JP6224632B2 - 2(e),8(z)−テトラデカジエン−1−アール及びこれを含有する香料組成物 - Google Patents

2(e),8(z)−テトラデカジエン−1−アール及びこれを含有する香料組成物 Download PDF

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本発明は、新鮮な柑橘類に特有のグリーンノート及びフラベド様香気を有し、柑橘系芳香及び風味に天然感や新鮮感等を付与ないし増強する作用を有する新規化合物2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール及びこれを含有する香料組成物に関する。
柑橘類の果実の香気成分に関しては、これまでに主香気成分としてリモネンやミルセンなどの炭化水素類、アルデヒド類、アルコール類およびエステル類などの含酸素化合物が見出されている。特に、アルデヒド類であるオクタナール、ノナナール、デカナール、ドデカナール、ネラール、ゲラニアールおよびシネンサールならびにアルコール類であるリナロールが重要とされ、香料素材として利用されている。
近年、消費者の嗜好が多様化したことによって、柑橘系の飲食物や香粧品等に配合される香料組成物においても、より自然で天然に近いものが求められている。しかし、従来公知の香気成分を組み合わせるだけでは、このような天然感のある柑橘香味を再現することは困難であった。そのため、柑橘系の香味に天然感を付与ないし増強させることを目的とする技術が種々提案されており、例えば(Z)−ペンタデセナール(特許文献1)、4,5−エポキシ−2E−デセナール(特許文献2)、8−テトラデセナール(特許文献3)、プレニルエチルエーテル(特許文献4)等を添加する方法が開示されている。しかし、これらの技術によっても、消費者の要求に十分に応えられているとは言い難いのが実情であった。
特開2014−43409号公報 特開2009−82048号公報 特表2004−534147号公報 特開2005−204617号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、柑橘系芳香及び風味に天然感を付与ないし増強し得る新規な香料素材を提供することを課題とする。
本発明者らは、収穫したての柑橘類は、独特のグリーンノート及びフラベド様香気を有しており、この部分を再現することが、柑橘系芳香及び風味において天然感を付与ないし増強させるうえで重要であると考えた。そこで、独特のグリーンノート及びフラベド様香気を有しているシシユズ(Citrus pseudogulgul Hort. ex Shirai)に関して、詳細に分析を進め、その香気に寄与する成分として、新規物質である2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールが存在することを知見した。そして、当該化合物が独特のグリーンノート及びフラベド様香気に加え、果実様香気を有しており、香料組成物に添加することにより、柑橘類の天然感を付与、増強できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール及びこれを有効成分として含有する香料組成物である。
また本発明は、上記香料組成物を含有する飲食物である。
本発明の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールは、独特のグリーンノート、フラベド様、果実様及び脂肪様の香気を示し、少量の添加量でも、柑橘芳香及び風味に天然感や新鮮感等を付与したり、増強することができる。さらに、人工的な印象を与えるオイリーな部分を抑制したり、香りのバランスを整えること等により、嗜好性を顕著に向上することができる。
2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールのマススペクトルを示す図である。
本発明の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールは、下記式(1)で表される化合物である。当該化合物について、今まで天然物から分離されたとの報告や合成例はなく、新規な化合物である。本発明者らは、シシユズ(Citrus pseudogulgul Hort. ex Shirai)の果皮から、特有のグリーンノート及びフラベド様香気に寄与する成分として、当該化合物を初めて単離した。したがって、当該化合物はシシユズの果皮から常法に従って分離、精製することにより得ることもできるが、化学合成によって製造することもできる。
Figure 0006224632
2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの合成法は特に限定されるものではなく、一般的な有機化学反応を用いて合成することが可能であり、例えば、下記の合成スキームに従って製造することができる。このスキームでは、まず、6−臭化ヘキサン酸エチル(2)とトリフェニルホスフィンからトリフェニルホスホニウム塩(3)を合成する(工程1)。次にヘキサナールとのWittig反応で6(Z)−ドデセン酸エチル(4)を得て(工程2)、これをヒドリド還元により6(Z)−ドデセノール(5)とする(工程3)。さらにデスマーチン酸化により6(Z)−ドデセナール(6)とした後(工程4)、(トリフェニルホスホラニリデン)アセトアルデヒドとのWittig反応により、2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール(7)を得ることができる(工程5)。

Figure 0006224632
このようにして得られる2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールは、果皮的な独特のグリーンノート、フラベド様、ピーチ様、メロン様および脂肪様の香調を有する。2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールをそのまま飲食品、医薬品、医薬部外品、香粧品、洗剤、芳香剤等に配合して天然感、新鮮感のある柑橘系の香気・香味を付与ないし増強することができるが、他の香料成分等と混合して香料組成物を調製し、これを飲食品の他、医薬品、医薬部外品や、香粧品、洗剤、芳香剤等の種々のトイレタリー製品に配合して、天然感、新鮮感のある柑橘系の香気・香味を付与ないし増強することもできる。
本発明の香料組成物において、2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールと調合し得るその他の香料成分としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、ラクトン類、含硫黄化合物類、含窒素化合物類等の合成又は天然香料、天然精油、植物抽出物、動物抽出物などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、果実系香料成分、特に柑橘系香料成分を用いると、柑橘芳香及び風味の天然感や新鮮感等が強調され、天然の柑橘類の特徴を捉えた香味となるため好適である。このような柑橘系香料成分としては、リモネン、ミルセン、テルピネン等のテルペン系炭化水素、オクタナール、デカナール、ゲラニアール等のアルデヒド、リナロール、シトロネロール、テルピネオール等のテルペン系アルコール、オレンジ類、グレープフルーツ類、レモン類、ライム類、ベルガモット類、ユズ類等の柑橘類の果皮等をコールドプレスや水蒸気蒸留することにより得られる天然精油、これらからテルペン類を除去したテルペンレスオイル、蒸留濃縮物等や果汁等を濃縮する際に留分回収されるエッセンスオイルやアロマ等が例示される。
本発明の香料組成物における2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの含有量は特に限定されるものではないが、通常、香料組成物中に5ppb〜100000ppm、好ましくは10ppb〜1000ppm、より好ましくは100ppb〜100ppmである。このような範囲であると、柑橘芳香及び風味の天然感が増強され、嗜好性の高いものとなる。
一方、本発明の香料組成物における上記柑橘系香料成分の含有量も特に制限されるものではないが、通常、香料組成物中に0.00001〜99.99999質量%、好ましくは0.2〜99質量%、より好ましくは2〜99質量%である。
本発明の香料組成物には、必要に応じて、通常使用されている溶剤、保留剤、補助剤、調和剤、変調剤、賦形剤等の添加剤を配合することができる。
本発明の香料組成物は、飲食品の他、医薬部外品、医薬品や、香粧品、洗剤、芳香剤等の種々のトイレタリー製品に配合することができる。飲食品としては、例えば、果汁飲料、果実酒類、スポーツ飲料、炭酸飲料、茶系飲料、乳酸菌飲料、発泡性酒類、蒸留酒類、混成酒類等の飲料;アイスクリーム、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー等のデザート類;ケーキ、団子、チューイングガム、ハードキャンディー、グミキャンディー等を含む菓子一般;果実フレーバーソースやジャムなどの果実加工品;ドレッシング、ポン酢、たれ、つゆ等調味料;和風スープ類、洋風スープ類のごときスープ類;インスタント食品類;各種スナック食品類;蒲鉾等の練り製品、レトルト食品、漬け物、佃煮、総菜並びに冷凍食品等を含む農畜水産加工品等を挙げることができる。飲食品中への本発明香料組成物の添加量は、特に限定されるものではないが、通常、飲食品中に0.0005〜2質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%である。香料組成物中の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの含有量としては、飲食品中に通常0.005ppb〜50ppm、好ましくは0.05ppb〜0.5ppm、より好ましくは0.5ppb〜0.05ppmである。
本発明の香料組成物を医薬、医薬部外品、香粧品、洗剤、芳香剤等の賦香成分として用いる場合の添加量は、目的等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.00001〜99.99999質量%、好ましくは0.0001〜50質量%、より好ましくは0.001〜30質量%であり、2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールとして、0.005ppb〜50000ppm、好ましくは5ppb〜500ppm、より好ましくは50ppb〜50ppmである。
一方、2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールをそのまま飲食品に添加する場合は、香料組成物の場合と同様に、飲食品中の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの含有量が、通常、0.005ppb〜50ppm、好ましくは0.05ppb〜0.5ppm、より好ましくは0.1ppb〜0.05ppmとなるように添加すればよい。配合することができる飲食品の種類等も香料組成物の場合と同様である。また、香粧品等に添加する場合の添加量や種類も、香料組成物の場合と同様である。
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
参 考 例 1
シシユズからの2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの単離:
シシユズ果実(2860g)のフラベド部分をナイフで剥し、そのフラベド(980g)を塩化メチレン(1600ml)に浸潰し、室温で2時間静置した。その後、固形物をろ過して取除き、硫酸ナトリウムを加え脱水した。減圧下で塩化メチレンを留去し、シシユズ果皮精油(14.8g)を得た。得られた精油の一部をGCおよびGC−MS分析に供した。Aroma extract dilution analysis(AEDA)法により香気寄与成分を探索した。精油をエタノールにて順次2倍ずつ希釈し、各々1.0μlをスプリットレス注入しGC−O分析した。得られたFlavor dilution(FD)値からアロマグラムを作成した。微量な香気寄与成分を調べるため、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて上記で得られた精油を分画した。精油1.59gをシリカゲルカラム(17X1.6cm)にて、画分1(ペンタン)、画分2(ペンタン:ジエチルエーテル=97:3)、画分3(ペンタン:ジエチルエーテル=90:10)、画分4(ジエチルエーテル)へ分け、それぞれの画分を濃縮後、GC−O分析したところ、画分3においてフラベド様香気が強く検出された。画分3をさらにGC−O−MS分析したところ未知成分のマススペクトルが得られた。この未知成分をGC−PFC装置を用いて単離した。これをヒドリド還元し、アルコールにしてからGC−MSにてマススペクトルを得た。このマススペクトルの解析結果から不飽和二重結合の位置を推定し、未知成分は2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールであると推定された。下記反応スキームにより合成した2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールとマススペクトル、保持時間及び匂いの質が一致していたことから、未知成分は2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールであると同定された。
Figure 0006224632
実 施 例 1
2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの合成:
下記反応経路により2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールを合成した。なお、工程番号の下のカッコ内の百分率は各工程の収率を示す。

Figure 0006224632
工程1:式(3)のホスホニウム塩の合成
200ml丸底フラスコに、式(2)の化合物である6−臭化ヘキサン酸エチル20. 4g(91.4mmol)、トリフェニルホスフィン20.0g(76.3mmol)およびトルエン38mlを仕込み、常圧にて撹拌しながら27時間加熱還流した。反応終了後、デカントにより有機層を除き、残渣を石油エーテル100mlで洗浄し、その後真空ポンプで溶媒を除き、式(3)の粗ホスホニウム塩36.7gを得た。
工程2:式(4)のエステルの合成
200ml丸底フラスコに、粗ホスホニウム塩36.7g、ヘキサナール3.8g(37.9mmol)、炭酸カリウム12.6g(91.2mmol)、水0.684g(37.8mmol)および1,4−ジオキサン38mlを仕込み、常圧にて撹拌しながら7時間加熱還流した。反応溶液へ水300mlを加え、塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、濾過した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:ジエチルエーテル=40:1)、粗精製物7.28gを得た。この粗精製物とエタノール64mlを100mlナスフラスコに仕込み、そこへ水素化ホウ素ナトリウム0.365gを加えた。室温で10分間撹拌した後、反応溶液へ飽和塩化アンモニウム水溶液10mlを加え、反応を停止させた後、減圧下で可能な限りエタノールを除去した。得られた残渣へ水100mlを加え、塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、濾過した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:ジエチルエーテル=40:1)、式(4)の6(Z)−ドデセン酸エチル5. 49g(24.0mmol、収率63%、純度99%)を得た。
工程3:式(5)の6(Z)−ドデセノールの合成
窒素雰囲気下で、500ml丸底フラスコに、水素化アルミニウムリチウム2.3g(60.6mmol)、テトラヒドロフラン200mlを加え、0℃に冷却した。そこへ、6(Z)−ドデセン酸エチル5.49g(24.3mmol)のテトラヒドロフラン溶液40mlを5分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌した。再び反応溶液を0℃に冷却した後、激しく撹拌しながら水2.3ml、1M水酸化ナトリウム水溶液2.3ml、水6.9mlを順次加えて反応を停止させた。そこへ、硫酸ナトリウム20gを加えて30分間撹拌し、濾過した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:ジエチルエーテル=5:1)、式(5)の6(Z)−ドデセノール3.54g(18.9mmol、収率79%、純度98%)を得た。
工程4:式(6)の6(Z)−ドデセナールの合成
500ml丸底フラスコに、6(Z)−ドデセノール3.54g(18.9mmol)、塩化メチレン192mlおよびデスマーチンペルヨージナン12.2g(28.8mmol)を仕込み、室温で1時間撹拌した。反応溶液へ1M水酸化ナトリウム水溶液100mlおよび飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液30mlを加え反応を停止させた後、水200mlを加え、塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、濾過した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:ジエチルエーテル=30:1)、式(6)の6(Z)−ドデセナール3.29g(17.4mmol、収率92%、純度97%)を得た。
工程5:式(7)の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの合成
200ml丸底フラスコに、6(Z)−ドデセナール2.80g(15.4mmol)、(トリフェニルホスホラニリデン)アセトアルデヒド9.35g(30.7mmol)およびトルエン77mlを仕込み、80℃で9時間加熱撹拌した。減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:ジエチルエーテル=100:1)、式(7)の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール1.72g(7.1mmol、粗収率46%、純度86%)を得た。これをさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:ジエチルエーテル=200:1)、式(7)の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール0.058g(純度94%)を得た。図1にGC−MSスペクトルを示す。また以下にGC−MS及びH−NMRスペクトル分析結果を示す。
(1)MS m/z (%):41(100),55(93),67(84),81(84),95(58),109(30),123(25),137(26),152(19),165(6),177(2),190(1),208[M](1)
(2)H−NMR(400MHz,CDCl),δ(ppm):9.51(d,J=7.9Hz,1H),6.85(dt,J=15.6Hz,6.8Hz,6.8Hz,1H),6.12(dd,J=15.6Hz,7.9Hz,1H),5.42−5.33(m,2H),2.35(td,J=6.9Hz,7.4Hz,7.4Hz,2H),2.08−1.99(m,4H),1.65−1.48(m,2H),1.44−1.39(m,2H),1.37−1.23(m,6H),0.88(t,J=6.9Hz,3H)
実 施 例 2
2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの香気評価:
2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールについて香調を評価したところ、グリーンノート、独特のグリーンノート、フラベド様、ピーチ様、メロン様および脂肪様の香気を示した。また5点比較法を用いて、水中での2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの閾値を調べた結果、0.009ppbであった。すなわち、この物質は、少量でも組成物の芳香および風味へ官能で検出可能な影響を及ぼすことが示された。
実 施 例 3
香料組成物の調製(1):
オレンジ様の調合香料組成物として、下記表1に示す成分からなる基本調合香料組成物を調製した。
Figure 0006224632
上記組成物100gに実施例1で製造した2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール0.005gを混合して、オレンジ様の調合香料組成物を調製した。この調合香料組成物1gを水1000mlに添加し、濾過した組成物と、当該化合物を加えていない上記の基本調合香料組成物1gを水1000mlに添加し、濾過した組成物について、香気および風味を比較した。その結果、当該化合物を加えた調合香料組成物は、柑橘芳香及柑橘風味の天然感および新鮮感が強調され、天然オレンジの特徴をとらえた香味となった。さらに、基本調合香料組成物に特有の芳香であり、人工的な印象を与えるオイリーな部分を抑制する効果等も示し、嗜好性の点でも格段に優れていた。
実 施 例 4
香料組成物の調製(2):
レモン様の調合香料組成物として、下記表2に示す成分からなる基本調合香料組成物を調製した。
Figure 0006224632
上記組成物100gに実施例1で製造した2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール0.005gを混合して、レモン様の調合香料組成物を調製した。この調合香料組成物1gを水1000mlに添加し、濾過した組成物と、当該化合物を加えていない上記基本調合香料組成物1gを水1000mlに添加し、濾過した組成物について、香気および風味を比較した。その結果、当該化合物を加えた調合香料組成物は、柑橘芳香及び柑橘風味の天然感、新鮮感および果汁感が強調され、天然レモンの特徴をとらえた香気となった。さらに搾りたてのレモン果汁の重厚さを付与する等の効果も認められ、嗜好性の点でも格段に優れていた。
実 施 例 5
グレープフルーツ様の調合香料組成物として、下記表3に示す成分からなる基本調合香料組成物を調製した。
Figure 0006224632
上記組成物100gに実施例1で製造した2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール0.005gを混合して、グレープフルーツ様の調合香料組成物を調製した。この調合香料組成物1gを水1000mlに添加し、濾過した組成物と、当該化合物を加えていない上記基本調合香料組成物1gを水1000mlに添加し、濾過した組成物の香気および風味を比較した。その結果、当該化合物を加えた調合香料組成物は、柑橘芳香及び柑橘風味の天然感、新鮮感、果汁感および果肉感が強調され、天然グレープフルーツの特徴をとらえたものとなった。さらに上記基本調合香料組成物に特有な芳香であり、人工的な印象を与えるオイリーな部分を抑制し、また香りのバランスを整える等の効果も示し、嗜好性の点でも格段に優れていた。
実 施 例 6
市販レモンエッセンス99.99998gと2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール0.00002gを混合して、本発明のレモン香料組成物を調製した。市販レモンエッセンスまたはレモン香料組成物を用いて、表4に示した組成で清涼飲料水を作製した。
Figure 0006224632
市販レモンエッセンスを使用した清涼飲料水Aおよびレモン香料組成物を使用した清涼飲料水Bのレモンの天然感、ピール感および果汁感を比較した。その結果、レモン香料組成物を使用した清涼飲料水Bはレモンの天然感、ピール感および果汁感が清涼飲料水Aよりも格段に優れていた。
実 施 例 7
市販グレープフルーツエッセンス99.9997gと2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール0.0003gを混合して、本発明のグレープフルーツ香料組成物を調製した。市販グレープフルーツエッセンスまたはグレープフルーツ香料組成物を用いて、表5に示した組成で発泡性酒を作製した。
Figure 0006224632
市販グレープフルーツエッセンスを使用した発泡性酒Aおよびグレープフルーツ香料組成物を使用した発泡性酒Bのグレープフルーツの天然感、新鮮感、果肉感および果汁感を比較した。その結果、グレープフルーツ香料組成物を使用した発泡性酒Bはグレープフルーツの天然感、新鮮感、果肉感および果汁感が発泡性酒Aよりも格段に優れていた。
実 施 例 8
表6に示した組成で10%果汁入りゼリーを作製した。
Figure 0006224632
ゼリーAおよびゼリーBのオレンジの天然感、新鮮感および果汁感を比較した。その結果、2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールを添加したゼリーBはオレンジの天然感、新鮮感および果汁感がゼリーAよりも格段に優れていた。
本発明の2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールは、独特のグリーンノート、フラベド様、果実様及び脂肪様の香気を示し、柑橘芳香及び風味に天然感や新鮮感等を付与したり、増強することができる。したがって、飲食品等に添加する香料素材として有用なものである。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 0006224632
    で表される2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アール。
  2. 2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールを有効成分として含有することを特徴とする香料組成物。
  3. 2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールの含有量が、香料組成物中5ppb〜100000ppmである請求項2記載の香料組成物。
  4. さらに柑橘系香料成分を含有するものである請求項2又は3記載の香料組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれかの項記載の香料組成物を含有する飲食物。
  6. 2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールを香料組成物に添加することを特徴とする柑橘系香気の改善方法。
  7. 2(E),8(Z)−テトラデカジエン−1−アールを飲食品に添加することを特徴とする柑橘系香味の改善方法。

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