JP6230839B2 - ポリオレフィン系農業用フィルムおよび農園芸用施設 - Google Patents

ポリオレフィン系農業用フィルムおよび農園芸用施設 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン系農業用フィルムに関するものである。
ポリオレフィン系農業用フィルムは、軽く、展張作業などが容易であることから、広く農業用ハウスに利用されている。
そして、ポリオレフィン系農業用フィルムには、2年以上、耐候性が保持され、散布された農薬などによって性能が低下しないことが求められている。例えば特許文献1には、耐農薬性の改善を目的として、トリアジン骨格および特定のピペリジン環構造を少なくとも2個以上有するヒンダードアミン化合物と紫外線吸収剤を含有するポリオレフィン系農業用フィルムが記載されており、
特許文献2には、トリアジン骨格および特定のピペリジン環構造を少なくとも2個以上有するヒンダードアミン化合物と、アルミニウム、および、リチウムを金属成分とし、少なくとも1種以上のアニオン成分を含有する金属複合水酸化物塩を有効成分として含有する赤外線吸収剤を含有する農業用多層フィルムが記載されている。
特開2003−138035号公報 特開2003−143970号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2などに記載された農業用フィルムは、酸性雨や農薬による酸性条件下に長期間さらされた後の破断強度が十分ではなく、高温高湿下で変色する場合があった。
本発明の目的は、酸性雨や農薬による酸性条件下に長期間さらされた後の破断強度の低下、および高温高湿下における変色が抑制されたポリオレフィン系農業用フィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、二つのポリオレフィン系樹脂層の間に、
下記式(4)で表される化合物および下記式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤と、下記式(1)または下記式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層を有するポリオレフィン系農業用フィルムに係るものである。
Figure 0006230839
(式(1)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、または炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、
nは1〜6の整数である。
n=1のとき、Rは、炭素原子数1〜22のアルキル基、炭素原子数2〜22のアルケニル基、または以下の一般式(2)で表される基であり、
n=2〜6のとき、Rは、n価の炭素原子数2〜20の有機基である。)
Figure 0006230839
(式(2)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、または炭素原子数2〜30のアルケニル基である。)
Figure 0006230839
(式(3)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、
2は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
Aは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、またはエーテル結合を有するアルキレン基である。
nは2〜6の整数である。
Xは−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、炭酸エステル結合を有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、3〜6個の−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数6〜30の有機基、または−C(=O)−である。)
2+ 1-xAl3+ (OH-2・(An-x/n・mH2O (4)
(式(4)中、M2+は、2価の金属カチオンであり、An-はn価のアニオンである。
xは0より大きく、0.5未満の数であり、
mは、0以上2未満の数である。)
[(Li+ (1-x)2+ x)(Al3+2(OH-6]2・(Siy(2y+1) 2-(1+x)・mH2O (5)
(式(5)中、M2+は2価の金属カチオンであり、
mは、0以上5未満の数であり、
xは、0以上1未満の数であり、
yは、2以上4以下の数である。)
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムは、酸性雨や農薬による酸性条件下に長期間さらされた後の破断強度の低下、および高温高湿下における変色が抑制されたポリオレフィン農業用フィルムである。
本発明におけるポリオレフィン系農業用フィルムは、二つのポリオレフィン系樹脂層の間に、
下記式(4)で表される化合物および下記式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤と、下記式(1)または下記式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層を有するポリオレフィン系農業用フィルムである。二つのポリオレフィン系樹脂層は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明におけるポリオレフィン系農業用フィルムは、少なくとも3層を有する多層フィルムである。例えば、2種3層、3種3層、3種4層、4種4層、4種5層、5種5層等が例示できる。
以下、下記式(4)で表される化合物および下記式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤と、下記式(1)または下記式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層を中間層と称することがある。
ポリオレフィン系農業用フィルムが4層以上の多層フィルムである場合は、ポリオレフィン系樹脂層および中間層のどちらとも異なる層を有していてもよく、ポリオレフィン系樹脂層を3層以上有していてもよく、中間層を、2層以上有していてもよい。製膜安定性の観点から、中間層は1層のみ含まれていることが好ましい。
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムが3層フィルムの場合には、各層の厚みの比は、ポリオレフィン系樹脂を含有する層/中間層/ポリオレフィン系樹脂を含有する層が1/2/1〜1/4/1であることが好ましい。
本発明に係るポリオレフィン系農業用フィルムの厚みは、フィルム強度の観点から、0.01mm以上であることが好ましい。一方、展張作業をしやすいという観点から、前記農業用フィルムの厚みは0.3mm以下が好ましい。0.05〜0.25mmの範囲がより好ましく、0.10〜0.15mmが特に好ましい。
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレンと他の単量体との共重合体などのポリエチレン系樹脂が挙げられる。
低密度ポリエチレンとしては、例えば、密度が910〜930kg/mの低密度ポリエチレンが挙げられる。また、高密度ポリエチレンとしては、例えば、密度が941〜970kg/mの高密度ポリエチレンが挙げられる。
エチレンと共重合する他の単量体としては、炭素原子数3〜20のα−オレフィン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンが挙げられる。より好ましくは、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンが挙げられる。前記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは、2種以上を組み合わせてもよく、そのような組み合わせとして、例えば、1−ブテンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合わせ、1−ブテンと1−ヘキセンとの組み合わせ、1−ブテンと1−オクテンとの組み合わせ、1−ブテンと1−デセンとの組み合わせなどが挙げられる。より好ましくは、1−ブテンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合わせ、1−ブテンと1−ヘキセンとの組み合わせが挙げられる。
エチレンを主成分とするエチレンと他の単量体との共重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体などが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、例えば、870〜940kg/mである。
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体として好ましくは、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン共重合体が挙げられる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体に含まれる酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量は、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい(ただし、エチレン・酢酸ビニル共重合体の重量を100重量%とする)。エチレン・酢酸ビニル共重合体の密度は、例えば、910〜950kg/mである。
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜5g/10分であることが好ましい。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に従い、温度190℃および荷重21.18Nの条件でA法により測定される。
[中間層]
本発明に係る中間層は、式(4)で表される化合物および式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤と、式(1)または式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層である。
中間層に含まれるポリオレフィン系樹脂は、上記ポリオレフィン系樹脂が用いられる。ポリオレフィン系樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
中間層に含まれるポリオレフィン系樹脂は、好ましくは、密度が880〜920kg/mであるエチレン・α−オレフィン共重合体である。
〔ヒンダードアミン化合物〕
本発明に係る中間層は、下記式(1)または下記式(3)で表されるヒンダードアミン化合物を含有する。
Figure 0006230839
(式(1)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、または炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、
nは1〜6の整数である。
n=1のとき、Rは、炭素原子数1〜22のアルキル基、炭素原子数2〜22のアルケニル基、または以下の一般式(2)で表される基であり、
n=2〜6のとき、Rは、n価の炭素原子数2〜20の有機基である。)
Figure 0006230839
(式(2)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、または炭素原子数2〜30のアルケニル基である。)
Figure 0006230839
(式(3)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、
2は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
Aは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、またはエーテル結合を有するアルキレン基である。
nは2〜6の整数である。
Xは−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、炭酸エステル結合を有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、3〜6個の−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数6〜30の有機基、または−C(=O)−である。)
前記式(1)および(3)においてRが表す炭素原子数1〜30のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第二ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどの直鎖又は分岐のアルキル基、およびシクロヘキシル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。
一般式(1)においてRが表す炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルなどが挙げられる。
式(1)および(3)においてRが表す炭素原子数2〜30のアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、オレイルなど上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられる。
上記Rはn個の単位毎に同じであっても異なっていてもよい。
式(1)において、n=1のとき、R1は炭素原子数1〜22のアルキル基、炭素原子数2〜22のアルケニル基、または前記一般式(2)の基を表す。
式(1)において、n=1のとき、R1が表す炭素原子数1〜22のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第二ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ベヘニルなどが挙げられる。
式(1)において、n=1のとき、R1が表す炭素原子数2〜22のアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、オレイルなど上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられる。
一般式(1)において、n=1のとき、R1が前記一般式(2)の基を表す場合、一般式(2)のRとしては、一般式(1)のRと同じものが挙げられるが、一般式(1)のRと同じものであっても、異なっていてもよい。
Rは好ましくは炭素原子数10〜22のアルキル基である。
式(1)において、n=2〜6のとき、R1が表すn価の炭素原子数2〜20の有機基としては、n価の多価ヒドロキシ化合物のヒドロキシル基を除く残基が挙げられる。
上記多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAの水添物、ビスフェノールFの水添物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
式(3)において、R2は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基を表す。
上記R2が表す炭素原子数1〜22のアルキル基としては、前記Rにおけるアルキル基のうち、該当する炭素原子数のものが挙げられる。
式(3)においてR2が表す炭素原子数2〜22のアルケニル基としては、前記Rにおけるアルケニル基のうち、該当する炭素原子数のものが挙げられる。
上記R2はn個の単位毎に同じであっても異なっていてもよい。
式(3)において、Aは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、またはエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
上記Aが表す炭素原子数1〜12のアルキレン基としては、例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、テトラメチレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレンなどが挙げられる。
式(3)においてAが表すエーテル結合を有する炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基としては、例えば、
−CH2CH2−O−CH2CH2−、
−CH2CH(CH3)−O−CH2CH(CH3)−、
−CH2CH2−O−CH2CH2−O−CH2CH2
などが挙げられる。
上記Aはn個(nは2〜6)の単位毎に同じであっても異なっていてもよい。
式(3)において、Xは−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数4〜40の直鎖または分岐のアルキレン基を表すか、炭酸エステル結合を有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基を表すか、3〜6個の−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数6〜30の有機基を表すか、または−C(=O)−を表す。
式(3)においてXが表す−C(=O)O−結合を末端に有する炭素原子数4〜40のアルキレン基としては、
−C(=O)−O−(CH2p−O−C(=O)−
(pは2〜40の数を表す。)
などが挙げられる。
式(3)においてXが表す炭酸エステル結合を有するアルキレン基としては、
−C(=O)−R3−O−C(=O)−O−R3−C(=O)−
(R3は炭素原子数2〜18のアルキレン基を表す。)
などが挙げられる。
また、式(3)においてXが表す3〜6個の−C(=O)O−を末端に有する有機基としては、下記の基などが挙げられる。
Figure 0006230839
式(1)で表されるヒンダードアミン化合物としては、具体的には化合物No.1〜No.7が挙げられ、式(3)で表されるヒンダードアミン化合物としては、化合物No.8〜No.10が挙げられる。なかでも、化合物No.1が好ましい。
また、これらの化合物は、WO2005/082852に記載された方法に準拠して製造することができる。
(化合物No.1)
Figure 0006230839
(化合物No.2)
Figure 0006230839
(化合物No.3)

Figure 0006230839
(化合物No.4)
Figure 0006230839
(化合物No.5)
Figure 0006230839
(化合物No.6)
Figure 0006230839
(化合物No.7)
Figure 0006230839
(化合物No.8)
Figure 0006230839
(化合物No.9)
Figure 0006230839
(化合物No.10)
Figure 0006230839
式(1)または式(3)で表されるヒンダードアミン化合物としては、市販のものを使用することができる。例えば、アデカスタブLA−81(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
本発明の農業用フィルムの中間層に含有される式(1)または式(3)で表されるヒンダードアミン化合物の含有量は、中間層のポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。式(1)または式(3)で表されるヒンダードアミン化合物の含有量が0.01重量部以上であると、酸性雨や農薬による酸性条件下に長期間さらされた後の破断強度の低下を抑制するという観点から好ましい。2重量部以下であると、ヒンダードアミン化合物のブリードアウトが少ないという点で好ましい。
本発明の農業用フィルムの中間層には、式(1)または(3)で表されるヒンダードアミン化合物に加えて、他の公知のヒンダードアミン化合物を、併用しても良い。
かかる公知のヒンダードアミン化合物としては、特開平8−73667号公報に記載の構造を有するヒンダードアミン化合物が挙げられる。具体的には、商品名チヌビン622、キマソーブ944、キマソーブ119(以上BASF製)、ホスタビンN30、VP Sanduvor PR−31(以上クラリアント社製)、サイヤソーブUV3529、サイヤソーブUV3346(以上サイテック社製)などが挙げられる。
〔赤外線吸収剤〕
本発明に係る中間層は、下記式(4)で表される化合物および下記式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤を含有する。
2+ 1-xAl3+ (OH-2・(An-x/n・mH2O (4)
(式(4)中、M2+は、2価の金属カチオンであり、An-はn価のアニオンである。
xは0より大きく、0.5未満の数であり、
mは、0以上2未満の数である。)
[(Li+ (1-x)2+ x)(Al3+2(OH-6]2・(Siy(2y+1) 2-(1+x)・mH2O (5)
(式(5)中、M2+は2価の金属カチオンであり、
mは、0以上5未満の数であり、
xは、0以上1未満の数であり、
yは、2以上4以下の数である。)
式(4)において、2価の金属カチオンM2+としては、Mg2+、Ca2+およびZn2+が例示される。n価のアニオンAn-としては、CO3 2-が例示される。
2価の金属カチオンとして、Mg2+、Ca2+を用いる場合には、式(4)における、(1−X)/Xが、酸性雨や農薬による酸性条件下に長期間さらされた場合に、酸性物質を捕捉し、フィルムの破断強度の低下を抑制するという観点から、2以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。
式(4)で示される化合物として、好ましくは、ハイドロタルサイトであり、具体的には、天然ハイドロタルサイトや、スタビエースHT−P(堺化学工業株式会社製)、DHT−4A(協和化学工業株式会社製)、マグセラー(協和化学工業株式会社製)、マグクリア(戸田工業株式会社製)などの合成ハイドロタルサイトが挙げられる。なかでも、マグクリア(戸田工業株式会社製)が好ましい。
式(5)において、2価の金属カチオンM2+としては、Mg2+、Ca2+およびZn2+が例示される。
式(5)で表される赤外線吸収剤の好ましいものとしては、式(5)において、x=0である赤外線吸収剤、即ち、下記式(6)で示される複合水酸化物が挙げられる。
[Li+ (Al3+)2(OH-)6]2(Siy(2y+1) 2-)・mH2O (6)
式(6)中、mは、0以上5未満の数であり、yは、2以上4以下の数である。このような赤外線吸収剤の例としては、OPTIMA−SS(戸田工業株式会社製)が挙げられる。
本発明においては、式(4)で表される赤外線吸収剤を単独で用いてもよいし、式(5)で表される赤外線吸収剤を単独で用いてもよい。あるいは、両者を併用しても良い。
本発明の農業用フィルムの中間層に含有される式(4)で表される化合物および式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤の含有量は、5〜20重量%が好ましく、9〜16重量%がより好ましい(ただし、中間層の重量を100重量%とする)。5重量%以上であると、酸性雨や農薬による酸性条件下に長期間さらされた後の破断強度の低下、および高温高湿下における変色の抑制の点で好ましく、20重量%以下であると、透明性の点で好ましい。
本発明の農業用フィルムは、式(4)で表される化合物および式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤の分散性を良くする目的で、中間層に界面活性剤を含有することができる。
[ポリオレフィン系樹脂層]
本発明に係るポリオレフィン系農業用フィルムは、少なくとも二つのポリオレフィン系樹脂層を有する。ポリオレフィン系樹脂層とは、ポリオレフィン系樹脂を含有する層であって、かつ、前記中間層とは異なる層のことである。本発明に係るポリオレフィン系農業用フィルムが有する二つ以上のポリオレフィン系樹脂層は、同じポリオレフィン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂組成物により構成されていてもよく、異なるポリオレフィン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂組成物により構成されていてもよい。
ポリオレフィン系樹脂層に含まれるポリオレフィン系樹脂は、上記ポリオレフィン系樹脂が用いられる。ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂層に含まれるポリオレフィン系樹脂は、好ましくは、密度が910〜930kg/mであるエチレン・α−オレフィン共重合体である。
ポリオレフィン系樹脂層は、式(1)および式(3)とは異なるヒンダードアミン化合物を含有することができる。
かかるヒンダードアミン化合物としては、特開平8−73667号公報に記載の構造を有するヒンダードアミン化合物が挙げられる。
具体的には、商品名チヌビン622、キマソーブ944、キマソーブ119(以上BASF製)、ホスタビンN30、VP Sanduvor PR−31(以上クラリアント社製)、サイヤソーブUV3529、サイヤソーブUV3346(以上サイテック社製)などが挙げられる。なかでも、チヌビン622、キマソーブ944が、ブリードアウトが少ない点で好ましい。
ポリオレフィン系樹脂層が含有する上記ヒンダードアミン化合物の含有量は、当該層のポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部である。
また、ポリオレフィン系樹脂層は、エチレンに基づく単量体単位と環状アミノビニル化合物に基づく単量体単位とを有するエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を含有することができる。かかるエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体としては、特開2002−265693号公報に記載の構造を有するものが挙げられる。上記のエチレン・環状アミノビニル共重合体は、分子量が高く、ブリードアウトしにくく、表層に用いるのに好適である。
[その他の添加剤]
本発明の農業用フィルムは、耐候性を更に向上させる目的で、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、ベンゾエート類、置換オキザニリド類、シアノアクリレート類、トリアジン類などが挙げられる。
2−ヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などが挙げられる。
2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
ベンゾエート類としては、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニルー3’、5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
置換オキザニリド類としては、2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどが挙げられる。
シアノアクリレート類としては、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
トリアジン類としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−〔4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
好ましくは、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類であり、より好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
紫外線吸収剤は、単独でまたは二種以上で用いられる。紫外線吸収剤のブリードアウトを少なくする点で、二種以上併用することが好ましい。二種以上併用する場合には、各紫外線吸収剤の融点の差を70℃以下にすることが、より好ましい。
本発明に係る農業用フィルムに含まれる紫外線吸収剤の含有量は、本発明に係る農業用フィルムに含まれるポリオレフィン系樹脂100重量部に対し5重量部以下、好ましくは0.001〜3重量部、更に好ましくは0.005〜1重量部である。紫外線吸収剤の含有量が5重量部以下であると、紫外線吸収剤がブリードアウトしにくく、農業用フィルムの透明性が低下しないという点で好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.001重量部以上であると、耐候性改良効果が高いという点で好ましい。
紫外線吸収剤は、いずれか一層のみに含有させてもよく、複数の層に含有させてもよく、全ての層に含有させても良い。本発明のポリオレフィン系農業用フィルムを農園芸施設フレームに展張した場合、施設外側の表層となるポリオレフィン系樹脂層が紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムは、防曇性を付与する目的で、防曇剤を含有することができる。防曇剤としては、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート等のソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレンオキサイド付加物等のソルビタン系界面活性剤、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジモンタネート、グリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンセスキオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリントリオレエート、テトラグリセリントリオレエート、テトラグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレンオキサイド付加物等のグリセリン系界面活性剤、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリエチレングリコール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルアミンおよびその脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。上記防曇剤は、農業用フィルムのいずれか一層のみに含有させてもよく、複数の層に含有させてもよい。ポリオレフィン系樹脂層に含まれてもよく、中間層に含まれてもよい。
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムは、ヒンダードアミン化合物、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、防曇剤とは異なる添加剤を必要に応じて含んでもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防霧剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、顔料等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジアルキルフェノール誘導体や2−アルキルフェノール誘導体などのいわゆるヒンダードフェノール系化合物、フォスファイト系化合物やフォスフォナイト系化合物などの3価のリン原子を含むリン系エステル化合物が挙げられる。これら酸化防止剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。特に色相安定化の観点から、ヒンダードフェノール系化合物とリン系エステル化合物を併用して用いることが好ましい。また酸化防止剤は、各層の重量を100重量%とするとき、それぞれの層に0.01〜1重量%含まれることが好ましく、0.03〜0.5重量%含有されることがより好ましい。
防霧剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性剤)、またアルキルシロキサン基を有するシリコーン系化合物(特にシリコーン系界面活性剤)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、ダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403N、DS−403、DS−406、DS−401(商品名)、AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロンKC−40、AF−1000、AF−2000(商品名)等が挙げられ、シリコーン系界面活性剤としては、東レダウコーニング株式会社製のSH−3746(商品名)が挙げられる。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。防霧剤の含有量は、0.01〜3重量%が好ましく、0.02〜2重量%がより好ましく、0.05〜1重量%が特に好ましい(ただし、農業用フィルムの重量を100重量%とする)。
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムは、所定量の式(1)または式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、式(4)で表される化合物および式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤と、必要に応じて各種の添加剤とをポリオレフィン系樹脂に添加して、これらを混合・混練機で混練して得られた樹脂組成物を用いて製造することができる。上記樹脂組成物の調製において、混合・混練機としては、例えば、リボンブレンダー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、単軸押出機、および2軸押出機などのポリオレフィン系樹脂の加工に通常使用されている装置を使用することができる。フィルムの製造には、共押出インフレーション成形法、共押出T−ダイキャスティング成形法などを用いることができ、共押出インフレーション成形法が好ましい。
[防曇層]
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムの好ましい実施形態の例は、二つのポリオレフィン系樹脂層の間に、式(4)で表される化合物および式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる赤外線吸収剤と、下記式(1)または下記式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層を有し、さらに少なくとも一方の表層として防曇層を有するポリオレフィン系農業用フィルムである。かかる防曇層としては、無機コロイドからなる防曇層、無機コロイドとバインダー樹脂とを含有する防曇層が挙げられる。
無機コロイドは、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水性を付与するものであり、通常、水などの液体分散媒中に、無機コロイドが分散されたゾルの形態で使用される。具体的には、シリカゾル、アルミナゾルが挙げられ、シリカゾルが好ましい。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル変性ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
前記バインダー樹脂は、通常、水や水とアルコールなどの水性溶剤との混合溶剤に該樹脂が分散されている水系エマルジョンとして用いられる。
防曇層は、シリカとバインダー樹脂とを含有する防曇層が好ましい。更に、バインダー樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル変性ポリウレタン系樹脂が好ましい。
好ましいシリカとして、平均粒子径が5〜100nmの球状のものが挙げられる。
防曇層に含まれるシリカおよびバインダー樹脂の合計を100重量%とするとき、シリカの含有量が30〜70重量%であり、バインダー樹脂の含有量が30〜70重量%であることが好ましく、シリカの含有量が50〜65重量%であり、バインダー樹脂の含有量が35〜50重量%であることがより好ましい。
シリカとバインダー樹脂とを含有する防曇層は、例えば、以下に示すようにして形成することができる。バインダー樹脂を含有する水系エマルジョン、シリカを含有する水性シリカゾル、および分散媒である水を混合し、攪拌して塗工液を得る。次に、この塗工液を、公知の手段を用いて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成することができる。
塗布手段としては、具体的には、バーコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、刷毛コーティング、スプレーコーティング、キッスコーティング、ダイコーティング、ディッピングなどが挙げられる。乾燥手段としては、例えば熱風乾燥が挙げられる。
シリカとバインダー樹脂からなるコーティング膜の厚みは、0.3〜1.5μmが好ましく、0.5〜1.2μmがより好ましい。
前記塗工液には、塗工性を向上させるために、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を含有させることができる。シリコーン系界面活性剤としては、例えばポリエーテル変性シリコーンオイルが挙げられる。
また、前記塗工液には、必要に応じて、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤を添加してもよい。
防曇層は、ポリオレフィン系農業用フィルムの一方の表層として形成されていてもよいし、両方の表層として形成されていてもよい。また、防曇層は単層膜でも2層以上の多層膜でもよい。
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムが農園芸用施設フレームに展張された農園芸用施設は、農薬を使用する等、酸性条件下に長期間さらされる場合においても、展張されたポリオレフィン系農業用フィルムが破れにくく、変色しにくいため、好適に用いられる。上記農園芸用施設としては、植物栽培用の温室やトンネルなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例を示す。なお実施例および比較例中の試験方法は次の通りである。
<ペレットの試験方法>
<1>メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃において、荷重21.18Nで測定を行った。
<2>密度
JIS K6760−1981に規定された方法に従い、測定を行った。
<ハイドロタルサイト化合物の試験方法>
<3>化合物中のマグネシウム、アルミニウムの個数比
ハイドロタルサイト化合物を乾式分解後、酸で溶解し、誘導結合プラズマ発光分析法により分析し、ハイドロタルサイト化合物中のMg、Alの重量を算出した。そして、(Mgの重量/Mgの原子量)/(Alの重量/Alの原子量)を算出し、ハイドロタルサイト化合物中の、Mg、Alの個数比を算出した。
<フィルムの試験方法>
<4>色目
フィルムを、温度60℃、相対湿度90%下に曝露し、14日後、28日経過後の色目を、YI値として測定した。また、温度60℃、相対湿度90%下にフィルムを曝露する前に、フィルムの色目を、YI値として測定した。そして、(曝露後のYI値)−(曝露前のYI値)により算出されるΔYI値を算出した。なお、YI値の測定は、JIS K7373−2006に規定された方法に従い、行った。
<5>耐酸性試験
フィルムを、濃度=0.09規定、温度=23℃の亜硫酸水に、24時間浸漬した。浸漬後のフィルム表面を純水で洗い流し、常温下で自然乾燥した。イオン燃焼クロマトグラフ法により、フィルム中の硫黄含量を測定した。
次に、自然乾燥した後のフィルムから、JIS1号引張破断試験片を採取し、JIS K 6783号に準拠し、ブラックパネル温度63℃で、連続式サイクルで、サンシャインウエザーメーターにおいて紫外線を照射した。紫外線を照射してから、400、1250hr後に引張試験を行い、破断強度を測定した。そして、(曝露後の引張破断強度/浸漬前の引張破断強度)×100により算出される引張破断強度の残率を求めた。
<ポリエチレンペレットの作製>
以下に示す方法で、ポリエチレンペレット(PE−1〜PE−3)を作製した。
<触媒成分の調整>
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
前記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)3.46kgとヘキサン2.05kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール1.55kgとトルエン2.88kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、5℃に冷却し、H2O0.221kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体成分(以下、助触媒担体(a)と称する。)を得た。
(2)予備重合触媒成分(1)の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン80リットルを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド91.8mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温して撹拌を2時間行った。次に上記助触媒担体(a)0.7kgを投入し、オートクレーブを31℃まで降温して系内が安定した後、エチレンを0.1kg、水素を0.1リットル(常温常圧体積)仕込み、続いてトリイソブチルアルミニウム267mmolを投入して重合を開始した。エチレンと水素をそれぞれ0.6kg/時間と0.5リットル(常温常圧体積)で連続供給しながら30分経過した後、50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ3.6kg/時間と10.9リットル(常温常圧体積)/時間で連続供給することによって合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(a)1g当り37gのポリエチレンを含有する予備重合触媒成分(1)を得た。
<ポリエチレンペレット(PE−1)の作製>
(3)エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーの製造
前記の予備重合触媒成分(1)を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。重合条件は、温度85℃、全圧2MPa、エチレンに対する水素のモル比は1.22%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は1.31%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間4時間となるように、前記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、20.5kg/時間の重合効率でエチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーを得た。
(4)エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーの造粒
前記(3)で得たエチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)により、フィード速度50kg/時間、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、エチレン・1−ヘキセン共重合体のペレット(以下、PE−1と称する。)を得た。PE−1のMFRは0.5g/10分、密度は921kg/mであった。
<ポリエチレンペレット(PE−2)の作製>
(5)エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーの製造
上記の予備重合触媒成分(1)を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。重合条件は、温度80℃、全圧2MPa、エチレンに対する水素のモル比は1.48%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は1.70%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間4時間となるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、20.3kg/時間の重合効率でエチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーを得た。
(6)エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーの造粒
上記(5)で得たエチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)により、フィード速度50kg/時間、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、エチレン・1−ヘキセン共重合体のペレット(以下、PE−2と称する。)を得た。PE−2のMFRは0.4g/10分、密度は913kg/mであった。
<ポリエチレンペレット(PE−3)の作製>
(7)エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーの製造
上記で得た予備重合触媒成分(1)を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施し、エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーを得た。重合条件としては、重合温度を87℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を0.63%、エチレンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ヘキセンモル比をそれぞれ0.78%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持した。平均重合時間4時間であった。
(8)エチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーの造粒
上記(7)で得たエチレン・1−ヘキセン共重合体のパウダーを押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/時間、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン・1−ヘキセン共重合体のペレット(以下、PE−3と称する。)を得た。PE−3のMFRは0.4g/10分、密度は926kg/mであった。
<ハイドロタルサイト化合物のMg、Al個数比の測定>
下記のハイドロタルサイト化合物(B1、B2)の、Mg、Al個数比(上記式(4)における(1−X)/X)を測定した。
B1:ハイドロタルサイト化合物(商品名:マグクリア 戸田工業株式会社製)
B2:ハイドロタルサイト化合物(商品名:DHT−4A 協和化学工業株式会社製)
B1のMg、Alの個数比は2.7、B2の個数比は2.1であった。
<添加剤マスターバッチペレットの作製>
(1)添加剤マスターバッチペレットMB1の作製
低密度ポリエチレン(商品名:スミカセンF200−0 住友化学株式会社製)(以下、PE−4と称する。)35重量%と、B1 65重量%と(ただし、PE−4とB1の合計を100重量%とする)を混練した後、造粒機により造粒して、添加剤マスターバッチペレット(以下、MB1と称する。)を作製した。
(2)添加剤マスターバッチペレット(MB2〜7)の作製
添加剤マスターバッチペレットの原料を下記のとおりに変更して、添加剤マスターバッチペレット(MB2〜7)を作製した。
MB2:PE−4/B2=35/65(重量%/重量%)
MB3:PE−4/B3=35/65(重量%/重量%)
MB4:PE−4/C1=90/10(重量%/重量%)
MB5:PE−4/C2=90/10(重量%/重量%)
MB6:PE−4/C3=90/10(重量%/重量%)
MB7:EVA−1/C4/C5=90/7.5/2.5(重量%/重量%/重量%)
なお、略号の意味は、以下の通りである。
EVA−1:エチレン・酢酸ビニル共重合体 (商品名:エバテートH2020 住友化学株式会社製)
B3:リチウム・アルミニウム複合水酸化物 (商品名:OPTIMA−SS 戸田工業株式会社製)
C1:ヒンダードアミン化合物 (商品名:アデカスタブ LA−81 株式会社ADEKA製)
C2:ヒンダードアミン化合物 (商品名:チヌビン NOR 371 BASF製)
C3:ヒンダードアミン化合物 (商品名:チヌビン 622 BASF製)
C4:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
C5:2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
[実施例1]
<フィルムの作製>
内層用押出機(40mm押出機)と、中間層用押出機(40mm押出機)と、外層用押出機(40mm押出機)と、100mmΦダイス(リップ間隙 1.2mm)とを備えた3層インフレーション成形機を用い、加工温度160℃にて、三層のチューブ状フィルムを成形した。
具体的には、PE−3 74重量%とPE−5 20重量%とMB6 6重量%と(ただし、PE−3とPE−5とMB6の合計を100重量%とする)を混合した後、外層用押出機に投入し、PE−2 45重量%とPE−6 30重量%とMB4 5重量%とMB1 14重量%とMB3 6重量%と(ただし、PE−2とPE−6とMB4とMB1とMB3の合計を100重量%とする)を混合した後、中間層用押出機に投入し、
PE−1 32.3重量%とPE−2 40重量%とPE−5 20重量%と、MB6 6重量%とMB7 1.7重量%と(ただし、PE−1とPE−2とPE−5とMB6とMB7の合計を100重量%とする)を混合した後、内層用押出機に投入し、各押出機にて溶融混練した後、100mmΦダイスから、内層が30μm、中間層が90μm、外層が30μmとなるように吐出量を調整して、溶融した各層の樹脂組成物を押出し、冷却して三層のチューブ状フィルムを成形し、切り開いて三層の多層フィルムを得た。各層に用いた原料は、表1に示した。
なお、上記および表に記載した略号は以下の通りである。
PE−5:エチレン・1−ヘキセン共重合体 (商品名:スミカセンE FV203 住友化学株式会社製)
PE−6:エチレン・1−ヘキセン共重合体 (商品名:エクセレン FX201 住友化学株式会社製)
<塗工液の作製>
用いた塗工液の原料は以下の通りである。
(1)シリカゾル (商品名:スノーテックスST−YL:平均粒径=50−80nm、固形分濃度=40重量%。 日産化学工業株式会社製。平均粒径は、BET法による値である。)
(2)アクリル変性ポリウレタンエマルジョン (商品名:アデカボンタイターHUX−401:固形分濃度=37重量% 株式会社ADEKA製)
(3)ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤 (商品名:FZ77 東レ・ダウコーニング株式会社製)
上記の原料、及び、水を、ST−YL/HUX401/水/FZ77=18.4/11.4/70.2/0.11(単位は重量比)となるように混合し、塗工液を得た。
<塗工フィルムの作製>
上記で得た三層の多層フィルムの外層の表面にコロナ処理を施した後、上記塗工液を塗布した。塗布には、マイクログラビアロールR90(wet塗布量=9.6μm)を用いた。その後、60℃で、1分間、熱風乾燥を行い、防曇塗膜を形成した。
得られた塗工フィルムの試験結果を表1に示した。
[実施例2]
各層に用いた原料を表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塗工フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
[実施例3]
各層に用いた原料を表2に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塗工フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。
[実施例4]
各層に用いた原料を表2に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塗工フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。
[比較例1]
各層に用いた原料を表3に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塗工フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3に示した。
Figure 0006230839
Figure 0006230839
Figure 0006230839
本発明に係るポリオレフィン系農業用フィルムは、植物栽培用の温室やトンネルなどの農園芸用施設の被覆フィルムとして利用することができる。

Claims (3)

  1. 二つのポリオレフィン系樹脂層の間に、
    下記式(4)で表される化合物と、下記式(1)または下記式(3)で表されるヒンダードアミン化合物と、ポリオレフィン系樹脂とを含有する層を有し、下記式(4)における(1−x)/xが2.5以上であり、前記ヒンダードアミン化合物の含有量は、前記層のポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.29〜2重量部であるポリオレフィン系農業用フィルム。
    Figure 0006230839
    (式(1)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、または炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、
    nは1〜6の整数である。
    n=1のとき、R1は、炭素原子数1〜22のアルキル基、炭素原子数2〜22のアルケニル基、または以下の一般式(2)で表される基であり、
    n=2〜6のとき、R1は、n価の炭素原子数2〜20の有機基である。)
    Figure 0006230839
    (式(2)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のヒドロキシアルキル基、または炭素原子数2〜30のアルケニル基である。)
    Figure 0006230839
    (式(3)中、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、
    2は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数2〜22のアルケニル基であり、
    Aは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、またはエーテル結合を有するアルキレン基である。
    nは2〜6の整数である。
    Xは−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、炭酸エステル結合を有する炭素原子数4〜40の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、3〜6個の−C(=O)O−を末端に有する炭素原子数6〜30の有機基、または−C(=O)−である。)
    2+ 1-xAl3+ x(OH-2・(An-x/n・mH2O (4)
    (式(4)中、M2+は、Mg 2+ またはCa 2+ であり、An-はn価のアニオンである。
    xは0より大きく、0.5未満の数であり、
    mは、0以上2未満の数である。
  2. 少なくとも一方の表層として防曇層を有する請求項1に記載のポリオレフィン系農業用フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のポリオレフィン系農業用フィルムが農園芸用施設フレームに展張された農園芸用施設。
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