JP6226732B2 - 田植機 - Google Patents

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Description

本発明は、苗のせ台の他に、複数種の粉粒体を各別に収容可能で、かつ各別に繰り出し供給可能な粉粒体供給装置と、それらの粉粒体供給装置から供給される粉粒体の田面に対する供給位置が、泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給する粉粒体埋入手段とを備えた田植機に関する。
上記のような複数種の粉粒体を各別に収容可能で、かつ各別に繰り出し供給可能な粉粒体供給装置と、それらの粉粒体供給装置から供給される粉粒体の田面に対する供給位置が、泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給する粉粒体埋入手段とを備えた田植機としては、下記[1]、又は[2]に記載の構造のものがある。
[1]複数種の粉粒体を各別に収容可能で、かつ各別に繰り出し供給可能な複数の粉粒体供給装置を、苗植付装置における苗のせ台の後方側に配設して、それぞれの粉粒体供給装置毎に備えた個別の作溝器に対して粉粒体を落下供給するように構成したもの(特許文献1参照)。
[2]複数種の粉粒体を各別に収容可能で、かつ各別に繰り出し供給可能な複数の粉粒体供給装置を、苗植付装置における苗のせ台の後方側に配設して、一方の粉粒体供給装置から繰り出された粉粒体を、他方の粉粒体供給装置のロート部に供給して、共通の肥料流下路を介して共通の作溝器へ供給するように構成したもの(特許文献2参照)。
特許第2548456号公報(段落番号「0011」、「0012」、図1参照) 特許第2613700号公報(段落番号「0010」、「0011」、図1、図2参照)
上記[1]に記載した従来の技術では、それぞれの粉粒体供給装置から繰り出された粉粒体を個別の作溝器に対して落下供給するものであるため、圃場に多くの作溝器の通過跡が生じ、圃場面に多くの凹凸部分が残る点で改善の余地がある。
また、上記[2]に記載した従来の技術では、複数の粉粒体供給装置から各別に繰り出される複数種の粉粒体を、共通の作溝器へ供給するものであるから、圃場に形成される作溝器の通過跡を少なくできる点で有利なものである。しかしながら、この構造のものにおいても、複数の粉粒体供給装置のいずれもが苗のせ台の後方側に配設されているため、苗植付装置の後方側における重量が大きくなる傾向がある。このため、複数の粉粒体供給装置を含めた苗植付装置の全体を自走車体側から昇降作動させる際の重量が大きくなり易い傾向があり、この点で改善の余地がある。
本発明は、複数の粉粒体供給装置を備え、複数種の粉粒体を共通の作溝器へ供給するように構成されている苗植付装置の全体を、自走車体側から昇降作動させる際の重量の軽減を図るものである。
上記目的を達成するために講じた本発明における田植機の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、 苗のせ台を備えた苗植付装置が自走車体の後部に配備されているとともに、前記苗のせ台の前方側に配備された第1粉粒体供給装置と、前記苗のせ台の後方側に配備された第2粉粒体供給装置と、前記第1,第2粉粒体供給装置から供給される粉粒体の田面に対する供給位置が、泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給する粉粒体埋入手段とを備え、前記第1粉粒体供給装置から供給される粉粒体を搬送する第1搬送路と、前記第2粉粒体供給装置から供給される粉粒体を搬送する第2搬送路と、前記第1搬送路と前記第2搬送路とで搬送される粉粒体同士が合流する合流搬送路とを備えて、前記第1搬送路が前記苗のせ台の前側面に沿って延び、前記苗のせ台の下端に位置して植付アームが通過することにより前記苗のせ台から苗が取り出される苗取り出し口の近傍位置で、前記第1搬送経路の前記苗のせ台の前側面に沿って延びる部分と前記第2搬送路とが前記合流搬送路に接続されて、前記合流搬送路から共通の前記粉粒体埋入手段に粉粒体が供給されるように構成されていることである。
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1にかかる発明によると、複数種の粉粒体供給装置のうちの第1粉粒体供給装置は苗のせ台の前方側に配備され、第2粉粒体供給装置が苗のせ台の後方側に配備されている。このため、自走車体側から苗植付装置を昇降作動させる際に、苗のせ台よりも遠い後方側に複数種の粉粒体供給装置の全部が配置されている構造のものに比べて、第1粉粒体供給装置が苗のせ台の前方側に配備されている分、複数種の粉粒体供給装置を含めての苗植付装置を昇降作動させる際の重量が軽減される。
したがって、自走車体と苗植付装置とを含めた機体全体における前後方向での重量バランスが後方寄りに偏る傾向を少なくし、機体の前後バランスが改善される利点がある。
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第1搬送路と前記第2搬送路とが、前記苗のせ台の下側位置で前記合流搬送路に接続されていることである。
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる発明によると、第1粉粒体供給装置から供給される粉粒体を搬送する第1搬送路と、第2粉粒体供給装置から供給される粉粒体を搬送する第2搬送路とが合流する合流搬送路は苗のせ台の下側位置である。
したがって、上記の第1搬送路や第2搬送路、あるいは合流搬送路の存在によって苗のせ台の横移動が妨げられる虞がない。また、泥面からの距離が極短いところの、苗のせ台の下側位置での合流であるから、例えば合流後に長い距離を流下する場合のように、合流後の粉粒体同士の混入割合が泥面に到達するまでの間で変化してしまうような虞も少ない点で有利である。
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記粉粒体埋入手段は、前記苗のせ台の下方に配備された整地用フロートに装備されたものであるということである。
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明によると、粉粒体埋入手段は、前記苗のせ台の下方に配備された整地用フロートに装備されている。したがって、泥面の凹凸に追随するように整地用フロートが多少上下作動しても、粉粒体埋入手段も整地用フロートとともに泥面に対して上下作動するので、泥面に対する粉体埋入手段の機能を安定した状態に維持し得る利点がある。
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記粉粒体埋入手段は、泥中に埋入用溝を形成する作溝部分と、その作溝部分の上部に接続された蛇腹管状部分とを備え、この蛇腹管状部分によって前記合流搬送路が構成されているということである。
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明によると、作溝部分の上下移動を許容するように蛇腹状に形成された蛇腹管状部分によって合流搬送路が構成されている。この蛇腹管状部分は、その内径も前後方向に幅の広い作溝部分の大きさなどに応じて、第1搬送路や第2搬送路よりも幅広に形成される傾向にある。
したがって、必然的に幅広に形成される傾向にある蛇腹管状部分を有効に利用して幅広の合流搬送路を設けることができるという利点がある。
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第1粉粒体供給装置には、前記第1搬送路に搬送風を供給する送風装置が備えられ、前記第1搬送路は前記合流搬送路との接続箇所付近における搬送風の流れ方向が下向きであるように配備され、前記第2搬送路においても前記合流搬送路との接続箇所付近が下向きであるように配備されているということである。
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明によると、第1搬送路に搬送風を供給する送風装置が備えられ、その第1搬送路でも、第2搬送路においても、合流搬送路との接続箇所付近における搬送風の流れ方向が下向きであるように配備されている。したがって、第1搬送路に供給された搬送風は、第1搬送路で粉粒体を搬送風に乗せて搬送するとともに、合流搬送路との接続箇所付近で同様に下向きである第2搬送路で搬送される粉粒体に対する引き出し方向での吸引作用を与えられる。その結果、第1、第2の各搬送路での粉粒体の詰まり発生を回避し易いという利点がある。
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第1粉粒体供給装置は、前記苗植付装置を昇降自在に支持する自走車体に搭載されていることである。
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6にかかる発明によると、第1粉粒体供給装置は自走車体に搭載されているので、その重量が苗植付装置を昇降作動させる際の重量に付加されることがない。したがって、粉粒体供給装置を含めての苗植付装置を昇降作動させるための昇降作動装置の小型化を図り得る利点がある。
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第1粉粒体供給装置は、前記第2粉粒体供給装置よりも容量の大きなもので構成されているということである。
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7にかかる発明によると、容量の大きな第1粉粒体供給装置を自走車体に搭載することにより、より一層、粉粒体供給装置を含めての苗植付装置を昇降作動させるための昇降作動装置を小型化し易い点で有利である。
田植機の全体を示す側面図である。 田植機の後部を示す平面図である。 薬剤供給装置及び粉粒体埋入手段を示す側面図である。 薬剤供給装置部分を示す後面図である。 整地用フロート部分を示す平面図である。 粉粒体の合流箇所付近を示す断面図である。
以下、本発明における田植機の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔田植機の全体構成〕
図1は、本発明に係る田植機の全体を示す側面図である。図1に示すように、本発明に係る田植機は、車体フレーム10の前部が左右一対の前輪11Fで支持され、後部が左右一対の後輪11Rで支持された自走車体1を備えている。この自走車体1の後部に、リンク機構12を介して苗植付装置2が上下位置変更可能に支持されて、乗用型田植機が構成されている。
自走車体1の前部にエンジン(図示せず)を内装した原動部13が設けられ、その原動部13の後方側に、ステアリングハンドル14を備えた操縦部、及び運転座席15が配備され、運転座席15の後方側に、粉粒体供給装置としての施肥装置3(第1粉粒体供給装置に相当する)が配設されている。
前記原動部13の左右両側で横方向に離れた位置に予備苗のせ台16が配設され、予備苗のせ台16に搭載された予備苗を取り出して、自走車体1上から後方の苗植付装置2の苗のせ台20に苗補給可能に構成してある。前記リンク機構12は、機体後部に設けた油圧シリンダ17の伸縮作動にともなって上下揺動可能に構成してある。
苗植付装置2は、リンク機構12が油圧シリンダ17によって車体フレーム10に対して上下に揺動操作されることにより、整地用フロート27が圃場泥土に接地した下降作業状態と、整地用フロート27が圃場泥土から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。
苗植付装置2の後部側には、施肥装置3とは別の粉粒体供給装置としての施薬装置4(第2粉粒体供給装置に相当する)が配設されている。
〔苗植付装置〕
苗植付装置2は、図1及び図3に示すように、リンク機構12の後端部にフィードケース21が支持され、フィードケース21から左右横向きに延出された横フレーム22の後面側に、後向きに片持ち状で伝動ケース23が延出されている。この伝動ケース23の上部に苗のせ台20が支持されている。
フィードケース21から横方向に周知の横送り軸(図外)が延出され、この横送り軸と苗のせ台20とが連係されて、横送り軸の回転駆動に伴って苗のせ台20が横方向に往復移動するように構成されている。伝動ケース23の後部には植付ケース24が回転自在に支持され、植付ケース24に、植付爪25aを備えた一対の植付アーム25(苗植付機構に相当する)が支持されている。
図2に示されているように、苗のせ台20には、一条分のマット状苗を載置するように壁状の仕切り部20bで4箇所に区画された苗載置部20aが設けられて4条植え用に構成されている。苗載置部20aは前方上方から後方下方に向かう傾斜面に形成された苗のせ面2Aを備えている。そして区画された各苗載置部20aには、それぞれ左右一対のベルト駆動式の苗縦送り装置26が備えられている。
この苗縦送り装置26は、苗のせ台20が往復横送り駆動のストロークエンドに達すると、苗載置部20aに載置されている苗が下端の苗取り出し口20c側に向けて所定量だけ送られるように、縦送りベルト26aを駆動して苗を縦送りするように構成された周知の構造のものである。
図3乃至図5に示すように、苗植付装置2の下部には整地用フロート27が配設されている。
この整地用フロート27は、フィードケース21の下部に位置するセンターフロート27Cと、センターフロート27Cの右及び左の横外側に所定間隔を隔てて位置するサイドフロート27R,27Lとを備えたものである。整地用フロート27では、センターフロート27Cの左右方向での中心線CLよりも横外側に離れた位置の左右両側部に整地部27Ca,27Caが形成され、各サイドフロート27R,27Lの左右方向での中央部に整地部27Ra,27Laが形成されている。
そして、センターフロート27Cの左右両側部に形成されている整地部27Ca,27Caが存在する箇所よりも中央側に寄った箇所に、後述する粉粒体供給装置の粉粒体埋入手段としての左右一対の作溝器34,34(作溝部分に相当する)が設けられ、各サイドフロート27R,27Lの整地部27Ra,27Laが存在する箇所よりも横外側箇所にも同様な作溝器34,34が備えられている。
これらの各作溝器34,34の後方側には、各作溝器34,34で形成される泥面の形成溝を埋め戻すための覆土体28が、各作溝器34,34が取り付けられた箇所よりも後方側で各整地用フロート27に装備されている。各覆土体28は、作溝器34が泥面に溝を形成する際に、作溝器34で左右に押し退けられて溝の左右両側に盛り上がった泥土を、機体進行に伴って横側方へ押し、泥面に形成されている溝内に泥土を押し込んで埋め戻すように取り付けられたものである。
上記の構造により、横送り軸が回転駆動されて苗のせ台20が横方向に往復横送り駆動され、植付ケース24が回転駆動されて、植付アーム25が苗のせ台20の苗載置部20aの下部の苗取り出し口20cから苗を取り出して田面に植え付けるように構成されている。そして、苗のせ台20が往復横送り駆動のストロークエンドに達すると、苗のせ台20の苗載置部20aの苗が苗縦送り装置26により下方に所定量だけ縦送りされ、再び苗取り出し口20cからの苗の取り出しが可能な状態になる。
前記作溝器34で泥面に形成される溝は、植付アーム25による苗植付箇所の横側方に少しずれた箇所に位置する。
〔粉粒体供給装置〕
粉粒体供給装置は、図1及び図2に示すように、運転座席15の後側に肥料を貯留する肥料タンク30を設けた施肥装置3(第1粉粒体供給装置に相当する)と、苗植付装置2における苗のせ台20の後方側に薬剤タンク40を設けた施薬装置4(第2粉粒体供給装置に相当する)とを備えている。
〔施肥装置〕
施肥装置3は、粉粒体である肥料を貯留するように車体横方向に長い形状に形成された一つの肥料タンク30を備えるとともに、その肥料タンク30の下側に位置して、肥料タンク30内の肥料を所定量ずつ繰り出す二つの繰出機構31とを備えている。さらに、繰り出された肥料を搬送風に乗せて風力搬送するための送風装置32と、繰り出された粉粒体を供給対象箇所へ案内する4本の供給ホース33(第1搬送路に相当する)と、供給された粉粒体を泥面に形成した溝へ供給するための4箇所の作溝器34と、前記各供給ホース33と各作溝器34とを繋ぐ蛇腹管35(合流搬送路に相当する)とを備えている。
前記肥料タンク30及び繰出機構31は、運転座席15の後側で自走車体1に備えた支持台(図示せず)上に固定されている。繰出機構31の下部前側で粉粒体繰り出し箇所に連なるように、送風装置32の送風ダクト32Aが設けられている。
各繰出機構31の後部側には、それぞれ2本の供給ホース33が接続されていて、送風装置32で発生させた風に乗せて、繰出機構31から繰り出された粉粒体を、各供給ホース33から各作溝器34へ向けて風力搬送するように構成されている。
送風装置32の吸気ダクト32Bは、エンジンEの付近に延出してあり、エンジンEの放熱などによって温度上昇した空気を吸引して搬送風を発生させる。この送風装置32は電動モータ32Cで駆動されるように構成してある。
繰出機構31は、周知の繰り出しロール(図示せず)を駆動する繰り出し駆動軸(図示せず)が、揺動アーム36の所定角度範囲内での往復揺動作動により、間欠的に粉粒体を繰り出すように構成されている。つまり、揺動アーム36の所定角度範囲内での往復揺動作動により、図示しない一方向回転機構を介して繰り出しロールを一定方向に回転させることにより、肥料タンク30内の肥料を所定量づつ繰り出し供給するように構成されている。
揺動アーム36の往復揺動運動は、次のようにして行われる。図1に示すように、自走車体1側から苗植付装置2に伝達する動力取り出し軸18に対してエンジン動力を伝える伝動軸(図示せず)と連動する施肥出力軸37が、自走車体1の横側部に突設されている。その施肥出力軸37に備えた回転アーム37aに、連係ロッド38の一端側が連結され、施肥出力軸37の回転運動が連係ロッド38の長手方向での往復運動に変換される。連係ロッド38の他端側が揺動アーム36に連結されていて、施肥出力軸37の回転にともなって揺動アーム36が所定角度範囲内で往復揺動作動される。
したがって、施肥装置3の繰出機構31は、苗植付装置2による苗植付作動中に肥料を作溝器34側へ供給し、苗植付装置2による苗植付作動が停止されると、施肥装置3の繰出機構31による肥料の繰り出しも停止される。
〔施薬装置〕
施薬装置4は、前記施肥装置3で供給される肥料とは別種の粉粒体である病虫害防除用薬剤などの粉粒体を供給するものであり、左右一対の薬剤タンク40と、各薬剤タンク40の下側に設けた4個の薬剤繰り出し部41と、薬剤繰り出し部41の下部から下向きに延出した4本の薬剤供給筒43(第2搬送路に相当する)とを備えている。
この施薬装置4は、図4及び図6に示すように、苗植付装置2の伝動ケース23の上側にボルト止めしたブラケット45に取り付けた支持杆46を介して、横長の横架支持体47に各薬剤繰り出し部41が固定されることにより、苗のせ台20の後方側に配設されている。
薬剤繰り出し部41は、図3及び図4に示すように、周知の繰り出しロール(図示せず)を駆動する繰り出し駆動軸42が、植付ケース24の回転運動に伴って所定角度ずつ回転されるように構成してある。
繰り出し駆動軸42には、その繰り出し駆動軸42との間に、図示しない一方向回転機構を介して揺動アーム42aが設けられていて、揺動アーム42aの往復揺動に伴って繰り出し駆動軸42が一定方向に回転駆動されるように構成されている。この揺動アーム42aが駆動機構44を介して植付ケース24に連係されている。
駆動機構44は、次のように構成されている。つまり、植付ケース24との間に植付アーム25を挟み込む状態で、植付ケース24と一体回動するように取り付けた動力取り出し体44aと、その動力取り出し体44aと前記揺動アーム42aとの間を連結する連係ロッド44bとを備えている。
連係ロッド44bの一端側は、動力取り出し体44aの回転中心から少し離れた位置に、球継ぎ手を介して連結され、他端側は鍵型に屈曲されて揺動アーム42aの連結箇所に挟み込まれた状態で連結されている。この揺動アーム42a側での連係ロッド44bの連結位置は、繰り出し駆動軸42の軸中心に対する遠近方向で位置変更可能である。したがって、連結位置を繰り出し駆動軸42の軸中心に近づけると、植付ケース24の一回転あたりにおける繰り出し駆動軸42の揺動角度範囲が大きくなり、逆に、連結位置を繰り出し駆動軸42の軸中心から遠ざけると、植付ケース24の一回転あたりにおける繰り出し駆動軸42の揺動角度範囲が小さくなる。これによって、植付ケース24の一回転あたりにおける繰り出しロールの回転角を変化させて、粉粒体の繰り出し量を変更することができる。
薬剤供給筒43は、薬剤繰り出し部41に連なる硬質パイプ製の上部筒43aと、その上部筒43aの下端側に連なる軟質の可撓性ホースからなる下部筒43bとを備えている。図3及び図6に示すように、下部筒43bの下端側は、苗のせ台20の下側で、施肥装置3の各供給ホース33と各作溝器34とを繋ぐ蛇腹管35の上部に連通する状態で一体に接続されている。
蛇腹管35の上部では、各供給ホース33も、下部筒43bもほぼ下向きに近い状態で接続されており、各供給ホース33内を流れる搬送風の向きも下向きとなるように構成されている。
また、各供給ホース33も、下部筒43bも軟質の可撓性ホースによって構成されているので、整地用フロート27が後端側の揺動支点周りで先端側を上下揺動して、作溝器34の上下位置が変化したとき、供給ホース33も下部筒43bも自身の可撓性によって屈撓変化する。
上記の蛇腹管35が、合流搬送路に相当する供給ホース33の下端部と下部筒43bの下端部とが接続される合流搬送路を構成するものであり、直管状の内管35Aとその外側に位置する蛇腹状の外管35Bとで構成されている。
内管35Aの内径D3は、供給ホース33の下端部の内径D1、及び下部筒43bの下端部の内径D2よりも大きな径に形成されており、外管35Bは下側ほど径の大きくなる円錐状の蛇腹によって構成されている。
〔別実施形態の1〕
実施の形態では、施肥装置3の各供給ホース33と下部筒43bの下端側との接続箇所を、苗のせ台20の下側に相当する位置とした構造のものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、図示しないが、苗のせ台20の仕切り部20bを、施肥装置3の供給ホース33が貫通する、もしくは施薬装置4の下部筒43bが貫通する状態で設け、苗のせ台20の前側、もしくは後側で合流するように接続したものであってもよい。
この場合、苗のせ台20の横移動に伴う貫通箇所の横移動は、供給ホース33や下部筒43bの可撓性によって許容できるように、供給ホース33や下部筒43bに横移動可能な機能を備えさせておくとよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の2〕
実施の形態では、施肥装置3の肥料タンク30を自走車体1に搭載した構造のものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、図示しないが、肥料タンク30を苗のせ台20の前側で、苗植付装置2もしくはリンク機構12に搭載するなどしてもよい。
また、施肥装置3の肥料タンク30ではなく、施薬装置4の薬剤タンク40を苗のせ台20の前側で、自走車体1に搭載、あるいは苗植付装置2もしくはリンク機構12に搭載するなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の3〕
実施の形態では、粉粒体埋入手段としての作溝器34を、整地用フロート27に取り付けた構造のものを例示したがこれに限られるものではない。例えば作溝器34を苗植付装置2の固定部である横フレーム22、あるいは伝動ケース23に対して取り付けるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の4〕
実施の形態では、粉粒体埋入手段としての作溝器34と合流搬送路としての蛇腹管35とが、上下に区分された状態に構成した構造のものを例示したが、このような構造に限られるものではない。
例えば、作溝器34の内部に合流搬送路としての蛇腹管35が入り込む状態に配置して、作溝器34と蛇腹管35とが上下方向で重複するように構成してもよい。この場合、作溝器34と蛇腹管35とが、粉粒体埋入手段であるとともに合流搬送路としての機能をも有する。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の5〕
実施の形態では、共通の粉粒体埋入手段で埋入させる複数種の粉粒体として、肥料と病虫害防除用薬剤とを用いた例を示したが、これに限られるものではない。例えば、肥料に代えて薬剤と別種の薬剤とを複数種の粉粒体として用いたもの、あるいは、肥料と別の種類の肥料とを複数種の粉粒体として用いたものであっても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
本発明は、4条用の苗植付装置2を備えた田植機の他、5条以上の苗植付装置2を備えた田植機、あるいは、2条、又は3条用の田植機にも利用可能である。
1 自走車体
2 苗植付装置
3 施肥装置(第1粉粒体供給装置)
4 施薬装置(第2粉粒体供給装置)
20 苗のせ台
20c 苗取り出し口
25 植付アーム
27 整地用フロート
30 肥料タンク
31 繰出機構
32 送風装置
33 供給ホース(第1搬送路)
34 作溝器(粉粒体埋入手段)
35 蛇腹管(合流搬送路)
40 薬剤タンク
41 薬剤繰り出し部
43 薬剤供給筒(第2搬送路)

Claims (7)

  1. 苗のせ台を備えた苗植付装置が自走車体の後部に配備されているとともに、
    前記苗のせ台の前方側に配備された第1粉粒体供給装置と、
    前記苗のせ台の後方側に配備された第2粉粒体供給装置と、
    前記第1,第2粉粒体供給装置から供給される粉粒体の田面に対する供給位置が、泥表面への露呈を回避可能な深さ位置となるように供給する粉粒体埋入手段とを備え、
    前記第1粉粒体供給装置から供給される粉粒体を搬送する第1搬送路と、
    前記第2粉粒体供給装置から供給される粉粒体を搬送する第2搬送路と、
    前記第1搬送路と前記第2搬送路とで搬送される粉粒体同士が合流する合流搬送路とを備えて、
    前記第1搬送路が前記苗のせ台の前側面に沿って延び、
    前記苗のせ台の下端に位置して植付アームが通過することにより前記苗のせ台から苗が取り出される苗取り出し口の近傍位置で、前記第1搬送経路の前記苗のせ台の前側面に沿って延びる部分と前記第2搬送路とが前記合流搬送路に接続されて、
    前記合流搬送路から共通の前記粉粒体埋入手段に粉粒体が供給されるように構成されている田植機。
  2. 前記第1搬送路と前記第2搬送路とが、前記苗のせ台の下側位置で前記合流搬送路に接続されている請求項1記載の田植機。
  3. 前記粉粒体埋入手段は、前記苗のせ台の下方に配備された整地用フロートに装備されたものである請求項1又は2記載の田植機。
  4. 前記粉粒体埋入手段は、泥中に埋入用溝を形成する作溝部分と、その作溝部分の上部に接続された蛇腹管状部分とを備え、この蛇腹管状部分によって前記合流搬送路が構成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の田植機。
  5. 前記第1粉粒体供給装置には、前記第1搬送路に搬送風を供給する送風装置が備えられ、
    前記第1搬送路は前記合流搬送路との接続箇所付近における搬送風の流れ方向が下向きであるように配備され、前記第2搬送路においても前記合流搬送路との接続箇所付近が下向きであるように配備されている請求項1〜4のいずれか一項記載の田植機。
  6. 前記第1粉粒体供給装置は、前記苗植付装置を昇降自在に支持する自走車体に搭載されている請求項1〜5のいずれか一項記載の田植機。
  7. 前記第1粉粒体供給装置は、前記第2粉粒体供給装置よりも容量の大きなもので構成されている請求項6記載の田植機。
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