JP6020419B2 - 屋外タンクの防水施工方法 - Google Patents
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また、特許文献2(特許第4076673号公報)に記載の折り返し部を設けたシール材、材質がEPDM系加硫ゴム、未加硫ゴム系ブチルゴムであるシール材を用いた場合も、雨水の浸入を長期間防止することができず、屋外タンクの底部に錆が発生することがあった。
更に、特許文献3(特開2012−215057号公報)に記載の基材ゴム層上に粘着性シリコーン樹脂又はゲルからなる粘着層が形成されてなる防水シートを、屋外タンクの底部と土台との境界部分にまたがって貼着し、更には防水シートの重なる部分及び周面をシーリングすることによって、長期に亘って粘着力の低下がなく、また、長期に亘って物性の低下をきたすことなく使用し得る、長期間防水性を有する防水シートが得られる。しかしながら、屋外タンクの底部と土台との間には、通常段差が生じている。この段差が生じている箇所に直接防水シートを貼着した場合、外部からの物理的衝撃や、外気温の変動に伴う熱膨張・熱収縮の繰り返し等により、シートが破損してしまう可能性が非常に高くなる。そのため該段差の解消が必要である。
〔1〕
土台上に設置した屋外タンクの底部と前記土台との境界部分を、防水シートを屋外タンクから土台にまたがって貼着することにより液密に被覆する屋外タンクの防水施工方法において、屋外タンクの底部と土台との間に空隙が生じている段差の該空隙を埋めるように断面円形状、長円状もしくは楕円状、三角形状、又は少なくとも先端が先細の多面体形状のバックアップ用緩衝材を配設すると共に、該緩衝材に隣接して断面三角形状の第2の緩衝材を前記屋外タンク側からこれより離間する方向に漸次土台からの高さが低くなるように配設し、これら両緩衝材を覆って防水シートを貼着することを特徴とする屋外タンクの防水施工方法。
〔2〕
緩衝材が、エラストマー、エラストマー系スポンジ、又はプラスチック系スポンジにより形成された〔1〕記載の防水施工方法。
〔3〕
緩衝材が、シリコーンゴム又はシリコーンゴムスポンジにより形成されたものである〔2〕記載の防水施工方法。
〔4〕
シリコーンゴムの硬さがデュロメータータイプA硬度計で30〜80の範囲であり、シリコーンゴムスポンジの硬さがアスカーC硬度計で5〜60の範囲である〔3〕記載の防水施工方法。
〔5〕
防水シートの屋外タンク及び土台への貼着が、プライマーなしに直接行われる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の屋外タンクの防水施工方法。
〔6〕
防水シートが、少なくとも片面が粘着層を有するものであり、この粘着層を有する面を、前記境界部分を挟んで屋外タンクから土台にまたがって貼着させ、更には屋外タンク側の端縁部、土台側の端縁部、及び互いに隣接する防水シートの重なり部にそれぞれシーリング材を施工するようにした〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の屋外タンクの防水施工方法。
〔7〕
防水シートが、シリコーンゴムからなる基材ゴムの片面に粘着性を有するシリコーン樹脂又はシリコーンゲルからなる粘着層が形成されたものである〔6〕記載の屋外タンクの防水施工方法。
(A)下記平均組成式(1)
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基、aは1.5〜2.8の範囲の正数である。)
で示される1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:20〜100質量部、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の1価炭化水素基である)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5であり、Rはアルケニル基を含み、その総量が0.0001mol/g以上である樹脂質共重合体:0〜80質量部(但し、(A)、(B)成分の合計は100質量部である)、
(D)珪素原子と結合する水素原子を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)、(B)成分の合計100質量部に対し0.5〜30質量部であり、かつ(A)、(B)成分中に含まれる珪素原子に結合したアルケニル基に対する(D)成分中の珪素原子に結合した水素原子の量がモル比で0.2〜1.5となる量、
(E)付加反応触媒:触媒量。
そこで、空隙を有する段差を解消するための手段を実施する必要がある。この場合、モルタルを該段差に施工して段差を埋める方法は、作業環境が整わず、モルタルを使用出来ない場合がある。例えば、該空隙100aが大きかったり、犬走り部分が狭かったりして、モルタルでのスロープ付けが困難な場合である。また使用環境が苛酷である場合、モルタルがひび割れるなど破壊が生じてしまう可能性があり、使用に不適な場合もある。
しかし、空隙100aが大きい場合、シーラント材を施工しても、硬化前のシーラント材が流動性を有しているため、アニュラ板31と土台20との隙間に流れてしまう可能性があり、有効に隙間を埋めることが出来ない。
なお、上記緩衝材50及びバックアップ用緩衝材60としては、エラストマー、エラストマー系スポンジ、プラスチック系スポンジが好ましい。具体的には、天然ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、EVA樹脂等が挙げられ、特にシリコーンゴム、シリコーンゴムスポンジが好ましい。この場合、シリコーンゴムの硬さは、デュロメータータイプA硬度計で30〜80の範囲であり、シリコーンゴムスポンジの硬さは、アスカーC硬度計で5〜60の範囲であることが好ましい。
更に、段差100の上端から土台20にかけてスロープを付けられるように断面三角形状の紐状緩衝材(第2の緩衝材)70を併用することが好ましい。即ち、図7に示したように、上記バックアップ用緩衝材60に隣接して断面三角形状の第2の緩衝材70をその底面をバックアップ用緩衝材60に対向させ、屋外タンク30側からこれより離間する方向に漸次土台20からの高さが低くなるように土台20上に配設することが好ましい。断面三角形状は、断面二等辺三角形状であることが好ましい。断面直角三角形形状の方が、土台との隙間が無く設置できると考えられるので、形状的に好ましいと考えられる。しかし、実際の施工に際しては、土台が必ずしも完全な平坦ではないこと、また直角三角形にした場合、設置する向きが決まってしまい、作業現場では煩わしさが生じてしまうこともあり、必ずしも施工する作業者に歓迎されない。
断面三角形状の紐状の緩衝材50及び70は、土台の上に直接設置してもよいが、より密着して設置するには、土台の上にシーラント等のシーリング材をアニュラ板と土台の上に塗布し、その上にシーリング材が硬化してしまう前に設置して、更に断面の三角形の鋭角の部分を目地止めテープで固定するとよい。目地止めテープの種類は特に限定されないが、例えば、吉野石膏製タイガーGファイバーテープを用いて固定する。
シーリング材は公知のシリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系等のいずれのものも使用できるが、シリコーンシーリング材を用いた施工方法が好適である。このようなシーリング材としては、信越化学工業株式会社製のシーラントマスター300、シーラント70、シーラント701等を使用できる。
厚さ10mmのモルタルテストピース(1辺の長さ150mm×幅50mm)の上に、厚さ5mmの炭素鋼板(炭素含有量0.25%)のテストピース(1辺の長さ150mm×幅50mm)を3枚重ねて15mmの段差を作った。その段差に沿うように、緩衝材として底辺12mmで他の辺の長さ25mmの二等辺三角形の断面を有するシリコーン製スポンジをおいてスロープを作った。これらテストピースとスポンジを覆うように、長さ200mm×幅30mmにカットした、片面に粘着層のあるシリコーン製防水シートHNS−200(信越化学工業株式会社製)を、粘着層が下側になるようにスロープに沿って設置した。また、HNS−200の端部はシーラントマスター300でシーリングして一晩室温で放置した。
厚さ10mmのモルタルテストピース(1辺の長さ150mm×幅50mm)の上に、厚さ5mmの炭素鋼板(炭素含有量0.25%)を1枚のせ、更にその上に、最初の1枚目とずらして5mmの隙間が生じるように3枚重ねて計20mmの段差を作った。その段差に沿うように、緩衝材として、まずはポリエチレン製の断面が直径15mmの丸状のスポンジを最初に作った隙間に潜りこませるようにおき、それに接するように底辺12mmで他の辺の長さ25mmの二等辺三角形の断面を有するシリコーン製スポンジをおいてスロープを作った。これらテストピースとスポンジを覆うように、長さ200mm×幅30mmにカットした、片面に粘着層のあるシリコーン製防水シートHNS−200(信越化学工業株式会社製)を、参考例1と同様に粘着層が下側になるように設置した。シーリングも参考例1と同様に行なった。
厚さ10mmのモルタルテストピース(1辺の長さ150mm×幅50mm)の上に、厚さ5mmの炭素鋼板(炭素含有量0.25%)を3枚重ねて15mmの段差を作った。その段差に沿うようにこれらテストピースを覆うように、長さ200mm×幅30mmにカットした、片面に粘着層のあるシリコーン製防水シートHNS−200(信越化学工業株式会社製)を、参考例1と同様に粘着層が下側になるように設置した。シーリングも参考例1と同様に行なった。
厚さ10mmのモルタルテストピース(1辺の長さ150mm×幅50mm)の上に、厚さート5mmの炭素鋼板(炭素含有量0.25%)を2枚重ねて置いた。その段差に沿うように前記モルタルテストピースを1枚置いた。これら2種類のテストピースを覆うように、長さ200mm×幅30mmにカットした、片面に粘着層のあるシリコーン製防水シートHNS−200(信越化学工業株式会社製)を、参考例1と同様に粘着層が下側になるように設置した。シーリングも参考例1と同様に行なった。
・耐久性
実際のモデルケースとなる実施例及び比較例に示したテストピースに設置したシリコーン製防水シートに対して、該段差の部分に長さ200mm×幅3mmの長方形の断面積を持つ鋼性ツールを持つ簡易圧着装置(大崎エンジニアリング製)を用いて、繰り返し圧力をかけて押した。シートが切断、或いは破損するまでの回数によって耐久性を評価した。
ツールの設定温度:50℃、圧力:10MPa、1回の印加時間:10秒間
・粘着性
得られた防水シートを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて、貼り付け20分後及び常温1週間放置後の、モルタルテストピース貼り付け側からの粘着力を測定した。但し、粘着性測定時のHNS−200は長さ200mm×幅25mmにし、シート端部へのシーリングは行なっていない。テストスピードは300mm/min.とした。常温1週間放置後の粘着力は、経時の粘着力の変化を確認する目的で測定した。
・施工の簡便さ
実施例及び比較例は、施工現場での状況を想定しており、特に、比較例2はモルタルによるスロープ付けを想定している。相対比較を表1に示す。
20 土台
30 屋外タンク
31 アニュラ板(屋外タンクの一部)
32 屋外タンクと土台との境界部分
33 タンク壁面(屋外タンクの一部)
40 防水シート
41 基材ゴム
42 粘着層
43 カバーフィルム
50 緩衝材
60 バックアップ用緩衝材
70 第2の緩衝材
80 シーリング材
100 段差
100a 空隙
Claims (7)
- 土台上に設置した屋外タンクの底部と前記土台との境界部分を、防水シートを屋外タンクから土台にまたがって貼着することにより液密に被覆する屋外タンクの防水施工方法において、屋外タンクの底部と土台との間に空隙が生じている段差の該空隙を埋めるように断面円形状、長円状もしくは楕円状、三角形状、又は少なくとも先端が先細の多面体形状のバックアップ用緩衝材を配設すると共に、該緩衝材に隣接して断面三角形状の第2の緩衝材を前記屋外タンク側からこれより離間する方向に漸次土台からの高さが低くなるように配設し、これら両緩衝材を覆って防水シートを貼着することを特徴とする屋外タンクの防水施工方法。
- 緩衝材が、エラストマー、エラストマー系スポンジ、又はプラスチック系スポンジにより形成された請求項1記載の防水施工方法。
- 緩衝材が、シリコーンゴム又はシリコーンゴムスポンジにより形成されたものである請求項2記載の防水施工方法。
- シリコーンゴムの硬さがデュロメータータイプA硬度計で30〜80の範囲であり、シリコーンゴムスポンジの硬さがアスカーC硬度計で5〜60の範囲である請求項3記載の防水施工方法。
- 防水シートの屋外タンク及び土台への貼着が、プライマーなしに直接行われる請求項1〜4のいずれか1項記載の屋外タンクの防水施工方法。
- 防水シートが、少なくとも片面が粘着層を有するものであり、この粘着層を有する面を、前記境界部分を挟んで屋外タンクから土台にまたがって貼着させ、更には屋外タンク側の端縁部、土台側の端縁部、及び互いに隣接する防水シートの重なり部にそれぞれシーリング材を施工するようにした請求項1〜5のいずれか1項記載の屋外タンクの防水施工方法。
- 防水シートが、シリコーンゴムからなる基材ゴムの片面に粘着性を有するシリコーン樹脂又はシリコーンゲルからなる粘着層が形成されたものである請求項6記載の屋外タンクの防水施工方法。
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