JP2006241769A - 展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 展延性防水気密用粘着シートを用いて防水施工を施す際に、粘着シートに損傷が生じても、その損傷の拡大を防止でき、優れた防水性及び気密性を保持できる展延性防水気密用粘着シートによる防水施工方法を提供する。
【解決手段】 展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法は、展延性を有する防水気密用粘着シートを貼着させて、防水施工を施す方法であって、下記の工程(A)〜(B)を具備することを特徴とする。(A):展延性を有する防水気密用粘着シートを展延させた状態で所定の箇所に貼着させる工程;(B):工程(A)の後、展延性を有する防水気密用粘着シート上に、少なくとも部分的に、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成された構成を有する保護シートを貼り合わせる工程
【選択図】 なし

Description

本発明は、展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法に関し、さらに詳しくは、住宅等の構造物において、所定の箇所に、展延性を有する防水気密用粘着シートを用いて防水施工を施す方法に関する。
従来、防水・気密用住宅(防水性や気密性が優れている住宅)の品質の促進に関する法律の施行や、住宅の高気密化・高断熱化に伴う省エネルギー化に対応して、住宅の構造体と部材、部材間の間隙など(主として、サッシ開口部廻りや、透湿防水シートの重ね部分等の目地部など)に、防水及び/又は気密を目的とした防水気密用粘着テープが用いられている(特許文献1〜特許文献3参照)。従来の防水気密用粘着テープは、例えば、基材(不織布、織布、プラスチックフィルムなど)の片面に、ブチルゴム、ゴム化アスファルト、アクリル系粘着剤などが塗布された構成を有しており、住宅の構造体や、各種部材の動きに追従することが可能であり、長期間に亘って、防水性や気密性を発揮することが可能となっている。
特開2003−138227号公報 特開2003−41233号公報 特開平9−209464号公報
しかしながら、従来の防水気密用粘着シートは、粘着シートの破断時における伸びは、一部に例外はあるものの、通常、20〜70%となっているものがほとんどである。これは、従来では、防水気密用粘着シートは、粘着シートの伸びが必要とされない水平面、垂直面、又は部材の直角部分などの平面部分での使用がほとんどであり、防水気密用粘着シートが伸ばされて施工されることが想定されていなかったためである。そのため、特に、3面が接触し且つ3面の各面どうしも互いに接触している3面を有する3面交差構造物における3面が接触している点状隅部及びその周辺部を含む3面交差周辺部に、防水気密用粘着シートを適用することは困難であり、たとえ、従来の防水気密用粘着シートを3面交差周辺部に適用できたとしても、防水気密用粘着シートが貼付された部位において剥れ、シワなどが生じてしまい、防水性や気密性を保持させることができなくなるという問題が生じる。
そこで、本発明者らは、従来よりも破断時における伸びを大きく向上させた防水気密用粘着シート、すなわち、展延性を有する防水気密用粘着シートを開発した。このような展延性を有する防水気密用粘着シートを用いると、3面交差構造物における3面交差周辺部に対して防水施工を施しても、防水性や気密性を長期間にわたり保持させることが可能となり、しかも、防水施工を容易に行うことが可能となる。
しかしながら、住宅の構造体等では、展延性を有する防水気密用粘着シートを所定の箇所に貼着させた後、通常、その上を透湿防水シート(例えば、ポリオレフィン製の多孔質シートなど)で覆っている。この覆っている透湿防水シートは、通常、釘、ネジ、タッカーの針等の針状固定材を住宅の構造体等に打ち込むことにより固定されており、この際、針状固定材が、展延性を有する防水気密用粘着シートを貫通する場合がある。そのため、このような場合、展延性を有する防水気密用粘着シートに穴があいて損傷が生じる。展延性を有する防水気密用粘着シートは、大きな伸長率で伸長させることにより展延させた状態で用いられているので、損傷を受けると、その損傷が拡大してしまい、防水気密性が低下してしまう場合があり、しかも、その際、展延性を有する防水気密用粘着シートが切れて剥がれてしまい、防水気密性が失われてしまう場合もある。特に、ネジを手動ドライバーや電動ドライバー等のドライバーを使用して、展延性防水気密用粘着シートの基材としてのゴム製のシート上で、ネジを回転させて締め付けると、ゴム製のシート層(ゴムシート層)がネジの回転によりネジに取られて破損してしまい、防水気密性が失われてしまう場合もある。そのため、展延性を有する防水気密用粘着シートに、ネジ締め付け時のネジの回転によるゴムシート層の破れなどの破損を防止することができ、また、釘、ネジ、タッカーの針等の針状固定材が貫通することなどにより、損傷が生じても、その損傷が拡大しないような防水施工方法が求められている。
従って、本発明の目的は、展延性を有する防水気密用粘着シートを用いて防水施工を施す際に、展延性を有する防水気密用粘着シートに損傷が生じても、その損傷の拡大を容易に且つ効果的に抑制又は防止することができ、優れた防水性及び気密性を保持させることができる展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、展延性を有する防水気密用粘着シートを、展延させた状態で所定の箇所に貼着させた後、その上に、基材付き粘着シートを貼り合わせると、透湿防水シートで覆う際に、釘、ネジ、タッカーの針が展延性を有する防水気密用粘着シートを貫通しても、展延性を有する防水気密用粘着シートは、貫通により生じた損傷が全く又はほとんど拡大せず、優れた防水性及び気密性を保持させて防水施工を施すことができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、展延性を有する防水気密用粘着シートを貼着させて、防水施工を施す方法であって、下記の工程(A)〜(B)を具備することを特徴とする展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法である。
(A):展延性を有する防水気密用粘着シートを展延させた状態で所定の箇所に貼着させる工程
(B):工程(A)の後、展延性を有する防水気密用粘着シート上に、少なくとも部分的に、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成された構成を有する保護シートを貼り合わせる工程
前記展延性を有する防水気密用粘着シートとしては、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有していることが好ましい。
また、展延性を有する防水気密用粘着シートとしては、ゴム製シートを基材としており、且つ基材の粘着層に対して反対側の面に非自着性且つ粘着層接着性を有する被膜層が形成されていることが好ましい。前記ゴム製シートとしては、合成ゴムを主成分とするゴム組成物により構成されていることが好ましく、ゴム製シートの合成ゴムとしては、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムから選択された少なくとも1種の合成ゴムが好適である。また、前記非自着性且つ粘着層接着性を有する被膜層が、アクリル系重合体または長鎖アルキル系化合物を含有する被膜形成組成物により形成されていることが好ましい。
本発明の展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法によれば、展延性を有する防水気密用粘着シートを用いて防水施工を施す際に、展延性を有する防水気密用粘着シートに損傷が生じても、その損傷の拡大を容易に且つ効果的に抑制又は防止することができ、優れた防水性及び気密性を保持させることができる。
本発明における展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法は、展延性を有する防水気密用粘着シートを貼着させて、防水施工を施す方法であり、下記の工程(A)〜(B)を具備している。
(A):展延性を有する防水気密用粘着シートを展延させた状態で所定の箇所に貼着させる工程
(B):工程(A)の後、展延性を有する防水気密用粘着シート上に、少なくとも部分的に、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成された構成を有する保護シートを貼り合わせる工程
[工程(A)]
工程(A)では、展延性を有する防水気密用粘着シート(「展延性防水気密用粘着シート」と称する場合がある)を、少なくとも部分的に(部分的に又は全体的に)、所定の方向に所定の伸長率で伸長させることにより展延させた状態で、所定の箇所に、貼着させている。展延性防水気密用粘着シートは、例えば、図1で示されるように、全体的に、長さ方向に所定の伸長率で伸長させて展延させた状態で、被着体の所定の部分に貼着させることができる。図1は展延性防水気密用粘着シートを、展延させた状態で、被着体の所定の部位に貼着させた状態を示す概略図であり、図1(a)は上から見た平面図、図1(b)は側面図である。図1において、1は展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート、1aは展延性防水気密用粘着シート1が伸長された方向、2は被着体である。
このように、展延性防水気密用粘着シートを被着体に貼着させる際には、展延性防水気密用粘着シートの少なくとも一部を展延させた状態で、展延性防水気密用粘着シートを被着体に貼着させることが重要である。従って、展延性防水気密用粘着シートを被着体に貼着させる方法としては、例えば、(1)展延性防水気密用粘着シートの一部を展延させずに貼着させた後、展延性防水気密用粘着シートの残部を展延させた状態で貼着させることにより、被着体の所定の部分に貼着させる方法や、(2)展延性防水気密用粘着シート全体を展延させた状態で貼着させることにより、被着体の所定の部分に貼着させる方法などが挙げられる。
なお、展延性防水気密用粘着シートを展延させる際の伸長率としては、特に制限されず、展延性防水気密用粘着シートの種類や使用目的などに応じて、適宜設定することができ、例えば、50〜150%(好ましくは80〜120%)の範囲であってもよい。
工程(A)において、展延性防水気密用粘着シートを貼着する被着体としては、下記に具体的に示されているように、住宅の構造体や、住宅を建築する際に用いられる各種部材などが挙げられる。なお、図1では、展延性防水気密用粘着シートを貼着する部位として平面状の面が例示されているが、下記に示されるように、曲面状や3次元形状の面であってもよい。
[工程(B)]
工程(B)では、被着体の所定の部分に展延させた状態で貼着させた展延性防水気密用粘着シート上に、少なくとも部分的に(部分的に、全体的に、または展延性を有する防水気密用粘着シートの全体を超えて)、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成された構成を有する保護シートを貼り合わせている。保護シートは、例えば、図2で示されるように、被着体の所定の部分に展延させた状態で貼着させた展延性防水気密用粘着シート上に、展延された状態の展延性防水気密用粘着シートの全面を覆うように、貼り合わせることができる。図2は展延させた状態で被着体に貼着させた展延性防水気密用粘着シート上に、保護シートを貼り合わせた状態を示す概略図であり、図2(a)は上から見た平面図、図2(b)は側面図である。図2において、3は保護シートであり、1、2は、前記と同様に、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート、被着体である。
このように、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる際には、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの少なくとも一部上に、保護シートが位置する形態で、保護シートを展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせることが重要である。従って、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる方法としては、例えば、(1)保護シートとして、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートよりも小さな形状を有するものを用い、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの所定の一部上に、保護シートが位置する形態で、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる方法、(2)保護シートとして、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートと同様の形状を有するものを用い、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの全体上に、保護シートが位置する形態で、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる方法、(3)保護シートとして、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートよりも大きな形状を有するものを用い、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの全体を超えて、保護シートが位置する形態で、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる方法、(4)保護シートとして、適当な形状を有するものを用い、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの所定の一部および被着体の一部に、保護シートが位置する形態で、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる方法などが挙げられる。
本発明では、保護シートを複数用いて、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせることもできる。従って、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる方法としては、例えば、保護シートとして、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートよりも小さな形状を有するものを複数用い、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの所定の一部上に、それぞれの保護シートが位置する形態で、保護シートを、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせて、複数の保護シート全体として、展延させた状態の展延性防水気密用粘着シートの所定の一部又は全体上に貼り合わせる方法も利用することができる。
なお、保護シートは、展延性防水気密用粘着シートが、釘、ネジ、タッカーの針等の針状固定材が貫通することなどにより、損傷を受けても、その損傷が拡大せず、展延性防水気密用粘着シートを貼着させた部位に優れた防水性及び気密性を保持させることができるように用いられている。従って、保護シートを展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる際には、保護シートは、少なくとも、展延性防水気密用粘着シートが損傷を受ける部分(例えば、展延性防水気密用粘着シートが針状固定材の貫通等により損傷を受ける部分など)を含む部分に、貼り合わせることが重要である。しかしながら、展延性防水気密用粘着シートは、どの部分が損傷を受けるかは、予め確認することができない場合(通常、予め決定されていない)があり、また、透湿防水シート上から針状固定材を打つ際には、展延性防水気密用粘着シートにおけるどの部分を針状固定材が貫通するかを確認しながら、針状固定材を打つことができない場合があるので、展延性防水気密用粘着シートの全面又はほぼ全面を覆うような形態で保護シートを貼り合わせることが好ましい。
[展延性防水気密用粘着シート]
本発明の防水気密用粘着シートによる防水施工方法において用いられる展延性防水気密用粘着シートとしては、展延性を有し、且つ貼着後には、防水性及び気密性を付与することができる粘着シートであれば特に制限されず、例えば、基材と、該基材の片面に形成された粘着剤層とを有する構成の展延性防水気密用粘着シートを好適に用いることができる。このような展延性防水気密用粘着シートとしては、展延性を有していることが重要であり、特に、優れた展延性を有しているとともに、展延後には収縮しにくくなっている特性を有していることが好ましい。具体的には、展延性防水気密用粘着シートとしては、例えば、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有していることが好ましい。
展延性防水気密用粘着シートにおいて、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min;「破断時伸び」と称する場合がある)としては、長手方法(縦方向、機械方向、いわゆる「MD方向」)および幅方向(横方向、いわゆる「TD方向」)ともに、200〜1200%であることが好ましく、さらに好ましくは300〜1200%であり、特に500〜1200%であることが好適である。なお、展延性防水気密用粘着シートの破断時伸びが、MD方向およびTD方向のうち少なくともいずれか一方の方向で、200%未満となっていると、展延性防水気密用粘着シートを貼付する際の伸長性が低下し、一方、1200%を超えていると、展延性防水気密用粘着シートを伸長させて貼付する際に、切れやすくなる。
このような破断時伸びは、MD方向、TD方向ともに、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。破断時伸びとしては、TD方向の方が大きくなっている場合が多く、例えば、MD方向の破断時伸びが200〜1000%(好ましくは300〜900%、さらに好ましくは500〜800%)であり、TD方向の破断時伸びが300〜1200%(好ましくは500〜1200%、さらに好ましくは700〜1200%)であってもよい。
展延性防水気密用粘着シートにおける破断時伸びは、展延性防水気密用粘着シートを、該展延性防水気密用粘着シートにおける長手方向、幅方向のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜き、JIS Z 0237に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、300mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が切断した時点の伸びを測定することにより求めることができる。
また、展延性防水気密用粘着シートにおいて、100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min;「100%引張り変形応力」と称する場合がある)としては、長手方向(縦方向、機械方向、いわゆる「MD方向」)および幅方向(横方向、いわゆる「TD方向」)ともに、10〜100N/cm2であることが好ましく、さらに好ましくは10〜80N/cm2であり、特に10〜70N/cm2であることが好適である。なお、展延性防水気密用粘着シートの100%引張り変形応力が、MD方向およびTD方向のうち少なくともいずれか一方の方向で、10N/cm2未満となっていると、展延性防水気密用粘着シートを貼付した際の密着性が低下し、一方、100N/cm2を超えていると、展延性防水気密用粘着シートを伸長させて貼付した後に、変形応力により、シワ、切れや剥がれ等が生じやすくなる。
このような100%引張り変形応力は、MD方向、TD方向ともに、同一の大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。100%引張り変形応力としては、MD方向の方が大きくなっている場合が多く、例えば、MD方向の100%引張り変形応力が12〜100N/cm2(好ましくは15〜80N/cm2、さらに好ましくは20〜70N/cm2)であり、TD方向の100%引張り変形応力が10〜80N/cm2(好ましくは10〜50N/cm2、さらに好ましくは10〜30N/cm2)であってもよい。
展延性防水気密用粘着シートにおける100%引張り変形応力は、展延性防水気密用粘着シートを、該展延性防水気密用粘着シートにおける長手方向、幅方向のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)の試験片に打ち抜き、JIS K 6254に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅(試験幅):10mmとして、50mm/minの速度でクロスヘッド側を引張り、試験片が100%伸びた時点で引張りを停止し、このときの荷重を測定し、この荷重の値を引張り前の試験片の断面積(試験片の厚さ×試験片の幅)で割ることにより算出される値である。
展延性防水気密用粘着シートにおける破断時伸びや100%引張り変形応力は、例えば、基材の物性(破断時伸びや100%引張り変形応力)や、粘着剤層の粘着力を制御することにより、調整することができる。例えば、基材として、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有している基材を用いることにより、前述のような破断時伸びや100%引張り変形応力を有する展延性防水気密用粘着シートを作製することができる。なお、基材の破断時伸びや100%引張り変形応力は、展延性防水気密用粘着シートの破断時伸びや100%引張り変形応力と同様にして測定することができる。
(基材)
展延性防水気密用粘着シートにおける基材としては、展延性を有する防水気密用粘着シートを作製することが可能な基材であれば特に制限されないが、ゴム製シートを好適に用いることができる。ゴム製シートの素材又は材料としては、特に制限されず、各種ゴム組成物(例えば、合成ゴムや天然ゴムを含有するゴム組成物など)を用いることができる。ゴム製シートとしては、合成ゴムを主成分とするゴム組成物により構成されていることが好ましい。このような合成ゴムとしては、特に制限されず、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリブテンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、スチレン−ブタジエン(SB)ゴム、スチレン−イソプレン(SI)ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴムなどが挙げられる。合成ゴムは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
合成ゴムとしては、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを好適に用いることができ、特にブチルゴムが好ましい。
ゴム組成物は、ゴム成分(合成ゴムなど)の他、軟化剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の適宜な添加剤が、適量配合されていてもよい。
なお、展延性防水気密用粘着シートの物性(破断時伸びや、100%引張り変形応力)を前記範囲とする点などから、ゴム製シートとしては、未加硫ゴムによるゴム製シートが好適である。
ゴム製シート等の基材は、公知の形成方法(例えば、押出し成型方法、圧延成型方法など)を利用して作製することができる。
基材(特に、ゴム製シート)の厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.1mm以上(例えば、0.1〜3.0mm)の範囲から選択することができ、好ましくは0.4〜2.0mm(さらに好ましくは0.5〜1.5mm)である。基材(特に、ゴム製シート)の厚みが、薄すぎると、衝撃に弱くなり、一方、厚すぎると、展延性防水気密用粘着シートを伸ばす際に要する力が大きくなってしまう。
なお、基材としては、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、MD方向およびTD方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有している基材(特に、ゴム製シート)を好適に用いることができる。
(粘着剤層)
展延性防水気密用粘着シートにおける粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
粘着剤としては、ゴム系粘着剤が好適である。ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴムをベースポリマーとする天然ゴム系粘着剤、合成ゴムをベースポリマーとする合成ゴム系粘着剤のいずれであってもよいが、合成ゴム系粘着剤が好ましい。このような合成ゴム系粘着剤における合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴムや、これらの変性体などが挙げられ、ブチルゴムが特に好ましい。すなわち、粘着剤としては、ブチルゴム系粘着剤が最適である。
粘着剤層の形成方法としては、公知乃至慣用の形成方法を採用することができ、押出し機やカレンダーロールにより、シート状に成型して、ゴム製シートに貼り合わせる方法を好適に採用することができるが、ゴム製シート等の基材の表面に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を、ゴム製シート等の基材上に転写する方法(転写方法)なども採用することができる。
粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、0.1〜3mm(好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1mm)の範囲から選択することができる。
(剥離ライナー)
本発明では、展延性防水気密用粘着シートにおける粘着層は、剥離ライナーや、基材の背面(粘着層に対して反対側の面)に形成された剥離処理層を利用して保護することができ、特に、剥離ライナーにより保護されていることが好ましい。剥離ライナー(セパレータ)としては、特に制限されず、公知の剥離ライナーを適宜選択して用いることができる。具体的には、剥離ライナーとしては、例えば、基材の少なくとも一方の表面に剥離処理剤(剥離処理剤)による剥離処理層を有する剥離ライナーの他、フッ素系ポリマーや、無極性ポリマーからなる低接着性基材等による剥離ライナーなどを用いることができる。剥離ライナーとしては、例えば、基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている形態の剥離ライナーを好適に用いることができる。このような剥離ライナーにおいて、剥離処理層を形成する基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
剥離処理層は、剥離処理剤を基材の所定の面(少なくとも一方の面)に塗布した後、乾燥や硬化反応等のための加熱工程を経て形成することができる。なお、乾燥や硬化反応等のための加熱工程では、公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。
なお、剥離ライナーの厚み、剥離ライナーにおける基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、適宜選択することができる。
(非自着・非離型性被膜層)
本発明では、展延性防水気密用粘着シート上に、保護シートを貼り合わせるので、展延性防水気密用粘着シートは、基材の背面が、保護シートにおける粘着剤層と接着する接着性[粘着剤層接着性(非離型性)]を有していることが好ましい。また、展延性防水気密用粘着シートが、粘着剤層接着性を有していると、被着体に展延して貼着させた展延性防水気密用粘着シート上に、同一の展延性防水気密用粘着シートや、他の防水気密用粘着シート(この防水気密用粘着シートは、展延性を有していてもよく、有していなくてもよい)を貼着させることもできる。
また、展延性防水気密用粘着シートは、特に、基材としてゴム製シートが用いられている場合、基材の背面(粘着剤層に対して反対側の面)が、背面どうしが接触しても自着しない特性(非自着性)を有していることが好ましい。このように、展延性防水気密用粘着シートは、基材の背面どうしが自着しない非自着性を有していると、展延性防水気密用粘着シートを、背面どうしが対向して内面側に位置し且つ粘着面が外面側に位置するような形態で、2つ折り状態となるように折り曲げて用いることができる。
従って、展延性防水気密用粘着シートとしては、背面が、非自着性および粘着剤層接着性(非離型性)を有していることが好適である。このように、展延性防水気密用粘着シートの背面に、非自着性および粘着剤層接着性(非離型性)を付与するために、基材(特に、ゴム製シート)の表面に、非自着性および粘着剤層接着性(非離型性)を有している被膜層(「非自着・非離型性被膜層」と称する場合がある)を形成することができる。従って、展延性防水気密用粘着シートとしては、基材としてのゴム製シートの一方の面に粘着剤層が形成され、且つ、ゴム製シートの他方の面(粘着剤層に対して反対側の面、すなわち背面)に非自着・非離型性被膜層が形成された構成を有していることが好ましい。
非自着・非離型性被膜層は、非自着性および粘着剤層接着性(非離型性)を有している被膜層であり、非自着性および非離型性を発揮できる限り、その被膜形成組成物(素材又は材料)の種類は特に制限されない。非自着・非離型性被膜層としては、例えば、アクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物を含有する被膜形成組成物や、アクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物を調製する際の成分(モノマー成分など)を含有する被膜形成組成物などにより形成することができる。非自着・非離型性被膜層を形成する被膜形成組成物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記アクリル系重合体としては、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー成分として含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が好適である。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル等が挙げられる。モノマー成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、アクリル系重合体は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して共重合性を有するモノマー成分(共重合性モノマー成分)が用いられていてもよい。このような共重合性モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸など);マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸(モノ又はジ)エステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル等のフマル酸(モノ又はジ)エステル;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルや、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルアルコール等のビニルアルコール類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのジエン類;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体などが挙げられる。共重合性モノマー成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、アクリル系重合体としては、ポリブチルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体が好適である。
一方、長鎖アルキル系化合物としては、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコールと、ステアリルイソシアネートなどの炭素数が10〜20の長鎖アルキルイソシアネートとの反応物などを使用することができる。
非自着・非離型性被膜層に使用される材料の中には、一般的には、剥離剤として使用されるような材料も含まれるが、本発明においては、粘着剤との組み合わせを適宜選択すること(例えば、ブチルゴム系粘着剤は、オクタデシルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体からなる被膜層に対して接着性を示す)や、塗布量を薄くすることにより貼付時に、展延性防水気密用粘着シートを引き伸ばした際に被膜層に亀裂を生じさせて粘着剤層との接着性を発現させることなどにより、一般的な剥離剤による被膜層を、非自着・非離型性被膜層として利用することができる。
なお、前記被膜層が、粘着剤層との接着性を有するとは、例えば、同一の展延性防水気密用粘着シートから作製した2枚の試験片について、一方の試験片における粘着剤層を、他方の試験片における基材の背面(被膜層側の面)に2kgのローラー1往復にて貼着させた後、30分経過後の180°ピール粘着力(試験片の幅:25mm、引張速度:300mm/min、温度:23±2℃、湿度:50±5%RH)を測定した場合に、その180°ピール粘着力が3N/25mm以上(好ましくは5N/25mm以上)であることを意味している。
非自着・非離型性被膜層において、被膜形成組成物には、アクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物、またはアクリル系重合体や長鎖アルキル系化合物を調製するための成分(モノマー成分など)の他、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の適宜な添加剤が、適量配合されていてもよい。
非自着・非離型性被膜層の形成方法としては、特に制限されない。非自着・非離型性被膜層は、例えば、被膜形成組成物を、基材の背面に塗布し、必要に応じて乾燥や硬化を行うことにより、形成することができる。なお、前記被膜形成組成物は、液状状態や溶融状態を有していてもよい。被膜形成組成物が、液状状態や溶融状態を有している場合や、アクリル系重合体を調製するためのモノマー成分を含有している場合などでは、塗布後に、加熱処理等により、乾燥や硬化を行うことにより、非自着・非離型性被膜層を形成することができる。
非自着・非離型性被膜層の厚みとしては、特に制限されないが、例えば、0.5〜10μmの範囲から選択することができ、好ましくは1〜5μmであり、平均的には3μm程度である。
従って、展延性防水気密用粘着シートとしては、ゴム製シートを基材とし、且つ該ゴム製シートの片面に粘着剤層を有しており、さらに、基材の粘着剤層に対して反対側の面(背面)に非自着・非離型性被膜層が形成された構成を有していることが好ましい。特に、展延性防水気密用粘着シートとしては、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)ともに、10〜100N/cm2である特性を有していることが好適である。
展延性防水気密用粘着シートは、シート状の形態を有していてもよく、ロール状に巻回された形態を有していてもよい。従って、展延性防水気密用粘着シートは、予め、所定のサイズで作製された展延性防水気密用粘着シートであってもよく、また、使用時に、所定の長さに切断する形態で用いられる展延性防水気密用粘着テープであってもよい。
本発明における展延性防水気密用粘着シートの製造方法としては、特に制限されない。例えば、基材としてゴム製シートが用いられ、ゴム製シートの粘着剤層に対して反対側の面(背面)に非自着・非離型性被膜層を有している場合、展延性防水気密用粘着シートは、例えば、合成ゴム等のゴム成分に適量の軟化剤、充填剤等の添加剤を配合し、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混合機で混合してゴム組成物を調製し、さらに、カレンダーロールや押出し機等を用いて、シート状に成型してゴム製シートを作製した後、金属製ロールや、流し込みによる方法で、ゴム製シートの所定の面(粘着剤層に対して背面側となる面)に、被膜形成組成物を塗布し、乾燥して、非自着・非離型性被膜層を形成し、さらに、ゴム製シートの他方の面(粘着面となる面)に、押出し機での押出し成型やカレンダーロールによる成型により得られたシート状の粘着剤層を付着させ、さらにまた、必要に応じて、片面又は両面が離型処理面となっている剥離ライナーを粘着剤層表面に重ね合わせて巻き取ることにより、展延性防水気密用粘着シートを作製することができる。
なお、非自着・非離型性被膜層が、ポリブチルメタクリレートにより形成されている場合、例えば、キシレン等を溶媒としてポリブチルメタクリレートを溶解させて得られるポリブチルメタクリレートの溶液を、基材の背面に塗布した後、乾燥させることにより、非自着・非離型性被膜層を形成することができる。
また、粘着剤層が、ゴム系粘着剤による粘着剤層である場合、例えば、ブチルゴム等のゴム成分に、軟化剤、充填剤、粘着付与剤等の添加剤を適量加えて、混合機(ミキシングロール、ニーダー)で混合してゴム系粘着剤(特に、ブチルゴム系粘着剤)を調製した後、押出し機やカレンダーロールにより成型して、シート状の粘着剤層を形成することができる。もちろん、前述のように、溶液状態や溶融状態の粘着剤組成物を、ゴム製シートの所定の表面に塗布したり、剥離フィルム上に塗布した後、ゴム製シートの所定の面に転写したりすることにより、粘着剤層を形成することができる。
さらにまた、ゴム製シートとして、展延性防水気密用粘着シートの破断時伸びや100%引張り変形応力を前記範囲とすることが可能な物性(破断時伸びや100%引張り変形応力)を有しているゴム製シートを用いることが重要である。
[保護シート]
保護シートとしては、基材の少なくとも一方の面(片面または両面)に粘着剤層が形成された構成を有していれば特に制限されず、例えば、基材と、基材の片面に形成された粘着剤層とを有する構成の粘着シート(基材付き粘着シート)を好適に用いることができる。
(基材)
保護シートとしての基材付き粘着シートにおいて、基材としては、基材付き粘着シートを作製することが可能な基材であれば特に制限されない。このような基材としては、例えば、プラスチック製基材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート等)、紙製基材(例えば、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等)、繊維製基材(例えば、織布、不織布等)、金属製基材(例えば、アルミニウム箔、銅箔等)などが挙げられる。
なお、基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。具体的には、基材としては、例えば、プラスチック製基材と、他の基材(紙製基材、繊維製基材、金属製基材など)との積層体であってもよい。
基材の厚みとしては、特に制限されず、例えば、20〜500μm(好ましくは25〜100μm)の範囲から適宜選択することができる。基材の厚みが、薄すぎると、基材の強度(例えば、フィルム強度)が弱く、施工時、施工後に破断、破損を生じやすい。また、施工時の貼着でシワが入りやすくなることによる機能の低下を招きやすい。一方、厚すぎると、保護シートのコストが上昇し、経済的に不利になる。なお、基材の厚みの測定は、JIS Z 0237に規定するダイヤルゲージ(0.01mm目盛)で行う。
本発明では、基材としては、引裂き強さ(長さ方向、幅方向)が4N以上(好ましくは5〜20N)であることが好適である。基材の引裂き強さの測定方法は、JIS K 6252に規定する「切り込みなしアングル形」にて試料を打ち抜いて、試験片を作製し、規定の引裂き強さ測定機を用いて、引張速度:300mm/分で測定する。なお、測定は、温度:23±2℃、湿度:50±5%RHの室内で行う。
また、基材としては、引張り強さ(長さ方向)が5N/cm以上(好ましくは6〜80N/cm)であることが好適である。基材の引張り強さの測定方法は、JIS Z 0237に準拠し、長さ方向に、20mm幅×125mm長の試験片を切断し、標線間距離:50mm、引張速度:300mm/分で測定する。なお、測定は、温度:23±2℃、湿度:50±5%RHの室内で行う。
このように、基材としては、引裂き強さが4N以上、または引張り強さが5N/cm以上であると、展延させた状態で貼着した展延性防水気密用粘着シートに損傷が生じても、その損傷の拡大をより一層抑制又は防止することができ、優れた防水性及び気密性を効果的に保持させて防水施工を施すことができる。
(粘着剤層)
保護シートにおける粘着剤層は、公知の粘着剤により形成することができる。このような粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、溶剤系粘着剤、エマルジョン系粘着剤、オリゴマー系粘着剤の場合、10〜60μm(好ましくは10〜40μm)の範囲から適宜選択することができ、また、固形粘着剤の場合、50〜500μm(好ましくは150〜300μm)の範囲から適宜選択することができる。
本発明では、保護シートの粘着剤層としては、粘着力が0.1N/25mm以上(好ましくは0.2〜10N/25mm)であることが好適である。粘着剤層の粘着力が0.1N/25mm以上であると、保護シートを展延させた状態で貼着した展延性防水気密用粘着シートに優れた接着性で接着させることができ、該展延性防水気密用粘着シートに損傷が生じても、その損傷の拡大をより一層抑制又は防止することができ、優れた防水性及び気密性を効果的に保持させて防水施工を施すことができる。なお、保護シートの粘着剤層の粘着力の測定方法は、JIS Z 0237に規定する180度引き剥がし粘着力測定方法に準じる。具体的には、25mm幅×150mm長に切断した試験試料をステンレス板、展延性防水気密用粘着シートの背面に2kgローラーで1往復して圧着し、30分後に引き剥がし速度:300mm/分で粘着力を測定する。なお、測定は、温度:23±2℃、湿度:50±5%RHの室内で行う。
保護シートは、前述のように、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成された構成を有していればよく、粘着剤層は、他の層を介して基材上に形成されていてもよい。なお、前記粘着剤層は、基材の背面に形成された離型処理層や、剥離ライナー等により保護することができる。
また、保護シートは、シート状の形態を有していてもよく、ロール状に巻回された形態を有していてもよい。従って、保護シートは、予め、所定のサイズで(例えば、展延性防水気密用粘着シートに対応した形状で)作製された保護シートであってもよく、また、使用時に、所定の長さに切断する形態で用いられる保護シートであってもよい。
このような保護シートとしては、例えば、表面保護用途、マスキング用途、電気絶縁用途、養生用途、包装用途、防水テープ用途等の各種用途で用いられる公知の基材付き粘着シートから適宜選択して用いることができる。従って、保護シートとしては、住宅等の構造物を建築する際に用いられる各種基材付き粘着シート(表面保護用基材付き粘着シート、マスキング用基材付き粘着シート、電気絶縁用基材付き粘着シート、養生用基材付き粘着シート、包装用基材付き粘着シート、防水テープ用基材付き粘着シートなど)を利用することができる。
本発明における展延性防水気密用粘着シートによる防水施工方法は、住宅の構造体と部材との間の固定や、部材間の固定等の住宅を建築する際の各部位の固定の際に利用することができる。前記住宅を建築する際の各部位としては、具体的には、例えば、住宅外装下地構造物の外壁貫通部の換気口廻り、配管廻り、給排水管の貫通部廻り、換気扇枠廻り、サッシ開口部廻り(アーチ型形状、円形状のサッシ開口部廻りなど)等の開口部;手摺壁部と壁部との接合部、階段状の手摺壁部の段差部、天窓取付部などの住宅外装下地構造物における各種の出隅、入隅や凸部等の異型部(特に、貼付部分が平面状の部位のみならず、曲面形状や3次元形状の部位)などが挙げられる。従って、本発明の展延性防水気密用粘着テープによる防水施工方法を利用すると、住宅の防水性および気密性を高めることができ、雨水の住宅内部への浸入を防ぎ、住宅内部での結露、腐食などを効果的に防止することができる。
本発明における展延性防水気密用粘着シートによる防水施工方法は、展延性防水気密用粘着シートを用いて防水施工を施す際に、展延された状態で所定の部位に貼着させた展延性防水気密用粘着シートに、釘、ネジ、タッカーの針等の針状固定材が貫通することなどにより、損傷が生じても、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に保護シートが貼り合わせられているので、前記損傷の拡大を容易に且つ効果的に抑制又は防止することができ、優れた防水性及び気密性を効果的に保持させることができる。そのため、住宅等の構造物における所定の部位に、本発明の展延性防水気密用粘着シートによる防水施工方法を利用して防水施工を行った後、従来と同様にして、透湿防水シートにより覆うことができ、より一層、住宅等の構造物に、防水性および気密性を付与することができる。なお、透湿防水シートとしては、特に制限されず、公知乃至慣用の透湿防水シートを適宜選択して用いることができる。
特に、展延性防水気密用粘着シートが、破断時伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、100%引張り変形応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有していると、適度に引っ張って貼着させることができるとともに、伸長された状態で貼着させても、変形応力によるシワ、切れや剥がれ等が防止されており、その状態を長期間に亘り効果的に保持させることができる。
また、展延性防水気密用粘着シートが、前述のように、基材の背面に、非自着性および粘着剤層接着性(非離型性)を有している非自着・非離型性被膜層が形成されていると、該背面上に、同一の展延性防水気密用粘着シートや保護シート等の各種粘着シートを貼着させることができるだけでなく、展延性防水気密用粘着シートを被着体に貼付させる際に、基材の背面同士が接触するように折り曲げて用いても、該背面同士の接着又は自着を防止することができる。従って、本発明の展延性防水気密用粘着シートは、非自着・非離型性被膜層を有していると、背面どうしが接触する形態で折り曲げて貼付させることができるので、開口部や異型部(例えば、出隅や凸部など)などの曲線部や3次元形状部に貼付する場合であっても、容易に貼り合わせることができる。また、引っ張って伸長された状態で貼付されていても、変形応力によるシワ、切れや剥がれ等を防止することが可能であり、その伸長状態を効果的に保持させることができる。さらに、展延性防水気密用粘着シートの粘着剤層を、基材背面に優れた接着性で貼り合わせることができ、貼付後の展延性防水気密用粘着シートの接合部の重ね部分や、端末部の重ね部分などにおいて、展延性防水気密用粘着シートの接着性を効果的に確保することができる。そのため、前述のような展延性防水気密用粘着シートを用いると、貼付する部位が曲線部や3次元形状部であっても、貼り合わせ作業を簡便に行うことができ、例えば、円形状や扇状に伸長させながら綺麗に貼付することができる。しかも、貼付後は、優れた防水性および気密性を長期間に亘り発揮させることが可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(基材の作製例1)
ブチルゴム:50重量部、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM):50重量部、重質炭酸カルシウム:120重量部、プロセスオイル:15重量部、およびカーボンブラック:10重量部を、混合機(バンバリーミキサー)に投入して、8分間混練りした後、カレンダーロールで、ロール温度:110℃の条件で、シート状に成型して、各厚みのゴム製シート(厚みが0.45mmのゴム製シート、厚みが0.55mmのゴム製シート、厚みが2.0mmのゴム製シート)を、それぞれ、作製した。
(被膜形成組成物の調製例1)
アクリロニトリルと、オクタデシルメタクリレートとをトルエン溶液中で重合して、共重合体[アクリロニトリル/オクタデシルメタクリレート(重量モル比)=30/70;重量平均分子量:4万]を得た。この共重合体をトルエンで濃度調整を行って、固形分が1重量%の溶液を調製し、該溶液を被膜形成組成物とした。
(粘着剤層の作製例1)
押出機に、ブチルゴム:100重量部、粘着付与剤:50重量部、重質炭酸カルシウム:100重量部、カーボンブラック:30重量部、および軟化剤:100重量部の混合物を導入し、押出成型を行って、厚みが1.0mmのシート状の粘着剤層を作製した。
(展延性防水気密用粘着シートの作製例1)
前記(基材の作製例1)により得られた厚みが0.45mmのゴム製シートの一方の面に、前記(被膜形成組成物の調製例1)により得られた被膜形成組成物を、所定量塗布して、100℃で0.5分間乾燥して、厚さが約3μmの被膜層を形成した。その後、ゴム製シートの他方の面(被膜層に対して反対側の面)に、前記(粘着剤層の作製例1)により得られたシート状の粘着剤層(厚み:1.0mm)貼り合わせ、さらに、該粘着剤層上に、片面にシリコーン離型処理が施されている剥離ライナーを貼り合わせて、展延性防水気密用粘着シートを得た。
この展延性防水気密用粘着シートにおける破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)は、長手方向が690%であり、幅方向が970%であった。また、前記展延性防水気密用粘着シートにおける100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)は、長手方向が50N/cm2であり、幅方向20N/cm2であった。
なお、展延性防水気密用粘着シートにおける破断時における伸びや、100%伸長下における応力は、下記の(破断時における伸びの測定方法)、(100%伸長下における応力の測定方法)により測定した。
(破断時における伸びの測定方法)
展延性防水気密用粘着シートを、長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号の試験片に打ち抜いて試験片(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)を作製し、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅:10mmとして、300mm/minの速度で、クロスヘッド側を引張り、試験片が切断した時点の伸び(%)を測定する。
(100%伸長下における応力の測定方法)
展延性防水気密用粘着シートを、長手方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)のそれぞれの方向で、JIS K 6251に規定するダンベル形状1号の試験片に打ち抜いて試験片(試験幅:10mm、標線間距離:40mm)を作製し、JIS K 6254に準じて、引張り試験機を使用し、試験片の標線間距離:40mm、試験片の幅:10mmとして、50mm/minの速度で、クロスヘッド側を引張り、試験片が100%伸びた時点で引張りを停止し、このときの荷重(N)を測定し、この荷重の値を引張り前の試験片の断面積(試験片の厚さ×試験片の幅)で割ることにより、単位断面積当たりの荷重(N/cm2)を算出し、この算出された値を100%伸長下における応力とする。
(背面接着性の評価)
また、展延性防水気密用粘着シートを幅25mmに切断した後、基材の背面(被膜形成組成物の調製例1により得られた被膜形成組成物による被膜層側の面)を、指触して、粘着性を確認し、また、背面(被膜層側の面)どうしを貼り合わせて、2kgのローラー1往復にて貼着させて、30分間放置した後、剥がして、背面どうしの接着性を官能的に確認し、さらにまた、この剥離の際の180°ピール粘着力(接着力)を測定したところ(幅:25mm、引張速度:300mm/min、温度:23±2℃、湿度:50±5%RH)、指触では粘着感が感じられず、また、背面どうしを貼り合わせた後に剥離する際の180°ピール粘着力は0N/25mmであり、背面どうしは互いに接着することがなく、貼り合わせ施工作業を阻害することがないことが確認された。
(粘着剤層の背面への接着性の評価)
さらに、展延性防水気密用粘着シートを幅25mmに切断し、2つの試験片を作製した後、一方の試験片における粘着剤層を、他方の試験片における基材の表面(被膜形成組成物の調製例1により得られた被膜形成組成物による被膜層側の面)に、2kgのローラー1往復にて貼着させた後、所定時間(30分間、24時間)放置した後、引張試験機(装置製品名「オートグラフ」島津製作所社製)を用いて、180°ピール粘着力(幅:25mm、引張速度:300mm/min、温度:23±2℃、湿度:50±5%RH、基材の背面側が粘着剤層に貼着されている側の試験片を剥離する)を測定したところ、30分放置後の180°ピール粘着力(引張速度:300mm/min)は9N/25mmであり、24時間放置後の180°ピール粘着力(引張速度:300mm/min)は13N/25mmであった。
(実施例1)
前記(展延性防水気密用粘着シートの作製例1)により得られた展延性防水気密用粘着シートを、長さ方向の長さ15cm×幅方向の長さ5cmの大きさに切断して、被着体として、15cm×15cmの木材板上に、長さ方向に100%の伸長率で伸長させて(展延性防水気密用粘着シートの中央部分に、幅方向に平行で、間隔が5cmの2本の平行な標線を描き、標線間隔が10cmになるまで伸長させることにより、100%の伸長率となるように伸長させる)展延させた状態で、貼着させた。なお、図3で示されるように、貼着時に、木材板からはみ出した、展延性防水気密用粘着シートの両端部分を、木材板裏面側に貼着させ、さらに、展延性防水気密用粘着シートが収縮して戻らないように、粘着テープ(端部固定用粘着テープ)で固定した。その後、図3で示されるように、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に、長さ方向の長さ10cm、幅方向の長さ3.5cmの基材付き粘着シート(商品名「表面保護材料SPV−363」日東電工株式会社製)を、貼り合わせた。
図3は、実施例1において、木材板上に展延性防水気密用粘着シートを貼り合わせ、さらに、保護シートを貼り合わせる状態を示す概略断面図であり、長さ方向に平行な方向で切断した際の概略断面図である。図3において、4は木材板、5は展延された状態の展延性防水気密用粘着シート、6は端部固定用粘着テープ、7は保護シート(商品名「表面保護材料SPV−363」日東電工株式会社製;基材付き粘着シート)である。
なお、展延された状態の展延性防水気密用粘着シートの表面において、保護シートにより被覆されていない部分や、展延性防水気密用粘着シートの端部の部分(例えば、図3におけるAやBの部分)などは、公知の粘着テープ又はシートにより被覆させることにより、損傷等により切断されるのを効果的に防止することができる。
(実施例2)
展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる基材付き粘着シートとして、商品名「電気絶縁用テープ ポリエステル粘着テープ31B♯25」(日東電工株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、被着体としての木材板上に、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート、基材付き粘着シートを、この順で貼着させた。
(実施例3)
展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる基材付き粘着シートとして、商品名「包装用テープ ダンプロンテープNo.375」(日東電工株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、被着体としての木材板上に、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート、基材付き粘着シートを、この順で貼着させた。
(実施例4)
展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる基材付き粘着シートとして、商品名「養生用テープ No.395」(日東電工株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、被着体としての木材板上に、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート、基材付き粘着シートを、この順で貼着させた。
(実施例5)
展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる基材付き粘着シートとして、商品名「マスキングテープ No.720」(日東電工株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、被着体としての木材板上に、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート、基材付き粘着シートを、この順で貼着させた。
(実施例6)
展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に貼り合わせる基材付き粘着シートとして、厚さ25μmのポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤による粘着剤層(厚さ40μm)が積層された構成の粘着テープを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、被着体としての木材板上に、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート、基材付き粘着シートを、この順で貼着させた。
(比較例1)
前記(展延性防水気密用粘着シートの作製例1)により得られた展延性防水気密用粘着シートを、長さ方向の長さ15cm×幅方向の長さ5cmの大きさに切断して、被着体として、15cm×15cmの木材板上に、長さ方向に100%の伸長率(展延性防水気密用粘着シートの中央部分に、幅方向に平行で、間隔が5cmの2本の平行な標線を描き、標線間隔が10cmになるまで伸長させる)で伸長させて展延させた状態で、貼着させた。なお、貼着時に、木材板からはみ出した、展延性防水気密用粘着シートの両端部分を、実施例1と同様にして、木材板裏面側に貼着させて、展延性防水気密用粘着シートが収縮して戻らないように、粘着テープで固定した。
従って、該比較例1では、展延された状態の展延性防水気密用粘着シート上に基材付き粘着シート(保護シート)が貼り合わせられていない。
(評価)
基材付き粘着シート(実施例1〜6)または展延された状態の展延性防水気密用粘着シート(比較例1)上から、表面のほぼ中央部に、基材付き粘着シート及び展延された状態の展延性防水気密用粘着シート(実施例1〜6)、または展延された状態の展延性防水気密用粘着シート(比較例1)とともに、木材板を貫通するような形態で、ネジ(タッピングビス;径:3.0mmφ、長さ:20mm)、釘(径:3.05mmφ、長さ:65mm;「釘A」と称する場合がある)、釘(径:2.0mmφ、長さ:38mm;「釘B」と称する場合がある)、タッカー(ステープル;肩幅:12mm、足長:13mm)を木材板に打ち、展延性防水気密用粘着シートの貼着状態を目視で確認した(打った直後)。なお、ネジ、釘は、頭の部分を、木材板から数ミリ〜約30mm離れたところで浮かして止めた。
さらに、室温(20〜30℃)で2〜3時間放置後、60℃のオーブンに48時間(実施例1〜6におけるネジ、釘、タッカーを打った場合、比較例1におけるタッカーを打った場合)または24時間(比較例1におけるにおけるネジ、釘を打った場合)投入させた後、オーブンより取り出し、展延された状態で貼着されている展延性防水気密用粘着シートの貼着状態を目視で確認した(オーブン投入後)。
そして、損傷の拡大が見られなかった場合を「○」とし、損傷して、又は損傷が拡大して、展延性防水気密用粘着シートが破れてしまう場合を「×」として、評価した。評価結果は、表1に示した。
Figure 2006241769
表1より、実施例1〜6に関しては、ネジ、釘、タッカー(ステープル)を打った直後の展延性防水気密用粘着シートの表面は、ネジ、釘、タッカー(ステープル)の孔以外に、損傷や亀裂が無く、また、オーブン投入後の展延性防水気密用粘着シートは、木材板に貼着された状態が保持されている。
一方、比較例1に関しては、ネジ、釘、タッカー(ステープル)を打った直後の展延性防水気密用粘着シートの表面は、釘、タッカー(ステープル)を打った場合では、釘、タッカー(ステープル)の孔以外に損傷や亀裂が無いことが確認されたが、ネジを打った場合では、展延性防水気密用粘着シートの表面が、ネジの回転により破れることが確認された。また、オーブン投入後の展延性防水気密用粘着シートは、ネジ、釘、タッカー(ステープル)を打った箇所から展延性防水気密用粘着シートが幅方向に切断された形態で2つに破れ、且つ、この破れた部分から長さ方向の端部側に、部分的に木材板から剥がれていた。
図1は展延性防水気密用粘着シートを、展延させた状態で、被着体の所定の部位に貼着させた状態を示す概略図であり、図1(a)は上から見た平面図、図1(b)は側面図である。 図2は展延させた状態で被着体に貼着させた展延性防水気密用粘着シート上に、保護シートを貼り合わせた状態を示す概略図であり、図2(a)は上から見た平面図、図2(b)は側面図である。 図3は、実施例1において、木材板上に展延性防水気密用粘着シートを貼り合わせ、さらに、保護シートを貼り合わせる状態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 展延させた状態の展延性防水気密用粘着シート
1a 展延性防水気密用粘着シート1が伸長された方向
2 被着体
3 保護シート
4 木材板
5 展延された状態の展延性防水気密用粘着シート
6 端部固定用粘着テープ
7 保護シート(基材付き粘着シート)

Claims (6)

  1. 展延性を有する防水気密用粘着シートを貼着させて、防水施工を施す方法であって、下記の工程(A)〜(B)を具備することを特徴とする展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法。
    (A):展延性を有する防水気密用粘着シートを展延させた状態で所定の箇所に貼着させる工程
    (B):工程(A)の後、展延性を有する防水気密用粘着シート上に、少なくとも部分的に、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成された構成を有する保護シートを貼り合わせる工程
  2. 展延性を有する防水気密用粘着シートが、破断時における伸び(標線間距離:40mm、引張速度:300mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、200〜1200%であり、且つ100%伸長下における応力(標線間距離:40mm、引張速度:50mm/min)が、長手方向および幅方向ともに、10〜100N/cm2である特性を有している請求項1記載の展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法。
  3. 展延性を有する防水気密用粘着シートが、ゴム製シートを基材としており、且つ基材の粘着層に対して反対側の面に非自着性且つ粘着層接着性を有する被膜層が形成されている請求項1又は2記載の展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法。
  4. ゴム製シートが、合成ゴムを主成分とするゴム組成物により構成されている請求項3記載の展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法。
  5. ゴム製シートの合成ゴムが、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムから選択された少なくとも1種の合成ゴムである請求項4記載の展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法。
  6. 非自着性且つ粘着層接着性を有する被膜層が、アクリル系重合体または長鎖アルキル系化合物を含有する被膜形成組成物により形成されている請求項3〜5の何れかの項に記載の展延性を有する防水気密用粘着シートによる防水施工方法。
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