JP5090233B2 - 車両用開閉体のロック装置 - Google Patents

車両用開閉体のロック装置 Download PDF

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Description

本発明は車両用開閉体のロック装置に関する。
特許文献1に従来の車両用開閉体のロック装置が開示されている。このロック装置は、取付部材と、フォークと、ポールと、切替手段とを備えている。
取付部材には、ストライカが進入する進入口が形成されている。フォークは、取付部材に揺動可能に設けられ、進入口内においてストライカを係止した状態である係止状態、又は進入口内においてストライカの係止を解除した状態である解除状態に切り替わるものである。ポールは、取付部材に揺動可能に設けられ、フォークの揺動を固定又は開放可能なものである。
切替手段は、ポールに作用して、フォークを係止状態から解除状態に切り替えるものである。切替手段は、電力によって駆動力を生じる駆動手段と、通常は初期位置にあり、開スイッチの操作があれば、駆動手段に駆動されて設定角度まで揺動した後、初期位置まで復帰する切替レバーとを有している。具体的には、開スイッチは、車両用開閉体に設けられた開閉ハンドルに内蔵されており、使用者が開閉ハンドルを引くことにより通電状態となるようになっている。
このような構成である従来のロック装置では、使用者による開スイッチの操作が開始されれば、つまり、使用者が開閉ハンドルを引けば、切替レバーが駆動手段に駆動されて初期位置から設定角度まで揺動し、ポールに作用してポールを揺動させる。その結果、ポールがフォークの揺動を開放し、フォークが係止状態から解除状態に切り替わる。
その後、使用者による開スイッチの操作が終われば、つまり、使用者が開閉ハンドルを戻せば、切替レバーが逆方向に揺動して初期位置に復帰し、それに伴って、ポールも逆方向に揺動する。その結果、ポールがフォークの揺動を再び固定可能となり、フォークが解除状態から係止状態に復帰可能な状態となる。
こうして、このロック装置は、使用者による開スイッチの操作の開始に基づいて、自動によりフォークを係止状態から解除状態に切り替えるとともに、使用者による開スイッチの操作の終了に基づいて、自動によりフォークを解除状態から係止状態に復帰可能な状態とすることが可能となっている。
なお、別の従来技術として、使用者による開スイッチの操作の開始から一定時間が経過した時点で、切替レバーを逆方向に揺動させ、フォークを解除状態から係止状態に復帰可能な状態とするようになっているものもある。
特開2002−339621号公報
ところで、上記従来のロック装置では、使用者による開スイッチの操作の終了に基づいて切替レバーを初期位置に復帰させる場合、又は使用者による開スイッチの操作の開始から一定時間が経過した時点で切替レバーを初期位置に復帰させる場合において、切替レバーが初期位置に復帰するまではポールがフォークの揺動を開放した状態のままであり、フォークが解除状態となっている。このため、この状態では、開閉体を開いた後にすぐに閉めようとすると、ストライカがフォークに係止されず、開閉体をすぐに閉めることができないという不具合が生じ易い。そして、このような不具合を解決しようとすれば、ロック装置の構成が複雑になったり、部品点数が増えたりして、製造コストの上昇を招き易い。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、開閉体を開いてすぐに閉めようとする使用者に好適に対処可能であり、かつ製造コストの上昇を抑制可能である車両用開閉体のロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の車両用開閉体のロック装置は、ストライカが進入する進入口が形成された取付部材と、
前記取付部材に揺動可能に設けられ、前記進入口内において前記ストライカを係止した状態である係止状態、又は前記進入口内において前記ストライカの係止を解除した状態である解除状態に切り替わるフォークと、
前記取付部材に揺動可能に設けられ、前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記ポールに作用して、前記フォークを前記係止状態から前記解除状態に切り替える切替手段とを備えた車両用開閉体のロック装置であって、
前記切替手段は、電力によって駆動力を生じる駆動手段と、
通常は初期位置にあり、開スイッチの操作があれば、前記駆動手段に駆動されて設定角度まで揺動した後、前記初期位置まで復帰する切替レバーとを有し、
前記切替レバーと前記ポールとの間には、前記切替レバーが前記設定角度まで揺動する往路では、前記ポールを揺動させて前記フォークの揺動を開放させ、その後、前記フォークの揺動を固定し得る状態に前記ポールを復帰させるとともに、前記切替レバーが前記初期位置に復帰する復路では、前記切替レバーの復帰が前記ポールによって妨げられないようにする早期復帰機構が設けられ、
前記早期復帰機構は、前記取付部材に揺動軸回りで揺動可能に設けられ、自己の一端が前記ポールに当接して前記ポールを揺動させる伝達レバーと、
前記伝達レバーとともに前記揺動軸に揺動可能に設けられ、前記往路方向には前記伝達レバーと一体的に揺動可能であり、前記復路方向には伝達レバーから独立して揺動可能である関節部材と、
前記切替レバーに設けられ、前記往路及び前記復路において前記関節部材と一時的に当接する当接部とを有して構成されていることを特徴とする。
このような構成である本発明の車両用開閉体のロック装置(以下、単に「ロック装置」という。)では、使用者による開スイッチの操作が開始されれば、切替レバーが駆動手段に駆動されて設定角度まで揺動した後、初期位置まで復帰する。
ここで、切替レバーが設定角度まで揺動する往路では、まず、切替レバーに設けられた当接部が伝達レバーに設けられた関節部材に接近して当接する。ここで、関節部材は、往路方向には伝達レバーと一体的に揺動可能であるので、切替レバーの揺動に伴って、当接部が関節部材を往路方向に押す。このため、切替レバーの揺動が、当接部及び関節部材を介して伝達レバーに伝達されて、伝達レバーが揺動する。このため、伝達レバーの一端がポールに当接してポールを揺動させ、フォークの揺動を開放させる。その結果、フォークが係止状態から解除状態に切り替わる。この状態では、使用者は開閉体をさらに開くことができる。その後、切替レバーがさらに揺動すると、当接部が関節部材から離反して当接しなくなる。このため、伝達レバーは、切替レバーの揺動をポールに伝達しなくなって、フォークの揺動を固定し得る状態にポールを復帰させる。その結果、フォークが解除状態から係止状態に復帰可能な状態となる。このため、使用者が開閉体を開いてすぐに閉めようとしても、ポールが直ちにフォークの揺動を固定できるので、開閉体を問題なく閉じることができる。
また、切替レバーが初期位置に復帰する復路では、当接部が関節部材に再び当接する。ここで、関節部材は、復路方向には伝達レバーから独立して揺動可能であるので、当接部が当接しても、当接部から逃げるように単独で復路方向に揺動するだけである。このように当接部及び関節部材が作用することにより、切替レバーの復帰はポールによって妨げられない。その結果、切替レバーは、支障なく初期位置に復帰することができる。こうして、このロック装置は、開閉体を開いてすぐに閉めようとする使用者に好適に対処可能である。
さらに、このロック装置では、伝達レバーと関節部材とが1本の揺動軸に軸支され、その揺動軸回りで揺動可能とされている。このため、このロック装置は、伝達レバーと関節部材とが2本の揺動軸に別個に軸支される場合と比較して、装置構成の簡略化や部品点数の削減を図ることができ、その結果として、製造コストの上昇を抑制できる。
したがって、本発明のロック装置は、開閉体を開いてすぐに閉めようとする使用者に好適に対処可能であり、かつ製造コストの上昇を抑制可能である。
なお、このロック装置では、関節部材は、伝達レバーが揺動する面と平行な面内で揺動する。このため、ロック装置の外形状を扁平にすることができるので、ロック装置を車両に搭載しても嵩張らず、車内空間を広くすることができる。さらに、このロック装置では、ポールが揺動する面と伝達レバーが揺動する面とが交差するような配置構成を採用することができる。この場合、このロック装置は、車両のドアのような扁平な空間内に内蔵可能な形状に設計し易くなる。
駆動手段は、本発明の作用効果を奏するものであれば、どのようなものを採用してもかまわない。例えば、駆動手段は、電動モータ、伝達ギヤ、リターンスプリング等が組み合わされてなる周知の構成のものを採用することができる。なお、「電力によって駆動力を生じる駆動手段」とは、切替レバーを駆動する際、常に電力によって駆動力を生じるものである必要はなく、切替レバーの往復動作の往路では、電力によって駆動力を生じて切替レバーを揺動させるとともに、弾性体により付勢力を蓄え、切替レバーの往復動作の復路では、弾性体に蓄えられた付勢力により切替レバーを復帰させるものでもよい。
本発明のロック装置において、伝達レバーと関節部材とは、1つの付勢手段により揺動軸回りで同一方向に付勢され得る。
この場合、このロック装置は、伝達レバーと関節部材とが2つの付勢手段に別個に付勢される場合と比較して、装置構成の簡略化や部品点数の削減を確実に図ることができ、その結果として、製造コストの上昇を一層抑制できる。
付勢手段としては、伝達レバーと関節部材とを揺動軸回りで同一方向に付勢するものであればどのようなものを採用してもかまわない。例えば、付勢手段としては、引張コイルバネ、圧縮コイルバネ、捩りコイルバネ、弾性ゴム等を採用できる。
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。なお、図1に示すように、テールゲート9側を後側として前後方向、左右方向及び上下方向を規定している。すなわち、テールゲート9の反対側である車両前方を前側と規定している。また、車両前方を向いた状態における左側(図1における紙面奥側)を左側と規定し、車両前方を向いた状態における右側(図1における紙面手前側)を右側と規定している。そして、図2〜図4に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1の各方向に対応している。
図1に示すように、実施例の車両用開閉体のロック装置1(以下、単に「ロック装置1」と呼ぶ。)は、自動車等の車両に適用されるものである。ロック装置1は、車両用開閉体の具体的態様の一例であるテールゲート9の下方の車内側に配設されている。そして、ロック装置1は、後述する通り、車両本体8に配設されたストライカ99と、ロック装置1のフォーク11とが係合したり、係合しなくなることにより、テールゲート9を閉じたまま保持する施錠状態、又は開放可能な解錠状態とするものである。以下、ロック装置1の各構成要素について詳しく説明する。なお、ロック装置1は、いうまでもなく、サイドドアやボンネットフード等にも適用可能である。
ロック装置1は、図1及び図2に示すように、取付部材90と、フォーク11と、ポール12と、切替手段50とを備えている。切替手段50とポール12との間には、早期復帰機構20が設けられている。
取付部材90は、図1及び図2に示すように、厚肉の矩形鋼板であり、テールゲート9の下側端部に略水平に固定されている。取付部材90には、図2に示すように、前端縁中央から後方に向けて深く溝状に切り欠かれた進入口91が形成されている。進入口91には、テールゲート9の開閉に伴ってロック装置1が移動する際、略「I」字形状のストライカ99が相対的に進入するようになっている。また、取付部材90には、フォーク11及びポール12が進入口91を左右から挟むように設けられている。
フォーク11は、図2に示すように、進入口91の右側(車両前方を向いた状態における右側。)に配設され、取付部材90の底部から上方に向けて凸設された揺動軸14aに揺動可能に軸支されている。そして、フォーク11は、図示しないコイルバネにより、揺動軸14a回りでD2方向に揺動するように付勢されている。
フォーク11の進入口91側に位置する部位は、前側凸部11aと後側凸部11bとに分岐している。そして、前側凸部11aと後側凸部11bとの間に形成された凹部11cには、進入口91内に進入したストライカ99が収まるようになっている。図2に示す状態が、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を係止した状態(以下、単に「係止状態」と呼ぶ。)である。前側凸部11aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ部12aと当接可能なラッチ面19aが形成されている。
ポール12は、図2に示すように、進入口91の左側(車両前方を向いた状態における左側。)に配設され、取付部材90の底部から上方に向けて凸設された揺動軸14bに揺動可能に軸支されている。
ポール12の進入口91側に位置する部位には、ストッパ部12aが形成されている。ストッパ部12aは、揺動軸14bの軸心を中心とする円弧であり、上述のラッチ面19aに対面するように形成されている。ストッパ部12aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこから揺動軸14b側に向けて略直線状に切り欠かれた摺動面12cが形成されている。
ポール12は、図1に示すように、ストッパ部12aより上方に位置し、前方に向けて突設された被伝達部12bを一体に有している。被伝達部12bは、詳細は後述するが、伝達レバー30の下端側の伝達部30bが当接することにより、図3に示すように、D1方向に押されて変位するようになっている。
揺動軸14bには、コイルバネ12sが装着されている。コイルバネ12sの一端は被伝達部12b側に係止され、コイルバネ12sの他端は取付部材90側に係止されている。ポール12は、このコイルバネ12sにより、揺動軸14b回りでD1方向とは逆方向に揺動するように付勢されており、通常は、図2に示す姿勢を保持している。
図2に示すように、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を係止した状態では、前側凸部11aのラッチ面19aにストッパ部12aが当接することにより、フォーク11をD2方向に揺動させないように固定して係止状態としている。
そして、図3に示すように、後述する伝達部30bが当接して、被伝達部12bがD1方向に変位すれば、ポール12は、コイルバネ12sの付勢力に抗しつつ、揺動軸14b回りでD1方向に揺動する。この際、ストッパ部12aがラッチ面19aから離反するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。その結果、フォーク11がコイルバネの付勢力により揺動軸14a回りでD2方向に揺動して、ストライカ99を進入口91から離脱する方向に変位させる。その結果、フォーク11は、進入口91内においてストライカ99の係止を解除した状態である解除状態に切り替わる。こうして、ロック装置1は、テールゲート9を解錠状態とする。
図3に示す状態において、使用者がテールゲート9をさらに開こうとすれば、ストライカ99が進入口91からさらに離脱する方向に変位するので、フォーク11も追従してD2方向にさらに揺動することとなり、使用者の開操作を妨げない。なお、このフォーク11が揺動して図3に示す状態となった後は、後述する切替手段50及び早期復帰機構20の動作により、伝達部30b及び被伝達部12bが図2に示す元の状態に早期に復帰するようになっている。
逆に、図3に示す状態において、ストライカ99が進入口91内に進入する場合には、フォーク11も追従してD2方向とは逆方向に揺動し、図2に示す状態に復帰する。この際、ポール12は、既に図2に示す元の状態に復帰しているので、フォーク11の下側凸部11b及び上側凸部11aの先端が順次、摺動面12cに当接して、ポール12を一旦D1方向に揺動させる。そして、上側凸部11aが摺動面12cから離反すると、ポール12は、D1方向とは逆方向に揺動して元の状態に復帰するので、ストッパ部12aがラッチ面19aと対面して、フォーク11の揺動を固定する。この結果、フォーク11は係止状態に戻る。こうして、ロック装置1は、テールゲート9を施錠状態とする。
次に、図1及び図4を参照しつつ、切替手段50及び早期復帰機構20について説明する。取付部材90は、自己の上方に位置するハウジング95を有している。ハウジング95は、上下方向に扁平に延在する内部空間を有しており、ハウジング95内において、上方には切替手段50が収納され、下方には早期復帰機構20が収納されている。
切替手段50は、駆動手段80と、切替レバー51とを有している。
駆動手段80は、駆動手段本体81と、駆動手段本体81から後方に向けて露出するように凸設された駆動軸82とからなる。駆動手段本体81は、図示しない制御手段により制御されて、駆動軸82を図4に示す設定角度αの範囲で揺動させるものである。駆動手段本体81は、例えば、電動モータ、伝達ギヤ、リターンスプリング等が組み合わされてなる周知の構成のものであるので、説明は省略する。
切替レバー51は細長い板形状のものであり、上端側が駆動軸82に固定され、下端側が下方に向けて延在するように配設されている。
このような構成である切替手段50は、下記のように動作する。まず、図4に示す初期状態において、使用者が開閉ハンドル9a(図1に示す。)を引いて、開スイッチ9b(図1に示す。)を通電状態とすると、制御手段がそのことを検知し、駆動手段本体81の電動モータに電力を供給して、駆動軸82を揺動させる。そうすると、切替レバー51は、駆動軸82とともに揺動して、図4に示す状態から設定角度αまで所定の速度で揺動する。その後、切替レバー51は、リターンスプリングの復元力により設定角度αから逆方向に揺動し、元の状態まで復帰して停止する。
ここで、図4に示す切替レバー51の状態を「初期位置」と呼ぶこととする。また、切替レバー51が設定角度αまで揺動する行程を「往路」と呼び、切替レバー51が設定角度αから初期位置まで復帰する行程を「復路」と呼ぶこととする。さらに、切替レバー51が初期位置から設定角度αまで揺動する方向を「往路方向G」と呼び、切替レバー51が設定角度αから初期位置まで復帰する方向を「復路方向R」と呼ぶこととする。
早期復帰機構20は、伝達レバー30と、関節部材60と、切替レバー51に設けられた当接部70とを有して構成されている。
伝達レバー30は、細長い板形状のものであり、その中央部は、ハウジング95内で後方に向けて凸設された揺動軸91aに揺動可能に軸支されている。揺動軸91aは、上下方向で見て、駆動軸82と、被伝達部12bとの略中間に配設されている。図1に示すように、揺動軸91aの軸心は、駆動軸82の軸心と平行とされている。このため、伝達レバー30が揺動する平面は、切替レバー51が揺動する面に対して平行となっている。また、伝達レバー30が揺動する平面は、切替レバー51が揺動する面に対して後方に配置されている。
図4に示すように、伝達レバー30の上端側は、初期位置にある切替レバー51の下端側と同じ程度の高さに配置されている。他方、伝達レバー30の下端側には伝達部30bが形成されており、被伝達部12bの左側に配置されている。
揺動軸91aには、コイルバネ30sが装着されている。コイルバネ30sの一端は、伝達レバー30の往路方向G側の側面から突出する凸片が後方に折り曲げられてなる係止部31に係止されている。他方、コイルバネ30sの他端は、ハウジング95側から後方に向けて凸設され、かつ揺動軸91aの右側に位置する係止部91bに係止されている。伝達レバー30は、このコイルバネ30sにより、自己の上端側が揺動軸91a回りで復路方向Rに揺動するように付勢されており、通常は、図4に示す姿勢を保持している。そして、伝達レバー30の上端側がコイルバネ30sの付勢力に抗しつつ、揺動軸91a回りで往路方向Gに揺動すれば、伝達部30bが被伝達部12bに当接して、上述の通り、ポール12をD1方向に揺動させるようになっている。
関節部材60は、図1及び図4に示すように、略「L」字をなす板形状のものであり、伝達レバー30の後面側に添うように配置されている。関節部材60における略「L」字の屈曲部位は、揺動軸91aに揺動可能に軸支されている。すなわち、関節部材60は、伝達レバー30とともに揺動軸91aに揺動可能に設けられており、伝達レバー30と1本の揺動軸91aを共用している。
関節部材60の上端側(揺動軸91aから上方に離れる側)は、伝達レバー30の上端側に向けて延在しており、復路方向Rに向く部位が前方に折り曲げられてなる伝達部61が形成されている。一方、関節部材60の下端側(揺動軸91aから右方に離れる側)は、係止部91bに向けて延在しており、上方を向く側面から突出する凸片が後方に折り曲げられてなる係止部62が形成されている。係止部62は、図4に示すように、通常は揺動軸91aと係止部91bとの間に位置して、コイルバネ30sの他端に上方から当接した状態となっている。このため、関節部材60は、コイルバネ30sにより、揺動軸91a回りで往路方向Gに揺動するように付勢されている。このため、関節部材60は、通常は、伝達部61が伝達レバー30の復路方向R側の側面に当て止まって、図4に示すように、伝達レバー30と重なった状態を維持するようになっている。図7及び図8を示して後述するように、関節部材60は、揺動軸91a回りで往路方向Gには、伝達レバー30と一体的に揺動可能となっている。また、関節部材60は、図11を示して後述するように、揺動軸91a回りで復路方向Rには、伝達レバー30から独立して、コイルバネ30sの付勢力に抗しつつ揺動可能となっている。
当接部70は、切替レバー51の下端側から後方に向けて短く凸設された円柱軸体である。当接部70は、図1及び図4に示すように、伝達部61と同程度の高さに配置されている。また、当接部70は、図1に示すように、前後方向で見て、伝達部61と重なる位置に配置されている。このため、切替レバー51が往路方向G又は復路方向Rに揺動する際、当接部70と伝達部61とが一時的に当接するようになっている。
このような構成である実施例のロック装置1は、図1、図2及び図4に示す初期状態において、使用者が開閉ハンドル9aを操作してテールゲート9を開こうとする場合、下記に詳述するように動作して、自動によりフォーク11を係止状態から解除状態に切り替え、テールゲート9を解錠状態とする。
以下、図5〜図12を参照しつつ、ロック装置1の動作を順次説明する、なお、図5〜図12は、切替手段50及び早期復帰機構20と、フォーク11及びポール12との連携動作を理解し易くするため、取付部材90、フォーク11及びポール12を90度回転させた姿勢で図示して、切替手段50及び早期復帰機構20と、本来取付部材90、フォーク11及びポール12とを同一平面で視認できるようにしている。
<初期状態>
図5は、図1、図2及び図4と同様に、ロック装置1がテールゲート9を施錠状態としている初期状態を示している。この状態では、切替レバー51が初期位置にあり、ポール12がフォーク11の揺動を固定している。
<往路>
次に、使用者が開閉ハンドル9aを操作して、開スイッチ9bを通電状態とすると、制御手段が駆動手段80の制御を開始する。そうすると、図6に示すように、駆動軸82及び切替レバー51が初期位置から往路方向Gに揺動を開始する。そして、切替レバー51の当接部70が関節部材60の伝達部61に接近して当接する。ここで、関節部材60は、揺動軸91a回りで往路方向Gには伝達レバー30と一体的に揺動可能であるので、図7に示すように、切替レバー51の揺動に伴って、当接部70が伝達部61を往路方向Gに押す。このため、切替レバー51の揺動が、当接部70及び関節部材60を介して伝達レバー30に伝達されて、伝達レバー30の上端側が往路方向Gに揺動する。このため、伝達レバー30の下端側の伝達部30bが被伝達部12bに当接して、ポール12をD1方向に揺動させ、フォーク11の揺動を開放させる。その結果、フォーク11がコイルバネに付勢されてD2方向に揺動し、係止状態から解除状態に切り替わる。この状態では、上述の通り、テールゲート9が解錠状態となるので、使用者はテールゲート9をさらに開くことができる。
その後、切替レバー51が往路方向Gにさらに揺動すると、伝達レバー30の上端側も往路方向Gにさらに揺動し、ポール12もD1方向にさらに揺動する。そうすると、図8に示すように、当接部70が伝達部61から離反して当接しなくなるので、伝達レバー30は、切替レバー51の揺動をポール12に伝達しなくなる。このため、図9に示すように、伝達レバー30は、コイルバネ30sの付勢力により、関節部材60とともに元の状態に早期に復帰する。その結果、ポール12も、コイルバネ12sの付勢力により、D1方向とは逆方向に揺動して、フォーク11の揺動を固定し得る状態に早期に復帰する。その結果、フォーク11が解除状態から係止状態に復帰可能な状態となる。この状態では、上述の通り、使用者がテールゲート9を開いてすぐに閉めようとしても、ポール12が直ちにフォーク11の揺動を固定できるので、テールゲート9を問題なく閉じて施錠状態とすることができる。
この間、図9に示すように、切替レバー51は往路方向Gにさらに揺動し、設定角度αまで到達すると、初期位置に戻る動作(復路)に移行する。
<復路>
図10に示すように、切替レバー51が初期位置に復帰する復路では、既に、伝達レバー30及びポール12は元の状態に復帰しているので、切替レバー51が単独で復路方向Rに揺動する。そうすると、当接部70が伝達部61に接近して再び当接する。ここで、図11に示すように、関節部材60は、揺動軸91a回りで復路方向Rには、伝達レバー30から独立して揺動可能であるので、当接部70が伝達部61に当接しても、伝達部61は当接部70から逃げるように単独で復路方向Rに揺動するだけである。この際、係止部62も揺動軸91a回りで揺動して、コイルバネ30sを圧縮するので、関節部材60は、コイルバネ30sの付勢力に抗しつつ復路方向Rに揺動する。このため、切替レバー51は、ポール12や伝達レバー30に妨げられることなく、図12に示すように、初期位置まで復帰することができる。その後、当接部70は伝達部61から再び離反するので、関節部材60はコイルバネ30sの付勢力により、揺動軸91a回りで揺動して元の状態に復帰する。こうして、ロック装置1の一連の動作が終了する。
ここで、実施例のロック装置1では、切替レバー51の往路において、上述の構成である早期復帰機構20が、まず、ポールを揺動させてフォーク11の揺動を開放させる。その結果、フォーク11が係止状態から解除状態に切り替わる。この状態では、使用者はテールゲート9をさらに開くことができる。その後、切替レバー51がさらに揺動すると、早期復帰機構20が、フォーク11の揺動を固定し得る状態にポール12を復帰させる。その結果、フォーク11が解除状態から係止状態に復帰可能な状態となる。このため、使用者がテールゲート9を開いてすぐに閉めようとしても、ポール12が直ちにフォーク11の揺動を固定できるので、テールゲート9を問題なく閉じることができる。
また、切替レバー51の復路において、早期復帰機構20は、上述の通り、切替レバー51の復帰がポール12によって妨げられないようにする。このため、切替レバー51は、支障なく初期位置に復帰することができる。こうして、このロック装置1は、テールゲート9を開いてすぐに閉めようとする使用者に好適に対処できる。
さらに、このロック装置1では、伝達レバー30と関節部材60とが1本の揺動軸91aに軸支され、その揺動軸91a回りで揺動可能とされている。このため、このロック装置1は、伝達レバー30と関節部材60とが2本の揺動軸に別個に軸支される場合と比較して、装置構成の簡略化や部品点数の削減を図ることができ、その結果として、製造コストの上昇を抑制できる。
したがって、実施例のロック装置は、テールゲート9を開いてすぐに閉めようとする使用者に好適に対処でき、かつ製造コストの上昇を抑制できる。
また、このロック装置1において、伝達レバー30と関節部材60とは、1つのコイルバネ30sにより揺動軸91a回りで同一方向に付勢される。このため、このロック装置1は、伝達レバー30と関節部材60とが2つの付勢手段に別個に付勢される場合と比較して、装置構成の簡略化や部品点数の削減を確実に図ることができ、その結果として、製造コストの上昇を一層抑制できる。
さらに、このロック装置1では、関節部材60は、伝達レバー30が揺動する面と平行な面内で揺動する。このため、このロック装置1は、外形状が扁平になっており、車両に搭載しても嵩張らず、車内空間を広くすることができる。さらに、このロック装置1では、ポール12が揺動する面と伝達レバー30が揺動する面とが交差するような配置構成を採用しているので、車両のドアのような扁平な空間内に内蔵可能な形状に設計し易くなっている。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
本発明は車両用開閉体に利用可能である。
実施例の車両用開閉体のロック装置の側面図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置に係り、図1の矢視II方向から見た取付部材、フォーク及びポールを示す説明図である(フォークが係止状態となっている。)。 実施例の車両用開閉体のロック装置に係り、図1の矢視II方向から見た取付部材、フォーク及びポールを示す説明図である(フォークが解除状態となっている。)。 実施例の車両用開閉体のロック装置に係り、図1の矢視IV方向から見た切替手段、早期復帰機構、取付部材、フォーク及びポールを示す説明図である(切替レバーが初期位置にある状態。)。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である(切替レバーが初期位置にある状態。)。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。 実施例の車両用開閉体のロック装置の動作を示す説明図である。
符号の説明
1…ロック装置
9…車両用開閉体(テールゲート)
9b…開スイッチ
11…フォーク
12…ポール
20…早期復帰機構
30…伝達レバー
30b…伝達レバーの一端(伝達部)
30s…付勢手段(コイルバネ)
50…切替手段
51…切替レバー
60…関節部材
70…当接部
80…駆動手段
90…取付部材
91…進入口
91a…揺動軸
99…ストライカ
G…往路方向
R…復路方向
α…設定角度

Claims (2)

  1. ストライカが進入する進入口が形成された取付部材と、
    前記取付部材に揺動可能に設けられ、前記進入口内において前記ストライカを係止した状態である係止状態、又は前記進入口内において前記ストライカの係止を解除した状態である解除状態に切り替わるフォークと、
    前記取付部材に揺動可能に設けられ、前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
    前記ポールに作用して、前記フォークを前記係止状態から前記解除状態に切り替える切替手段とを備えた車両用開閉体のロック装置であって、
    前記切替手段は、電力によって駆動力を生じる駆動手段と、
    通常は初期位置にあり、開スイッチの操作があれば、前記駆動手段に駆動されて設定角度まで揺動した後、前記初期位置まで復帰する切替レバーとを有し、
    前記切替レバーと前記ポールとの間には、前記切替レバーが前記設定角度まで揺動する往路では、前記ポールを揺動させて前記フォークの揺動を開放させ、その後、前記フォークの揺動を固定し得る状態に前記ポールを復帰させるとともに、前記切替レバーが前記初期位置に復帰する復路では、前記切替レバーの復帰が前記ポールによって妨げられないようにする早期復帰機構が設けられ、
    前記早期復帰機構は、前記取付部材に揺動軸回りで揺動可能に設けられ、自己の一端が前記ポールに当接して前記ポールを揺動させる伝達レバーと、
    前記伝達レバーとともに前記揺動軸に揺動可能に設けられ、前記往路方向には前記伝達レバーと一体的に揺動可能であり、前記復路方向には前記伝達レバーから独立して揺動可能である関節部材と、
    前記切替レバーに設けられ、前記往路及び前記復路において前記関節部材と一時的に当接する当接部とを有して構成されていることを特徴とする車両用開閉体のロック装置。
  2. 前記伝達レバーと前記関節部材とは、1つの付勢手段により前記揺動軸回りで同一方向に付勢されていることを特徴とする車両用開閉体のロック装置。
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