JP6225170B2 - 2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法 - Google Patents
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Description
パラジウム化合物および有機リン化合物からなるパラジウム触媒、二酸化炭素および第3級アミン存在下で、ブタジエンと水をテロメリ化反応させることによって、2,7−オクタジエン−1−オールを製造する方法としては、以下のものが知られている。
つまり、本発明の課題は、高価なパラジウム触媒を高効率的に回収し、パラジウム1原子あたりの反応速度が向上する、簡便且つ工業的に有利な2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法を提供すること、さらには、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択性を向上させることにある。
またさらに、特定の水溶性トリアリールホスフィンを用いてなるパラジウム触媒を用いることによって、パラジウム触媒の回収率が一層向上すると共に、テロメリ化反応の選択性まで向上することを見出した。
本発明は、上記知見に基づいて完成したものである。
[1]分子内に2つ以上のスルホナト基を有する水溶性トリアリールホスフィンおよびパラジウム化合物からなるパラジウム触媒、第3級アミンおよび二酸化炭素の存在下においてブタジエンと水をテロメリ化反応させることによる2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法であって、
テロメリ化反応によって得られたテロメリ化反応液を、25℃における誘電率が2〜18の有機溶媒と混合した後、二酸化炭素の存在下で相分離させ、有機相から2,7−オクタジエン−1−オールを得、一方で、パラジウム触媒を含む水相を回収する工程を含む、2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[2]前記水溶性トリアリールホスフィンが、下記一般式(I)で示される、上記[1]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[3]前記一般式(I)において、R1、R3、R5、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、R2、R4およびR6はいずれも水素原子であり、Mは、それぞれ独立して、アルカリ金属原子の陽イオンまたは窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンであり、スルホナト基(−SO3M)の結合位置は、いずれもリン原子に対してメタ位である、上記[2]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[4]前記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、p、qおよびrはいずれも0であり、Mは、それぞれ独立して、リチウム原子の陽イオン、ナトリウム原子の陽イオン、カリウム原子の陽イオン、または窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンであり、スルホナト基(−SO3M)の結合位置は、それぞれ、ベンゼン環上におけるR1、R3またはR5の対角位である、上記[2]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[5]前記一般式(I)において、R1、R3およびR5はいずれも同一であり、水素原子またはメチル基を表し、p、qおよびrはいずれも0であり、Mは同一かつリチウム原子の陽イオン、ナトリウム原子の陽イオン、カリウム原子の陽イオンもしくは窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである、上記[4]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[6]前記一般式(I)において、R1、R3およびR5のうちの少なくとも2つが炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基である、上記[1]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[7]R1、R3およびR5のうちの少なくとも2つがメチル基である、上記[6]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[8]前記一般式(I)において、Mが、窒素1原子に結合する基の総炭素数が5〜24の第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである、上記[1]〜[7]のいずれかの2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[9]Mが、窒素1原子に結合する基の総炭素数が5〜7の第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである、上記[8]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[10]前記相分離を130℃以下、および二酸化炭素導入後の全圧が0.1MPa(ゲージ圧)以上の条件下で実施する、上記[1]〜[9]のいずれかの2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[11]前記相分離を5〜90℃、および二酸化炭素導入後の全圧が0.5〜3MPa(ゲージ圧)で実施する、上記[10]の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[12]テロメリ化反応を130℃以下、および二酸化炭素導入後の全圧が0.5MPa(ゲージ圧)以上の条件下で実施する、上記[1]〜[11]のいずれかの2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
[13]回収したパラジウム触媒を含む水相の少なくとも一部をテロメリ化反応に再使用する、上記[1]〜[12]のいずれかの2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
さらに、例えばオルト位に置換基を有するアリール基を2つ以上有する水溶性トリアリールホスフィンを用いてなるパラジウム触媒を用いることによって、パラジウム触媒の回収率が一層向上すると共に、テロメリ化反応の選択性まで向上させることができる。
本発明は、分子内に2つ以上のスルホナト基を有する水溶性トリアリールホスフィンおよびパラジウム化合物からなるパラジウム触媒、第3級アミンおよび二酸化炭素の存在下においてブタジエンと水をテロメリ化反応させることによる2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法であって、テロメリ化反応によって得られたテロメリ化反応液を、25℃における誘電率が2〜18の有機溶媒と混合した後、二酸化炭素の存在下で相分離させ、有機相から2,7−オクタジエン−1−オールを得、一方で、パラジウム触媒を含む水相を回収する工程を含む、2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法である。
ここで、本明細書中、好ましいとする規定は任意に選択することができ、また、好ましいとする規定の組み合わせはより好ましいと言える。
以下、本発明の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法について、以下の工程に分けて順に説明する。
〔1.パラジウム触媒調製工程〕
分子内に2つ以上のスルホナト基を有する水溶性トリアリールホスフィン(以下、単に水溶性トリアリールホスフィンと称することがある。)とパラジウム化合物よりパラジウム触媒を調製する工程。
〔2.テロメリ化反応工程〕
パラジウム触媒、第3級アミンおよび二酸化炭素の存在下、ブタジエンと水を反応させることによって2,7−オクタジエン−1−オールを得る工程。
〔3.触媒回収工程および生成物分離工程〕
上記テロメリ化反応工程で得られたテロメリ化反応液を、25℃における誘電率が2〜18の有機溶媒と混合した後、二酸化炭素の存在下で相分離させ、有機相から2,7−オクタジエン−1−オールを得る工程(生成物分離工程)、およびパラジウム触媒を含む水相を高効率的に回収する工程(触媒回収工程)。
テロメリ化反応によって得られる「テロメリ化反応液」は、テロメリ化反応に用いた第3級アミン、二酸化炭素、ブタジエンおよび水のほか、生成物または副生成物である、2,7−オクタジエン−1−オール、1,7−オクタジエン−3−オール、1,3,6−オクタトリエン、1,3,7−オクタトリエン、2,4,6−オクタトリエンおよび4−ビニルシクロヘキセンなどを含有しており、さらに、パラジウム触媒調製および/またはテロメリ化反応に用いる溶媒を含有していることもある。
共役アルカジエンのテロメリ化反応は、0価パラジウム1原子に対して3価リン含有化合物が1分子以上配位してなるパラジウム触媒によって実施できることが、例えば、ジャーナル オブ モレキュラー キャタリシス エー ケミカル(Journal of Molecular Catalysis A: Chemical)、第144巻、1999年、27〜40頁に記載されている。
パラジウム触媒を調製するための各種条件などについて、以下に説明する。
パラジウム化合物の形態および原子価の状態は特に限定されるものではなく、塩を形成していてもいなくてもよいし、0価であっても2価であってもよい。
例えば、0価パラジウム化合物としては、ビス(t−ブチルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(t−アミルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(シクロヘキシルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(フェニルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(p−トリルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(2,6−ジメチルフェニルイソニトリル)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、(1,5−シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス(ノルボルネン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス(無水マレイン酸)(ノルボルネン)パラジウム(0)、(ジベンジリデンアセトン)(ビピリジル)パラジウム(0)、(p−ベンゾキノン)(o−フェナントロリン)パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリトリルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリキシリルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリメシチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリテトラメチルフェニル)パラジウム(0)、ビス(トリメチルメトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0)などが好ましく挙げられる。
2価パラジウム化合物としては、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テトラアンミンジクロロパラジウム(II)、ジナトリウムテトラクロロパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウム(II)、α−ピコリン酸パラジウム(II)、ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)、ビス(8−オキシキノリン)パラジウム(II)、ビス(アリル)パラジウム(II)、(η−アリル)(η−シクロペンタジエニル)パラジウム(II)、(η−シクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)テトラフルオロホウ酸塩、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)酢酸塩、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)二パラジウム(II)、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)パラジウム(II)酢酸塩、2,2’−ビピリジルパラジウム(II)酢酸塩などが好ましく挙げられる。
これらの中でも、工業的入手容易性および価格の観点から、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)がより好ましく、酢酸パラジウム(II)、ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)がさらに好ましい。
パラジウム化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
パラジウム化合物と反応させる3価リン含有化合物として水溶性トリアリールホスフィンを用いることで、反応後に、使用したパラジウム触媒を回収できることが知られている(例えば、ケミカル レビュー(Chemical Review)、第109巻、2009年、643−710頁参照)。テロメリ化反応を工業的に有利に実施するためには、本発明のように、有機相と水相が均一化した状態での反応においても、パラジウム1原子当たりの触媒活性を高めることが重要である。
本発明で使用する水溶性トリアリールホスフィンは、分子内に2つ以上のスルホナト基を有する水溶性トリアリールホスフィンであり、パラジウム1原子当たりの触媒活性を高める観点から、下記一般式(I)で示される水溶性トリアリールホスフィンが好ましい。
上記炭素数1〜4のアルコキシ基としては、アルキル部位が上記アルキル基であるものが挙げられる。中でも、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
上記第1族に属する金属原子の陽イオンとなる金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子などが挙げられる。中でも、好ましくはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子であり、より好ましくはナトリウム原子である。
該第3級アミンにおいて、窒素1原子に結合する基の総炭素数は、好ましくは3〜24、より好ましくは5〜24、さらに好ましくは5〜10、特に好ましくは5〜7である。また、窒素1原子に結合する基としては、アルキル基、アリール基、アリール置換アルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
中でも、第3級アミンとしては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、トリオクチルアミンが好ましく、入手容易性および製造コストも考慮すると、トリエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミンがより好ましい。
前記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、p、qおよびrはいずれも0であり、Mは、それぞれ独立して、リチウム原子の陽イオン、ナトリウム原子の陽イオン、カリウム原子の陽イオン、または窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンであり、スルホナト基(−SO3M)の結合位置は、それぞれ、ベンゼン環上におけるR1、R3またはR5の対角位である水溶性トリアリールホスフィンも好ましい。
前記一般式(I)において、R1、R3およびR5はいずれも同一であり、水素原子またはメチル基を表し、p、qおよびrはいずれも0であり、Mは同一かつリチウム原子の陽イオン、ナトリウム原子の陽イオン、カリウム原子の陽イオンもしくは窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである水溶性トリアリールホスフィンも好ましい。
なお、テロメリ化反応において、使用したパラジウム触媒を回収して再使用する観点から、第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンの形成に用いられる第3級アミンとしては、特に制限するものではないが、テロメリ化反応で用いる第3級アミンと同じものが好ましい。また、パラジウム触媒の回収率をより一層向上させると共に、テロメリ化反応の選択性をも向上させる観点から、前記一般式(I)において、R1、R3およびR5のうちの少なくとも2つが炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基である水溶性トリアリールホスフィンが好ましい。
また、前記一般式(I)において、R1、R3およびR5のうちの少なくとも2つがメチル基である水溶性トリアリールホスフィンが好ましい。
上記のいずれの水溶性トリアリールホスフィンにおいても、Mは、窒素1原子に結合する基の総炭素数が5〜24である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンであることが好ましい。
他にも下記方法が知られている。
・スルホン化剤として硫酸とオルトホウ酸との無水混合物を用いてトリアリールホスフィンをスルホン化する方法(例えば特開平8−176167号公報参照)。
・スルホナト基を導入したい芳香環に予めメチル基もしくはメトキシ基といった電子供与基を導入したトリアリールホスフィンと三酸化硫黄を硫酸存在下で反応させる方法(例えばテトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、第43巻、2002年、2543〜2546頁参照)。
・3つの芳香環に等しくメチル基もしくはメトキシ基といった電子供与基を導入したトリアリールホスフィンと三酸化硫黄を硫酸存在下で反応させる方法(例えばアドバンスド シンセシス アンド キャタリシス(Advanced Synthesis & Catalysis)、2008年、第350巻、609〜618頁参照)。
・アリルホスフィドアニオンとハロゲン化アリールスルホネートとを反応させる方法(例えばケミカル レビュー(Chemical Reviews)、2009年、第109巻、第2号、643〜710頁参照)。
本発明者らの知見によれば、実施例および比較例に示すように、パラジウム触媒の回収率はモノ体で極めて低く、一方、ジ体およびトリ体で高い。よって、ジ体およびトリ体の含有量が多いスルホン化トリアリールホスフィンを本発明における水溶性トリアリールホスフィンとして用いることが好ましい。
本発明における水溶性トリアリールホスフィンとして好適に用いるスルホン化トリアリールホスフィンにおいては、ジ体とトリ体の合計含有量は80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
このようなジ体およびトリ体含有量のスルホン化トリアリールホスフィンは、モノ体、ジ体、トリ体からなる混合物を再結晶すること、モノ体、ジ体、トリ体からなる混合物の水溶液を2−ブタノンなどのケトン系溶媒などで洗浄すること、もしくはカラムクロマトグラフィーなどを施すことによって取得することができる。
パラジウム化合物と水溶性トリアリールホスフィンからの、本発明の製造方法で用いるパラジウム触媒の調製は、通常、パラジウム化合物が溶解する溶媒の存在下に行うことが好ましい。パラジウム化合物を溶解する溶媒としては、第3級アミン、25℃における誘電率が2〜18である有機溶媒、テロメリ化反応によって生じる2,7−オクタジエン−1−オールが好ましく挙げられる。該溶媒としては、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
第3級アミンとしては、テロメリ化反応において使用する第3級アミンを用いることが好ましく、つまり、窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンが挙げられる。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−s−ブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリイソペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルイソブチルアミン、N,N−ジメチル−s−ブチルアミン、N,N−ジメチル−t−ブチルアミン、N,N−ジメチルペンチルアミン、N,N−ジメチルイソペンチルアミン、N,N−ジメチルネオペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルヘプチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルモノメチルアミン、N,N−ジプロピルモノメチルアミン、N,N−ジイソプロピルモノメチルアミン、N,N−ジブチルモノメチルアミン、N,N−ジイソブチルモノメチルアミン、N,N−ジ−s−ブチルモノメチルアミン、N,N−ジ−t−ブチルモノメチルアミン、N,N−ジペンチルモノメチルアミン、N,N−ジイソペンチルモノメチルアミン、N,N−ジネオペンチルモノメチルアミン、N,N−ジヘキシルモノメチルアミン、N,N−ジヘプチルモノメチルアミン、N,N−ジオクチルモノメチルアミン、N,N−ジノニルモノメチルアミン、N,N−ジデシルモノメチルアミン、N,N−ジウンデシルモノメチルアミン、N,N−ジドデシルモノメチルアミン、N,N−ジフェニルモノメチルアミン、N,N−ジベンジルモノメチルアミン、N,N−ジプロピルモノメチルアミン、N,N−ジイソプロピルモノエチルアミン、N,N−ジブチルモノエチルアミン、N,N−ジイソブチルモノエチルアミン、N,N−ジ−s−ブチルモノエチルアミン、N,N−ジ−t−ブチルモノエチルアミン、N,N−ジペンチルモノエチルアミン、N,N−ジイソペンチルモノエチルアミン、N,N−ジネオペンチルモノエチルアミン、N,N−ジヘキシルモノエチルアミン、N,N−ジヘプチルモノエチルアミン、N,N−ジオクチルモノエチルアミン、N,N−ジノニルモノエチルアミン、N,N−ジデシルモノエチルアミン、N,N−ジウンデシルモノエチルアミン、N,N−ジドデシルモノエチルアミン、N,N−ジフェニルモノエチルアミン、N,N−ジベンジルモノエチルアミンなどが挙げられる。
第3級アミンとしては、窒素1原子に結合する基の総炭素数が好ましくは3〜24、より好ましくは5〜24、さらに好ましくは5〜10、特に好ましくは5〜7である第3級アミンが好ましく、トリエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、トリオクチルアミンが特に好ましい。
パラジウム触媒の回収率および入手容易性の観点から、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを用いることが好ましい。
(i)0価パラジウム化合物を用いる場合
テロメリ化反応系外で、0価パラジウム化合物と水溶性トリアリールホスフィンを溶媒中で反応させることによってパラジウム触媒を調製できる。一方、テロメリ化反応系内に0価パラジウム化合物と水溶性トリアリールホスフィンを供給することによって反応系内でパラジウム触媒を調製することもできる。
ただし、反応系内で調製する場合には、0価パラジウム化合物への水溶性トリアリールホスフィンの配位がブタジエンなどの配位性化合物によって阻害され、所望のパラジウム触媒活性種を十分に形成できないままに反応をするおそれがある。よって、0価パラジウム化合物を用いる場合、テロメリ化反応系外で、0価パラジウム化合物と水溶性トリアリールホスフィンからパラジウム触媒を調製することが好ましい。
2価パラジウム化合物を用いる場合には、還元することによって0価パラジウムを生成させる必要がある。テロメリ化反応系外で2価パラジウム化合物を還元し、水溶性トリアリールホスフィンと反応させることによってパラジウム触媒を調製することもできる。一方、テロメリ化反応系内に2価パラジウム化合物、還元剤および水溶性トリアリールホスフィンを供給することによって反応系内でパラジウム触媒を調製することもできる。
ただし、反応系内で2価パラジウム化合物の還元を試みる場合、反応系内の2価パラジウム化合物および還元剤の濃度が低いため、パラジウム触媒の生成に時間を要するうえ、生成した0価パラジウムへの水溶性トリアリールホスフィンの配位がブタジエンなどの配位性化合物によって阻害され、所望のパラジウム触媒活性種を十分に形成できないままに反応をするおそれがある。よって、2価パラジウム化合物を用いる場合にも、テロメリ化反応系外で2価パラジウム化合物、還元剤および水溶性トリアリールホスフィンを反応させ、パラジウム触媒を調製することが好ましい。
より具体的には、酢酸パラジウム(II)、ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)などの2価パラジウム化合物を、テロメリ化反応に用いるのと同種の、第3級アミン、本発明の製造方法においてパラジウム触媒回収に用いる誘電率が2〜18である溶媒、およびテロメリ化反応によって生じる2,7−オクタジエン−1−オールなどから選択される溶媒で溶解した「2価パラジウム化合物溶液」を調製し、一方で、水溶性トリアリールホスフィンの水溶液を調製し、完全混合槽内において2価パラジウム化合物溶液と水溶性トリアリールホスフィン水溶液を十分に攪拌して調製する。
特に制限されるものではないが、回分式でパラジウム触媒を調製することが好ましい。なお、調製液が相分離する場合には、十分に攪拌しながら反応系に供給してもよいし、相分離した水相のみを反応系に供給してもよい。
パラジウム触媒の調製は、不活性ガスとしての窒素、アルゴンまたはヘリウム雰囲気下で実施できるし、酸性ガスとしての二酸化炭素の雰囲気下でも実施できるし、還元性ガスとしての水素雰囲気下でも実施できる。通常、操作簡便性の観点から、不活性ガス雰囲気下で調製することが好ましく、低コストとする観点から、窒素雰囲気下で調製することがより好ましい。
パラジウム触媒液1kg当たりに含まれるパラジウムは、パラジウム原子に換算して0.001〜1モルの範囲であることが好ましい。0.001モル以上であれば、パラジウム触媒の形成にかかる時間が短くなる。また、1モル以下であれば、パラジウム化合物が十分に溶解するため、パラジウム触媒の形成が十分なものとなる。
パラジウム原子1モルに対する水溶性トリアリールホスフィン使用量は、2〜100モルの範囲が好ましく、2〜40モルの範囲がより好ましく、2〜15モルの範囲がさらに好ましい。2モル以上であれば、十分にパラジウム触媒が形成されるため、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択性が高くなるうえ、回収操作においてはパラジウム1原子に対して水溶性トリアリールホスフィンが2分子以上配位した水溶性の高いパラジウム錯体の形成が促進されることに起因して回収率が向上する。また、100モル以下であれば、反応速度が低下するおそれがない。
パラジウム触媒を調製するときの温度は、5〜100℃の範囲が好ましく、10〜35℃の範囲がより好ましい。5℃以上であれば、0価パラジウム触媒の形成に時間を要さず、また、100℃以下であれば、0価パラジウム触媒が熱的に不安定になるのを避けることができ、金属パラジウムの析出を抑制できる。
パラジウム化合物と水溶性トリアリールホスフィンとの反応時間に特に制限はないが、10〜240分の範囲が好ましく、30〜120分の範囲がより好ましい。10分以上であれば、0価パラジウム触媒の形成が十分である。なお、240分を超えても、もはや、パラジウム触媒の形成に変化はなく、頭打ちになる。
本工程は、パラジウム触媒、第3級アミンおよび二酸化炭素の存在下において、ブタジエンと水をテロメリ化反応させることによって2,7−オクタジエン−1−オールを含有するテロメリ化反応液を得る工程である。
反応は完全混合型反応器を用いて実施でき、回分式(半連続式を含む)および流通連続式の2種の形態から選択できる。場合によっては、該完全混合型反応器を2〜3基直列に接続して流通連続式で実施することもできる。とりわけ、反応によって生じる2,7−オクタジエン−1−オールが水とブタジエンの混和を促進するものであり、その好適な効果を活用するという点において、完全混合型反応器を用い、流通連続式で実施することが好ましい。なお、ここで言う完全混合型反応器とは、反応器内に供給した原料が一瞬の時間も置かずに、実質的に均一な分散状態へ混合されるように設計された反応器のことである。
反応系中に存在する水溶性トリアリールホスフィンの量について特に制限はなく、前記パラジウム触媒調製工程におけるパラジウム原子との比率を参照でき、具体的には、パラジウム原子1モルに対して、2〜100モルの範囲が好ましく、2〜40モルの範囲がより好ましく、2〜15モルの範囲がさらに好ましい。本テロメリ化反応工程において水溶性トリアリールホスフィンを追加導入する場合には、この範囲内となるように調整することが好ましい。2モル以上であれば、パラジウム触媒形成が十分となり、ビニルシクロヘキセンなどへの副反応の抑制、ひいては2,7−オクタジエン−1−オールの収率低下を抑制できるうえ、パラジウム触媒の回収率の低下も抑制できる。一方、100モル以下であれば、パラジウム触媒へのブタジエンの配位が阻害されることがなく、反応速度を維持できる。
また、テロメリ化反応系において、水溶性トリアリールホスフィンは、生成物である2,7−オクタジエン−1−オールなどのアルケニル化合物と共存する。よって、特開2002−371089号公報などに記載されているように、水溶性トリアリールホスフィンは、2,7−オクタジエン−1−オールなどとの反応によってホスホニウム塩を形成していてもよい。
ブタジエンとしては工業的に入手可能な、石油化学において通常C4留分と云われる炭化水素混合物のいずれをも使用できるが、アセチレン、硫黄、ハロゲンなどによってパラジウム触媒が被毒されるため、これらの含有量が0.1ppm以下のブタジエンを用いることが好ましい。このようなブタジエンは重合グレード品または化学反応用グレード品と称され、工業的に入手可能である。
反応系内に存在するブタジエンと2,7−オクタジエン−1−オールの水に対する質量比[(ブタジエン+2,7−オクタジエン−1−オール)/水]は、0.1〜50であることが好ましく、0.5〜10であることがより好ましい。この質量比が0.1以上であれば、工業的に満足できる2,7−オクタジエン−1−オールの生産性を達成できるために反応系内のパラジウム触媒濃度を高める必要がない。一方、この質量比が50以下であれば、パラジウム触媒の回収に際し、新たに水を加えなくとも、水相を取得し易い。
上記溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、水相へのパラジウム触媒の移行を抑制して反応速度を高く維持する観点から、水に対する質量比[溶媒/水]は、2.0以下であることが好ましく、パラジウム触媒溶液以外からの溶媒をテロメリ化反応系に投入しないことが好ましい。なお、テロメリ化反応に用いるブタジエンおよび第3級アミン、並びに生成物の2,7−オクタジエン−1−オールが溶媒の代わりにもなるため、上記溶媒をさらに加えなくても、効率的にテロメリ化反応を実施できる。
二酸化炭素の導入量は、反応系に導入した後の反応系内の全圧が0.5MPa(本明細書記載の圧力はゲージ圧の値であり、以下同様である。)以上となるように調整することが好ましく、0.5〜3.0MPaとなるように調整することがより好ましい。0.5MPa以上であれば、反応系内の炭酸水素イオン濃度が十分に高くなるために反応速度も高まると同時に、1,3,7−オクタトリエンおよびビニルシクロヘキセンの副生を抑制できる。また、3.0MPaを超えてもよいが、その場合、2,7−オクタジエン−1−オールの選択性の向上は殆どないうえ、高圧に耐える反応器および二酸化炭素供給用コンプレッサーなどの設備が必要になるため、経済的な利点は特にない。
本工程では、テロメリ化反応によって得られたテロメリ化反応液を、25℃における誘電率が2〜18の有機溶媒と混合した後、二酸化炭素の存在下で相分離させ、有機相から2,7−オクタジエン−1−オールを得(生成物分離工程)、一方で、パラジウム触媒を含む水相を回収する(触媒回収工程)。
なお、本工程を実施するに際し、予め、テロメリ化反応液から、必要に応じて、ブタジエンおよび二酸化炭素などの一部が除去されていてもよい。
テロメリ化反応液を、25℃における誘電率が2〜18の有機溶媒と混合し、二酸化炭素の存在下で相分離させた後のパラジウム触媒の回収および再使用は、例えば、以下のようにして実施できる。
相分離して得られた水相を、そのまま、または適宜濃縮もしくは希釈してからテロメリ化反応に供給する[1回目の触媒回収]。一方で、相分離して得られた有機相に水および第3級アミンから選択される少なくとも1種を混合し、必要に応じて二酸化炭素の存在下で相分離させ、得られた水相について、そのまま、または適宜濃縮もしくは希釈してからテロメリ化反応に供給する[2回目の触媒回収]。該2回目の触媒回収操作は、繰り返し行ってもよい。少なくとも1回目の触媒回収操作は二酸化炭素存在下で実施するが、2回目の触媒回収操作は、二酸化炭素の存在下および非存在下のいずれでもよい。また、パラジウム触媒の回収率を高める目的で第3級アミンを添加することもある。
テロメリ化反応時の全圧よりも高い二酸化炭素圧力で相分離を実施する場合には、テロメリ化反応液および溶媒への二酸化炭素の溶解には相応の時間を要することから、連続方式であることが二酸化炭素溶解量の増加の観点から好ましい。
本発明者らは、相分離に用いる有機溶媒の種類が重要であり、例えば、誘電率1.88であるn−ヘキサン、誘電率18.25である2−ブタノン、誘電率35.69であるアセトニトリルなどを用いた場合には、パラジウム触媒の回収率が低くなり、誘電率2〜18の有機溶媒であれば、パラジウム触媒の回収率が高まることを見出した。
このような結果が得られる詳細な理由は不明であるが、誘電率が18を超える有機溶媒を用いる場合には、水相が有機相に溶解することに起因して、パラジウム触媒の回収率が低下するものと考えられる。一方、誘電率が2未満の有機溶媒を用いる場合には、有機相に二酸化炭素が溶解しにくくなることに起因して、水溶性トリアリールホスフィンと2,7−オクタジエン−1−オールなどとの反応によって形成されるホスホニウム塩の電離状態が不十分となり、パラジウム触媒が有機相に多く存在することとなるものと推定される。これらを回避するために誘電率2〜18の有機溶媒の使用が適切であると推測している。
25℃における誘電率が2〜18の有機溶媒としては、実質的にブタジエンと反応しなければ特段の制限はなく、例えば、誘電率2.01のn−ドデカン、誘電率2.02のシクロヘキサン、誘電率2.21の1,4−ジオキサン、誘電率2.27のベンゼン、誘電率2.27のp−キシレン、誘電率2.35のm−キシレン、誘電率2.37のトルエン、誘電率3.05のジブチルエーテル、誘電率3.38のジイソプロピルエーテル、誘電率3.44のプロパンニトリル、誘電率4.18のエチルフェニルエーテル、誘電率4.24のジエチルエーテル、誘電率4.50のメチル−t−ブチルエーテル、誘電率4.76のシクロペンチルメチルエーテル、誘電率5.42のフルオロベンゼン、誘電率6.20の2−メチルテトラヒドロフラン、誘電率7.43のテトラヒドロフラン、誘電率11.66の2−ヘプタノン、誘電率12.89の4−メチル−2−ペンタノン、誘電率13.58のシクロペンタノン、誘電率14.14の2−ヘキサノン、誘電率15.20の2−ペンタノン、誘電率15.62のシクロヘキサノン、誘電率16.78の3−ペンタノン、誘電率17.44のアセトフェノンなどが挙げられる。
これらの有機溶媒と25℃における誘電率を下記表1にまとめる。
これら誘電率が2〜18の有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ブタジエンおよび2,7−オクタジエン−1−オールと実質的に反応しない、誘電率2〜18以外の有機溶媒と混合して用いてもよいが、誘電率2〜18以外の有機溶媒の使用量は、誘電率が2〜18の有機溶媒100質量部に対して好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
誘電率2〜18の有機溶媒のテロメリ化反応液に対する質量比[誘電率2〜18の有機溶媒/テロメリ化反応液]は、0.25〜5.0が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。本質量比が0.25以上であれば、パラジウム触媒の回収率が高くなる。一方、5.0を超えてもよいが、顕著なパラジウム触媒の回収率向上は確認できず、誘電率2〜18の有機溶媒を回収再使用するために必要な2,7−オクタジエン−1−オールとの蒸留分離の際のエネルギー消費量が高まるうえ、蒸留分離設備の規模が大きくなる。
なお、第3級アミンの回収を容易にする観点から、テロメリ化反応と同種の第3級アミンを用いるか、または、第3級アミンを添加しないことが好ましい。
また、相分離させるときの温度は、5〜90℃であることが好ましく、低温ほど相分離速度が高くなることから、5〜40℃であることがより好ましい。
二酸化炭素存在下で相分離を実施するが、全圧0.1MPa以上が好ましく、0.2〜3MPaとすることがより好ましい。3MPaを超えても、パラジウム触媒の回収率に大きな変化は見られないうえ、高圧対応の抽出器および二酸化炭素供給用コンプレッサーなどの設備が必要になる。
二酸化炭素による加圧後、反応系内の混合液に二酸化炭素が飽和量溶解することが好ましいが、飽和状態に達するまでに時間を要することから、連続方式の場合、反応系内の混合液の滞留時間を0.1〜10時間に調整して加圧することが好ましく、滞留時間を0.2〜5時間に調整して加圧することがより好ましい。滞留時間が0.1時間以上であれば、二酸化炭素溶解量が十分となり、相分離させて得られる水相へのパラジウム触媒の回収率が高くなる。一方、滞留時間は10時間を超えてもよいが、二酸化炭素溶解量の増大に伴うパラジウム触媒の回収率向上効果は殆どない。
前記した1回目の触媒回収によって、パラジウム触媒および第3級アミンの大部分を回収できるが、分離した有機相にもパラジウム触媒の一部が残存することがあるため、該有機相からパラジウム触媒を更に回収することが好ましい。
分離した有機相に適宜第3級アミンを加えてもよく、その場合、第3級アミンの添加量は、第3級アミンの有機相に対する質量比[第3級アミン/有機相]が0.5以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましい。0.5以下であれば、容積効率が低くなり過ぎるおそれがない。
分離した有機相には、新たに誘電率2〜18の有機溶媒を加えてもよい。
相分離温度、二酸化炭素圧力などは1回目の触媒回収条件と同様の範囲であることが好ましい。
パラジウム触媒を含む水相を濃縮する場合、150℃以下、より好ましくは100℃以下で濃縮することが好ましい。また、濃縮する際、必要に応じて、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを共存させてもよいし、二酸化炭素を共存させてもよい。
相分離させて得られた有機相から、目的生成物である2,7−オクタジエン−1−オールを得る。
有機相は、主にブタジエン、誘電率2〜18の溶媒および2,7−オクタジエン−1−オールを含む。場合によって、二酸化炭素および第3級アミンを含む。
有機相をフラッシュすることにより二酸化炭素およびブタジエンを除去するとともに、必要に応じて、除去した二酸化炭素およびブタジエンをテロメリ化反応系に再使用する。
第3級アミン、誘電率2〜18の有機溶媒および2,7−オクタジエン−1−オールなどは、蒸留によって各成分を分離することができる。分離した第3級アミンは、テロメリ化反応または触媒回収に再使用してもよい。また、分離した誘電率2〜18の有機溶媒は、触媒回収に利用してもよい。
目的生成物である2,7−オクタジエン−1−オールを主成分とする留分は、減圧蒸留により精製できる。2,7−オクタジエン−1−オールを主成分とする留分の蒸留温度は、蒸留系内圧力によって適宜選択できるが、微量パラジウム触媒存在下において200℃付近にまで加温される場合には、2,7−オクタジエン−1−オールの1,3,7−オクタトリエンなどへの反応が進行するため、200℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。
本発明に用いる水溶性トリアリールホスフィンの製造は、特に断りのない限り、室温、常圧、窒素雰囲気下で行ったものであり、また、溶媒は予め窒素置換したものを用いた。
水溶性トリアリールホスフィンに含まれるこれらの組成比(質量比)は、製造した水溶性トリアリールホスフィンが0.05mol/Lとなるように調製したジメチルスルホキシド−d6(以下、DMSO−d6と略する)溶液を、核磁気共鳴装置「AVANCEIII 400USPlus」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いて測定してなる31Pのピーク面積から定量した。この場合の31Pのケミカルシフトは、リン酸が0.05mol/Lとなるように調製したDMSO−d6溶液のケミカルシフトを0ppmとした場合での305Kにおける値である。
また、ナトリウムイオンは、原子吸光分光光度計「AA−7000F」(株式会社島津製作所製)を用いて定量した。
[参考例1]
スルホン化反応は回分式で実施した。温度計、攪拌装置、およびジャケットを備えたグラスライニングした50L反応器を用いた。濃度97.4質量%の濃硫酸9.84kgを反応器に内在させ攪拌しながら16℃に冷却した。続けて、30℃以下を維持するようにトリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(以下、TOTPと略する)10.91kg(35.84mol)を1時間かけて投入した。その後、液温が30〜40℃の範囲となるように制御しつつ、三酸化硫黄28質量%を含む発煙硫酸37.60kg(三酸化硫黄として131.50mol)を3時間かけて加えた。続けて、濃度97.4質量%の濃硫酸1kgで発煙硫酸の流路を洗浄した。液温20〜30℃において4時間反応した。
一方、温度計、攪拌装置、およびジャケットを備えたグラスライニングした200L反応器にイオン交換水70kgを内在させ、先のスルホン化反応液全量を1時間かけて移送した。さらに、スルホン化反応液の流路をイオン交換水10kgで洗浄して先の希釈液に加えた。なお、液温が20〜40℃の範囲となるように制御した。これにより、希釈スルホン化反応液137.80kgを取得した。
中和液を35〜65℃、80〜100kPaの範囲に存在せしめ、4.5時間かけて濃縮し、水37kgを留去した。濃縮物に対してメタノール45kgを加え40℃で1時間攪拌した。さらに、40〜55℃、4〜55kPaの範囲に存在せしめ、2.4時間かけて濃縮し、メタノール45kgを留去した。濃縮物に対してメタノール147kgを加え40〜60℃で1時間攪拌した。その後、30℃以下になるまで冷却した。
当該メタノール溶液を、高純度珪藻土濾過助剤としてのアドヴァンスト ミネラルズ コーポレーション社製「セルピュア(登録商標)S1000」を5kg内在するSUS304製加圧濾過器に通じ、濾液を取得した。さらに、濾過助剤をメタノール28kgで洗浄し、その濾液を先の濾液に合わせた。
温度計、攪拌装置、およびジャケットを備えたグラスライニングした100L反応器に先に取得したメタノール溶液を全量仕込み、40〜55℃、4〜55kPaの範囲に存在せしめ、18時間かけて濃縮乾固することで、白色固体(以下、取得物1と略する)を3.56kg取得した。
その後、反応液を35〜70℃、4〜56kPaの範囲で濃縮乾固することで、白色固体(以下、取得物3と略する)を68.2g取得した。
参考例1における取得物3はビス(2−メチルフェニル)(6−メチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィントリエチルアンモニウム塩4.73mol%、ビス(6−メチル−3−スルホナトフェニル)(2−メチルフェニル)ホスフィン二トリエチルアンモニウム塩82.99mol%、トリス(6−メチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィン三トリエチルアンモニウム塩12.28mol%、からなる混合物であった。このリン化合物を配位子Bと略す。
参考例1の取得物3の製造に際し、トリエチルアミンの代わりにトリ−n−オクチルアミン86.1g(243.5mmol)を用いる以外は同様の操作をした。淡橙色高粘性液体123.0gを取得した。
参考例1の取得物3の製造に際し、トリエチルアミンの代わりにN,N−ジメチルイソプロピルアミン21.20g(243.23mmol)を用いる以外は同様の操作をした。白色固体67.50gを取得した。
参考例1における取得物1は、ビス(2−メチルフェニル)(6−メチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィンナトリウム塩4.75mol%、ビス(6−メチル−3−スルホナトフェニル)(2−メチルフェニル)ホスフィン二ナトリウム塩が82.99mol%、トリス(6−メチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィン三ナトリウム塩12.26mol%、からなる混合物であった。このリン化合物を配位子Eと略す。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量200mlの四つ口フラスコに三酸化硫黄20質量%を含む発煙硫酸100g(三酸化硫黄として249.8mmol)を内在せしめ、TOTP15.2g(49.9mmol)を0.5時間かけて投入した。なお、液温が20〜30℃の範囲となるように制御した。添加終了後、同温度で5時間反応した。
液温が20〜30℃の範囲となるように制御しつつ、スルホン化反応液をイオン交換水500gで希釈した。水相に対して20質量%の水酸化ナトリウム水溶液400gを加え、pH8〜9に調整した。この中和液を38〜70℃、4〜56kPaの範囲で濃乾固した。得られた濃縮液にメタノール1100gを加え、自然濾過し、濾液を得た。この濾液を15〜50℃、4〜56kPaの範囲で濃縮乾固することにより白色固体を17.7g取得した。
強酸性陽イオン交換樹脂「ダウエックスG−26」を160g充填したガラス製カラム(直径31mm、高さ340mm)を準備した。先の白色固体を10質量%含む水溶液177g(白色固体として17.70g、リン原子として30.65mmol)をカラム上部から線速度9.3〜12.5m/hrとなるように通じた。
取得した水溶液に対してトリ−n−オクチルアミン30.50g(86.24mmol)を加え、20〜30℃の範囲で1時間かけて攪拌して反応した。その後、反応液を35〜70℃、4〜56kPaの範囲で濃縮することで、淡橙色高粘性液体を41.46g取得した。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量100mlの三つ口フラスコに濃硫酸10gを内在させた。濃硫酸を攪拌し、液温30〜35℃を維持するようにビス(2−メチルフェニル)フェニルホスフィン(以下、DOTPPと略する)10.00g(リン原子として34.44mmol)を0.5時間かけて投入した。滴下ロートから三酸化硫黄30質量%を含む発煙硫酸35.3g(三酸化硫黄として132.3mmol)を、同温を維持するようにしながら2時間かけて滴下した。滴下終了後、液温30〜35℃で8時間、20〜25℃で15時間攪拌を継続した。
液温が20〜30℃の範囲となるように制御しつつ、スルホン化反応液をイオン交換水90gで希釈した。水相に対して30質量%の水酸化ナトリウム水溶液113g、続いて、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液39.0gを加え、pH8〜9に調整した。この中和液を38〜70℃、4〜56kPaの範囲で濃縮し、得られた濃縮液にメタノール720gを加え、自然濾過し、濾液を取得した。この濾液を15〜50℃、4〜56kPaの範囲で濃縮乾固することにより白色固体を16.84g取得した。
強酸性陽イオン交換樹脂「ダウエックスG−26」を50g充填したガラス製カラム(直径31mm、高さ340mm)を準備した。先の白色固体を10質量%含む水溶液168.4g(白色固体として16.84g、リン原子として34.21mmol)をカラム上部から線速度9.3〜12.5m/hrとなるように通じた。
取得した水溶液に対してトリエチルアミン7.5g(74.3mmol)を加え、20〜30℃の範囲で1時間かけて攪拌して反応した。その後、反応液を35〜70℃、4〜56kPaの範囲で濃縮乾固することで、淡黄色固体を21.21g取得した。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量200mlの四つ口フラスコに三酸化硫黄20質量%を含む発煙硫酸80g(三酸化硫黄として199.8mmol)を内在せしめ、トリス(2,5−ジメチルフェニル)ホスフィン(以下、TXTPと略する)17.3g(49.9mmol)を1時間かけて投入した。なお、液温が25〜30℃の範囲となるように制御した。添加終了後、同温度で3時間反応した。
液温が25〜30℃の範囲となるように制御しつつ、スルホン化反応液をイオン交換水500gで希釈した。分液ロートに移送し、トルエン250gで洗浄し、水相を取得した。水相に対して20質量%の水酸化ナトリウム水溶液328gを加え、pH8〜9に調整した。この中和液を38〜70℃、4〜56kPaの範囲で液量が100gになるまで濃縮した。得られた濃縮液にメタノール1120gを加え、自然濾過し、濾液を取得した。この濾液を15〜50℃、4〜56kPaの範囲で濃縮乾固することにより淡黄色固体を27.80g取得した。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量200mlの三つ口フラスコに三酸化硫黄20質量%を含む発煙硫酸120g(三酸化硫黄として299.8mmol)を内在せしめ、トリフェニルホスフィン(以下、TPPと略する)5.10g(19.44mmol)を1時間かけて加えた。なお、液温が25〜30℃の範囲となるように制御した。添加終了後、同温度で20時間反応した。
液温が25〜30℃の範囲となるように制御しつつ、スルホン化反応液をイオン交換水200gで希釈した。分液ロートに移送し、トルエン150gおよびトリイソオクチルアミン80gでよく混合し、有機相を取得した。有機相に対して20質量%の水酸化ナトリウム水溶液88gを加え、pH8〜9に調整した。この中和液を50〜80℃、4〜56kPaの範囲で液量が40gになるまで濃縮した。得られた濃縮液にメタノール400gを加え、自然濾過し、濾液を取得した。この濾液を15〜50℃、4〜56kPaの範囲で濃縮乾固することにより白色固体を6.60g取得した。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量200mlの三つ口フラスコに濃硫酸110gを内在させた。濃硫酸を攪拌し、液温25℃を維持するようにTPP60.00g(228.75mmol)を1時間かけて投入した。滴下ロートから三酸化硫黄25質量%を含む発煙硫酸220g(三酸化硫黄として686.9mmol)を、内温25℃を保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、内温25℃で12時間攪拌を継続した。
スルホン化反応液を氷水1.8kgに加え希釈し、分液ロートに移送した。その後、4−メチル−2−ペンタノン1.5リットルを加えてよく混合した。有機相を取得し、これに対してトリエチルアミン28.5g(281.65mmol)を液温が25℃を維持するように滴下した。この中和液を約250gまで濃縮した。200gの水で抽出した後、減圧にて水を留去し、白色固体を47.21g得た。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量200mlの三つ口フラスコに三酸化硫黄20質量%を含む発煙硫酸80g(三酸化硫黄として199.8mmol)を内在せしめ、ジフェニル(2−メチルフェニル)ホスフィン(以下、DPOTPと略する)27.65g(100.07mmol)を1時間かけて加えた。なお、液温が25〜30℃の範囲となるように制御した。添加終了後、同温度で2時間反応した。
液温が25〜30℃の範囲となるように制御しつつ、反応液をイオン交換水600gで希釈した後、分液ロートに移送し、トルエン250gおよびテトラヒドロフラン250gを加えてよく混合し、有機相を取得した。有機相に20質量%の水酸化ナトリウム水溶液20gを加えて有機相を相分離させ、この下相を取得した。下相を35〜70℃、4〜55kPaの範囲で液量が95gになるまで濃縮した。この濃縮液を10℃で1時間攪拌して生じた析出物を自然濾過で濾取した。これにより、淡黄色固体を23.53g取得した。
この取得物に対してイオン交換水120gを加えて水溶液としたのち、50質量%の硫酸水溶液24gを滴下した。さらに、トルエン70gおよびテトラヒドロフラン70gを加え十分に混合したのち、有機相を取得した。有機相に対してトリエチルアミン10.52g(103.96mmol)を加え、20〜30℃の範囲で1時間攪拌した。この液を35〜70℃、4〜55kPaの範囲で液量が50gになるまで濃縮した。濃縮液を10℃で1時間攪拌して生じる析出物を自然濾過で濾取することで、淡黄色固体を15.36g取得した。
温度計、攪拌装置、滴下ロートおよび窒素ガスラインを備えた内容量300mlの三つ口フラスコに三酸化硫黄16.8質量%を含む発煙硫酸158.6g(三酸化硫黄として332.8mmol)を内在せしめ、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン(以下、DPCHxPと略する)35.03g(130.54mmol)を1時間かけて投入した。なお、液温が25〜30℃の範囲となるように制御した。添加終了後、50℃で7時間反応した。
液温が25〜30℃の範囲となるように制御しつつ、反応液をイオン交換水480gで希釈した後、分液ロートに移送し、トルエン250gおよびトリイソオクチルアミン60gを加えてよく混合し、有機相を取得した。有機相に対して5質量%の水酸化ナトリウム水溶液330gを加えることによって有機相を相分離させた。下相を取得し、20質量%硫酸水溶液76gを滴下し、次いでトルエン70gおよびテトラヒドロフラン70gを加えて十分に混合し、その有機相を取得した。有機相に対してトリエチルアミン15.85g(156.63mmol)を加え、20〜30℃の範囲で1時間攪拌した。この液を35〜70℃、4〜55kPaの範囲で液量が50gになるまで濃縮した。濃縮液を10℃で1時間攪拌して生じる析出物を自然濾過で濾取した。これにより白色固体を5.68g取得した。
以下の各例において、抽出操作によって取得した水相に含まれるパラジウム原子およびリン化合物濃度は、これら湿式分解物を偏光ゼーマン原子吸光分光光度計(株式会社日立製作所製、Z−5300型)により分析し、定量した。
また、テロメリ化反応液またはパラジウム触媒を含む水相に含まれる第3級アミン、2,7−オクタジエン−1−オールなどの有機物は、下記測定条件におけるガスクロマトグラフィーにより分析し、定量した。
(ガスクロマトグラフィー分析条件)
装置 :GC−14A(株式会社島津製作所製)
使用カラム:G−300(内径1.2mm×長さ20m、膜厚2μm)、
(財)化学物質評価研究機構製
分析条件 :注入口温度220℃、検出器温度220℃
サンプル注入量:0.4μL
キャリアガス:ヘリウム(260kPa)を10mL/分で通じる
カラム温度:60℃で5分保持→10℃/分で昇温→220℃で9分保持
検出器 :水素炎イオン化検出器(FID)
テロメリ化反応は回分式で実施した。パラジウム触媒圧送用96mLガラス製耐圧容器、溶媒圧送用96mLガラス製耐圧容器、およびサンプリング口を備えたSUS316製電磁誘導攪拌装置付き3Lオートクレーブを反応器として用いた。なお、反応は攪拌回転数500rpmで実施しており、この時の反応成績は1000rpmのものと差異がなかったことから十分な攪拌状態を達成できている。
なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.01であり、テロメリ化反応において、ブタジエン1molに対するパラジウム原子は0.198mmolであり、水に対するトリエチルアミンの質量比は1.55であり、水に対するブタジエンと2,7−オクタジエン−1−オールからなる質量比は4.12であった。
所定時間反応後のテロメリ化反応液について、ガスクロマトグラフィー分析によって、生成物の定量を行った。
なお、テロメリ化反応液に対するジエチルエーテルの質量比は0.84であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子B1.440g(3価リン原子として2.116mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.01であった。
反応8時間後のブタジエン転化率は81.6%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は92.5%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は3.2%であり、オクタトリエン類への選択率は2.6%であり、高沸点生成物への選択率は1.7%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は87.6%であり、リン原子の回収率は80.7%であり、トリエチルアミンの回収率は70.1%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子C2.545g(3価リン原子として2.113mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.01であった。
反応6時間後のブタジエン転化率は74.4%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は93.1%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は3.1%であり、オクタトリエン類への選択率は2.7%であり、高沸点生成物への選択率は1.1%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は86.9%であり、リン原子の回収率は76.8%であり、トリエチルアミンの回収率は76.9%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子E1.090g(3価リン原子として2.112mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.00であった。
反応11時間後のブタジエン転化率は77.7%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は92.4%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は4.3%であり、オクタトリエン類への選択率は2.3%であり、高沸点生成物への選択率は1.0%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は73.0%であり、リン原子の回収率は90.5%であり、トリエチルアミンの回収率は59.2%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子F3.079g(3価リン原子として2.102mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は4.98であった。
反応13時間後のブタジエン転化率は76.9%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は90.8%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は5.6%であり、オクタトリエン類への選択率は2.1%であり、高沸点生成物への選択率は1.5%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は90.9%であり、リン原子の回収率は91.8%であり、トリエチルアミンの回収率は73.6%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子G1.370g(3価リン原子として2.109mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.00であった。
反応8時間後のブタジエン転化率は77.9%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は88.7%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は7.4%であり、オクタトリエン類への選択率は2.1%であり、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であり、高沸点生成物への選択率は1.8%であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は91.3%であり、リン原子の回収率は90.9%であり、トリエチルアミンの回収率は83.0%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子H1.342g(3価リン原子として2.118mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.02であった。
反応7時間後のブタジエン転化率は78.2%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は91.6%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は3.4%であり、オクタトリエン類への選択率は2.9%であり、高沸点生成物への選択率は2.1%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は67.9%であり、リン原子の回収率は62.0%であり、トリエチルアミンの回収率は82.4%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子I1.382g(3価リン原子として2.102mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は4.98であった。
反応34時間後のブタジエン転化率は78.9%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は87.0%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は8.8%であり、オクタトリエン類への選択率は3.2%であり、高沸点生成物への選択率は1.0%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は66.6%であり、リン原子の回収率は89.8%であり、トリエチルアミンの回収率は78.5%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子J0.985g(3価リン原子として2.120mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.02であった。
反応4時間後のブタジエン転化率は77.6%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は88.2%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は5.1%であり、オクタトリエン類への選択率は5.1%であり、高沸点生成物への選択率は1.6%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は28.2%であり、リン原子の回収率は48.8%であり、トリエチルアミンの回収率は65.5%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子K 1.015g(3価リン原子として2.113mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.01であった。
反応4時間後のブタジエン転化率は85.0%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は88.8%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は5.0%であり、オクタトリエン類への選択率は4.4%であり、高沸点生成物への選択率は1.8%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は12.0%であり、リン原子の回収率は28.3%であり、トリエチルアミンの回収率は76.5%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
実施例1において、配位子Aの代わりに配位子L1.015g(3価リン原子として2.113mmol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.01であった。
反応6時間後のブタジエン転化率は70.7%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は87.0%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は3.9%であり、オクタトリエン類への選択率は7.5%であり、高沸点生成物への選択率は1.6%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は10.2%であり、リン原子の回収率は27.9%であり、トリエチルアミンの回収率は98.5%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は4.98〜5.02の範囲であり、テロメリ化反応において、ブタジエン1molに対するパラジウム原子は0.198mmolであり、水に対するトリエチルアミンの質量比は1.55であり、水に対するブタジエンと2,7−オクタジエン−1−オールからなる質量比は4.12であり、反応温度は70℃であり、二酸化炭素によって全圧を1.2MPa(ゲージ圧)としている。
パラジウム触媒回収において、テロメリ化反応液に対するジエチルエーテルの質量比は0.84であり、相分離温度は20℃であり、二酸化炭素によって全圧を3.0MPa(ゲージ圧)としている。評価における主な相違点は水溶性トリアリールホスフィン(配位子)の種類である。
なお、表3において、ブタジエンをBD、2,7−オクタジエン−1−オールをODA、1,7−オクタジエン−3−オールをIODA、オクタトリエン類をOCT、高沸点生成物をHBと略する。なお、どの系においても、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であるため表に記載しない。
とりわけ、実施例1〜3、5および6から、スルホナト基が窒素1原子に結合する総炭素数5〜24のトリアルキルアミン塩となっている水溶性トリアリールホスフィンを用いた場合、短時間で高いブタジエン転化率を達成できるうえ、高いパラジウム原子回収率および高いリン原子回収率を達成できることが明らかである。
実施例1において、配位子B2.011g(3価リン原子として2.955mmol)を用いる以外同様の操作をした。触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は7.00であった。反応8時間後のブタジエン転化率は83.4%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は93.0%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は3.5%であり、オクタトリエン類への選択率は2.1%であり、高沸点生成物への選択率は1.4%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
ジエチルエーテル330.23g(25℃における体積463.2mL)を用い、二酸化炭素圧3MPa(ゲージ圧)で水相を分離した。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.84/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は89.9%であり、リン原子の回収率は75.9%であり、トリエチルアミンの回収率は73.1%であった。
実施例9において、ジエチルエーテルの代わりにジイソプロピルエーテル333.50g(25℃における体積463.2mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.85/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は91.7%であり、リン原子の回収率は74.0%であり、トリエチルアミンの回収率は90.1%であった。
実施例10において、二酸化炭素圧3.0MPa(ゲージ圧)の代わりに1.0MPa(ゲージ圧)で水相を分離する以外同様の操作をした。水相へのパラジウム原子の回収率は90.9%であり、リン原子の回収率は74.1%であり、トリエチルアミンの回収率は71.9%であった。
実施例9において、ジエチルエーテルの代わりにn−ヘキサン303.40g(25℃における体積463.2mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.78/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は59.8%であり、リン原子の回収率は24.7%であり、トリエチルアミンの回収率は77.2%であった。
実施例9において、ジエチルエーテルの代わりに2−ブタノン372.80g(25℃における体積463.2mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.96/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は45.9%であり、リン原子の回収率は25.3%であり、トリエチルアミンの回収率は72.4%であった。
実施例1において、酢酸パラジウム(II)285.13mg(パラジウム原子1.270mmol)および配位子J4.130g(3価リン原子として8.89mmol)を用いる以外同様の操作をした。触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は7.00であった。反応4時間後のブタジエン転化率は99.6%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は86.1%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は8.1%であり、オクタトリエン類への選択率は4.3%であり、高沸点生成物への選択率は1.5%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
ジエチルエーテル330.23g(25℃における体積463.2mL)を用い、二酸化炭素圧3MPa(ゲージ圧)で水相を分離した。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.84/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は28.2%であり、リン原子の回収率は48.8%であり、トリエチルアミンの回収率は65.5%であった。
比較例6において、ジエチルエーテルの代わりにジイソプロピルエーテル333.50g(25℃における体積463.2mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.85/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は27.2%であり、リン原子の回収率は43.6%であり、トリエチルアミンの回収率は79.1%であった。
比較例6において、ジエチルエーテルの代わりに2−メチルテトラヒドロフラン364.39g(25℃における体積429.7mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.93/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は22.6%であり、リン原子の回収率は40.0%であり、トリエチルアミンの回収率は84.4%であった。
比較例6において、ジエチルエーテルの代わりにテトラヒドロフラン379.85g(25℃における体積429.7mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.97/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は9.2%であり、リン原子の回収率は47.4%であり、トリエチルアミンの回収率は66.3%であった。
比較例6において、ジエチルエーテルの代わりにn−ヘキサン303.40g(25℃における体積463.2mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.78/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は6.9%であり、リン原子の回収率は24.1%であり、トリエチルアミンの回収率は72.6%であった。
比較例6において、ジエチルエーテルの代わりに2−ブタノン372.80g(25℃における体積463.2mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.96/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は5.3%であり、リン原子の回収率は24.0%であり、トリエチルアミンの回収率は75.3%であった。
比較例6において、ジエチルエーテルの代わりにアセトニトリル334.72g(25℃における体積430.9mL)を用いる以外同様の操作をした。なお、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の使用量は質量比で0.86/1であった。水相へのパラジウム原子の回収率は3.5%であり、リン原子の回収率は3.3%であり、トリエチルアミンの回収率は49.9%であった。
触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は7.00である。テロメリ化反応において、ブタジエン1molに対するパラジウム原子は、配位子Bを用いる場合には0.198mmolであり、配位子Jを用いる場合には0.596mmolである。水に対するトリエチルアミンの質量比は1.61であり、水に対するブタジエンと2,7−オクタジエン−1−オールからなる質量比は4.28であり、反応温度は70℃であり、二酸化炭素によって全圧を1.2MPa(ゲージ圧)としている。パラジウム触媒回収において、テロメリ化反応液に対する回収溶媒の質量比は0.78/1〜0.97/1の範囲であり、相分離温度は20℃であり、二酸化炭素によって全圧を1.0〜3.0MPa(ゲージ圧)としている。評価における主な相違点は回収溶媒の種類である。なお、表4において、ブタジエンをBD、2,7−オクタジエン−1−オールをODA、1,7−オクタジエン−3−オールをIODA、オクタトリエン類をOCT、高沸点生成物をHBと略する。ジエチルエーテルをEt2O、ジイソプロピルエーテルをiPr2O、2−メチルテトラヒドロフランをMTHF、テトラヒドロフランをTHF、n−ヘキサンをHex、2−ブタノンをMEK、アセトニトリルをANと略する。
[実施例12]
実施例1において配位子A 1.457g(3価リン原子として2.115mmol)の代わりに配位子D1.375g(3価リン原子として2.111mmol)を用い、トリエチルアミン80.10g(0.792mol)の代わりにN,N−ジメチルイソプロピルアミン68.99g(0.792mol)を用いる以外同様の操作をした。なお、触媒調製時の3価リン原子とパラジウム原子の比は5.00であり、テロメリ化反応において、水に対するN,N−ジメチルイソプロピルアミンの質量比は1.34であった。
反応4時間後のブタジエン転化率は90.5%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は92.3%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は3.3%であり、オクタトリエン類への選択率は3.3%であり、高沸点生成物への選択率は1.1%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
水相へのパラジウム原子の回収率は85.5%であり、リン原子の回収率は60.7%であり、トリエチルアミンの回収率は99.8%であった。なお、水相へのジエチルエーテルの混入は0.1質量%以下であった。
この結果より、第3級アミンとして総炭素数が5〜7である第3級アミンを用いる場合に、特に良好な成績を達成できることが分かる。
[実施例13]
ガラス製耐圧容器に配位子B 7.084g(10.341mmol)を水19.97gに溶解してなる溶液を調整し、酢酸パラジウム(II)331.0mg(パラジウム原子1.474mmol)をトリエチルアンモニウム38.91gに溶解してなる溶液を加え、20±5℃の範囲で1時間攪拌し、パラジウム触媒液を調製した。
オートクレーブに蒸留水29.84g、トリエチルアミン40.71g、ブタジエン199.84g(3.695mol)を仕込み、密閉系において500rpmで攪拌しながら70℃に昇温した。その後、ガラス製耐圧容器からパラジウム触媒液を二酸化炭素によって10秒以内に圧送するとともに、全圧を1.2MPa(ゲージ圧)とした。なお、パラジウム触媒液の圧送が完了した時点を反応開始0時間と定義した。
ガラス窓付き耐圧容器に残った有機相に対して水55.16gを加え、十分に混合し、10±3℃において相分離させ、先の水相を内在するガラス窓付き耐圧容器に結合した二酸化炭素1.0MPa(ゲージ圧)に加圧したガラス製耐圧容器に加えた。この操作を更に2回繰り返した。これにより、水相を301.32g取得した。
反応3時間後のブタジエンの転化率は65.1%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は90.5%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は4.7%であり、オクタトリエン類への選択率は3.7%であり、高沸点生成物への選択率は1.1%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
この結果より、パラジウム触媒を含む水相をテロメリ化反応に有効に再使用できることが明らかである。
[実施例14]
実施例13と同条件でテロメリ化反応を行った。オートクレーブを25℃に冷却し、溶媒圧送用96mLガラス製耐圧容器を用いて反応消費相当の水およびジイソプロピルエーテル322.59gを二酸化炭素によって圧送した。二酸化炭素で全圧を0.3MPa(ゲージ圧)に制御し、60℃で1時間攪拌した。この混合液を、ポンプを用いて二酸化炭素0.3MPa(ゲージ圧)に加圧したガラス窓付き耐圧容器に移送し、10±3℃において相分離させ、ガラス窓付き耐圧容器に結合した二酸化炭素0.3MPa(ゲージ圧)に加圧したガラス製耐圧容器に、水相を回収した。
ガラス窓付き耐圧容器に残った有機相に対して水55.16gを加え、十分に混合し、10±3℃において相分離させ、先の水相を内在するガラス窓付き耐圧容器に結合した二酸化炭素0.3MPa(ゲージ圧)に加圧したガラス製耐圧容器に加えた。この操作を更に4回繰り返した。これにより、水相を500.93g取得した。
反応4時間後のブタジエンの転化率は66.2%であり、2,7−オクタジエン−1−オールへの選択率は90.4%であり、1,7−オクタジエン−3−オールへの選択率は4.8%であり、オクタトリエン類への選択率は3.6%であり、高沸点生成物への選択率は1.2%であった。なお、4−ビニルシクロヘキセンへの選択率は0.01%以下であった。
この結果より、全圧0.3MPa(ゲージ圧)で回収したパラジウム触媒を含む水相もテロメリ化反応に有効に再使用できることが明らかである。
Claims (12)
- 下記一般式(I)で示される分子内に2つ以上のスルホナト基を有する水溶性トリアリールホスフィンおよびパラジウム化合物からなるパラジウム触媒、第3級アミンおよび二酸化炭素の存在下においてブタジエンと水をテロメリ化反応させることによる2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法であって、
テロメリ化反応によって得られたテロメリ化反応液を、25℃における誘電率が3〜10の有機溶媒と混合した後、二酸化炭素の存在下で相分離させ、有機相から2,7−オクタジエン−1−オールを得、一方で、パラジウム触媒を含む水相を回収する工程を含む、2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 およびR 6 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。R 7 、R 8 およびR 9 は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、p、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表す。Mは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、第1族に属する金属原子の陽イオンまたは窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンを表す。nは、0または1を表す。スルホナト基(−SO 3 M)の結合位置は、いずれも、リン原子に対してメタ位またはパラ位である。) - 前記一般式(I)において、R1、R3 およびR5 は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、メチル基またはメトキシ基であり、R2、R4およびR6はいずれも水素原子であり、Mは、それぞれ独立して、アルカリ金属原子の陽イオンまたは窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンであり、スルホナト基(−SO3M)の結合位置は、いずれもリン原子に対してメタ位である、請求項1に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 前記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、p、qおよびrはいずれも0であり、Mは、それぞれ独立して、リチウム原子の陽イオン、ナトリウム原子の陽イオン、カリウム原子の陽イオン、または窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンであり、スルホナト基(−SO3M)の結合位置は、それぞれ、ベンゼン環上におけるR1、R3またはR5の対角位である、請求項1に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 前記一般式(I)において、R1、R3およびR5はいずれも同一であり、水素原子またはメチル基を表し、p、qおよびrはいずれも0であり、Mは同一かつリチウム原子の陽イオン、ナトリウム原子の陽イオン、カリウム原子の陽イオンもしくは窒素1原子に結合する基の総炭素数が3〜27である第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである、請求項3に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 前記一般式(I)において、R1、R3およびR5のうちの少なくとも2つが炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基である、請求項1に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- R1、R3およびR5のうちの少なくとも2つがメチル基である、請求項5に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 前記一般式(I)において、Mが、窒素1原子に結合する基の総炭素数が5〜24の第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである、請求項1〜6のいずれかに記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- Mが、窒素1原子に結合する基の総炭素数が5〜7の第3級アミンに由来するアンモニウムカチオンである、請求項7に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 前記相分離を130℃以下、および二酸化炭素導入後の全圧が0.1MPa(ゲージ圧)以上の条件下で実施する、請求項1〜8のいずれかに記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 前記相分離を5〜90℃、および二酸化炭素導入後の全圧が0.5〜3MPa(ゲージ圧)で実施する、請求項9に記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- テロメリ化反応を130℃以下、および二酸化炭素導入後の全圧が0.5MPa(ゲージ圧)以上の条件下で実施する、請求項1〜10のいずれかに記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
- 回収したパラジウム触媒を含む水相の少なくとも一部をテロメリ化反応に再使用する、請求項1〜11のいずれかに記載の2,7−オクタジエン−1−オールの製造方法。
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