JP6228951B2 - 鞍乗型車両用認証システム及び鞍乗型車両 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1に示すようなスマートキーシステムでは、鞍乗型車両に搭載されたバッテリの電力が使用される。このため、スマートキーシステムが搭載される鞍乗型車両ではバッテリの消費電力が多くなる。
自動二輪車に代表される鞍乗型車両では、車体の大きさ及び重量に占めるバッテリの割合が大きい。このため、バッテリの容量をできる限り抑えることが望まれている。
ところが、鞍乗型車両にスマートキーシステムを搭載することで消費電力が多くなると、バッテリの容量を大きくする必要が生じる。バッテリを大きくすると、鞍乗型車両が大型化するという問題が生じる。
前記鞍乗型車両用認証システムは、
前記鞍乗型車両に設けられ且つ前記鞍乗型車両を駆動するためのパワーユニットを制御するように前記鞍乗型車両に設けられたパワーユニット制御部と、
前記鞍乗型車両と物理的に別個に構成され、無線通信を介した前記鞍乗型車両の使用についての認証に用いられる携帯機と、
前記鞍乗型車両に設けられ、前記携帯機と通信することにより、前記鞍乗型車両の使用についての認証を行う認証制御部と、
前記パワーユニット制御部及び前記認証制御部の状態を切替えるための操作を受付ける、少なくとも一部が前記鞍乗型車両の外部に露出するように前記鞍乗型車両に設けられたメイン操作部と、
を備え、
前記鞍乗型車両用認証システムは、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が、オフ状態から、少なくとも、認証確認状態、及び、認証確認済み状態を経由して、パワーユニットオン状態に切替え可能に構成されており、
前記オフ状態は、前記パワーユニット制御部の電源がオフであり、且つ前記認証制御部による認証が行われていない状態であり、
前記認証確認状態は、前記オフ状態において前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記オフ状態から遷移する状態であって、前記認証制御部に認証の確認動作を行なわせる状態であり、
前記認証確認済み状態は、前記認証確認状態で前記認証制御部による認証が認められた場合に前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記認証確認状態から遷移する状態であって、前記パワーユニット制御部の電源がオフ、且つ前記認証制御部による認証が確認済みである状態であり、
前記パワーユニットオン状態は、前記認証確認済み状態において前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記認証確認済み状態から遷移する状態であって、前記パワーユニット制御部の電源がオン、且つ前記認証制御部による認証が確認済みである状態である。
オフ状態においてメイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによってメイン操作部が変位することにより、鞍乗型車両用認証システムの状態は、オフ状態から認証確認状態に遷移する。認証確認状態で認証制御部による認証が認められた場合に、メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによってメイン操作部が変位する。これにより、鞍乗型車両用認証システムの状態は、認証確認済み状態に遷移する。認証確認済み状態において、メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによってメイン操作部が変位する。これにより、鞍乗型車両用認証システムの状態は、認証確認済み状態からパワーユニットオン状態に遷移する。
(1)の鞍乗型車両用認証システムでは、認証確認済み状態及びパワーユニットオン状態の間に、認証確認済み状態及びパワーユニットオン状態のいずれとも異なる認証確認済み状態が設けられている。メイン操作部に対する操作によって、鞍乗型車両用認証システムの状態を認証確認済み状態としつつ、更なる操作の保留によって、認証確認済み状態を維持させることができる。
パワーユニットオン状態では、パワーユニット制御部の電源がオンであり、パワーユニット制御部がパワーユニットを制御する。これに対し、認証確認済み状態では、パワーユニット制御部の電源がオフであるため、パワーユニットオン状態よりも消費電力が少ない。また、認証確認済み状態では、認証制御部による認証が確認済みであるので、認証制御部に認証の確認動作を行なわせる認証確認状態よりも消費電力が少ない。
(1)の鞍乗型車両用認証システムによれば、鞍乗型車両用認証システムの状態を、操作によって、認証確認済み状態とパワーユニットオン状態の間に設けられた、消費電力が少ない認証確認済み状態にすることができるので、バッテリの消費電力が抑えられる。
従って、(1)の鞍乗型車両用認証システムによれば、鞍乗型車両で携帯機を用いた認証を実施しつつ、消費電力を抑制することができ、また、バッテリの大型化による鞍乗型車両の大型化を抑制できる。
前記認証確認済み状態は、前記鞍乗型車両の走行が不能の状態である。
前記メイン操作部には、回転操作を受付けて回転する回転機構が設けられており、
前記鞍乗型車両用認証システムの状態は、前記認証確認状態で前記認証制御部による認証が認められた場合に前記メイン操作部に対して回転操作が行われることによって前記メイン操作部が回転することにより、前記認証確認状態から前記認証確認済み状態へ切り替わる。
前記メイン操作部には、前記鞍乗型車両用認証システムの状態を、前記認証確認状態から前記認証確認済み状態へ遷移させるために前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われる時の前記メイン操作部の変位を、前記認証制御部の認証の結果に応じて阻止するメイン変位阻止部が設けられ、
前記メイン変位阻止部は、前記認証制御部による認証が認められた場合に、前記メイン操作部の変位の阻止を解除する。
前記鞍乗型車両用認証システムは、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記認証確認済み状態から前記パワーユニットオン状態に遷移する時点から前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記パワーユニットオン状態である時までの間に、再認証を実行するように構成され、前記再認証は、前記認証制御部と前記携帯機との間で実行される前記認証、及び前記認証制御部と前記パワーユニット制御部との間で実行される認証の両方からなり、
前記パワーユニット制御部は、前記再認証が認められた時に、前記パワーユニットの動作を可能とするように構成され、
前記鞍乗型車両用認証システムは、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記パワーユニットオン状態から前記認証確認済み状態に遷移してから予め定められた時間が経過するまでの期間では、前記再認証を省略して、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記パワーユニットオン状態に戻るとともに前記パワーユニット制御部が前記パワーユニットの動作を可能とすることを許可するように構成されている。
前記メイン操作部に隣接して配置され、荷重を加える操作によって変位することで前記鞍乗型車両に設けられた開閉部を開かせるサブ操作部を備え、
前記メイン操作部は、前記メイン操作部が前記認証確認状態又は前記オフ状態に対応する位置にある場合に、前記サブ操作部の変位を阻止する位置に配置されたサブ阻止部を備え、
前記メイン操作部は、前記メイン操作部が前記認証確認状態に対応する位置から前記認証確認済み状態に対応する位置へ変位することによって、前記サブ阻止部を、前記サブ操作部の変位を阻止する位置から待避させる。
前記鞍乗型車両は、
(1)から(6)いずれか1の鞍乗型車両用認証システムと、
前記鞍乗型車両を駆動するためのパワーユニットと
を備える。
携帯機との通信を用いるスマートキーシステムは、認証情報の複雑さ及び高い秘匿性により、高い防犯性を実現できる。従って、携帯機との通信を用いる認証システムが鞍乗型車両に適用されることによって、操作部が外部に露出している鞍乗型車両の防犯効果が高められる。
しかし、特許文献1に示すようなスマートキーシステムは、携帯機との通信及び認証の動作を電子的に行うため電力を消費する。このため、スマートキーシステムが搭載される車両では消費電力が多くなる。このような認証は、一般にエンジン及び発電機が停止している状態で実施されるので、バッテリの電力を消費する。
ところが、鞍乗型車両にスマートキーシステムを搭載することで消費電力が多くなると、バッテリの容量を大きくする必要が生じる。バッテリを大きくすると、鞍乗型車両が大型化するという問題が生じる。
この場合、パワーユニットの動作は必要ないが、認証確認を必要とする機能を動作させたい場合、操作によってメイン操作部を認証確認済み状態に切替え、メイン操作部の更なる操作を行わないことによって、認証確認済み状態を維持させることができる。例えば、認証確認が必要な機能を、認証確認済み状態において動作可能となるように設定すれば、防犯性を高めることができる。認証確認済み状態では、パワーユニットオン状態及び認証確認状態と比べて消費電力が少ないので、鞍乗型車両のバッテリの消費電力が少ない。
本発明によれば、鞍乗型車両で携帯機を用いた認証を実施して防犯性を高めつつ、消費電力を抑制することができ、また、バッテリの大型化による鞍乗型車両の大型化を抑制できる。
図1に示す鞍乗型車両10は、自動二輪車である。鞍乗型車両10は、車体11及び2つの車輪12a,12bを備えている。車体11の車体フレーム13には、ヘッドパイプ14が備えられている。ヘッドパイプ14には、フロントフォーク16が支持されている。フロントフォーク16は、前輪12aを回転可能に支持している。フロントフォーク16は、ヘッドパイプの上方に配置されたハンドル17によって操舵可能なように、ヘッドパイプ14に支持されている。
レッグカバー19には、燃料タンク21の給油口(図示せず)にアクセスするためのフューエルリッド28が設けられている。フューエルリッド28は、レッグカバー19に開閉可能に設けられている。レッグカバー19には、フューエルリッド28をロックするためのリッドロック28aが設けられている。リッドロック28aがロック状態から解放されるとフューエルリッド28が開く。
鞍乗型車両10は、鞍乗型車両用認証システムCを備えている。鞍乗型車両用認証システムCは、パワーユニット制御部30、携帯機40、認証制御部50、及び操作部60を備えている。
操作部60は、ハンドル17の回転を阻止するハンドルロックの機能も有している。
図2は、図1に示す操作部60の外観を示す正面図である。
図2には、操作部60のうち、レッグカバー19の外部に露出した正面部分が示されている。
メイン操作部61及びサブ操作部81,82は、鞍乗型車両10の状態を切替えるための操作を受付ける。メイン操作部61は、鞍乗型車両用認証システムCの状態を切替えるための操作を受付ける。メイン操作部61は、パワーユニット制御部30及び認証制御部50の状態を切替えるための操作を受付ける。
メイン操作部61及びサブ操作部81,82のそれぞれは、一部が鞍乗型車両10の外部に露出するように、鞍乗型車両10に設けられている。メイン操作部61及びサブ操作部81,82のそれぞれの一部は、レッグカバー19の外部に露出している。
本実施形態におけるメイン操作部61は、回転操作の荷重を受けて回転する回転ノブである。
メイン操作部61は、LOCK位置、OFF位置、OPEN位置、及びON位置との間で変位する。また、メイン操作部61は、押込みの荷重を受けて押込まれることもできる。
サブ操作部81,82は、メイン操作部61に隣接して配置されている。サブ操作部81,82とメイン操作部61とは、間に別の操作部が配置されることなく配置されている。メイン操作部61とサブ操作部81,82の間隔は、サブ操作部81,82のそれぞれとメイン操作部61が並ぶ方向におけるメイン操作部61の幅(径)よりも短い。
図3には、操作部60のうちのメイン操作部61の断面が示されている。図3では部品の形状を見やすくするためハッチングの一部が省略されている。図4では、各部品を見やすくするため、各部品が図3に示す組立て時の配置とは異なる並び順で配置されている。
シャフト69は、メイン操作部61に取付けられている。シャフト69は、メイン操作部61と一体に変位する。シャフト69は、メイン操作部61に設けられた回転機構として機能する。シャフト69は、メイン操作部61が回転操作を受付けて回転するようにメイン操作部61に設けられている。
操作によるメイン操作部61の変位には、押込み方向Pへの移動と、シャフト69を回転中心とした回転とがある。押込み方向Pは、メイン操作部61から、プレートケース64に向かう方向である。押込み方向Pは、鞍乗型車両10のレッグカバー19の外部に露出した操作部60の正面から、レッグカバー19の内部へ向かう向きである。
メイン操作部61は、シャフト69を回転中心とする回転操作の荷重を受けてシャフト69と共に回転する。
メイン操作部61が押込み方向Pへ押込まれると、押付片71は、リクエストスイッチ72を押すことでリクエストスイッチ72を作動させる。リクエストスイッチ72は、メイン操作部61が押込まれた状態を表す信号を認証制御部50に供給する。
ストッパ部63は、メイン操作部61を、押込み方向Pとは逆方向に付勢する。押込み方向Pに押込まれたメイン操作部61が押込み方向Pへの押込みの荷重から解放されると、メイン操作部61は、押込み方向Pとは逆方向に戻るように変位する。
ソレノイド部78は、ソレノイドカム68の溝68aに入る係止部781を有している。係止部781はソレノイド部78のプランジャと一体化している。ソレノイド部78は、プル型ソレノイドからなる。係止部781は、ソレノイド部78が備える付勢部材(図示せず)によって、ソレノイドカム68に向かって付勢されている。
ソレノイド部78への通電を行うか否かは、認証制御部50によって制御される。
ソレノイド部78が通電されると、係止部781がソレノイドカム68の溝68aから待避する。この結果、メイン操作部61が回転可能となる。つまり、ソレノイド部78及び係止部781は、メイン操作部61の変位の阻止を解除する。メイン操作部61は、変位が可能となる。
ソレノイド部78は、認証制御部50の認証の結果に応じてメイン操作部61の変位を阻止する。ソレノイド部78への通電を行うか否かは、認証制御部50の認証結果に応じて制御される。ソレノイド部78及び係止部781は、認証制御部50の認証結果に応じてメイン操作部61の変位を阻止する。また、ソレノイド部78及び係止部781は、認証制御部50による認証が認められた場合に、メイン操作部61の変位の阻止を解除する。
ソレノイドカム68における溝68aの配置によって、ソレノイド部78が通電した場合のみメイン操作部61が回転可能となる位置と、ソレノイド部78の通電に拘わらずメイン操作部61が回転可能な位置とがある。
ロックプレート65及びロックカム66は、本発明にいうサブ阻止部の一例に相当する。
メイン操作部61の回転に伴いロックカム66が回転すると、ロックカム66の位置に応じて、ロックプレート65が、阻止位置と待避位置との間で移動する。ロックプレート65が阻止位置にある場合、サブ操作部81,82の変位が阻止される。ロックプレート65が待避位置にある場合、サブ操作部81,82の変位が許容される。ロックプレート65の動作については、後で、図8(A)及び図8(B)を用いて詳述する。
サブ操作部81,82は、荷重を加える操作によって変位する。本実施形態におけるサブ操作部81,82は、押込み方向Pへの押込みの荷重を受けて押込み方向Pへ押込まれる押しボタンである。一方のサブ操作部81とリッドロック28aとの間には、図示しないワイヤが接続されている。サブ操作部81が、荷重を受けて変位すると、ワイヤを介して変位が伝達され、リッドロック28aがロック状態から開放される。
また、他方のサブ操作部82とシートロック23aとの間にも、図示しないワイヤが接続されている。サブ操作部82が、荷重を受けて変位すると、ワイヤを介して変位が伝達され、シートロック23aのロックが解除される。従って、シート23を開くことができる。
サブ操作部81,82は、電動力によってリッドロック28a及びシートロック23aを動作させるのではなく、サブ操作部81,82が受けた押込みの荷重と変位を伝達することによって、リッドロック28a及びシートロック23a動作させる。従って、リッドロック28a及びシートロック23aの開放に電力が消費されない。
図5は、図1に示す鞍乗型車両用認証システムCの状態を示す状態遷移図である。図5状態遷移図における各枠は、鞍乗型車両用認証システムCの状態を表す。枠と枠を繋ぐ矢印は、鞍乗型車両用認証システムCの状態の遷移を表す。図5では、遷移の条件が、前記矢印に付されている。
図5は、認証制御部50及びパワーユニット制御部30の動作も示している。
また、図5では、説明の便宜上、エンジン動作状態Q6が、パワーユニットオン状態Q5と別に記載されている。エンジン動作状態Q6では、パワーユニット制御部30の電源がオン、且つ認証制御部50による認証が確認済みである。従って、エンジン動作状態Q6は、パワーユニットオン状態Q5に含まれる。このため、鞍乗型車両用認証システムCがエンジン動作状態Q6である時には、実際には、鞍乗型車両用認証システムCは、パワーユニットオン状態Q5であり且つエンジン動作状態Q6である。
図6(A)は、オフ状態Q2におけるメイン操作部61を示している。図6(B)は、認証確認状態Q3におけるメイン操作部61を示している。図6(C)は、認証確認状態Q3において認証が認められた場合の状態を示している。図6(A)〜図6(C)の概略縦断面図では、ハッチングが省略されている。
図7(A)〜図7(C)に示すように、ソレノイドカム68には、メイン操作部61(図2参照)のLOCK位置、及びOFF位置に対応する位置に溝68aが設けられている。
オフ状態Q2は、パワーユニット制御部30の電源がオフであり、且つ認証制御部50による認証が行われていない状態である。
オフ状態Q2は、メイン操作部61が、図2に示すOFFの位置にある状態である。
オフ状態Q2において、ソレノイド部78は通電されていない。従って、図6(A)及び図7(A)に示すように、ソレノイド部78の係止部781がソレノイドカム68の溝68aに挿入されている。このためメイン操作部61は、回転操作の荷重を受けても回転することができない。
認証確認状態Q3は、オフ状態Q2においてメイン操作部61に対して荷重を加える操作(荷重操作)が行われることによってメイン操作部61が変位することによりオフ状態Q2から遷移する状態である。詳細には、メイン操作部61に対して押込み方向Pへの押込みの荷重を加える操作(押込み操作)が行われることによって、メイン操作部61が押込まれる。
図6(B)に示すように、メイン操作部61が押込まれると、メイン操作部61と共に押込まれるシャフト69に取付けられた押付片71が、リクエストスイッチ72を動作させる。
リクエストスイッチ72の動作によって、認証制御部50が、認証確認状態Q3への遷移を判別する。認証確認状態Q3において、認証制御部50は、携帯機40と通信することにより、鞍乗型車両10の使用についての認証の確認動作を行う。詳細には、認証制御部50が、携帯機40に要求信号を無線で送信する。認証制御部50は、要求信号に応じて携帯機40から無線で送信されてきた応答信号で表されるコードが、鞍乗型車両10に対応するコードと一致するか否か照会する。両者が一致することによって認証が確認される。
図6(C)は、認証確認状態Q3において、係止部781がソレノイドカム68の溝68aから待避した状態を示している。図6(C)に示す状態は、認証確認状態Q3で認証制御部50による認証が認められた状態である。認証が認められた状態では、係止部781がソレノイドカム68の溝68aから待避しているので、メイン操作部61が回転可能となる。
また、上述したように、認証が認められた場合であっても、次の荷重を加える操作がないまま、所定時間が経過した場合にも、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認状態Q3から、図6(A)に示すオフ状態Q2に戻る。このとき、ソレノイドカム68の溝68aから待避していた係止部781が溝68aに入り込む。所定時間が経過した場合に、オフ状態Q2に戻ることによって、ソレノイド部78に通電されたままの状態が長時間続く事態の発生が抑えられる。
一方、認証確認状態Q3における認証が認められない場合、メイン操作部の変位が阻止される。そのため、運転者は、メイン操作部61に対して荷重を加えてもメイン操作部61を変位させる操作を完了させることができない。運転者は、メイン操作部61操作を完了させることができない場合には、操作が阻止される時の手応えにより、認証が認められなかったことを直感的に認識できる。従って、運転者が認証の成否を認識できずに認証のための操作を繰り返すことによって消費電力が増大してしまうという事態の発生を抑制できる。
認証確認済み状態Q4は、認証確認状態Q3で認証制御部50による認証が認められた場合に、メイン操作部61に対して荷重を加える操作(荷重操作)が行われることによってメイン操作部61が変位することにより認証確認状態Q3から遷移する状態である。詳細には、認証確認済み状態Q4は、メイン操作部61が、OFF位置から、OPEN位置に向かう回転操作の荷重を受け、OPEN位置に回転することによって、認証確認状態Q3から遷移する状態である。なお、図2に示すメイン操作部61に対してOFF位置からOPEN位置に向かう荷重の向きは、図2における時計回りである。
図2に示すメイン操作部61では、メイン操作部61がOPEN位置に位置している。図2に示す状態は、認証確認済み状態Q4を示している。
認証確認済み状態Q4では、パワーユニット制御部30の電源がオフ、且つ認証制御部50による認証が確認済みである。認証確認済み状態Q4では、オープンスイッチ77a(図2参照)が動作し、且つメインスイッチ77bは動作しない。認証制御部50は、オープンスイッチ77aの動作によって、認証確認済み状態Q4への遷移を判別する。
メイン操作部61が、オフ状態Q2又は認証確認状態Q3に対応するOFF位置(図2参照)にある場合、図8(A)に示すように、ロックカム66の動作によって、ロックプレート65がサブ操作部81,82の変位を阻止する位置に配置される。この場合、荷重を加える操作によるサブ操作部81、82の変位が阻止される。即ち、サブ操作部81,82に押込みの荷重が加えられても、サブ操作部81,82は変位しない。従って、リッドロック28a及びシートロック23aのロック状態を開放することはできない。
メイン操作部61は、メイン操作部61がOFF位置から、図8(B)に示すOPEN位置(図2参照)へ変位することによって、ロックプレート65を、サブ操作部81,82の変位を阻止する位置から待避させる。詳細には、メイン操作部61が、図8(B)に示すOPEN位置へ回転すると共に、ロックカム66が回転する。ロックプレート65は、ばね等の付勢部材(図示せず)により、サブ操作部81、82からロックカム66へ向かう方向に付勢されている。ロックカム66が回転すると、ロックカム66の外周に形成されたカム溝66aが、ロックプレート65と対向する。この時、上記付勢部材の付勢力により、ロックプレート65が、カム溝66aに入り込む。その結果、ロックプレート65が阻止位置から待避する。これによって、サブ操作部81,82は、荷重を加える操作による変位を許可される。即ち、サブ操作部81,82に押込みの荷重が加えられると、サブ操作部81,82が押込まれる。サブ操作部81,82の各々の変位は、図示しないワイヤを介して、それぞれリッドロック28a及びシートロック23aに伝達される。リッドロック28a及びシートロック23aがロック状態から開放される。
認証確認済み状態Q4で、メイン操作部61に対して逆荷重を加える操作が行われることによってメイン操作部61が変位することにより、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認済み状態Q4から、オフ状態Q2に遷移する。詳細には、認証確認済み状態Q4において、メイン操作部61に対して、OPEN位置(図2参照)からOFF位置に向かう逆荷重の操作が行われることによって、メイン操作部61がOFF位置に回転する。メイン操作部61がOFF位置に回転することにより、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、オフ状態Q2に戻る。
パワーユニットオン状態Q5は、認証確認済み状態Q4においてメイン操作部61に対して荷重を加える操作が行われることによってメイン操作部61が変位することにより認証確認済み状態Q4から遷移する状態である。詳細には、パワーユニットオン状態Q5は、メイン操作部61が、回転操作の荷重を受けることによって、OPEN位置からON位置に回転する。メイン操作部61が、ON位置に回転することによって、鞍乗型車両用認証システムCの状態が、認証確認済み状態Q4からパワーユニットオン状態Q5に遷移する。
パワーユニットオン状態Q5では、サブ操作部81,82の変位が阻止される。
メイン操作部61がON位置に回転すると、メインスイッチ77b(図4参照)が動作する。これによって、認証制御部50が、パワーユニットオン状態Q5への遷移を判別する。メインスイッチ77bの動作によって、パワーユニット制御部30の電源がオンになる。
パワーユニットオン状態Q5では、パワーユニット制御部30の電源がオン、且つ認証制御部50による認証が確認済みである。ただし、本実施形態において、パワーユニットオン状態Q5では、原則として、再認証が行われる。再認証は、認証制御部50と携帯機40との間で行われる認証と、認証制御部50とパワーユニット制御部30との間で行われる認証とからなる。認証制御部50と携帯機40との間で行われる認証は、上述した通りであるから、ここでの説明を省略する。認証制御部50とパワーユニット制御部30との間で行われる認証は、パワーユニット22の動作の可否を決定するために行われる。この認証では、パワーユニット制御部30と認証制御部50の間で、データの照合が行われる。詳細には、認証制御部50がパワーユニット制御部30に照合のためのコードを送信する。パワーユニット制御部30は、認証制御部50から送信されたコードが、パワーユニット制御部30に予め記憶されたコードと一致する場合には、認証制御部50とパワーユニット制御部30との間での認証が認められる。認証制御部50及びパワーユニット制御部30によって再認証が認められると、パワーユニット制御部30は、パワーユニット22の動作を可能にする。再認証が認められない場合、パワーユニット22の動作が禁止される。
このように、認証制御部50と携帯機40との間での認証とともに、パワーユニット制御部30と認証制御部50との間での認証が行われるので、防犯性が向上する。
鞍乗型車両用認証システムCの状態がパワーユニットオン状態Q5から認証確認済み状態Q4に遷移してから前記保留時間が経過するまでの期間内に、鞍乗型車両用認証システムCの状態がパワーユニットオン状態Q5に戻った場合、再認証が行われず、パワーユニット制御部30は、パワーユニット22の動作を可能とする。詳細には、認証制御部50は、鞍乗型車両用認証システムCの状態がパワーユニットオン状態Q5から認証確認済み状態Q4に遷移したことをオープンスイッチ77a及びメインスイッチ77bの信号によって判別する。認証確認済み状態Q4への遷移が判別された場合、認証制御部50は、計時を開始する。認証制御部50は、保留時間内に、鞍乗型車両用認証システムCの状態がパワーユニットオン状態Q5に遷移したと判別した場合、再認証を省略する。
例えば、携帯機を紛失した運転者の操作によって鞍乗型車両用認証システムCの状態が認証確認済み状態Q4に一旦遷移しても、鞍乗型車両用認証システムCの状態を保留時間内にパワーユニットオン状態Q5に遷移させることにより、パワーユニット22を動作させることができる。
再認証の省略の条件に、鞍乗型車両用認証システムCの状態がパワーユニットオン状態Q5から認証確認済み状態Q4に遷移する際に認証を行い、認証の結果が失敗したことを付加してもよい。この場合、鞍乗型車両用認証システムCの状態が認証確認済み状態Q4に遷移する際に認証を行い、認証が認められた場合、保留時間内に鞍乗型車両用認証システムCの状態がパワーユニットオン状態Q5に戻っても、認証制御部50は、再認証を実施する。
ハンドルロック状態Q1は、オフ状態Q2でメイン操作部61に対して荷重を加える操作が行われることによってメイン操作部61が変位することにより、オフ状態Q2から遷移する状態である。詳細には、ハンドルロック状態Q1は、メイン操作部61が、OFF位置(図2参照)からLOCK位置に向かう逆荷重と押込みの荷重を受け、LOCK位置に回転することによって、オフ状態Q2から遷移する状態である。
メイン操作部61がLOCK位置に回転すると、メイン操作部61及びシャフト69と共に回転するロッククランク73によって、ハンドルロックピン76がシリンダボディ75の外に突出する。ハンドルロックピン76が突出することによって、ハンドル17の回転を阻止する。
ハンドルロック状態Q1とオフ状態Q2との間で状態が遷移する場合には、携帯機40を用いた認証が実施される。
認証確認済み状態Q4は、認証制御部50による認証が認められた場合に、メイン操作部61に対する操作によってメイン操作部61が変位することにより、認証確認状態Q3から遷移する状態である。このため、メイン操作部61に対する操作によって、鞍乗型車両用認証システムCの状態を認証確認済み状態Q4に遷移させつつ、更なる操作を保留することによって、認証確認済み状態Q4を維持させることができる。
認証確認済み状態Q4では、パワーユニット制御部30の電源がオフであり、パワーユニット22の制御が実施されない。この一方、認証確認済み状態Q4では、リッドロック28a又はシートロック23aのロック状態の開放のための操作が可能となる。つまり、リッドロック28a又はシートロック23aの開放のための操作は、認証制御部50による認証が認められた場合に可能となる。
携帯機40を使用する認証制御部50の認証は、認証情報の複雑さ及び高い秘匿性のため、高い防犯性を実現できる。このため、メイン操作部61が外部に露出している鞍乗型車両10のフューエルリッド28a又はシートロック23aの開放について、防犯効果が高められる。
本実施形態の鞍乗型車両用認証システムによれば、リッドロック28a又はシートロック23aを開放可能とする状態における消費電力が抑えられる。リッドロック28a又はシートロック23aの開放を可能とする状態では、エンジン221が停止しているので、鞍乗型車両用認証システムCは、バッテリ27の電力を使用する。
本実施形態の鞍乗型車両用認証システムCによれば、バッテリ27の消費電力を抑えることができるので、バッテリ27の大型化を抑えることができる。鞍乗型車両10で携帯機40を用いた防犯性の高い認証を実施しつつ、バッテリ27の大型化による鞍乗型車両10の大型化を抑制できる。
本実施形態の鞍乗型車両用認証システムCによれば、携帯機40との通信を用いた認証を通じて、サブ操作部81、82の変位の阻止及び阻止の解除を制御しつつ、消費電力を更に抑制することができる。従って、バッテリ27の大型化による鞍乗型車両10の大型化を更に抑制できる。
22 パワーユニット
23 シート
23a シートロック
28 フューエルリッド
28a リッドロック
30 パワーユニット制御部
40 携帯機
50 認証制御部
61 メイン操作部
65 ロックプレート
66 ロックカム
68 ソレノイドカム
78 ソレノイド部
81,82 サブ操作部
C 鞍乗型車両用認証システム
Q2 オフ状態
Q3 認証確認状態
Q4 認証確認済み状態
Q5 パワーユニットオン状態
Claims (7)
- 鞍乗型車両に用いられる鞍乗型車両用認証システムであって、
前記鞍乗型車両用認証システムは、
前記鞍乗型車両に設けられ且つ前記鞍乗型車両を駆動するためのパワーユニットを制御するように前記鞍乗型車両に設けられたパワーユニット制御部と、
前記鞍乗型車両と物理的に別個に構成され、無線通信を介した前記鞍乗型車両の使用についての認証に用いられる携帯機と、
前記鞍乗型車両に設けられ、前記携帯機と通信することにより、前記鞍乗型車両の使用についての認証を行う認証制御部と、
前記パワーユニット制御部及び前記認証制御部の状態を切替えるための操作を受付ける、少なくとも一部が前記鞍乗型車両の外部に露出するように前記鞍乗型車両に設けられたメイン操作部と、
を備え、
前記鞍乗型車両用認証システムは、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が、オフ状態から、少なくとも、認証確認状態、及び、認証確認済み状態を経由して、パワーユニットオン状態に切替え可能に構成されており、
前記オフ状態は、前記パワーユニット制御部の電源がオフであり、且つ前記認証制御部による認証が行われていない状態であり、ハンドルロック状態と、前記ハンドルロック状態で前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記ハンドルロック状態から遷移する状態とを含み、
前記認証確認状態は、前記ハンドルロック状態から遷移する前記オフ状態において前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記状態から遷移する状態であって、前記認証制御部に認証の確認動作を行なわせる状態であり、
前記認証確認済み状態は、前記認証確認状態で前記認証制御部による認証が認められた場合に前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記認証確認状態から遷移する状態であって、前記パワーユニット制御部の電源がオフ、且つ前記認証制御部による認証が確認済みである状態であり、
前記パワーユニットオン状態は、前記認証確認済み状態において前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われることによって前記メイン操作部が変位することにより前記認証確認済み状態から遷移する状態であって、前記パワーユニット制御部の電源がオン、且つ前記認証制御部による認証が確認済みである状態である。
- 請求項1に記載の鞍乗型車両用認証システムであって、
前記認証確認済み状態は、前記鞍乗型車両の走行が不能の状態である。 - 請求項1又は2に記載の鞍乗型車両用認証システムであって、
前記メイン操作部には、回転操作を受付けて回転する回転機構が設けられており、
前記鞍乗型車両用認証システムの状態は、前記認証確認状態で前記認証制御部による認証が認められた場合に前記メイン操作部に対して回転操作が行われることによって前記メイン操作部が回転することにより、前記認証確認状態から前記認証確認済み状態へ切り替わる。 - 請求項1から3いずれか1項に記載の鞍乗型車両用認証システムであって、
前記メイン操作部には、前記鞍乗型車両用認証システムの状態を、前記認証確認状態から前記認証確認済み状態へ遷移させるために前記メイン操作部に対して荷重を加える操作が行われる時の前記メイン操作部の変位を、前記認証制御部の認証の結果に応じて阻止するメイン変位阻止部が設けられ、
前記メイン変位阻止部は、前記認証制御部による認証が認められた場合に、前記メイン操作部の変位の阻止を解除する。 - 請求項1から4いずれか1項に記載の鞍乗型車両用認証システムであって、
前記鞍乗型車両用認証システムは、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記認証確認済み状態から前記パワーユニットオン状態に遷移する時点から前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記パワーユニットオン状態である時までの間に、再認証を実行するように構成され、前記再認証は、前記認証制御部と前記携帯機との間で実行される前記認証、及び前記認証制御部と前記パワーユニット制御部との間で実行される認証の両方からなり、
前記パワーユニット制御部は、前記再認証が認められた時に、前記パワーユニットの動作を可能とするように構成され、
前記鞍乗型車両用認証システムは、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記パワーユニットオン状態から前記認証確認済み状態に遷移してから予め定められた時間が経過するまでの期間では、前記再認証を省略して、前記鞍乗型車両用認証システムの状態が前記パワーユニットオン状態に戻るとともに前記パワーユニット制御部が前記パワーユニットの動作を可能とすることを許可するように構成されている。 - 請求項1から5いずれか1項に記載の鞍乗型車両用認証システムであって、
前記メイン操作部に隣接して配置され、荷重を加える操作によって変位することで前記鞍乗型車両に設けられた開閉部を開かせるサブ操作部を備え、
前記メイン操作部は、前記メイン操作部が前記認証確認状態又は前記オフ状態に対応する位置にある場合に、前記サブ操作部の変位を阻止する位置に配置されたサブ阻止部を備え、
前記メイン操作部は、前記メイン操作部が前記認証確認状態に対応する位置から前記認証確認済み状態に対応する位置へ変位することによって、前記サブ阻止部を、前記サブ操作部の変位を阻止する位置から待避させる。 - 鞍乗型車両であって、
前記鞍乗型車両は、
請求項1から6いずれか1項に記載の鞍乗型車両用認証システムと、
前記鞍乗型車両を駆動するためのパワーユニットと
を備える。
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