JP6963459B2 - コンクリート養生テープ - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート養生テープに関し、詳しくは、道路、空港舗装、広場、工場内舗装等における土木建築工事で打設されたコンクリートの養生に用いられるコンクリート養生テープに係るものである。
従来、コンクリート工事において、コンクリートの養生は、打設後の所定期間、コンクリートの表面の湿度及び温度を適切な状態に保つとともに、外気温度による寒暖差、日射、風等からコンクリートの表面を保護するものであり、コンクリートの表面の品質を向上させるために重要である。
従来養生のため用いられている筵や樹脂シートの場合は、壁面や天井面に対する養生がしにくく、貼付時の作業効率が悪いという問題を抱えていた。そのため、貼付時の作業性に優れる粘着剤層を有する養生テープが特許文献1に提案されている。しかしながら、日射によりコンクリート表面の温度が高くなり、コンクリート内部との温度差によりヒビ割れが生じる虞があった。また、日射により粘着剤層が劣化し、養生後剥離する際に糊残りが発生する虞もあった。
特開2002−255670号公報
本発明は、前述の問題を解決するものであり、養生中の保湿性だけでなく、施工性、遮熱性および耐劣化に優れるコンクリート養生テープを提供することを目的とする。
本発明は、基材層および粘着層を有するコンクリート養生テープであって、基材層が金属および非透水性フィルムを含有し、長手方向における引張最大荷重が8N以上であって、長手方向における引裂最大荷重と長手方向における引張最大荷重の比が1:1から1:5の範囲内であるコンクリート養生テープである。
また、基材層が、金属を含有する非透水性フィルムの少なくとも一方の面に非透水性フィルムを備えていることが好ましい。
本発明のコンクリート養生テープは、養生中の保湿性だけでなく、施工性、遮熱性および耐劣化に優れる。
本発明の実施形態の一例であるコンクリート養生テープを示す断面模式図である。 本発明の実施形態の他の例であるコンクリート養生テープを示す断面模式図である。
本発明のコンクリート養生テープは、長手方向における引張最大荷重が特定値以上であり、非透水性フィルムを含む基材層および粘着層を有しているため、養生中の保湿性に優れ、さらに貼付時の作業がしやすく施工性に優れる。長手方向に強く引っ張った場合でも切れにくく、貼り付け時および撤去時の作業がしやすい。また、コンクリート養生テープは、基材層に金属を含んでいるため日射による影響を受けにくく、遮熱性に優れるため温度差によるコンクリート表面のヒビ割れを生じにくく、また、紫外線による粘着層の耐劣化にも優れる。
なお、本発明でいう長手方向とは、コンクリート養生テープを筒状にした場合の巻き取り方向のことをいう。また、本発明において引張最大荷重とは、引張試験時の最大荷重であり、引裂最大荷重とは、引裂試験時の最大荷重である。
図1に本発明のコンクリート養生テープ1の一例を示している。本発明のコンクリート養生テープ1は、図1に示すように、基材層2および粘着層3を有し、基材層2は、金属4および非透水性フィルム5を含有している。
粘着層3は、コンクリート養生テープ1をコンクリートに接着するための層であり、コンクリート等への密着が良好で、紫外線による劣化が小さく、湿潤状態になっても剥がれず粘着(密着)性を維持し、再剥離性がある粘着樹脂が好ましい。粘着樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、シリコーン系、天然・合成ゴム系のいずれかの粘着樹脂が挙げられるが、なかでもポリアクリル系樹脂は添加剤が混入しやすいため、上記性能の調整がしやすく、加工性も良好であるため、加工性の面で好ましい。また、コンクリート打設後の水分を含んだコンクリート面への粘着性を発揮するためにも親水性のある接着樹脂を用いれば、より効率的に粘着性を発揮できる。
なお、粘着層3のコンクリートへの粘着力は、0.5〜7N/cmの範囲が好ましい。0.5N/cm以上であれば養生時被覆状態を保ちやすく、7N/cm以下であれば養生後にシートを剥がす際、粘着剤が養生対象物に残りにくくなる。
また、粘着層3の粘着樹脂の付与量としては、10〜40g/mが好ましい。10g/m以上であれば十分な粘着力が得られやすく、40g/m以下であれば養生後にシートを剥がす際、粘着剤が養生対象物に残りにくくなる。
さらに、粘着層3の厚みとしては、10μm〜1mmが好ましい。10μm以上であれば十分な粘着力が得られやすく、1mm以下であれば養生後にシートを剥がす際、粘着剤が養生対象物に残り難くなる。
基材層2は、金属4および非透水性フィルム5を含有している。なお、本明細書で用いる「非透水性」とは、水分の透過を妨げる性質のことであり、「非透水性フィルム」とは、JIS L 1092 B法に準拠する耐水圧が5kPa以上のものをいう。非透水性フィルムとして、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン等の非結晶ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、アミン−ウレタン共重合体等のポリウレタン系樹脂の中から1種もしくは2種以上を用いることができる。なかでも、経済性や生産性の観点からオレフィン系樹脂が好ましい。さらに好ましくは耐久性の観点でポリプロピレンが好ましい。
非透水性フィルム5には、必要に応じ、紫外線吸収剤や光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、可塑剤、末端封鎖剤、滑剤、有機滑剤、塩素捕捉剤、ブロッキング剤、粘度調整剤等を1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
基材層2において、金属4と非透水性フィルム5の含有形態は特に限定されず、例えば、非透水性フィルム中に金属を練り込み等で含有させる方法、層状の金属と非透水性フィルムを積層させる方法が挙げられる。耐久性の観点から、非透水性フィルム中に金属を含有させる方法が好ましく、遮熱性の観点からは、層状の金属と非透水性フィルムを積層させる方法が好ましい。
非透水性フィルム中に金属を含有させる例を図2に示す。非透水性フィルム5の中に金属4が存在する基材層2と粘着層3が積層されている。なお、非透水性フィルム5中に金属4を含有させる場合、金属4は粒子状であることが遮熱性および耐久性の面で好ましい。
金属粒子が非透水性フィルムに含有される場合の金属粒子の素材は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銀、錫、チタン、鉄、亜鉛、銅、珪素、マグネシウム等、並びに、これらからなる各種の合金が挙げられるが、生産性や経済性の点からアルミニウムが好適である。金属粒子としてアルミニウム微粒子を使用する場合、耐アルカリ性を向上させ、アルミニウム微粒子の酸化、変色、溶解を防止するため、アルミニウム微粒子の表面をアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等でコーティングしておくことが好ましい。金属粒子のサイズは、nmオーダーからμmオーダーのものまで使用可能である。金属粒子の添加量は、非透水性フィルムに対して1〜10重量%であることが好ましい。添加量が1重量%未満の場合、十分な遮熱、保温効果を得ることが困難となる。添加量が10重量%を超える場合、非透水性フィルムの内部で凝集等が発生して強度が低下する虞がある。
金属を含有させた非透水性フィルムを複数積層することができ、金属を含有させた非透水性フィルムと金属が含有されない非透水性フィルムとを積層することもできる。また、金属を含有させた非透水性フィルムの少なくとも一方の面に、非透水性フィルムを設けるとハリ、コシがあるため施工性の面で好ましく、金属を含有させた非透水性フィルムの両面に金属が含有されない非透水性フィルムを設けると、さらに耐久性が向上し好ましい。
金属4を層状にした金属層と非透水性フィルム5を積層させる場合、金属層の素材は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銀、チタン、亜鉛、銅、珪素、マグネシウム等、並びに、これらからなる各種の合金が挙げられるが、生産性や経済性の点からアルミニウム及びステンレスが好適である。
金属層には、必要に応じ、紫外線吸収剤や光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、可塑剤、未端封鎖剤、滑剤、有機滑剤、塩素捕捉剤、ブロッキング剤、粘度調整剤等を、1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、金属層を複数積層させることができる。また、非透水性フィルムを複数積層させることができる。図1のように金属4を層状にした金属層の両面に非透水性フィルム5を設けると耐久性の面で好ましい。
また、金属層と非透水性フィルムを積層させる方法としては、金属箔と非透水性フィルムとを積層する方法、金属を非透水性フィルム表面に印刷する方法、金属を非透水性フィルムの表面に蒸着させる方法が挙げられる。
金属箔と非透水性フィルムとを積層する場合、金属箔としては、純度95%以上であることが好ましく、厚みは3〜30μmであることが好ましい。3μm以上であれば、金属箔の製膜を安定的に行うことが可能であり、十分な遮熱性および保温性を発揮することができる。また、30μm以下であれば、シートして十分な強度、遮熱性および保温性をあわせ持ち、経済的である。
金属箔は、裂けやすいため、また、水分や湿度の影響により変色しやすいため、非透水性フィルムを積層させることが好ましい。この場合の積層方法としては、接着樹脂を介し金属層を非透水性フィルムに接着する方法が挙げられ、例えば、Tダイラミネート、ドライラミネート、ウェットラミネートのような接着樹脂を全面に塗布する方法や、超音波溶着、熱ラミネート等の方法が挙げられるが、なかでもTダイラミネートが接着強度、生産性の面で好ましい。
金属を非透水性フィルム表面に印刷する法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、ナイフコート法、コンマコート法等が挙げられる。印刷法では、金属粒子をバインダーとともに溶媒に分散させた金属ペーストが使用される。金属ペーストには、光輝性を向上させるため、パール顔料を添加することも可能である。印刷された金属ペーストには、金属を1〜30%含むことが好ましい。フィルムへの金属の印刷厚さは、1〜20μmに調整される。この範囲であればフィルムの風合いを損なうことなく、遮熱、保温に優れる。フィルムへの金属ペーストの塗布量は、0.5〜10g/mに調整される。塗布量が0.5g/m未満の場合、十分な遮熱、保温効果を得ることが困難となる。塗布量が10g/mを超える場合、非経済的であり、フィルムが硬化し風合いを損なう虞がある。印刷する際のフィルム表面に対する金属層の面積は40%以上とすることが好ましい。面積が40%未満の場合、十分な遮熱、保温効果を得にくい。なお、金属ペーストとしてアルミニウム微粒子を含むものを使用する場合、耐アルカリ性を向上させ、アルミニウム微粒子の酸化、変色、溶解を防止するため、アルミニウム微粒子の表面をポリアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等でコーティングしておくことが好ましい。また、アルミニウム微粒子とともに使用するバインダーについても、耐アルカリ性を有する樹脂を選択することが好ましい。
金属を非透水性フィルムの表面に蒸着させる方法としては、物理蒸着法(PVD)又は化学蒸着法(CVD)の何れの方法でも可能である。フィルムへの金属の蒸着厚は、20〜100nmに調整される。蒸着厚が20nm未満の場合、十分な遮熱、保温効果を得にくい。蒸着厚が100nmを超える場合、それ以上の遮熱、保温効果の向上は見込めないため不経済となる。金属蒸着面の酸化、変色、溶解を防止するため、ポリアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等でコーティングしておくことが好ましい。
基材層2の長手方向における引張最大荷重が8N以上であり、また、短手方向における引張最大荷重が5N以上であると、コンクリート養生テープの引張最大荷重を高くすることが容易になるため好ましい。また、基材層2の長手方向および短手方向における引裂最大荷重が3N以上であると施工中に突起物等に接した際に裂けにくく、施工性の面で好ましい。長手方向における引裂最大荷重と引張最大荷重の比が1:1から1:5の範囲内であると施工中に破れることなく展開することができ、コンクリート面にも追従しやすくなるため、好ましい。より好ましい範囲は、1:1〜1:3.5である。
なお、基材層2は、本発明の思想を妨げなければ、上述以外の層を含んでいても構わない。
本発明のコンクリート養生テープ1は、基材層2と粘着層3とを積層することにより製造される。積層方法としては、ナイフコーティング法、グラビアロールコーティング法、ロールコーティング法、フレキソコーティング法、スプレー吹付けコーティング法等の方法が挙げられ、なかでも、生産性の観点からナイフコーティング法が好適に採用される。
また、基材層2の粘着層3側と反対の面、すなわち、コンクリート側とは反対側の面には、剥離性および耐摩擦性のある離型層を設けてもよい。離型層としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂などが挙げられる。塗工量は、0.1〜2.0g/mであることが好ましい。0.1g/m未満であると、自背面粘着力が強く、ロール状に巻きあげた場合にシート表面の離型層と粘着層がブロッキングし基材層に損傷を生じるおそれがあり、2.0g/m以上であると、自背面粘着力が弱くなりすぎ、施工した養生テープ同士を重ねて貼り合わせた部分から剥がれ易く、保湿できなくなるおそれがある。
コンクリート養生テープの長手方向における引張最大荷重が8N以上であることが肝要である。8N以上であれば、施工時に展開しやすいため作業しやすく施工性に優れる。また、短手方向における引張最大荷重が5N以上であると養生後剥離する際作業性が良く好ましい。また、コンクリート養生テープの長手方向および短手方向における引裂最大荷重が3N以上であると、施工中に突起物等に接した際に裂けにくく、また、養生後剥離する際作業性が良く好ましい。長手方向における引裂最大荷重と引張最大荷重の比が1:1から1:5の範囲内であると、施工中に破れることなく展開することができ、コンクリート面にも追従しやすくなるため好ましい。より好ましくは、1:1〜1:3.5である。さらに短手方向における引裂最大荷重と引張最大荷重の比が1:1から1:5の範囲内であると、短手方向においても展開時の耐破れと追従しやすさが優れるため好ましい。
また、コンクリート養生テープには、本発明の思想を阻害しない範囲で他の層を付与しても良く、例えば、補強層、保温層、保水層などが挙げられる。補強層としては、織物、編物、不織布、ネット状シートなどが挙げられる。なお、ネット状シートとは、割繊しテープ状にしたフィルムを、格子等の多角形状やクモの巣状に交叉させて交点を接着したネット状のシートであり、商品名としては、例えば、ソフ(登録商標、積水フィルム株式会社製)やワリフ(登録商標、JX ANCI株式会社製)が挙げられる。保温層としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂系およびゴム系発泡シートやグラスウールなどが挙げられる。保水層としては、不織布や、織布これを基材シートとして吸水樹脂を固定したもの、又は繊維に一体化したものを用いることができる。
コンクリート養生テープの厚みは、0.3〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.4〜0.8mmである。0.3mm以上であれば、施工に適度なハリ感やコシ感が得られる。また2mm以下であれば施工性や運搬性が向上する。
コンクリート養生テープの単位面積当たりの重量は、50〜300g/mであることが、好ましい。50g/m以上であれば、施工時に風の影響によるバタつき等を軽減でき、300g/m以下であれば施工性や運搬性が向上する。
コンクリート養生テープの製品としては、幅が40〜150cmで、1巻の長さが10〜50mであることが好ましい。特に幅60〜80cm、かつ、1巻の長さ20〜30mであることが、施工性や運搬性の面で好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもその実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性および評価は、以下の方法により行った。
<測定方法>
1.厚み[mm]
JIS K7311.5.1.2(厚さ)に準じて測定を行った。
2.引張最大荷重[N]
長手方向、短手方向のそれぞれに対し、JIS K7311 5 (引張試験)に準じて、試験片の切断時に至るまでの最大荷重を読み取った。
3.引裂最大荷重[N]
長手方向、短手方向のそれぞれに対し、JIS K7311 6 (引裂試験)に準じて、試験片の切断時に至るまでの最大荷重を読み取った。
4.赤外線反射率[%]
赤外線反射率は、紫外・可視・近赤外線分光光度計(株式会社島津製作所製 UV−3600)を使用し、施工時の外側面になる面、すなわち、粘着層と反対側の面に対し、計測波長2000〜2600nmの条件下で赤外線反射率を測定した。
5.粘着力[N/cm]
生コンクリート(77重量部のトーヨーマテラン株式会社製インスタントコンクリートに23重量部の水を混合したもの)を13mm×30mm×125mmの大きさの型枠に入れ、24時間25℃で放置して作製した試験板を使用し、JIS Z0237 10(粘着力 180°剥離)に準じて測定を行った。
<評価方法>
1.保湿性
ガラスシャーレに精製水20mLを滴下させ、その後、各シート10cm×10cmの粘着層側、すなわち、養生時コンクリートに接する面側を下にした状態でガラスシャーレ上に静置した。夏場の日射を想定してレフランプ(100V、500W)を各試験体表面50cmの高さより照射を行い、1時間後の保水率を下記計算式により算出した。
[式]
保水率[%]=(精製水の滴下1時間後のシートとシャーレの重量[g]−精製水の滴下前のシートとシャーレの重量[g])/(精製水の滴下直後のシートとシャーレの重量[g]−精製水の滴下前のシートとシャーレの重量[g])×100
(評価基準)
○:1時間後の保水率が80%以上
△:1時間後の保水率が50%以上80%未満
×:1時間後の保水率が50%未満
2.遮熱性評価
30cm×30cmのコンクリート板に、各シート15cm×15cmを下にした状態で静置し、夏場の日射を想定してレフランプ(100V、500W)を各試験体表面50cmの高さより照射を行い、おんどとり(T&D製 TR−71wf)を試験片中央に設置して、温度変化を測定した。
このとき、1時間後の温度を測定し、下記基準にて遮熱性を判断した。
(評価基準)
○:20℃未満
△:20℃以上40℃未満
×:40℃以上
3.腐食処理(アルカリ耐久処理)後の赤外線反射率の保持率
試験片を水酸化カルシウム飽和溶液中に浸漬させ、恒温乾燥機(ADVANTEC製 FC−612)60℃の環境に24時間放置する。その後、紫外・可視・近赤外線分光光度計(株式会社島津製作所製 UV−3600)を使用し、試験片の表側面(施工時の外側面)を計測波長2000〜2600nmの条件下で赤外線反射率を測定し、次の式にて保持率を算出した。
赤外反射率の保持率[%]=(腐食処理後の赤外反射率/初期の赤外反射率)×100
(評価基準)
○:85%以上
△:70%以上85%未満
×:70%未満
4.コンクリート構造体に対する施工性
コンクリート構造体に対して、幅700mmのテープを施工し、その施工性を評価した。
(評価基準)
○:施工時に破けることがなく、角部に対する追従性、及び、基材のハリコシが良好であり、コンクリート構造体を容易に被うことができる。
△:施工時に破けることがなく、角部に対する追従性、及び、基材のハリコシがやや良好であり、コンクリート構造体を被うことができる。
×:施工時に破けてしまい、角部に対する追従性、及び、基材のハリコシが不良であり、コンクリート構造体を被うことは困難である。
5.耐劣化評価(糊残り)
生コンクリート(77重量部のトーヨーマテラン株式会社製インスタントコンクリートに23重量部の水を混合したもの)を20mm×90mm×300mmの大きさの型枠に入れ、24時間25℃で放置して作製した試験板を使用し、50mm×90mmにカットした試験片を貼り合わせ、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)により、2時間/サイクルを100サイクルで照射し、その後、粘着剤(糊)残りの有無を確認した。
(評価基準)
○:コンクリート表面への粘着剤残りがなく、外観上変化なし。
△:コンクリート表面への粘着剤残りが少なく、外観上変化なし。
×:コンクリート表面への粘着剤残りがあり、外観上変化あり。
[実施例1]
100重量部に対して、粒子径が5μmのアルミニウム粒子3重量部を練り込み含有させたポリエチレンフィルム(金属粒子含有非透水性フィルム 厚み40μm)と、その両側にポリプロピレンフィルム(非透水性フィルム 厚み10μm)とを、共押出しTダイ法により積層させ、長手方向の引張最大荷重が11Nとなる基材層を得た。
次いで、基材層の一方の面に離型層用樹脂(直鎖アルキル系離型処理剤)を3g/m塗布した後、基材層のもう一方の面にアクリル系粘着剤(サイデン化学製D202が100重量部に対し、サイデン化学製AL硬化剤を0.6重量部添加したもの)を乾燥後の塗布量が28g/mになるよう塗布し、厚み20μmの粘着層を付与し、コンクリート養生テープを得た。
なお、基材層の長手方向、すなわち、コンクリート養生テープの長手方向は、コンクリート養生テープを筒状にした時の巻き取り方向である。
[実施例2]
ポリプロピレンフィルム(非透水性フィルム 厚み20μm)と厚み7μmのアルミニウム箔との間にポリエチレン樹脂(接着樹脂 東ソー株式会社製 ペトロセン212)を塗布し、Tダイラミネート法によって、ポリプロピレンフィルムとアルミニウム箔とを接着樹脂(厚み15μm)を介し、積層させた。さらに、ポリプロピレンフィルムとは反対側のアルミニウム箔表面にも同様に、同一のポリエチレン樹脂の接着樹脂(厚み15μm)を介して同一のポリプロピレンフィルムを積層し、基材層を得た。上記以外は、実施例1と同様に作製した。
[実施例3]
厚み40μmのアルミニウム箔を用いる以外は、実施例2と同様に作製した。
[実施例4]
押出しTダイ法により、フィルム成形樹脂基材100重量部に対して3重量部を含有させた厚み40μmのポリエチレンフィルムを形成させ、長手方向の引張最大荷重が9Nとなる基材層を得た。上記以外は、実施例1と同様に作製した。
[比較例1]
アルミニウム粒子含有ポリエチレンフィルムを厚み20μmにし、ポリプロプレンフィルムを厚み3μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
[比較例2]
実施例2と同じポリプロピレンフィルムを基材層の代わりに用いる以外は、実施例1と同様に作製した。
[比較例3]
厚み7μmのアルミニウム箔を基材層の代わりに用いる以外は、実施例1と同様に作製した。
実施例1〜4および比較例1〜3の養生テープについて、構成、物性および評価結果を表1にまとめた。
Figure 0006963459
表1に示すように、実施例に係るコンクリート養生テープはいずれも、保湿性、施工性、遮熱性および耐劣化の全てにおいて優れるコンクリート養生テープであった。
これに対して、比較例1は引張最大荷重が低いため施工性が不良なコンクリート養生テープであった。比較例2は施工性、耐劣化が不良であるだけでなく、柔軟性が乏しくコンクリート表面の凹凸に追従出来ず、隙間があるため保湿性に対しても不良なコンクリート養生テープであった。比較例3は、施工性、耐劣化が不良であり、保湿性、遮熱性においても不良であった。
本発明は、様々な実施形態が可能とされるものである。また、上述した実施形態及び実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
1 コンクリート養生テープ
2 基材層
3 粘着層
4 金属
5 非透水性フィルム

Claims (2)

  1. 基材層および粘着層を有するコンクリート養生テープであって、
    基材層が金属および非透水性フィルムを含有し、
    長手方向における引張最大荷重が8N以上であって、
    長手方向における引裂最大荷重と長手方向における引張最大荷重の比が1:1から1:5の範囲内であるコンクリート養生テープ。
  2. 基材層が、金属を含有する非透水性フィルムの少なくとも一方の面に非透水性フィルムを備えている請求項1に記載のコンクリート養生テープ。
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