JP2013194130A - 塗膜保護シート - Google Patents

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Abstract

【課題】引き伸ばされた状態で塗膜に貼り付けられても、該塗膜から浮き上がりにくい塗膜保護シートを提供する。
【解決手段】支持基材1上に粘着剤層2を有する塗膜保護シート10が提供される。粘着剤層2を構成する粘着剤は、ベースポリマーとしてのポリイソブチレンと、スチレン/イソブチレンブロック共重合体と、を含む。上記スチレン/イソブチレンブロック共重合体の含有量は、上記ポリイソブチレン100質量部当たり、0質量部より多く70質量部以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、傷や汚れ等の損傷から塗膜を保護する塗膜保護シートに関する。
塗膜を有する物品(例えば、塗装処理された自動車やその部品、あるいは鋼板等の金属板やその成形品等)の移送、保管、養生、施工等の際における塗膜表面の損傷防止等を目的として、該塗膜に保護シートを接着して保護する技術が知られている。かかる目的に使用される塗膜保護シートは、一般に、樹脂製のシート状基材(支持基材)の片面に粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)層を有し、その粘着剤層を介して被着体表面(保護対象たる塗膜)に接着されることで保護目的を達成し得るように構成されている。
塗膜保護シートの粘着剤層を構成する粘着剤として、ポリイソブチレン系の粘着剤を用いることが知られている(特許文献1)。ポリイソブチレン系の粘着剤は、動的粘弾性測定において、温度分散測定による貯蔵弾性率のゴム状平坦領域が広く、かつ低弾性率である。したがって、ポリイソブチレン系の粘着剤によると、粘着挙動の温度依存性が少なく(換言すれば、幅広い温度域において安定した粘着特性を示し)、被着体表面に貼付け跡が残りにくいという、表面保護用途に適した粘着シートが実現され得る。また、ポリイソブチレン系の粘着剤は、典型的には非架橋であって該粘着剤の内部に歪みを蓄積しにくい。したがって、上記歪みに起因するストレスを被着体表面に与え難いという好ましい特徴を有する。このことは、車両(典型的には自動車)塗膜用の保護シートのように、被着体表面に保護シートの貼付け跡を残さない性質が高度に要求される用途において特に重要である。一方、ブロック共重合体に基づく粘着剤を用いた保護シートに係る技術文献として、特許文献2および特許文献3が挙げられる。特許文献4は、医療用粘着剤配合物に関する技術文献である。
特許第2832565号公報 特開2007−238746号公報 特許第3887402号公報 特許第3471122号公報
ところで、被着体(特に、自動車等の車両表面のように複雑な立体形状を有する被着体)の表面に塗膜保護シートを貼り付けるときに、被着体表面に上記保護シートをシワや弛みなく貼り付けるためには、該保護シートをやや引き伸ばした(延伸した)状態で貼り付けることが好ましい。しかし、ポリイソブチレン系粘着剤は、低弾性率であるため剪断応力により変形しやすく、また非架橋であるため凝集力の低いものとなりがちである。このため、ポリイソブチレン系粘着剤層を備えた塗膜保護シートを引き伸ばして被着体表面に貼り付けると、その引き伸ばされた保護シートが貼り付け後に元に戻ろうとする力(被着体表面と平行な方向にズレようとする力)によって、保護シートの一部が被着体表面から剥がれて浮き上がってしまいやすい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その主要な目的は、上述のような浮き上がりが抑制された(耐浮き上がり性が改善された)塗膜保護シートを提供することである。
本発明によると、支持基材上に粘着剤層を有する塗膜保護シートが提供される。前記粘着剤層を構成する粘着剤は、ベースポリマーとしてのポリイソブチレンを含む。前記粘着剤は、さらに、スチレン/イソブチレンブロック共重合体を含有する。ここで、スチレン/イソブチレンブロック共重合体とは、少なくとも一つのスチレンブロック(以下「Stブロック」ともいう。)と少なくとも一つのイソブチレンブロック(以下「IBブロックともいう。」)とを有するブロック共重合体をいう。前記粘着剤における前記スチレン/イソブチレンブロック共重合体(以下、「St/IBブロック共重合体」ともいう。)の含有量は、前記ポリイソブチレン100質量部当たり、0質量部より多く70質量部未満であり得る。
かかる構成の塗膜保護シートによると、粘着剤層を構成する粘着剤に適当量のSt/IBブロック共重合体が配合されていることにより、該保護シートを引き伸ばして貼り付けた場合の耐浮き上がり性を改善することができる。また、上記粘着剤のベースポリマーはポリイソブチレンであるので、粘着挙動の温度依存性が少ない、保護シートの貼り付け跡が被着体表面に残りにくい等の、ポリイソブチレンの特長を発揮することができる。
上記St/IBブロック共重合体としては、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体を主成分とするものを好ましく採用し得る。該トリブロック体を主成分とし、Stブロック−IBブロック構造のジブロック体を副成分としてさらに含むSt/IBブロック共重合体を用いてもよい。
ここに開示される塗膜保護シートにおける粘着剤は、周波数10Hz、温度23℃で測定される室温貯蔵弾性率Aと、周波数10Hz、温度70℃で測定される高温貯蔵弾性率Bとの関係が、次式:(A/B)<1.3;を満たすことが好ましい。かかる粘着剤を備える塗膜保護シートは、貯蔵弾性率の温度依存性が少ないことから、幅広い温度域において所望の粘着特性を安定して実現するものとなり得る。好ましい一態様では、上記室温貯蔵弾性率Aが4.5×10Pa以下である。かかる態様の保護シートによると、該保護シートの貼り付け跡が被着体表面に残る事象がよりよく防止され得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記ベースポリマーとしてのポリイソブチレンの重量平均分子量(Mw)が30×10〜150×10の範囲にある。かかる態様によると、ポリイソブチレンをベースポリマーとすることの利点(粘着挙動の温度依存性が少ない、保護シートの貼り付け跡が被着体表面に残りにくい等)がよりよく発揮され得る。
ここに開示される技術の他の好ましい一態様では、前記St/IBブロック共重合体の重量平均分子量が3×10〜20×10の範囲にある。かかる態様によると、保護シートの耐浮き上がり性を効果的に改善し、かつSt/IBブロック共重合体を配合することによる他の性能の低下をよりよく抑制することができる。
本発明に係る塗膜保護シートの一形態例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(d)は、耐浮き上がり性試験の方法を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係る塗膜保護シート(例えば、自動車やその部品の保護に使用される自動車塗膜保護シート)は、シート状の支持基材上に(典型的には、該支持基材の片面に)粘着剤層を有する。本発明の一形態例に係る塗膜保護シートの断面構造を図1に示す。この塗膜保護シート10は、支持基材1の片面1Aに粘着剤層2が設けられた構成を有し、粘着剤層2の表面2Aを被着体(保護対象物品、例えば自動車やその部品等の塗膜を有する物品)に貼り付けて使用される。使用前(すなわち、被着体への貼付前)の保護シート10は、粘着剤層2の表面(粘着面、すなわち被着体への貼り付け面)2Aが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー(図示せず)によって保護された形態であり得る。また、基材1の他面(背面)1Bが剥離面となっており、保護シート10がロール状に巻回されることにより該他面に粘着剤層2が当接してその表面2Aが保護された形態の保護シート10であってもよい。
<支持基材>
ここに開示される技術は、ポリオレフィン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))等の樹脂成分を主体とする樹脂シート(典型的には、このような樹脂成分を主体とする樹脂組成物を膜状に成形してなる樹脂フィルム)を支持基材とする塗膜保護シートに好ましく適用され得る。上記樹脂シートは、典型的には、非多孔質の樹脂フィルムである。ここでいう「非多孔質の樹脂フィルム」は、いわゆる不織布とは区別される(すなわち、不織布を含まない)概念である。特に好ましい適用対象として、支持基材を構成する樹脂成分のうちの主成分がポリオレフィン系樹脂である(すなわち、ポリオレフィン系樹脂シートを支持基材とする)塗膜保護シートが挙げられる。かかる組成の支持基材は、リサイクル性等の観点からも好ましい。例えば、支持基材全体の50質量%以上がポリエチレン(PE)樹脂またはポリプロピレン(PP)樹脂である(換言すれば、PE樹脂とPP樹脂との合計量が支持基材全体の50質量%以上を占める)ポリオレフィン系樹脂シートを好ましく採用することができる。
上記ポリオレフィン系樹脂シート(フィルム)としては、該シートを構成する樹脂成分が主としてPP樹脂である(換言すれば、樹脂成分が50質量%を超えてPP樹脂を含む)樹脂シート(PP樹脂シート)を好ましく採用することができる。例えば、樹脂成分の凡そ60質量%以上(より好ましくは凡そ70質量%以上)がPP樹脂である樹脂シートが好ましい。耐熱性等の観点から、PP樹脂による連続構造(連続相)が形成されている樹脂シートを好ましく採用することができる。樹脂成分が一種または二種以上のPP樹脂から実質的に構成される(すなわち、樹脂成分としてPP樹脂を単独で含む)樹脂シートであってもよい。このようにPP樹脂の連続構造を有する樹脂シートを支持基材に用いた塗膜保護シートは、例えば、屋外養生中の温度上昇等の熱履歴によって被着体(塗膜)から塗膜保護シートが浮く事態の発生を防止しやすいので好ましい。かかる支持基材を採用することにより、後述する粘着剤の組成と相俟って、より耐浮き上がり性に優れた塗膜保護シートが実現され得る。
支持基材は、単層構造であってもよく、二層以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合、少なくとも一つの層は上記PP樹脂の連続構造を有する層であることが好ましい。上記樹脂成分の残部は、エチレンまたは炭素原子数4以上のα−オレフィンを主モノマーとするオレフィン系ポリマーを主成分とするポリオレフィン系樹脂(PE樹脂等)であってもよく、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であってもよい。ここに開示される塗膜保護シートの支持基材として好ましく使用し得る樹脂シートの一例として、樹脂成分が実質的にPP樹脂およびPE樹脂からなるポリオレフィン系樹脂シート(典型的には、樹脂成分のうちの主成分がPP樹脂であり、残部がPE樹脂であるPP樹脂シート)が挙げられる。
上記PP樹脂は、プロピレンを成分とする種々のポリマー(プロピレン系ポリマー)を主成分とするものであり得る。一種または二種以上のプロピレン系ポリマーから実質的に構成されるPP樹脂であってもよい。ここでいうプロピレン系ポリマーの概念には、例えば、以下のようなポリプロピレンが包含される。
プロピレンのホモポリマー(ホモポリプロピレン)。例えばアイソタクチックポリプロピレン。
プロピレンと他のα−オレフィン(典型的には、エチレンおよび炭素原子数4〜10のα−オレフィンから選択される一種または二種以上)とのランダムコポリマー(ランダムポリプロピレン)。好ましくは、プロピレンを主モノマー(主構成単量体、すなわち単量体全体の50質量%以上を占める成分)とするランダムポリプロピレン。例えば、プロピレン96〜99.9モル%と上記他のα−オレフィン(好ましくはエチレンおよび/またはブテン)0.1〜4モル%とをランダム共重合したランダムポリプロピレン。
プロピレンに他のα−オレフィン(典型的には、エチレンおよび炭素原子数4〜10のα−オレフィンから選択される一種または二種以上)をブロック共重合したコポリマー(プロピレンを主モノマーとするものが好ましい。)を含み、典型的には副生成物としてプロピレンおよび上記他のα−オレフィンのうち少なくとも一種を成分とするゴム成分をさらに含むブロックコポリマー(ブロックポリプロピレン)。例えば、プロピレン90〜99.9モル%に上記他のα−オレフィン(好ましくはエチレンおよび/またはブテン)0.1〜10モル%をブロック共重合したポリマーと、副生成物としてプロピレンおよび上記他のα−オレフィンのうち少なくとも一種を成分とするゴム成分をさらに含むブロックポリプロピレン。
上記PP樹脂は、このようなプロピレン系ポリマーの一種または二種以上から実質的に構成されるものであってもよく、該プロピレン系ポリマーに多量のゴム成分を共重合させて得られるリアクターブレンドタイプもしくは該ゴム成分を機械的に分散させて得られるドライブレンドタイプの熱可塑性オレフィン樹脂(TPO)や熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよい。また、重合性官能基に加えて他の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)とプロピレンとのコポリマーを含むPP樹脂、かかる官能基含有モノマーをプロピレン系ポリマーに共重合させたPP樹脂等であってもよい。
上記PE樹脂は、エチレンを成分とする種々のポリマー(エチレン系ポリマー)を主成分とするものであり得る。一種または二種以上のエチレン系ポリマーから実質的に構成されるPE樹脂であってもよい。上記エチレン系ポリマーは、エチレンのホモポリマーであってもよく、主モノマーとしてのエチレンに他のα−オレフィンを共重合(ランダム共重合、ブロック共重合等)させたものであってもよい。上記α−オレフィンの好適例としては、プロピレン、1−ブテン(分岐1−ブテンであり得る。)、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが挙げられる。また、重合性官能基に加えて別の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)とエチレンとのコポリマーを含むPE樹脂、かかる官能基含有モノマーをエチレン系ポリマーに共重合させたPE樹脂等であってもよい。エチレンと官能基含有モノマーとのコポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸(すなわち、アクリル酸および/またはメタクリル酸)共重合体が金属イオンで架橋されたもの、等が挙げられる。
PE樹脂の密度は特に限定されず、例えば0.9〜0.94g/cm程度であり得る。好ましいPE樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。上記PE樹脂は、一種または二種以上のLDPEと、一種または二種以上のLLDPEとを含むものであってもよい。各LDPEまたはLLDPEのブレンド比や、LDPEとLLDPEとのブレンド比は特に限定されず、所望の特性を示すPE樹脂となるように適宜設定することができる。
特に限定するものではないが、支持基材を構成する樹脂材料としては、MFR(melt flow rate)が0.5〜80g/10分(例えば0.5〜10g/10分)程度の樹脂材料を好ましく使用することができる。ここでMFRとは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nの条件でA法により測定して得られる値をいう。上記樹脂材料は、MFRが上記範囲にあるポリオレフィン系樹脂(例えば、PP樹脂、PE樹脂、PP樹脂とPE樹脂とのブレンド樹脂等)であり得る。
ここに開示される塗膜保護シートの基材として用いられる樹脂シート(好ましくはポリオレフィン系樹脂シート)は、遮光性、耐候性、耐熱性、製膜安定性、粘着特性等の要求特性に応じて、当該基材への含有が許容される適宜の成分を必要に応じて含有するものであり得る。例えば、顔料(典型的には無機顔料)、充填材、酸化防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等を包含する意味である。)、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜配合することができる。顔料または充填材として好ましく使用し得る材料の例として、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の無機粉末が挙げられる。無機顔料や充填材の配合量は、該配合により得られる効果の程度や樹脂シートの成形方法(キャスト成形、インフレーション成形等)に応じた基材の成形性等を考慮して、適宜設定することができる。通常は、無機顔料および充填材の配合量(複数種類を配合する場合にはそれらの合計量)を、樹脂成分100質量部に対して凡そ2〜20質量部(より好ましくは凡そ5〜15質量部)程度とすることが好ましい。各添加剤の配合量は、例えば、塗膜保護シート(例えば、自動車塗膜保護シート)の支持基材等として用いられる樹脂シートの分野における通常の配合量と同程度とすることができる。
上記樹脂シート(好ましくはポリオレフィン系樹脂シート)は、従来公知の一般的なフィルム成形方法を適宜採用して製造することができる。例えば、上記樹脂成分(好ましくは、PP樹脂を単独で含むかまたはPP樹脂を主成分とし副成分としてPE樹脂を含む樹脂成分)と必要に応じて配合される添加剤等とを含む成形材料を押出成形する方法を好ましく採用することができる。
図1に示す支持基材(典型的には樹脂シート)1のうち粘着剤層2が設けられる側の面1Aには、酸処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。また、支持基材1のうち粘着剤層2が設けられる面とは反対側の面(背面)1Bには、必要に応じて剥離処理(例えば、一般的なシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離処理剤を、典型的には0.01μm〜1μm(例えば0.01μm〜0.1μm)程度の薄膜状に付与する処理)が施されていてもよい。かかる剥離処理を施すことにより、塗膜保護シート10をロール状に巻回したものの巻き戻しを容易にする等の効果が得られる。
支持基材の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜選択し得る。通常は、厚みが凡そ300μm以下(例えば凡そ10μm〜200μm)の基材を用いることが適当である。ここに開示される塗膜保護シートの好ましい一態様では、基材の厚みが凡そ10μm〜100μm(例えば凡そ20μm〜60μm)である。かかる厚みの基材を用いてなる塗膜保護シートは、例えば、自動車塗膜保護シートとして好適である。
<ポリイソブチレン>
ここに開示される塗膜保護シートに具備される粘着剤層は、ポリイソブチレンをベースポリマーとする粘着剤により構成されている。ここで、粘着剤の「ベースポリマー」とは、当該粘着剤に含まれるポリマー成分のうちの主成分(すなわち50質量%以上を占める成分)をいう。好ましい一態様では、上記粘着剤に含まれるポリマー成分の70質量%以上がポリイソブチレンである。
本明細書において「ポリイソブチレン」とは、イソブチレンのホモポリマー(ホモポリイソブチレン)に限定されず、イソブチレンを主モノマーとするコポリマー(換言すれば、イソブチレンが50モル%を超える割合、より好ましくは70モル%を超える割合で共重合されたコポリマー)をも包含する用語である。上記コポリマーは、例えば、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物や変性物(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性したもの)等であり得る。接着強度の安定性(例えば、経時や熱履歴によって接着強度が過剰に上昇しない性質)の観点から好ましく使用されるポリイソブチレンとして、ホモポリイソブチレン、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体(例えば、ノルマルブチレンの共重合割合が30モル%未満であるイソブチレン/ノルマルブチレン共重合体)、等が挙げられる。なかでもホモポリイソブチレンが好ましい。
かかるポリイソブチレンの分子量は特に制限されず、例えば重量平均分子量(Mw)が凡そ10×10〜150×10のものを適宜選択して使用することができる。互いにMwの異なる複数のポリイソブチレンを組み合わせて使用してもよい。ベースポリマーとして用いられるポリイソブチレン全体のMwは、凡そ20×10〜150×10(より好ましくは凡そ30×10〜100×10)の範囲にあることが好ましい。
上記ポリイソブチレンの一部または全部は、より高分子量のポリイソブチレンをシャク解処理することにより低分子量化(好ましくは、上述した好ましい質量平均分子量となるように低分子量化)してなるイソブチレン系ポリマー(シャク解処理体)であってもよい。上記シャク解処理は、シャク解処理前の凡そ10%〜80%のMwを有するポリイソブチレンが得られるように行うことが好ましい。また、数平均分子量(Mn)が凡そ10×10〜40×10のポリイソブチレンが得られるように行うことが好ましい。かかるシャク解処理は、例えば、特許第3878700号公報の記載等に基づいて実施することができる。
MwまたはMnが上記範囲よりも大きすぎると、粘着剤の溶液粘度が高くなりすぎて、粘着剤液のハンドリング性(例えば塗工安定性)が低下傾向となり得る。MwまたはMnが上記範囲よりも小さすぎると、粘着剤の凝集力が不足しがちとなり、厳しい条件で使用された場合(例えば、研磨補修面に貼り付けられた場合)に糊残りを生じやすくなる場合があり得る。
なお、ここでポリイソブチレンのMwおよびMnとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定に基づいて求められる、ポリスチレン換算の値をいう。GPC測定装置としては、例えば、東ソー(TOSOH)社製、型式「HLC−8120GPC」を使用することができる。
<St/IBブロック共重合体>
ここに開示される技術における粘着剤は、ベースポリマーとしてのポリイソブチレンに加えて、これに配合されたポリマー(以下「配合ポリマー」ともいう。)として、スチレン/イソブチレン(St/IB)ブロック共重合体を含むことによって特徴づけられる。ここで「St/IBブロック共重合体」とは、少なくとも一つのStブロックと、少なくとも一つのIBブロックとを有するブロック共重合体を指す。かかるSt/IBブロック共重合体の代表的な構造として、Stブロック−IBブロック構造(ジブロック体)、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造(トリブロック体)等が例示される。3以上のブロックを有するSt/IBブロック共重合体としては、両端にStブロックが配された構造のものを好ましく採用し得る。かかる構造のSt/IBブロック共重合体によると、より効果的に耐浮き上がり性が改善され得る。
ここに開示される技術における粘着剤の配合ポリマーとしては、このようなSt/IBブロック共重合体の一種を単独で用いてもよく、二種以上のSt/IBブロック共重合体(例えば、StブロックおよびIBブロックの数や配置、各ブロックの分子量、ブロック共重合体全体の分子量等のうちの一または二以上が異なるSt/IBブロック共重合体)を適宜の量比で用いてもよい。好ましい一態様では、使用するSt/IBブロック共重合体の総量のうち50質量%以上(典型的には60質量%以上、例えば75質量%以上であり、実質的に100質量%であってもよい。)がStブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体である。かかる態様によると、St/IBブロック共重合体の配合が他の特性(例えば、貯蔵弾性率の温度依存性)に及ぼす影響を抑え、かつ耐浮き上がり性が効果的に改善された保護シートが実現され得る。
St/IBブロック共重合体の配合量は、ベースポリマーとしてのポリイソブチレン100質量部当たり、0質量部より多く70質量部以下とすることができ、通常は3質量部以上60質量部以下(例えば5質量部以上50質量部以下、好ましくは5質量部より多く40質量部以下)とすることが適当である。St/IBブロック共重合体の配合量が少なすぎると、耐浮き上がり性を改善する効果が十分に発揮され難くなることがあり得る。St/IBブロック共重合体の配合量が多すぎると、貯蔵弾性率(ひいては、粘着力等の粘着特性)の温度依存性が増大傾向となることや、被着体表面に貼付け跡が残りやすくなることがあり得る。好ましい一態様では、St/IBブロック共重合体の配合量が、10質量部以上40質量部以下(より好ましくは10質量部以上30質量部以下、例えば10質量部以上25質量部以下)である。
ここに開示される技術におけるSt/IBブロック共重合体としては、重量平均分子量Mwが1×10以上のものを好ましく採用し得る。Mwが低すぎると、耐浮き上がり性を改善する効果が低くなりがちであり、添加量によっては被着体表面への糊残りを生じやすくなることもあり得る。通常は、Mwが3×10以上(例えば5×10以上)のSt/IBブロック共重合体の使用が好ましい。一方、St/IBブロック共重合体のMwが高すぎると、貯蔵弾性率の温度依存性が大きくなることや、ベースポリマーたるポリイソブチレンとの相溶性が不足しやすくなることがあり得る。したがって、通常は、Mwが30×10以下(典型的には20×10以下、例えば15×10以下、)のSt/IBブロック共重合体の使用が好ましい。上記相溶性の観点からは、IBブロックのMwが2×10以上(典型的には4×10〜15×10)であるSt−IBジブロック体またはSt−IB−Stトリブロック体を好ましく採用し得る。好ましい一態様では、St/IBブロック共重合体のMwが、ベースポリマーたるポリイソブチレンのMwの1/3以下(例えば1/5以下)である。かかる態様によると、上記相溶性と粘着特性とをより高度なレベルで両立させた保護シートが好適に実現され得る。なお、St/IBブロック共重合体その他の配合ポリマーのMwとは、ポリイソブチレンのMwと同様、GPC測定に基づいて求められる値(ポリスチレン換算値)をいう。
好ましい一態様では、上記St/IBブロック共重合体として、スチレン含量(St/IBブロック共重合体全体に占めるスチレン残基の質量割合)が5%〜50%のものを使用する。例えば、スチレン含量が10%〜35%程度のSt/IBブロック共重合体を好ましく採用し得る。このスチレン含量が低すぎると、保護シートの耐浮き上がり性を改善する効果が低くなりがちである。一方、スチレン含量が高すぎると、貯蔵弾性率の温度依存性が大きくなることや、ベースポリマーたるポリイソブチレンとの相溶性が不足しやすくなることがあり得る。スチレン含量の異なる複数種類のSt/IBブロック共重合体を併用する場合には、それらの平均スチレン含量が上記範囲にあることが好ましい。
ここに開示される技術において、粘着剤に含まれるポリイソブチレンとSt/IBブロック共重合体とは、これらが良好な相溶性を示すように選択されることが好ましい。このことによって、より外観品質(例えば、粘着剤層の透明性)のよい保護シートが実現され得る。ポリイソブチレンとSt/IBブロック共重合体の相溶性が良いことは、被着体表面への糊残りを防止する観点からも好ましい。
<粘着付与剤>
上記粘着剤は、必要に応じて粘着付与剤を含むことができる。好ましく使用し得る粘着付与剤の例として、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、エポキシ系樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、それらの水素添加物等が挙げられる。このような粘着付与剤は、一種を単独で、あるいは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ここに開示される技術において好ましく採用される粘着付与剤として、SP値8.5(単位[(cal/cm1/2]。以下同じ。)以上(典型的には8.5〜15)のフェノール系化合物、SP値8.5以上(典型的には8.5〜15)のアミン系化合物、およびロジン類が挙げられる。かかる粘着付与剤によると、少量の添加によって粘着特性(例えば、難接着性の塗膜に対する粘着力)を効果的に向上させることができる。したがって、ここに開示される技術は、上記粘着剤における上記SP値8.5以上の粘着付与剤の添加量が、ベースポリマー100質量部当たり例えば0.01〜5質量部(好ましくは0.01〜1質量部)である態様で好ましく実施され得る。ここで、難接着性の塗膜とは、例えば、塗膜面に対するn−ヘキサデカンの接触角が15度以上である塗膜をいう。上記接触角は、塗膜を水平に保持し、その塗膜上に23℃、65%RHの雰囲気下で約2μLのn−ヘキサデカンの液滴を滴下し、液滴端部の接線と塗膜表面とのなす角度を液滴の滴下から1分以内に測定することにより得られる。
上記フェノール系化合物および上記アミン系化合物としては、ヒンダード系の化合物を用いることが好ましい。上記フェノール系化合物の好適例として、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂(例えば、tert−ブチルフェノール樹脂、tert−アミルフェノール樹脂、tert−オクチルフェノール樹脂のように、炭素原子数が3以上のアルキル基を側鎖に有するアルキルフェノール樹脂)、ロジン変性フェノール系樹脂およびテルペン変性フェノール樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ロジン(特に、SP値8.5以上のロジン)を好ましく使用し得る。
なお、ここでSP値とは、化合物の溶解性を示すものであって、フェドーズ(Fedors)が提案した方法で化合物の基本構造から計算される値である。具体的には、25℃における各原子または原子団の蒸発エネルギーΔe(cal)と、同温度における各原子または原子団のモル容積Δv(cm)とから、以下の式に従ってSP値が計算される。
SP値(δ)=(ΣΔe/ΣΔv)1/2
(参考文献:山本秀樹著、「SP値 基礎・応用と計算方法」、第4刷、株式会社情報機構出版、2006年4月3日発行、第66〜67頁)。
SP値8.5以上のフェノール系化合物の市販品としては、住友デュレズ社製の商品名「デュレズ(Durez)19900」、日本チバガイギー社製の商品名「イルガノックス1010」、同「イルガノックス1330」、同「イルガノックス3114」、同「イルガノックス565」、同「イルガノックス5057」等が例示される。SP値8.5以上のアミン系化合物の市販品としては、日本チバガイギー社製の商品名「キマソーブ944」、同「チヌビン770」等が例示される。
上記SP値を有するフェノール系化合物やアミン系化合物は、ポリイソブチレンをベースポリマーとする粘着剤に添加されて、該粘着剤と被着体(塗膜)との界面付近に偏在する特異な相溶状態を形成することで、難接着性塗膜への粘着力向上に寄与するものと考えられる。上記相溶状態の形成性および粘着力向上性等の観点から、通常は、重量平均分子量(Mw)300以上(より好ましくは400以上、さらに好ましくは500以上、例えば1000以上)の粘着付与剤を用いることが好ましい。また、Mwが3×10以下(より好ましくは0.5×10以下)の粘着付与剤が好ましい。
ここに開示される技術における粘着剤に用いられる粘着付与剤の好適例として、SP値9.5以上(典型的には9.5〜15)のフェノール系化合物およびアミン系化合物が挙げられる。例えば、特開平9−3420号公報に記載されたSP値9.5以上のフェノール系化合物およびSP値9.5以上のアミン系化合物を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
粘着剤が粘着付与剤を含む場合において、その配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば50質量部以下(好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下)とすることができる。また、通常は、上記配合量を0.01質量部以上とすることが適当である。被着体の汚染や糊残りを防止するという観点から、通常は、ベースポリマー100質量部に対する配合量を0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.01〜2質量部(典型的には0.05〜1質量部、例えば0.1〜1質量部)とすることがより好ましい。
ここに開示される技術における粘着剤は、本発明の効果を大きく損なわない限度で、St/IBブロック共重合体に該当しない配合ポリマーを任意成分として含有し得る。かかる任意配合ポリマーの例として、ゴム系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、シリコーン系ポリマー、ポリアミド、フッ素系ポリマー、ポリα−オレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、等の公知のポリマーを適宜採用し得る。上記ゴム系ポリマーの具体例としては、天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR);ポリイソプレン;A−B−A型ブロック共重合体ゴムおよびその水素化物、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ビニル・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SVIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS);等が挙げられる。このような任意配合ポリマーの使用量(二種以上の任意配合ポリマーを用いる場合にはそれらの合計量)は、通常、ベースポリマーとしてのポリイソブチレン100質量部当たり30質量部以下とすることが適当であり、St/IBブロック共重合体と同等以下の量とすることが好ましい。あるいは、かかる任意配合ポリマーを実質的に含まない(例えば、ベースポリマー100質量部に対する任意配合ポリマーの含有量が0.1質量部未満である)組成の粘着剤であってもよい。
ここに開示される塗膜保護シートに用いられる粘着剤は、当該粘着剤への含有が許容される適宜の成分(添加剤)を必要に応じて配合したものであり得る。かかる添加剤の例として、軟化剤、剥離助剤、顔料、充填材、酸化防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等を包含する意味である。)等が挙げられる。軟化剤の例としては、低分子量のゴム系材料、プロセスオイル(典型的にはパラフィン系オイル)、石油系軟化剤、エポキシ系化合物等が挙げられる。剥離助剤の例としては、シリコーン系剥離助剤、パラフィン系剥離助剤、ポリエチレンワックス、アクリル系重合体等が挙げられる。剥離助剤を使用する場合の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば凡そ0.01〜5質量部とすることができる。あるいは、かかる剥離助剤を添加しない組成の粘着剤であってもよい。顔料または充填材の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ等の無機粉末が挙げられる。
このような添加剤は、それぞれ、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。各添加剤の配合量は、例えば、塗膜保護シート(例えば、自動車塗膜保護シート)用粘着剤の分野における通常の配合量と同程度とすることができる。上記粘着付与剤および添加剤の合計量は、ベースポリマー100質量部当たり30質量部以下(より好ましくは15質量部以下)とすることが好ましい。
粘着剤層の形成は、公知の粘着シートにおける粘着剤層形成方法に準じて行うことができる。例えば、上述したポリイソブチレンおよびSt/IBブロック共重合体と必要に応じて配合される添加剤等とを含む粘着層形成材料が適当な溶媒(トルエン、ヘプタン、ヘキサン、酢酸エチル等)に溶解または分散した液状組成物(粘着剤液)を、支持基材に直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を好ましく採用することができる。また、上記粘着剤組成物を剥離性のよい表面(例えば、剥離ライナーの表面、剥離処理が施された支持基材背面等)に付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を支持基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。ここに開示される技術における粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的および用途によっては点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。粘着剤液の調製に用いられる溶媒としては、ポリイソブチレンおよびSt/IBブロック共重合体の双方を溶解可能なものを好ましく採用し得る。かかる溶媒の好適例としてトルエンが挙げられる。粘着剤液の固形分率(NV)は、例えば5〜30質量%とすることができ、通常は10〜25質量%とすることが適当である。
粘着剤層の厚みは特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができる。通常は凡そ100μm以下(例えば2μm〜100μm)とすることが適当であり、凡そ3μm〜30μmとすることが好ましく、凡そ5μm〜20μmとすることがより好ましい。例えば、自動車塗膜保護シートに具備される粘着剤層の厚みとして、上記範囲を好ましく採用することができる。
ここに開示される技術における粘着剤は、周波数10Hz、温度23℃の条件で測定される室温貯蔵弾性率Aと、周波数10Hz、温度70℃の条件で測定される高温貯蔵弾性率Bとの関係が、次式:(A/B)<1.3;を満たすものであり得る。一般に、貯蔵弾性率は温度が高くなるにつれて低くなる傾向にあるため、通常は1≦(A/B)(典型的には1<(A/B))である。(A/B)の値が大きくなるほど、23℃〜70℃程度の温度域において、貯蔵弾性率の温度依存性が大きいことを意味する。(A/B)が1.3未満である粘着剤は、幅広い温度域において安定した粘着特性を示すので好ましい。例えば、自動車ボディの外装塗膜に貼り付けられた塗膜保護シートは、様々な温度条件下で上記外装塗膜から剥がされることが想定される(例えば、真夏に直射日光の当たる屋外に保管された自動車から保護シートを剥がす場合、23℃程度の環境下で保管された自動車から保護シートを剥がす場合等)。(A/B)が1に近い(例えば1.3未満、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の)粘着剤は、温度条件の違いによる粘着特性(例えば粘着力)の差異が小さい。したがって、該粘着剤を備えた表面保護シートは、幅広い温度条件下において適切に保護性能を発揮することができる。また、幅広い温度条件下において被着体から保護シートを的確に剥離することができる。
なお、貯蔵弾性率A,Bは、例えば、一般的な粘弾性測定装置(例えば、レオメトリックサイエンティフィック社製の動的粘弾性スペクトル測定器、型式「ARES」)を使用し、厚み2mmのサンプルを直径8mmのパラレルプレートにセットして、上記周波数にて測定を行うことにより把握することができる。測定温度域および昇温速度は、粘弾性測定装置の機種等に応じて適切に設定すればよく、特に限定されない。例えば、測定温度としては少なくとも20℃〜70℃(好ましくは0℃〜80℃)の範囲を含む温度域(例えば−50℃〜120℃)とすることができ、昇温速度は1〜10℃/分(例えば5℃/分)程度とすることができる。
好ましい一態様において、粘着剤の室温貯蔵弾性率Aは、4.5×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは4.0×10Pa以下(典型的には4.0×10Pa未満)である。かかる室温貯蔵弾性率Aを示す粘着剤によると、被着体表面に貼付け跡が残る事象がよりよく防止された保護シートが実現され得る。通常は、室温貯蔵弾性率Aが1.0×10Pa以上(例えば2.0×10Pa以上)である粘着剤が好ましい。また、粘着剤の高温貯蔵弾性率Bは、4.5×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは4.0×10Pa以下(典型的には4.0×10Pa未満)である。通常は、高温貯蔵弾性率Bが1.0×10Pa以上(例えば2.0×10Pa以上)である粘着剤が好ましい。
ここに開示される技術における粘着剤層は、典型的には、非架橋の粘着剤から構成されている。ここで、非架橋の粘着剤から構成された粘着剤層とは、該粘着剤層を形成する際に、粘着剤に含まれるポリマー間に化学結合を形成するための意図的な処理(すなわち架橋処理、例えば架橋剤の配合など)が行われていない粘着剤層をいう。かかる粘着剤層は、実質的に歪が蓄積されない(一時的に歪みが生じたとしても容易に解消し得る)ので塗膜に貼付け跡を残しにくい等、塗膜保護シート用の粘着剤層として好適な性質を有する。
ここに開示される塗膜保護シートは、後述する実施例に記載の条件で行われる耐浮き上がり性試験において、剥がれ距離40mm未満(典型的には0mm以上40mm未満、好ましくは0mm以上35mm以下)を実現するものであり得る。また、後述する実施例に記載の条件で行われる跡付き防止性試験において、貼付け跡が認められない(判定結果○)ものであり得る。また、後述する実施例に記載の条件で行われる糊残り防止性試験において、糊残りおよび糸引きのいずれも認められない(判定結果○)ものであり得る。上記三特性(耐浮き上がり性、跡付き防止性、糊残り防止性)の全てを満たす塗膜保護シートが特に好ましい。上記三特性を満たし、かつ、ポリイソブチレンとSt/IBブロック共重合体との相溶性の良い粘着剤層を備えた塗膜保護シートが更に好ましい。
ここに開示される塗膜保護シートは、後述する実施例に記載の条件で行われる粘着力測定において、23℃で48時間保持した後および70℃で48時間保持した後のいずれの場合にも、剥離速度300mm/分(すなわち0.3m/分)における180度剥離強度が3〜10N/25mm(例えば5〜10N/25mm)の範囲にあることが好ましい。また、23℃で48時間保持した後および70℃で48時間保持した後のいずれの場合にも、剥離速度30m/分における180度剥離強度が3〜10N/25mm(例えば4〜10N/25mm)の範囲にあることが好ましい。剥離強度が低すぎると、外力等によって保護シートが被着体表面から非意図的に剥がれてしまうことがあり得る。剥離強度(特に剥離速度30m/分における剥離強度)が高すぎると、保護の役割を終えた保護シートを被着体(保護対象物)から剥離する際の作業性が低下しやすくなる場合がある。
本発明を実施するにあたり、上記構成を採用することにより本願の目的が達成される理由を明らかにする必要はないが、例えば次のことが考えられる。すなわち、St/IBブロック共重合体をベースポリマーとして用いた粘着剤は、凝集力が高いため、ポリイソブチレンをベースポリマーとする粘着剤に比べて耐浮き上がり性の点では有利なものとなり得るものの、被着体表面に貼付け跡を残しやすいため塗膜保護シートとしては不向きである(後述する例16,17)。ところが、ポリイソブチレンをベースポリマーとしつつ、副成分としてSt/IBブロック共重合体を配合することにより、ポリイソブチレンの特長を維持しつつ耐浮き上がり性が大きく改善され、高性能な塗膜保護シートが実現されたものと推察される。
以下、本発明に関連するいくつかの実験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
プロピレンのホモポリマー(日本ポリプロ株式会社製品、商品名「ノバテックPP FY4」)70部、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン株式会社製品、商品名「カーネル KF380」)20部、ルチル型二酸化チタン(石原産業製品、商品名「タイペーク(TIPAQUE) CR−95」)10部を含む基材成形材料をフィルム成形機にて溶融混練し、該成形機のTダイから押し出して、厚さ40μmのPP樹脂フィルム(支持基材)を成形した。この基材の背面(粘着剤層を設ける側とは反対側の面)に、長鎖アルキル系の剥離処理剤を、乾燥後の厚みが約0.05μmとなるように塗工した(剥離処理)。このようにして本例に係る支持基材を得た。
ベースポリマーとしてのポリイソブチレン100部、St/IBブロック共重合体20部、粘着付与剤0.5部、および紫外線吸収剤0.5部を、これらの合計量が15%となるようにトルエンと混合して、本例に係る粘着剤液を調製した。ポリイソブチレンとしては、BASF社製の商品名「Oppanol B−80」(Mw約90万、Mn約25万)を使用した。St/IBブロック共重合体としては、カネカ社製の商品名「SIBSTER 062T」(以下、単に「062T」と表記することもある。)を使用した。この062Tは、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体から実質的に構成され、Mwは約6万、スチレン含量(質量基準、以下同じ。)は23%である。粘着付与剤としては、住友デュレズ社製のp−tert−オクチルフェノール樹脂、商品名「デュレズ(Durez)19900」(Mw1300、SP値11.2)を使用した。紫外線吸収剤としては、BASF社製の「Tinuvin 326」を使用した。
上記支持基材の前面(剥離処理が施されていない面)に上記粘着剤液を塗工し、乾燥させて厚み10μmの粘着剤層を形成し、ロール状に巻き取った。このようにして、本例に係る粘着シートサンプルを作製した。
<例2>
St/IBブロック共重合体として、例1で用いた062Tに代えて、カネカ社製の商品名「SIBSTER 062M」(以下、単に「062M」と表記することもある。)を使用した。この062Mは、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体とStブロック−IBブロック構造のジブロック体とを60:40の質量比で含有し、Mwは約5万、スチレン含量は23%である。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例3>
St/IBブロック共重合体として、例1で用いた062Tに代えて、カネカ社製の商品名「SIBSTER 072T」(以下、単に「072T」と表記することもある。)を使用した。この072Tは、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体から実質的に構成され、Mwは約6.5万、スチレン含量は23%である。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例4>
St/IBブロック共重合体として、例1で用いた062Tに代えて、カネカ社製の商品名「SIBSTER 073T」(以下、単に「073T」と表記することもある。)を使用した。この073Tは、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体から実質的に構成され、Mwは約7万、スチレン含量は30%である。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例5>
St/IBブロック共重合体として、例1で用いた062T 20部に代えて、カネカ社製の商品名「SIBSTER 102T」(以下、単に「102T」と表記することもある。)5部を使用した。この102Tは、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体から実質的に構成され、Mwは約10万、スチレン含量は15%である。その他の点については例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例6〜例8>
例5において、ポリイソブチレン100部に対する102Tの使用量を10部(例6)、20部(例7)および50部(例8)にそれぞれ変更し、その他の点については例5と同様にして粘着剤液を調製した。この粘着剤液を用いた点以外は例1と同様にして粘着シートサンプルを作成した。
<例9>
例7において、デュレズ19900 0.5部に代えて、荒川化学社製の粘着付与剤、商品名「アルコンP100」(脂環族飽和炭化水素樹脂、SP値8.2)5部を使用した。その他の点は例7と同様にして粘着剤液を調製した。この粘着剤液を用いた点以外は例1と同様にして粘着シートサンプルを作成した。
<例10>
例7において、デュレズ19900 0.5部に代えて、BASF社製の低分子量ポリイソブチレン(以下、「低分子量PIB」と表記することがある。)、商品名「Oppanol B−12SFN」(Mw約7万、Mn約2.6万)20部を使用した。その他の点は例7と同様にして粘着剤液を調製した。この粘着剤液を用いた点以外は例1と同様にして粘着シートサンプルを作成した。
<例11>
St/IBブロック共重合体として、例1で用いた062T 20部に代えて、カネカ社製の商品名「SIBSTER 103T」(以下、単に「103T」と表記することもある。)10部を使用した。この103Tは、Stブロック−IBブロック−Stブロック構造のトリブロック体から実質的に構成され、Mwは約10万、スチレン含量は30%である。その他の点は例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例12>
例11において、ポリイソブチレン100部に対する103Tの使用量を20部に変更し、その他の点は例11と同様にして粘着剤液を調製した。この粘着剤液を用いた点以外は例1と同様にして粘着シートサンプルを作成した。
<例13>
本例では、例1において使用したSt/IBブロック共重合体に代えて、住友化学社製の非晶質ポリプロピレン、商品名「タフセレン H5002」(Mw20万)を使用した。その他の点は例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例14>
本例では、例1において使用したSt/IBブロック共重合体に代えて、住友化学社製のSEBS、商品名「DYNARON 8600P」(Mw9万、スチレン含量15%)を使用した。その他の点は例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例15>
本例では、St/IBブロック共重合体を使用せず、ポリマー成分としてポリイソブチレンのみを使用した。その他の点については例1と同様にして、本例に係る粘着シートサンプルを作製した。
<例16>
例15におけるポリイソブチレンに代えて062M(St/IBブロック共重合体)を使用し、その他の点については例15と同様にして粘着剤液を調製した。この粘着剤液を使用した点以外は例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
<例17>
例15におけるポリイソブチレンに代えて102T(St/IBブロック共重合体)を使用し、その他の点については例15と同様にして粘着剤液を調製した。この粘着剤液を使用した点以外は例1と同様にして粘着シートサンプルを作製した。
例1〜17で作製した粘着シートサンプルにつき、以下の評価試験を行った。それらの結果を、各例に係る粘着剤の組成とともに表1〜3に示す。
[貯蔵弾性率G’の測定]
各粘着剤液の調製に使用した材料(トルエンを除く。)を2軸混練機にて混練し、フィルム状(厚み2mm)に成形した。これを直径8mmのパラレルプレートに合わせて打ち抜いた測定用サンプルを、動的粘弾性スペクトル測定器(レオメトリックサイエンティフィック社製の型式「ARES」)にセットし、JIS K7244−1に準拠して、10Hzの周期にて剪断モードで歪みを与えつつ、5℃/分の昇温速度で−50℃から120℃まで温度を上昇させた。その結果から、23℃における貯蔵弾性率Aおよび70℃における貯蔵弾性率Bを求めた。
[粘着力(剥離強度)]
粘着力は、JIS Z 0237(2000)に準拠して測定した。すなわち、各例に係る粘着シートサンプルを幅25mmの帯状に裁断して試験片を作成した。23℃、50%RHの標準環境において、鋼板に酸エポキシ架橋型アクリル系塗料(関西ペイント株式会社製品、商品名「KINO1210TW」)を塗装してなる塗板を石油ベンジンで脱脂し、これに上記試験片を貼り付けた。該貼り付けは、JIS Z 0237:2000に規定する2kgゴムローラを3m/分の速度で一往復させて圧着することにより行った。この試験片を上記標準環境に48時間保持した後、同環境において、引張試験機を用いて、剥離速度(クロスヘッドスピード)を300mm/分と30m/分との二水準とし、剥離角度180度の条件で剥離強度[N/25mm]を測定した。
上記と同様にして酸エポキシ架橋型アクリル系塗料塗装塗板に貼り付けた試験片を、70℃の乾燥オーブン中に48時間保持した後、該オーブンから試験片を取り出し、上記標準環境に2時間以上放置した。次いで、上記と同様に標準環境にて、剥離速度を300mm/分と30m/分の二水準として、180度剥離強度[N/25mm]を測定した。
測定はそれぞれ3回行った。表1〜3にはそれらの算術平均値を示している。
[耐浮き上がり性]
図2(a)に示すように、上記酸エポキシ架橋型アクリル系塗料(関西ペイント株式会社製品、商品名「KINO1210TW」)塗装塗板22の片面の一端に、厚み4.5mmのアクリル板24を固定した。アクリル板24の固定位置は、塗板22の他端22Aからアクリル板24の近位端24Aまでの距離が90mmとなるように調整した。各例に係る粘着シートサンプルを幅25mmの帯状に裁断して試験片30を作製した。23℃、50%RHの標準環境において、この試験片30を弛ませず且つ引き伸ばさないように注意しつつ、アクリル板24から塗板の他端22Aにかけてまっすぐに(試験片30の長手方向に沿う断面が直線形状となるように)配置した。次いで、図2(b)に示すように、試験片30の長手方向の一端をアクリル板24の上面に貼り付け、試験片30の他端を引っ張って長手方向に4mm(4.4%)延伸しつつ、ハンドローラを用いて、図2(c)に示すように、塗板の他端22Aから80mm(初期貼り付き長さ)の位置まで試験片30を塗板22に貼り付けた。これを上記標準環境下に保持し、貼り付けから48時間経過後の剥がれ距離(初期貼り付き長さからの剥がれ量;図2(d)参照)を測定した。その結果から、以下の基準により耐浮き上がり性を判定した。
○:剥がれ距離40mm未満
△:剥がれ距離40mm以上50mm未満
×:剥がれ距離50mm以上
[跡付き防止性]
各例に係る粘着シートサンプルを50mm×80mmの長方形状に裁断して試験片を作製した。この試験片を、上記酸エポキシ架橋型アクリル系塗料(関西ペイント株式会社製品、商品名「KINO1210TW」)塗装塗板に、意図的にシワと気泡を入れながら貼り付け、70℃の乾燥オーブンにて7日間保存した。上記オーブンから試験片を取り出し、23℃、50%RHの標準環境に2時間保持した後、塗板から試験片を剥がした。試験片が貼り付けられていた箇所の塗膜表面を目視で観察して、試験片の貼付け跡の有無を評価した。その結果から、以下の基準により跡付き防止性を判定した。
○:貼付け跡が認められない。もしくは、僅かな貼付け跡が認められるが、80℃のオーブンで1時間加熱すると消える。
△:貼付け跡が認められるが、80℃のオーブンで1時間加熱すると、実用上問題ない程度に薄くなる。
×:貼付け跡が認められ、80℃のオーブンで1時間加熱しても消えない。
[糊残り防止性]
糊残りが生じやすい表面状態を意図的に作り出すため、45cm×30cmの鋼板にアルキドメラミン系塗料(関西ペイント株式会社製品、商品名「TM13RC」)を塗装してなる塗膜の表面を、羊毛バフ(日立工機株式会社製品、商品名「959−721」)を取り付けた電動ポリッシャー(マキタ株式会社製品、型番「PV7001C」)により、研磨剤(住友スリーエム社製品、商品名「ハード5982−1−L」)を用いて、1500rpmの運転条件で上下左右に5分間研磨した。その後、仕上げ用ネル地により表面の研磨剤を除去したものを被着体とした。以上の操作は、温度23℃、湿度50%RHの標準環境下にて行った。
各例に係る粘着シートを幅50mmの帯状に切断して試験片を作製した。該試験片を上記被着体に圧着し、80℃の環境下に4日間、次いで上記標準環境下に6時間保持した。さらに、糊残りが生じやすい0℃の環境下に4時間保持した後、同環境下において、試験担当者が被着体から試験片を、剥離角度約90度、剥離速度約100mm/分の条件で、手剥離にて引き剥がした。剥離後の塗膜表面につき目視観察により糊残りの有無を評価した結果と、被着体表面と粘着剤層との界面における粘着剤の挙動を剥離時に観察した結果から、以下の基準で糊残り防止性を判定した。
○:糊残りがなく、剥離時における粘着剤の糸引きは認められない。
△:糊残りはないが、剥離時に粘着剤の糸引きが認められる。
×:糊残りがある。
[相溶性]
各例において調製した粘着剤液を透明なPETフィルム上で乾燥させて、厚み約1mmの膜状の粘着剤を形成した。その粘着剤を目視で観察し、以下の基準により相溶性を判定した。
○:粘着剤が透明である(相溶性良)。
×:粘着剤が白濁している(相溶性不良)。
Figure 2013194130
Figure 2013194130
Figure 2013194130
これらの表に示されるように、ポリイソブチレンをベースポリマーとし、該ポリイソブチレン100部当たり70部以下(より具体的には、5部〜50部)のSt/IBブロック共重合体を配合してなる粘着剤を備える例1〜12に係る粘着シートサンプルの耐浮き上がり性は、いずれも、St/IBブロック共重合体を配合していないサンプル(例15)に比べて明らかに改善されていた。詳しくは、例1〜12によると、例15に比べて、耐浮き上がり性試験における剥がれ距離を13mm以上(約25%以上)短くすることができた。また、これら例1〜12のサンプルは、いずれも、糊残り防止性の点でも例15と同等以上の性能を示すものであった。また、例1〜12のサンプルは、いずれも、塗膜保護シートとして適した粘着力(180度剥離強度)を安定して示すことが確認された。
ポリイソブチレンに配合するポリマーとして、St/IBブロック共重合体に代えて非晶質ポリプロピレンを用いた例13では、耐浮き上がり性の改善効果はみられたものの、剥離速度30m/分における粘着力が低くなり、保護シートとしての性能が低下した。また、ポリイソブチレンと非晶質ポリプロピレンとの相溶性が低いため、粘着剤層が白濁していた。St/IBブロック共重合体に代えてSEBSを用いた例14では、耐浮き上がり性の改善効果はみられたものの、跡付き防止性が明らかに低下した。また、70℃に48時間保持することにより剥離速度30m/分における粘着力が大きく上昇し、粘着力の安定性および剥離作業性に難のあるものであった。さらに、ポリイソブチレンとSEBSとの相溶性が低いため、粘着剤層が白濁していた。St/IBブロック共重合体をベースポリマーとして用いた例16および例17は、跡付き防止性の点で塗膜保護シートには不向きなものであった。また、例16では70℃に48時間保持することにより剥離速度30m/分における粘着力が大きく上昇し、例17では23℃に48時間保持した後の剥離速度30m/分における粘着力が低い等、保護シートとしての各種性能のバランスに難のあるものであった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明に係る塗膜保護シートは、例えばアクリル系、ポリエステル系、アルキド系、メラミン系、ウレタン系、酸エポキシ架橋系、あるいはこれらの複合系(例えばアクリルメラミン系、アルキドメラミン系)等の、種々の組成の塗料で塗装処理された保護対象物品(上記塗装処理により形成された塗膜を有する物品、例えば自動車のボディやその部品、あるいは鋼板等の金属板やその成形品等)の塗膜上に貼り付けられて、該塗膜を微小物の衝突や薬品の接触等から保護する用途に好ましく使用され得る。特に、屋外で長期間保管されたり熱帯その他様々な気候の地域に移送されたりする可能性が高く、且つ塗膜の外観意匠に対する要求レベルの高い自動車用(例えば自動車ボディの外装塗膜用)の塗膜保護シートとして好適である。
1:支持基材
2:粘着剤層
10:塗膜保護シート
22:塗板(被着体)
24:アクリル板
30:試験片

Claims (6)

  1. 支持基材上に粘着剤層を有する塗膜保護シートであって、
    前記粘着剤層を構成する粘着剤は:
    ベースポリマーとしてのポリイソブチレン;および、
    スチレン/イソブチレンブロック共重合体;
    を含み、
    前記粘着剤における前記スチレン/イソブチレンブロック共重合体の含有量は、前記ポリイソブチレン100質量部当たり、0質量部より多く70質量部以下である、塗膜保護シート。
  2. 前記スチレン/イソブチレンブロック共重合体は、スチレンブロック−イソブチレンブロック−スチレンブロック構造のトリブロック体を主成分とする、請求項1に記載の塗膜保護シート。
  3. 前記粘着剤は、周波数10Hz、温度23℃で測定される室温貯蔵弾性率Aと、周波数10Hz、温度70℃で測定される高温貯蔵弾性率Bとの関係が、下記式:
    (A/B)<1.3;
    を満たす、請求項1または2に記載の塗膜保護シート。
  4. 前記粘着剤は、周波数10Hz、温度23℃で測定される室温貯蔵弾性率Aが4.5×10Pa以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
  5. 前記ポリイソブチレンの重量平均分子量が30×10〜150×10の範囲にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
  6. 前記スチレン/イソブチレンブロック共重合体の重量平均分子量が3×10〜20×10の範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の塗膜保護シート。
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