JP5864523B2 - 空隙封止構造及びその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、空隙封止構造及びその方法に関する。
建築物や土木構造物に代表される建造物おける空隙、装置類又は機器類における空隙を封止して、水密性や気密性を確保すべき要請は多々ある。たとえば、建築物において、壁や床に、配管類や信号ケーブル類を貫通させ内部と外部を繋ぐ必要性がある。
一般的に、水密性や気密性を確保するには、シリコン、コンクリート、コーキング材などで隙間を埋める方法があるが、作業のための工数がかかること、密着性・柔軟性・耐力はあるものの万能ではない。特に、大きい接着強度は望めない。
これに対し、2液反応形硬化樹脂は短時間で硬化するため施工性及び接着性が良好で、水・海水に強く耐久性にも優れているなど性能全般として封止材として好適である。
2液反応形硬化樹脂として、代表的にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレア樹脂があり、たとえば防水コート材などに使用されている(特許文献1)。
特開2003−166209
微細なクラックなどについては2液反応形硬化樹脂で被覆することは有効であり、前述のように、防水コート層を形成することが行われている。
しかし、近年、頻発するあるいは懸念される地震によって変位する、部材間のある程度大きな空隙を封止しようとなると、シリコン、コンクリート、コーキング材などの封止材で隙間を埋めたとしても、その変位によって部分的に剥離し隙間を生じ、水密性や気密性が確保できないことが予想される。また、封止した封止材層にこれを剥離しようとする圧力が作用する場では、剥離が生じ易い。
したがって、本発明の主たる課題は、耐剥離性が良好な封止膜を示す空隙封止構造を得ることにある。
この課題を解決した本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
第1の部材とこれを貫く第2の部材とに跨がって、それらの間の貫通空隙を封止するように、前記第1の部材膜の外縁部内面に対して前記第2の部材膜の開口内縁部内面に対して接着するように覆って、硬化後の伸び率(JIS−K−6251で規定する「引張伸び」)が50%〜1000%のポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による厚み1〜10mmの封止膜を、前記樹脂の吹付けにより形成してあり、
前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方に、地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材を、その厚み端面が前記空隙に臨んだ状態で固定することで、前記封止膜の前記下地材が固定された部材を覆う部分の一部が前記下地材を覆っていることを特徴とする空隙封止構造。
(作用効果)
ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂は、JIS−K−6251で規定する「引張伸び」で、300%以上を示す。
ここに、引張試験機を用いて、速度200mm/minで引張、試料が切断(破断)したときの強度(引張荷重値を試験片の断面積で除した値)、および伸びを求める。引張伸びは次の式によって算出する。
引張伸び(%)=100×(L−Lo)/Lo・・・(1)
Lo:試験前の試料長さ L:破断時の試料長さ
したがって、他のプラスチック材料と比較して、引張伸びが大きい。しかも、破断時の応力として10MPa以上、特に20MPa以上で引張強度が大きい。
さらに、鋼板始めとする金属、プラスチック、ゴム、セラミックなどに対する接着強度は、一般的に、前述のシリコン、コンクリート、コーキング材より高い。
その結果、第1の部材と第2の部材とに跨がって、それらの間の空隙を封止するように、膜の端部で各部材を覆って、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による封止膜を形成すると、耐剥離性が良好な封止膜となる。
たとえばクラックの被覆などではクラックの両側の部材間の変位は考慮の対象外である。しかるに、本発明に係るポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の引張伸びが大きいことは、第1の部材と第2の部材の空隙が、たとえば地震時の振動により変位する(主に、空隙が拡大及び縮小する)とき、伸縮によって良好に追従するので、空隙を安定して封止できる、特有の作用効果を示す。かかる、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の引張伸び性が高いことは、加振動による変位発生時に被着物に対する耐剥離性をより高めるように機能する。
封止膜は伸縮強度と接着強度が強いため、床や壁などの躯体と配管類との相対変位が大きい場合、施工対象物を破壊してしまう可能性がある。地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材を、その厚み端面が空隙に臨んだ状態で固定し、前記封止膜は前記下地材を覆っている構造であると、地震などの際は、下地材が変形または破壊を示す結果、揺れによる封止膜にかかる力を緩和でき、水密・気密性を確保できる。また、破損を避けるべき部位を予め下地材で覆っておけば、破損を避けるべき部位の破損防止につながる。
第1の部材とこれを貫く第2の部材、たとえば壁を貫いて配管、ケーブルトレイ、ダクトなど(以後、「配管類」という。)配管類が配置された構造物において、それらの間の空隙を封止するように、前記第1の部材を封止膜の外縁部で、前記第2の部材を封止膜の開口内縁部で覆って、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による封止膜を形成した形態において、前記の作用効果を奏する。
(作用効果)
封止膜に対し、圧力(代表的には水圧)が作用する面積が大きくなるにつれ、剥離力が大きくなるため、封止膜へ圧力が作用する面積が小さい方が望ましい。封止膜を厚くすることで、変形を抑制し、剥離力に耐えるようにすることは可能となるが、樹脂材料は高価であるため現実的ではない。
そこで、第1の部材及び第2の部材の少なくとも一方に難撓み性の、たとえば鋼板などの封止補強部材を、その一部が空隙に延出した状態にあるので、空隙の断面積を小さくでき、封止補強部材を覆っている封止膜に作用する加圧力は小さいものとなり、剥離力が低減する。しかも、封止補強部材が空隙に延出した部分に対しても封止膜を接着させることができ、もって、接着面積を増大することができることによって、耐剥離性を高めることができる。
〔請求項記載の発明〕
前記封止膜の第1の部材及び第2の部材に対する接着について、前記空隙に臨む部分を含む膜の中間部において非接着部または弱接着部を形成してある請求項1記載の空隙封止構造。
(作用効果)
配管類が床や壁に貫通する部位を樹脂によって密封する場合、地震などによる配管類と貫通部を構成する部材との間の変位に封止膜の伸縮が追従せず、剥離や破断が起きて密封を維持できない可能性がある。これを解決するため、封止膜の密着境界に変位を吸収するだけの非接着部または弱接着部を形成してある。その結果、地震などの際は、非接着部または弱接着部が剥離状態となり、その剥離離部分が撓むことで封止膜にかかる力を緩和でき、水密・気密性を確保できる。
〔請求項記載の発明〕
第1の部材とこれを貫く第2の部材とに跨がって、それらの間の貫通空隙を封止するように、前記第1の部材膜の外縁部内面に対して前記第2の部材膜の開口内縁部内面に対して接着するように覆って、硬化後の伸び率(JIS−K−6251で規定する「引張伸び」)が50%〜1000%のポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による厚み1〜10mmの封止膜を、前記樹脂の吹付けにより形成し、
前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方に、地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材を、その厚み端面が前記空隙に臨んだ状態で固定することで、前記封止膜の前記下地材が固定された部材を覆う部分の一部が前記下地材を覆っていることを特徴とする空隙封止方法。
(作用効果)
請求項1の場合と同様の作用効果を奏する。
参考となる作用効果)
ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂を吹き付けて封止膜を形成する場合、対象の空隙にバックアップ材に設けておけば、吹付けの際に、第1の部材と第2の部材とに跨がって封止膜を形成するのが容易となり、作業性が高まる。樹脂の吹き付けの際に、バックアップ材の非加圧側から吹付け施工すると、樹脂(封止膜)の空隙に対する接着面積を十分確保でき、大きい接着強度が得られる。その結果、耐剥離強度が高まる。
この場合、バックアップ材としては、特に、図3に示すように、バックアップ材の断面中央が加圧側から非加圧側へ向けて膨らんだ弧を描くような形状とし、空隙にくさび形状のものとするのが望ましい。このくさび形状により、樹脂(封止膜)の空隙に対する接着面積を確実に増大させることができ、樹脂(封止膜)の空隙に対する接着面積が増大し、より大きい接着強度が得られる。その結果、より耐剥離強度が高まる。
〔請求項記載の発明〕
前記封止膜の第1の部材及び第2の部材に対する接着について、前記空隙に臨む部分を含む膜の中間部において非接着部または弱接着部を形成する請求項記載の空隙封止方法。
(作用効果)
請求項の場合と同様の作用効果を奏する。
〔請求項記載の発明〕
前記封止膜の第1の部材及び第2の部材に対する接着について、前記空隙に臨む部分を含む膜の中間部において、プライマーを塗布せずポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の封止膜を形成する請求項記載の空隙封止方法。
(作用効果)
樹脂のプライマーを塗布しないことにより前記非接着部または弱接着部を形成できる。
本発明によれば、十耐剥離性が良好な封止膜を示す空隙封止構造を得ることができる。
本発明の基本例の断面図である。 封止補強部材を設けた例の断面図である。 バックアップ材を設けた例の断面図である。 下地材を設け、かつ弱接着部を設けた例の断面図である。 封止膜補強を図った例の断面図である。 膜厚基準材を設けた例の断面図である。 膜厚測定板を埋め込んだ例の断面図である。 漏洩部分の処理例の断面図である。 その斜視図である 吹付け施工ブース例の斜視図である。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は本発明の基本例を示したもので、第1の部材1と第2の部材2とに跨がって、それらの間の空隙を封止するように、膜の端部で各部材を覆って、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による封止膜10を形成してある空隙封止構造を示している。
本発明では、封止膜10の形成に、引張伸びが大きく、破断時の応力として引張強度が大きいポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂を使用している。
その結果、第1の部材1と第2の部材2とに跨がって、それらの間の空隙を封止するように、膜10の端部で各部材を覆って、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による封止膜10を形成すると、耐剥離性が良好な封止膜10となる。
たとえばクラックの被覆などではクラックの両側の部材間の変位は考慮の対象外である。しかるに、本発明に係るポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の引張伸びが大きいことは、第1の部材1と第2の部材2の空隙が、たとえば地震時の振動により変位する(主に、空隙が拡大及び縮小する)とき、伸縮によって良好に追従するので、空隙を安定して封止できる、特有の作用効果を示す。かかる、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の引張伸び性が高いことは、加振動による変位発生時に被着物に対する耐剥離性をより高めるように機能する。
図2のように、第1の部材1とこれを貫く第2の部材2、たとえば壁を貫いて配管、ケーブルトレイ、ダクトなど(以後、「配管類」という。)配管類が配置された構造物において、それらの間の空隙を封止するように、前記第1の部材1を封止膜10の外縁部で、前記第2の部材2を封止膜10の開口内縁部で覆って、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による封止膜10を形成した形態においても、同様の作用効果を奏する。
また、同じく図2に注目すると、第1の部材1及び第2の部材2の少なくとも一方に難撓み性の封止補強部材11を、その一部が前記空隙Sに延出した状態で固定し、前記封止膜10は前記封止補強部材11を覆っている空隙封止構造も提案される。
封止膜10に対し、圧力P(代表的にはたとえば水圧)が作用する面積が大きくなるにつれ、剥離力が大きくなるため、封止膜10へ圧力が作用する面積が小さい方が望ましい。封止膜10を厚くすることで、変形を抑制し、剥離力に耐えるようにすることは可能となるが、本発明に係る樹脂材料は高価であるため現実的ではない。
そこで、第1の部材1及び第2の部材2の少なくとも一方に難撓み性の、たとえば鋼板などの封止補強部材を、その一部が空隙Sに延出した状態で、ボルトなどの固定具12により固定しておくことで、空隙Sの断面積を小さくでき、封止補強部材11を覆っている封止膜10に作用する加圧力は小さいものとなり、剥離力が低減する。しかも、封止補強部材11が空隙Sに延出した部分に対しても封止膜10を接着させることができ、もって、接着面積を増大することができることによって、耐剥離性を高めることができる。
図4を参照すると、封止膜10の第1の部材1及び第2の部材2に対する接着について、空隙Sに臨む部分を含む膜10の中間部において非接着部または弱接着部10Aを形成してある空隙封止構造も提案される。
配管類が床や壁に貫通する部位を樹脂によって密封する場合、地震などによる配管類と貫通部を構成する部材との間の変位に封止膜10の伸縮が追従せず、剥離や破断が起きて密封を維持できない可能性がある。
そこで、本発明例に従って、封止膜10の密着境界に変位を吸収するだけの非接着部または弱接着部10Aを形成する。その結果、地震などの際は、非接着部または弱接着部10Aが剥離状態となり、その剥離離部分が撓むことで封止膜10にかかる力を緩和でき、水密・気密性を確保できる。
非接着部または弱接着部10Aを形成する方法としては、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂のプライマー10Bを塗布しない、あるいは非接着用の液を塗布するなどのよることができる。
また、図4のように、第1の部材1及び第2の部材2の少なくとも一方に、地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材13を、その厚み端面が空隙Sに臨んだ状態で固定し、封止膜10は下地材13を覆っている空隙封止構造が提案される。
封止膜10は伸縮強度と接着強度が強いため、床や壁などの躯体と配管類との相対変位が大きい場合、施工対象物を破壊してしまう可能性がある。地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材13を、その厚み端面が空隙に臨んだ状態で固定し、封止膜10は下地材13を覆っている構造であると、地震などの際は、下地材13が変形または破壊を示す結果、揺れによる封止膜10にかかる力を緩和でき、水密・気密性を確保できる。また、破損を避けるべき部位を予め下地材13で覆っておけば、破損を避けるべき部位の破損防止につながる。
この場合、下地材13としては、たとえば積水化学工業社製の「フェノバボード」を使用できる。
図3に示すように、第1の部材1とこれを貫く第2の部材2とに跨がって、それらの間の空隙にバックアップ材14を設け、このバックアップ材14を背面とし、第1の部材1を膜10の外縁部で第2の部材2を膜10の開口内縁部で覆うように、ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂を吹き付けて封止膜10を形成することでできる。バックアップ材14としては、代表的には環状の金属板、段ボール板、プラスチック板など適宜の材料の環状板などを使用できる。
ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂を吹き付けて封止膜10を形成する場合、対象の空隙Sにバックアップ材14に設けておけば、吹付けの際に、第1の部材1と第2の部材2とに跨がって封止膜10を形成するのが容易となり、作業性が高まる。樹脂の吹き付けの際に、バックアップ材14の非加圧側から吹付け施工すると、樹脂(封止膜10)の空隙に対する接着面積が増大し、大きい接着強度が得られる。
この場合、バックアップ材14としては、バックアップ材14の断面中央が加圧側から非加圧側へ向けて膨らんだ弧を描くような形状とし、空隙にくさび形状のものとする。バックアップ材14としては、特に、図3に示すように、バックアップ材14の断面中央が加圧側から非加圧側へ向けて膨らんだ弧を描くような形状とし、空隙にくさび形状のものとするのが望ましい。このくさび形状により、樹脂(封止膜)の空隙に対する接着面積を確実に増大させることができ、樹脂(封止膜)の空隙に対する接着面積が増大し、大きい接着強度が得られる。その結果、耐剥離強度が高まる。
他方、封止膜10の厚みを増すことにより、膜強度は高まる。しかし、これでは樹脂材料のコストが高くなり、好ましくはない。そこで、図5に示すように、厚みの中間にたとえば金属金網15、メッシュ状の繊維シートなどを設けて封止膜10を形成すると、好適である。網やメッシュ状のものは、伸びを含めた変形性に富むから好適である。
封止膜の形成には、主に吹付けによる。したがって、膜厚の施工管理が難しく、作業者の勘に頼るしかない。しかし、これでは品質管理上、不適であるので、図6に示す、たとえばピン状の膜厚基準材20を対象面に固定しておき、その表面を基準に吹付施工を行うので望ましい。
また、図7に示すように、膜厚測定板21を対象面に固定しておき、その膜厚測定板21表面での信号の減衰によって膜厚を測定する膜厚測定器22により膜厚管理を行うこともできる。
ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の硬化時間は短く、施工性(被膜形成性)に優れる。しかし、図8のように、たとえば第2の部材2から、水Wや空気が既に漏えいし圧力がかかり続けている部位に樹脂を吹付け施工しても、封止膜10を形成し、漏洩を防止することは困難である。
そこで、図8及び図9のように、圧力を逃がすためのノズル30Aの付いた、たとえば金属製の環状カバー30を用意し、施工に先だって、漏洩部周囲にそのカバー30を装着し、漏洩している水や圧力をノズル30Aから逃がしながら、カバー30及び第2の部材2を被覆するように、樹脂の吹付け施工を行い、樹脂の完全硬化後にノズル30Aに栓30Bをして密封する方法を採るのが好適である。この場合、カバー30が本発明の第1の部材1に該当するのである。
ポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の吹付け施工の際に、2液混合ガンによるスプレー吹付けとなる場合、粒子の飛散が広範囲に及ばないようにすることは重要である。粒子の飛散を生じると、粒子が付着し、その除去はきわめて困難となる。
そこで、施工に際しては、図10のように専用の施工ブース30と飛散粒子を捕集する捕塵設備31を設けておくのが望ましい。施工ブース30は施工対象物や干渉物に合わせて大きさを自在に変えることができるよう、伸縮可能なフレーム32とシート33を使用し、気流をコントロールして目的外への飛散粒子の付着を防止するため、ブース30上部へはメッシュや多孔シート34を使用し、その上部シート34より吸い込み、下部より捕塵設備31により排気する形態を採ることができる。35は排気ファンである。
また、樹脂の飛散粒子の捕集には、本来ならば水スクラバーが最適であるが、水を使用することができない条件がある場合がある。さらに、通常のフィルタではすぐに目詰まりを起こし、何度も交換しなければならず不経済である。
そこで、飛散粒子の粒径重量と接着力を利用した、飛散粒子を確実に衝突させるラビリンス型の衝突捕塵設備31を使用するのが望ましい。この場合における衝突捕塵設備31の素材には段ボールや厚紙、各種ボードなどの入手が容易で経済性の良い素材を採用することができる。
本発明の施工及び樹脂材料について、例示しておく。
封止膜の形成に先だって、プライマーを設けておくことができる。プライマーは、ローラ、ハケ、吹き付け等の公知の方法単独であるいは組み合わせて施すことができる。プライマーとしては、例えば、アスファルト系プライマー、樹脂系プライマーなどを用いることができる。舗装タール、ストレートアスファルト、カットバックアスファルト、アスファルト乳剤など、エチレン酢酸ビニル系又はアクリル系合成樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂など、通常プライマーとして使用されているものなら、どのようなものでも使用できる。
プライマーが乾燥した後、封止膜10を形成する。この封止膜10の形成には、吹き付け等の公知の方法を用いることができる。このポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂としては、指触硬化時間が2秒〜60秒であればよく、5秒〜15秒であることがより望ましい。それは、指触硬化時間が短すぎると封止膜の連続性が得られ難く、一方、長すぎると硬化前の混合液が流れ、被膜形成性、作業効率が落ちるからである。2液硬化型樹脂は、2液の混合を塗布直前に行うことが望ましく、混合しながら塗布する専用のスプレーガンを用いることできる。
形成される封止膜の平均厚は、1mm〜10mmであればよく、より望ましくは、2mmから3mmである。薄すぎると防水層としての機能が十分でないだけでなく、水圧により穴が開きやすくなることもあるからである。また、下地の凹凸により薄すぎると突起部が部分的に防水層を貫通するおそれもあるからである。一方、厚すぎると防水層の機能はあまり変わらないのに材料を多量に必要とし無駄になるだけでなく、硬化時の収縮応力により素地と防水層との接着が阻害されるおそれがあるからである。また、硬化後の樹脂の伸び率は50%〜1000%であればよく、より望ましくは、300%〜500%である。施工中及び後の負荷による耐久性を満たすためで、小さすぎると破断するおそれがあり、大きすぎると膜強度が小さくなり防水機能が低下するおそれがあるからである。
本発明に係る2液硬化型樹脂としては、2液硬化型ポリウレタン樹脂および/またはポリウレア樹脂がある。より具体的には、これらの樹脂には、ポリアミン成分および/またはポリオール成分とポリイソシアネート成分とからなるものがある。ポリアミン成分を用いる場合に得られるものは、ポリウレア系樹脂組成物であり、ポリオール成分を用いる場合に得られるものは、ポリウレタン系樹脂組成物かである。また、ポリアミン成分とポリオール成分との混合物を用いる場合に得られるものは、ポリウレタン/ポリウレア系樹脂組成物である。なかでも、ポリウレア系樹脂組成物を好適に用いることができる。このようなもので市販されているものとして、本発明の出願人の一人が取り扱っているポリウレア系樹脂を使用できる。
ポリアミン成分としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアミン、芳香族ジアミン、およびこれらの混合物を挙げることができる。
ポリオール成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、水酸基含有アクリル樹脂等を挙げることができる。また、得られる硬化樹脂膜の物性を調節するために、数平均分子量が62〜1000未満の低分子量のものと、1000〜約10000の高分子量のものとを併用してもよい。
ポリイソシアネート成分としては、有機ポリイソシアネート、イソシアネートプレポリマーまたはこれらの混合物等を挙げることができる。
ポリイソシアネート成分と上記ポリアミンおよび/またはポリオール成分との混合比は、上記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基に対する上記ポリアミンおよび/またはポリオール成分中のアミノ基および水酸基の当量比が、1/0.7〜1/1.5となる割合が好ましい。
ポリイソシアネート成分と上記ポリアミンおよび/またはポリオール成分とからなる2液硬化型樹脂は無溶媒系であることが好ましい。また、必要に応じて、更に、通常使用される可塑剤、難燃剤、充填剤、各種安定剤、着色剤等の助剤を用いることができる。
1…第1の部材、2…第2の部材、10…封止膜、10A…弱接着部、10B…プライマー層、11…封止補強部材、13…下地材、14…バックアップ材、15…金網、30…カバー、W…水滴、P…加圧力、S…空隙S。

Claims (5)

  1. 第1の部材とこれを貫く第2の部材とに跨がって、それらの間の貫通空隙を封止するように、前記第1の部材膜の外縁部内面に対して前記第2の部材膜の開口内縁部内面に対して接着するように覆って、硬化後の伸び率(JIS−K−6251で規定する「引張伸び」)が50%〜1000%のポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による厚み1〜10mmの封止膜を、前記樹脂の吹付けにより形成してあり、
    前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方に、地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材を、その厚み端面が前記空隙に臨んだ状態で固定することで、前記封止膜の前記下地材が固定された部材を覆う部分の一部が前記下地材を覆っていることを特徴とする空隙封止構造。
  2. 前記封止膜の第1の部材及び第2の部材に対する接着について、前記空隙に臨む部分を含む膜の中間部において非接着部または弱接着部を形成してある請求項1記載の空隙封止構造。
  3. 第1の部材とこれを貫く第2の部材とに跨がって、それらの間の貫通空隙を封止するように、前記第1の部材膜の外縁部内面に対して前記第2の部材膜の開口内縁部内面に対して接着するように覆って、硬化後の伸び率(JIS−K−6251で規定する「引張伸び」)が50%〜1000%のポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂による厚み1〜10mmの封止膜を、前記樹脂の吹付けにより形成し、
    前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方に、地震時に加わる厚み方向の変位に対し変形または破壊を示す下地材を、その厚み端面が前記空隙に臨んだ状態で固定することで、前記封止膜の前記下地材が固定された部材を覆う部分の一部が前記下地材を覆っていることを特徴とする空隙封止方法。
  4. 前記封止膜の第1の部材及び第2の部材に対する接着について、前記空隙に臨む部分を含む膜の中間部において非接着部または弱接着部を形成する請求項記載の空隙封止方法。
  5. 前記封止膜の第1の部材及び第2の部材に対する接着について、前記空隙に臨む部分を含む膜の中間部において、プライマーを塗布せずポリウレア樹脂又はポリウレタンウレア樹脂の封止膜を形成する請求項記載の空隙封止方法。
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