JP6223286B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents
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Description
溶銑脱硫の手法としては、脱硫剤を用いて機械攪拌式脱硫装置により溶銑を脱硫する手法や脱硫剤を用いてインジェクション方式により溶銑を脱硫する手法が一般的である。
特許文献2では、安価で効率の高い溶銑の脱硫処理を可能とする石灰系脱硫剤を提供することを目的としている。この特許文献2では、従来の高価でかつ耐火物損耗の大きなCaF2を含む生石灰系ラックス、あるいは耐火物損耗が大きく、温度低下の大きなソーダ灰系フラックスを使用せず、また産業廃棄物である低級グレードのAl残灰等の安価な原料を単に混合した脱硫剤を用いることが開示されている。
すなわち、本発明の技術的手段は、溶銑を脱炭工程前に脱硫処理を行う方法において、CaO、MgO、SiO2、AlNを含む脱硫剤を溶銑に添加する際には、前記脱硫剤におけるCaOの原単位を3.0kg/t以上とし、金属Alと窒化アルミニウム中のAl分の合計量を示す換算M.Alを0.020kg/t以上とし、前記脱硫剤におけるAlN/(MgO+SiO 2 )を0.3以上1.40以下にしていることを特徴とする。
本発明の溶銑の脱硫方法は、高炉等で製造された溶銑を溶銑鍋などの精錬容器に装入して、機械式攪拌によって溶銑を攪拌しながら脱硫処理を行うものである。なお、溶銑の脱硫方法は、溶銑鍋を用いて行う脱硫処理に限定されない。
図1は、機械式攪拌によって脱硫処理を行う機械式精錬装置の一例を示している。
機械式精錬装置1は、溶銑が装入される溶銑鍋2と、溶銑鍋2内の溶銑を攪拌するインペラ3とを備えている。インペラ3は、回転自在に支持された回転軸3aと、この回転軸3aの下側に設けられた複数の羽根部3bとで構成されている。各羽根部3bは、回転軸3aを中心として開き角度が、例えば、90degとなるように配置されている。なお、回転軸3aに設けられた羽根部3bの個数や開き角度は、上述したものに限定されない。
さて、脱硫処理における脱硫反応は、スラグと溶銑との間で起こり、式(1)に示すように、脱硫剤に含まれるCaOと、溶銑中の硫黄Sとが結合することにより、脱硫が進む。
(CaO)はスラグ中のCaO、[S]は溶銑中のS、(CaS)はスラグ中のCaS、[O]は溶銑中のOである。また、CaO源としては、生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ドロマイト(MgCO3・CaCO3)等を採用することが可能である。
本発明では、転炉での脱炭工程前に、溶銑に脱硫剤を入れ脱硫処理を行う。脱硫剤はCaO、MgO、SiO2、AlNを含むものとなっている。この脱硫処理においては、溶銑1tに対するCaOの添加量、即ち、添加するCaO原単位を3.0kg/t以上としている。
添加する換算M.Al量が0.020kg/t未満である場合、溶銑1t当たりのAl量が少なく、溶銑の酸素濃度を充分に低くすることができないため、脱硫反応が効率良く進行しない。溶銑の脱酸が可能なものとして、金属Alの他、窒化アルミニウム(AlN)も有効である。Al2O3では、既に酸素と結合しているため、脱酸剤として用いたとしても溶銑の酸素濃度を低減することができないが、窒化アルミニウム(AlN)は、金属Al等と同じように、溶銑の酸素濃度を低減することが可能である。溶銑の脱酸に寄与する金属Alや窒化アルミニウム(AlN)を含むものとして、アルミウムの精錬時に発生するアルミウムドロス(アルミドロス)、アルミドロスを灰絞り処理によって金属アルミニウム分を回収したアルミ灰、アーク炉処理によって金属アルミニウム分を回収したアーク炉灰などを採用することが望ましい。これらを用いた場合、換算後のM.Al量(換算M.Al量)は、0.050kg/t以上であることが好ましい。なお、換算M.Al量の上限は特に規定するものでは無いが、通常、3.0kg/t以下とする。
なお、上述したアルミ灰、アーク炉灰については、金属アルミニウム(M.Al)、窒化アルミニウム(AlN)、Al2O3を全て含有する物質のため、以下に示す手法により、夫々の重量分率を求めることができる。
さらに、アルミ灰又はアーク炉灰に含まれるアルミニウムの総量T.Al[wt%]を、ICP発光分析により測定した。式(2)に示すように、窒素濃度N[wt%]から算出できる窒化アルミニウム(AlN)として存在するアルミニウム濃度と、金属アルミニウム(M.Al)の量[wt%]とを、アルミニウムの総量T.Al[wt%]から差し引いた値を、酸化アルミニウム(Al2O3)として存在するアルミニウム濃度であるとして、酸化アルミニウム(Al2O3)の量を算出した。
脱硫処理は、溶銑鍋の代わりに高周波溶解炉を用いて行った。具体的には、[C]=3.4〜3.8wt%、[Si]=0.01〜0.02wt%、[S]=0.022〜0.033wt%である溶銑(銑鉄)を、内径が400mmである坩堝内(溶銑鍋に相当)に300kg装入し、当該坩堝を高周波溶解炉に設置して、溶解炉で溶解した。また、後述する成分を有する脱硫剤を溶銑に添加し、機械攪拌装置にて溶銑を攪拌しながら脱硫を行った。インペラ3の羽根部3bに関して、羽根部3bの高さは90mm、幅は140mmとした。また、羽根部の枚数(np)は4個、ねじれ角(θ)は90degとした。処理時間は攪拌開始から10分とした。
2 溶銑鍋
3 インペラ
3a 回転軸
3b 羽根部
Claims (2)
- 溶銑を脱炭工程前に脱硫処理を行う方法において、
CaO、MgO、SiO2、AlNを含む脱硫剤を溶銑に添加する際には、前記脱硫剤におけるCaOの原単位を3.0kg/t以上とし、金属Alと窒化アルミニウム中のAl分の合計量を示す換算M.Alを0.020kg/t以上とし、前記脱硫剤におけるAlN/(MgO+SiO 2 )を0.3以上1.40以下にしている
ことを特徴とする溶銑の脱硫方法。 - 機械式攪拌により前記脱硫処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
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