JP2017155580A - 養生シート - Google Patents
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Abstract
Description
保護対象物に貼り付けて表面を保護する養生シートであって、
基材と、粘着層とを備え、
シート面内で任意の一軸方向に5%伸長したときに発生する定伸長荷重(A)が1〜10N/cmであり、
表面仕上げがBAのステンレス板に対する粘着力(B)が0.2〜5N/cmであり、
前記定伸長荷重(A)と前記粘着力(B)との比率から求められる粘着追従係数(A/B)が0.2〜15であることにある。
前記粘着層は、5〜100μmの厚みを有することが好ましい。
前記基材は、0.52〜10.2mmの厚みを有することが好ましい。
前記粘着層の厚み(C)と前記基材の厚み(D)との比率から求められる粘着層/基材比(C/D)が2×10−3〜40×10−3であることが好ましい。
図1は、本発明にかかる養生シート100の全体構成を示した概略断面図である。養生シート100は、角部M1を有する保護対象物Mに貼り付けて当該角部M1を含む表面M2を保護するために使用されるものであり、基材10と、粘着層20とを備える。ここで、角部M1とは、平行でない二つの平面が交差した部分に形成される交差線を含む凸部又は凹部を意味する。図1では、直交する二つの平面(表面M2)によって形成された外方に凸状に突出する(すなわち、山型の)角部M1が示されているが、二つの平面の交差角は鈍角であってもよいし、鋭角であってもよい。また、二つの平面が180°以上の角度で交差し、内側に凹状に窪んだ(すなわち、谷型の)形状であってもよい。
図2は、養生シート100の特性の説明図である。(a)は保護対象物Mに養生シート100を貼り付けた状態を示す一部切欠き斜視図、(b)は養生シート100の定伸長荷重の測定方法の説明図、(c)は養生シート100の粘着力の測定方法の説明図である。
養生シート100における一つの重要な特性として、養生シート100の定伸長荷重が挙げられる。定伸長荷重とは、養生シート100のシート面内で任意の一軸方向に養生シート100を5%伸長させたとき、当該養生シート100に発生する荷重である。本明細書では、説明の便宜上、定伸長荷重(A)と規定する。定伸長荷重(A)の測定方法としては、図2(b)に示すように、養生シート100(ただし、貼り付け前のものとする。)を幅50mm、長さ200mmに切り出して測定試料100´を準備する。次いで、この測定試料100´の両端にチャック(図示せず)を100mmの間隔で装着し、長さ方向に所定の速度で5%伸長する。この状態で測定試料100´に発生した応力(N)を測定し、測定試料100´の単位幅当たりの荷重(N/cm)に換算する。なお、本発明の養生シート100は略等方性の構造を有するため、上記の一軸方向(図2の場合、切り出した測定試料100´の長さ方向に相当する。)は、任意の方向とすることができる。ちなみに、養生シートが、一定方向に編成された編物を基材として含む場合など、異方性構造を有するものである場合は、養生シートを少なくとも互いに直交する二方向で切り出して各方向における定伸長荷重(A)を測定し、それらの平均値を採用すればよい。
養生シート100におけるもう一つの重要な特性として、養生シート100の粘着力が挙げられる。粘着力とは、保護対象物Mに養生シート100を貼り付けた後、それを引き剥がすために必要な力である。本明細書では、説明の便宜上、粘着力(B)と規定する。粘着力(B)の測定方法としては、図2(c)に示すように、上記の定伸長荷重(A)の測定で使用したものと同じ測定試料100´を表面仕上げがBAのステンレス板Nに貼り付ける。次いで、測定試料100´を一端側よりステンレス板Nから所定の速度で逆向き(180°方向)に引き剥がし、このとき測定試料100´に発生した応力(N)を測定し、測定試料100´の単位幅当たりの荷重(N/cm)に換算する。なお、この方法は、JIS Z 0237に準拠した測定法である。
上述した定伸長荷重(A)は、主に養生シート100の追従性に関係し、粘着力(B)は、主に養生シートの剥離性に関係する。従って、養生シート100を保護対象物Mに貼り付ける際に保護対象物Mの表面M2の形状に養生シート100をうまく追従させながら、保護対象物Mから養生シート100を取り除く際に保護対象物Mの表面M2に損傷や後残りがなく、容易に養生シート100を剥離するためには、定伸長荷重(A)と粘着力(B)とのバランスが極めて重要となる。そこで、本発明では、定伸長荷重(A)と粘着力(B)との比率を粘着追従係数(A/B)と規定し、両者のバランスについて検討を行った。
上述した定伸長荷重(A)は、主に基材10の構造及び物性に関係し、粘着力(B)は、主に粘着層20の構造及び物性に関係する。そこで、基材10及び粘着層20の構造及び物性の一例として、それぞれの厚みに着目し、粘着層20の厚みと基材10の厚みとの比率が、養生シート100の追従性及び剥離性に与える影響について検討を行った。ここで、粘着層20の厚みをCとし、基材10の厚みをDとし、両者の比率から求められる粘着層/基材比(C/D)について検討した。
本発明の養生シート100の構成例について説明する。本発明の養生シート100において、基材10を構成する各層の組み合わせ、及び養生シート100を構成する各層(粘着層20を含む)の積層順は自由であることを先に説明したが、実用的な養生シート100を得るためには、例えば、以下のような構成例が考えられる。構成例(1)〜(3)は、養生シート100を構成する層を表面側から裏面側の順に示してある。
(2)保護層、金属蒸着層、及び透湿防水層(以上、基材10)、並びに粘着層20
(3)防滑層、及び補強層(以上、基材10)、並びに粘着層20
養生シートは、工事現場等での施工後に、保護対象物の表面の形状に追従した状態を長期間維持する必要がある。そこで、粘着追従性の耐久試験を実施し、保護対象物の表面の形状に追従した状態が、どの程度維持されているかを確認した。試験条件は、JIS A 6921に準拠した壁紙に覆われた保護対象物Mを用意し、図1に示すように、直交する二つの平面(表面M2)によって形成された角部M1の形状に追従させて、養生シートを保護対象物Mに貼り付け、1週間放置した。試験終了後、養生シートを観察し、保護対象物Mからの「浮き」、及び「剥がれ」の有無により粘着追従性を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:「浮き」、及び「剥がれ」の何れも確認されなかった。
△:「浮き」が一部確認されたものの、「剥がれ」は確認されなかった。
×:「浮き」、及び「剥がれ」の何れも確認された。
養生シートを取り除く際には、保護対象物の表面に損傷や後残りがなく、容易に剥離する性能が求められる。そこで、粘着追従性の耐久試験の後に、養生シートを保護対象物Mから剥離して、養生シートの除去時損傷性を評価した。評価は、「保護対象物の表面の損傷」、及び「養生シートの破れによる後残り」の有無について行った。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
○:「保護対象物の表面の損傷」、及び「養生シートの破れによる後残り」の何れも確認されなかった。
△:「保護対象物の表面の損傷」は確認されなかった。「養生シートの破れによる後残り」は確認されたが、容易に除去できるものであった。
×:「保護対象物の表面の損傷」、及び「養生シートの破れによる後残り」の何れも確認され、養生シートの材料破壊により後残りを除去することが不可能であった。
図3に示す4層構造を有する養生シートを、以下の手順で作製した。
1.下記の防水補強層、発泡層、及び防水層を、サーマルラミネート法によって一体化し、厚み2.07mmの基材を作製した。
・防水補強層:押出ラミネート法によって、線数(1インチ当りの網点数)25の格子柄の凹凸構造を形成した厚さ40μmのポリエチレン樹脂系フィルム(酒井化学工業株式会社製 LL0.04)
・発泡層:厚さ2.0mmのポリエチレン樹脂系発泡シート(酒井化学工業株式会社製 ミナフォーム#220)
・防水層:下面にコロナ処理を行った厚さ40μmのポリエチレン樹脂系フィルム(酒井化学工業株式会社製 LL0.04)
2.基材の下面(コロナ処理を行った面)に、ポリアクリル系樹脂からなる再剥離性粘着剤(サイデン化学株式会社製 ATR−347)を塗布して厚み20μmの粘着層を形成し、実施例1の養生シートを得た。
防水補強層、及び防水層の厚みを夫々20μmとし、発泡層の厚みを1.0mmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例2の養生シートを得た。
防水補強層、及び防水層の厚みを夫々20μmとし、発泡層の厚みを6.0mmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例3の養生シートを得た。
発泡層の厚みを0.5mmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例4の養生シートを得た。
粘着層の厚みを5μmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例5の養生シートを得た。
粘着層の厚みを40μmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例6の養生シートを得た。
防水補強層、及び防水層の厚みを夫々20μmとし、発泡層の厚みを1.0mmとし、粘着層の厚みを40μmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例7の養生シートを得た。
防水補強層、及び防水層の厚みを夫々90μmとし、発泡層の厚みを1.0mmとし、粘着層の厚みを5μmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により実施例8の養生シートを得た。
発泡層の厚みを10.0mmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により比較例1の養生シートを得た。
粘着層の厚みを100μmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により比較例2の養生シートを得た。
防水補強層、及び防水層の厚みを夫々10μmとし、発泡層の厚みを0.5mmとし、粘着層の厚みを40μmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により比較例3の養生シートを得た。
防水補強層、及び防水層の厚みを夫々80μmとし、発泡層の厚みを10.0mmとした。それ以外は、実施例1と同様の材料を使用し、同様の手順により比較例4の養生シートを得た。
実施例1〜8、及び比較例1〜4の養生シートについて、構造及び性能を表1にまとめた。
20 粘着層
100,101 養生シート
M 保護対象物
M1 角部
M2 表面
Claims (4)
- 保護対象物に貼り付けて表面を保護する養生シートであって、
基材と、粘着層とを備え、
シート面内で任意の一軸方向に5%伸長したときに発生する定伸長荷重(A)が1〜10N/cmであり、
表面仕上げがBAのステンレス板に対する粘着力(B)が0.2〜5N/cmであり、
前記定伸長荷重(A)と前記粘着力(B)との比率から求められる粘着追従係数(A/B)が0.2〜15である養生シート。 - 前記粘着層は、5〜100μmの厚みを有する請求項1に記載の養生シート。
- 前記基材は、0.52〜10.2mmの厚みを有する請求項1又は2に記載の養生シート。
- 前記粘着層の厚み(C)と前記基材の厚み(D)との比率から求められる粘着層/基材比(C/D)が2×10−3〜40×10−3である請求項1〜3の何れか一項に記載の養生シート。
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