JP2016186843A - 封止用シート、その製造方法および評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラミネートする際にはカバーフィルムが簡単に剥がれ、且つ打抜きの際にはカバーフィルムが剥がれにくい封止用シートを提供すること。
【解決手段】支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムがこの順序で積層された封止用シートであって、樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度が2.0N/25mm以下であり、且つ樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の30度ピール強度が0.7N/25mm以上である封止用シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、封止用シート、その製造方法および評価方法に関する。
有機EL素子は発光材料に有機物質を使用した発光素子であり、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため近年脚光を浴びている。しかしながら、有機EL素子は水分に極めて弱く、発光材料(発光層)が水分によって変質して、輝度が低下したり、発光しなくなったり、電極と発光層との界面が水分の影響で剥離したり、金属が酸化して高抵抗化してしまったりする問題がある。このため、素子内部を外気中の水分から遮断するために、例えば、基板上に形成された発光層の全面を覆うように樹脂組成物による封止層を形成して有機EL素子を封止することが行われる。
有機EL素子の封止方法としては、例えば、支持体上に樹脂組成物層を形成した封止用シートを有機EL素子基板にラミネートする方法が挙げられる(例えば、特許文献1)。ラミネートの前まで樹脂組成物層は、通常、カバーフィルムで覆われ、保護されている。カバーフィルムは、封止用シートのラミネートの前までは樹脂組成物層から剥がれないこと、およびラミネートする際には簡単に剥がれることが求められる。カバーフィルムの剥離性を評価するために、従来は一般的に、樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度が測定されていた(例えば、特許文献2)。
国際公開2014/103802号 特開2014−151573号公報
封止用シートは、封止する対象(有機EL素子等)に合わせて、所定の形状および大きさに切断してから用いられることがある。例えば、大きな面積を有する封止用シートに切断する場合は、切断箇所において樹脂組成物層からカバーフィルムの微小な剥がれが生じても問題はない。しかし、特許文献1の段落[0114]および[0115]に記載されているように、封止用シートを所定の形状(特に、複雑な形状)に打ち抜く場合、切断箇所においてカバーフィルムの剥がれが生ずると、その剥がれが原因となって、その後の工程中にカバーフィルムが脱落する等の問題が生じ得る。なお、特許文献1に記載の「接着剤層」および「封止部材」は、それぞれ、本明細書に記載の「樹脂組成物層」および「支持体」に該当する。また、特許文献1には、本明細書に記載の「カバーフィルム」について記載されていない。また、本明細書に記載の「封止部材」とは、支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムがこの順序で積層された封止用シートを打ち抜いて製造されるもの(即ち、打ち抜かれた封止用シート)を意味する。
本発明の目的は、ラミネートする際にはカバーフィルムが簡単に剥がれ、且つ打抜きの際にはカバーフィルムが剥がれにくい封止用シート(即ち、カバーフィルムの離型性および密着性が両立した封止用シート)を提供することにある。
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、従来の180度ピール強度のみの測定では、ラミネート前のカバーフィルムの剥がれやすさ(即ち、離型性)を評価できるが、打抜きの際のカバーフィルムの剥がれ難さ(即ち、密着性)を適切に評価できないことを見出した。この知見に基づき、樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度だけでなく、その30度ピール強度も適切に調整することによって、カバーフィルムの離型性および密着性が両立した封止用シートを得ることができる。これらの知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1] 支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムがこの順序で積層された封止用シートであって、
樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度が2.0N/25mm以下であり、且つ樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の30度ピール強度が0.7N/25mm以上である封止用シート。
[2] 打ち抜きによって封止部材を製造するために用いられる前記[1]に記載の封止用シート。
[3] 打ち抜きによって有機EL素子用の封止部材を製造するために用いられる前記[1]に記載の封止用シート。
[4] 支持体に樹脂組成物ワニスを塗布および乾燥して、樹脂組成物層を形成し、得られた樹脂組成物層にカバーフィルムを積層することを含む、封止用シートの製造方法であって、
樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度が2.0N/25mm以下となり、且つ樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の30度ピール強度が0.7N/25mm以上となるように封止用シートを製造する方法。
[5] 支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムがこの順序で積層された封止用シートを評価する方法であって、
樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度および30度ピール強度を測定し、前記180度ピール強度が2.0N/25mm以下であり、前記30度ピール強度が0.7N/25mm以上である封止用シートを良品と評価する方法。
本発明によれば、離型性および密着性を両立した封止用シートが得られる。また、本発明の評価方法によれば、封止用シートが、離型性および密着性を両立した良品であるか否かを適切に評価することができる。
(1)ピール強度
本発明は、支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムを有する封止用シートを提供する。本発明の封止用シートは、樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度(以下「180度ピール強度」と略称することがある。)が2.0N/25mm以下であり、且つ樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の30度ピール強度(以下「30度ピール強度」と略称することがある。)が0.7N/25mm以上であることを特徴とする。180度ピール強度および30度ピール強度は、後述の実施例で記載するように、剥離速度300mm/minおよび剥離角度180°または30°の条件で樹脂組成物層からカバーフィルムを剥離して測定される。
本発明において180度ピール強度は、ラミネートの際のカバーフィルムの剥がれやすさ(即ち、離型性)の指標である。180度ピール強度は、離型性の観点から、2.0N/25mm以下であることが必要であり、1.5N/25mm以下が好ましく、1.2N/25mm以下がより好ましい。180度ピール強度の下限に特に限定はないが、180度ピール強度は、例えば0.01N/25mm以上、好ましくは0.05N/25mm以上である。
本発明において30度ピール強度は、打抜きの際のカバーフィルムの剥がれ難さ(即ち、密着性)の指標である。30度ピール強度は、密着性の観点から、0.7N/25mm以上であることが必要であり、0.8N/25mm以上が好ましく、0.9N/25mm以上がより好ましい。30度ピール強度の上限に特に限定はないが、30度ピール強度は、例えば8.0N/25mm以下、好ましくは5.0N/25mm以下である。
従来、カバーフィルムの特性評価のために、180度ピール強度が測定されていた。この180度ピール強度が大きければ、打抜きの際の剥がれも抑制できるように思われる。しかし、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、同じ180度ピール強度を有する封止用シートであっても、30度ピール強度が低いと、打抜きの際にカバーフィルムの剥がれが発生することを見出した(後述の実施例参照)。このような知見に基づき、本発明の封止用シートは、180度ピール強度だけでなく、30度ピール強度も適切に調整されていることを特徴とする。
本発明は、封止用シートだけでなく、封止用シートの評価方法も提供する。本発明の評価方法は、180度ピール強度および30度ピール強度を測定し、180度ピール強度が2.0N/25mm以下であり、且つ30度ピール強度が0.7N/25mm以上である封止用シートを良品と評価することを特徴とする。該評価方法において、180度ピール強度および30度ピール強度の好ましい値および例示は、前記と同じである。
(2)支持体
封止用シートの支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。支持体は、好ましくは、PETフィルム、PENフィルムまたはCOPフィルムであり、より好ましくはPETフィルムである。
封止用シートの防湿性を向上させるために、バリア層を有するプラスチックフィルムを支持体として用いてもよい。このバリア層としては、例えば、窒化ケイ素等の窒化物、酸化アルミニウム等の酸化物、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属等が挙げられる。このプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等のフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。バリア層を有するプラスチックフィルムは市販品を使用してもよい。アルミ箔付きポリエチレンテレフタレートフィルムの市販品としては、例えば、東海東洋アルミ販売社製「アルペット1N30」、福田金属社製「アルペット3025」等が挙げられる。
支持体には、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理、マット処理、コロナ処理等が施されていてもよい。支持体の厚さは、特に限定されないが、取扱い性等の観点から、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜125μmである。
(3)カバーフィルム
封止用シートのカバーフィルムとしては、支持体と同様のプラスチックフィルムが挙げられる。カバーフィルムは、好ましくは、PETフィルム、PENフィルムまたはCOPフィルムであり、より好ましくはPETフィルムである。カバーフィルムの厚さは、取り扱い性等の観点から、好ましくは20〜200μm、より好ましくは2〜125μmである。
カバーフィルムには、非シリコーン系離型剤(例えば、オレフィン系離型剤、アルキッド系離型剤、フッ素樹脂系離型剤)またはシリコーン樹脂系離型剤による離型処理、マット処理、コロナ処理等が施されていてもよい。前記処理の中で、離型処理が好ましい。前記離型剤の中で、非シリコーン系離型剤が好ましく、オレフィン系離型材およびアルキッド系離型剤がより好ましい。離型剤層の厚さは、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmである。
(4)樹脂組成物層
樹脂組成物層に特に限定は無く、従来公知の樹脂組成物を使用して樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂組成物は、好ましくは、(A)エポキシ樹脂、(B)焼成ハイドロタルサイト、(C)タルクおよび(D)ナノシリカを含有する。各成分の含有量は、エポキシ樹脂80重量部に対し、好ましくは、焼成ハイドロタルサイトが3〜38重量部、タルクが1〜16重量部およびナノシリカが1〜16重量部である。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、反応性等の観点から、好ましくは50〜5,000、より好ましくは50〜3,000、より一層好ましくは80〜2,000、さらに好ましくは100〜1,000、さらに一層好ましくは120〜1,000、特に好ましくは140〜300である。なお、「エポキシ当量」とは1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq)であり、JIS K 7236に規定された方法に従って測定される。また、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルアニリン等)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、およびアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物および水素添加物等が挙げられる。かかるエポキシ樹脂はいずれか1種を使用するか2種以上を混合して用いることができる。
エポキシ樹脂は、透過率が80%以上のものが好ましく、透過率が85%以上のものがより好ましく、透過率が90%以上のものが特に好ましい。かかる好適なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等を挙げることができる。ここで透過率とは、全光線透過率を指し、材料を通して明るさがどの程度伝わるかを調べる目的で測定される反射や散乱を考慮した光線透過率である。入射光に可視光線や紫外線を利用し、透過した光を積分球で集める方法で、透過率は測定される。
エポキシ樹脂は、液状であっても、固形状であってもよく、液状エポキシ樹脂および固形状エポキシ樹脂の両方を用いてもよい。ここで、「液状」および「固形状」とは、常温(25℃)でのエポキシ樹脂の状態である。塗工性、加工性、接着性の観点から、使用するエポキシ樹脂全体の少なくとも10重量%以上が液状であることが好ましい。
樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物(固形分)全体あたり、20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがより好ましく、50〜65重量%であることがさらにより好ましい。
(B)焼成ハイドロタルサイト
焼成ハイドロタルサイトは市販品を使用することができる。ここで焼成ハイドロタルサイトとは、天然ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・4HO)および/または合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)を焼成したものである。合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)としては、例えば、下記式(i)で表される複水酸化物、下記式(ii)で表される複水酸化物等が挙げられる。
[M2+ 1−x3+ (OH)x+・[(An−x/n・mHO]x− (i)
(式中、M2+はMg2+、Zn2+などの2価の金属イオンを表し、M3+はAl3+、Fe3+などの3価の金属イオンを表し、An−はCO 2−、Cl、NO などのn価のアニオンを表し、0<x<1であり、0≦m<1であり、nは正の数である。)
2+ Al(OH)2x+6−nz(An−・mHO (ii)
(式中、M2+はMg2+、Zn2+などの2価の金属イオンを表し、An−はCO 2−、Cl、NO などのn価のアニオンを示し、xは2以上の正の数であり、zは2以下の正の数であり、mは正の数であり、nは正の数である。)
即ち、「焼成ハイドロタルサイト」は、天然ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・4HO)および/または合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)を焼成して、層間のアニオンと水分子を気化させて得られる、複合酸化物であり、好適には、400〜900℃、より好ましくは、500〜700℃で、30分〜5時間、より好ましくは30分〜3時間、さらに好ましくは45分〜2時間焼成して得られる複合酸化物が挙げられる。
好ましい焼成ハイドロタルサイトは、上記式(ii)の複水酸化物等のMg−Al系ハイドロタルサイト様化合物を焼成して得られるMg−Al系複合酸化物であり、該Mg−Al系複合酸化物は、MgとAlの組成比をMg:Al=x:2とした場合のxが2≦x≦6である組成比の複合酸化物がより好ましく、該xが3≦x≦6である組成比の複合酸化物がさらに好ましく、該xが4≦x≦6である組成比の複合酸化物が特に好ましい。
焼成ハイドロタルサイトは、所定の粒度に調整された粉体であり、焼成ハイドロタルサイトの平均粒径は0.01〜1μmが好ましく、0.02〜0.8μmがより好ましい。なお、焼成ハイドロタルサイトの粒度調整は、焼成前のハイドロタルサイトを粉砕、分級するか、ハイドロタルサイトの焼成体(焼成ハイドロタルサイト)を粉砕、分級するか、或いは、これら両者を組み合わせてもよい。なお、ここでいう、焼成ハイドロタルサイトの平均粒径は、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−1200EX11」)により粒子を直接観察して測定される粒径(定方向接線径)の平均値(サンプル数50の個数平均)である。
焼成ハイドロタルサイトは焼成によって多孔化するため、樹脂組成物内に入射した光は焼成ハイドロタルサイトの存在によってその散乱性が高くなり、透過性向上により有利に作用する。
また、焼成ハイドロタルサイトは、充分な吸湿能力を発揮させ、凝集を防ぐ観点から、BET比表面積が5〜200m/gであることが好ましく、10〜150m/gであることがより好ましい。
BET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(Macsorb HM Model-1210 マウンテック製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
樹脂組成物中の焼成ハイドロタルサイトの含有量は、エポキシ樹脂80重量部に対して、好ましくは3〜38重量部であり、耐透湿性、透過性の観点から、より好ましく5〜35重量部であり、さらに好ましくは10〜35重量部である。なお、焼成ハイドロタルサイトの含有量は樹脂組成物(固形分)全体あたり、2〜24重量%であることが好ましく、5〜23重量%であることがより好ましい。
(C)タルク
タルクは樹脂組成物の接着強度向上に寄与し、少量の配合によって、樹脂組成物の接着強度を大きく向上させることができる。タルクの平均粒径は接着強度、透過率の観点から、0.5〜2μmが好ましく、0.8〜1.5μmがより好ましい。
タルクの平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
樹脂組成物中のタルクの含有量は、エポキシ樹脂80重量部に対して、好ましくは1〜16重量部であり、樹脂組成物の接着強度および透過率を高いレベルに維持する観点からは、より好ましくは1〜10重量部であり、さらに好ましくは2〜8重量部である。なお、タルクの含有量は樹脂組成物(固形分)全体あたり、0.5〜12重量%が好ましく、1.0〜11重量%であることがより好ましい。
(D)ナノシリカ
ナノシリカは樹脂組成物の耐透湿性および透過率の向上に寄与し、少量の配合によって、樹脂組成物の接着強度を低下させることなく、耐透湿性および透過率を向上させることができる。ナノシリカは一次粒子の粒径がナノオーダー(1〜100nm)のシリカであり、一次粒子の粒経が50nm以下であるものが好ましく、10〜20nmのものがより好ましく、10〜15nmのものがより好ましい。なお、ここでいう粒径はBET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準拠)からの換算値である。
ナノシリカは、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ(水分散型、有機溶剤分散型、気相シリカ等)等のいずれも使用可能できるが、沈殿、沈降しにくく、樹脂との複合化がしやすいという観点から、コロイダルシリカが好ましく、有機溶剤分散型コロイダルシリカ(オルガノシリカゾル)が特に好ましい。具体的には、球状のコロイダルシリカとして、日産化学工業社製のスノーテックス−C、スノーテックス−O、スノーテックス−N、スノーテックス−S、スノーテックス−OL、スノーテックス−XS、スノーテックス−XL、MP1040等があり、有機溶剤に分散させたオルガノシリカゾルとして、IPA−ST、MEK−ST、IPA−ST−ZL等の一般グレードの他、MEK−EC、MEK−AC、PGM−AC等の表面改質グレードがある。鎖状のコロイダルシリカとして、日産化学工業社製のスノーテックス−UP、スノーテックス−OUP等があり、オルガノシリカゾルとして、IPA−ST−UP等がある。気相シリカとしては、日本アエロジル社製のアエロジル130、アエロジル200、アエロジル200CF、アエロジル300、アエロジル300CF、アエロジル380、アエロジルMOX80等がある。
樹脂組成物中のナノシリカの含有量は、エポキシ樹脂80重量部に対して、好ましくは1〜16重量部であり、樹脂組成物の接着強度および透過率を高いレベルに維持する観点からは、より好ましくは1〜14重量部、さらに好ましくは5〜12重量部である。なお、ナノシリカの含有量は樹脂組成物(固形分)全体あたり、0.5〜10重量%であることが好ましく、1.0〜9重量%であることがより好ましい。
(E)熱可塑性樹脂
樹脂組成物には、硬化した樹脂組成物層(封止層)への可撓性の付与、封止用シートを調製する際の樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、熱可塑性樹脂を含有させることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物(固形分)全体あたり1〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
熱可塑性樹脂は、硬化した樹脂組成物層(封止層)への可撓性の付与、封止用シートを調製する際の樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、重量平均分子量が15,000以上であることが好ましく、20,000以上がより好ましい。しかし、重量平均分子量が大きすぎると、エポキシ樹脂との相溶性が低下する等の傾向があることから、重量平均分子量は1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下がより好ましい。なお、本発明における「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
熱可塑性樹脂は、透過率が80%以上のものが好ましく、透過率が90%以上のものがより好ましい。熱可塑性樹脂は、上述した例示物の中でも、フェノキシ樹脂が特に好ましい。フェノキシ樹脂はエポキシ樹脂との相溶性が良く、樹脂組成物の透過性、耐透湿性に有利に作用する。
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格等から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。フェノキシ樹脂は1種または2種以上を使用できる。フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学社製YL7213B35(ビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂)、1256(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、YX6954BH35(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)等を好適に使用することができる。
(F)カップリング剤
樹脂組成物には、樹脂組成物の接着強度向上の観点から、カップリング剤を含有させることができる。かかるカップリング剤としては、例えば、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。中でも、シランカップリング剤が好ましい。カップリング剤は1種または2種以上を使用することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11−メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p−スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらの中でも、エポキシ系シランカップリング剤が特に好適である。
カップリング剤を使用する場合、樹脂組成物中のカップリング剤の含有量は、樹脂組成物(固形分)全体あたり、0.5〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。カップリング剤の含有量がこの範囲外である場合、カップリング剤添加による密着性の改善効果を得ることができない。
(G)硬化剤
エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物は、通常、エポキシ樹脂の硬化剤を含有する。硬化剤はエポキシ樹脂を硬化する機能を有するものであれば特に限定されないが、樹脂組成物の硬化処理時における有機EL素子等の発光素子の熱劣化を抑制する観点から、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下でエポキシ樹脂を硬化し得るものが好ましい。
硬化剤として、例えば、一級アミン、二級アミン、三級アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等が挙げられる。中でも、速硬化性の点から、アミンアダクト系化合物(アミキュアPN−23、アミキュアMY−24、アミキュアPN−D、アミキュアMY−D、アミキュアPN−H、アミキュアMY−H、アミキュアPN−31、アミキュアPN−40、アミキュアPN−40J等(いずれも味の素ファインテクノ社製))、有機酸ジヒドラジド(アミキュアVDH−J、アミキュアUDH、アミキュアLDH等(いずれも味の素ファインテクノ社製))等が好ましい。
また、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度でエポキシ樹脂を硬化し得るイオン液体、即ち、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度領域で融解しうる塩であって、エポキシ樹脂の硬化作用を有する塩も、硬化剤として特に好適に使用することができる。該イオン液体は、エポキシ樹脂に均一に溶解している状態で使用されるのが望ましい。また、イオン液体は、熱可塑性樹脂組成物の硬化物の耐透湿性向上に有利に作用する。
かかるイオン液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピラゾニウムイオン、グアニジニウムイオン、ピリジニウムイオン等のアンモニウム系カチオン;テトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルヘキシルホスホニウムイオン等)等のホスホニウム系カチオン;トリエチルスルホニウムイオン等のスルホニウム系カチオン等が挙げられる。
また、かかるイオン液体を構成するアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物系アニオン;メタンスルホン酸イオン等のアルキル硫酸系アニオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の含フッ素化合物系アニオン;フェノールイオン、2−メトキシフェノールイオン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールイオン等のフェノール系アニオン;アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等の酸性アミノ酸イオン;グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等の中性アミノ酸イオン;N−ベンゾイルアラニンイオン、N−アセチルフェニルアラニンイオン、N−アセチルグリシンイオン等の下記式(1)で示されるN−アシルアミノ酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、デカン酸イオン、2−ピロリドン−5−カルボン酸イオン、α−リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N−メチル馬尿酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸系アニオンが挙げられる。
(式中、Rは炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、或いは、置換または無置換のフェニル基であり、Xはアミノ酸の側鎖を表す。アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラニンなどが挙げられる。)
上述の中でも、カチオンは、アンモニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオンが好ましく、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンがより好ましい。イミダゾリウムイオンは、より詳細には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムイオン等である。
また、アニオンは、フェノール系アニオン、式(1)で示されるN−アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンが好ましく、N−アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンがより好ましい。
フェノール系アニオンの具体例としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールイオンが挙げられる。また、カルボン酸系アニオンの具体例としては、酢酸イオン、デカン酸イオン、2−ピロリドン−5−カルボン酸イオン、ギ酸イオン、α−リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N−メチル馬尿酸イオン等が挙げられ、中でも、酢酸イオン、2−ピロリドン−5−カルボン酸イオン、ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N−メチル馬尿酸イオンが好ましく、酢酸イオン、N−メチル馬尿酸イオン、ギ酸イオンが殊更好ましい。また、式(1)で示されるN−アシルアミノ酸イオンの具体例としては、N−ベンゾイルアラニンイオン、N−アセチルフェニルアラニンイオン、アスパラギン酸イオン、グリシンイオン、N−アセチルグリシンイオン等が挙げられ、中でも、N−ベンゾイルアラニンイオン、N−アセチルフェニルアラニンイオン、N−アセチルグリシンイオンが好ましく、N−アセチルグリシンイオンが殊更好ましい。
具体的なイオン液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムラクテート、テトラブチルホスホニウム−2−ピロリドン−5−カルボキシレート、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルホスホニウムα−リポエート、ギ酸テトラブチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウムラクテート、酒石酸ビス(テトラブチルホスホニウム)塩、馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、N−メチル馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゾイル−DL−アラニンテトラブチルホスホニウム塩、N−アセチルフェニルアラニンテトラブチルホスホニウム塩、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールテトラブチルホスホニウム塩、L−アスパラギン酸モノテトラブチルホスホニウム塩、グリシンテトラブチルホスホニウム塩、N−アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムラクテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−メチル馬尿酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、酒石酸ビス(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)塩、N−アセチルグリシン1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩が好ましく、N−アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−メチル馬尿酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩が殊更好ましい。
上記イオン液体の合成法としては、アルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、アルキルアンモニウムおよびアルキルスルホニウムイオン等のカチオン部位と、ハロゲンを含むアニオン部位から構成される前駆体に、NaBF、NaPF、CFSONaやLiN(SOCF等を反応させるアニオン交換法、アミン系物質と酸エステルとを反応させてアルキル基を導入しつつ、有機酸残基が対アニオンになるような酸エステル法、およびアミン類を有機酸で中和して塩を得る中和法等があるが、これらに限定されない。アニオンとカチオンと溶媒による中和法では、アニオンとカチオンとを等量使用し、得られた反応液中の溶媒を留去して、そのまま用いることも可能であるし、さらに有機溶媒(メタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等)を差し液濃縮しても構わない。
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の総量(固形分)に対し、0.1〜50重量%であることが好ましい。該含有量が0.1重量%よりも少ないと、充分な硬化性が得られないおそれがあり、50重量%より多いと、樹脂組成物の保存安定性が損なわれることがある。なお、イオン液体を使用する場合、その量は、樹脂組成物の硬化物の耐透湿性等の観点から、エポキシ樹脂の総量(固形分)に対し0.1〜10重量%が好ましい。
硬化剤としてイオン液体を使用する場合、イオン液体とともに分子内にチオール基を2個以上有するポリチオール化合物を樹脂組成物に含有させてもよい。分子内にチオール基を2個以上有するポリチオール化合物を含有させることで硬化速度を速めることができる。分子内にチオール基を2個以上有するポリチオール化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等のポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物が挙げられる。かかるチオール化合物は、製造上塩基性物質の使用を必要としない、分子内にチオール基を2個以上有するチオール化合物である。
また、分子内にチオール基を2個以上有するポリチオール化合物としては、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等のアルキルポリチオール化合物;末端チオール基含有ポリエーテル;末端チオール基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物;ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等を挙げることができる。なお、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物や、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等で、その製造工程上、反応触媒として塩基性物質を使用するものにあっては、脱アルカリ処理を行い、アルカリ金属イオン濃度を50ppm以下としたものを使用するのが好ましい。かかる脱アルカリ処理の方法としては、例えば処理を行うポリチオール化合物をアセトン、メタノールなどの有機溶媒に溶解し、希塩酸、希硫酸等の酸を加えることにより中和した後、抽出・洗浄等により脱塩する方法やイオン交換樹脂を用いて吸着する方法、蒸留により精製する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
かかるポリチオール化合物を使用する場合、ポリチオール化合物の配合量/SH当量とエポキシ樹脂の配合量/エポキシ当量の比(即ち、「(ポリチオール化合物の配合量/SH当量)/(エポキシ樹脂の配合量/エポキシ当量)」)が0.2〜1.2となるように、エポキシ樹脂とポリチオール化合物を混合することが好ましい。この比が0.2よりも小さいと、充分な速硬化性が得られない場合があり、他方、1.2より多いと、耐熱性などの硬化物の物性が損なわれる場合がある。接着性が安定するという観点から、この比は0.5〜1.0であることがより好ましい。ここで「SH当量」とは「ポリチオール化合物の分子量/SH基の数」を意味する。
(H)硬化促進剤
エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物は、硬化時間の調整等のために、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物(例えば、エポキシ樹脂に3級アミンを付加させて反応を途中で止めているエポキシアダクト化合物等)、3級アミン化合物などが挙げられる。有機ホスフィン化合物の具体例としては、TPP、TPP−K、TPP−S、TPTP−S(北興化学工業社の商品名)などが挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、キュアゾール2MZ、2E4MZ、C11Z、C11Z−CN、C11Z−CNS、C11Z−A、2MZOK、2MA−OK、2PHZ(四国化成工業社の商品名)などが挙げられる。アミンアダクト化合物の具体例としては、フジキュア(富士化成工業社の商品名)などが挙げられる。3級アミン化合物の具体例としては、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBUの2−エチルヘキサン酸塩、オクチル酸塩などのDBU−有機酸塩、U−3512T(サンアプロ社製)等の芳香族ジメチルウレア、U−3503N(サンアプロ社製)等の脂肪族ジメチルウレアなどが挙げられる。中でも防湿性の点からウレア化合物が好ましく、芳香族ジメチルウレアが特に好ましく用いられる。樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中のエポキシ樹脂の総量を100重量%(固形分)とした場合、好ましくは0.05〜5重量%である。0.05重量%未満であると、硬化が遅くなり熱硬化時間が長く必要となる傾向にあり、5重量%を超えると樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向となる。
(I)無機充填材
樹脂組成物には、樹脂組成物の耐透湿性、封止用シートを調製する際の樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、ハイドロタルサイト、タルクおよびナノシリカ以外の無機充填材をさらに含有させることができる。そのような無機充填材としては、例えば、アルミナ、硫酸バリウム、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。無機充填材は1種または2種以上を使用できる。無機充填材の含有量は、樹脂組成物(固形分)全体あたり、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。
(J)ゴム粒子
樹脂組成物には、硬化した樹脂組成物層(封止層)の機械強度の向上や応力緩和等の目的からゴム粒子を含有させてもよい。該ゴム粒子は、樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶せず、樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在するものが好ましい。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製することができ、具体的には、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子等が挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(以上、ガンツ化成社製)、メタブレンKW−4426(三菱レイヨン社製)、F351(日本ゼオン社製)等が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(JSR社製)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(JSR社製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A、W450A(以上、三菱レイヨン社製)を挙げることができる。
ゴム粒子の平均粒子径は0.005〜1μmが好ましく、0.2〜0.6μmがより好ましい。かかるゴム粒子の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することが出来る。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA−1000(大塚電子社製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を重量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定される。
ゴム粒子を使用する場合、樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、樹脂組成物(固形分)全体あたり、0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。0.1重量%よりも少ないとゴム粒子を配合することの効果が充分に得られず、20重量%より多いと、耐熱性、耐透湿性が低下する場合がある。
(K)添加剤
樹脂組成物は、上述した成分以外の各種添加剤を任意で配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素樹脂パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤またはレベリング剤、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤等を挙げることができる。
樹脂組成物は、上述の成分を、必要により有機溶剤等を加えて、混練ローラーや回転ミキサーなどを用いて混合することで調製される。
(5)封止用シートの製造方法
本発明は、支持体に樹脂組成物ワニスを塗布および乾燥して、樹脂組成物層を形成し、得られた樹脂組成物層にカバーフィルムを積層することを含む、封止用シートの製造方法も提供する。本発明の製造方法は、180度ピール強度が2.0N/25mm以下となり、且つ30度ピール強度が0.7N/25mm以上となるように封止用シートを製造することを特徴とする。該製造方法において、180度ピール強度および30度ピール強度の好ましい値および例示は、前記と同じである。
樹脂組成物ワニスは、上述の樹脂組成物の成分と有機溶剤とを、混練ローラーや回転ミキサーなどを用いて混合することで調製される。樹脂組成物ワニスの固形分は、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%である。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ等のセロソルブ類、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。かかる有機溶剤はいずれか1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
公知の機器を用いた加熱(熱風吹きつけ等)または減圧処理によって、支持体上に塗布した樹脂組成物ワニスから有機溶媒を除去することで、樹脂組成物層が形成される。乾燥後の樹脂組成物層の厚さは、好ましくは3〜200μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜50μmである。
次に、公知の機器を使用して、得られた樹脂組成物層にカバーフィルムを積層することによって、封止用シートが製造される。積層に使用する機器としては、例えば、ロールラミネーター、プレス機、真空加圧式ラミネーター等が挙げられる。これらの中でロールラミネーターが好ましい。
ロールラミネーターを使用する場合、そのロール速度は、好ましくは0.05〜100m/分、より好ましくは0.1〜50m/分である。ロールラミネーターのロール圧は、好ましくは0〜1.0MPa、より好ましくは0〜0.8MPaである。ここでロール圧とは、エアシリンジによる加圧力を意味し、ゲージ圧(元圧)として表示される。また、ロール圧が0であるとは、加圧力が0を意味する。ロール圧が0である場合、ロールラミネーターによる積層後に、後述するプレス機で封止用シート(即ち、支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルム)をプレスすることが好ましい。
ロールラミネーターのロール温度は、好ましくは23〜180℃、より好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは60〜120℃である。ここでロール温度とは、ロールにヒーターを内蔵し、デジタル制御したロール表面の温度を意味し、表面接触型K熱電対によって測定することができる。
積層のために、市販のロールラミネーターを使用することができる。市販のロールラミネーターとしては、例えば、フジプラ社製「LPD2325」、大成ラミネーター社製「ロールラミネーターVA770H」、「ロールラミネーターVA700」、「ロールラミネーターVAII−700」、伯東社製「Mach630up」などが挙げられる。ロールラミネーターのロールの材質としては、例えば、ステンレス鋼、ゴムなどが挙げられ、ゴムが好ましい。
プレス機を使用する場合、そのプレス圧は、好ましくは0.01〜1.0MPa、より好ましくは0.01〜0.5MPaである。ここでプレス機のプレス圧とは、真空油圧シリンダーや荷重によって制御された被プレス体にかかる圧力(即ち、封止用シート表面にかかる圧力)を意味する。
プレス機のプレス温度は、好ましくは23〜180℃、より好ましくは40〜150℃であり、そのプレス時間は、好ましくは5〜450秒、より好ましくは10〜300秒である。ここでプレス機のプレス温度は、プレス機のプレス部分(例えば、金属板等の平板)表面にカートリッジヒーターを内蔵し、デジタル制御したプレス部分表面の温度を意味し、表面接触型K熱電対によって測定することができる。
積層のために、市販のプレス機を使用することができる。市販のプレス機としては、例えば、モートン社製「バッチ式真空加圧ラミネーターCVP−300」、北川精機社製、真空加圧プレス機「VHI−2051」などの平板プレス機が挙げられる。プレス用の平板の材質としては、例えば、ステンレス鋼、鉄等の合金などが挙げられ、ステンレス鋼が好ましい。
180度ピール強度および30度ピール強度を調整する手段としては、例えば、形成する樹脂組成物層の溶融粘度を調整すること、使用するカバーフィルムの離型性を調整すること、カバーフィルムと樹脂組成物層とを積層する際の温度を調整すること等が挙げられる。
樹脂組成物層の溶融粘度が低減すると、カバーフィルムと樹脂組成物層との間の密着性が増大する。樹脂組成物層の溶融粘度を低減させる手段としては、樹脂組成物中の粘度を向上させる成分(例えば、タルク、焼成ハイドロタルサイト等のフィラー)の含有量を低減させること、粘度を低減させる成分(例えば、単官能エポキシ樹脂、低分子量エポキシ樹脂等の液状樹脂)の含有量を増大させること、乾燥条件を調整し、形成される樹脂組成物層中の残存溶剤量を増大させること等が挙げられる。
カバーフィルムの離型性を調整する手段としては、例えば、使用する離型剤の種類を変更すること、離型剤層の厚さを調整すること等が挙げられる。例えば、シリコーン系離型剤を使用した場合、その離型性が高すぎて、適切な範囲の180度ピール強度および30度ピール強度が達成できないことがある。そのような場合には、シリコーン系離型剤に替えて、非シリコーン系離型剤を使用することによって、所望の180度ピール強度および30度ピール強度に調整することができる。また、離型剤層の厚さを薄くすることによって、カバーフィルムの離型性を低減させることができる。
カバーフィルムと樹脂組成物層とを積層する際の温度(例えば、ロールラミネーターを使用する場合は、そのロール温度)を高めることによって、これらの密着性を増大させることができ、この温度を低下させることによって、密着性を低減することができる。
(6)用途
本発明の封止用シートは、打抜きの際のカバーフィルムの剥がれを抑制することができる。そのため、本発明の封止用シートは、打ち抜きによって封止部材(特に、有機EL素子用の封止部材)を製造するために用いられることが好ましい。
封止用シートを打ち抜く手段に特に限定は無く、公知の手段を使用することができる。例えば、中空刃等を用いて封止用シートをその片側のみから打ち抜いてもよく、パンチおよびダイ等を用いて封止用シートをその両側から打ち抜いてもよい。
封止部材の形状としては、円形、四角形等が挙げられ、これらの中で四角形が好ましい。封止部材が多角形(例えば、正方形、長方形、平行四辺形等)である場合、その一辺の長さは、好ましくは0.1〜50cm、より好ましくは0.5〜30cmである。
以下の製造例、実施例、比較例および試験例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1:イオン液体硬化剤の製造
テトラブチルホスホニウムハイドロキサイド水溶液(北興化学工業社製、濃度:41.4重量%)20.0gに対し、0℃にてN−アセチルグリシン(東京化成工業社製)3.54gを加え10分間攪拌した。エバポレーターを用いて40〜50mmHgに減圧し、60〜80℃にて2時間、90℃にて5時間濃縮した。室温にて酢酸エチル(純正化学社製)14.2mLに再度溶解し、エバポレーターを用いて40〜50mmHgに減圧し、70〜90℃にて3時間濃縮して、N−アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩11.7g(純度:96.9%)をオイル状化合物として得た。
H−NMR(CDCl)d:0.89−0.99(m,12H),1.42−1.55(m,16H),1.92(s,3H),2.24‐2.35(m,8H),3.66(d,J=3.8Hz,2H),6.70(brs,1H)
実施例1
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER828EL」、エポキシ当量:185g/eq)56重量部、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−403」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1.2重量部、タルク粉末(日本タルク社製「FG−15」、平均粒径:1.4μm)2重量部、および焼成ハイドロタルサイト(協和化学工業社製「KW2200」、平均粒径:0.4μm、BET比表面積:146m/g)30重量部を3本ロールで分散させて、混合物Aを調製した。
硬化促進剤(サンアプロ社製「U−3512T」、芳香族ジメチルウレア)1.5重量部をフェノキシ樹脂のメチルエチルケトン(MEK)溶液(三菱化学社製「YL7213B35」、重量平均分子量:約38,000、濃度:35重量%)81重量部(フェノキシ樹脂:28.4重量部)に溶解させて、混合物Bを調製した。
前記混合物A、前記混合物B、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER1001」、エポキシ当量:475g/eq)のMEK溶液(濃度:80重量%)30重量部(固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂:24重量部)、有機溶剤分散型コロイダルシリカ(日産化学工業社製「MEK−EC−2130Y」、シリカ粒径:10〜15nm、溶剤:MEK、固形分:30重量%)20重量部(コロイダルシリカ:6重量部)、およびイオン液体硬化剤(N−アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩)3重量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物ワニス(固形分:67.5重量%)を得た。
支持体としてバリア層を有するプラスチックフィルム(東海東洋アルミ販売社製「アルペット1N30」、プラスチックフィルム:厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、バリア層:厚さ30μmのアルミニウム箔)を使用した。得られた樹脂組成物ワニスを、前記支持体のバリア層上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが20μmになるようにダイコーターにて均一に塗布し、60〜100℃で3〜6分間乾燥させて、最低溶融粘度が3×10Poiseである樹脂組成物層を形成した。形成した樹脂組成物層に、カバーフィルムとしてオレフィン系離型剤で処理されたPETフィルムTR1(PETフィルムの厚さ:75μm、ユニチカ社製)を乗せ、これらをロールラミネーター(大成ラミネーター社製「VH−420A−SP型圧着装置」)にて、大気雰囲気下、ロール温度:100℃、ロール速度:3.45m/分およびロール圧:0.35MPaの条件で貼り合わせて、封止用シートを得た。
なお、封止用シートの樹脂組成物層の最低溶融粘度は、動的粘弾性測定装置((株)ユー・ビー・エム製「Rheosol−G3000」)を使用して測定した。詳しくは、試料として採取した樹脂組成物層1gを使用し、この試料を、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz、歪み1degの測定条件にて動的粘弾性を測定した。測定により得られた複素粘性率の中で最も低い値を最低溶融粘度(poise)として求めた。以下の実施例および比較例も同様に測定した。
実施例2
乾燥条件を調整し、樹脂組成物層の最低溶融粘度を4×10Poiseとした以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
実施例3
乾燥条件を調整し、樹脂組成物層の最低溶融粘度を5×10Poiseとした以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
実施例4
乾燥条件を調整し、樹脂組成物層の最低溶融粘度を8×10Poiseとした以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
実施例5
カバーフィルムとしてオレフィン系離型剤で処理されたPETフィルムTR5(PETフィルムの厚さ:75μm、ユニチカ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
実施例6
カバーフィルムとしてアルキッド系離型剤で処理されたPETフィルムNSH(PETフィルムの厚さ75μm、藤森工業社製)を用い、100℃のロール温度で1回および110℃のロール温度で1回、樹脂組成物層とカバーフィルムとを貼り合わせた以外は実施例2と同様にして、封止用シートを得た。
実施例7
タルク粉末および焼成ハイドロタルサイトを含有しない樹脂組成物ワニスを使用した以外は実施例1と同様にして、最低溶融粘度が1×10Poiseである樹脂組成物層を形成した。次いで、得られた樹脂組成物層とカバーフィルムとを貼り合わせる際のロール温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
比較例1
カバーフィルムとしてアルキッド系離型剤で処理されたPETフィルムNSH(PETフィルムの厚さ:75μm、藤森工業社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、封止用シートを得た。
比較例2
カバーフィルムとしてアルキッド系離型剤で処理されたPETフィルムNSH(PETフィルムの厚さ:75μm、藤森工業社製)を用いた以外は実施例3と同様にして、封止用シートを得た。
比較例3
カバーフィルムとして非シリコーン系離型剤で処理されたPETフィルムT157−2(PETフィルムの厚さ:75μm、リンテック社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
比較例4
ロール温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
比較例5
カバーフィルムとしてアルキッド系離型剤で処理されたPETフィルムNSH(PETフィルムの厚さ:75μm、藤森工業社製)を用い、ロール温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして、封止用シートを得た。
比較例6
カバーフィルムとしてアルキッド系離型剤で処理されたPETフィルムNSH(PETフィルムの厚さ:75μm、藤森工業社製)を用いた以外は実施例7と同様にして、封止用シートを得た。
上記実施例および比較例の製造条件を表1に示す。
試験例1:封止用シートの180度および30度ピール強度の測定
得られた封止用シートの樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度および30度ピール強度を、引張/万能試験機(協和界面化学(株)製「VPA−3S」、ロードセル:5N)を使用して測定した。詳しくは、封止用シートを25×140mmの大きさにカッターで切断し、切断した封止用シートのカバーフィルム側をステージに両面テープで固定し、力検出器側に支持体および樹脂組成物層を挟み、これらを、剥離速度300mm/minおよび剥離角度180°または30°の条件にて剥離して、ピール強度(N/25mm)を測定した。結果を表2および表3に示す。
試験例2:封止用シートの打抜き時のカバーフィルムの剥がれの測定
得られた封止用シートをダンベル社製の直線型の長刃(長さ:135mm)を用いて、カバーフィルムの側から刃を入れ、打ち抜いた。封止用シートの直線状打抜き部分の両端(表2および表3に記載のNo.1およびNo.5)および両端の間を等間隔に3点(表2および表3に記載のNo.2、No.3およびNo.4)の計5か所について、顕微鏡VHX−900(キーエンス社製)にて拡大観察(倍率:50倍)し、カバーフィルムと樹脂組成物層との間で、剥がれた部分の長さを測定した。
測定は、樹脂組成物ワニスの塗工方向に対してMD方向およびTD方向について、それぞれ2回(n=2)実施した。
上述のようにして、打ち抜いた封止用シートのカバーフィルムの剥がれを合計20か所(5か所×2方向×2回)測定し、不良部分(3.0mm以上の剥がれが発生した部分)の数をカウントした。
結果を表2および表3に示す。
表2および3で示されるように、本発明の30度ピール強度の要件を満たす実施例1〜7の封止用シートは、該要件を満たさない比較例1〜6の封止用シートに比べて、打抜きの際における樹脂組成物層とカバーフィルムとの剥がれが抑制された。特に、実施例6および7並びに比較例1〜4は、いずれも、180度ピール強度が0.1N/25mmであるが、本発明の30度ピール強度の要件を満たさない比較例1〜4の封止用シートは、打抜きの際に不良部分(3.0mm以上の剥がれが発生した部分)が発生したが、本発明の30度ピール強度の要件を満たす実施例6および7では、不良部分が発生しなかった。
本発明によれば、ラミネートする際にはカバーフィルムが簡単に剥がれ、且つ打抜きの際にはカバーフィルムが剥がれにくい封止用シートが得られる。本発明の封止用シートは、例えば、有機EL素子を封止する工程を含む有機ELデバイスの製造等に有用である。

Claims (5)

  1. 支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムがこの順序で積層された封止用シートであって、
    樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度が2.0N/25mm以下であり、且つ樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の30度ピール強度が0.7N/25mm以上である封止用シート。
  2. 打ち抜きによって封止部材を製造するために用いられる請求項1に記載の封止用シート。
  3. 打ち抜きによって有機EL素子用の封止部材を製造するために用いられる請求項1に記載の封止用シート。
  4. 支持体に樹脂組成物ワニスを塗布および乾燥して、樹脂組成物層を形成し、得られた樹脂組成物層にカバーフィルムを積層することを含む、封止用シートの製造方法であって、
    樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度が2.0N/25mm以下となり、且つ樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の30度ピール強度が0.7N/25mm以上となるように封止用シートを製造する方法。
  5. 支持体、樹脂組成物層およびカバーフィルムがこの順序で積層された封止用シートを評価する方法であって、
    樹脂組成物層とカバーフィルムとの間の180度ピール強度および30度ピール強度を測定し、前記180度ピール強度が2.0N/25mm以下であり、前記30度ピール強度が0.7N/25mm以上である封止用シートを良品と評価する方法。
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