JP6222872B1 - 乗客コンベア - Google Patents

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Abstract

【課題】建築物に生じる層間変位を無理なく吸収することができ、トラスに過大な圧縮力が作用するのを防止できる乗客コンベアを得ることにある。【解決手段】乗客コンベアは、トラスと、トラスの一端に固定された第1のトラス支持アングルと、トラスの他端に固定された第2のトラス支持アングルと、少なくとも第1のトラス支持アングルと第1のアングル支持台との間を回動可能に連結する連結機構と、を備えている。連結機構は、第1のアングル支持台と第1のトラス支持アングルとの間に介在された軸受部材と、第1のトラス支持アングルと軸受部材との間に跨る軸部材と、を含む。軸受部材は、軸部材を径方向から挟むように分割された複数の部品要素を有する。一方の部品要素は、第1のアングル支持台に固定されているとともに、他方の部品要素は、軸状の留め具を介して一方の部品要素に結合されている。留め具の少なくとも一箇所に他の部位よりも機械的強度が小さい折損予定部が設けられている。【選択図】図4

Description

本発明の実施形態は、エスカレータあるいは移動歩道のような乗客コンベアに関する。
乗客コンベアの一例であるエスカレータは、建屋の下階のフロアと上階のフロアとの間に跨るトラスと、トラスに沿って無端状に走行する多数の踏段と、を主要な要素として備えている。
この種のエスカレータでは、例えば地震によって下階のフロアと上階のフロアとの間に層間変位が生じた時に、層間変位に伴う過大な圧縮力がトラスに作用するのを防ぐ耐震化が推し進められている。
具体的には、フロアを支える梁等の支持材とトラスの端部との間に十分な隙間を設けたり、トラスの端部に固定されたトラス支持アングルと支持材の上のアングル支持台との間に十分な「かかり代」を確保する構成が採用されている。これにより、トラスの端部が地震発生時の層間変位に対して支障なく追従し、トラスに圧縮力が生じるのを回避できる。
特開2015−78021号公報
しかしながら、極めて稀に発生する大規模地震となると、層間変位量が中規模地震あるいは小規模地震とは比較にならない程に増大する。このため、大規模地震が発生した場合、トラスの端部が層間変位に対し追従しきれなくなり、トラスに予期せぬ過大な圧縮力が作用することがあり得る。
本発明の目的は、建築物に生じる層間変位を無理なく吸収することができ、トラスに過大な圧縮力が作用するのを回避できる乗客コンベアを得ることにある。
実施形態によれば、乗客コンベアは、建築物が有する第1の床面と第2の床面との間に架け渡されたトラスと、前記トラスの長手方向に沿う一方の端部に固定され、前記建築物に設けられた第1のアングル支持台の上に予め決められた「かかり代」を有して載置された第1のトラス支持アングルと、前記トラスの長手方向に沿う他方の端部に固定され、前記建築物に設けられた第2のアングル支持台の上に予め決められた「かかり代」を有して載置された第2のトラス支持アングルと、少なくとも前記第1のトラス支持アングルと前記第1のアングル支持台との間を相対的に回動可能に連結する連結機構と、を備え、前記トラスの前記一方の端部と前記建築物との間、および前記トラスの前記他方の端部と前記建築物との間に夫々層間変位を吸収する隙間が設けられている。
前記連結機構は、前記第1のアングル支持台と前記第1のトラス支持アングルとの間に介在された軸受部材と、前記第1のトラス支持アングルと前記軸受部材との間に跨る軸部材と、を含んでいる。
前記軸受部材は、前記軸部材を径方向から挟むように分割された複数の部品要素を有し、前記複数の部品要素のうちの一方の部品要素は、前記第1のアングル支持台に固定されている。他方の部品要素は、軸状の留め具を介して前記一方の部品要素に結合され、前記留め具の少なくとも一箇所に他の部位よりも機械的強度が小さい折損予定部が設けられたことを特徴としている。
第1の実施形態において、エスカレータの初期据え付け時の状態を示す側面図である。 第1の実施形態に係るエスカレータの半固定部の構造を示す平面図である。 第1の実施形態に係るエスカレータの半固定部の構造を示す断面図である。 図2のF4−F4線に沿う断面図である。 図4のF5−F5線に沿う断面図である。 (A)は、留めボルトの側面図である。(B)は、図6(A)の留めボルトを矢印6Aの方向から見た側面図である。 留めボルトの係合部にスパナを係合させた状態を示す断面図である。 大規模地震により第2の床面が第1の床面に近づくX方向に変位した時のトラス、第1のアングル支持台および第2のアングル支持台の相対的な位置関係を示すエスカレータの側面図である。 大規模地震により第2の床面が第1の床面から遠ざかる−X方向に変位した時のトラス、第1のアングル支持台および第2のアングル支持台の相対的な位置関係を示すエスカレータの側面図である。 大規模地震によりトラスが第2の床面に近づく−X方向に変位した時のトラス、第1のアングル支持台および第2のアングル支持台の相対的な位置関係を示すエスカレータの側面図である。 大規模地震に伴う層間変位により第1のトラス支持アングルが第1のアングル支持台から外れた状態を示すエスカレータの側面図である。 第1の実施形態の変形例1を示す断面図である。 第1の実施形態の変形例2を示す断面図である。 第2の実施形態に係るエスカレータの半固定部の構造を示す平面図である。 図14のF15−F15線に沿う断面図である。 第2の実施形態において、軸受部材と留めボルトとの位置関係を一部断面で示す平面図である。 第2の実施形態で用いる留めボルトの側面図である。 第3の実施形態に係るエスカレータの半固定部の構造を示す平面図である。 図18のF19−F19線に沿う断面図である。 第3の実施形態で用いる軸受部材の平面図である。 第3の実施形態において、軸受部材を構成する第1の部品要素と第2の部品要素とを互いに分離した状態を示す平面図である。 第3の実施形態で用いる留めピンの側面図である。 第4の実施形態に係るエスカレータの半固定部の構造を示す平面図である。 図22のF23−F23線に沿う断面図である。 図23のF24−F24線に沿う断面図である。 第4の実施形態において、軸受部材を構成する第1の部品要素と第2の部品要素とを互いに分離した状態を示す平面図である。 受座および軸受部材の第1の部品要素を第1のトラス支持アングルの水平部とベースとの間に挿入した状態を示す平面図である。 図26のF27−F27線に沿う断面図である。 第1の部品要素の開口部に第2の部品要素を嵌め込んだ状態を示す平面図である。 図28のF29−F29線に沿う断面図である。 第1のトラス支持アングルと軸受部材との間に跨るように中心軸を掛け渡した状態を示す平面図である。 図30のF31−F31線に沿う断面図である。 留めピンを用いて軸受部材の第2の部品要素を受座に結合した状態を示す平面図である。 図32のF33−F33線に沿う断面図である。 第1のトラス支持アングルの嵌合孔にスリーブを嵌め込んだ状態を示す平面図である。 図34のF35−F35線に沿う断面図である。
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図11を参照して説明する。
図1は、乗客コンベアの一例であるエスカレータ1を開示している。エスカレータ1は、例えば商業施設あるいは交通機関のターミナルのような建築物2に据え付けられている。
エスカレータ1は、基礎構造体としてのトラス3を備えている。トラス3は、建築物2の上階のフロアを構成する第1の床面4と下階のフロアを構成する第2の床面5との間に架け渡されている。トラス3は、上部主弦部6、下部主弦部7および複数の縦桟8をボルトやピンで結合した骨組み構造体であって、上階側水平部10a、下階側水平部10bおよび傾斜部10cを備えている。
上階側水平部10aは、第1の床面4に連続するようにトラス3の長手方向に沿う一方の端部に位置されている。下階側水平部10bは、第2の床面5に連続するようにトラス3の長手方向に沿う他方の端部に位置されている。傾斜部10cは、上階側水平部10aと下階側水平部10bとの間を結んでいる。
図1に示すように、駆動装置11がトラス3の上階側水平部10aに支持されている。駆動装置11は、モータ12、駆動スプロケット13および駆動チェーン14を有している。モータ12が出力するトルクは、駆動チェーン14を介して駆動スプロケット13に伝達される。
従動スプロケット15がトラス3の下階側水平部10bに支持されている。踏段チェーン16が従動スプロケット15と駆動スプロケット13との間に巻き掛けられている。踏段チェーン16は、駆動スプロケット13がモータ12からトルクを受けて回転した時に、トラス3の内部を無端状に走行するようになっている。
複数の踏段17が踏段チェーン16に等間隔で連結されている。踏段17は、不特定多数の乗客が乗り込む要素であって、踏段チェーン16と一緒に走行する。これにより、踏段17に乗り込んだ乗客が上階のフロアから下階のフロア又は下階のフロアから上階のフロアに向けて搬送される。
図1に示すように、トラス3の右側部および左側部には、夫々欄干18(一方のみを図示)が設けられている。欄干18は、トラス3の右側部および左側部から立ち上がるとともに、トラス3の全長に亘って延びている。
手摺りベルト19が欄干18の外周部に装着されている。手摺りベルト19は、踏段17に乗り込んだ乗客が手で掴まる要素であって、踏段17と同期して無端状に走行するようになっている。
図1に示すように、第1のトラス支持アングル21がトラス3の上階側水平部10aの先端に固定されている。第1のトラス支持アングル21は、上階側水平部10aの先端からトラス3の長手方向に沿って水平に突出された水平部21aを有している。水平部21aは、第1の床面4を支える梁のような支持材22の上に張り出している。支持材22の端面とトラス3の上階側水平部10aの先端との間には、トラス3の長手方向および幅方向に沿う層間変位を吸収するための第1の隙間L1が設けられている。
第2のトラス支持アングル23がトラス3の下階側水平部10bの先端に固定されている。第2のトラス支持アングル23は、下階側水平部10bの先端からトラス3の長手方向に沿って水平に突出された水平部23aを有している。水平部23aは、第2の床面5を支える梁のような支持材24の上に張り出している。支持材24の端面とトラス3の下階側水平部10bの先端との間には、層間変位を吸収するための第2の隙間L2が設けられている。
図1に示すように、第1のトラス支持アングル21は、支持材22の上に固定された第1のアングル支持台25によって支持されている。第2のトラス支持アングル23は、支持材24の上に固定された第2のアングル支持台26によって支持されている。
本実施形態では、第1のトラス支持アングル21は、第1のアングル支持台25と協働して所謂半固定部Aを構成している。半固定部Aとは、小規模地震あるいは中規模地震では、第1のトラス支持アングル21を第1のアングル支持台25に対しトラス3の長手方向に移動不能に固定し、極めて稀に発生する大規模地震では、第1のトラス支持アングル21を第1のアングル支持台25に対し自由に移動可能な状態に保持する構造を有している。
第2のトラス支持アングル23は、第2のアングル支持台26と協働して所謂非固定部Bを構成している。非固定部Bとは、地震の規模に拘らず、第2のトラス支持アングル23を第2のアングル支持台26に対しトラス3の長手方向および幅方向に自由に移動可能な状態に保持する構造を有している。
本実施形態によると、トラス3の長手方向に沿う第1のトラス支持アングル21の水平部21a長さS1は、トラス3の長手方向に沿う第2のトラス支持アングル23の水平部23aの長さS2よりも格段に短くなっている。
さらに、第1のトラス支持アングル21の水平部21aは、トラス3の長手方向に沿う十分な「かかり代」M1を有して第1のアングル支持台25の上に載置されている。同様に、第2のトラス支持アングル23の水平部23aは、トラス3の長手方向に沿う十分な「かかり代」M2を有して第2のアングル支持台26の上に載置されている。
「かかり代」M2は、前記第1の隙間L1に前記第2の隙間L2を加えた値よりも長くすることが望ましい。このため、第2のトラス支持アングル23の水平部23aの長さS2は、第1のトラス支持アングル21の水平部21aの長さS1を上回っている。言い換えると、第1のトラス支持アングル21の水平部21a長さS1は、第2のトラス支持アングル23の水平部23aの長さS2よりも短い。
図2および図3に示すように、半固定部Aを構成する第1のアングル支持台25は、ベース27、一対のガイド板28a,28bおよび受座29を有している。
ベース27は、トラス3の幅方向に延びる細長い板状の要素であって、支持材22の上に溶接等の手段で固定されている。
一対のガイド板28a,28bは、トラス3の幅方向に延びる細長い四角い形状を有している。ガイド板28a,28bは、ベース27の上にトラス3の幅方向に互いに間隔を存して配置されている。
具体的に述べると、一方のガイド板28aは、ベース27と第1のトラス支持アングル21の水平部21aの右端部との間に介在されている。一方のガイド板28aは、水平部21aの右側方および前方に張り出す外周部を有し、当該外周部の縁がベース27の上面に連続して溶接されている。
図2の中の符号W1は、一方のガイド板28aの外周部の縁に沿って形成された溶接ビードを示している。溶接ビードW1は、トラス3の長手方向および幅方向に沿うように連続して延びている。これにより、一方のガイド板28aは、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないようにベース27の上に強固に固定されている。
同様に、他方のガイド板28bは、ベース27と第1のトラス支持アングル21の水平部21aの左端部との間に介在されている。他方のガイド板28bは、水平部21aの左側方および前方に張り出す外周部を有し、当該外周部の縁がベース27の上面に連続して溶接されている。
図2の中の符号W2は、他方のガイド板28bの外周部の縁に沿って形成された溶接ビードを示している。これにより、他方のガイド板28bは、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないようにベース27の上に強固に固定されている。
各ガイド板28a,28bは、夫々ストッパ30a,30bを有している。ストッパ30aは、一方のガイド板28aの右端部に位置されるとともに、ベース27から遠ざかるように垂直に起立されている。ストッパ30aは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aの右側縁に沿って延びている。
ストッパ30bは、他方のガイド板28bの左端部に位置されるとともに、ベース27から遠ざかるように垂直に起立されている。ストッパ30bは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aの左側縁に沿って延びている。
ストッパ30aと第1のトラス支持アングル21の水平部21aの右側縁との間、およびストッパ30bと第1のトラス支持アングル21の水平部21aの左側縁との間には、夫々第1のトラス支持アングル21の移動を許容する間隙V1,V2が形成されている。
図2および図3に示すように、第1のトラス支持アングル21の水平部21aとガイド板28a,28bとの間に夫々高さ調整用のスペーサ32が介在されている。スペーサ32は、摺動板33および複数のシムプレート34を有している。
摺動板33は、ガイド板28a,28bの上に摺動可能に重ねられている。シムプレート34は、第1のトラス支持アングル21の水平部21aと摺動板33との間に介在されている。さらに、複数の調整ボルト35が第1のトラス支持アングル21の水平部21aおよびシムプレート34を貫通して摺動板33にねじ込まれている。水平部21aの上に突出された調整ボルト35の中間部には、水平部21aの上面に突き当たるナット36がねじ込まれている。
このねじ込みにより、摺動板33およびシムプレート34が第1のトラス支持アングル21の水平部21aとガイド板28a,28bとの間で挟持されるとともに、調整ボルト35の緩み止めがなされている。
本実施形態では、第1のトラス支持アングル21の水平部21aと摺動板33との間に挿入されるシムプレート34の枚数を増減したり、あるいは厚さが異なるシムプレート34を選択して挿入することで、たとえ第1のアングル支持台25のベース27が傾いていても、第1のトラス支持アングル21を水平の姿勢に保つことが可能となる。
図2ないし図4に示すように、前記受座29は、第1のトラス支持アングル21の幅方向に沿う中央に位置するように一対のガイド板28a,28bの間に配置されている。受座29は、四角いフラットな板で構成され、第1のトラス支持アングル21の水平部21aとベース27との間に配置されている。
受座29は、第1の部分29aおよび第2の部分29bを有している。第1の部分29aは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aとベース27との間に入り込んでいる。第2の部分29bは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aに対しトラス3とは反対側に向けて張り出している。
本実施形態では、第2の部分29bの外周縁がベース27の上面に連続して溶接されている。図2の中の符号W3は、第2の部分29bの外周縁に沿って形成された溶接ビードを示している。溶接ビードW3は、トラス3の長手方向および幅方向に沿うように連続して延びている。これにより、受座29は、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないようにベース27の上に強固に固定されている。
図2ないし図4に示すように、連結機構40が第1のトラス支持アングル21の水平部21aと受座29との間に介在されている。連結機構40は、軸受部材41および枢支ボルト42を主要な要素として備えている。
図4および図5に最もよく示されるように、軸受部材41は、第1の部品要素43および第2の部品要素44を組み合わすことで構成されている。第1の部品要素43および第2の部品要素44は、夫々トラス3の幅方向に延びる垂直な合面45a,45bを有している。合面45a,45bは、トラス3の長手方向から互いに突き合わされている。
合面45a,45bの中央部には、夫々半円形の凹部46a,46bが形成されている。凹部46a,46bは、第1の部品要素43の合面45aと第2の部品要素44の合面45bとを突き合わせた時に、互いに協働して嵌合孔47を規定している。嵌合孔47は、円形の開口形状を有している。
軸受部材41の第1の部品要素43は、受座29の上面に重ね合わされるとともに、溶接等の手段で受座29に固定されている。軸受部材41の第2の部品要素44は、一対の留めボルト50a,50bを介して第1の部品要素43に結合されている。留めボルト50a,50bは、留め具の一例であって、トラス3の長手方向に沿うように互いに間隔を存して平行に配置されている。嵌合孔47は、留めボルト50a,50bの間に位置されている。
留めボルト50a,50bは、第1の部品要素43と第2の部品要素44との間に跨る軸部51を有している。軸部51は、その先端部に位置されたねじ部51aと、ねじ部51aに連続する中間部51bと、を含んでいる。中間部51bは、ねじ山を有しないストレートな円柱状であり、留めボルト50a,50bの頭部51cとねじ部51aとの間を結んでいる。
留めボルト50a,50bのねじ部51aは、第1の部品要素43の合面45aに開口された一対のねじ孔52にねじ込まれている。中間部51bは、第2の部品要素44を貫通する一対の通孔53に挿通されている。
このため、留めボルト50a,50bをねじ孔52にねじ込むことで、第1の部品要素43および第2の部品要素44が一体構造物として互いに結合される。それとともに、第1の部品要素43の合面45aと第2の部品要素44の合面45bとの間に嵌合孔47が形成されるようになっている。
前記枢支ボルト42は、軸部材の一例であって、第1のトラス支持アングル21の水平部21aと軸受部材41との間に跨るように垂直に起立されている。枢支ボルト42は、ねじ部55およびピン部56を有している。ねじ部55は、水平部21aの先端部に開けたねじ孔57にねじ込まれている。ピン部56は、ねじ山を有しないストレートな円柱状の要素であり、例えばねじ部55の谷径と同等の直径を有している。ピン部56は、軸受部材41の嵌合孔47に対し軸回り方向に回動可能に嵌合されている。
この嵌合により、第1のトラス支持アングル21は、枢支ボルト42を介して第1のアングル支持台23の受座29に回動可能に連結されている。この結果、第1のトラス支持アングル21は、起立した枢支ボルト42の中心軸線O1を中心に回動することができる。
本実施形態によると、第1のトラス支持アングル21が枢支ボルト42を介して受座29に連結された状態では、軸受部材41の第1の部品要素43がトラス3の側から枢支ボルト42のピン部56に当接されている。このため、第1の部品要素43および第2の部品要素44は、トラス3の長手方向に沿って分割されているとともに、枢支ボルト42のピン部56を径方向から挟み込んでいる。
図5および図6に示すように、留めボルト50a,50bは、夫々折損予定部60および係合部61を有している。折損予定部60および係合部61は、軸部51の中間部51bの外周面に形成されている。
折損予定部60は、軸部51の周方向に連続する環状の溝で規定されている。当該溝は、例えば軸部51の中間部51bの外周面にバイトを用いた切削加工を施すことにより形成されており、留めボルト50a,50bの頭部51cと隣り合っている。
溝状の折損予定部60は、溝底の方向に進むに従い溝幅が減少する先細り状の断面形状を有している。折損予定部60の径方向に沿う有効断面積は、軸部61の折損予定部60を外れた箇所の有効断面積よりも小さい。そのため、折損予定部60の破断強度は、溝幅および溝深さに応じて定まる。
図7に示すように、係合部61は、例えばスパナのような工具62を引っ掛けるための要素であって、互いに平行な一対の平面63a,63bを有する、所謂二面幅部で規定されている。係合部61は、折損予定部60とねじ部51aとの間に位置するとともに、ねじ部51aと隣り合うように折損予定部60に対し軸部51の軸方向に離れている。
本実施形態では、例えば地震により第1のトラス支持アングル21と第1のアングル支持台25との間にトラス3の長手方向に沿う相対的な移動が生じると、留めボルト50a,50bに軸方向に沿う引っ張り荷重が作用する。引っ張り荷重が折損予定部60の破壊強度を上回った場合、留めボルト50a,50bが折損予定部60で折損し、軸受部材41の第2の部品要素44が第1の部品要素43および枢支ボルト42のピン部56から脱落する。
これにより、第1のトラス支持アングル21と第1のアングル支持台25とがトラス3の長手方向に沿って相対的に移動可能な状態に移行する。
以上のような構成を有するエスカレータ1において、例えば地震により建築物2の第1の床面4と第2の床面5との間にトラス3の幅方向に沿う層間変位が生じた場合、枢支ボルト42を中心として、トラス3の上階側水平部10aに固定された第1のトラス支持アングル21が第1のアングル支持台25に対して回動する。あるいは、枢支ボルト42を中心として、第1のアングル支持台25がトラス3の上階側水平部10aに固定された第1のトラス支持アングル21に対して回動する。
この結果、トラス3の幅方向に沿う層間変位量を吸収することができ、トラス3に過大な外力が作用するのを回避できる。
トラス3の幅方向に沿う層間変位に伴い、第1のトラス支持アングル21と第1のアングル支持台25との間の相対的な回動範囲が上限を上回ると、ガイド板28a,28bのストッパ30a,30bのいずれか一方が第1のトラス支持アングル21の水平部21aに突き当たる。これにより、第1のトラス支持アングル21と第1のアングル支持台25との相対的な回動が制限され、第1のトラス支持アングル21が建築物2に衝突するのを回避できる。
一方、建築物2の第1の床面4と第2の床面5との間にトラス3の長手方向に沿う層間変位が生じた場合、小規模地震又は中規模地震では、非固定部Bを構成する第2のトラス支持アングル23と第2のアングル支持台26とがトラス3の長手方向に沿って相対的に移動する。この移動により、トラス3の長手方向に沿う層間変位量を吸収することができ、トラス3に過大な圧縮力が作用するのを回避できる。
これに対し、極めて稀に発生する大規模地震にあっては、層間変位量が小規模地震又は中規模地震とは比較にならない程に増大する。このため、半固定部Aと非固定部Bとの間の距離が大きく縮まるのを避けられず、非固定部Bだけでは層間変位量を吸収することが困難となる。
本実施形態によると、半固定部Aと非固定部Bとの間の距離が大きく縮まることで、トラス3の第1のトラス支持アングル21が第1の床面4に近づく方向に押圧された場合、当該押圧力が枢支ボルト42を介して軸受部材41に伝わる。
軸受部材41は、トラス3の長手方向に沿って枢支ボルト42のピン部56を挟み込むように第1の部品要素43と第2の部品要素44とに二つに分割されている。さらに、第2の部品要素44は、トラス3の長手方向に延びた留めボルト50a,50bで第1の部品要素43に結合されている。
したがって、留めボルト50a,50bは、枢支ボルト42および第2の部品要素44から伝わる前記押圧力を軸方向に沿う引っ張り荷重として受け止めることになる。留めボルト50a,50bに加わる引っ張り荷重の大きさが折損予定部60の破断荷重を上回ると、留めボルト50a,50bが折損予定部60の箇所で折損する。
このため、軸受部材41の第2の部品要素44が第1の部品要素43および枢支ボルト42のピン部56から脱落し、第1のトラス支持アングル21と第1のアングル支持台25とがトラス3の長手方向に沿って相対的に移動可能な状態に移行する。言い換えると、第1のトラス支持アングル21が第1の隙間L1に相当する分だけ第1の床面4に近づく方向に移動し、トラス3の長手方向に沿う層間変位量を吸収する。
したがって、大規模地震発生時においても、トラス3に過大な圧縮力が作用するのを回避することができ、トラス3の座屈あるいは第1のトラス支持アングル21および第1のアングル支持台25の破損を防止することができる。
留めボルト50a,50bのねじ部51aは、第1の部品要素43のねじ孔52にねじ込まれている。このため、留めボルト50a,50bが折損予定部60の箇所で折れると、ねじ部51aに連続する中間部51bの一部が第1の部品要素43の合面45aから突出した状態で残留する。
本実施形態では、中間部51bの外周面に一対の平行な平面63a,63bを有する係合部61が形成されている。したがって、図7に示すように、スパナのような工具62を係合部61に引っ掛けることで、当該工具62を用いて折れた留めボルト50a,50bを回すことができる。
この結果、折れた留めボルト50a,50bを第1の部品要素43から取り外す作業を容易に行うことができ、第1の部品要素43を再利用する上で有利な構成となる。
次に、大規模地震が発生した時のトラス3、第1のアングル支持台25および第2のアングル支持台26の相対的な位置関係について、図8ないし図11を加えて説明する。
エスカレータ1の初期据え付け時にあっては、図1に示すように、第1の床面4を支える支持材22の端面とトラス3の上階側水平部10aの先端との間に第1の隙間L1が設けられている。同様に、第2の床面5を支える支持材24の端面とトラス3の下階側水平部10bの先端との間に第2の隙間L2が設けられている。
さらに、第1のトラス支持アングル21と第1のアングル支持台25とで構成される半固定部Aにおいては、枢支ボルト42のピン部56が軸受部材41の嵌合孔47に回動可能に嵌合された状態に維持されている。したがって、トラス3の非固定部Bでは、トラス3の長手方向に沿う第2のトラス支持アングル23の変位が拘束されていないのに対し、半固定部Aでは、トラス3の長手方向に沿う第1のトラス支持アングル21の変位が拘束された状態にある。
図8は、例えば大規模地震により第2の床面5が第1の床面4に近づくX方向に前記第1の隙間L1および前記第2の隙間L2の分だけ相対的に変位した状態を示している。すなわち、X方向への変位量は、L1+L2で表すことができる。
大規模地震が発生すると、トラス3の非固定部Bでは、第2のトラス支持アングル23と第2のアングル支持台26とがトラス3の長手方向に沿って相対的に移動することで、トラス3の長手方向に沿う層間変位量を吸収する。
一方、トラス3の半固定部Aでは、既に述べたように第1のトラス支持アングル21が第1の床面4に近づく方向に押圧される。これにより、軸受部材41の留めボルト50a,50bに引っ張り荷重が加わり、留めボルト50a,50bが折損予定部60の箇所で折損する。
この結果、軸受部材41の第2の部品要素44が第1の部品要素43および枢支ボルト42のピン部56から脱落し、トラス3の長手方向に沿う第1のトラス支持アングル21の拘束が解除される。これにより、第1のトラス支持アングル21が第1の隙間L1を吸収するように移動し、トラス3に圧縮力が作用するのを防ぐ。
図9は、図8の状態から第2の床面5が第1の床面4から遠ざかる−X方向に変位し、トラス3が第1の床面4と第2の床面5との間で第1の床面4の側に大きく片寄った状態を示している。
この状態では、第2のトラス支持アングル23と第2のアングル支持台26とがトラス3の長手方向に沿って相対的に移動することで、トラス3の長手方向に沿う層間変位量を吸収する。さらに、トラス3が第1の床面4の側に大きく片寄っていても、第2のトラス支持アングル23は、第2のアングル支持台26から脱落することなく第2のアングル支持台26の上に載置された状態を維持している。
図10は、トラス3が図9の状態から第2の床面5の方向に変位した状態を示している。この状態では、第1のトラス支持アングル21がトラス3の動きに追従して第1の床面4から遠ざかる方向に移動しようとする。そのため、第1のトラス支持アングル21にねじ込まれた枢支ボルト42も、トラス3の動きに追従して第1の床面4から遠ざかる方向に移動しようとする。
この際、枢支ボルト42を受け止める軸受部材41の第1の部品要素43は、図4および図5に示すように受座29に溶接されているとともに、トラス3の側から枢支ボルト42のピン部56に当接されている。そのため、第1のトラス支持アングル21がトラス3の動きに追従して第1の床面4から遠ざかる方向に移動すると、枢支ボルト42のピン部56が軸受部材41の第1の部品要素43に突き当たった時点で、第1の部品要素43がトラス3の移動を拘束する。
一方、図11は、第1のトラス支持アングル21が第1の床面4から遠ざかる方向に対しても自由に移動可能な状態に保たれた比較例を示している。比較例によると、エスカレータ1のトラス3が図9の状態から第2の床面5の側に変位すると、トラス3の動きに追従して第1のトラス支持アングル21が第1の床面4から遠ざかる方向に移動する。
しかしながら、比較例では、第1の床面4から遠ざかる方向への第1のトラス支持アングル21の動きを拘束することができないので、層間変位量が増大すると、第1のトラス支持アングル21が第1のアングル支持台25から外れる。この結果、図11に矢印で示すように、エスカレータ1が落下する。
本実施形態によると、第1の床面4の側に位置されたエスカレータ1の半固定部Aは、留めボルト50a,50bが折れた状態において、トラス3が第1の床面4に近づく方向への第1のトラス支持アングル21の変位を許容し、トラス3が初期の据え付け位置を超えて第2の床面5に近づく方向への第1のトラス支持アングル21の変位を強制的に拘束するように構成されている。
具体的には、エスカレータ1の初期据え付け時においては、受座29に強固に溶接された軸受部材41の第1の部品要素43が、トラス3の側から枢支ボルト42のピン部56に当接されている。
そのため、図9に示すように、第2の床面5が第1の床面4から遠ざかる−X方向に層間変位した状態において、トラス3が第1の床面4の側から第2の床面5に向けて変位しようとしても、軸受部材41の第1の部品要素43が第1のトラス支持アングル21に追従する枢支ボルト42のピン部56の動きを拘束する。
この結果、エスカレータ1の耐震化が強化され、エスカレータ1の落下を未然に防止することができる。
さらに、前述のように軸受部材41の第1の部品要素43が枢支ボルト42のピン部56の動きを拘束するので、第1のトラス支持アングル21の水平部21aの長さS1をトラス3の長手方向に自由に動き得る第2のトラス支持アングル23の水平部23aの長さL2よりも短くすることができる。
このため、第1のトラス支持アングル21を小形・軽量化することが可能となる。
[第1の実施形態の変形例1]
図12は、第1の実施形態の変形例1を開示している。
変形例1は、軸受部材41の構成が第1の実施形態と相違している。変形例1によると、軸受部材41の第2の部品要素44が一対の端部材70a,70bに分割されている。端部材70a,70bは、夫々第1の部品要素43の合面45aと直交する方向に沿う垂直な端面71a,71bを有するとともに、当該端面71a,71bを突き合わせた状態で溶接等の手段により一体的に結合されている。
さらに、端部材70a,70bは、夫々留めボルト50a,50bが挿通される通孔53と、第1の部品要素43の合面45aに突き合わされるフラットな合面72a,72bと、を有している。一方の合面72aと一方の端面71aとの間は、円弧状に湾曲された切り欠き部73aで結ばれている。同様に、他方の合面72bと他方の端面71bとの間は、円弧状に湾曲された切り欠き部73bで結ばれている。
第2の部品要素44の切り欠き部73a,73bは、第1の部品要素43の凹部46aと協働して枢支ボルト42のピン部56が回動可能に嵌合される嵌合孔47を構成している。
したがって、変形例1では、軸受部材41の第2の部品要素44が二分割されていることから、軸受部材41が三つに分割された要素を互いに組み合わすことで構成されている。
[第1の実施形態の変形例2]
図13は、第1の実施形態の変形例2を開示している。
変形例2は、端部材70a,70bの結合の仕方が変形例1と相違しており、それ以外の構成は変形例1と同様である。
変形例2によると、端部材70a,70bは、夫々端面71a,71bに連続する連結壁80a,80bを有している。連結壁80a,80bは、第1の部品要素43から遠ざかる方向に端部材70a,70bから突出されている。
連結壁80a,80bは、夫々ねじ孔81a,81bを有している。ねじ孔81a,81bは、同軸状に並んでいるとともに、当該ねじ孔81a,81bに一本のボルト82がねじ込まれている。このねじ込みにより、端部材70a,70bが一体的に結合されている。
したがって、変形例2においても、軸受部材41が三つに分割された要素を互いに組み合わすことで構成されている。
[第2の実施形態]
図14ないし図17は、第2の実施形態を開示している。
第2の実施形態は、軸受部材41の構成が第1の実施形態と相違しており、それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図14ないし図16に示すように、軸受部材41の第1の部品要素43は、一対の腕部90a,90bを有している。腕部90a,90bは、トラス3から遠ざかる方向に突出されているとともに、トラス3の幅方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。腕部90a,90bの先端部には、夫々トラス3の幅方向に延びる通孔91a,91bが形成されている。通孔91a,91bは、互いに同軸状に向かい合っている。
軸受部材41の第2の部品要素44は、腕部90a,90bの間に介在された状態で第1の部品要素43に突き合わされている。第2の部品要素44は、貫通孔92を有している。貫通孔92は、通孔91a,91bに同軸状に連通されている。
第2の部品要素44は、一本の留めボルト93およびナット94を介して第1の部品要素43に連結されている。留めボルト93は、留め具の一例であって、トラス3の幅方向に沿うように水平に配置されている。
留めボルト93は、第1の部品要素43の腕部90a,90bと第2の部品要素44との間に跨る軸部95を有している。軸部95は、通孔91a,91bおよび貫通孔92を連続して貫通する要素であって、その先端部に位置されたねじ部95aと、ねじ部95aに連続する中間部95bと、を含んでいる。中間部95bは、ねじ山を有しないストレートな円柱状であり、留めボルト93の頭部95cとねじ部95aとの間を結んでいる。
留めボルト93のねじ部95aは、通孔91bを貫通して腕部90bの外に突出されており、当該ねじ部95aの突出端にナット94がねじ込まれている。このねじ込みにより、第2の部品要素44が腕部90a,90bの間で挟み込まれているとともに、第1の部品要素43および第2の部品要素44が一体構造物として互いに結合される。それと同時に、第1の部品要素43の合面45aと第2の部品要素44の合面45bとの間に嵌合孔47が形成されるようになっている。
図16および図17に示すように、留めボルト93は、一対の折損予定部97a,97bを有している。折損予定部97a,97bは、軸部95の中間部95bの外周面に形成されている。
折損予定部97a,97bは、軸部95の周方向に連続する環状の溝で規定されている。当該溝は、例えば軸部95の中間部95bの外周面にバイトを用いた切削加工を施すことにより形成されている。
溝状の折損予定部97a,97bは、溝底の方向に進むに従い溝幅が減少する先細り状の断面形状を有している。折損予定部97a,97bの径方向に沿う有効断面積は、軸部95の折損予定部97a,97bを外れた箇所の有効断面積よりも小さい。そのため、折損予定部97a,97bの破断強度は、溝幅および溝深さに応じて定まる。
本実施形態によると、折損予定部97a,97bは、軸部95の軸方向に互いに離れている。図16に最もよく示されるように、第1の部品要素43および第2の部品要素44が一体構造物として結合された状態では、一方の折損予定部97aが一方の腕部90aと第2の部品要素44との境界に位置され、他方の折損予定部97bが他方の腕部90bと第2の部品要素44との境界に位置されている。
第2の実施形態において、大規模地震により半固定部Aを構成する第1のトラス支持アングル21が第1の床面4に向けて押圧された場合、当該押圧力が枢支ボルト42を介して軸受部材41に伝わる。
この際、軸受部材41は、トラス3の長手方向に沿って枢支ボルト42のピン部56を挟み込むように第1の部品要素43と第2の部品要素44とに二つに分割されている。そのため、軸受部材41が押圧力を受けると、第2の部品要素44が枢支ボルト42のピン部56により第1の部品要素43から遠ざかる方向に押圧される。この結果、第1の部品要素43の腕部90a,90bと第2の部品要素44とがトラス3の長手方向に沿うように相対的に移動しようとする。
本実施形態によると、第2の部品要素44を第1の部品要素43に結合する留めボルト93は、枢支ボルト42と直交するようにトラス3の幅方向に水平に延びているとともに、留めボルト93の折損予定部97a,97bが第1の部品要素43の腕部90a,90bと第2の部品要素44との境界に位置されている。
したがって、腕部90a,90bと第2の部品要素44とがトラス3の長手方向に沿うように相対的に移動すると、留めボルト93の折損予定部97a,97bにせん断荷重が作用する。せん断荷重が折損予定部97a,97bの破断荷重を上回ると、留めボルト93が折損予定部97a,97bの箇所で折損する。
この結果、軸受部材41の第2の部品要素44が第1の部品要素43および枢支ボルト42のピン部56から脱落し、第1のトラス支持アングル21が第1の隙間L1に相当する分だけ第1の床面4に近づく方向に移動する。この移動により、トラス3の長手方向に沿う層間変位量が吸収される。
よって、大規模地震発生時においても、トラス3に過大な圧縮力が作用するのを回避することができ、前記第1の実施形態と同様に、トラス3の座屈あるいは第1のトラス支持アングル21および第1のアングル支持台25の破損を防止することができる。
加えて、第2の実施形態においても、受座29に強固に溶接された軸受部材41の第1の部品要素43が、トラス3の側から枢支ボルト42のピン部56に当接されている。そのため、図9に示すように、第2の床面5が第1の床面4から遠ざかる−X方向に層間変位した状態において、トラス3が第1の床面4の側から第2の床面5に向けて変位しようとしても、軸受部材41の第1の部品要素43が枢支ボルト42のピン部56の動きを拘束する。
この結果、第1のトラス支持アングル21は、第1のアングル支持台25の上に載置された状態に維持され、エスカレータ1の落下を未然に防止することができる。
[第3の実施形態]
図18ないし図21は、第3の実施形態を開示している。
第3の実施形態は、枢支ボルト42を受け止める軸受部材100の構成が第1の実施形態と相違しており、それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図18、図20Aおよび図20Bに示すように、軸受部材100は、第1の部品要素101および第2の部品要素102を組み合わすことで構成されている。第1の部品要素101は、受座29よりも一回り小さな四角いフラットな板で構成され、第1のトラス支持アングル21の水平部21aと受座29との間に配置されている。
第1の部品要素101は、第1の部分101aおよび第2の部分101bを有している。第1の部分101aは、受座29の第1の部分29aの上に載置されている。第2の部分101bは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aに対しトラス3とは反対側に向けて張り出すとともに、受座29の第2の部分29bの上に載置されている。
本実施形態によると、受座29の第2の部分29bは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aに対する突出寸法mが、第1の実施形態よりも大きく設定されている。この結果、溶接ビードW3の長さが増大し、ベース27に対する受座29の溶接長を十分に確保することができる。
第1の部品要素101は、スリット状の開口部103を有している。開口部103は、トラス3の長手方向に沿うように第1の部品要素101の第1の部分101aの中央部から第2の部分101bに向けて真っ直ぐに延びているとともに、第1の部品要素101を厚さ方向に貫通している。開口部103は、第2の部分101bの一辺101cに開口されている。開口部103の終端部103aは、第2の部分101bの一辺101cの反対側に位置されている。さらに、終端部103aは、円弧状に湾曲されている。
本実施形態では、第1の部品要素101のうち一辺101cを含む第2の部分101bの外周縁が受座29の第2の部分29bの上面に連続して溶接されている。図18の中の符号W4は、第2の部分101bの外周縁に沿って形成された溶接ビードを示している。溶接ビードW4は、トラス3の長手方向および幅方向に連続して延びている。これにより、第1の部品要素101は、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないように受座29の上に強固に固定されている。
第2の部品要素102は、細長いフラットな板で構成され、第1の部品要素101の開口部103に取り外し可能に嵌合されている。第2の部品要素102は、第1の端部105aおよび第2の端部105bを有している。第1の端部105aは、開口部103の終端部103aと向かい合うとともに、円弧状に切り欠かれた形状を有している。
図20Aに示すように、第2の部品要素102の第1の端部105aおよび開口部103の終端部103aは、互いに協働して枢支ボルト42のピン部56が回動可能に嵌合する円形の嵌合孔106を規定している。このため、枢支ボルト42のピン部56は、第1の部品要素101の開口部103の終端部103aと第2の部品要素102の第1の端部105aとの間でトラス3の長手方向から挟み込まれている。
第2の部品要素102の第2の端部105bは、受座29の第2の部分29bの上に位置するように第1のトラス支持アングル21の水平部21aから突出されている。第1のピン孔108が第2の部品要素102の第2の端部105bに形成されている。第1のピン孔108は、第2の端部105bを第2の部品要素102の厚さ方向に貫通している。
さらに、第2のピン孔109が受座29の第2の部分29bに形成されている。第2のピン孔109は、第2の部分29bを受座29の厚さ方向に貫通している。第1のピン孔108および第2のピン孔109は、互いに同軸状に位置されているとともに、枢支ボルト42の中心軸線O1に沿うように起立されている。
図18および図19に示すように、第2の部品要素102の第2の端部105bは、留め具の一例である留めピン111を介して受座29の第2の部分29bに結合されている。図21に示すように、留めピン111は、外径が一定の円柱状の要素であって、第2の部品要素102の第2の端部105bと受座29の第2の部分29bとに跨るように、第1のピン孔108および第2のピン孔109に圧入されている。
これにより、第2の部品要素102が第1の部品要素101の開口部103に嵌合された状態に保持されるとともに、枢支ボルト42のピン部56が軸受部材100によって回動可能に支持されている。
図21に示すように、留めピン111は、その軸方向に沿う中間部の外周面に折損予定部112を有している。折損予定部112は、留めピン111の周方向に連続する環状の溝で規定されている。当該溝は、例えば留めピン111の中間部の外周面にバイトを用いた切削加工を施すことにより形成されている。
溝状の折損予定部112は、溝底の方向に進むに従い溝幅が減少する先細り状の断面形状を有している。折損予定部112の径方向に沿う有効断面積は、留めピン111の折損予定部112を外れた箇所の有効断面積よりも小さい。そのため、折損予定部112の破断強度は、溝幅および溝深さに応じて定まる。
本実施形態によると、第2の部品要素102が留めピン111を介して第1の部品要素101の開口部103に保持された状態では、折損予定部112が第2の部品要素102の第2の部分101bと受座29の第2の部分29bとの境界に位置されている。
第3の実施形態において、大規模地震により半固定部Aを構成する第1のトラス支持アングル21がトラス3の長手方向に沿うように第1の床面4に向けて押圧された場合、当該押圧力が枢支ボルト42を介して軸受部材100に伝わる。
この際、軸受部材100の第1の部品要素101および第2の部品要素102は、トラス3の長手方向から枢支ボルト42のピン部56を挟み込んでいる。そのため、第2の部品要素102が枢支ボルト42のピン部56により第1の部品要素101から遠ざかる方向に押圧され、第2の部品要素102と受座29とがトラス3の長手方向に相対的に移動しようとする。
第2の部品要素102を受座29に結合する留めピン111は、枢支ボルト42に沿うように起立されているとともに、留めピン111に形成された折損予定部112が第2の部品要素102と受座29との境界に位置されている。
このため、第2の部品要素102と受座29とがトラス3の長手方向に相対的に移動しようとすると、第2の部品要素102と受座29との間に跨る留めピン111の折損予定部112にせん断荷重が作用する。せん断荷重が折損予定部112の破断荷重を上回ると、留めピン111が折損予定部112の箇所で折損する。
これにより、軸受部材100の第2の部品要素102が第1の部品要素101の開口部103から脱落し、枢支ボルト42のピン部56を支えることができなくなる。この結果、枢支ボルト42のピン部56が開口部103の側縁にガイドされつつ開口部103の終端部103aから遠ざかる方向に移動する。この移動により、第1のトラス支持アングル21が第1の隙間L1に相当する分だけ枢支ボルト42と一緒に第1の床面4に近づく方向に移動し、トラス3の長手方向に沿う層間変位量を吸収する。
以上のことから、大規模地震発生時においても、トラス3に過大な圧縮力が作用するのを回避することができ、前記第1の実施形態と同様に、トラス3の座屈あるいは第1のトラス支持アングル21および第1のアングル支持台25の破損を防止することができる。
加えて、エスカレータ1の初期据え付け時では、受座29に強固に溶接された第1の部品要素101の終端部103aが、トラス3の側から枢支ボルト42のピン部56に当接されている。そのため、図9に示すように、第2の床面5が第1の床面4から遠ざかる−X方向に層間変位した状態において、トラス3が第1の床面4の側から第2の床面5に向けて変位しようとしても、第1の部品要素101の終端部103aが枢支ボルト42のピン部56の動きを拘束する。
この結果、第1のトラス支持アングル21は、第1のアングル支持台25の上に載置された状態に維持され、エスカレータ1の落下を未然に防止することができる。
第3の実施形態によると、図18に示すように、受座29の第2の部分29bは、第1のトラス支持アングル21の水平部21aからの突出寸法mが前記第1の実施形態よりも大きく設定されている。このため、受座29の第2の部分29bとベース27との間に形成された溶接ビードW3の長さをトラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向に対しても十分に確保することができる。よって、受座29がトラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないように当該受座29をベース27の上にしっかりと固定することができる
加えて、受座29の第2の部分29bと軸受部材100の第1の部品要素101との間に形成された溶接ビードW4にしても、トラス3の長手方向および幅方向に連続して延びているので、第1の部品要素101をトラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないように受座29の上にしっかりと固定することができる。
この結果、層間変位が生じた時に、第1のトラス支持アングル21から枢支ボルト42に伝わる力を軸受部材100および受座29の双方でしっかりと受け止めることができる。言い換えると、大規模地震によりトラス3の幅方向に沿う層間変位が生じた時に、第1のトラス支持アングル21がトラス3の幅方向にずれることが無いように第1のトラス支持アングル21を強固に支えることができる。
このことから、大規模地震発生時にたとえ第1のトラス支持アングル21の水平部21aがガイド板28a,28bのストッパ30a,30bのいずれか一方に突き当たったとしても、ガイド板28a,28bに加わる衝撃を緩和することができ、ガイド板28a,28bとベース27との溶接個所に過大な荷重が加わるのを回避できる。よって、ベース27に対するガイド板28a,28bの溶接を簡素化することができ、エスカレータ1の据え付け時の作業性を改善できる。
[第4の実施形態]
図22ないし図35は、第4の実施形態を開示している。
第4の実施形態は、主に第1のトラス支持アングル21と軸受部材100との間に跨る軸部材200の構成が第3の実施形態と相違している。これ以外の構成は、基本的に第3の実施形態と同様である。そのため、第4の実施形態において、第3の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図22および図23に示すように、円形の嵌合孔201が第1のトラス支持アングル21の水平部21aの先端部に形成されている。嵌合孔201は、軸受部材100に形成された開口部103の終端部103aの真上に位置されている。
軸部材200は、中心軸202およびスリーブ203を主要な要素として備えている。中心軸202は、外径が一定の円柱状の要素であって、第1のトラス支持アングル21の嵌合孔201を貫通して軸受部材100に回動可能に嵌合されている。
スリーブ203は、円筒状の要素であって、中心軸202を同軸状に取り囲むように第1のトラス支持アングル21の嵌合孔201に嵌合されている。スリーブ203の内周面は、中心軸202の外周面に摺動可能に接している。
スリーブ203の下端部は、第1のトラス支持アングル21の下面から下向きに突出されている。さらに、スリーブ203は、フラットな下端面203aを有している。下端面203aは、軸受部材100の第1の部品要素101の上面および第2の部品要素102の第1の端部105aの上面に突き当たっている。このため、第1のトラス支持アングル21と軸受部材100との間には、僅かな隙間が形成されている。
スリーブ203の下端面203aは、第2の部品要素102が第1の部品要素101の開口部103から浮き上がることがないように第2の部品要素102を開口部103に保持している。したがって、本実施形態の軸受部材100は、スリーブ203と受座29との間で挟み込まれている。
スリーブ203の上端部は、第1のトラス支持アングル21の水平部21aの上面から上向きに突出されている。スリーブ203の上端部は、水平部21aの上面に溶接されている。図22および図23の符号W5は、スリーブ203の上端部を取り囲むように形成された溶接ビードを示している。溶接ビードW5は、スリーブ203の周方向に連続しており、当該スリーブ203を第1のトラス支持アングル21に強固に固定している。
図24および図25に示すように、軸受部材100を構成する第2の部品要素102の第1の端部105aは、垂直に起立されたフラットなガイド面205を有している。ガイド面205は、開口部103の終端部103aとの間で中心軸202を径方向から挟み込むことで、中心軸202を回動可能に支持している。
図23に示すように、第2の部品要素102の第2の端部105bは、上方に張り出すように肉盛された延出部206を有している。延出部206の存在により、第2の部品要素102の第2の端部105bは、第1の端部105aよりも肉厚が増している。
第2の部品要素102の第1のピン孔108は、延出部205の上面に開口するように延長されている。そのため、留めピン111にしても、延出部205に達するような長さを有し、留めピン111の全長が第3の実施形態よりも長く設定されている。
次に、第1のトラス支持アングル21を軸受部材100および軸部材200を用いて第1のアングル支持台25に回動可能に連結する手順について、図26ないし図35を加えて説明する。
最初に、所定の位置関係に保たれた第1のトラス支持アングル21の水平部21aと第1のアングル支持台25のベース27との間に受座29および軸受部材100の第1の部品要素101を挿入する。第1の部品要素101は、受座29の上の予め決められた位置に置かれている。作業者は、第1のトラス支持アングル21の水平部21aに開口された嵌合孔201の真下に第1の部品要素101の開口部103の終端部103aが位置するように第1の部品要素101の位置を調整する。
この後、図28および図29に示すように、第1の部品要素101の開口部103に第2の部品要素102を嵌め込む。これにより、第2の部品要素102のガイド面205が開口部103の終端部103aと向かい合うとともに、第1のピン孔108と第2のピン孔109とが互いに合致する。
引き続き、図30および図31に示すように、中心軸202を第1のトラス支持アングル21の嵌合孔201を通じて開口部103の終端部103aと第2の部品要素102のガイド面205との間に挿入する。これにより、中心軸202が終端部103aとガイド面205との間で回動可能に保持される。それとともに、第1のピン孔108と第2のピン孔109とがずれないように、第1の部品要素101と第2の部品要素102との大まかな位置決めがなされる。
この後、図32および図33に示すように、留めピン111を第1のピン孔108および第2のピン孔109に圧入する。これにより、第2の部品要素102が留めピン111を介して受座29に結合され、第2の部品要素102が第1の部品要素101の開口部103から脱落しないように、第1の部品要素101と第2の部品要素102との位置関係が固定的に定まる。
第2の部品要素102が留めピン111を介して受座29に結合された状態では、留めピン111の折損予定部112が受座29と第2の部品要素102との境界に位置される。
この後、図34および図35に示すように、スリーブ203を第1のトラス支持アングル21の嵌合孔201に圧入する。スリーブ203が嵌合孔201に挿入された状態では、スリーブ203の内周面が中心軸202の外周面に摺動可能に接しているとともに、スリーブ203の下端面203aが軸受部材100の第1の部品要素101および第2の部品要素102の上面に突き当たる。
これにより、第1の部品要素101および第2の部品要素102が受座29の上面に押し付けられ、第1の部品要素101に対する第2の部品要素102の浮き上がりが阻止される。
スリーブ203を嵌合孔201に圧入したら、スリーブ203の上端部を第1のトラス支持アングル21の水平部21aの上面に溶接する。この結果、第1のトラス支持アングル21が第1のアングル支持台25に対し軸部材200を介して回動可能に連結される。
最後に、図22および図23に示すように、受座29の第2の部分29bの外周縁をベース27の上面に連続して溶接する。第2の部分29bの外周縁に沿って形成された溶接ビードW3は、トラス3の長手方向および幅方向に沿うように連続して延びている。これにより、受座29は、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないようにベース27の上に強固に固定される。
さらに、軸受部材100を構成する第1の部品要素101のうち、一辺101cを含む第2の部分101bの外周縁を受座29の第2の部分29bの上面に溶接する。第2の部分101bの外周縁に沿って形成された溶接ビードW4は、トラス3の長手方向および幅方向に連続して延びている。これにより、第1の部品要素101は、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向にも動かないように受座29の上に強固に固定される。
以上により、第1のトラス支持アングル21を第1のアングル支持台25に回動可能に連結する作業が完了する。
第4の実施形態によると、大規模地震により留めピン111が折損予定部112の箇所で折損すると、軸受部材100の第2の部品要素102が第1の部品要素101の開口部103から脱落する。そのため、第1のトラス支持アングル21が第1の隙間L1に相当する分だけ中心軸202と一緒に第1の床面4に近づく方向に移動し、トラス3の長手方向に沿う層間変位量を吸収する。
したがって、大規模地震発生時においても、トラス3に過大な圧縮力が作用するのを回避することができ、前記第3の実施形態と同様に、トラス3の座屈あるいは第1のトラス支持アングル21および第1のアングル支持台25の破損を防止することができる。
加えて、エスカレータ1の初期据え付け時では、受座29に強固に溶接された軸受部材100の第1の部品要素101の終端部103aが、トラス3の側から軸部材200の中心軸202に当接されている。そのため、図9に示すように、第2の床面5が第1の床面4から遠ざかる−X方向に層間変位した状態において、トラス3が第1の床面4の側から第2の床面5に向けて変位しようとしても、第1の部品要素101の終端部103aが中心軸202の動きを拘束する。
したがって、第1のトラス支持アングル21は、第1のアングル支持台25の上に載置された状態に維持され、エスカレータ1の落下を未然に防止することができる。
第4の実施形態によると、前記第3の実施形態と同様に、受座29の第2の部分29bとベース27との間に形成された溶接ビードW3の長さを、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向に対しても十分に確保することができる。
加えて、受座29の第2の部分29bと軸受部材100の第1の部品要素101との間に形成された溶接ビードW4の長さを、トラス3の長手方向および幅方向のいずれの方向に対しても十分に確保することができる。
この結果、層間変位が生じた時に、第1のトラス支持アングル21から枢支ボルト42に伝わる力を軸受部材100および受座29の双方でしっかりと受け止めることができ、第1のトラス支持アングル21がトラス3の幅方向にずれることが無いように第1のトラス支持アングル21を強固に支えることができる。
よって、大規模地震発生時にたとえ第1のトラス支持アングル21の水平部21aがガイド板28a,28bのストッパ30a,30bのいずれか一方に突き当たったとしても、ガイド板28a,28bとベース27との溶接個所に過大な荷重が加わるのを回避でき、ベース27に対するガイド板28a,28bの溶接を簡素化することができる。
本実施形態では、軸受部材100を構成する第2の部品要素102が第1の部品要素101の開口部103から浮き上がらないように、スリーブ203で第2の部品要素102の第1の端部105aを上から押えている。
この際、留めピン111が圧入された第2の部品要素102の第2の端部105bは、スリーブ203で押される第1の端部105aから離れているので、第2の端部105bに曲げモーメントが作用するのを否めない。
本実施形態では、第2の端部105bに延出部206を設けたことで、第2の端部105bの肉厚が第1の端部105aの肉厚よりも大きくなっている。このため、第2の端部105bに加わる曲げモーメントに屈しないように、第2の端部105bの強度を十分に確保することができる。
第4の実施形態では、第1のアングル支持台25に対する第1のトラス支持アングル21の結合が完了した状態で、軸受部材100の第1の部品要素101を受座29に溶接したが、これに限定されるものではない。
例えば、エスカレータ1の据え付け場所から離れた工場で軸受部材100の第1の部品要素101を受座29に溶接しておき、第1の部品要素101および受座29をサブアッセンブリ部品として予め組み立てておくようにしてもよい。
このようにすれば、第1のトラス支持アングル21の水平部21aの奥方に入り込む第1の部品要素101の第1の部分102aの外周縁部を受座29に溶接することができる。このため、第1の部品要素101と受座29との間の溶接長をより一層増加させることができ、第1の部品要素101と受座29との接合強度が向上する。
しかも、エスカレータ1の据え付け現場での溶接個所を減らすことが可能となり、エスカレータ1の据え付け作業の簡素化に寄与する。
さらに、工作機械を使用して金属素材に切削加工を施すことにより、軸受部材100の第1の部品要素101と受座29とを一体構造物として製作するようにしてもよい。
このようにすれば、製作コストの上昇は避けられないが、加工された構造物の強度が飛躍的に高まる。そのため、強度が許す範囲内で構造物の小型化および軽量化を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
前記実施形態では、第2のトラス支持アングルは、第2のアングル支持台と協働して非固定部を構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、第2のトラス支持アングルと第2のアングル支持台との間に連結機構を介在させ、大規模地震発生時に第2のトラス支持アングルを第2のアングル支持台に対し移動可能な状態に保持する半固定部を構成するようにしてもよい。
すなわち、半固定部は、トラスの長手方向に沿う一方の端部および他方の端部の少なくともいずれか一方に設ければよく、トラスに対する半固定部の位置に特に制約はない。
加えて、実施形態に係る乗客コンベアは、エスカレータに特定されるものではなく、水平又は傾斜して配置された移動歩道であっても同様に実施可能である。
2…建築物、3…トラス、4…第1の床面、5…第2の床面、21…第1のトラス支持アングル、23…第2のトラス支持アングル、25…第1のアングル支持台、26…第2のアングル支持台、40…連結機構、41,100…軸受部材、42,200…軸部材(枢支ボルト)、43,101…第1の部品要素、44,102…第2の部品要素、50a,50b,93,111…留め具(留めボルト、留めピン)、60,97a,97b,112…折損予定部、L1,L2…隙間(第1の隙間、第2の隙間)、M1,M2…かかり代。

Claims (16)

  1. 建築物が有する第1の床面と第2の床面との間に架け渡されたトラスと、
    前記トラスの長手方向に沿う一方の端部に固定され、前記建築物に設けられた第1のアングル支持台の上に予め決められた「かかり代」を有して載置された第1のトラス支持アングルと、
    前記トラスの長手方向に沿う他方の端部に固定され、前記建築物に設けられた第2のアングル支持台の上に予め決められた「かかり代」を有して載置された第2のトラス支持アングルと、
    少なくとも前記第1のトラス支持アングルと前記第1のアングル支持台との間を相対的に回動可能に連結する連結機構と、を具備し、
    前記トラスの前記一方の端部と前記建築物との間、および前記トラスの前記他方の端部と前記建築物との間に夫々層間変位を吸収する隙間が設けられた乗客コンベアであって、
    前記連結機構は、
    前記第1のアングル支持台と前記第1のトラス支持アングルとの間に介在された軸受部材と、前記第1のトラス支持アングルと前記軸受部材との間に跨る軸部材と、を含み、
    前記軸受部材は、前記軸部材を径方向から挟むように分割された複数の部品要素を有し、前記複数の部品要素のうちの一方の部品要素は、前記第1のアングル支持台に固定されているとともに、他方の部品要素は、軸状の留め具を介して前記一方の部品要素に結合され、前記留め具の少なくとも一箇所に他の部位よりも機械的強度が小さい折損予定部が設けられた乗客コンベア。
  2. 前記第1のトラス支持アングルと前記第1のアングル支持台との間に予め決められた値を上回る大きさの荷重が作用した状態では、前記留め具が前記折損予定部で折損することで前記他方の部品要素が前記一方の部品要素から脱落し、前記第1のトラス支持アングルおよび前記第1のアングル支持台が前記トラスの長手方向に相対的に変位可能となる請求項1に記載の乗客コンベア。
  3. 前記第1のアングル支持台に固定された前記一方の部品要素は、前記軸部材に対し前記トラスの側から当接された請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベア。
  4. 前記第1のトラス支持アングルの前記トラスの長手方向に沿う長さは、前記第2のトラス支持アングルの前記トラスの長手方向に沿う長さよりも短い請求項3に記載の乗客コンベア。
  5. 前記留め具に軸方向に沿う引っ張り荷重が作用した状態において、前記留め具が前記折損予定部で折損する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
  6. 前記留め具に径方向に沿うせん断荷重が作用した状態において、前記留め具が前記折損予定部で折損する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
  7. 前記第2のトラス支持アングルおよび前記第2のアングル支持台は、前記トラスの長手方向および前記トラスの幅方向に相対的に変位可能である請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
  8. 前記留め具の前記折損予定部の有効断面積は、前記留め具の前記折損予定部を外れた箇所の有効断面積よりも小さい請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
  9. 前記留め具の前記折損予定部は、前記留め具の周方向に連続する溝で規定された請求項8に記載の乗客コンベア。
  10. 前記留め具は、前記軸受部材の前記一方の部品要素にねじ込まれたねじ部と、前記軸受部材の前記他方の部品要素を貫通する中間部と、を有するボルトであり、前記中間部の外周面に前記折損予定部および工具が係合可能な係合部が設けられているとともに、前記係合部が前記折損予定部と前記ねじ部との間に位置された請求項1に記載の乗客コンベア。
  11. 建築物が有する第1の床面と第2の床面との間に架け渡されたトラスと、
    前記トラスの長手方向に沿う一方の端部に固定され、前記建築物に設けられた第1のアングル支持台の上に予め決められた「かかり代」を有して載置された第1のトラス支持アングルと、
    前記トラスの長手方向に沿う他方の端部に固定され、前記建築物に設けられた第2のアングル支持台の上に予め決められた「かかり代」を有して載置された第2のトラス支持アングルと、
    少なくとも前記第1のトラス支持アングルと前記第1のアングル支持台との間を相対的に回動可能に連結する連結機構と、を具備し、
    前記トラスの前記一方の端部と前記建築物との間、および前記トラスの前記他方の端部と前記建築物との間に夫々層間変位を吸収する隙間が設けられた乗客コンベアであって、
    前記連結機構は、
    前記第1のアングル支持台と前記第1のトラス支持アングルとの間に介在された軸受部材と、前記第1のトラス支持アングルと前記軸受部材との間に跨る軸部材と、を含み、
    前記軸受部材は、前記軸部材を径方向から挟むように分割された複数の部品要素を有し、前記複数の部品要素のうちの一方の部品要素は、前記第1のアングル支持台に固定されているとともに、他方の部品要素は、軸状の留め具を介して前記第1のアングル支持台に結合され、前記留め具の少なくとも一箇所に他の部位よりも機械的強度が小さい折損予定部が設けられた乗客コンベア。
  12. 前記第1のトラス支持アングルと前記第1のアングル支持台との間に予め決められた値を上回る大きさの荷重が作用した状態では、前記留め具が前記折損予定部で折損することで前記他方の部品要素が前記一方の部品要素から脱落し、前記第1のトラス支持アングルおよび前記第1のアングル支持台が前記トラスの長手方向に相対的に変位可能となる請求項11に記載の乗客コンベア。
  13. 前記第1のアングル支持台に固定された前記一方の部品要素は、前記軸部材に対し前記トラスの側から当接された請求項11又は請求項12に記載の乗客コンベア。
  14. 前記留め具は、外径が一定のピンであり、前記折損予定部は、前記留め具の周方向に連続する溝で規定された請求項11ないし請求項13のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
  15. 前記折損予定部が前記第1のアングル支持台と前記他方の部品要素との間の境界に位置された請求項11ないし請求項14のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
  16. 前記軸部材は、前記第1のトラス支持アングルを貫通するとともに、前記軸受部材に嵌合された中心軸と、前記中心軸の外側に同軸状に嵌合され、前記第1のトラス支持アングルに固定された筒状のスリーブと、を有し、前記スリーブの一端が前記軸受部材に当接された請求項11に記載の乗客コンベア。
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