次いで接続目地部10aのうち、少なくとも天井部分の接続目地部10aを挟んで隣接するコンクリート函体1のコンクリート壁面に保護シート3を架け渡して該接続目地部10aを覆うと共に、この保護シート3を接続目地部10a近傍のコンクリート函体1のコンクリート壁面に粘着又は接着により貼り付ける。
この本発明の施工方法によっても、上述した本発明の補修方法と同様の作用効果が得られる。
(保護シートの作製)
以下の条件で保護シートを作製した。
所定の寸法(幅600mm、長さ400mm)にサイジングした厚さ230μmのガラスクロスを、JIS K 6249に規定されるデュロメーターA硬度計による硬さが57のシリコーンゴム硬化物を与える付加反応硬化型の液状シリコーンゴム組成物;KE−1950−60A/B(信越化学工業(株)製)中に浸漬した後、該浸漬後のガラスクロスを、キュアゾーンが80℃×5m+100℃×5m+120℃×5mの加熱炉の中を1.5m/分の速度で通過させて含浸した液状シリコーンゴム組成物を硬化させることによりガラスクロスの目止めを行った。
次いで、目止めしたガラスクロスの片側の表面上に、更に上記液状シリコーンゴム組成物;KE−1950−60A/Bを厚み0.45mmでコーティングした後、再度、キュアゾーンが80℃×5m+100℃×5m+120℃×5mの加熱炉の中を1.5m/分の速度で通過させて、片側の表面にJIS A硬度57で厚み0.45mmのシリコーンゴム硬化物層を有する厚さ約0.7mmのガラスクロス(基材シート)を作製した。
次いで、上記基材シートのシリコーンゴム硬化物層の外表面上に、更に、アスカーC硬度が2のシリコーンゲル硬化物を与える付加反応硬化型のシリコーンゲル組成物;KE−1012A/B(信越化学工業(株)製)を厚み1.0mmでコーティングした後、キュアゾーンが110〜150℃×3mの加熱炉の中を0.5m/分の速度で通過させて、該基材シート上にアスカーC硬度が2で厚み1.0mmのシリコーンゲル層(粘着層)が積層された積層シート(全体の厚さ約1.7mm)を作製し、最終的に、該積層シートの粘着面(シリコーンゲル層表面)にPET製保護フィルムを貼り付けて押し抜き試験に供する保護シートを作製した。
得られた積層シート(保護シート)を用いて、次のように押し抜き試験を行った。
押し抜き試験は、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社の「NEXCO試験方法 第7編 トンネル関係試験方法(平成25年7月) 試験法734−2011 トンネルはく落防止用繊維シート接着工の押し抜き試験方法」に従って行った。即ち、まずコンクリート製平板(幅600mm、長さ400mm、厚さ60mm)の中央部に押し抜き圧子を入れるための孔を設け、別に作製したコンクリート製の圧子を穴の中に設置した。圧子を固定した後、上記で得られた積層シートについて粘着層側のPET製保護フィルムを剥離し、粘着層を介して平板の片面に圧子を中心として400×600mmの大きさに貼り付けて試験体を2つ作製した。
また、押し抜き試験には、インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド社製、万能材料試験機(型式Model5582)を使用し、試験体のコンクリート圧子に垂直方向に変位を加える方法で実施した。載荷速度は1.0mm/minで行い、圧子の鉛直方向の変位と押し抜き荷重の関係を測定した。
試験結果を表1に示す。
1a 中空部
2 目地材
3 保護シート
3a 基材ゴム
3b 粘着層
3c カバーフィルム
4 空間
5 シーリング材(シーリング層)
6 排水パイプ
10 コンクリート函体連設体
10a 接続目地部
90 カバー部材
91 アンカーボルト
Claims (5)
- 貫通した中空部を有するコンクリート函体相互をその中空部が連通するように連設し、コンクリート函体間の接続目地部に目地材を充填して施設したコンクリート函体連設体よりなるボックスカルバートにおける上記目地材の老化に伴う接続目地部の補修方法であって、上記接続目地部の少なくとも中空部側天井部分に、デュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物で目止めされたガラスクロス及び該ガラスクロスの片面上に設けられたデュロメーターA硬度計による硬さが10〜90のシリコーンゴム硬化物層からなる基材層と該シリコーンゴム硬化物層上に積層されたアスカーC硬度で1〜60のシリコーン系粘着層とを有する保護シートを被覆し、上記粘着層をコンクリート函体のコンクリート壁に粘着又は接着して、上記接続目地部の中空部側天井部分からの老化目地材、土砂及び、該土砂中に含まれる水分の落下流出を防止することを特徴とするボックスカルバートの補修方法。
- 上記シリコーン系粘着層が、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基であるが、Rはアルケニル基を含む)とSiO2単位とを主成分とする樹脂質共重合体、
(D)珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)付加反応触媒
を含有してなる、硬化物が表面粘着性を有する付加硬化型シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物の硬化物である請求項1記載のボックスカルバートの補修方法。 - 上記保護シートは、透明又は半透明であり、該保護シートを通して接続目地部及びその周辺のコンクリート面の状態を目視可能に保護シートで被覆している請求項1又は2記載のボックスカルバートの補修方法。
- 上記保護シートの厚さが0.5〜8mmである請求項1〜3のいずれか1項記載のボックスカルバートの補修方法。
- 上記目地材は、アスファルトを主材とする請求項1〜4のいずれか1項記載のボックスカルバートの補修方法。
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