JP2004217777A - 粘着テープ又はシート - Google Patents
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Abstract
【課題】手切れ性が優れ、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、被着体への糊残り防止性や見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である粘着テープ又はシートを提供する。
【解決手段】粘着テープ又はシートは、平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材と、該支持基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを有し、前記支持基材が、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ初期弾性率が50〜200MPaであることを特徴とする。破断時の強度が11N/10mm以上であり、且つ破断時の伸度が200%以下であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】粘着テープ又はシートは、平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材と、該支持基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを有し、前記支持基材が、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ初期弾性率が50〜200MPaであることを特徴とする。破断時の強度が11N/10mm以上であり、且つ破断時の伸度が200%以下であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープ又はシートに関し、さらに詳細には、手切れ性が優れており、また、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、さらに、被着体への糊残り防止性や、見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である粘着テープ又はシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌または建築物の塗装や、建築物施工時のシーリングなどに際して、マスキング用粘着テープ又はシート(以下、「マスキングテープ」と称する場合がある。)が用いられている。このようなマスキングテープには、以下の特性が要求されている。
(1)マスキングテープを被着体に貼り付ける際には、手で容易に裂くことができ(手切れ性が良好であること)、また、マスキングの用途を果たした後に剥がす際には、途中で裂けることなく被着体から剥離することができること
(2)マスキングテープを被着体から剥離した後、被着体の貼着面に粘着剤成分が残存していないこと(糊残り防止性が良好であること)
(3)特に塗装用途では、塗装部分と非塗装部分との境界の直線性を明確にすることができること(見切り性が良好であること)
【0003】
従来のマスキングテープでは、基材として、和紙やクレープ紙などを用いた紙基材、手切れ性を付与するために貫通孔または非貫通孔を施したプラスチック基材などが用いられている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−237396号公報
【特許文献2】
特開平9−316401号公報
【特許文献3】
特開平8−209592号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基材として紙基材を用いたマスキングテープでは、手切れ性は良好であるものの、被着体から剥離する際に途中で裂けたり、塗装用途に用いた場合には、塗料が毛細管現象により非塗装部分ににじみ込み、見切り性が充分に出せないといった問題がある。また、マスキング時に使用されるプライマー(シーリング剤を充填する時、シーリング剤と躯体の密着性を向上させるために塗布されるシーリング材料の下塗剤)や、塗料中の溶剤が、紙基材側から裏抜けして粘着剤層に侵入し、これにより、粘着剤層が膨張や溶解され、その結果、マスキングテープを剥離後、被着体に糊残りが生じてしまうという問題もある。
【0006】
一方、基材として貫通孔を施したプラスチック基材を用いたマスキングテープでは、手切れ性は良好であり、剥離時にも裂けることもなく剥離させることができ、また、見切り性もある程度良好であるが、貫通孔を施しているために、剥離後には、被着体に糊残りが生じるという問題がある。
【0007】
また、基材として非貫通孔を施したプラスチック基材を用いたマスキングテープでは、剥離時には裂けることなく剥離することができ、また見切り性および被着体に対する糊残り防止性は良好であるものの、非貫通孔を施しているために、手切れ性が低いという問題がある。
【0008】
しかも、貫通孔や非貫通孔を施したプラスチック基材を用いたマスキングテープでは、プラスチック基材に充分な柔軟性がないと、被着体表面(貼着面)が凹凸状を有している場合、該被着体の凹凸形状の表面に対する追従性が低く、テープ剥れ(浮き)が発生する場合がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、手切れ性が優れており、また、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、さらに、被着体への糊残り防止性や、見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である粘着テープ又はシートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討した結果、粘着テープ又はシートの基材として、特定の樹脂組成物からなる基材を用いるとともに、該基材の表面に、特定の平均開口径を有する非貫通孔を特定の密度で形成し、さらに、粘着テープ又はシートの初期弾性率を特定の大きさにコントロールすると、粘着テープ又はシートを貼り付ける際には、優れた手切れ性で切断することができ、また、剥離の際には途中で切れることなく容易に剥離することができ、この際、被着体の貼着面への粘着剤成分の残存が防止されており、さらに、塗装時にマスキング用として利用した際には、塗装部分と非塗装部分との境界の直線が明確で、見切り性が優れており、しかも、被着体の表面が凹凸形状面を有していても、剥がれ又は浮きが生じず、該被着体表面への追従性が良好であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材と、該支持基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを有する粘着テープ又はシートであって、前記支持基材が、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ初期弾性率が50〜200MPaであることを特徴とする粘着テープ又はシートを提供する。
【0012】
本発明の粘着テープ又はシートは、破断時の強度が11N/10mm以上であり、且つ破断時の伸度が200%以下であることが好ましい。また、前記粘着テープ又はシートは、非貫通孔が支持基材の一方の面に形成されており、支持基材の非貫通孔が形成されていない面に粘着剤層が形成されている形態を有していてもよい。
【0013】
前記熱可塑性樹脂(A)としては、分子中にカルボニル性の酸素原子を有するポリオレフィン系樹脂が好ましく、また、前記ポリマーアロイ(B)としては、ハードセグメント及びソフトセグメントのうちいずれか一方を重合した後、さらに、前記重合により得られたハードセグメント又はソフトセグメントの存在下、他方を重合する多段重合により得られるポリマーアロイが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープ又はシートは、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材を具備しており、さらに、初期弾性率が50〜200MPaである物性を有している。本発明の粘着テープ又はシートは、上記構成を有しているので、手切れ性が優れており、例えば、ハサミやナイフ等の切断工具を用いなくても、手により容易に且つ安全に切断することができる。従って、切断工具により、被着体を傷つけることを防止することができ、切断時の作業性を大きく向上できる。また、建築の養生や塗装の養生などにおいて、養生後、粘着テープ又はシートを剥離する際には、粘着テープ又はシートが途中で切れることなく、容易に剥離することができ、剥離時の作業性を大きく改善することができる。さらに、被着体への糊残り防止性が良好であり、粘着テープ又はシートを剥離した後、被着体には、粘着剤による粘着成分が殆ど又は全く残存していない。
【0015】
さらにまた、見切り性が優れている。例えば、塗装用途において、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼着した後、その上から塗料をスプレー方式で吹き付けた際に、非塗装部分(粘着テープ又はシートが貼着されている部分)への塗料の滲みが抑制または防止されており、塗装部分と非塗装部分との境界線が明確になっている。
【0016】
しかも、凹凸形状面への追従性が良好であり、例えば、表面が凹凸形状面を有する被着体に貼着しても、剥がれ又は浮きが生じず、貼着状態を効果的に保持することができる。
【0017】
従って、本発明の粘着テープ又はシートは、マスキング用粘着テープ又はシートとして有用である。
【0018】
(支持基材)
支持基材は、分子中にカルボニル性の酸素原子(カルボニル基に帰属する酸素原子)を有する熱可塑性樹脂(A)[「カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)」と称する場合がある]と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)[「エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)」と称する場合がある]とにより構成されている。前記カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)を用いることにより、基材、または粘着テープ又はシートに、適度な柔軟性と良好な伸長性を付与することができ、一方、前記エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)を用いることにより、基材、または粘着テープ又はシートに、耐熱変形性(熱変形防止性)を付与することができる。
【0019】
なお、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)や、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)と、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)との割合としては、特に制限されないが、例えば、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)/エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)=20/80〜70/30(好ましくは30/70〜50/50)(重量部)程度の範囲から選択することができる。
【0021】
前記カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)としては、カルボニル基を有する熱可塑性樹脂(例えば、カルボニル基を有するオレフィン系樹脂など)であれば特に制限されないが、特に、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する軟質ポリオレフィン系樹脂(「カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂」と称する場合がある)を好適に用いることができる。
【0022】
カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂の好適な例としては、例えば、モノマー成分として、エチレンと、ビニルエステル系化合物及び/又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(無水物、エステル、塩化物など)とを用いて得られるカルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)などが挙げられる。なお、カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)は、一般に、融点が120℃以下であり、好ましくは40〜100℃である。該融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0023】
前記ビニルエステル系化合物としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルアルコールと低級のカルボン酸とのエステル(低級カルボン酸のビニルエステル)などが挙げられる。また、α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸の誘導体として、α,β−不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル酸エステルなど]、マレイン酸エステル[例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸(モノ又はジ)アルキルエステルなど]、フマル酸エステル[例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル等のフマル酸(モノ又はジ)アルキルエステルなど]などが挙げられる。ビニルエステル系化合物及び/又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[特に(メタ)アクリル酸エチル、中でもアクリル酸エチル]が好適である。ビニルエステル系化合物及び/又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)の好適な具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル共重合体およびこれらの金属塩(アイオノマー)等が挙げられる。
【0025】
エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)としては、エチレンおよびプロピレンをモノマー成分として用い且つ多段重合方法により調製されたポリマーアロイであれば特に制限されないが、特に、ハードセグメント及びソフトセグメントのうちいずれか一方を重合した後、さらに、前記重合により得られたハードセグメント又はソフトセグメントの存在下、他方を重合する多段重合により得られるポリマーアロイを好適に用いることができる。このような多段重合により、ハードセグメントと、ソフトセグメントとが分子レベルでブレンドされたポリマーアロイが得られる。
【0026】
前記ハードセグメント(樹脂成分)としては、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなど)やポリエチレン(エチレンと少量の他のα−オレフィンとの共重合体を含む)などが挙げられる。なお、前記「ホモポリプロピレン」とは、モノマー成分が実質的にプロピレンのみからなる(100%からなる)重合体(プロピレンの単独重合体)を意味しており、また、前記「ランダムポリプロピレン」とは、全モノマー成分に対して数%程度のエチレン成分がプロピレンとランダムに共重合したポリプロピレン系ランダム共重合体を意味している。
【0027】
一方、前記ソフトセグメント(ゴム成分)としては、プロピレン/エチレン共重合体や、プロピレンとエチレンとこれら以外の他のα−オレフィンとの3元共重合体(他のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、1−ブテンが好ましい。)などのエチレン系共重合体などが挙げられる。
【0028】
なお、ハードセグメントやソフトセグメントは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
より具体的には、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)としては、例えば、ハードセグメントがポリプロピレン[プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体(プロピレン−α−オレフィン共重合体)など]であり、一方、ソフトセグメントがエチレン系共重合体(プロピレン/エチレン共重合体や、プロピレンとエチレンとこれら以外の他のα−オレフィンとの3元共重合体など)である場合、次のようにして調製することができる。
【0030】
先ずプロピレンと、必要に応じて他のα−オレフィンとを多段重合の第1段目で予備重合して、ポリプロピレン(プロピレンの単独重合体、またはプロピレン−α−オレフィン共重合体)を調製し、次いで、第2段目以降で、前記第1段目の予備重合で得られた樹脂組成物(ポリプロピレンを含む樹脂組成物)の存在下で、プロピレンと、エチレンと、必要に応じて他のα−オレフィンとを共重合させることにより調製することができる。これにより、第1段目の予備重合で生成するポリマー(ハードセグメント)と、第2段目以降の共重合で生成するポリマー(ソフトセグメント)とが、第2段目以降の重合過程で分子レベルでブレンドされたポリマーアロイが得られる。
【0031】
エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)の調製に際しては、例えば、特開2001−192629号公報などに記載されているように、チタン化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒を用いることができる。前記チタン化合物としては、例えば、三塩化チタンと塩化マグネシウムを共粉砕し、オルトチタン酸n−ブチル、2−エチルヘキサノール、p−トルイル酸エチル、四塩化ケイ素、フタル酸ジイソブチル等で処理した球状で平均粒子径15μmの固体触媒などが挙げられる。また、前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム系化合物等を使用することができる。さらに、重合層において、電子供与体としてジフェニルジメトキシシラン等のケイ素系化合物を添加したり、ヨウ化エチル等のヨウ素系化合物を添加することもできる。
【0032】
このようなエチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)の具体例としては、例えば、サンアロマー(株)社製のキャタロイ製品(ADFLEX)のシリーズ(例えば、商品名「KS−353P」、商品名「KS−021P」、商品名「C200F」、商品名「Q200F」など)等が挙げられる。
【0033】
支持基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、粘土鉱物、セラミック焼成物、金属酸化物、金属水酸化物等の無機化合物など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)、難燃剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0034】
添加剤の使用量は特に制限されない。例えば、充填剤の使用量としては、支持基材を構成する樹脂組成物中の固形分全量に対して10重量%以上の割合であってもよい。なお、充填剤を用いることにより、優れた手切れ性を付与することができる。また、各種の充填剤は、手切れ性以外の効果(例えば、難燃性、耐候性、耐熱性、加熱変形性、剛性向上など)の付与を目的に使用してもよい。
【0035】
支持基材は、フィルム状またはシート状の形態を有しており、その表面には、平均開口径が50〜150μmの非貫通孔が50〜200個/cm2の割合で形成されている。前記非貫通孔の平均開口径とは、各非貫通孔の開口部の孔径(開口径)の平均値を意味している。非貫通孔の平均開口径としては、50〜150μmの範囲であれば特に制限されないが、50〜100μmが好適である。非貫通孔の平均開口径が、50μm未満であると、粘着テープ又はシートの手切れ性が低下し、逆に、150μmを超えると、被着体から剥離する際に粘着テープ又はシートが断続的に切れる傾向にある。
【0036】
非貫通孔の平均開口径は、顕微鏡観察やルーペなどによる機器を用いて、各非貫通孔の開口径を測定して求めることができる。なお、非貫通孔の開口部の形状が、真円形状ではなく、楕円形状や方形状を有している場合は、非貫通孔の平均開口径としては、各非貫通孔の長径の平均値を採用することができる。
【0037】
本発明では、非貫通孔は50〜150μmの平均開口径を有しているが、各非貫通孔自体の開口径も50〜150μmであることが重要である。
【0038】
非貫通孔の密度(支持基材表面における密度)としては、50〜200個/cm2であれば特に制限されないが、好ましくは70〜150個/cm2、より好ましくは、80〜120個/cm2である。非貫通孔の密度が、50個/cm2未満であると、粘着テープ又はシートを切断する際の手切れ性が低下し、また切断面の形状が良好でない傾向にあり、一方、200個/cm2を超えると、粘着テープ又はシートの剥離時に、基材が切れる傾向にある。
【0039】
各非貫通孔同士の間隔(隣接した非貫通孔間の間隔)としては、平均開口径や密度が前記範囲であれば特に制限されないが、例えば、50μm〜3mm(好ましくは0.5〜1.5mm)程度であってもよい。なお、隣接した非貫通孔間の間隔としては、非貫通孔の中心部(又は重心部)間の間隔を採用することができる。
【0040】
非貫通孔は、支持基材の表面に、規則的に形成されていてもよく、不規則的に形成されていてもよい。例えば、支持基材が長尺帯状の形状を有している場合、非貫通孔は、横方向(短手方向または幅方向)にも、縦方向(長手方向または長さ方向)にも、一定の間隔で直線状に規則的に形成されていてもよい。具体的には、長尺帯状の支持基材の横方向に直線状に一定の間隔で形成され、且つ、前記横方向に直線状に一定の間隔で形成されている非貫通孔群が、縦方向に一定の間隔で形成されていてもよい。
【0041】
非貫通孔の形状(非貫通孔の開口部における形状)としては、特に制限されず、例えば、円形状(真円形状、楕円形状など)、方形状(正方形状、長方形状等の四角形状の他、各種多角形状など)などいずれの形状であってもよく、また不定形状であってもよい。なお、非貫通孔は、すべて又は部分的に同一の形状を有していてもよく、全てが異なる形状を有していてもよい。
【0042】
なお、各非貫通孔は、支持基材の厚さ方向に対して垂直な面における断面形状(孔の断面形状)が、支持基材の厚さ方向で、一定であってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
各非貫通孔の深さとしては、支持基材の他方の面に到達せず、貫通しない深さ(すなわち、支持基材の厚みに対して100%未満に相当する深さ)であれば特に制限されず、例えば、支持基材の厚みに対して10%以上100%未満(好ましくは30〜90%)に相当する深さであることが望ましい。
【0044】
非貫通孔は、支持基材の両面に形成されていてもよいが、支持基材の一方の面(片面)に形成されていることが好ましい。
【0045】
このように、支持基材は、貫通孔が穿孔されておらず非貫通孔を有しているので、塗料やプライマー等に含まれている各種成分(特に、溶剤)の裏抜けを防止することができる。そのため、剥離した後には、被着体表面に糊残りを生じさせない。しかも、プラスチック製材料によるフィルム又はシートが用いられているので、紙基材などで見られる毛細管現象による見切り性の悪さも解消できる。
【0046】
また、支持基材を構成するプラスチック材料として、前記カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)および前記エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)を用い、且つ支持基材に非貫通孔処理を行うことにより(すなわち、支持基材の構成材料の規定と、非貫通孔処理との組み合わせにより)、粘着テープ又はシートの手切れ性や、被着体の凹凸形状面への追従性等の特性を向上させることが可能となる。
【0047】
支持基材の製造方法は、特に制限されない。支持基材は、通常、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)と、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)と、必要に応じて充填剤等の各種添加剤とを、ドライブレンドし、該混合物をバンバリミキサー、ロール、押出し機等を用いて混練し(この際、必要に応じて加熱することができる)、該混練物を公知乃至慣用の成形方法(例えば、圧縮成形方法、カレンダー成形方法、射出成形方法、押出成形方法等)により、フィルム状又はシート状に成形することにより得られる。支持基材の製造方法としては、カレンダ圧延方法やフラットダイによる押出方法(フラットダイ押出方法)を好適に採用することができる。
【0048】
支持基材における非貫通孔の形成方法としては、特に制限はなく、公知の非貫通孔の形成方法を採用することができる。フィルム状又はシート状の支持基材を形成する際に、又は形成後に、例えば、合成ダイヤモンド等の硬質材料を付着させたロールなどの凸部を有するロールや金型を用いて、非貫通孔を形成する方法などが挙げられる。このような非貫通孔形成方法では、凸部を有するロールや金型を、フィルム状又はシート状の支持基材に接着させる際の圧力を調整することにより、非貫通孔の深さをコントロールすることができる。なお、非貫通孔の形成に際しては、1種のみの形成方法を利用してもよく、2種以上の形成方法を利用してもよい。
【0049】
なお、支持基材の製造方法としては、一般的に、カレンダ圧延方法やフラットダイ押出方法が用いられる。両者の方法(カレンダ圧延方法やフラットダイ押出方法)では、基本的には、支持基材を構成する樹脂組成物中の樹脂成分を溶融点(溶融温度)以上の温度に加熱して、シート形状に変形させて徐々に冷却して成形している。従って、カレンダ圧延方法又はフラットダイ押出方法のどちらの方法にせよ、非貫通孔は、溶融させた樹脂成分を含む樹脂組成物がシート形状に変形させた後から完全に冷却されるまでの間で形成することが望ましい。よって、例えば、カレンダ圧延方法を利用する場合には、カレンダーロールにより剥離させた直後に、硬質材料(合成ダイヤモンド等)を付着させたロールとゴムロールとの間をニップさせて、圧延された支持基材の表面に非貫通孔を形成させることができる。また、例えば、フラットダイ押出方法の場合には、ダイより吐出された直後の冷却ロールとして、硬質材料(合成ダイヤモンド等)を付着させた冷却ロールを用いることによって、前記カレンダ圧延方法を用いた場合と同様に、支持基材の表面に非貫通孔を形成させることができる。
【0050】
このように、一方の面(粘着剤層に対して反対側の面)に非貫通孔を有する支持基材は、従来の支持基材の製造工程で、凸部を有するロールや冷却ロールなどを用いることによって、製造することができ、大きな設備の追加を必要としていない。従って、容易に且つ低コストで、非貫通孔を有する支持基材を製造することができる。
【0051】
支持基材の厚みは、特に制限されず、粘着テープ又はシートの用途によっても異なるが、一般に、10〜300μm(好ましくは20〜200μm)程度である。なお、支持基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層(積層体)の形態を有していてもよい。支持基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理などの各種処理が施されていてもよい。
【0052】
(粘着剤層)
本発明の粘着テープ又はシートは、粘着剤層が、支持基材の少なくとも一方の面に形成されている。なお、例えば、支持基材の片面に粘着層が形成され、且つ支持基材の片面に非貫通孔が形成されている場合、粘着層は、支持基材上の非貫通孔が形成されていない面に形成されていてもよく、支持基材上の非貫通孔が形成されている面に形成されていてもよい。本発明では、粘着層は、支持基材上の非貫通孔が形成されていない面に形成されていることが好ましく、この場合、支持基材の非貫通孔が形成されている面は、例えば、ロール状に巻回した粘着テープの剥離面とすることができる。
【0053】
粘着剤層を構成する粘着剤(感圧接着剤)としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの公知乃至慣用の粘着剤を適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
前記ゴム系粘着剤(天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤など)は、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとしている。前記ベースポリマーとして合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ネオプレン、ポリイソブチレン(PIB)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEBS)、再生ゴムなどが挙げられる。
【0055】
前記アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとしている。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを好適に用いることができる。
【0056】
なお、前記アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体(共重合性単量体)を、単量体成分として用いられていてもよい。このような共重合性単量体としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレンなどのスチレン系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。好ましい共重合性単量体には、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマーが含まれる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0057】
また、共重合性単量体としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーを用いてもよい。
【0058】
なお、粘着剤層を構成する粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。また、粘着剤を調製するための重合方法も特に制限されない。粘着剤には、必要に応じて各種添加剤、例えば、架橋剤、タッキファイヤー、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の各種安定剤、可塑剤、粘着付与剤、帯電防止剤、発泡剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0059】
粘着剤としては、耐熱性および耐候性の観点から、アクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
【0060】
粘着剤層の厚さ(乾燥後の厚み)は、例えば、5〜70μm(好ましくは10〜50μm)程度である。粘着剤層の厚さ(乾燥後)が、5μm未満であると、粘着力が小さく、粘着テープ又はシートの貼り付け時に剥がれることがあり、逆に、70μmを超えると、粘着力が大きくなり、剥離作業性が低下する。なお、粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。
【0061】
粘着剤層は、公知乃至慣用の方法により形成することができる。例えば、粘着剤を、前記支持基材上に塗布する方法、適当な剥離ライナー上に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、これを前記支持基材上に転写(移着)する方法などが挙げられる。粘着剤の塗布に際しては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを利用することができる。なお、支持基材を形成した後、連続して粘着剤の塗布等を行って、粘着剤層を形成してもよく、支持基材の形成工程と粘着剤の塗工工程とを別工程で実施してもよい。
【0062】
なお、粘着剤層は、剥離ライナーにより保護されていてもよい。粘着テープ又はシートを貼着する際に、剥離ライナーを剥がすことができる。また、粘着テープ又はシートは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0063】
粘着テープ又はシートは、例えば、支持基材と、前記支持基材の一方の面(非貫通孔を有していない面)に形成された粘着剤層と、前記支持基材の他方の面(非貫通孔を有する面)に形成された背面処理層とで構成されていると、粘着剤層の表面をシート背面(例えば、背面処理層の面)と重ね合わせて積層させることにより、ロール状に巻回して、粘着剤層を保護することができる。
【0064】
また、剥離ライナーにより保護されている場合であっても、ロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された状態又は形態を有している粘着テープ(ロール状に巻回された粘着テープ)として作製することができ、ロール状に巻回しない場合は、粘着シートとして作製することができる。
【0065】
本発明において、粘着テープ又はシートの初期弾性率は、50〜200MPaであり、好ましくは80〜150MPaである。粘着テープ又はシートの初期弾性率が、50MPa未満であると、マスキング作業がし難くなる(直線性が出ない)傾向があり、一方、200MPaを超えると、表面が粗面な被着体に対する追従性が低下する傾向がある。
【0066】
また、粘着テープ又はシートは、破断時の強度(破断強度)が11N/10mm以上(好ましくは12N/10mm以上)であることが望ましい。粘着テープ又はシートにおける破断強度が11N/10mm未満であると、粘着テープ又はシートを剥離する際に、粘着テープ又はシートが切れやすくなる。なお、粘着テープ又はシートの破断強度の上限としては、特に制限されないが、例えば、25N/10mm程度であってもよい。
【0067】
さらにまた、粘着テープ又はシートは、破断時の伸度(破断伸度)が200%以下(好ましくは150%以下)であることが望ましい。粘着テープ又はシートにおける破断伸度が、200%を超えると手切れ性が低下する。なお、粘着テープ又はシートの破断伸度が100%未満であると剥離時に粘着テープが切れやすくなる傾向があるため、粘着テープ又はシートの破断伸度の下限としては、特に制限されないが、100%程度であってもよい。
【0068】
粘着テープ又はシートにおける、初期弾性率、破断強度や破断伸度は、粘着テープ又はシートの応力−歪み曲線を利用して求めることができる。なお、応力−歪み曲線では、通常、縦軸が応力(N/10mm)であり、横軸が引張伸度(%)である。粘着テープ又はシートの応力−歪み曲線は、引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅10mmの粘着テープを、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定することにより得られる。初期弾性率については、前記応力−歪み曲線において、引張伸度が3〜6%の2点を通る直線の傾きを算出して、該傾きを初期弾性率とする。また、破断強度については、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力を破断強度とする。さらにまた、破断伸度については、破断強度と同様に、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の伸度を破断伸度とする。
【0069】
なお、初期弾性率、破断強度や破断伸度などの算出の際に使用する厚み(基材断面積を求める際の厚み)としては、最も厚い部分の厚み(凸部厚み)を採用することができる。
【0070】
本発明では、粘着テープ又はシートにおける、初期弾性率、破断強度や破断伸度は、例えば、支持基材における、初期弾性率、破断強度や破断伸度をコントロールすることなどにより調整することができる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の粘着テープ又はシートによれば、手切れ性が優れており、また、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、さらに、被着体への糊残り防止性や、見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である。
【0072】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(使用材料)
(1)分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A):商品名「ウルトラセン635」[東ソー株式会社製;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA);「樹脂(1)」と称する場合がある]
(2)モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B):商品名「ADFLEX Q200F」[サンアロマー株式会社製;リアクターTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー);ホモポリプロピレン/エチレン・プロピレン共重合体=50/50(重量部);「樹脂(2)」と称する場合がある]
(3)商品名「ハイゼックス2200J」[三井化学株式会社製;高密度ポリエチレン(HDPE);「樹脂(3)」と称する場合がある]
(4)商品名「スミカセンG201」[住友化学株式会社製;低密度ポリエチレン(LDPE);「樹脂(4)」と称する場合がある]
【0073】
(実施例1)
前記樹脂(1):40重量部に対して、前記樹脂(2):60重量部、および無機系フィラー(商品名「TRANSLINK555」Engelhard Corporation社製):50重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、カレンダー成形機を用いてフィルム状(又はシート状)に成形し(成膜し)、一方の面に非貫通孔を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。
【0074】
なお、前記支持基材をカレンダー成形機により成形する際に、成膜直後に、フィルムの下面に、突起形状の彫刻を施したロールでプレスすることにより、一方の面(下面)に、図1に示されるような非貫通孔を形成した。非貫通孔の支持基材表面における開口部の形状は、真円状であり、その平均開口径は、100μmであり、表面における密度は、100個/cm2であり、その深さは、80μmである。また、非貫通孔は、図1に示されるように、カレンダー成形機で長尺帯状に形成された支持基材の長さ方向(縦方向;いわゆる「MD方向」)にも、幅方向(横方向;いわゆる「TD方向」)にも、直線状に、一定の間隔で形成されており、隣接した非貫通孔間の間隔(隣接した非貫通孔の中心部同士の間隔)は、縦方向および横方向ともに、1.0mmである。
【0075】
また、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布して、粘着シートを作製した。すなわち、該粘着シートは、一方の面に非貫通孔を有しており、他方の面にアクリル系粘着剤による粘着剤層を有している。
【0076】
(実施例2)
前記樹脂(1):40重量部に対して、前記樹脂(2):60重量部、および無機系フィラー(商品名「TRANSLINK555」Engelhard Corporation社製):75重量部の割合で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の面に非貫通孔を有する支持基材を作製した。すなわち、該実施例2に係る支持基材の表面に形成された非貫通孔は、実施例1と同様の形状、平均開口径、密度、深さ、隣接した非貫通孔間の間隔などを有しているとともに、実施例1と同様の規則性で形成されている。
【0077】
さらに、実施例1と同様にして、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の非貫通孔を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有している。
【0078】
(比較例1)
樹脂(3):30重量部に対して、前記樹脂(4):70重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、押出し成形機を用いてフィルム状(又はシート状)に押出成形し、この際、押出し成形機により押し出された溶融状態の樹脂を、凹凸形状の彫刻を施したロールに押し当てて、フィルム状にするとともに、該フィルム状の支持基材の一方の面に幅方向に溝を、長さ方向に一定の間隔で形成することにより、一方の面に幅方向に形成された溝を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。なお、前記溝は、図2で示されているような溝形状を有しており、具体的には、その幅は0.2mmであり、深さは0.04mmである。また、長さ方向において、隣接した溝の間隔(隣接した溝の中心部同士の間隔)は、1.0mmである。
【0079】
また、前記支持基材の溝が形成されていない面に、実施例1と同様にしてコロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布して、粘着シートを作製した。すなわち、該粘着シートは、一方の面に溝を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有している。
【0080】
(比較例2)
樹脂(3):30重量部に対して、前記樹脂(4):70重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、カレンダー成形機を用いて、実施例1と同様にして、フィルム状(又はシート状)に成形し(成膜し)、一方の面に非貫通孔を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。なお、該比較例2に係る支持基材の表面に形成された非貫通孔は、実施例1と同様の形状、平均開口径、密度、深さ、隣接した非貫通孔間の間隔などを有しているとともに、実施例1と同様の規則性で形成されている。
【0081】
さらに、実施例1と同様にして、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該比較例2に係る粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の非貫通孔を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有しているが、支持基材を構成する材料が、実施例1に係る支持基材を構成する材料と異なっている。
【0082】
(比較例3)
前記樹脂(1):40重量部に対して、前記樹脂(2):60重量部、および無機系フィラー(商品名「TRANSLINK555」Engelhard Corporation社製):50重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、カレンダー成形機を用いてフィルム状(又はシート状)に成形して(成膜して)、厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。すなわち、該比較例3に係る支持基材には、非貫通孔や溝などの凹部は形成されておらず、両面が平面となっている。
【0083】
前記支持基材の片面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該比較例2に係る粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有し、且つ支持基材を構成する材料が、実施例1に係る支持基材を構成する材料と同様であるが、非貫通孔を有していないことが、実施例1に係る支持基材と異なっている。
【0084】
(比較例4)
樹脂(1)を、カレンダー成形機を用いて、実施例1と同様にして、フィルム状(又はシート状)に成形し(成膜し)、一方の面に非貫通孔を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。なお、該比較例4に係る支持基材の表面に形成された非貫通孔は、実施例1と同様の形状、平均開口径、密度、深さ、隣接した非貫通孔間の間隔などを有しているとともに、実施例1と同様の規則性で形成されている。
【0085】
さらに、実施例1と同様にして、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該比較例4に係る粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の非貫通孔を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有しているが、支持基材を構成する材料が、実施例1に係る支持基材を構成する材料と異なっている。
【0086】
(評価)
実施例および比較例により得られた粘着シートを、市販のカッターナイフを用いて所定の幅(10mm幅、25mm幅、63mm幅など)の試験片を作製し、下記に示す引張試験、縦剥離試験、引裂試験、追従性試験を行って、引張特性、引裂特性、追従性を評価した。評価結果は、表1に示した。
【0087】
(引張試験)
引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅10mmの試験片を、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定して、応力−歪み曲線[縦軸が応力(N/10mm)であり、横軸が引張伸度(%)である]を求める。なお、初期弾性率については、前記応力−歪み曲線において、引張伸度が3〜6%の2点を通る直線の傾きを算出して、該傾きを初期弾性率とする。また、破断強度については、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力を破断強度とする。さらにまた、破断伸度については、破断強度と同様に、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の伸度を破断伸度とする。
【0088】
(縦剥離試験)
縦剥離強度(縦剥離強さ)は、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅25mmの試験片を、市販のフローリング用板に、長さ300mm貼り付け、さらに、100mmの導き長さを設けて、剥離角度約30°、剥離速度約1000mm/minの条件で剥離して(計3回)、下記に示す評価基準により縦剥離強さを評価した。
(縦剥離強さの評価基準)
○:3回ともすべて途中で切れることなく剥離できた。
△:2回切れることなく剥離できた。
×:1回のみ切れることなく剥離できたか、又は3回とも途中で切れた。
【0089】
(引裂試験)
エレメンドルフ引裂抵抗試験機(テスター産業株式会社製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅63mmの試験片1枚を、ノッチなしで、引裂抵抗を測定し、引裂性を評価した。
【0090】
さらに、官能試験として、5回の手切れ試験(粘着テープを素手で切断する試験)を行い、下記の評価基準で引裂性(官能試験)を評価した。
(官能試験による引裂性の評価基準)
○:5回ともすべてで容易に素手で切断できる。
△:4回は容易に素手で切断できる。
×:3回以下しか、素手では容易に切断できない。
【0091】
(追従性試験)
表面にエンボス加工により凹凸部が形成されている建築用養生シート4(市販品の建築用養生シート)を、図3に示されるように、L字形状部を有するブロック3のL字形状部に当てて静置させた後、該建築用養生シート4の表面(凹凸部を有する表面)に、幅63mmの試験片(粘着シート)5を、L字形状に折り曲げた形態となるように貼り付け、0℃の環境下、7日間放置した後、試験片5の剥離状態(浮き)を目視で確認し、下記の評価基準で追従性(官能試験)を評価した。
(官能試験による追従性の評価基準)
○:L字形状に折り曲げられて貼り付けられている試験片(粘着シート)において、鉛直方向の部分は全く浮いておらず、建築用養生シートの表面に貼着されている。
△:L字形状に折り曲げられて貼り付けられている試験片(粘着シート)において、鉛直方向の部分の端部で部分的に浮きが生じている。
×:L字形状に折り曲げられて貼り付けられている試験片(粘着シート)において、鉛直方向の部分は全体的に浮いており、建築用養生シートの表面に貼着されていない。
【0092】
【表1】
【0093】
表1より、実施例1及び2に係る粘着シートは、手切れ性が良好であり、また、剥離の際には途中で切れることなく容易に剥離することができることが確認された。さらにまた、凹凸形状面への追従性も良好であることが確認された。
【0094】
また、縦剥離試験で剥離後に、被着体である市販のフローリング用板の表面を目視で観察したところ、糊残りは生じておらず、被着体への糊残り防止性も優れていることが確認された。
【0095】
しかも、支持基材が、プラスチック製フィルムにより形成されているので、見切り性がよいことは明らかである。
【0096】
一方、比較例1では、粘着シートの初期弾性率が200MPaを超えているため、被着体への追従性が非常に悪くなっている。
【0097】
比較例2では、粘着シートの初期弾性率が200MPaを超えており、被着体への追従性が悪くなっている。また、手切れ性が低くなっている。
【0098】
比較例3では、支持基材の表面に非貫通孔が形成されておらず、その結果、手切れ性が非常に悪くなっている。
【0099】
比較例4では、支持基材は、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)を含んでおらず、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)のみにより構成されているため、縦剥離強度が低く、剥離の際には途中で切れてしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製された支持基材(テープ基材)の表面の状態を示す概略平面図である。
【図2】比較例1で作製された支持基材(テープ基材)の表面の状態を示す概略平面図である。
【図3】追従性試験で、粘着シートを貼着させる際の状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1a 支持基材
2a 非貫通孔
1b 支持基材
2b 溝
3 ブロック
4 建築用養生シート
5 試験片(粘着シート)
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープ又はシートに関し、さらに詳細には、手切れ性が優れており、また、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、さらに、被着体への糊残り防止性や、見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である粘着テープ又はシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌または建築物の塗装や、建築物施工時のシーリングなどに際して、マスキング用粘着テープ又はシート(以下、「マスキングテープ」と称する場合がある。)が用いられている。このようなマスキングテープには、以下の特性が要求されている。
(1)マスキングテープを被着体に貼り付ける際には、手で容易に裂くことができ(手切れ性が良好であること)、また、マスキングの用途を果たした後に剥がす際には、途中で裂けることなく被着体から剥離することができること
(2)マスキングテープを被着体から剥離した後、被着体の貼着面に粘着剤成分が残存していないこと(糊残り防止性が良好であること)
(3)特に塗装用途では、塗装部分と非塗装部分との境界の直線性を明確にすることができること(見切り性が良好であること)
【0003】
従来のマスキングテープでは、基材として、和紙やクレープ紙などを用いた紙基材、手切れ性を付与するために貫通孔または非貫通孔を施したプラスチック基材などが用いられている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−237396号公報
【特許文献2】
特開平9−316401号公報
【特許文献3】
特開平8−209592号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基材として紙基材を用いたマスキングテープでは、手切れ性は良好であるものの、被着体から剥離する際に途中で裂けたり、塗装用途に用いた場合には、塗料が毛細管現象により非塗装部分ににじみ込み、見切り性が充分に出せないといった問題がある。また、マスキング時に使用されるプライマー(シーリング剤を充填する時、シーリング剤と躯体の密着性を向上させるために塗布されるシーリング材料の下塗剤)や、塗料中の溶剤が、紙基材側から裏抜けして粘着剤層に侵入し、これにより、粘着剤層が膨張や溶解され、その結果、マスキングテープを剥離後、被着体に糊残りが生じてしまうという問題もある。
【0006】
一方、基材として貫通孔を施したプラスチック基材を用いたマスキングテープでは、手切れ性は良好であり、剥離時にも裂けることもなく剥離させることができ、また、見切り性もある程度良好であるが、貫通孔を施しているために、剥離後には、被着体に糊残りが生じるという問題がある。
【0007】
また、基材として非貫通孔を施したプラスチック基材を用いたマスキングテープでは、剥離時には裂けることなく剥離することができ、また見切り性および被着体に対する糊残り防止性は良好であるものの、非貫通孔を施しているために、手切れ性が低いという問題がある。
【0008】
しかも、貫通孔や非貫通孔を施したプラスチック基材を用いたマスキングテープでは、プラスチック基材に充分な柔軟性がないと、被着体表面(貼着面)が凹凸状を有している場合、該被着体の凹凸形状の表面に対する追従性が低く、テープ剥れ(浮き)が発生する場合がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、手切れ性が優れており、また、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、さらに、被着体への糊残り防止性や、見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である粘着テープ又はシートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討した結果、粘着テープ又はシートの基材として、特定の樹脂組成物からなる基材を用いるとともに、該基材の表面に、特定の平均開口径を有する非貫通孔を特定の密度で形成し、さらに、粘着テープ又はシートの初期弾性率を特定の大きさにコントロールすると、粘着テープ又はシートを貼り付ける際には、優れた手切れ性で切断することができ、また、剥離の際には途中で切れることなく容易に剥離することができ、この際、被着体の貼着面への粘着剤成分の残存が防止されており、さらに、塗装時にマスキング用として利用した際には、塗装部分と非塗装部分との境界の直線が明確で、見切り性が優れており、しかも、被着体の表面が凹凸形状面を有していても、剥がれ又は浮きが生じず、該被着体表面への追従性が良好であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材と、該支持基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを有する粘着テープ又はシートであって、前記支持基材が、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ初期弾性率が50〜200MPaであることを特徴とする粘着テープ又はシートを提供する。
【0012】
本発明の粘着テープ又はシートは、破断時の強度が11N/10mm以上であり、且つ破断時の伸度が200%以下であることが好ましい。また、前記粘着テープ又はシートは、非貫通孔が支持基材の一方の面に形成されており、支持基材の非貫通孔が形成されていない面に粘着剤層が形成されている形態を有していてもよい。
【0013】
前記熱可塑性樹脂(A)としては、分子中にカルボニル性の酸素原子を有するポリオレフィン系樹脂が好ましく、また、前記ポリマーアロイ(B)としては、ハードセグメント及びソフトセグメントのうちいずれか一方を重合した後、さらに、前記重合により得られたハードセグメント又はソフトセグメントの存在下、他方を重合する多段重合により得られるポリマーアロイが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープ又はシートは、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材を具備しており、さらに、初期弾性率が50〜200MPaである物性を有している。本発明の粘着テープ又はシートは、上記構成を有しているので、手切れ性が優れており、例えば、ハサミやナイフ等の切断工具を用いなくても、手により容易に且つ安全に切断することができる。従って、切断工具により、被着体を傷つけることを防止することができ、切断時の作業性を大きく向上できる。また、建築の養生や塗装の養生などにおいて、養生後、粘着テープ又はシートを剥離する際には、粘着テープ又はシートが途中で切れることなく、容易に剥離することができ、剥離時の作業性を大きく改善することができる。さらに、被着体への糊残り防止性が良好であり、粘着テープ又はシートを剥離した後、被着体には、粘着剤による粘着成分が殆ど又は全く残存していない。
【0015】
さらにまた、見切り性が優れている。例えば、塗装用途において、本発明の粘着テープ又はシートを被着体に貼着した後、その上から塗料をスプレー方式で吹き付けた際に、非塗装部分(粘着テープ又はシートが貼着されている部分)への塗料の滲みが抑制または防止されており、塗装部分と非塗装部分との境界線が明確になっている。
【0016】
しかも、凹凸形状面への追従性が良好であり、例えば、表面が凹凸形状面を有する被着体に貼着しても、剥がれ又は浮きが生じず、貼着状態を効果的に保持することができる。
【0017】
従って、本発明の粘着テープ又はシートは、マスキング用粘着テープ又はシートとして有用である。
【0018】
(支持基材)
支持基材は、分子中にカルボニル性の酸素原子(カルボニル基に帰属する酸素原子)を有する熱可塑性樹脂(A)[「カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)」と称する場合がある]と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)[「エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)」と称する場合がある]とにより構成されている。前記カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)を用いることにより、基材、または粘着テープ又はシートに、適度な柔軟性と良好な伸長性を付与することができ、一方、前記エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)を用いることにより、基材、または粘着テープ又はシートに、耐熱変形性(熱変形防止性)を付与することができる。
【0019】
なお、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)や、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)と、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)との割合としては、特に制限されないが、例えば、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)/エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)=20/80〜70/30(好ましくは30/70〜50/50)(重量部)程度の範囲から選択することができる。
【0021】
前記カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)としては、カルボニル基を有する熱可塑性樹脂(例えば、カルボニル基を有するオレフィン系樹脂など)であれば特に制限されないが、特に、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する軟質ポリオレフィン系樹脂(「カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂」と称する場合がある)を好適に用いることができる。
【0022】
カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂の好適な例としては、例えば、モノマー成分として、エチレンと、ビニルエステル系化合物及び/又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(無水物、エステル、塩化物など)とを用いて得られるカルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)などが挙げられる。なお、カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)は、一般に、融点が120℃以下であり、好ましくは40〜100℃である。該融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0023】
前記ビニルエステル系化合物としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルアルコールと低級のカルボン酸とのエステル(低級カルボン酸のビニルエステル)などが挙げられる。また、α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸の誘導体として、α,β−不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル酸エステルなど]、マレイン酸エステル[例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸(モノ又はジ)アルキルエステルなど]、フマル酸エステル[例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル等のフマル酸(モノ又はジ)アルキルエステルなど]などが挙げられる。ビニルエステル系化合物及び/又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[特に(メタ)アクリル酸エチル、中でもアクリル酸エチル]が好適である。ビニルエステル系化合物及び/又はα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)の好適な具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル共重合体およびこれらの金属塩(アイオノマー)等が挙げられる。
【0025】
エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)としては、エチレンおよびプロピレンをモノマー成分として用い且つ多段重合方法により調製されたポリマーアロイであれば特に制限されないが、特に、ハードセグメント及びソフトセグメントのうちいずれか一方を重合した後、さらに、前記重合により得られたハードセグメント又はソフトセグメントの存在下、他方を重合する多段重合により得られるポリマーアロイを好適に用いることができる。このような多段重合により、ハードセグメントと、ソフトセグメントとが分子レベルでブレンドされたポリマーアロイが得られる。
【0026】
前記ハードセグメント(樹脂成分)としては、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなど)やポリエチレン(エチレンと少量の他のα−オレフィンとの共重合体を含む)などが挙げられる。なお、前記「ホモポリプロピレン」とは、モノマー成分が実質的にプロピレンのみからなる(100%からなる)重合体(プロピレンの単独重合体)を意味しており、また、前記「ランダムポリプロピレン」とは、全モノマー成分に対して数%程度のエチレン成分がプロピレンとランダムに共重合したポリプロピレン系ランダム共重合体を意味している。
【0027】
一方、前記ソフトセグメント(ゴム成分)としては、プロピレン/エチレン共重合体や、プロピレンとエチレンとこれら以外の他のα−オレフィンとの3元共重合体(他のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、1−ブテンが好ましい。)などのエチレン系共重合体などが挙げられる。
【0028】
なお、ハードセグメントやソフトセグメントは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
より具体的には、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)としては、例えば、ハードセグメントがポリプロピレン[プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体(プロピレン−α−オレフィン共重合体)など]であり、一方、ソフトセグメントがエチレン系共重合体(プロピレン/エチレン共重合体や、プロピレンとエチレンとこれら以外の他のα−オレフィンとの3元共重合体など)である場合、次のようにして調製することができる。
【0030】
先ずプロピレンと、必要に応じて他のα−オレフィンとを多段重合の第1段目で予備重合して、ポリプロピレン(プロピレンの単独重合体、またはプロピレン−α−オレフィン共重合体)を調製し、次いで、第2段目以降で、前記第1段目の予備重合で得られた樹脂組成物(ポリプロピレンを含む樹脂組成物)の存在下で、プロピレンと、エチレンと、必要に応じて他のα−オレフィンとを共重合させることにより調製することができる。これにより、第1段目の予備重合で生成するポリマー(ハードセグメント)と、第2段目以降の共重合で生成するポリマー(ソフトセグメント)とが、第2段目以降の重合過程で分子レベルでブレンドされたポリマーアロイが得られる。
【0031】
エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)の調製に際しては、例えば、特開2001−192629号公報などに記載されているように、チタン化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒を用いることができる。前記チタン化合物としては、例えば、三塩化チタンと塩化マグネシウムを共粉砕し、オルトチタン酸n−ブチル、2−エチルヘキサノール、p−トルイル酸エチル、四塩化ケイ素、フタル酸ジイソブチル等で処理した球状で平均粒子径15μmの固体触媒などが挙げられる。また、前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム系化合物等を使用することができる。さらに、重合層において、電子供与体としてジフェニルジメトキシシラン等のケイ素系化合物を添加したり、ヨウ化エチル等のヨウ素系化合物を添加することもできる。
【0032】
このようなエチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)の具体例としては、例えば、サンアロマー(株)社製のキャタロイ製品(ADFLEX)のシリーズ(例えば、商品名「KS−353P」、商品名「KS−021P」、商品名「C200F」、商品名「Q200F」など)等が挙げられる。
【0033】
支持基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、粘土鉱物、セラミック焼成物、金属酸化物、金属水酸化物等の無機化合物など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)、難燃剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0034】
添加剤の使用量は特に制限されない。例えば、充填剤の使用量としては、支持基材を構成する樹脂組成物中の固形分全量に対して10重量%以上の割合であってもよい。なお、充填剤を用いることにより、優れた手切れ性を付与することができる。また、各種の充填剤は、手切れ性以外の効果(例えば、難燃性、耐候性、耐熱性、加熱変形性、剛性向上など)の付与を目的に使用してもよい。
【0035】
支持基材は、フィルム状またはシート状の形態を有しており、その表面には、平均開口径が50〜150μmの非貫通孔が50〜200個/cm2の割合で形成されている。前記非貫通孔の平均開口径とは、各非貫通孔の開口部の孔径(開口径)の平均値を意味している。非貫通孔の平均開口径としては、50〜150μmの範囲であれば特に制限されないが、50〜100μmが好適である。非貫通孔の平均開口径が、50μm未満であると、粘着テープ又はシートの手切れ性が低下し、逆に、150μmを超えると、被着体から剥離する際に粘着テープ又はシートが断続的に切れる傾向にある。
【0036】
非貫通孔の平均開口径は、顕微鏡観察やルーペなどによる機器を用いて、各非貫通孔の開口径を測定して求めることができる。なお、非貫通孔の開口部の形状が、真円形状ではなく、楕円形状や方形状を有している場合は、非貫通孔の平均開口径としては、各非貫通孔の長径の平均値を採用することができる。
【0037】
本発明では、非貫通孔は50〜150μmの平均開口径を有しているが、各非貫通孔自体の開口径も50〜150μmであることが重要である。
【0038】
非貫通孔の密度(支持基材表面における密度)としては、50〜200個/cm2であれば特に制限されないが、好ましくは70〜150個/cm2、より好ましくは、80〜120個/cm2である。非貫通孔の密度が、50個/cm2未満であると、粘着テープ又はシートを切断する際の手切れ性が低下し、また切断面の形状が良好でない傾向にあり、一方、200個/cm2を超えると、粘着テープ又はシートの剥離時に、基材が切れる傾向にある。
【0039】
各非貫通孔同士の間隔(隣接した非貫通孔間の間隔)としては、平均開口径や密度が前記範囲であれば特に制限されないが、例えば、50μm〜3mm(好ましくは0.5〜1.5mm)程度であってもよい。なお、隣接した非貫通孔間の間隔としては、非貫通孔の中心部(又は重心部)間の間隔を採用することができる。
【0040】
非貫通孔は、支持基材の表面に、規則的に形成されていてもよく、不規則的に形成されていてもよい。例えば、支持基材が長尺帯状の形状を有している場合、非貫通孔は、横方向(短手方向または幅方向)にも、縦方向(長手方向または長さ方向)にも、一定の間隔で直線状に規則的に形成されていてもよい。具体的には、長尺帯状の支持基材の横方向に直線状に一定の間隔で形成され、且つ、前記横方向に直線状に一定の間隔で形成されている非貫通孔群が、縦方向に一定の間隔で形成されていてもよい。
【0041】
非貫通孔の形状(非貫通孔の開口部における形状)としては、特に制限されず、例えば、円形状(真円形状、楕円形状など)、方形状(正方形状、長方形状等の四角形状の他、各種多角形状など)などいずれの形状であってもよく、また不定形状であってもよい。なお、非貫通孔は、すべて又は部分的に同一の形状を有していてもよく、全てが異なる形状を有していてもよい。
【0042】
なお、各非貫通孔は、支持基材の厚さ方向に対して垂直な面における断面形状(孔の断面形状)が、支持基材の厚さ方向で、一定であってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
各非貫通孔の深さとしては、支持基材の他方の面に到達せず、貫通しない深さ(すなわち、支持基材の厚みに対して100%未満に相当する深さ)であれば特に制限されず、例えば、支持基材の厚みに対して10%以上100%未満(好ましくは30〜90%)に相当する深さであることが望ましい。
【0044】
非貫通孔は、支持基材の両面に形成されていてもよいが、支持基材の一方の面(片面)に形成されていることが好ましい。
【0045】
このように、支持基材は、貫通孔が穿孔されておらず非貫通孔を有しているので、塗料やプライマー等に含まれている各種成分(特に、溶剤)の裏抜けを防止することができる。そのため、剥離した後には、被着体表面に糊残りを生じさせない。しかも、プラスチック製材料によるフィルム又はシートが用いられているので、紙基材などで見られる毛細管現象による見切り性の悪さも解消できる。
【0046】
また、支持基材を構成するプラスチック材料として、前記カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)および前記エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)を用い、且つ支持基材に非貫通孔処理を行うことにより(すなわち、支持基材の構成材料の規定と、非貫通孔処理との組み合わせにより)、粘着テープ又はシートの手切れ性や、被着体の凹凸形状面への追従性等の特性を向上させることが可能となる。
【0047】
支持基材の製造方法は、特に制限されない。支持基材は、通常、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)と、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)と、必要に応じて充填剤等の各種添加剤とを、ドライブレンドし、該混合物をバンバリミキサー、ロール、押出し機等を用いて混練し(この際、必要に応じて加熱することができる)、該混練物を公知乃至慣用の成形方法(例えば、圧縮成形方法、カレンダー成形方法、射出成形方法、押出成形方法等)により、フィルム状又はシート状に成形することにより得られる。支持基材の製造方法としては、カレンダ圧延方法やフラットダイによる押出方法(フラットダイ押出方法)を好適に採用することができる。
【0048】
支持基材における非貫通孔の形成方法としては、特に制限はなく、公知の非貫通孔の形成方法を採用することができる。フィルム状又はシート状の支持基材を形成する際に、又は形成後に、例えば、合成ダイヤモンド等の硬質材料を付着させたロールなどの凸部を有するロールや金型を用いて、非貫通孔を形成する方法などが挙げられる。このような非貫通孔形成方法では、凸部を有するロールや金型を、フィルム状又はシート状の支持基材に接着させる際の圧力を調整することにより、非貫通孔の深さをコントロールすることができる。なお、非貫通孔の形成に際しては、1種のみの形成方法を利用してもよく、2種以上の形成方法を利用してもよい。
【0049】
なお、支持基材の製造方法としては、一般的に、カレンダ圧延方法やフラットダイ押出方法が用いられる。両者の方法(カレンダ圧延方法やフラットダイ押出方法)では、基本的には、支持基材を構成する樹脂組成物中の樹脂成分を溶融点(溶融温度)以上の温度に加熱して、シート形状に変形させて徐々に冷却して成形している。従って、カレンダ圧延方法又はフラットダイ押出方法のどちらの方法にせよ、非貫通孔は、溶融させた樹脂成分を含む樹脂組成物がシート形状に変形させた後から完全に冷却されるまでの間で形成することが望ましい。よって、例えば、カレンダ圧延方法を利用する場合には、カレンダーロールにより剥離させた直後に、硬質材料(合成ダイヤモンド等)を付着させたロールとゴムロールとの間をニップさせて、圧延された支持基材の表面に非貫通孔を形成させることができる。また、例えば、フラットダイ押出方法の場合には、ダイより吐出された直後の冷却ロールとして、硬質材料(合成ダイヤモンド等)を付着させた冷却ロールを用いることによって、前記カレンダ圧延方法を用いた場合と同様に、支持基材の表面に非貫通孔を形成させることができる。
【0050】
このように、一方の面(粘着剤層に対して反対側の面)に非貫通孔を有する支持基材は、従来の支持基材の製造工程で、凸部を有するロールや冷却ロールなどを用いることによって、製造することができ、大きな設備の追加を必要としていない。従って、容易に且つ低コストで、非貫通孔を有する支持基材を製造することができる。
【0051】
支持基材の厚みは、特に制限されず、粘着テープ又はシートの用途によっても異なるが、一般に、10〜300μm(好ましくは20〜200μm)程度である。なお、支持基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層(積層体)の形態を有していてもよい。支持基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理などの各種処理が施されていてもよい。
【0052】
(粘着剤層)
本発明の粘着テープ又はシートは、粘着剤層が、支持基材の少なくとも一方の面に形成されている。なお、例えば、支持基材の片面に粘着層が形成され、且つ支持基材の片面に非貫通孔が形成されている場合、粘着層は、支持基材上の非貫通孔が形成されていない面に形成されていてもよく、支持基材上の非貫通孔が形成されている面に形成されていてもよい。本発明では、粘着層は、支持基材上の非貫通孔が形成されていない面に形成されていることが好ましく、この場合、支持基材の非貫通孔が形成されている面は、例えば、ロール状に巻回した粘着テープの剥離面とすることができる。
【0053】
粘着剤層を構成する粘着剤(感圧接着剤)としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの公知乃至慣用の粘着剤を適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0054】
前記ゴム系粘着剤(天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤など)は、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとしている。前記ベースポリマーとして合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ネオプレン、ポリイソブチレン(PIB)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEBS)、再生ゴムなどが挙げられる。
【0055】
前記アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとしている。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを好適に用いることができる。
【0056】
なお、前記アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体(共重合性単量体)を、単量体成分として用いられていてもよい。このような共重合性単量体としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレンなどのスチレン系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。好ましい共重合性単量体には、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマーが含まれる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0057】
また、共重合性単量体としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーを用いてもよい。
【0058】
なお、粘着剤層を構成する粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。また、粘着剤を調製するための重合方法も特に制限されない。粘着剤には、必要に応じて各種添加剤、例えば、架橋剤、タッキファイヤー、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の各種安定剤、可塑剤、粘着付与剤、帯電防止剤、発泡剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0059】
粘着剤としては、耐熱性および耐候性の観点から、アクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
【0060】
粘着剤層の厚さ(乾燥後の厚み)は、例えば、5〜70μm(好ましくは10〜50μm)程度である。粘着剤層の厚さ(乾燥後)が、5μm未満であると、粘着力が小さく、粘着テープ又はシートの貼り付け時に剥がれることがあり、逆に、70μmを超えると、粘着力が大きくなり、剥離作業性が低下する。なお、粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。
【0061】
粘着剤層は、公知乃至慣用の方法により形成することができる。例えば、粘着剤を、前記支持基材上に塗布する方法、適当な剥離ライナー上に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、これを前記支持基材上に転写(移着)する方法などが挙げられる。粘着剤の塗布に際しては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを利用することができる。なお、支持基材を形成した後、連続して粘着剤の塗布等を行って、粘着剤層を形成してもよく、支持基材の形成工程と粘着剤の塗工工程とを別工程で実施してもよい。
【0062】
なお、粘着剤層は、剥離ライナーにより保護されていてもよい。粘着テープ又はシートを貼着する際に、剥離ライナーを剥がすことができる。また、粘着テープ又はシートは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0063】
粘着テープ又はシートは、例えば、支持基材と、前記支持基材の一方の面(非貫通孔を有していない面)に形成された粘着剤層と、前記支持基材の他方の面(非貫通孔を有する面)に形成された背面処理層とで構成されていると、粘着剤層の表面をシート背面(例えば、背面処理層の面)と重ね合わせて積層させることにより、ロール状に巻回して、粘着剤層を保護することができる。
【0064】
また、剥離ライナーにより保護されている場合であっても、ロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された状態又は形態を有している粘着テープ(ロール状に巻回された粘着テープ)として作製することができ、ロール状に巻回しない場合は、粘着シートとして作製することができる。
【0065】
本発明において、粘着テープ又はシートの初期弾性率は、50〜200MPaであり、好ましくは80〜150MPaである。粘着テープ又はシートの初期弾性率が、50MPa未満であると、マスキング作業がし難くなる(直線性が出ない)傾向があり、一方、200MPaを超えると、表面が粗面な被着体に対する追従性が低下する傾向がある。
【0066】
また、粘着テープ又はシートは、破断時の強度(破断強度)が11N/10mm以上(好ましくは12N/10mm以上)であることが望ましい。粘着テープ又はシートにおける破断強度が11N/10mm未満であると、粘着テープ又はシートを剥離する際に、粘着テープ又はシートが切れやすくなる。なお、粘着テープ又はシートの破断強度の上限としては、特に制限されないが、例えば、25N/10mm程度であってもよい。
【0067】
さらにまた、粘着テープ又はシートは、破断時の伸度(破断伸度)が200%以下(好ましくは150%以下)であることが望ましい。粘着テープ又はシートにおける破断伸度が、200%を超えると手切れ性が低下する。なお、粘着テープ又はシートの破断伸度が100%未満であると剥離時に粘着テープが切れやすくなる傾向があるため、粘着テープ又はシートの破断伸度の下限としては、特に制限されないが、100%程度であってもよい。
【0068】
粘着テープ又はシートにおける、初期弾性率、破断強度や破断伸度は、粘着テープ又はシートの応力−歪み曲線を利用して求めることができる。なお、応力−歪み曲線では、通常、縦軸が応力(N/10mm)であり、横軸が引張伸度(%)である。粘着テープ又はシートの応力−歪み曲線は、引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅10mmの粘着テープを、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定することにより得られる。初期弾性率については、前記応力−歪み曲線において、引張伸度が3〜6%の2点を通る直線の傾きを算出して、該傾きを初期弾性率とする。また、破断強度については、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力を破断強度とする。さらにまた、破断伸度については、破断強度と同様に、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の伸度を破断伸度とする。
【0069】
なお、初期弾性率、破断強度や破断伸度などの算出の際に使用する厚み(基材断面積を求める際の厚み)としては、最も厚い部分の厚み(凸部厚み)を採用することができる。
【0070】
本発明では、粘着テープ又はシートにおける、初期弾性率、破断強度や破断伸度は、例えば、支持基材における、初期弾性率、破断強度や破断伸度をコントロールすることなどにより調整することができる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の粘着テープ又はシートによれば、手切れ性が優れており、また、剥離の際には途中で切れることなく剥離することができ、さらに、被着体への糊残り防止性や、見切り性が優れ、しかも、凹凸形状面への追従性が良好である。
【0072】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(使用材料)
(1)分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A):商品名「ウルトラセン635」[東ソー株式会社製;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA);「樹脂(1)」と称する場合がある]
(2)モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B):商品名「ADFLEX Q200F」[サンアロマー株式会社製;リアクターTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー);ホモポリプロピレン/エチレン・プロピレン共重合体=50/50(重量部);「樹脂(2)」と称する場合がある]
(3)商品名「ハイゼックス2200J」[三井化学株式会社製;高密度ポリエチレン(HDPE);「樹脂(3)」と称する場合がある]
(4)商品名「スミカセンG201」[住友化学株式会社製;低密度ポリエチレン(LDPE);「樹脂(4)」と称する場合がある]
【0073】
(実施例1)
前記樹脂(1):40重量部に対して、前記樹脂(2):60重量部、および無機系フィラー(商品名「TRANSLINK555」Engelhard Corporation社製):50重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、カレンダー成形機を用いてフィルム状(又はシート状)に成形し(成膜し)、一方の面に非貫通孔を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。
【0074】
なお、前記支持基材をカレンダー成形機により成形する際に、成膜直後に、フィルムの下面に、突起形状の彫刻を施したロールでプレスすることにより、一方の面(下面)に、図1に示されるような非貫通孔を形成した。非貫通孔の支持基材表面における開口部の形状は、真円状であり、その平均開口径は、100μmであり、表面における密度は、100個/cm2であり、その深さは、80μmである。また、非貫通孔は、図1に示されるように、カレンダー成形機で長尺帯状に形成された支持基材の長さ方向(縦方向;いわゆる「MD方向」)にも、幅方向(横方向;いわゆる「TD方向」)にも、直線状に、一定の間隔で形成されており、隣接した非貫通孔間の間隔(隣接した非貫通孔の中心部同士の間隔)は、縦方向および横方向ともに、1.0mmである。
【0075】
また、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布して、粘着シートを作製した。すなわち、該粘着シートは、一方の面に非貫通孔を有しており、他方の面にアクリル系粘着剤による粘着剤層を有している。
【0076】
(実施例2)
前記樹脂(1):40重量部に対して、前記樹脂(2):60重量部、および無機系フィラー(商品名「TRANSLINK555」Engelhard Corporation社製):75重量部の割合で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の面に非貫通孔を有する支持基材を作製した。すなわち、該実施例2に係る支持基材の表面に形成された非貫通孔は、実施例1と同様の形状、平均開口径、密度、深さ、隣接した非貫通孔間の間隔などを有しているとともに、実施例1と同様の規則性で形成されている。
【0077】
さらに、実施例1と同様にして、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の非貫通孔を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有している。
【0078】
(比較例1)
樹脂(3):30重量部に対して、前記樹脂(4):70重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、押出し成形機を用いてフィルム状(又はシート状)に押出成形し、この際、押出し成形機により押し出された溶融状態の樹脂を、凹凸形状の彫刻を施したロールに押し当てて、フィルム状にするとともに、該フィルム状の支持基材の一方の面に幅方向に溝を、長さ方向に一定の間隔で形成することにより、一方の面に幅方向に形成された溝を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。なお、前記溝は、図2で示されているような溝形状を有しており、具体的には、その幅は0.2mmであり、深さは0.04mmである。また、長さ方向において、隣接した溝の間隔(隣接した溝の中心部同士の間隔)は、1.0mmである。
【0079】
また、前記支持基材の溝が形成されていない面に、実施例1と同様にしてコロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布して、粘着シートを作製した。すなわち、該粘着シートは、一方の面に溝を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有している。
【0080】
(比較例2)
樹脂(3):30重量部に対して、前記樹脂(4):70重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、カレンダー成形機を用いて、実施例1と同様にして、フィルム状(又はシート状)に成形し(成膜し)、一方の面に非貫通孔を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。なお、該比較例2に係る支持基材の表面に形成された非貫通孔は、実施例1と同様の形状、平均開口径、密度、深さ、隣接した非貫通孔間の間隔などを有しているとともに、実施例1と同様の規則性で形成されている。
【0081】
さらに、実施例1と同様にして、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該比較例2に係る粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の非貫通孔を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有しているが、支持基材を構成する材料が、実施例1に係る支持基材を構成する材料と異なっている。
【0082】
(比較例3)
前記樹脂(1):40重量部に対して、前記樹脂(2):60重量部、および無機系フィラー(商品名「TRANSLINK555」Engelhard Corporation社製):50重量部の割合で、これらをドライブレンドにより混合し、カレンダー成形機を用いてフィルム状(又はシート状)に成形して(成膜して)、厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。すなわち、該比較例3に係る支持基材には、非貫通孔や溝などの凹部は形成されておらず、両面が平面となっている。
【0083】
前記支持基材の片面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該比較例2に係る粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有し、且つ支持基材を構成する材料が、実施例1に係る支持基材を構成する材料と同様であるが、非貫通孔を有していないことが、実施例1に係る支持基材と異なっている。
【0084】
(比較例4)
樹脂(1)を、カレンダー成形機を用いて、実施例1と同様にして、フィルム状(又はシート状)に成形し(成膜し)、一方の面に非貫通孔を有し、且つ厚み(総厚)が0.100mm(最も厚い部分の厚み)である支持基材(テープ基材)を作製した。なお、該比較例4に係る支持基材の表面に形成された非貫通孔は、実施例1と同様の形状、平均開口径、密度、深さ、隣接した非貫通孔間の間隔などを有しているとともに、実施例1と同様の規則性で形成されている。
【0085】
さらに、実施例1と同様にして、前記支持基材の非貫通孔が形成されていない面に、コロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布し粘着剤層(乾燥後の厚み:35μm)を形成して、粘着シートを作製した。すなわち、該比較例4に係る粘着シートは、一方の面に実施例1と同様の非貫通孔を有しており、他方の面に実施例1と同様の粘着剤層を有しているが、支持基材を構成する材料が、実施例1に係る支持基材を構成する材料と異なっている。
【0086】
(評価)
実施例および比較例により得られた粘着シートを、市販のカッターナイフを用いて所定の幅(10mm幅、25mm幅、63mm幅など)の試験片を作製し、下記に示す引張試験、縦剥離試験、引裂試験、追従性試験を行って、引張特性、引裂特性、追従性を評価した。評価結果は、表1に示した。
【0087】
(引張試験)
引張試験機(試験機名称「島津オートグラフ」(株)島津製作所製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅10mmの試験片を、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minの条件で引っ張った際の応力を測定して、応力−歪み曲線[縦軸が応力(N/10mm)であり、横軸が引張伸度(%)である]を求める。なお、初期弾性率については、前記応力−歪み曲線において、引張伸度が3〜6%の2点を通る直線の傾きを算出して、該傾きを初期弾性率とする。また、破断強度については、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の応力を破断強度とする。さらにまた、破断伸度については、破断強度と同様に、前記引張時に、一部より亀裂が生じた時点の伸度を破断伸度とする。
【0088】
(縦剥離試験)
縦剥離強度(縦剥離強さ)は、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅25mmの試験片を、市販のフローリング用板に、長さ300mm貼り付け、さらに、100mmの導き長さを設けて、剥離角度約30°、剥離速度約1000mm/minの条件で剥離して(計3回)、下記に示す評価基準により縦剥離強さを評価した。
(縦剥離強さの評価基準)
○:3回ともすべて途中で切れることなく剥離できた。
△:2回切れることなく剥離できた。
×:1回のみ切れることなく剥離できたか、又は3回とも途中で切れた。
【0089】
(引裂試験)
エレメンドルフ引裂抵抗試験機(テスター産業株式会社製)を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、幅63mmの試験片1枚を、ノッチなしで、引裂抵抗を測定し、引裂性を評価した。
【0090】
さらに、官能試験として、5回の手切れ試験(粘着テープを素手で切断する試験)を行い、下記の評価基準で引裂性(官能試験)を評価した。
(官能試験による引裂性の評価基準)
○:5回ともすべてで容易に素手で切断できる。
△:4回は容易に素手で切断できる。
×:3回以下しか、素手では容易に切断できない。
【0091】
(追従性試験)
表面にエンボス加工により凹凸部が形成されている建築用養生シート4(市販品の建築用養生シート)を、図3に示されるように、L字形状部を有するブロック3のL字形状部に当てて静置させた後、該建築用養生シート4の表面(凹凸部を有する表面)に、幅63mmの試験片(粘着シート)5を、L字形状に折り曲げた形態となるように貼り付け、0℃の環境下、7日間放置した後、試験片5の剥離状態(浮き)を目視で確認し、下記の評価基準で追従性(官能試験)を評価した。
(官能試験による追従性の評価基準)
○:L字形状に折り曲げられて貼り付けられている試験片(粘着シート)において、鉛直方向の部分は全く浮いておらず、建築用養生シートの表面に貼着されている。
△:L字形状に折り曲げられて貼り付けられている試験片(粘着シート)において、鉛直方向の部分の端部で部分的に浮きが生じている。
×:L字形状に折り曲げられて貼り付けられている試験片(粘着シート)において、鉛直方向の部分は全体的に浮いており、建築用養生シートの表面に貼着されていない。
【0092】
【表1】
【0093】
表1より、実施例1及び2に係る粘着シートは、手切れ性が良好であり、また、剥離の際には途中で切れることなく容易に剥離することができることが確認された。さらにまた、凹凸形状面への追従性も良好であることが確認された。
【0094】
また、縦剥離試験で剥離後に、被着体である市販のフローリング用板の表面を目視で観察したところ、糊残りは生じておらず、被着体への糊残り防止性も優れていることが確認された。
【0095】
しかも、支持基材が、プラスチック製フィルムにより形成されているので、見切り性がよいことは明らかである。
【0096】
一方、比較例1では、粘着シートの初期弾性率が200MPaを超えているため、被着体への追従性が非常に悪くなっている。
【0097】
比較例2では、粘着シートの初期弾性率が200MPaを超えており、被着体への追従性が悪くなっている。また、手切れ性が低くなっている。
【0098】
比較例3では、支持基材の表面に非貫通孔が形成されておらず、その結果、手切れ性が非常に悪くなっている。
【0099】
比較例4では、支持基材は、エチレン−プロピレン系ポリマーアロイ(B)を含んでおらず、カルボニル基含有熱可塑性樹脂(A)のみにより構成されているため、縦剥離強度が低く、剥離の際には途中で切れてしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製された支持基材(テープ基材)の表面の状態を示す概略平面図である。
【図2】比較例1で作製された支持基材(テープ基材)の表面の状態を示す概略平面図である。
【図3】追従性試験で、粘着シートを貼着させる際の状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1a 支持基材
2a 非貫通孔
1b 支持基材
2b 溝
3 ブロック
4 建築用養生シート
5 試験片(粘着シート)
Claims (5)
- 平均開口径が50〜150μmの非貫通孔を50〜200個/cm2の割合で有する支持基材と、該支持基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを有する粘着テープ又はシートであって、前記支持基材が、分子中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(A)と、モノマー成分としてエチレンおよびプロピレンを含み且つ多段重合によるポリマーアロイ(B)とにより構成され、且つ初期弾性率が50〜200MPaであることを特徴とする粘着テープ又はシート。
- 破断時の強度が11N/10mm以上であり、且つ破断時の伸度が200%以下である請求項1記載の粘着テープ又はシート。
- 非貫通孔が支持基材の一方の面に形成されており、支持基材の非貫通孔が形成されていない面に粘着剤層が形成されている請求項1又は2記載の粘着テープ又はシート。
- 熱可塑性樹脂(A)が、分子中にカルボニル性の酸素原子を有するポリオレフィン系樹脂である請求項1〜3の何れかの項に記載の粘着テープ又はシート。
- ポリマーアロイ(B)が、ハードセグメント及びソフトセグメントのうちいずれか一方を重合した後、さらに、前記重合により得られたハードセグメント又はソフトセグメントの存在下、他方を重合する多段重合により得られるポリマーアロイである請求項1〜4の何れかの項に記載の粘着テープ又はシート。
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